ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart7
- 1 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:06:41 ID:92rsJSna
- 守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!
●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏 キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット 助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭 メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三 美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター) カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣 撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀 音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎 音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)
●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里 坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵 リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵 フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美 エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以
●放送局
BS日テレ:07/28(月) 27:30〜
●関連サイト
公式サイト:http://s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:http://lilystrikewitches.web.fc2.com/
●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart6
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1222596182/
- 2 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:07:55 ID:92rsJSna
- Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?
A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。
ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
- 3 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:08:43 ID:92rsJSna
- ──リレーSSの手引き──
★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。
★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。
★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。
- 4 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:09:22 ID:92rsJSna
- こんなもんか。
放送は、まだBSで2話残ってるから残した。
- 5 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:13:10 ID:AEA0Ggje
- , ´ ̄ ̄ ` 、
/ ヽ
/ /|', / ヘ
i .:i ,' ./ ! ',. メ、 ハ
ハ | .i ./ ',イ ハ i | | >>1乙だナ
|ハ |/ \ ナ/|ノリ もう7スレ目か
:( ヽリ ● ● ハ ここのスレは基本的に仲が良いから
| ヘー、 xx ' xx }ノ 荒れなくて安心ダ
| | |i>ト △ _ノ
| | /`ー`ヽ{<ヽ
- 6 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:40:14 ID:EmiKSrtn
- お、リレーSSのテンプレがある
- 7 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 00:45:45 ID:Jzm7UgjF
- 乙。
今スレも、全ての百合カップルが幸せでありますように。
- 8 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:17:07 ID:E4ZmSZRM
- 乙であります
- 9 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:22:31 ID:h5U/Id0P
- 700台で容量オーバーが基本になってきたな
なんというスレ
- 10 名前:エーリカ→ゲルト→ミーナ なんか爛れてる百合:2008/10/11(土) 01:29:05 ID:cAQ70Z9d
- 神様お願い、私にピストルをくれよ。胸の中のうっとおしい青をぶち抜くから。
わかってるんだ、トゥルーデがミーナのことが好きなのも私がトゥルーデを振り向かせるのができないことも。
それでも、それでも私はトゥルーデが好きなんだ。どうしてもこの気持ちが変えられない。
普段皆に見せているような私がほんとの私だったらどれだけ楽か。ねえ、せめてこの気持ちに気付いてよ、いくらトゥルーデは鈍感だからってさ。
何時からだったっけかな?トゥルーデと話す事がが減ったのは……ああそうだ、ミヤフジが着てからだ。ミーナとミヤフジ、この二人に嫉妬できればどれだけ楽か。
でもできないんだ。ミーナは私が入隊してからずっとお世話になってるしミヤフジは努力家で皆と仲良くできて料理も上手で。
嫉妬なんてしようものならそれこそトゥルーデに嫌われる。そもそも嫉妬できればどれだけ楽かなんて考えてる時点でもう私はトゥルーデと結ばれることは無いのかな?
「トゥルーデのその芋いただきっ!」
「あ!こらハルトマン!その大きい芋は私のものだぞ!」
「へっへぇ〜ん。電撃戦だよぉ~ってねぇ」
何時からだろうな、トゥルーデと話すことがつらくなったのは。少し前はいつも楽しみだったのに。トゥルーデがミーナが好きって知る前までかな?
じゃあ大分たってるや。最近はよくぼうっとしちゃうな、はは……
「なあ、エーリカ…最近様子がおかしいぞ?」
トゥルーデやめてよ…エーリカだなんて呼ばないで。勤務中はハルトマンって呼ぶって言ってたじゃん。ミーナとおんなじ様な扱いをするのはやめて。あきらめきれなくなるから…
「なんでもないよ、それよりトゥルーデこそ最近ミヤフジばっかり見てるじゃん。トゥルーデこそ戦闘中もミヤフジばかり見ちゃって撃墜されるかもよ?」
「な!?そ、そんなことは無いぞ!宮藤は確かに目で追ってしまうことはあるがそれは宮藤がちょっとだけクリスににているからでな!そもそも宮藤なんかよりクリスのほうが…」
「へぇ〜…ミヤフジに言っちゃおうかな?」
「ばっ!やめろ!そんなこと言ったら…その、部隊の指揮にかかわるし…ミーナに怒られるだろう…」
少し照れた様子で最後の言葉を呟き顔を赤くするトゥルーデ。やっぱりトゥルーデはミーナのことが好きなんだね。
「ははっ!考えとくよぉ」
- 11 名前:エーリカ→ゲルト→ミーナ なんか爛れてる百合:2008/10/11(土) 01:29:48 ID:cAQ70Z9d
- ひらひらと手を振りトゥルーデと別かれる。よかった、声が震えなかった。なんで泣いてるんだろうね私。
自分の部屋に着くと目にたまっていた涙が一気に溢れ出した。滝みたいな勢いだな。悲しみのフラウ滝ってか?はは、くだらないなぁ…
いっそこの基地から逃げてしまおうか?そしたらトゥルーデのことも忘れることができるかも。でも、こんなに苦しくてもトゥルーデのそばに居たいんだ。
なんでだろうね?馬鹿みたいだ。叶うはず無いって分かってるのに。
不意に私の部屋の扉があいた。
「エーリカ、ここに居たのか、もうすぐ訓練が始まるから準備しておけよ。大体お前はいつも時間にルーズすぎ」
ねえ、トゥルーデ。お願い、私に近づかないで
「出て行ってよ」
「え…」
「出ていけよ!バカッ!グス…」
「どうしたんだ?」
「もうほっといてよ!」
これ以上近づかれたら私もうだめなんだ。もう、抑え切れないんだ。
「私は…トゥルーデが好きなの!」
「そうか…だがすまない私には心にきめた
「そんなのしってるよ!ミーナのことが好きなんでしょ!?だから!だから…もう近づかないでよ…」
「……すまない」
申し訳なさそうにトゥルーデが謝る。ちがう、ちがうんだ、全部私が悪い。勝手に好きになって、トゥルーデに好きな人がいるって分かっても、あきらめないで
そりゃそうだ、私みたいなワガママな女にトゥルーデが振り向いてくれるはず無かったんだ。
いつも心で反復してる言葉が涙と一緒にあふれ出す。もうたまんないよ……
「エーリカ」
「何?」
「私はエーリカが言った様にミーナが好きだ。心から愛している。だからいまエーリカだけを見るというのはどうしてもできない。
だが、お前が望むならキス…まではできないが、何かお前に付き合おう。そう…たとえば買い物とか、デート…とか」
「そう、じゃあ少し出てってよ。一番好きな人にこんな私見せたくないよ…」
「すまない」
私が悪いのにトゥルーデが謝ってばっかりじゃん。本当は私が謝らないといけないのに。ごめんね、トゥルーデ。
今日は、気持ちが少し落ち着くまで泣いてみようか。そういやみんなの前で泣いたことなんてなかったな。
- 12 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:31:16 ID:cAQ70Z9d
- あ、メモ帳にまとめてたやつ消しちゃった…
ゲルト編は今度また投下させていただきますorz
- 13 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:35:04 ID:uVfrdQa1
- 長澤まさみ ハダカになって見えた意外と小ぶりなおっぱい!
http://photo.hgazo.info/upload-file-ida101111.jpg
http://photo.hgazo.info/upload-file-ida101112.jpg
http://photo.hgazo.info/upload-file-ida101113.jpg
- 14 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:41:41 ID:EmiKSrtn
- なんという悲劇・・・落ち込むナ!
次はもっと良くなると思えば
- 15 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 01:51:48 ID:Z9z4BWoZ
- >>12
「好事魔多し」とも言うしな。
アクシデントなんてものともせず、続きを書いてくれ!
ゲルト編が投下される時を待ってる!
- 16 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 08:06:20 ID:E4ZmSZRM
- エンディング集
オープニングの時に入ってのと多少変えてきたし、音も前より酷くない
- 17 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 09:19:18 ID:y6ueZknS
- 4巻のジャケ見て不思議に思ったんだが、エイラとサーニャは身長差が8センチ(エイラ160センチ、サーニャ152センチ)
あるはずなんだが、ほとんど変わってない
シャッキーニほどではないにしろ、普通8センチってかなり差があるはずなんだが
- 18 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 09:51:03 ID:VR2QG8M4
- 空に浮いた状態だからかと
もしくは数年後、ゴールインした時かとw
- 19 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 10:00:03 ID:DA0mzEfA
- エイラの妄想だから
- 20 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 10:02:16 ID:+RMqHAG2
- 足見えきってないからなんとかなるよ
- 21 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 13:05:26 ID:JFl4Bx3t
- 飛行中なんでしょ。
耳出てるし
- 22 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 13:11:01 ID:JUN18K1A
- しかしストライカーユニットを履いてるようには見えない。きっと踏み台使ってるんだよ。
- 23 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 14:38:54 ID:2ddTMUzR
- やべw踏み台とか萌えるわ
- 24 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 15:49:05 ID:Ev6tJmHs
- エイラーニャってびっくりするぐらい(某ハスキーのように)綺麗すぎる百合だよな
まるで妖精のように美しい北国美少女同士というのもあるのだろうが
- 25 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 15:50:56 ID:ODTaKbrT
- 百合に問わずここまで皆から温かく見守られてるキャラって俺初めて見たよ
- 26 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:02:39 ID:cIRGq8oy
- 二人とも相思相愛だよな>>エイラーニャ
エイラはヘタレだけど、サーニャの事になるとやれば出来る子になるし、
サーニャは寂しがりやだから、そんなエイラが大好きだし。
つまりは、もう早く結婚しろよってことだな。
- 27 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:08:54 ID:y6PrQeTk
- 実はもう結婚してるんじゃね?
- 28 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:11:43 ID:UYk2zzSY
- 昨日結婚したよ
- 29 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:25:20 ID:wcn4kIjd
- 結婚式に呼ばれたけど、何か質問ある?
- 30 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:26:44 ID:MmC7MSF/
- 残念それは股間督の誕生会だ!!
