いいえダッチワイフです。
『501TVショッピング』のタイトルロゴ。
ロゴが消えると、カメラはゆっくりとセット中央に立つ2人にズームしていく。
不敵な笑みを浮かべるゲルト。対してシャーリーはどこか浮かない表情。
「おいどうしたんだ、リベリアン。もう本番ははじまっているんだ」
「実はMy HoneyとケンカしてしまったんDA」
「それは大変だな……しかし今は本番中だぞ? いい加減切り替えろ」
「ついついストライカーの整備に夢中になって、My Honeyとのデートの約束に遅れてしまったのSA」
「人の話を聞け」
「それでMy Honeyはすっかりへそを曲げて、ここのところ夜はずっと1人ってわけSA」
「まだ話すつもりか、リベリアン。
――だかたしかに日々最前線で命をかける私たちウィッチには性欲処理は必要不可欠。
そんな貴様のような乙女にピッタリな商品を今回ご用意してやった!」
2人の前に“それ”が運ばれてくる。
不敵な笑みを浮かべるゲルト。対してシャーリーはとてもびっくりした様子。
「扶桑皇国海軍製の穴吹智子の1/1スケール扶桑人形、通称『トモコ44二式』だ!
抱き枕? いいえダッチワイフです。」
「穴吹智子って、あの“扶桑海の巴御前”で、夜は被撃墜王のあの穴吹智子KAI?」
「そう、その穴吹智子だ。もし万が一にも誰だよそれ?とか思ったヤツがいたら、
角川スニーカー文庫より発売しているヤマグチノボル著『いらん子中隊』を今すぐ読め!
現在3巻まで大好評発売中だ!」
不敵な笑みを浮かべるゲルト。対してシャーリーは『トモコ44二式』にすっかり興味津々。
「なんて精巧なつくりなんDA! 今にも動き出しそうじゃないKA!」
「そうだろう? しかもこの智子さん、凄いのは見た目だけじゃないんだ」
「どういうことなんDA、カールスラントの堅物?」
「リベリアン、智子さんの体のどこでもいいから、ちょっと触ってみてくれるか」
「じゃあ遠慮なく膣を……」
もぞもぞと智子さんの袴へと手を入れていくシャーリー。
「こ、これHA! 熱があるじゃないKA! まるで本物のあそこみたいDA!」
「しかもそれだけじゃない。今から巫女服を脱がせるから、おっぱいを――」
「触ってみればいいのKA? どれどれ、これは……やわらかい! とってもやわらかいYO!」
「おい、リベリアン。誰が触れと言った?」
「えっ!? 触るんじゃないのKAI?」
「やわらかさを確かめるには触るんじゃ不充分だ。ちゃんと歯で噛みしめてみないと」
「そ、そういうものなのKA……OK、やってみる!」
智子さんの乳房にかぶりつくシャーリー。
シャーリーは口からよだれを垂らしながら、智子さんのおっぱいをはぐはぐする。
1分を優に越えようと、一向にシャーリーのはぐはぐは止まらない。
いい加減進行に支障をきたすので、ゲルトはシャーリーを智子さんから無理矢理引き剥がすことに。
「どうだった? もうリベリオン産の牛肉なんて口に入れる気にもならないだろう」
「YES,that's right!」
「この智子さんが1体あれば、もう1人寂しい夜とはさよならってわけだ」
「それではここで、ご愛用者の声を紹介しよう」
扶桑皇国海軍 宮藤芳佳軍曹
「ウィッチーズのみんな、元気にしてますか?
もちろん私は元気です……と言いたいところですが、
離れ離れになったみんなのことを思うと、やっぱり寂しいです。
元気だけが取り柄なはずなのに、夜な夜な涙で枕を濡らしてしまいそうになります。
――でもそんな時、この智子さんが一緒に寝てくれるので、やっぱり大丈夫です!
私のよくするプレイは、おっぱいを揉むことと、おっぱいを吸うことです!
特にこの智子さんは、おっぱいを吸うとなんと母乳が出てくるんです!
これは凄いです!
それを少しずつためて、ケフィアにして食べたりもしてます!
そのおかげで風邪ひとつひかず、ばっちり健康です!
とにかく私は、自信を持ってこの智子さんをオススメできます。
でも欲を言えば、もっとおっぱいが大きい方が(ry
――そんなわけで、この智子さんがいるので私は平気です。
今日も明日も智子さんのおかげで、私は頑張れます」
自由ガリア空軍 ペリーヌ・クロステルマン中尉
「『トモコ44二式』ですか?
ええ、もちろん愛用してますわ。
だってこのお人形、わたくしの想い人に少し似てましてね。
もちろん、少佐のお美しさには到底敵いませんけれど。
え? どんな人かですって?
そうですわね、とても一言で語りつくせないんですけど、しいて言えば……
(50行ほど省略)
えっ? もういいですって?
そんな、まだ10分の1も話してませんのに。
ていうか全然一言じゃないだろ、ですって?
あなたから訊いておいて、なんなんですの、その態度は!
え? そんなことより訊きたいことがある?
まったく……まあいいわ。一体なにかしら?
えっ……よくするプレイ……ですか?
そ、そんなこと言えるわけないじゃないの!?
あ、いや、別にそんなアブノーマルなことをやっているというわけじゃなくて……
じゃあなにをしてるのか、ですって?
それは……1人寂しい夜に、ただちょっと、わたくしのお話を聞いてもらったり……
な、なんなのよ、その目は!
恋人どころか友達もいないんですか、ですって!?
ちゃんと友達はいます! でも、いくら友達でも、なかなか話せないことってあるでしょ?
