第27手 くっつく・背中に寄り添う


北欧スオムスの空の下、確かにキミの背中を自らの背に感じながら、共に星を眺める。
明かりなどそれこそ、降り注ぐ星の光だけで、感じる暖かさもキミの背中だけであった。

二人きりだね。どうして私についてきてくれたの?
問いたいことの代わりに、私は背中にのせる体重をちょっとだけ強める。
キミもそれに応えるように、かける体重を少しだけ強めたのが感じられて、思わず笑みが零れた。
ふふっ、はははっ、と面白いことなどないのに、なぜだか幸せが溢れ出して、二人の笑い声だけが響いた。

キミも同じ気持ちですか?
尋ねることはしないけれども、どうかそうであればいいなと思う。

天を仰ぐと、星の瞬きばかりが目に入りキミを強く感じるのだ。
あぁそうか。私にとってキミは星なのだ。
ふわりふわりと優しく微笑む姿は、なにかと言えば月の様に例えられることが常だけれども私にとっては違う。
キミは目映く輝いて、あまりにも眩しくて、私には直視できやしないお星様なのだ。
遠くから見るだけならば、月であろうが星であろうが目映いことには変わらない。
しかし、もしかしなくとも、隣にいる私が一番強く感じているのだ、キミは自分で輝いているよ。
だからほら、自信のなさそうな顔をしないで笑ってほしいんだ。
私だけの可愛らしいキミでいてほしい気持ちがないわけではないけどさ、やっぱり皆にも、誰にでも、キミを愛してほしいから。

私はそっと彼女の手に自らのそれを重ねる。
ほら、手を重ねればさ、怖いのも平気だってアイツも言っていただろう?
だからさ、いつだって手を重ねることぐらいならしてあげられるから、キミも一緒に勇気をだそうよ。
実は私も勇気をださなくてはいけないから、少しだけ、文字通りキミの手を借りたいんだ。
キミは新しい土地で新しい仲間と触れ合う勇気を、私はキミのその頑張りを見守れる勇気をださなくてはいけないから。

私たちの新しい門出に少し頼むよ…と胸の中で呟けば、使い魔の黒狐がめんどくさそうに翻る。

私は、また少しだけキミへかける体重を強めて、空を仰ぐように促した。

空に虹色の帳が揺らめく。
ほら、オーロラも祝福してくれているよ。
実のところ、その帳は私の使い魔が持っている力なのだけれど、そんな無粋なことは知らせなくてもいいさ。
お前には少し悪いけどごめんな。
私は黒狐の背中を撫でてやりながらキミとの未来を祈った。

Fin.


『ストライクウィッチーズでシチュ題四十八手』応募作品

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