- 31 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:38:58 ID:E4ZmSZRM
- バロスw
- 32 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 16:43:02 ID:vbykI7l3
- >>1乙
なんだかスランプ気味だな〜
- 33 名前:21X2w2Ib エイラーニャ 1/4:2008/10/11(土) 18:00:33 ID:qFG9K4S9
- 21X2w2Ibです。保管庫0220、前スレ213-215のサーニャ視点というか、続きがが出来ましたので投下します。
───
目を覚ますと、基地に帰り着いた頃はまだ白んでいるくらいだった空がすっかり明らんでいて、太陽を真ん中にして青色のペンキで
満たされていた。
体を起こしてひとつ、大きなあくび。伸びをしようと腕を上げたら、その手が何かに当たる。…エイラだ。
と、言うことはここはエイラの部屋で、私が寝ているのはエイラのベッドと言う事になる。だって私の記憶の限りではエイラは部屋を
間違えて人のベッドに潜り込むようなへまをする人ではない。それが過失であるにしろ、故意であるにしろ。
良く見ると私の体にはしっかりと毛布がかかっていて、エイラはその端っこで体を丸めているのだった。足元を見ると、見事なまでに
綺麗に畳まれたエイラと私の衣服。…私が自身でそれをした記憶は…ない。
はああ、とため息をつく。どうしてこの人は、本当に、なんと言えばいいのか。仕方なしにただ、自分に掛けられていた毛布を本来の
持ち主である彼女に掛けなおした。
ベッドに座り込んだまま、私はぼんやりと傍らのエイラを眺めている。
腕の中にはぬいぐるみ。それは前にエイラと一緒に街に出掛けたとき私が目を奪われていたもので、確かエイラにはその事を告げて
いなかったはずだったのに。
でもエイラはきっときちんと見てくれていたし、覚えていてくれた。いつだってそうだ。エイラは私が何も言わなくたって勝手にそうして
気を回して、いつのまにか動いてくれている。
(誕生日オメデトウ)
次第に鮮明になってゆく、寝る直前の記憶。最後に掛けられた言葉。
ムードも何もなく手渡されたプレゼントをぎゅうと抱きしめて、私はそのときの自分の言動の幼さに一人顔を火照らせる。
わかっているのに。エイラが何の意味もなしに私に隠し事をするはずない、って。根拠なんてないけど、とにかくエイラはそう言う人だ。
けど、でも、だって。私はエイラのようにみんなと上手く話すことなんて出来ない、から。
理由なんて分かってる。わがままだって知っている。
けど、でも、だって。心の中で、繰り返す。傍らですやすやと眠っているエイラに、きっとこの気持ちは分からない。
羨ましいくらい自然に、みんなの輪の中に入っていけるエイラには。
もちろんエイラを責める気持ちはない。エイラは何も悪くない。けど、でも、ただ、ただ、思うのだ。
「…おいてけぼりは、さみしいよ。」
だからどうか、私の傍からいなくならないで下さい。
一人ぼっちにしないでください。
エイラが起きないように、小さい声で呟いた。反応なんてもとより求めていない。そんなもの実際目にしなくたってもう分かる。きっととても
悲しそうな顔をして「ごめん」と呟いて、手を私の方に伸ばしかけて、きっと止める。そしてまた、謝罪の言葉を重ねるのに違いない。私の
真意なんて拾わないまま、すべて自分が悪 いんだと、自分の不用意な言動が私を傷つけたにのに違いないと、勝手に思い込んで。
優しい優しいエイラはいつも悠々としているくせに時々不意に臆病になる。自惚れてもいいのなら、私に関する事なら殊更だ。…たぶん、
それは、私の性格や生活リズムがどうしてもチームの他のみんなと比べると浮きやすいものだから、と言うのが多分に含まれているの
だろうけど。
ねえ、エイラ。
あなたが私と一緒にいてくれるのは同情ですか?私をひとりぼっちにしたくないから?私が可哀想だから?
でも、でもね、エイラ。
私は違うよ。私は、あなたが一緒にいてくれるから甘えるんじゃない。傍にいるんじゃない。
ただ、ただ、わたしは、あなたが。
- 34 名前:21X2w2Ib エイラーニャ 2/4:2008/10/11(土) 18:01:29 ID:qFG9K4S9
-
胸に募るこの想いを言葉にするには、私はまだまだ臆病すぎた。実際に目と目を合わせているときよりも、こうして一方的にエイラを
眺めているときのほうがなんだか気恥ずかしいのはどうしてだろう?伝えたいけれど伝えきれない想いばかりが募って、募って、行き場を
なくしてさまよって。
だからいつもどうしようもなくなって体を寄せる。たとえこの世界が暗闇に沈んだとしても、この傍らの温もりだけは絶対だ。目に
見えなくても掴み取れる、大切な私のよすがだ。
広い、広い、オラーシャのどこかで私の無事を祈ってくれている大切な人の存在を、私は昨日の晩に泣きたいくらいに味わった。けれど、
今、一番安心できる温もりはここにある。人の形をして、エイラ・イルマタル・ユーティライネンと言う名前を持って、私の傍に
いてくれている。そのことがどれだけ私を支えてくれているか、たぶんエイラは知らない。
けど。
…ここのところ、そのエイラの様子が何だかおかしかった。やけににこにこしているかと思えば不意に顔をしかめて。私が眠気にぼんやり
している横で大きな溜め息をついていることもあったっけ。
どうしたの?
悩みでもあるの?
私だったら何でも聞くよ?
そう話し掛けようとして、いくじなしの私は直前でいつもためらってしまって。
そうこうしているうちにエイラは別の人のところに行ってしまうのだった。私の分からない、何かの相談を他のみんなとしている時のエイラは
ここのところの挙動不信さとは打って変わったように幸せそうな顔で。私はますます自分に自信を無くしてしまった。
エイラは私と一緒にいるよりも、私なんかの世話を焼くよりも、みんなと一緒にいたほうが幸せなのではないか。そう思っては、けれども
この温もりを手放したくない自分に戸惑って。
その気持ちを紛らわすように夜間哨戒に出かけて、そして「あの」ネウロイと出会った。
今にして思えば私は焦っていたのだろう。私一人で敵う相手では無いと分かっていたのに、一昨日の夜、無理をして締まったのはそのせいだ。
ただ、ひたすら認めて貰いたかった。誰?そんなの決まってる。エイラにだ。そしてたぶん、褒めて欲しかった。
結果的に私はネウロイを討ち漏らしてしまった。…けれどそのおかげでエイラと一緒の時間を過ごすことができたのが嬉しかったのはあまりにも
不謹慎だから絶対に言うことは出来ない。
けれどその合間合間にも、やっぱりエイラはリネットさんやシャーロットさんと言った人達と親しげに話していて。
意を決して尋ねたら、目を逸らしてはぐらかされた。何でもないとごまかされて…私は、それが、とてもとても悲しかったのだ、たぶん。
こんな気持ち他の誰かに対して抱いたことがないから何て呼べばいいのか分からないけれど、とても悔しい気持ちでいっぱいだった。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
心の中で繰り返す。何の謝罪のためだろう。いままでのこと?これからのこと?…たぶんどちらでもあるんだろう。
だってそれでだって私はこの温もりから離れることが出来ない。エイラが私を見捨てたいと思っていたって、私はエイラの心の片隅にある
ほんの小さな、私に対する同情心にさえすがっていたいと思うから。
こんこん。不意に扉がノックされる。私がはい、と答える前にエイラが飛び起きて、答えた。
「リーネ?」
はい、と答える声。ああ、また奪われてしまう。そんな恐怖に駆られて私は黙って倒れこんでエイラに抱き付く。うわっ、と声を上げたけれど、
エイラはそれ以上何も言わずに私の頭を撫でてくれた。
どうしたんですか、と尋ねるリネットさんの言葉になんでもないと慌てるエイラ。お腹の辺りに鼻を擦り寄せると「やめてくれよ」と懇願される。
でもやめない。私と一緒にいるのに、リーネさんの来訪にそんな嬉しそうな顔をするエイラが悪い。いつもはそんな顔しないくせに、今日は
どうしたの?やっぱり教えてくれないの?
「あのぅ、準備が出来ました。サーニャちゃんを起こしますか?」
「そ、そっか、いや、うん、大丈夫ダ!サーニャは私が起こすから、リーネは宮藤を起こしに行ってクレ。」
「はーい」
パタパタと音がするのはリネットさんが走り去って行ったからだろう。それを確認してから、エイラは呟いた。
- 35 名前:21X2w2Ib エイラーニャ 3/4:2008/10/11(土) 18:02:28 ID:qFG9K4S9
-
「サーニャ、くすぐったい」
「…」
私は、何も答えないことにする。代わりにぎゅうと抱きしめて、その気持ちを伝える。
「……やっぱり、怒ってル?」
「…怒ってるって、言ったら…どうするの?」
顔を上げて質問に質問で返したら、その先のエイラはやけに真剣な顔をしていた。まるでネウロイと戦っているときのような、凛々しい顔。
優しい顔のエイラが好きだ。けれどこんな顔もすごく好きだ。どちらかなんて選べないし、選ぼうとも思わない。だってどちらも私の大好きな、
大切な、エイラだもの。
「謝ル。サーニャが、許してくれるマデ。」
そんな事言ってもどうせ、どうして私が怒っているかなんて分かってくれてないくせに。
それなのにどこまでもこの人は真摯だ。だってエイラと来たら『自分がサーニャに愛想を尽かすなんてありえない』と言った前提で
そんなことを言っているのだ。たとえ自分に全く非がなくたってエイラは私が怒っているなら本当に何度でも謝るだろう。根拠なんて
もはや必要ない。エイラはそう言う人だ。他の人が何と言っても、私はそんな風に思っているのだ。
行こう。みんなが待ってる。
まるで幼い子供をあやしつけるかのような優しい口調で、エイラが言った。いや。はっきり口にすると困ったように眉を寄せるエイラ。
だってそうしたらどうせまた、あなたは私を放って置いてしまうんでしょう?それならずっとここにいる。離さない。
背中に回した腕を強くしてそう主張した。エイラがそこまで汲み取ってくれたかどうかは知らないけれど。
「サーニャがいなくちゃ何も始まらないンダ。」
「…なにが?」
「行けば分かル!!…だから着替えて、行こう?」
私あっち向いてるから。足元の私の服を手渡して自分のものも取り上げると、エイラは反対側を向いてしまった。回していた腕は自然に
振り解かれて、私は綺麗に折りたたまれた自分の衣服を抱きしめる。背後からするすると、衣擦れの音。エイラは着替え始めたらしい。
私も観念して、ようやっとずっと腕の中にあったぬいぐるみを置いてシャツに腕を通した。
…
食堂からはざわざわと、忙しない音が聞こえている。カチャカチャ、ガヤガヤ、ドンドン、ピューピュー。何が何だか分からずに私は
宮藤さんと目をぱちくりさせるばかり。
「あの、エイラさん、リーネちゃん」
「キニスンナ。大丈夫ダヨ。……多分、だケド」
一体これから何が起こるのかと、不安そうな顔をしている宮藤さんを見てエイラが肩をすくめて曖昧に笑った。ちょっとだけまた、
寂しい気持ちが湧いたけれど、私の肩の上にちゃんとあるエイラの両手の温もりを感じられたから、顔には出さないことにする。
「おーい、主役を連れてきたゾー!!」
エイラが中へと呼びかけると、「おー」と言うどよめき。行こうか。その言葉とともに後押しされて、宮藤さんはリネットさんに手を引かれて、
食堂へ、一歩足を踏み入れた、瞬間。
パーン!!
