√03「ラベンダーピンク」
私が引いたカードは【ⅩⅢ 死神】だったな。
私は占いの結果を思い出していた。縁起でもない結果だった。
そんな私にとって目の前の食卓に広がる光景は、縁起がいいどころか血溜りを暗示して他ならなかった。
「エイラ……だいじょうぶ?顔色が……それともトマト嫌い?」
隣に座っていたサーニャが心配そうに私の顔を覘う。なにやってるんだ私、この娘の笑顔を守るのが私の使命だろ、その私がこの娘の顔を曇らせてどうする。
たかが占いだ、そんなものに左右されてどうするよ。
「そんなコトナイ大丈夫だサーニャ、ほら食欲だって……ムグゥ、ゲホゲホ」
私は無理矢理にマルガリータを頬張り咳き込んだ。
それを察して宮藤が水差しを抱えてやって来る。それにつられて他のみんなの視線も私に注がれた。
「大丈夫ですかエイラさん、顔色も悪いですし」
「困ったわね、今日は出撃の予定もあるのだけど」
「大丈夫だっテ、平気平気」
「そうはいかんだろエイラ今日は休養していろ、代わりは……宮藤、出来るな」
「はい坂本さん!私頑張ります!だからエイラさん、私に任せて下さい!」
「チョットマテ」
「いいえ待ちません、もしもの事を考えて休養するのも大事な仕事よ、それに宮藤さんだって成長しているわ」
結局私は病人扱いされ今日の出撃は坂本少佐、バルクホルン大尉、ペリーヌと宮藤が行なう事になった。
確かにミーナ隊長の言う事にも一理ある。こういう日はおとなしくしてるに限るからな。
~病室~
日も傾きかけた頃になり警報が鳴った、今頃宮藤達は戦闘の最中だろう。
私は具合なんて悪くもないのに一日中ベットの上にいた。果たしてこれでいいのか?
私がこうしてるせいで宮藤達にもしもの事があったらどうやって責任を取れるというのか。
まだ間に合うかもしれない、私はハンガーへと向った。
~ハンガー~
ハンガーへ向うと既に宮藤達は帰還していた。
私は人影を確認する。一、二、三、四、大丈夫みんな無事だ。私は胸を撫で下ろす。
「ありがとナ宮藤、代わりに出撃してくれテ、ワタシはもう平気ダヨ風呂行こうゼ」
「体調回復したんですねエイラさん!もちろん行きますよ(涎)」
視線の先が気になるが……せめて背中でも流して労わないと私の気持ちがおさまらないからな。
「そうですわね、背中でも流して頂かなければですわね」
うぅペリーヌ、おまえはまだ誘ってないだろ!っていうか先に言われると労いの気持ちも失せるな。
~浴室~
風呂場には私と宮藤、ペリーヌ、バルクホルン大尉が来ていた。
坂本少佐はストライカーの脱着に手間取ってた。風呂好きの少佐の事だ、後からやって来るだろう。
バルクホルン大尉は遠慮していたが私が無理に誘った。
愛しの妹(仮)の裸でも拝んで戦闘の疲れを癒して欲しいという私なりの気配りだ。
ペリーヌは誘ってもいないのについて来ている。
「本当に凄かったんですよ!ネウロイを海中に誘き込んで!」
私の背中を流しながら宮藤は嬉しそうに先程の戦闘の話を続ける。
「海上に現れた時の少佐の凛々しさと言ったら、あっエイラさんもう少し右でしてよ」
なぜか私は宮藤ではなくペリーヌの背中を流している。全く綺麗な肌しやがって、可愛い……くない奴だな。
「ああネウロイは水を嫌う習性があるからな、流石少佐と言った戦法だなあれは」
今まで浴槽の中から宮藤の裸体を凝視していたであろうバルクホルン大尉も話に加わる。
その浴槽はラベンダーピンクに染まっていた。浮かんでいるのはサーニャが愛用しているラベンダーのポプリだ。
「ヘェ~大尉もアロマ好きなんダナ」
「悪いか!」
「以外ですわ……あら失礼しました」
「以外で悪かったな!」
「そんな事ないです素敵ですよ!まるでお花畑に舞い降りた妖精さんみたいです!」
「!!!……わっ、私は先にでるからな!」
バルクホルン大尉は逃げるように風呂場を後にする。鼻血が吹き出していた、たぶん変な妄想が爆発したんだな。
扶桑の魔女ときたら……宮藤、こいつも天然タラシだ。
サーニャに近づかないよう気を付ける前に、私自身落とされないようにしないといけないな。
~キッチン~
私と宮藤は風呂からあがりキッチンへと移動していた。
風呂あがりのアレいっとくぅ~?いっときますかぁ~?なんて会話が交されたからだ。
腰に手をあて牛乳瓶に口を付ける宮藤の仕草は凛々しくも可愛ゆく、そして何よりエロかった。
私の目は宮藤に釘付けとなった。宮藤の口の端からは牛乳がたらりと滴れ落ちて行く。
そんな宮藤を見つめながら
私は溢れ出るリビドーを……
★爆発させたんダナ。
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★押さえ込んだんダナ。
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