第26手 キス・手に


「・・・ふむ(チラ)」
「あら、美緒が読書なんて珍しいわね」
「おいおい、私だって少しは本を読むさ」
「そう?本よりもカタナを持っているイメージが強いのかしらね。どうにも違和感を覚えるわ」
「まぁ確かに最近あまり読んでいなかったな・・・」
「くすくす・・・ところでどんな本を読んでいたの?」
「ああ、作法の本だ」
「作法?」
「そうだ。作法は国や地域によって全く異なっていたり、似通っていたりするからな。その様が面白くて。
それに挨拶一つでも間違えると嫌な顔をされるからな。趣味と実益を兼ねているんだ」
「ふぅん・・・そうだ、扶桑ではどんな挨拶の仕方があるのか、教えてもらえないかしら?」
「ああ構わない。ではそこに立っていてくれ」
「こう?」
「うむ(スッ)」
「え?どうしたの急に跪いたりして・・・」
「ご機嫌うるわしゅう、ミーナさま。この坂本美緒、貴女のために、この身を挺すことも厭いませぬ」
「え?え?」
「ミーナさま、お手を」
「手?・・・こう、かしら」

ちゅっ

「あっ、み、美緒・・・」
「この身が引き裂かれ、燃え尽きるまで・・・貴女をお守りいたします」
「・・・・・・」
「と、いうのが扶桑流の挨拶だな」
「もう!からかわないで!」
「む、お気に召しませんでしたかな、ミーナさま?」
「ばか・・・」
「(まぁこれをやりたいが為に作法の本を読んだフリをしてみたが・・・存外効果的のようだな)」
「ねえ美緒」
「なん――ミーナ!?泣いているのか!?何か嫌なことでも・・・」
「ううん、そうじゃないの。嘘でも嬉しくて・・・」
「ミーナ・・・」
「側にいて、守ってくれる?」
「・・・ああ、お前が嫌だと言っても離れるものか」
「ありがとう・・・愛してるわ」
「私もだ、ミーナ・・・愛してる」


『ストライクウィッチーズでシチュ題四十八手』応募作品

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