何かがはじける大きな音が、後ろから、前から。舞い散る紙吹雪と、「せーの、」と言う言葉の直後。
「「「「「「「誕生日、おめでとう!!!」」」」」」」
私たちの誕生を祝う言葉が、食堂中に響き渡った。驚きに目をぱちぱちさせて、すぐに後ろを見やるとこれ以上ないくらいに幸せそうな
顔をしてクラッカーを握り締めているエイラがいる。いたずらを成功させた子供のようにいたずらっぽい、けれども本当の本当に
嬉しそうな、その顔。
差し出されたケーキには『HAPPY BIRTHDAY』の文字。クリームの甘い香りがいっぱいに広がる。
「オメデトウ、サーニャ」
もう一度エイラが、耳元でささやいた。
- 36 名前:21X2w2Ib エイラーニャ 4/4:2008/10/11(土) 18:04:18 ID:qFG9K4S9
-
直後に突然バン、と後ろから軽い衝撃。いつの間にかエイラの後ろに回りこんでいたシャーロットさんがエイラの背中をたたいたらしい。
「エイラを褒めてやってくれよ?誕生会をしたいって、提案してきたのエイラなんだからさ」
「あー!言うなって言ったじゃないカヨ!!シャーリー!!」
「あはははは、こう言うときは面白い方を優先するもんだろ〜」
涙目でシャーロットさんを見上げて叫ぶエイラの耳は真っ赤で私と目が合うと、その瞬間に勢いよく逸らしてしまう。
「ケーキはリーネが作ったんだよ!!」
「へえ……美味しそう!!すごいね、リーネちゃん!」
「そ、そうかな?それほどでもないよお…」
その脇ではルッキーニちゃんと宮藤さん、リネットさんがそんな会話をしていて、そこで私はようやっと、エイラの最近の行動の意味を知った。
加えて、自分の事ばかりでその気遣いに全く気がつかなかった自分が本当に恥ずかしくなる。
エイラは私に対して意味のない行動をするような人ではない。そんなこと、私が一番良く分かっていたはずなのに。
ペリーヌさんは一人、そっぽを向いている。その指に絆創膏の跡が見えるのはきっと気のせいじゃない、と思う。
ハルトマン中尉は早くもテーブルの上の他のお菓子に手を出して、バルクホルン大尉にはたかれていた。その大尉はと言うと、
カメラを構えて先ほどから何度もフラッシュをたいている。
「おーい、みんなで写真撮るぞー」
以前よりもずっと柔らかい顔になったバルクホルン大尉がみんなに呼びかけた。私と宮藤さんを中心にして、みんなが集まってくる。
「お前も主役だ、主役!」
「な、なんでダヨ!」
「つべこべ言わずに真ん中行けぇ〜」
シャーロットさんとルッキーニちゃんに押されてエイラが私と宮藤さんの間にやってくる。最初は心許ない顔をしていたエイラに笑いかけると、
エイラも安心したように微笑んで、私と宮藤さんの肩に手を置いた。
「サーニャ、ミヤフジ、誕生日オメデトウ!」
そのときのエイラの幸せそうな顔を、きっと私は一生忘れない。…写真にだって残っているんだから、忘れるはずがない。
瞳に熱いものがこみ上げてくる。誰に何を言ったらいいのか分からなくて、私はなぜか、この世界のどこかにいる家族に呼びかけていた
お父様、お母様。サーニャはここにいます。幸せです。
ありがとう、ありがとう。
いつも私の事、考えてくれていて。
一番お礼を言わなくちゃいけない人は、分かってる。エイラだ。今私のすぐ隣で誰よりも幸せそうに微笑んでいる人だ。
今夜も一緒に、寝かせてもらえないかな。そうしたら今度は黙りこくったりしないで、私の言葉の限りを尽くしてこの感謝の気持ちを伝えよう。
そう思いながら私はエイラに体を寄せた。
───
以上です。どうやら自分はエイラに隠れべたぼれなサーニャがとても好きなようです。
題は「Happy Birtyday!!(サーニャ視点)」でもいいのですが何か他に良いのがありましたら考えていただけるととても嬉しいです。
- 37 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 18:06:05 ID:qFG9K4S9
- 言い忘れてた!>>1乙!
- 38 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 18:40:08 ID:VkEy8FDv
- 乙ラーニャ
サーニャは口は少ないけど結構内に秘めたものが強そうだ。感性豊かそうだし
- 39 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 18:42:50 ID:JUN18K1A
- べたぼれサーニャの破壊力すさまじいなwGJ!
- 40 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 18:45:40 ID:AEA0Ggje
- 21X2w2Ibさんキター
昨日に引き続きGJ!
下手惚れサーニャ良いよね
- 41 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 20:13:51 ID:iMwmZfm/
- やばい、ニヤニヤが止まらないw。
>>お父様、お母様。サーニャはここにいます。幸せです。
これを見てふと思ったんだけど、サーニャの両親とエイラが会ったらどんな挨拶をするんだろうか?
緊張でエイラはどもりそうな気がするけどw。
- 42 名前:滝川浜田 『catch hold of…?』:2008/10/11(土) 20:14:05 ID:hKw8vSGV
- 前スレ>>689の続き投下します。
――あたしの近くでシャーリーがなにやら指であたしを枠取っている。
そのシャーリーの顔は凄いニヤニヤしている。
きっと何か良い事があったのだろう。
シャーリーが笑う顔を見ると、なんだかあたしまで嬉しくなってくるよ。
あたしはそんなシャーリーを最近、意識してきている。
自分でも分かるほど、あたしはシャーリーに頭の中を埋め尽くされていた。
そしてそのシャーリーがあたしの事を好きだと言う事はなんとなく分かっていた。
理由はシャーリーのあたしを見る目と、他のみんなを見る目が明らかに違っていたから。
なんというか、目に熱がこもっているというか。
…でも、あたしからは告白しないよ。
あたしはシャーリーからの告白を待ってるから。
――catch hold of…?――
「あ、ルッキーニさん」
「ウニャ?なにーミーナ中佐」
「これ、この前みんなで撮った写真。
出来上がったから、宮藤さんがみんなに配ってくださいって」
「おおー、ありがとうミーナ中佐」
写真一枚でも、みんなの個性がそれぞれ出ていて面白い。
アハハ、エイラったらサーニャが隣にいるからって、ガチガチに固まり過ぎ。
んで、あたし達は、というと。
シャーリーが後ろからあたしを抱きしめている。
…そうだ、この頃からだ。シャーリーがあたしを意識してるって気付いたのは。
だってシャーリーってば心臓の音がバクンバクン言ってたもん。
普通の友達なら、あんな胸の鼓動は鳴らない。
その時、あたしは分かったんだ。
ああ、シャーリー、あたしの事好きなんだ…って…
- 43 名前:滝川浜田 『catch hold of…?』:2008/10/11(土) 20:16:24 ID:hKw8vSGV
- 「どうしたの?ルッキーニさん」
「ニャッ!?
あっ、いや、なんでもな〜い!ニャハハ」
ミーナ中佐の言葉であたしは現実の世界に戻ってきた。
ミーナ中佐はそんなあたしの顔色を察した様で。
「ウフフ、シャーリーさんの事考えていたのかしら?」
「ウニャッ…!?ちっ、違うもーん!」
あたしはその場から走り去った。
ミーナ中佐には隠し事は出来ないなあ…。ウニャ〜…
《シャーリーの部屋
あたしは写真を見せたくてシャーリーの部屋に行った。
「シャーリー!いないのー?」
鍵が開いてる。もう、あたし達しかいないからって不用心だなあ。
「おじゃましま〜す」
やっぱり誰もいない。
シャーリーの部屋にはいつもおじゃましてるけど、誰もいないと、なんだかドキドキする。
「なーんだ、誰もいないのか」
…よし、この際だから、シャーリーの部屋を探索しよう!
ガサゴソ
うわ、なにこの本『あなたも出来る!簡単に掌握術』って…。
誰に対して使うのかな…
おおっ、あたしの写真がいっぱい出て来た…!
…っていうかコレいつ撮ったんだろ…
「アハハ、シャーリーの部屋ってワケ分かんないのがいっぱ〜い♪」
あたしはシャーリーのベッドに寝転んだ。
普段あたしは部屋のベッドで寝る事なんてほとんど無いからちょっと新鮮かも。
窓から差し込んで来る陽の日差しが心地いい。
…毎晩シャーリーはここで寝てるんだよね…。
- 44 名前:滝川浜田 『catch hold of…?』:2008/10/11(土) 20:20:04 ID:hKw8vSGV
- 「シャーリー…」
…シャーリーの匂いがする…
そう思うだけで、身体が熱くなってくる。
「シャーリー…シャーリー…んんっ…」
あたしはズボンを脱いで、秘所に指を伸ばす。
あんまりこういう事はした事無いけど、なんでだろう、シャーリーの事を想うと、なんだかえっちな気分になるんだ…。
「シャーリィ…!好き…好き…っ…!」
指が止まらない。シャーリーがあたしの頭の中を掻き乱す。
「シャーリィ…ッ…はやくっ…好きって…言ってよぉ…っ…!!」
指の動きがますます速くなる。
「シャーリィ…ッ…はやくっ…好きって…言ってよぉ…っ…!!」
指の動きがますます速くなる。
「シャーリィ…!好きっ…!!…シャァッ…ッ…リィ…ッ…ううっ…!」
そしていつしかあたしの視界は、真っ白になる。
あたしはシャーリーのベッドの上でグッタリ果てる。
「はぁ…はぁ…シャーリィ…」
シャーリーのベッドの上でひとりえっちした事の罪悪感と、気持ちよさが頭の中をグルグルして、今は何も考えられない。
と、そんなワケにも行かないみたいで、シャーリーのベッドのシーツは、あたしの愛液で濡れている。
これがシャーリーにバレたらどうなることか。
……シーツ取り替えなきゃ…
―――――――――――――――――――
シーツを取り替えたあたしはシャーリーの部屋を後にした。
多少の罪悪感は残るけど、これは早く告白して来ないシャーリーが悪いから、こうなったんだと、自分に言い聞かせる事にした。
だから、その罰としてシャーリーが大切にしてたあたしの写真は没収しておく事にした。
「あたしに告白するまで返してやんないから、シャーリー♪」
第2話終了です。エロ描写あるの注意し忘れてた…。
この話はまだまだ続きますが、あえて捻った構成にはせず、出来るだけベタにまとめています。
なにせベタ好きなものでw
これ以降も読んでいただけたら嬉しいです。
…では、爺はこれで…
- 45 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 21:26:27 ID:SxorKrZa
- >>44
続きキター!!えっちなルッキーニとかもうね。破壊力やばすぎる。
シャーリーには一刻も早く引き取って頂かないと誰に狙われるかわからん位のかわゆさだね!!
