恋
――――恋――――
恋は不思議だ。その人の事を想うだけで世界が変わった気にすらなる。
その人が隣にいるだけで優しい気持ちになれる。
私はその人のどこが好きなのだろう。
見た目? 性格? 声?
ううん、どれにも当てはまらない。
だって、好きなところは、多分その人のすべて。
分からないけど、恋っていうのは多分そんなものじゃないかな。
一旦好きになってしまうと、その人の周りだけが輝いて見える。
恋って多分そういうもの。
「リーネちゃーん、行くよー」
ほら、向こうであの人が私の名前を呼んでいる。
宮藤芳佳。
今はまだ、芳佳ちゃんにはこの気持ちは伝えられないけど、しばらくはこのままでいい、ううん、このままがいいのかもしれない。
いつか、いつか、私の想いを伝えられる日が来たら、怯まず、ちゃんと真っ正面から芳佳ちゃんに伝えよう。この気持ちを。
「うん、今行くねー」
私は芳佳ちゃんの声にきるだけの笑顔と声で答えた。
そして、心の中で呟いた。
「好きだよ、芳佳ちゃん」
終