triangle


リーネの部屋はいつにも増して、賑やかだった。三人に増えた芳佳を預かっているのだ。
しかし、増殖した芳佳三人相手では、リーネは案の定保たなかった。
ベッドの脇にぐったりと寄りかかり、肩で荒く息を付くリーネ。
「よ、芳佳ちゃん……幾ら何でも……三人は、無理」
芳佳はリーネをそっと抱き、胸いっぱいに抱きしめた。
「リーネちゃん、もっと、しよう?」「リーネちゃん、大好き」「リーネちゃん、愛してるから」
三人の芳佳の腕が伸び、リーネの顔、胸、腰……、至る所触られ、くすぐられ、まさぐられ、リーネは甘い悲鳴を上げた。
その後まもなくリーネが気を失っても、芳佳はリーネを求め続けた。

糸が切れた人形で遊ぶ子供、いや息絶えた獲物を貪るケモノ宜しく、芳佳はリーネを更に求めた。
「リーネちゃん、目が綺麗」「リーネちゃん、胸おっきい」「リーネちゃんかわいいよリーネちゃん」
だらりと垂れた涎を舐め、リーネに口吻する芳佳。
ふくよかな胸を揉みしだく芳佳。
リーネの腰に手を回し、秘めたる部分を玩び、舐める芳佳。
「リーネちゃん」「大好き、リーネちゃん」「起きて、リーネちゃん」
リーネは身体中一斉に開始された「刺激」で目が覚める。
「……うっ、うわ、あっ……よ、よし、かちゃ……あんっ……ああああっ!」
芳佳に身体のあちこちを攻められ、がくがくと痙攣し、果てるリーネ。
「リーネちゃん。もっと」「起きてよ、リーネちゃん」「私、まだ気持ちよくなってないよ」
再び気を失ったリーネの身体を、なおも玩び続けた。

「こらあ宮藤! ここに居たのか。リーネを玩ぶな」
「あ、バルクホルンさん」「お姉ちゃん!」「どうしたんですか? バルクホルンさん」
三人の芳佳に見つめられ、どきりとするトゥルーデ。
「リーネが気を失ってるじゃないか。しかも半裸で。お前達は何を……」
「ねえ、お姉ちゃん」
「ん? なんだ宮藤。いや、芳佳だったな。どうした? お姉ちゃんに何でも言ってごらん?」
「お姉ちゃんの胸、綺麗」
「なっ!?」
「本当だ~」「凄いですねバルクホルンさん」
「ちょ、ちょっと待てお前ら! て言うか芳佳、人の部屋で何を……」
「お姉ちゃ~ん」「バルクホルンさん」「はわわ……この感触」
「うひゃあ! やめ、やめ……」
こうしてトゥルーデも芳佳の“三位一体の攻撃”によって撃墜された。

リーネの部屋を開けたのは美緒。
「リーネにバルクホルン、お前らどうした? それに何だ、そのはしたない格好は?」
「しょ、少佐……」
「ち、違うんだ、これは、芳佳が……」
「宮藤も、三人がかりとは何事だ。限度と言うものを知れ」
「でも~」「だって~」「そんな事言われても……」
「三者三様に言い訳をするな! 皆が困るだろう?」
「じゃあ、どうすれば良いんですか坂本さん?」「坂本さんなら分かりますよね?」「教えて下さい、坂本さん」
「う……段々なんか面倒になってきたな」
美緒ははたと思い付いた。そう言えば、この芳佳達、微妙に呼び方が違った筈。
「宮藤。私を姉だと思って呼んでみろ」
「お姉ちゃん!」「姉上」「お姉さま」
「よし、私は真ん中の宮藤を預かる」
「ええっ!?」
「そして『お姉ちゃん』と呼んだ宮藤はバルクホルン、お前が面倒を見ろ」
「りょ、了解」
「残りの宮藤はリーネ、お前が担当だ」
「は、はい」
「これで問題なし」
「これが例の『三方一両損』、ですか?」
「あれはもういい。ともかく、これでしっくり来る筈だ」
「何がどうしっくりなのか……」
「ともかく、宮藤が増えた事は一大事だ」
「そりゃそうだが」
「よって、我々が保護者兼監視者となり、宮藤の監視及び保護、そして観察を行う。何か異常が有ったらすぐに知らせろ。良いな」
「了解」
「了解しました」
「私、捕虜なんですか?」「私、リーネちゃんともっと……」「私もリーネちゃんが」
「命令だ! よし行くぞ」
「了解。着いて来い、芳佳」
「はい、お姉ちゃん……って、抱っこしてくれるんですか?」
「お姉ちゃんだから当たり前だろう。さあ」
「バルクホルン、自分の部屋に戻るのか」
「いや、まあ。姉妹でじっくりと……」
「じっくりと何をする気だ」
「でも少佐も、芳佳ちゃんをお姫様抱っこしてますよね?」
「ん?」
「有り難う御座います、姉上」
「うむ。構わん。行くか」
「ああ、芳佳ちゃんが一人に……」
「大丈夫、リーネちゃん」
残された芳佳がリーネの前に座った。
「私だけのリーネちゃん。だから……」
「よ、芳佳ちゃん……」