GJGJ。続きいい子にして待ってる。
あと前スレ>>785もナイス埋め。
SSに始まりSSに終わる、このクオリティの高さはもはや留まる事を知らないな。
- 46 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 22:00:47 ID:JFl4Bx3t
- 『北欧のユリ』を地でいってるカポーだな。エイラーニャは。
- 47 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 22:27:43 ID:pe+OCMU9
- 前スレ>>418のつづき
一見してふてぶてしくもあるエイラの無表情を、どうかさせるものがあるとすれば、それはもっぱら
サーニャだった。
そもそものはじまりは、おなじ雪国の出身という理由から、なかなか隊になじめないでいた彼女を気
遣った隊長に、「案内役」を命じられたことだ。
その「上官」は、ここブリタニアの前線に配属された当初から、固有魔法の特性により夜間任務に就
いていたため、昼間をほとんど自室で寝て過ごし、他の隊員と接触する機会すらが稀であった。さら
にきわめつけとして、極度の人見知りという性格が、少数部隊であるにもかかわらず彼女の存在を、
まるきり幽霊みたいな希薄なものに仕立て上げていた。
エイラはもとより面倒見のよい性格というわけではなかったし、オラーシャの小説よりも航空術その
他のメカニックに関した専門書の方がより気を惹くに足るものだったので、はじめこれにかかる腐心
はすべて、もっぱら中佐の信頼にこたえるためであったのが本当だ。とは言え、サーニャの行動を「ねむる」
という記載でおわる一日よりさいしょに引っぱり出したのは、まぎれもなくエイラだった。
任務や訓練を終えた後を待ちぶせしては、無口な、顔をあげようともしない自分より年下の、異国の
女の子をサウナへと誘った。エイラはそのときのサーニャの顔にうれしさが兆していることをわかる
ほど、まだぜんぜん彼女のことを知らなかったが、意外なほど素直についてくる姿をみとめると、そ
の「役割」を担うことにまんざら悪い気もしなくなった。
はじめ、それは空耳だと思った。
常に死の危機にさらされつづける戦場に、似つかわしくない、しとやかなその歌声は。水浴びに出た
夕暮れの海で、エイラはかの歌をうたうサーニャを見つけた。
今でもときどき思い出す、あのときのさみしげな表情、彼女の存在そのもののような、儚げでうつく
しい、そのメロディ。エイラは歌に魅了され、すばらしい声を持つ、サーニャの人物にたちまちにし
て惹きつけられた。
そうして見てみると、繊細な声をもつオラーシャ人の女の子が、一体どんな人物であるかよくわかる、
やさしくて可憐なそぶりがどれも大好きになってしまった。
- 48 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 22:29:06 ID:pe+OCMU9
- 以来、エイラは自立的に彼女を心配し、他の隊員との仲をはかってやりもしたし、病気にかかりはし
まいか、風邪をひきやしまいかと、何かと気を配るようになった。それこそ遅れがちな歩行をたすけ
る母猫みたいに、いつも一緒に時間を過ごし、いろんなことを二人でした。彼女のひかえめな発声に
あわせて、常に耳をそばだてていたし、その唇からとびだす言葉を、まるで神様にするみたいな熱心
さで聞いた。
こうして先に心を開いてみせたエイラに、しばらくしてサーニャも打ちとけた。そのサーニャを、エ
イラは文字通り猫っかわいがりにしたのだった。
任務はつづき、二人はすれ違うこともしばしばだったが、それでも時間をみつけては一緒にサウナに
入ったし、釣りをした。音楽生であったサーニャは、歌と同様、ピアノをとても上手に弾くことがで
きたので、エイラはよく演奏をせがんだ。彼女のほっそりとした可愛い指が鍵盤をたたくと、いっそ
う美しく音が鳴るような気がして、いたくエイラの気に入った。
そのように、あいかわらずサーニャは昼間の時間をほとんど眠たがったが、大きな枕を抱えこんで、
半分眠っているかのようなときも、なぜがいつもエイラの隣で一緒に歩きまわった。
だから、エイラはいつから彼女のことを、「そんな目」で見るようになったのかを忘れていたし、み
とめたくもない。と同時に、夜間任務を終えたサーニャが部屋を間違えるようになったのも、もうい
つのことからか、彼女はさっぱり忘れてしまった。
- 49 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/11(土) 22:30:03 ID:pe+OCMU9
- 「うわっ」
ぱたっと隣に人のたおれる気配があって、エイラは半ばとびおきた。確認しなくともそれはサーニャ、
静かにたてる寝息までがすばらしい、エイラの、それは彼女だけのとびきりかわいい魔女だった。眠
気はたちどころに吹き飛んで、あかるい灰色の、くるくると大きな目を瞠る。それというのも銀髪の
うつくしい髪が、投げ出された自らの足へとふれていたからだった。エイラはその、ふわふわした、
やわらかそうな髪だってひどく好きだ。そこからはどことなく甘い香りが立ちのぼり、すぐに彼女を
幸福で満たすことができる。
しかし、わざとぞんざいな口ぶりで「なに部屋まちがってんだよ」と責めると、すくっと立ち上がり、
聞いてもしないサーニャに向かって言うのだった。
「今日だけ、だかんなー」
さっきまで自分の身体にまきついていた毛布を、彼女の身体へかぶせることは、少し恥ずかしくもあ
る。エイラは急ぐ必要もないのにこれをすばやく済ませると、ここのところお決まりとなった場所へ
向かうために、そっと部屋を出ていった。
と、間をおかずにすっかり眠りこけていたはずのサーニャがむくっと起き上がった。たいそう青ざめ
た顔をしていたが、しかしその目はしずかに燃え立っているようだった。サーニャはエイラが出てい
ったあとですばやくドアに近寄ると、そっと引き開いて暗い廊下をのぞきこんだ。エイラが角を曲が
るのをみとめるとすぐに首をひっこめて、ドアの間に指をはさみ、ばんといきなり閉めて、思いきり
指をつぶした。苦痛にぎゅっとつむった目からは、火花のようにきらめく涙がぽろぽろ零れだしてい
た。
以上、続く可能性がある
- 50 名前:滝川浜田:2008/10/12(日) 00:15:23 ID:2bgF7VaR
- >>44にミスを発見したので訂正。
>>「シャーリィ…ッ…はやくっ…好きって…言ってよぉ…っ…!!」
指の動きがますます速くなる。
ここのセリフを二回書いてしまいました…。
保管庫管理人さん、申し訳ありませんが、保管する時はよろしくお願い致します。
ああ、またしてもミス…。
シャッキーニのED聴いたら吊ってくる!
- 51 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 00:19:24 ID:82xi53Jx
- >>49
続きキター!!今回もGJ!!
これはあれか、エイラーニャ展開化フラグでありますか!?
どっちに転んでもwktkして待ってる。
- 52 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 00:31:09 ID:V3lWuspx
- >>49
GJ…!!
この後の展開がすげー気になる!どうなってもあなたの文章は深くて大好きだ…!
最後のサーニャの描写なんて、サーニャの寂しさが伝わりすぎて泣けてきそうだったぜ…
- 53 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 00:33:52 ID:unse1Es7
- >>49
サーニャどうしたのか・・・とりあえず続きに期待
>>50
吊ったら誰が続きを書くんだ
- 54 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 00:45:46 ID:82xi53Jx
- 書き忘れた、>>36のタイトル、
サーニャ視点なら"Happy birthday"をオラーシャ語で言えばよくね?と思ったので
"С Днём Рождения!!(ズドニョーム・ラジジェーニィヤ)"などいかがでしょう。
……Ala-Kuupaisteと全く同じ発想ですいません。言ってみただけです。
- 55 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 01:24:18 ID:h2HcOmgN
- SS書いてて気になったんだけど、各キャラの私服ってどんなのが似合うと思う?
エイラはすらっとしてるからジーンズ履かせたら似合うだろうなって書いてたら、
この世界の服飾文化から逸脱してることに気づいてあえなくボツったorz
- 56 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 01:30:23 ID:ipoFT5i7
- >>55
そこはロングズボンってことでいいんじゃないかな?
シャーリーがエイラの誕生日にあげたジーンズを履くとか
- 57 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 01:30:46 ID:f0SjcAuN
- 第二次大戦中のファッションだったと割り切れば良いんじゃないか?
戦後には新しいファッションの波が到来!
画期的なジーンズなどが発売される! とか
エイラにジーンズ良いです
- 58 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 04:37:39 ID:t/3aVq+v
- Q.風当たりの強いレズカップルということについて
エイラ「好きな子がたまたま女の子だった。それ以外に理由はないナ」
- 59 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 08:37:27 ID:hhF3Movx
- たぶんED集の好きな曲の再生回数で好きなカップリングが解るな
あれ?俺の好きなエーゲルが無い・・・・
- 60 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 08:42:08 ID:2bgF7VaR
- シャッキーニばかりリピート再生してる俺は多分バカ
- 61 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 09:28:35 ID:I/anDcd2
- エイラーニャかな
次がヨシカとリーネ
- 62 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 09:55:06 ID:3k1RYE3x
- エイラーニャが断トツw
エイラの声が可愛すぎてホニャアってなりますwww
- 63 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 09:56:23 ID:s/p/ZDnd
- サーニャは白いワンピースに麦わら帽子が合いそう
エイラはピチッとしててヘソが見えてる半袖シャツに膝下くらいまでのジーンズとサンダルかな
- 64 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:02:46 ID:hOIqLjiP
- 普段の声=エイラの声だから、歌声も自然エイラ声というw
声優としてはどっちかというとマイナス要素が、歌においては激しくプラス要素になっとるw
- 65 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:13:52 ID:rF9/6hcQ
- >>55
こういうのもセンスあっていいなあ、と思った
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org10453.jpg
- 66 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:18:12 ID:kxZa9Kpc
- , ´ ̄ ̄ ` 、
/ ヽ
/ /|', / ヘ
i .:i ,' ./ ! ',. メ、 ハ
ハ | .i ./ ',イ ハ i | | さ、サーニャは何を着ても似合うナ!
|ハ |/ \ ナ/|ノリ
:( ヽリ ● ● ハ
| ヘー、 xx ' xx }ノ
| | |i>ト △ _ノ
| | /`ー`ヽ{<ヽ
- 67 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:22:25 ID:w5aNtPq8
- >>65
この私服サーニャかわいいね
エイラはPixivにあった半袖シャツに七分ジーンズが似合ってた
そのシャツはサーニャプリントだったけどw
- 68 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:26:52 ID:hhF3Movx
- 芳佳 6回 美緒,リーネ,バルクホルン,ペリーヌ,ミーナ,全員
美緒 4回 芳佳,ミーナ,ペリーヌ,全員
ペリーヌ 4回 エーリカ,芳佳,美緒,全員
ミーナ 3回 美緒,芳佳,全員
リーネ2回 芳佳,全員
バルクホルン 2回 芳佳,全員
エーリカ 2回 ペリーヌ,全員
シャーリィ 2回 ルッキーニ,全員
ルッキーニ 2回 シャーリィ,全員
エイラ 2回 サーニャ,全員
サーニャ 2回 エイラ,全員
まとめてみた
間違ってたらごめん
>>67
http://www2.imgup.org/iup706908.jpg
これか
- 69 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:32:48 ID:82xi53Jx
- >>68
何かと思ったらEDか。乙
お姉ちゃんにはぜひミーナと歌って欲しかったね。
何故4話で宮藤が出てきたのかわからん……。
エイラは6話で着てたパーカーが実に可愛かったと思うね。
- 70 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:44:40 ID:hhF3Movx
- シャーリィじゃなくてシャーリーだった
ごめんよー
- 71 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 10:54:48 ID:2bgF7VaR
- 隊長妄想
http://bbs03.gazoubbs.com/2ji2nd/img/1217507859/127.jpg
- 72 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 11:09:11 ID:svNq4eR/
- >>68
エーリカとペリーヌが一緒に歌ったのが意味不
- 73 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 11:19:16 ID:ipoFT5i7
- >>72
つまりそういうからみもOKってことだよ
- 74 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 11:22:34 ID:hhF3Movx
- >>71
すごく・・・・小さいです
- 75 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 11:34:00 ID:s/p/ZDnd
- ED集はエーゲルいれてほしかった
- 76 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 12:20:14 ID:aHM/4MwS
- エイラは青のシャツでいいんじゃねえの
- 77 名前:zet4j65z:2008/10/12(日) 12:29:37 ID:e+COyWjT
- 土日の夜勤なんて暇だから時間つぶしに会社で百合百合した文章かいちゃる!
と思ったら12時間シフトの間、食事とれんほど忙しかった……。
しかも心が荒んでたのか隙を見て書きはじめたらなんか内容がダークに。
で、極め付けに密林からのED集が未だ届かない。
今日の夜勤に向けて聞きながら寝ようと思ったのに……密林の仕事ぶりに、ドッチラケ。
- 78 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 13:14:30 ID:I/anDcd2
- 元気だせ月曜日は休みだ
- 79 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 13:30:40 ID:sYnmWJuT
- >>78
3連休全部出勤の俺を敵に回した
- 80 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 13:34:40 ID:CUTmfAUB
- >>69
何故ってお姉ちゃんは宮藤萌えだからです
- 81 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 16:31:33 ID:hhF3Movx
- バルクホルンは芳佳と歌うのは解らんでも無いが
ペリーヌとエーリカが歌うの意味不・・・
いやまぁ俺がエーゲル好きなだけだが
アイキャッチで一緒だったからか?
