√09「最後の約束」
間違いない、一人だけ怪しい行動を取った奴がいる。
私の手で奴を止めなきゃいけない。私は自室を後にした。
~サーニャの寝室~
ドアをノックすると声が返って来る。サーニャはまだ起きていた。
私が名を告げると彼女は部屋に引き入れてくれた。
もちろんサーニャが犯人だなんて言うつもりじゃない。ただちょっと、もう一度だけ……彼女の顔を見たかっただけだ。
「いいかサーニャ、ワタシが戻って来るまで絶対にここから動くんじゃないゾ。それからドアには鍵をかけてナ」
「どうしたのエイラ、急にそんな事……戻って来るまでって、私も一緒じゃだめなの……」
「心配するナちょっと忘れ物を取りに行くだけダ、もし無事に帰って来たらその時は……ううん何でもナイ……」
私はそう言い残しドアノブに手をかける。
「エイラ!必ず戻って来て!約束だよ!」
「うん、戻って来るサ!ワタシがサーニャとの約束を破った事なんてないダロ?」
「うん私信じてる……私エイラの事信じて待っているから!」
「約束……ダカンナ!」
私は振り返らずにドアを閉めた。
最後に見るサーニャの顔が泣き顔だなんてそんなの嫌だ、最後に見せる私の顔が泣き顔だなんてそんなの嫌だからだ。
ゴメンナ、サーニャ……
初めて約束、破る事になるんだ。
そしてゴメンナ、サーニャ……
また一つ嘘ついちゃったよ。
でもさ、これまでサーニャにも自分の気持ちにもたくさんの嘘ついて来たんだからさ。
一つくらい嘘が増えても、サーニャは許してくれるよな……
もう思い残す事はない、私は奴の部屋へと向う。
死神の正体、ペリーヌの部屋だ。
~ペリーヌの寝室~
「いるんだろペリーヌ」
私は扉を開き暗闇へと問い掛ける。部屋の明かりはなかった。
問い掛けの返事もない、私はベッドに向って闇の中を一歩づつ踏み進んだ。
何かが闇を切り裂く音が聞える、後ろだ。私は直ぐ様振り返る。
それは私の頬をかすめ、切り落とされた横髪は宙を舞った。これはレイピア、やはりペリーヌなのか。
そしてドアの影から何者かが現れた。
「イヤァーァァァこないで」
ペリーヌの声だ、間違いない。
窓から差し込んだ月明かりがその輪郭を露にしていく。
「なぜダ、なぜあんな事したンダ」
「イヤァーァァァ」
ペリーヌの返事はない、奇声と共にレイピアの剣先が私の心臓を狙う。このままじゃ殺られる。
流石はガリア流剣術の使い手、確実に私の急所を突いてくる。性格が剣に表れているな。
私が水月を開き隙を作ると予想通りの踏み込みが来た。そして私がダッキングでかわすとレイピアは壁へと突き刺さった。
私は思った……
★殺るなら今しかないんダナ。
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★これは悪夢に違いないんダナ。
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