ある夜の作戦
エイラ「う~~~、宮藤ぃ……」
芳佳「どうしたんですか、エイラさん」
エイラ「サーニャと仲良くなるにはどうしたらいいんだロ…」
芳佳「今でも十分仲が良いじゃないですか」
エイラ「私としてはこのままじゃ満足できないんだヨ」
芳佳「あの…そういう相談は何も私じゃなくても…」
エイラ「だってバルクホルンみたいな堅物は論外だし、ミーナに聞いたってあまり参考にならないだろうしな…
なんとなく宮藤が頼りになると思ったんダ」
芳佳「その発言…ミーナ中佐が聞いたら落ち込みますよ」
エイラ「とにかく、なにかいい案はないのカ」
芳佳「そう言われましても………、あ、そうだ」
エイラ「思いついたのカ?」
芳佳「ちょっと待っててください」タタタッ
エイラ「これは…インカム?」
芳佳「はい、これを使って私が遠くから指示を出しますから、エイラさんはそれに従って
実行してください」
エイラ「お前に的確なアドバイスが出来るのカ?」
芳佳「……エイラさんが私に相談を持ちかけたんじゃないですか…」
エイラ「悪かったヨ」
芳佳「そうですね…、どこか二人っきりになれる所がいいですよね」
エイラ「そうだな、邪魔が入らない所といえば……、バルコニーはどうダ?」
芳佳「それはいいかもしれません」
ルッキーニ「よーしか!エイラと何してるの?」
芳佳「わわ、ルッキーニちゃん?」
ルッキーニ「インカム使って何するの?面白そう!」
芳佳「ルッキーニちゃん、今大事な話してるから…」
エイラ「別にいいんじゃないか?ルッキーニ一人ぐらい」
ルッキーニ「なるほどねえ、あたしもシャーリーともっと仲良くなりたいから参考にしよっと!」
芳佳「じゃあエイラさん、サーニャちゃんを呼んできてください」
エイラ「わかったゾ」
エイラ「さ、サーニャ」ガチャ
サーニャ「ん……、何?エイラ」モゾ…
エイラ「あのさ、バルコニーに出てみないカ?」
サーニャ「こんな時間に…?」
エイラ「な、なんかそんな気分なんだよ!夜風に当たると気持ちいいゾ」
芳佳『ちょっとエイラさん、そんなに緊張しちゃ…』
エイラ「う、うるせーよ!しょうがねえダロ」ボソボソ
サーニャ「エイラ?」
エイラ「あ、ああ、とにかくバルコニーに行こう!」グイ
サーニャ「ちょ、ちょっと待って…」
ルッキーニ「エイラってホントにヘタレだよねぇ」
芳佳「ルッキーニちゃんに言われるエイラさんって……、あ、来たよ!」
エイラ「どうダ?たまにはこういう夜もいいダロ?」
サーニャ「うん、珍しくエイラから誘ってくれるなんて…」
エイラ「め、珍しかったかなあ」ハハ…
芳佳『エイラさん、まずはサーニャちゃんを褒めてみましょうか』
エイラ「褒める?」
ルッキーニ『お互いの緊張がほぐれるかもねー』
エイラ「わかった……、あ、あのさサーニャ」
サーニャ「何?」
エイラ「さ、サーニャには敵わないよナ」
サーニャ「どういうところが?」
エイラ「私なんてさ、未来予知ぐらいしか取り柄がなくて、パッとしないし」
サーニャ「そんなことない、私エイラには感謝してるのよ」
エイラ「へ…?」
サーニャ「エイラがいなきゃ、私、いつまでも皆に溶け込めなかっただろうし…、
本当にありがとう、エイラ」
エイラ「わ、私はたいしたことしてないヨ……、でも、嬉しいナ」
ルッキーニ「二人とも和んできたんじゃない?」