ちなみにアイキャッチ
芳佳 3回
美緒 2回
ミーナ 2回
バルクホルン 2回
エーリカ 2回
ペリーヌ 2回
リーネ 1回
シャーリー 1回
ルッキーニ 1回
エイラ 1回
サーニャ 1回
みっちゃん 1回
ネウ子 1回
後は第9話の芳佳,シャーリー,ルッキーニをカウントするかで変わるけど
関係ないけどペリーヌはなんだかんだで結構良いポジションに居たと思う
- 82 名前:『月』第三話1/2 j4ntaz3y:2008/10/12(日) 16:48:20 ID:D8hotmrP
- 前スレ>>667のつづきです。
レスしてくれた方ありがとうございます。
それからどれくらいベッドのうえでむかいあっていたかはわからないけれど、あいわからずかちかちと
なる時計の音は無限と思えるほど数えた。うつむいたバルクホルンはいったいなにを考えているのか。
ミーナ中佐のことかハルトマンのことか、それとも。
「なさけない顔」
「……おまえはなまいきな顔をしてるよ」
バルクホルンがベッドからおりた。視線だけでそれを追い、さきほどの自分の席におちつくのを確認して
からあたしも気持ちのいいベッドからぬけだし、あいたいすにこしかけた。横目で確認した時計盤は零時
すぎを示している。日付はもうかわった、ひょっとしたらあたしらの関係も。
「のみたりない?」
「べつに」
「あんた、つまりはミーナ中佐に浮気されたんだ」
考えなしに、ふとただ思いついたことを言った、きずつけるつもりでもなんでもなく。するとバルクホルンは
あたしのことを無視するのだ。平静を装おうとしているさまが痛々しくてかっこうわるくて、なぜかざわりと胸
がさわいだ。ちりちりと奥のほうからじらされるような、よく知ってる感情。
「なぐさめてもらいたかった?」
挑発的な声で言った。バルクホルンはやっとこちらをむく。すこしだけおどろいた顔、それから唇をかみしめる。
なんだよ、と思った。言いたいことがあるなら言えばいいのに、急になにをしおらしくなっているんだろう。胸の奥
はまださわがしかった、それどころかもうそろそろたえられそうにない。いらいらするんだよ。ついつぶやいた、
だけどちゃんと声になって出ていたかはわからない。
ぐっとたちあがった。前触れのなかったあたしの行動におどろいたらしいバルクホルンに見あげられた。
逆にあたしはやつを見おろす。それからは、ふしぎなくらいどうしようもなかった。なぜだかこの口は、あたしの
制御下から解放されてしまう。
「あんたも、せこいやつだね。浮気されたから浮気しかえしてやろうなんて」
「……なんだと」
バルクホルンがひさかたぶりに強気の声をだす。それをききながらあたしはどうしたことかと思っていた。
こんなことを言うつもりなんてないのに、ただ、いらいらしてるだけなのに。
「真面目なやつが思いつめちゃうとやっかいなもんだねえ、行動が極端なんだもの。しかも、相手にあたし
をえらぶあたりがやらしいね、おたがいにきらいあってるやつなら一回かぎりただのまちがいだったと
あとくされもない、ってか」
はん、とはなをならしたつぎの瞬間に、肩のあたりに衝撃がはしる。デジャヴだ、バルクホルンにつかみ
かかられたんだってことはすぐに理解した。ただしさっきとちがうのは、そこからキスへというながれには
けっしてならないこと。
- 83 名前:『月』第三話2/2 j4ntaz3y:2008/10/12(日) 16:49:18 ID:D8hotmrP
- 「きさまはひとを侮辱するのがすきらしい」
「侮辱? ははっ、よく言うねえ、あたしはほんとのこと言ってるだけだ。あんたは自分がかわいそうでしかたない
から、あたしのことを利用してはらいせをしようとしたんだ」
ぎっ、とバルクホルンの目がおおきくなる。純然たる怒りの表情、あたしはすこしだけぞくりとして、それから
ぎゅっと目を閉じた。でもそのつぎには勝手に左手が動いていた。瞬間、ばちんと音がなる。目をあければ、
ひだりのほほのそばでバルクホルンの平手があたしのてのひらにおさまっていた。
「……暴力は、まずいんじゃないの」
よく言う、それならあたしのやっていることも立派に最悪なことばの暴力だった。
バルクホルンはおさまらない怒りで唇のはしをひきつらせながら息をふるえさせていたが、多少は冷静さを
とりもどしたのかはらうようにつかんだ両手をはなした。あたしはみだれてしまった胸元を嫌味ったらしく丁寧
になおしながら、どうして、と思うほかない。わからないのだ、こんなにいらいらする理由。
「でていってくれるか」
しずかな声が言った。あたしは返事もしないで出口のあるほうをむく。そのとき視界のはしにころがりっぱなし
のガラスのボトルを見つけたから、ひろいあげてバルクホルンのそばのテーブルにもどしてやった。それから
おやすみのあいさつはするべきだろうか、となんとものんきなことを思っていると、バルクホルンがなにか言った。
ドアをあけて一歩ふみだしたところだったのに、あんまりちいさな声に思わずふりむいてしまう。するとやつは、
ご丁寧にも言いなおしてくれるのだ、侮辱するなとでも言いたげに。
「きらいなら、あんなことしない」
「……ふうん?」
そのわりに、なんともにくたらしそうな顔をしているじゃないか。またデジャヴ、ついさっきにもにたような会話を
したなと思う。だけどさきほどとは全然ちがった理由であたしは思ったことを口にしなかった。じゃあ、きらい
じゃないならなんなんだよ。あんたは、ミーナ中佐がすきなんじゃないのかよ。そろそろこのころには、あたしも
このいらつきの理由に勘づきはじめてしまっていた。
「おやすみ」
ドアのむこうからにらむ視線をただ見返して、あたしはこれをしめてしまうことをためらっている自分にとてつもなく
同情するほかなかった。
つづく
- 84 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 17:33:52 ID:h78a5SGE
- >>82-83
シャーゲルキタ━━━(゚∀゚)━━━!!GJ!!!
続きが待ち遠しすぐる
- 85 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 17:35:30 ID:VbfOzLUD
- >>83
続きktkr!
何ていうか、内容が深い。シャーリーとトゥルーデの心理描写だとか仕草だとかがもうGJ!としか言えないんだ
続き待ってる。どういう終わり方をするのか気になるな…
- 86 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 17:51:16 ID:82xi53Jx
- >>83
いやはや、この痛々しいまでにリアルな描写力には感服する他ない。
ハラハラドキドキしながら続き待ってます。どんな結末だろうと受け止めて見せる!!
- 87 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 17:59:09 ID:/tPXmQlk
- 転載
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up5755.jpg
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up5756.jpg
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up5757.jpg
ttp://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up5758.jpg
- 88 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 18:43:35 ID:C/8kIion
- エイラはヘタレ攻めだと思ってる俺からしてみればこれはない
- 89 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 18:48:41 ID:BX9KoX01
- こう極端なエロはエイラーニャっぽくないな
非エロとエロの境目を彷徨う感じだと思う
- 90 名前:zet4j65z:2008/10/12(日) 18:52:17 ID:e+COyWjT
- >>79
自分も連休中夜勤だよ同志!
>>83
トゥルーデの萌度が上がるなぁ。自分も何か書きたくなる。
そんなわけでお仕事いってきます……。
会社からは書き込みできないんで明日の昼帰宅後には何か投下できるといいなぁ。
っていうかいまさらED集届いても聞く時間が(・x・)ムリダナ
- 91 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 18:54:05 ID:0O2CABpq
- サーニャが宮藤って呼んでてエイラが芳佳と呼んでるのに凄い違和感
- 92 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 18:58:34 ID:w5aNtPq8
- >>88-89
同士よ
- 93 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:03:35 ID:I/anDcd2
- はやくゲームでないかなぁ
- 94 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:05:07 ID:s/p/ZDnd
- >>87
で、これはなんなのかkwsk
同人誌?
- 95 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:12:30 ID:HPOvdR/J
- >>87
エイラは総受けだと思ってる俺からすればこれはどストライク
- 96 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:20:29 ID:GJRNItZA
- >>87
エイラーニャは手つないでるだけでエロイと思ってる俺にとって刺激が強すぎたw
- 97 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:22:04 ID:3H4dAvCx
- ttp://kissho.xii.jp/1/src/1jyou51423.jpg
- 98 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:23:38 ID:82xi53Jx
- >>97
うひゃあ
- 99 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:41:01 ID:2bgF7VaR
- >>44の続き投下してよかですか?
ペース早いよなんて言わないで
- 100 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 19:42:41 ID:82xi53Jx
- 待ってました!!全力で許可
- 101 名前:滝川浜田 『Cross×Over』:2008/10/12(日) 19:49:10 ID:2bgF7VaR
- では、>>44の続き行きます。
どうかミスがありませんように…
――告白する勇気が出ないまま、一週間が経った。
いい加減、自分でも告白した方が良いとは思ってるけど、やっぱり怖い。
やっぱり女同士というのが、あたしにとって大きな壁になっているらしい。
そんな事をいつまでもグチグチ渋っていたら、あたしにとってはとてつもないピンチが訪れた。
――ルッキーニが男の整備士からラブレターを貰ったのだ。
――Cross×Over――
あたしは見ちゃったんだ。
ルッキーニが男の整備士からラブレターを貰うところを。
ルッキーニに見せたい本があって、ハンガーへルッキーニを呼びに行ったら、あたしが一番見たくなかった光景が目に入った。
「あ、あのロリコン整備士っ…!…あたしより先にルッキーニに告白だなんてっ…!!」
…ルッキーニも心なしか嬉しそう。
ルッキーニがあの整備士からの告白をOKするかは分からない。
なのに、あたしはその日以来、ルッキーニを見ると、胸の奥がジンジンするような痛みに襲われるようになった。
「…………」
「最近のシャーリーは元気が無いな」
「ええ、そうね」
「なあ、ルッキーニ」
「ウニャ?なーに、坂本少佐」
「お前ならシャーリーの元気の無い理由、分かるんじゃないのか?」
「…それが…なんか最近、シャーリーがあたしを避ける様になって…」
(あらあら…)
「そうか…。いずれにしても心配だな…」
「シャーリィ…」
- 102 名前:滝川浜田 『Cross×Over』:2008/10/12(日) 19:52:23 ID:2bgF7VaR
- ―――――――――――――――――――
……ダメだ…あのラブレターが気になって飯も喉を通らない。
…もし、ルッキーニがあの告白をOKしたら…
あたしはどうなる…?
…ただの友達で終わるのか…?
…ルッキーニの恋路を応援するだけのただの友達…?
…嫌だ…嫌だ…そんなのは嫌だ…!!
ルッキーニの隣にいるのはあたしだ!
あたし以外の奴にルッキーニの隣を奪われるなんて考えたくも無いっ…!!
