с тобой


私が目を覚まして初めて見えたものは木で出来た壁だった。
ぼんやりとした頭でその壁を見つめていたけど、どうやら私はベッドに横になっているみたい。じゃあこれは壁じゃなくて天井かな……。
「知らない天井だわ……」
何気なくつぶやいた言葉を皮切りに意識と感覚が覚醒してくる。
体の感覚が戻ってくると同時に両腕からズキズキと痛みが伝わってくるのがわかって私は顔をしかめた。
私の両腕は包帯を巻かれて固定されている、ということは……骨折?
どうして骨折なんかしてるんだろう?
私は夜間哨戒に出て、そしたらネウロイに遭遇して……。
被弾しちゃったのかな……よく覚えてない。とにかく命は無事でよかった。またエイラに心配かけちゃったな……。芳佳ちゃんも治癒してくれただろうし……ありがとうって言わないといけないな。
しばらくすると廊下の方から足音が聞こえてきた。
コンコン、とドアが鳴らされて入ってきたのはエイラと芳佳ちゃんだった。
2人とも浮かない顔しながらドアを開けて入ってきたけど、私の事に気づいたら笑顔になって顔を綻ばせた、私も笑顔でそれに答えた。
「サーニャちゃん目が覚めたの!?」
「さ、サアアニャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!」
エイラが走り寄ってきてそのまま抱き締められた。骨折れてるんだけどなぁ……。
「サ-ニャが、サーニャが無事でよかっタ………サアアアアニャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」
エイラが私の胸の中で泣いてる、いつものエイラは手を握るのさえ躊躇ってるのに……。
本当に心配してくれてたんだなって思うとなんだか恥ずかしくなってしまう。
「サーニャちゃん、ご飯持ってきたからエイラさんと食べて?」
「え…?芳佳ちゃんは一緒に食べないの?」
「そんな無粋なことできないよ~!二人で楽しんでね!」
芳佳ちゃんはよくわからないことを言うとご飯を置いて出口の方へ歩いていった。
「おやすみなさいっ、サーニャちゃん!エイラさん!」
結局ご飯を持ってきただけで帰っちゃった。もっとお話ししたかったのに…。
「サーニャー…サーニャー…グス…」
そういえばエイラを忘れてた、ずっと泣いてたみたい。
私の名前を何度も呟いているけど、大丈夫かな。
「エイラ、私は大丈夫だから。ご飯食べましょう?」
頭を優しく撫でてからエイラを引き剥がして椅子に座らせた。まだ泣いてるけど……そんなもエイラは凄く可愛い……まるで子供みたい。エイラのほうが歳上なのに。
「うん、そうだナ…グス…食べようカ……」
エイラがトレイを私のところまで持ってきてくれた、でも両腕が使えない私は自分で食べることができない。ということは必然的に……。
「ねぇエイラ、エイラが食べさせて」
「そ、そういえば両手使えないナ……」
「うん、だからエイラが食べさせて」
「そ、そういうのはなんか恥ずかしいっていうかなんていうカ……///」
いつものエイラに戻っちゃった、でも私は両手使えないからエイラに食べさせてもらうしかないんだよ?
「エイラ、お願い。今の私はエイラがいないと……ダメ?」
「エーット……キョ、キョウダケダカンナー//」
やっぱりエイラは優しい女の子、もちろんずっと前からその事は知ってるけど。
「は、はいサーニャ。あ、あーン///」
「あーん」
「美味しいカ?サーニャ」
「うん、エイラが食べさせてくれるもの」
「そ、そんなコト……味なんて変わらないダロ」
「エイラが食べさせてくれるから美味しいの、理屈はいらないわ」
「な、なに言ってんダヨー、いつもとなんか違うゾ?」
「ううん、なんでもないの」
「?……ホラ、あーん」
「エイラ」
「どうした?他のもの食べたいカ?」
「そうじゃないの、エイラに言っておきたいことがあるから……」
「そうカ、何なんダ?」
「エイラ、いつもありがとう、大好きよ」
「な、なななななな何言ってんだサーニャ!?」
あ、やっぱりエイラはエイラだ。真っ赤になっちゃって可愛い。
「私はエイラがいてくれて幸せ、これからも一緒でいたい」
「も、もちろんずっと一緒ダ!約束スル!」
「うん!私もエイラとずっと一緒にいたい」
「そうダナ、二人なら何千マイルの旅も平気ダ!」
「これからもよろしくね、エイラ」
「こちらこそよろしくナ、サーニャ」


ずっと続くといいな、エイラと二人で……ずっと一緒に……。


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