芳佳『そうだね…、今度はサーニャちゃんにサービスしてあげるとか?』
エイラ「例えば?」
芳佳『うーん…、今度肩もみで労わってあげるみたいな…』
エイラ「よし…、サーニャ、私サーニャに何かしてあげたいナ」
サーニャ「え?」
エイラ「頑張り屋さんのサーニャにお礼がしたいからさ…、そうだ、サーニャの国の料理
を作ってあげるヨ!確かボルシチっていう料理が…」
サーニャ「エイラ…、料理って得意だったっけ?」
エイラ「…そういえば、サンドイッチぐらいしか作れなかったナ……」
サーニャ「…」
エイラ「…」
ルッキーニ「あちゃー、まさかのミスー」
芳佳「どうしよ……」
エイラ「み、宮藤、早く何かアドバイスしてくれヨ」ボソボソ
芳佳『そんなすぐに思い浮かびませんよぉ、エイラさんから何か話のタネを』
エイラ「ええー……」
サーニャ「エイラ?」
エイラ「え!?あ、ああそうダナ……、こ、今夜は月が綺麗だよなア」ハハハ
芳佳「」
ルッキーニ「芳佳?どったの?」
サーニャ「……エイラ、それって…」
エイラ「へ?な、何か変なこと言ったかナ」アセアセ
サーニャ「……嬉しい」ス…
エイラ「ふえ……?」
チュッ
エイラ「え……えええええ!?」
サーニャ「まさかエイラに愛を告げてもらえるなんて…」ウットリ
エイラ「な、何がなんだかワカラナイヨ…」
サーニャ「私、エイラが好きだった、友達としてじゃなく恋人になりたかった…、
その夢が今日叶うなんて……」
エイラ「あ、あああのさサーニャ、そもそも女同士だし、私は恋人になりたいわけじゃ…」
サーニャ「エイラ……、今の言葉は嘘だったの?」ジッ
エイラ「うえ、えと、その……、ま、まあサーニャと恋人になるのも、悪い気はしないと
いうカ…」シドロモドロ
サーニャ「なら……新しい扉を開きましょ?」チュ
エイラ「さ、さーn……んむっ」
ルッキーニ「え、エイラとサーニャがキスしちゃってるよ!?どうなってんの!?」
芳佳「じ、実はね、扶桑では『月が綺麗ですね』というのは『あなたを愛してます』って
いう意味の独特の言い回しがあってね…」
ルッキーニ「そうなの…?うわわ、舌…入れちゃってるよぉ」ドキドキ
芳佳「女の子同士でも…結構すごいんだね」ドキドキ
ルッキーニ「じゃ、じゃあさ、あたし達もキス……してみない?」
芳佳「え!?」
ルッキーニ「やっぱり試してみたいじゃん?どんなものかさ……だから」ドキドキ
芳佳「う、うん…私も、興味、あるかな…」ドキドキ
ルッキーニ「じゃ、じゃあ…」
芳佳「う、うん……」ドキドキ
チュッ
ルッキーニ(ファーストキス…芳佳にあげちゃった)
芳佳(キスって、こんなにドキドキするの…?)
ルッキーニ(柔らかくて……ほんのり芳佳の良い匂いがする)
芳佳(私……なんだか何かに目覚めちゃいそう…)ドキドキ
ルッキーニ(もうキスしちゃったんだし、何やってもいいよね……?)ヌル
芳佳(ル、ルッキーニちゃん舌入れて来た!?)
ルッキーニ(どうかな?芳佳は……)ヌチュ
芳佳(何これ!?どうにかなっちゃいそう…!)チュブ…
ルッキーニ(キス…気持ち良いよぉ)ドキドキ
芳佳「んん……、っぷあ…はあ……」ツー
ルッキーニ「よ、芳佳ぁ……」ドキドキ
芳佳「ルッキーニちゃん…、私……」ドキドキ
ルッキーニ「……付き合っちゃう?」ドキドキ
芳佳「っ………、うん……」コクッ
この夜、2組のカップルが密かに誕生した。
おわり