√23「月下の告白」
「トマトジュースが好きなんダナ」
私は朝食時の大尉達の会話を思い出し、そう叫んだ。
「良い月夜をなエイラ」
「大尉も、よっ良い月夜ヲ……」
そう言い残すとバルクホルン大尉と宮藤は闇の中へ消えていった。
賭けだった、おそらくこれは彼女達の間にだけ通じる合い言葉なのだろう。
私の感が正しければもうすぐリーネも‘あっち’に行ってしまう。
もはや基地内に安全な場所などないと悟る。そして私はサーニャを展望台へと誘った。
~展望台~
「ほらサーニャ、月が綺麗ダゾ」
「う、うんそうだね……でも早……」
私はサーニャの言葉を遮って話を続ける。
「初めて会ったあの日もここに来たっけ、夜じゃなかったけどサ」
「うん!……そっ、それより早く逃げないと……」
「その必要はないヨ、サーニャも‘あっち’の住人なんダロ?」
「!!!……知ってたの!エイラ」
「なんとなくナ、大尉も宮藤もなぜかサーニャには質問しなかったからナ」
しばらく沈黙が続いた。
そしてサーニャは必死に声を搾りだし打ち明けてくれた。
「ごめんねエイラ今まで隠していて、実は私……バンパイアなの……」
私は驚かなかった、例えサーニャが何者であろうが覚悟は出来ていた。
それどころかなぜ日差しに弱いのか銀色の髪をしているのか、その理由に納得した。
そしてサーニャは語ってくれた、彼女の本当の生い立ちと今基地内で起きている事について。
ある夜サーニャはバルクホルン大尉達が淫らな事を催す様を偶然目撃してしまったらしい。
口封じのため彼女達はサーニャを襲ったが、サーニャはバンパイアの能力を使い逃れたという。
その能力とは相手を自らの下僕にし従属させる力だそうだ。
だが今夜は満月だ、サーニャの制御も効かず理性を失った下僕達が乙女の血を求め暴走し出したのだ。
そして下僕は新たな下僕を生み出し、もはや無事でいるのは私一人だけとなっていた。
ならば私が取るべき最良の方法は……
★サーニャのしもべになるんダナ。
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★サーニャをしもべにするんダナ。
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