第34手 手料理 ラブ・キッチン


玄関をくぐると台所の方から、とてもいい匂いがしてきた。
ペコペコのお腹が更にペコペコになって、グゥ~っていう大きな音がなる。
私は靴を脱いで、台所へと急ぐ。
「ただいま、リーネちゃん♪」
「あっ、おかえりなさい、芳佳ちゃん♪」
台所に駆け込むと、白いエプロンを付けたリーネちゃんが私の事を笑顔で迎えてくれた。
その笑顔に甘えて、私はリーネちゃんの胸に飛び込んで、顔を埋める。
「はぁ~、疲れたぁ」
「ふふ、いつもお疲れさま♪」
リーネちゃんは私の頭をゆっくりと撫でてくれた。
お母さんみたいな優しい手つきが凄く気持ちいい。
「お腹減ったなぁ・・・リーネちゃん、何作ってるの?」
「今日はね、サワラが安かったから、前に芳佳ちゃんが教えてくれた煮付けにしてるんだよ」
「わぁ~、美味しそう♪」
魚の煮付けは私の大好物。
難しい扶桑料理をキチンと覚えていてくれるなんて。
リーネちゃんは本当に優しいな。
「もう少しで出来るからちょっと待っててくれる?」
「うん!」
リーネちゃんの言葉に頷いてから、私は居間に腰を下ろした。
お茶を啜りながら、台所をテキパキと動き回るリーネちゃんの後ろ姿を眺める。
ぽんぽんと可愛らしくはずむおさげ。
チラチラと髪の毛の裾から覗く綺麗なうなじ。
ふわふわと揺れる白いエプロンの上からでも分かる小さなお尻。
無防備なリーネちゃんの後ろ姿はとっても可愛くて・・・そして、少しいやらしくて。
ちょっとだけイタズラしたくなってくる。
ムラムラした気持ちが我慢できなくなって、私は忍び足でリーネちゃんの後ろに回った。

「・・・リーネちゃん♪」
「きゃっ?!」
ぎゅっと抱きつくとリーネちゃんが小さく悲鳴をあげた。
まるで子猫みたいな反応に、もっと意地悪したくなってくる。
私はすっと胸に手を伸ばした。
「ふふふ。リーネちゃんの胸、フカフカだね♪」
「よ、芳佳ちゃん・・・」
恥ずかしそうにリーネちゃんが私の方を向く。
ちょっと潤んだ瞳に何だか胸が一杯になった。
「もぅ・・・今、ご飯作ってるんだからね?」
「うん、分かってるよ・・・でも、ご飯の前にリーネちゃんをつまみ食いしたいな♪」
「ひゃん!」
耳元に軽く息を吹きかけると、リーネちゃんが手に持っていた菜箸が床に落ちてコロコロと転がった。
そのままうなじを優しく舐め上げる。
「ひゃっ・・・やぁん・・・」
「リーネちゃん、カワイイ・・・」
顔が火照るのを感じながら、私はリーネちゃんを静かに押し倒した。
「私、もう我慢できないよ・・・いただきま~す」
「だ、ダメだよぉ・・・あっ、あぁんっ!・・・」

────────

「この煮付け、とっても味が染みてて美味しいね」
ボロボロに煮崩れたサワラの身を、私はご飯と一緒に口に運んだ。
煮汁が無くなるくらいまで煮込まれた塩辛い煮付けに、ご飯がよくすすむ。
「もぐもぐ・・・うん! ご飯と一緒に食べると本当に美味しいよ!」
明るく話し掛けてみるけど、リーネちゃんはムスっと拗ねたまま。
何も言わずに黙って、お味噌汁を啜っている。
「あはは、ちょっと、食べ過ぎちゃったかな・・・?」
「ふん、だ。お料理の邪魔する芳佳ちゃんなんて知らない!」
「ごめんなさい・・・」
う~ん、どうやって許してもらおうかな・・・でも、怒ったリーネちゃんもカワイイ。
なんて事を考えながら、私はリーネちゃんの手料理をしっかりと噛み締める。
味はイマイチだけれど、私は凄く幸せだった・・・。


『ストライクウィッチーズでシチュ題四十八手』応募作品

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