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√14「破られた約束と守られた約束」


殺るなら今しかない。
私は短銃を引き抜くと銃口をペリーヌへと向けた。

……できない、できないよペリーヌ、そんな事。
ついさっきまでは風呂場で背中を流した仲じゃないか。憎たらしい奴だなんていつも言って、あれは全部嘘なんだ。
何か訳があっての事なんだろ?なぁ答えてくれよペリーヌ。

レイピアは無情にも私に向う。
私だって戦場では無情であらねばと知っていたはずなのに。一瞬の迷いか私の本質なのか、その行動が運命の末路へと導いていた。
おそらく次で終わりだ。ブスリと音をたてレイピアは突き刺さる。

……私は生きている。
レイピアは私じゃない‘何か’に突き刺さった。そしてその‘何か’が私の胸に倒れ込んで来た。
これは……‘何か’なんかじゃないサーニャだ、紛れもないサーニャのか細い肉体だ。
私の思考は止まった。

「キャァーァァァ!サーニャさんが血を、血を流して、わたくしが、わたくしが、なぜなの……」
「なぜっテ、それはおまえガ……殺人鬼だからダロォォォッッッ!」

引き金を引く、一発二発三発、銃装が空になっても引き続ける。
私の思考を再開させたのはペリーヌに対する怒りであり、ペリーヌが床へと崩れる音を聞いてようやく私は我にかえった。
なんでサーニャがここにいるんだ、なんでサーニャが倒れているんだ。

「サーニャなんで約束破って着いて来たりしたんダ!」
「ごめんね、でもこれでエイラは私の所に戻って来てくれた、約束……したでしょ」
「約束ッテ……」
「だってエイラには私との約束破って欲しく……なかったんだもん……」
「サーニャァァァーー!!!」

私の腕の中でサーニャはゆっくり目を閉じる。サーニャの温りがしだいに消えていくのがわかった、私はただサーニャを抱き締め温めた。

私は無力だ、何か他にサーニャを救う方法はないのか。もはや私は他人にすがるしかなった。神でも悪魔でも何でもいい誰か私の下に訪れてくれ。
そしてその者は訪れた。闇に真っ赤な一つ目が浮かび上がる。

「あなたは!サーニャが大変なン……ゥグゥ、なっナゼ……」

私の下に訪れたのは神でも悪魔でもなく死神だった。腕の曲刀が私の背中を切り裂く。
そして私は思い出す占いのビジョンを、あの傷はレイピアによる刺し傷じゃない切り傷だった。
そうなのか、そうだったのか、あんたが死神の正体だったんだな。

私はサーニャを覆うようにうなだれる。
サーニャの……サーニャの所へ帰らなきゃ……
約束だもんな……

エンディンクNo.01「破られた約束と守られた約束」
~END~


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