ふとリーネは目覚めた。あれから何度、芳佳と一緒にお互いを愛し合い、果てた事か。
身体が温かい。芳佳の身体の温かさだと、すぐに気付く。
リーネの胸に顔を埋めて、芳佳が幸せそうな顔をして寝ている。
「芳佳ちゃん」
「リーネちゃん」
声を掛けられて、芳佳も目覚めた。
「やっぱり、芳佳ちゃんは芳佳ちゃんだよね」
「勿論」
「良かった」
その時突然に部屋のドアが開いた。
「大変だ!」
「芳佳が居ない!」
トゥルーデが部屋に飛び込んで来た。一緒に入って来た美緒も、何故かリーネの部屋を捜している。
「どうしたんです?」
「急に居なくなったんだ。どうして……」
「じゃあ、残ってるのは目の前に居る芳佳ちゃん……だけ?」
「と言う事になるな」
「やっぱりリーネのところが良かったのか~」
いつの間にやって来たのか、シャーリーが呟いた。そして他の隊員達も、ぞろぞろとリーネの部屋に入ってきた。
「ちょ、ちょっと皆さん一体……」
「色々調べたんだけド、あれもしかしたら宮藤のドッペルゲンガーかも知れないゾ?」
エイラが言った。
「何ですか、それ?」
「宮藤の生き霊みたいなもんデ、もう一人の自分の姿を見たら死ぬって言ウ」
「ダメじゃん!」
「え! 宮藤死んでしまうのか?」
驚くシャーリーとトゥルーデ。
「そ、そんな!」
当の芳佳本人が一番驚いている。
「でも一人だけ残ってるって事は……何だったんでしょうね」
ミーナは首を捻った。

「まあ、とりあえずもう少しで夕食だから宜しく」
そう言い残し、ぞろぞろと部屋を出ていく一同。
「はあ……」
溜め息をつくリーネ。
「リーネちゃん?」
心配そうに顔を見る芳佳。
「ううん。やっぱり芳佳ちゃんは一人でいいよ」
ほっとした顔で言うリーネ。
「そんな事言わないで~」「リーネちゃん」
「えっ?」
辺りを見回すリーネ。誰も居ない。
「今の、芳佳ちゃん?」
「私じゃないよ?」「私だよ」「私も~」
ベッドの下から、ずるずると這い出て来た二人の芳佳。
「やっぱり三人居る!」
怯えて目の前の芳佳にしがみつくリーネ。
「何か、バルクホルンさん、違うんだよね。いいお姉ちゃんなんだけど」
「坂本さんも、確かに頼れる姉上って感じだけどちょっと……」
「どうしてベッドの下に! いつから!?」
「みんなが入ってくる前に隠れてたの」「リーネちゃん気を失ってる隙に」
「こ、怖い……」
「大丈夫だよ、リーネちゃん」「心配しないで、リーネちゃん」「大丈夫、私がついてるよ、リーネちゃん」
迫り来る芳佳を前に、リーネは悲鳴を上げた。
「いやあ!」

end


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