怒りと悲しみ、そして何も出来ない自分への悔しさに涙がこみ上げてきた。
あたしはシーツをグッと掴んで、愛する人の名を呼ぶ。
「ルッキーニ…ルッキーニィ…!!」
シーツには涙が零れ落ちる。
コンコン
すると、あたしの部屋のドアを叩く音がする。
あたしは涙を拭いて、ドアを開けた。
開けたドアの先には…
「ミーナ…中佐…?」
「こんな夜遅くごめんなさい。
少し話、良いかしら」
「は、はい…」
ミーナ中佐はあたしのベッドに腰掛けて。
「あ、あの、何の用ですか…?」
「最近、貴女の元気が無いから、ちょっと様子を見に来たの」
「はあ…」
「坂本少佐やルッキーニさんが心配しているわよ」
「ルッキーニ…」
あたしがルッキーニの名前を口にした瞬間、ミーナ中佐の目の色が変わった。
「……シャーリーさん、ルッキーニさんの事が好きなのよね?」
「っ…!?…なっ、なんで知ってるんですかそんな事っ…!?」
「あら、貴女の目を見れば分かるわよ。
…ルッキーニさんが好きだって事。
シャーリーさんは考えた事が顔にでやすいから」
「……ミーナ中佐に隠し事は出来ませんね…。アハハ、なかなか、その…」
「勇気が出ないのね」
「…女同士だから…嫌われたらどうしようとか、余計な事を考えてしまって、なかなか言い出せなくて…」
「私は…女同士だから、とかはあまり関係ないと思うわ。本当に好きなら性別は意味の無い…そう思う」
「………」
(まったく世話の焼ける子ね…)
- 103 名前:滝川浜田 『Cross×Over』:2008/10/12(日) 19:55:53 ID:2bgF7VaR
- 「シャーリーさん、手を出して」
「はあ…」
そうすると、ミーナ中佐はあたしの手の甲に軽く口付けをした。
「ちょっ…//////」
「これは、私が坂本少佐にいつもしてあげてる勇気のおまじない。ねえ、シャーリーさん」
「はい…」
「さっきも言ったけど、恋愛に性別なんて関係ないわよ。
その人が好きになったら、自分にとってその人がすべてになっちゃうの」
「ミーナ中佐…」
「勇気を持ってルッキーニさんに想いを伝えなさい」
「でも…」
「振られたらその時は、私が貴女を貰ってあげる♪」
「いや、それは…」
「フフ、冗談よ♪」
ミーナ中佐はあたしの肩に手をポンと置いて、耳元で囁いた。
「頑張ってね、シャーリーさん」
そう言うと、ミーナ中佐はあたしの部屋から出て行った。
「……性別は関係ない……か…」
今夜の空気は昼間と違ってざらついた寒さ。
あまりに寒くてなかなか眠れない。
でも、頭を冷やすには丁度良い寒さかもしれない。
時計の針の音だけが部屋に響く。
そして、あたしは。
「……よっし、そろそろ覚悟決めるか……!」
ラブレターなんて関係無い。
ましてや性別も関係無い。
あたしがルッキーニを好きだって気持ちが一番大事なんだ。
どっかの男にルッキーニを取られる前に、ルッキーニはあたしの恋人にしてやる。
もし振られたら、なんて考えるのは、あたしの想いを告げたその後だ。
決めた。あたしの決戦は、明日だ。
待ってろ、ルッキーニ!
第3話以上です。
残り3話を残すところとなりました。
…本当に長編は体力を使いますなぁ…
…では、爺はここらで…
- 104 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 20:56:26 ID:HSZHez+K
- GJ
- 105 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 21:08:37 ID:BX9KoX01
- 決戦が明日で残り3話・・・
もしかしてエロ有りですかハァハァ
続きを期待しております
- 106 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 21:12:57 ID:rF9/6hcQ
- シャッキーニもやっぱりいいなあ。乙
ついでに各キャラ同志の関係の開拓度合い表でも投下してみる。完全に俺の独断と偏見だけど。
\芳美.リ.ペゲハ.ミ.シ.ルサエ
芳\◎◎○◎▲▲△○○◎
美◎\○◎▲×◎▲▲××
リ.◎○\○▲×▲▲▲×▲
ペ○◎○\×△▲×△○△
ゲ◎▲▲×\◎◎○▲×▲
ハ▲××△◎\◎▲△×▲
ミ.▲◎▲▲◎◎\▲○△▲
シ△▲▲×○▲▲\◎××
ル○▲▲△▲△○◎\▲△
サ◎××○××△×▲\◎
エ.◎×▲△▲▲▲×△◎\
開拓済み 荒地
◎←――○―――△―――▲――→×
仲の良し悪しには関わらず、本編での会話の多さや互いの関心度で評価して見た。
つまりは、どれだけ関係が固まっているかっていう事だな。
しかし突っ込みどころが多そうだ・・・
- 107 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 21:51:22 ID:hhF3Movx
- よく作ったなぁ
乙
芳佳とサーニャは○
エイラは◎か
逆でも行けそうだな
- 108 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 21:59:33 ID:82xi53Jx
- >>103
GJ!!次あたりでいよいよ佳境といったところかな?
ハイペース歓迎!!待ってる
>>106
よしきた、これで×になってる所から順に妄想すればいいわけだな?
とりあえず平均が最も低いサーニャから始めようか……。
なに、悩みなんか吹き飛ばせなわっはっは状態の美緒×その強引さに思わずきゅんとするサーニャだと!?
- 109 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:02:09 ID:hhF3Movx
- でもさエイラ意外と組ませるとなんか罪悪感無い?
- 110 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:05:31 ID:FBsTzFDa
- 罪悪感というか
エイラーニャが神すぎて他が考えにくいというかw
- 111 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:15:15 ID:CSTDmKf4
- >>109
その罪悪感を利用するんだ。
エイラに見られていると知りつつ、宮藤に体を預けるサーニャと
それを物陰から悔し涙を流しつつ見るエイラ。しかし、心とは裏腹に体は・・・・
- 112 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:45:30 ID:hhF3Movx
- むろさん
とりあえずそのシチュエーションで話を書け!
って言って良い?
- 113 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:51:51 ID:uvG7/gAF
- エイラのことで悩んでるサーニャに・・・誰かが声をかけるんだ・・・
- 114 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:56:15 ID:YOD4kX9H
- ペリーヌさんしかないな、と言おうとしたが
すでに○⇔○だという!w
- 115 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 22:58:42 ID:2bgF7VaR
- 最近リネ芳分が足りてないんで、シャッキーニ連続話も書き終わったから、黒リーネ話書き始めたんだけど…
久しぶりのリネ芳だから腕がなまってしょうがない!
- 116 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:07:14 ID:s/p/ZDnd
- サーニャのことで悩んでるエイラにつけ込んで…
- 117 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:09:03 ID:xU6dbT5u
- エイラがガチすぎるからサーニャを他と絡ませるとかわいそうになるんだよ
エイラーニャだけは誰も入り込めない
- 118 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:11:00 ID:uvG7/gAF
- >>117
失恋して成長するもんだよ・・・はは・・・
- 119 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:23:25 ID:V3lWuspx
- >>112
今見たら呼び掛けられててとてもびっくりした
- 120 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:31:15 ID:hhF3Movx
- すまぬ
- 121 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:32:15 ID:82xi53Jx
- エイラーニャが出会う前の話にすればいいじゃないかいいじゃないか。
どっちが先に基地に来たのか知らんが。
エイラはサーニャさえいなければ割と誰とでもいけそうな感じがするんだがな……。
ああ、なんかシャーリー×エイラが降臨してきた。
- 122 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:32:45 ID:fwcPurFB
- >>117
でも、あんまりカプ縛りされるのも痛いけどなぁ
俺はエイラorサーニャの他のキャラとのSSも読んで見たいよ
つぅか、本編であまりにも他のキャラとの絡みが無いから、ハブられてるんじゃないのかみたいな心配もあるけど。
- 123 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:37:27 ID:5lvOPPHN
- サーニャが大好きだから、サーニャが幸せならどんなカップリングでもいいです。。。
エイラが他のキャラと絡んでサーニャがひとりになっちゃうなんてのは…(;;)
- 124 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:39:23 ID:V3lWuspx
- >>120
いやいいんだ、びっくりしただけだ
実はまだ帰宅してないから帰ったら頑張ってみる
ミーナイラ投下した後に
- 125 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:41:14 ID:mh3eMQ9p
- つまり面倒見よさそうなシャーリーがサーニャとくっついて
同じく面倒見よさそうなエイラはルッキーニと、ってことだな?
- 126 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:46:25 ID:FBsTzFDa
- エイラと他の隊員達の組み合わせを考えたこともあるけど
俺はやっぱり北欧の百合が好きなんだという結論に至った
けど、ミーナさんと絡ますのも良いな
オトナなミーナさんに攻められて?たじたじになるエイラとか
- 127 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:46:48 ID:pVJZkdGC
- >>125
さぁそれを文章にする作業に(ry
- 128 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:50:13 ID:mh3eMQ9p
- あーけど小説じゃルッキーニをからかってたなエイラ
気になるからからかっちゃうというアレかなー
やっぱり素直になれないのか、エイラさん
- 129 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:50:40 ID:u0rI5bRa
- 俺は百合は好きだがそれ以上にエイラーニャが好きなのだ・・・
- 130 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:54:33 ID:hhF3Movx
- >>124
わーい期待してる
それにしてもミーナイラ
これは新しい
- 131 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:58:08 ID:82xi53Jx
- ……エ−リカ×リーネ……?
いや、なんでもない。
- 132 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/12(日) 23:59:19 ID:qAuG01dq
- ミイラ
なんでもない
- 133 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:02:09 ID:2bgF7VaR
- そう考えると
やっぱりもっさん×ルッキーニって大冒険だったのかな
書いていて自分がワケ分からんくなったし
- 134 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:05:40 ID:WzMYIBLD
- "フッ……危険のない賭けなど……"by.Dision
大冒険なくして真の開眼など有り得ん!!
今こそ三千世界を賭けたマイナーカプ祭りを始めるべき
- 135 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:11:50 ID:VcGj2DVW
- うほっ!いい展開!そしてミイラ吹いたw
うーん…マイナーすぎないところでミーナ×リーネってのはどうだろう。
- 136 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:13:11 ID:3bsQGpjv
- 確かにミーナ×リーネは有りだな
7話での会話とかその他でも
- 137 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:18:05 ID:F3Vnsk9a
- ミーナ×リーネ…
確かそんなSS投下された事あるよね?
- 138 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:35:15 ID:UIpekHFM
- マイナーならミーナ×リーネとかミーナ×ペリーヌとか好きだな。
隊長は面倒見がいいから、ドジッ子なリーネや一人ぼっちのペリーヌに優しそうだ。
- 139 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:36:33 ID:n8Q9Tdqr
- ミーナは間違いなくみんなのお母さん的な位置
- 140 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:52:35 ID:0I7ZAaKT
- 腐ってる方々なんて無機物で萌える事が出来るんだ…それに比べたら、接点が無いキャラ同士でカプ妄想なんてわけないぜ!
