√19「パラレルワールド」
シャーリー大尉の推論をまとめると以下の通りだ。
・すべての原因は時空間の亀裂による事。
・出撃時の私の墜落が亀裂を生み出した原因であった事。
・亀裂の内部に私が飛び込めば亀裂は塞がれ、私も本来いた世界へと帰れる事。
解決策は示され私は一安心した。
そして私がパラレルワールドからやって来た人間だと確証すると、みんなの関心はあちらの自分に及んだ。
「あたしの事だからさ、超光速タキオンエンジンの一つや二つとっくに開発してるんだろ?」
「たぶんシテナイ」
「ねぇ~あっちのあたしはシャーリーみたくないすばでぃ?」
「ペッタンコ」
「私はちゃんと皆さんのお役に立ててますか?」
「十分過ぎるくらいニナ」
「じゃあ私は坂本さんみたいに強くなってます?」
「ナッテナイ」
「わたくしと坂本少佐は……あの……やっぱりこんな事聞けませんわ」
「ナッテナイ」
「そっ、それならエイラさん私と美……」
「ナッテナイ」
「当然向こうの私も妹達に囲まれて幸せに暮しているよな!」
「囲まれてないしサ……あっちの大尉はもっと凜々しクテ格好良かっタゾ」
「凜々しい!?そうか凜々しいお姉ちゃんもありだな、ありだ!可愛い妹がそう言うなら努力しよう」
「シナクテイイ!」
私はみんなからの質問の嵐を適当に受け流していた。
質問の内容から考えて元の世界とあまり変わらないみたいだな、バルクホルン大尉と……サーニャを除いては。
「ねぇエイラ……」
「サーニャ……」
「あっちの私達は……」
「ウン……恋人同士じゃナインダ、でも……サーニャはワタシにとって一番大切な人、それは同んなじナンダ」
「うん……私不安だったけど……それが聞けて本当に良かった」
私にとって一番大切な人。
今まで伝えたくてたらなかった一言が言えた。彼女の真剣な眼差しが私の心を軽くしてくれたんだ。
まさかこんな形になるとは思ってもなかったけど……これって告白しちゃった事になるのかな?
私は自分のやらかした事に気付いて話を反らした。
「アレ?そういえばハルトマンと坂本少佐は何も聞かなくてイイノカ?」
「なんかね~興味失せた~」
「さっき迄はあったノカ……?んで坂本少佐は何か聞かナイノカ??」
「どこの世界の私も私には変わらん、その位の自信は持ち合わせているからな。」
「流石坂本少佐ダナ……その通りダヨ」
「それよりこんな事をしている余裕などないのではないか?早く亀裂に向わねば」
そうだ亀裂は今も拡大している、もたもたしていれば私は元の世界へ帰れなくなってしまう。手を打つなら早い方が良い。
時空間の亀裂はネウロイと遭遇したポイントに存在する。
私達は……
★時空間の亀裂へと向ったんダナ。
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