そういう時に、たまに……本当にたまあに、お話を聞いてもらったり……
とにかく!
この『トモコ44二式』のおかげで、わたくしはガリア復興に尽力できる次第ですわ」
「どうだ、リベリアン。智子さんの魅力はしっかり伝わったか?」
「Ah、もちろ…………OH MY GOD!!!!」
「お、おい、どうしたんだ?」
「みんなにはずっと秘密にしてたけど、実はあたし、ロリコンなんDA!」
「いや、これを見ている人はみんな知っているが……それが一体どうかしたのか?」
「この扶桑人形の穴吹智子さんは、たしかに素晴らしい性能を持ってるんだけど、
あたしのストライクゾーン(13歳以下)からは著しく外れているんDA!
それはもう、もはやビーンボールと言ってもいいくらいSA!
だからこの智子さんは、あたしのおまんまんには全然反応しないんDA!」
「なんだそんなことか」
「そんなこと? 大問題じゃないKA!」
「私からも一つ言っておかなければならない。
みんなにはずっと秘密にしてたけど、実は私、シスコンなんだ!」
「いや、これを見ている人はみんな知っているSA」
「まあ智子さんは永遠の16歳だからまだ年下だと割り切れるけど、
私と同い年(18歳)なんてとても性的対象として見れるわけ……」
突然の銃声に、ゲルトの言いかけの言葉が遮られる。
呻き声をあげるゲルト。
被弾した腹部からはみるみる鮮血が服を赤く染めていく。
そしてとうとう、ゲルトは腹部を押さえたまま倒れこむ。
『しばらくお待ちください』という画面に切り替わる。
サーニャに膝枕されてうとうとするエイラの映像が数分間流れる。
画面が再び切り替わる。
苦痛に顔を歪めながらも、直立するゲルト。シャーリーはそれを心配そうに見つめる。
「性的嗜好は人それぞれ。すべて智子さん1体で賄えるわけではないよな」
「じゃあ一体どうしたらいいんDAI?」
どうやら番組はこのまま再開するらしい。
「そんな貴様にはこれだ!
情熱の国ロマーニャが生んだジュゼッピーナ・チュインニのダッチワイフ、
通称『ジュゼッピーナmark50』!」
「『ジュゼッピーナmark50』!?」
2人の前に『ジュゼッピーナmark50』が運ばれてくる。
已然、苦痛に顔を歪めたままのゲルト。対してシャーリーはなんだか嬉しそう。
「なんと今ならこのジュゼッピーナちゃんが『トモコ44二式』をお買い上げの方に洩れなくついてくるんだ」
「洩れなく!?」
「もちろん別売りはしない」
「してくれないかYO!?」
「だがこれならリベリアンのおまんまんにも反応するんじゃないか?」
「Ah、あたしのおまんまんにもばっちり反応するYO!」
説明しよう。
この見た目はロリなジュゼッピーナちゃん、実は智子さんと同い年(永遠の16歳)だったりするのだ。
ゲルトはそのことを知っていたが、シャーリーには秘密にしておいた。
「しかもこれ、それだけじゃないんだ!」
「まだなにかあるのKAI?」
「リベリアン、今からジュゼッピーナちゃんの服を脱がせるから、股の間を嗅いでくれるか?」
「イェッサー! くんくんくんくん……こ、これは! My Honeyと同じ、地中海のsmellがするじゃないKA!」
「そうだろうそうだろう。なんだか塩くさいだろう。
このジュゼッピーナちゃんは情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ、それらすべてを兼ね備えているってわけだ!」
「Wonderful! でも、まだなんか足りないような……」
「ふん、そう言うと思って、こんな機能もついているんだ!」
ゲルトはジュゼッピーナちゃんの首筋にあるボタンを押す。
すると、ジュゼッピーナちゃんの口が開き、舌が出てくる。
「こ、これはまさKA……!?」
「そう! このジュゼッピーナちゃん、なんとクンニまでしてくれるんだ!」
「OH! なんてこった!」
「しかも見てくれ、この動き! この速さ! なんと実に毎秒16回という速さだ!」
「そしてなによりも速さが足りている!」
「じゃあ実際に試してみよう。
リベリアン、ズボンを脱いだら股を開いて、テーブルの上に座ってくれ」
「いいのKAI? なんだかドキドキしてきたZE」
「さあ、スイッチを押すぞ!」
「Ah、どんとこい!」
『しばらくお待ちください』という画面に切り替わる。
料理中のリーネと、つまみ食いしようとするエーリカの映像が数十秒間流れる。
画面が再び切り替わる。
苦痛に顔を歪めるゲルト。対してシャーリーは恍惚とした表情。
「どうだ、リベリアン。満足してくれたか?」
「Ah、これはもう大満足SA! ……でもこれだけの品なら、値段も相当じゃないのKA?」
「そんなことはない! なんとお値段は5,010円!
分割は300回払いから受け付けている! ちなみに10ポンドは19.6円でごはん4000杯分だ!」」
「なんてお買い得なんDA!」
「それに、送料はもちろん、分割金利手数料は一切不要!
しかも送られてくる時は、ちゃんと透明なビニールに包装! 受取人の名前もでかでかと書いておく!」
「それはただの嫌がらせじゃないKA!」
「お申し込みは今からだ! 電話番号はフリーダイヤル501-501! くれぐれも本当にかけたりするんじゃないぞ!」
スタッフロールが流れ出す。
最後の最後でついに倒れるゲルト。
シャーリーはジュゼッピーナちゃんを持ってさっさと帰ってしまう。