リーネとサーニャとか、恥かしがり屋どうしのカプとか妄想するだけで、なんとも素敵なパラダイス
- 141 名前:21X2w2Ib 1/4:2008/10/13(月) 00:54:26 ID:eHSNOUvH
- こんばんは。
ミーナイラといいながらただのミーナとエイラ(とサーニャ)の話になってしまった気がしますが、投下。
───
どのくらいの時間が経ったろう。エイラの部屋には掛け時計がないのでわからないが、きっと朝礼はとっくのとうに
終わってしまっているはずだ。
ああ、今日もサボってしまった。そう思いながらエイラは大きくため息をついた。今週に入ってもう、何度目か分から
ない。確か次に遅刻をしたら罰を与えるとミーナに言われてはいなかったか。
トイレ掃除か、倉庫整理か。予想される罰を頭にいくつも浮かべてもう一度、はあぁぁ、と大きなため息。しかし、そう
してうつむくとそこにはサーニャの穏やかな寝顔があって、それを見ているとすべてがどうでもよくなって来る気がした。
「ずいぶんと、懐いたものね」
ノックもなく自室の扉が開かれたのを聞いて、エイラは訝しげにそちらを見やった。見ると、赤毛の上官が微笑みを
湛えながらこちらへ静かに歩いてくる。
「ミーナ、中佐」
「おそよう、エイラ少尉」
「…おはようございマス」
穏やかだけれど、浮かべられたその表情は絶対零度。これはいけない。そうアラートを鳴らすエイラの頭。けれど
逃げ場なんてない。…そもそも、逃げるような余裕がエイラにあったなら、それこそこんな事になる前に逃げ出して
いる。だってエイラの能力はそのためにある…わけではもちろんないけれど。
とにかく、今のエイラにそんな余裕はなかった。
魔力を使うために耳と尻尾を出す行為でさえもはばかられるくらい、慎重な気持ちでいたのだ。少しでも身じろぎを
したらサーニャが目を覚ましてしまうのではないか。そんな不安に駆られて仕方がなかった。
「…見たのカ」
静かにそう尋ねても、返ってくる言葉はない。ただ、うろたえる様子もない彼女の様子からエイラはそれが是である
事を知る。つまり、ミーナ自身の持つ特殊能力──聴覚による空間把握能力──を使って、エイラの居場所を
つきとめ、そして同時にそこにサーニャが共にいる事を知った上でこの部屋にやってきたのだと。
「…人の部屋覗くなんて、悪趣味ダ。」
口を尖らせて精一杯の反抗をしたら、すでにすぐ目の前までたどり着いていたミーナに帳簿で軽くぽん、と叩かれた。
「朝礼の時間になっても一向に現れなかったのはどちらかしら、少尉?この間も言ったでしょう、次に遅刻したら
罰を与えるわよ、って。」
「そんなコト…」
わかってる。答えようとしたけれど、その言葉尻はだんだんとすぼまっていってしまう。だって目を逸らそうとして
視線を落とすとそこにはすやすやと穏やかに、けれど何かを守るように体を縮めて、眠り込んでいるサーニャがいる
から。いや、それだけなら別にいい。問題はそこからで、エイラが朝礼に出席する事が出来なかった理由もそこにある。
「いつの間にそんなに仲良くなったの?」
こらえきれずについ、ミーナはふふふと声を上げて笑ってしまった。だってその手はぎゅうとエイラの寝巻きの一部を
握り締めて、離すまいと身を寄せていたから。
気付かれたくなかったのに。気恥ずかしさに「うう」とうなるエイラ。
…けれど、その手を振り解くことなんて出来るはずがなくて。
「…ゴメンナサイ……」
一切の言い訳を止めて、ぼそぼそと謝罪の言葉を述べた。理由も言わずに朝礼を何度も欠席したのだ、咎められ
ても仕方がない──それぐらい軍属の長い身であれば身に染みている。…けれども。
ここで自分に身を委ねて眠っている、女の子の形をした僚機だけは守ろう。エイラはそう固く心に誓うのだった。
夜中じゅう飛びまわって疲れ果てて、ようやく体を休める事の出来た彼女の眠りを妨げるような事は決して
するものか、と。
- 142 名前:21X2w2Ib 2/4:2008/10/13(月) 00:55:10 ID:eHSNOUvH
-
「…欠席したのは、サーニャさんのためね?一人にしておけなかったんでしょう」
「違う」
だから、確認するように問うたミーナにエイラは間髪いれずに答えた。
「絶対に、違う。」
もちろんどんなことを言ったってこの状態を見れば何故エイラが朝礼を欠席してまで寝巻き姿のまま部屋にいるのか
なんて一目瞭然なのだけど──それでもエイラはあえて強く否定する。それはどこか懇願にも似た気持ちだった。
「私が勝手に残る事にしたんダ。サーニャは関係ナイ」
「……そう」
そこにミーナは空のような、海のような、深い深い蒼をしたエイラの瞳の中には情熱にも似た炎が宿っているのを
見て驚いた。よく聞くといつもと同じ、平坦なスオムス特有の訛りで話しているはずのエイラの言葉には、普段見られ
ないような熱っぽさがあった。必死。とても簡単に彼女の様子を表してしまうなら、まさにそんな言葉がぴったりだろう。
…もちろんそのときのエイラの表情は、口調は、そんな短い言葉で表すことの出来るような単純なものではなかった
のだけれど。
(この子は、こんな顔をする子だったかしら)
少なくともミーナの記憶の限りでのそれとは、全く違っていた。
スオムスのトップエースであったエイラがその功績を買われてこの部隊に配属されたのは半年ほど前になる。その
口調も相まってか、ミーナはエイラを『抑揚の無い人物』だと思っていたし、実際いたずらをするとき以外は大抵
エイラは詰まらなさそうなぼんやり顔で、誰よりもチーム内を冷静に見つめていたのだった。何かに執着する様子は
あまり見られなかったし、暇さえあれば怪しげな占い道具を取り出して何かを占ったりしている彼女は一言で
評してしまうなら『不思議な子』であったろう。祖国の部隊長からの紹介状の片隅に書かれていた『とても面倒見の
いい、優しい子です』との記述だって失礼ながら信じがたいとさえ思っていたほどだ。
「──いつから?」
ふ、と息をついてミーナもまたベッドの上、エイラの傍らに座り込んだ。もちろんサーニャを起こすことのないよう
細心の注意を払って。質問の意図がつかめなかったのだろう、エイラがきょとんとした顔をして首をかしげる。
「…サーニャさんは、いつからエイラさんの部屋に来るようになったの?」
エイラ越しに見える、サーニャの寝顔。そして手馴れたエイラの対応。さらにエイラが朝礼を欠席するようになった
のがここ数週間の事であると言う事を考えると最近ではあるだろうが少なくとも今日がはじめてではないのだろう。
ミーナはそう冷静に推測した。
「それは…」
「そのぐらいの報告はしてくれてもいいんじゃない?」
なおも言いよどもうとするエイラを笑顔で制して努めて優しく語りかけると、困ったようにサーニャを見ていたエイラ
が小さく息をついて、ぼそぼそと呟いた。
「…2週間ぐらい前から、カナ。多分自分の部屋と間違えてるんだと思ウ。」
いやそれはないだろう、と内心思うも、エイラの口調の真剣さにミーナは何も言わないことにする。
「それから、いつも?」
「ちちち、違うヨ!!タマに……ときどき……よく……」
しぼむ言葉の端に、どうしても嘘を隠しきれないエイラの幼さと言うか、素直さが見え隠れする。困り果てて
うつむいては、またサーニャの寝顔を目にしてさらに弱り果てるのを先ほどから何度目にしたろう。
ふう。ため息をついて、確認のためにゆっくりと口にした。
「要するにエイラさん。あなたが朝礼を休んだり、遅刻してくるときはいつも、ね?」
返答はなかったけれど、エイラがひどくバツの悪い顔をしたのでミーナは違いない、と確信する。念を押すように「そう
なのね?」重ねて尋ねるとようやっと、観念したようにエイラはうなずいた。ごめんなさい。謝罪の言葉を重ねる
エイラの頬と耳とが気恥ずかしさに紅に染まっているのをみて、つい顔が緩んだ。
(良かったわね)
心の中で呼びかけるのは、サーニャに対して。まるで日向ぼっこをしている猫のようにすっかりと懐いて体を寄せて、
こんなにまで気を許してくつろぐサーニャを他の誰が見たことがあるだろう。少なくともミーナにはなかった。…眠た
そうにぼんやりしている姿ならいくらでも見た事がある。けれどそれでもサーニャは目を覚ましていようと懸命でいて、
その姿は痛々しいぐらいであったから。
- 143 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:55:17 ID:WzMYIBLD
- あるときサーニャの弱さというか脆さを間近に見せ付けられて
突然母性本能に目覚めるわけですね。
うん、リーニャはアリだな。いける気がする。
- 144 名前:21X2w2Ib 3/4:2008/10/13(月) 00:55:51 ID:eHSNOUvH
-
「サーニャさんはね、とても生真面目な子なのよ。気に追いすぎてしまうというか」
知ってる。うなずくエイラ。
「故郷の街が陥落して、ご両親と離れ離れになっているのが応えているのかしら。休み方も知らないで、とにかく
自分がやらなくてはと無理をしていたわ。」
「夜間哨戒のあとも寝ないで朝礼に出テタ。サーニャ、ほとんど寝てなかっタ」
そこまで見ていたのかと舌を巻くくらいにエイラは一月前に配属されてからのサーニャの様子を的確に捉えていた。
他の隊員は果たして気がついていただろうか?それは分からないけれど、少なくともエイラは、ミーナも知らない
うちにサーニャの事をひどく気にかけていたのは事実だ。どんな言葉をかけ、何をしてやっていたのかまでは
わからないけれど。
「サーニャ、すごい疲れてるんダ。魔力も使い果たしテル。だから中佐、サーニャをゆっくり休ませてやってくれヨ」
懇願する声もまた、サーニャを起こすことのないようにと小声になっているところにミーナはエイラの優しさを見る。
几帳面な字で書かれたエイラの上官の言葉。『優しい子です』の文字。エルマ、と言ったろうか。顔は知らない
けれど、彼女は相当エイラの事を理解しているのだな、と思う。けど、これからは、少なくともこの部隊にいる間は。
(私が、そうでなくてはいけないんだわ)
エイラにとってだけではなくて、サーニャにとっても、他の隊員にとっても。
上辺だけに惑わされない、きちんと本質を見抜ける上官に、自分はならなければ。唇をかみ締めてこちらを見ている
エイラを見やりながら、ミーナは思う。だってこの基地では、この部隊では、自分が彼女らの隊長なのだから。
「…そうね。サーニャさんは咎めないことにしましょう。」
もともとサーニャを咎めようとなどは露ほども思っていなかったミーナであるが、そう口にするこことでエイラが
ほっと胸を撫で下ろしたので満足した。けれどそんな表情を打ち崩すように「でも。」否定の言葉を重ねる。
「エイラさん、あなたには罰を与えます」
エー、と小さく抗議の声を上げるエイラに、ぴしゃり。
「当たり前でしょう。どんな理由があろうともあなたが朝礼を何度も欠席したのは事実だし、それに対する報告義務も
怠っていたのよ?部隊の規律に関わります。……それに」
そして後ろに手を伸ばして、そこから、ぽん、と。
彼女の頭の上に手を置く。びくりと跳ねるエイラの反応に笑んで、ミーナはゆっくりとその頭を撫でた。
「みんな、心配していたのよ?サーニャさんの事についてはむしろ安心したけれども…姿が見えないと、心配するでしょう?」
ミーナの言葉に、「ゴメンナサイ」。また、謝罪の言葉を重ねるエイラ。頭部を撫で付けるその感覚に、故郷にいた頃の事を思い出す。
(エルマ隊長、元気にしてるかな)
そう言えば彼女もよく、幼い自分の頭を撫でてくれた。頼りない、と陰口を叩くものだっていたけれど、エイラは彼女の
優しさや一生懸命さをとても尊敬していたし、彼女のような人間になりたいと強く思っていた。
「それで、私は何をすればいい?トイレ掃除?洗濯?炊事カ?」
故郷への懐かしさを振り切るように尋ねる。一番最初のものだけはいやだなあ、と内心思いながら。
「エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉。」
「…ハイ。」
でも、まあ。サーニャに迷惑がかからないのなら、それが一番か。そんなことを考えながら、呼びかけられた
フルネームに返事をする。いつもと同じ、微笑を浮かべながらエイラを見ているミーナの瞳に深い慈愛の念が
こめられていることにエイラは気がついていない。
- 145 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 00:57:23 ID:eHSNOUvH
-
「貴官に自室禁固を命じます。今日は一日、リトヴャク中尉に付き添うこと。…いいですね?」
命ぜられた処分にエイラの目が丸くなる。
「エ…イイノ?」
「これは命令です。少尉、返事は?」
「ハ、ハイッ!!」
叫んだ拍子にエイラの体が揺れて、むくり。サーニャが起き上がった。固まっているエイラをよそに眠そうにあくびを
して目をこするサーニャにミーナは微笑んで話しかける。
「おはよう、サーニャさん」
「…はい…おはようございます…」
それでも自分がエイラの服のすそを掴んで離していないことを彼女は気付いているのだろうか。…恐らくは無意識
だろうけれども。
エイラは何も言わない。ただ嬉しそうに笑って、ゆっくりと手を伸ばしてサーニャの頭を撫でるのだった。それに応える
かのように体を寄せて、サーニャも淡く笑う。
それは優しい飼い主と甘えん坊の猫のような、もしくは仲の良い恋人同士のような。
そのどちらもミーナの知らない顔で、戸惑うと同時にもっと温かい気持ちも湧きあがってくる。胸の奥に引っかかって
いたつかえが取れたような気持ちだった。
「あれ…なんで中佐がここに…」
ふと気がついたように呟くサーニャ。まだ寝ぼけているのだろう、しきりに首を傾げては、分からないといった様子で
目を細める部下をミーナはこの上なくほほえましい気持ちで見つめた。
そして同時に、少しいたずらをしてみたい、と言う気持ちも湧く。そう言えば普段の雑務に追われて特にこの二人とは
ほとんど一緒の時間を過ごしたことがない。
「サーニャさんがあまりにも気持ちよさそうに眠っているものだから、私もご一緒させてもらおうと思って」
言いながらミーナはエイラのベッドに倒れこんだ。先ほどまでのサーニャと同じように体を寄せて目を閉じる。窓際に
あるベッドには昼前の、柔らかな日の光が差し込んできて、なるほど、これはいい心地だ。「なにしてるんダー!」そう
叫ぶエイラの声なんてもはや耳に入れない。
しばらくすると、エイラもあきらめたようにベッドに倒れこんでしまった。
「…ミーナ隊長も、たまにはゆっくり休んだほうがいいと思うヨ」
つかみ所がないほどに奔放な言葉が、毛布の代わりに掛けられる。そうね。そう返答すると、満足げに立てられる笑い声。
とりあえず、あの生真面目な副官がやってくるまでこうしていようと、ミーナは思った。
───
以上です。
毎度のことながら百合要素が薄くて申し訳ありません
タイトルは無題か、どなたかのご提案にお任せいたします
- 146 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 01:01:09 ID:WzMYIBLD
- >>145
にゅわー!割り込み申し訳ない。ジャンピング土下座
GJ!!ミーナさん優しいですね。こんな上司が欲しい……。
エイラは是非みんなに後押しされているべきでありますな。
- 147 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 01:10:19 ID:WqoYjvGm
- >>145
グゥレイトォと言わざるを得ない
こういう隊員のつながりを感じさせる話作り好きだなあ
純粋に良い話だ
- 148 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 01:26:14 ID:4kuM1hHi
- こういうのはいいなあ
エイラがんばれ
- 149 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 01:40:45 ID:4wh8te3e
- >>145えがったです。やっぱこれだよ、これ。隊員同士の絆つうの? 本編でもそこまで広くは描かれなかっただけあって、こういうお話に飢えちゃうわけですよ。「つながり」ってやつに。。
と、いうわけで…
うまい人の後の投下というのは毎度毎度気が引けるんですが、投下します。
t26gFAxTです。
前回投下分にレスいただき、ありがとうございます。
嬉しいです。
で、今晩はというと、学園ウィッチーズと、昼寝後に突如頭に降りてきた今流行り?のシャーゲルをば。
- 150 名前:《ナナしのオンド》/砂糖専用匙:2008/10/13(月) 01:43:33 ID:9+8r+DWZ
- >>145gj
をしつつ、あっしも投下をば
捏造気味な電波型・ネウ子の独白です
↓
コレのカタチは『アレ』のカタチ
ハヤいし・『アレ』はオドロくし
それにきっと『ココ』にはイチバンコワいカタチ
でも・この『アレ』ってコワいのかな?
チイさくて・カタくなくて・ブキもナい・ヨワいカタチ
『アレ』にはナニがアるのか・シりたい
〜
ジョウ報をモラった、『ヒト』は皆『アレ』じゃない
『アレ』とオナじ形なのに飛べないのが不思ギ
『ヒト』のはヨワい
『アレ』は飛べるし、光がウてるのに
あ、でもコレも『アレ』の形だけど、『アレ』でも『ヒト』でも無いから
コレも不思ギだった
〜
また、ココから一つ無くなった
夜のクロくて白い『アレ』ともう一つ白い『アレ』と新しい『アレ』
あの一つは夜のクロくて白い『アレ』の影響でココで一つだけ意味の無い音を出してた
でも何ゼかあの不アン定な音の情報はコレの『ココ』に残している
不必要なはずなのに不思ギだ
〜
- 151 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第5話 夕暮れ、教室の中で:2008/10/13(月) 01:43:41 ID:4wh8te3e
- 放課後。
ロッカーを開けたエイラは、あふれ出た手紙を廊下にぶちまけた。
両隣にそれぞれ立っていたリーネとペリーヌが目を点にする。
「エイラさん、まったくあなたって人は…」
「これでも整理してるんだヨ…」
「読む気が無いなら、潔く廃棄してはいかが? 応える気も無いのに保管されるのも心苦しくてよ」
ペリーヌのきっぱりとした意見に、エイラは言い返せなくなる。
確かに、これらの手紙に書かれているであろう各々の気持ちに、応えることはできないだろう。
眉間にしわを寄せるエイラを見て、リーネは自分のロッカーから紙袋を差し出す。
「と、とりあえず、これに入れて寮の部屋に移したほうがいいよ」
「そうだナ…」
一足先に帰っていくリーネとペリーヌに手を振り、エイラはエルマのいる準備室へ向かう。この間のように外で待っていてもかまわないのだが、サーニャに余計な心配をかけることが憚られたからだ。
エルマの準備室前にたどり着いたエイラはドアに手を伸ばすが、漏れたアホネンの高笑いに手を止める。
行儀が悪いので、気が進まないが、聞き耳を立てると、教師同士で放課後の談話をしているようだった。
エイラは方向を変え、屋上に足を向けた。
- 152 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第5話 夕暮れ、教室の中で:2008/10/13(月) 01:45:11 ID:4wh8te3e
- 学園の一隅にある大型格納庫――
過去の戦いで用いられたストライカーがずらりと並んでいる。
今でこそ実戦で使用をする機会は無いが、学園のウィッチたちは、その能力を買われ、人命救助に借り出される場合もあり、メンテナンスは不可欠である。
基本的に、整備は、専門のスタッフが行っているが、シャーリーはもともとの機械いじり好きも相まってか、放課後はいつも格納庫に寄ってから帰るのが日課となっていた。
手馴れた手つきで工具を持ち換えては、手際よく作業を進めていく。
自然とあふれでる鼻歌。
ふと視線の端に動くものに気づいて、振り返ると、焼けた肌の、ゆるい巻き毛の銀髪の少女が立っていた。
少女は、振り向いたシャーリーに満面の笑みを浮かべる。
シャーリーは持っていた工具で頭をぽりぽりかく。
「何の用ですか。チュインニ先生……」
「ジュゼッピーナでいいわよ」
チュインニはウィンクを返す。
シャーリーは、年上ながらも姿かたちは年下な容姿の、それでいて教師である彼女のモーションのようなものに、たじろいだ。
チュインニは、ずいっとシャーリーに歩み寄る。ちょうど、シャーリーの胸の辺りから、チュインニの翠瞳が見上げる形となる。
シャーリーは素直に心の中で感想を述べる。綺麗な目だ、と。
しかしながら、相手がルッキーニであれば、なんでもない状況ではあるのだが、チュインニは教師であるためか、それとも、なぜか誘惑されているような気配を察してか、背徳感のようなものを感じ、頬が引きつる。
チュインニが自らのカフェオレ色の唇を赤い舌でちろりと舐めた。
シャーリーの心臓が、脈打つ。
「シャーリー、差し入れ持って来たよ〜!」
ルッキーニが、クッキーの箱を片手に格納庫の大きな入り口からぴょいと顔を出す。
シャーリーは助け舟が来たかのように、思わず、おおっと口に出し、ルッキーニのほうへ顔だけ向ける。
チュインニが、隙ありと言わんばかりに、シャーリーの頬に軽く口づける。
「ちょ、ちょっと先生!」
シャーリーは、チュインニから離れる。
ばさりと落ちるクッキーの箱。
顔を伏せたルッキーニ。
「ル、ルッキーニ……?」
シャーリーは、ただならぬものを感じて、つばを飲んだ。
ルッキーニはめいっぱいの声を張り上げた。
「こぉのスケベ教師いいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
耳を塞ぐシャーリー。
チュインニはというと、あっけらかんとし、いつのまにやら間を詰めていたシャーリーに後ろからしがみついて、決して豊かとはいえない胸を背中に押し付けた。
「シャーリーから離れてよ!」
「いや」
「教師の癖に生徒に手を出していいと思ってんの!」
「そこに愛があれば、問題ないんじゃないのかしら」
「いや、誤解を生むような発言はやめてください。まだそこまでの関係じゃないし。ていうか、降りてください……先生。ルッキーニを怒らせると後で大変なんで」と、シャーリーが冷静につっこむ。
チュインニのとろりとした翠瞳がどことなく勝ち誇ったようにルッキーニに配せられた。
「この際はっきり選んでくれたら、彼女もあきらめがつくんじゃないの」
「そんなこと言われても……」
シャーリーの目の前にいるルッキーニは頬を膨らませ、うーっと低くうなって、涙目でシャーリーを見上げる。
チュインニがさらに強く抱きついてきた。
ルッキーニの釣り目に涙が浮かび始める。
シャーリーは、チュインニの腕を外し、彼女を降ろした。
そして、ルッキーニをじっと見つめ、口を開く。
「とりあえず……」
息を呑む、ロマーニャ娘の二人。
「今日はここまでってことで」
シャーリーは陽気にそう言ってのけ、持ち前の足の速さを生かして、グラウンドへ駆けて行く。
追いかけるチュインニ。
そして、彼女を引きとめようとするルッキーニ。
- 153 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第5話 夕暮れ、教室の中で:2008/10/13(月) 01:45:47 ID:4wh8te3e
- 「なにやってんだ、あいつら……」
エイラは、屋上から、ロマーニャ娘二人に追いかけられるシャーリーを見下ろして、つぶやいた。
強い風が彼女の髪を吹き乱す。
寒くはないが、サーニャを心配させるのも嫌なので、エイラは、今度は自分の教室へ向かった。
教室にはすでに誰もおらず、静まり返っていた。
エイラは、自分の席に着き、ふうっとひと息ついて天井を仰ぎ、手に持ったかばん、そして、紙袋の順番で視線を移す。
――読む気が無いなら、潔く廃棄してはいかが? 応える気も無いのに保管されるのも心苦しくてよ
「でも、せっかくもらったものだしなぁ…」
エイラは、迷いながらも、手紙に手を伸ばし、封を切り、読み始める。
手紙には、各々の少女たちの、エイラへの想いが、短い言葉や、数枚に及ぶ内容でつづられていた。
想定どおり、完全なる恋文もあれば、エイラに憧れているといったファンレター的なものまで内容も様々であった。
自分がまだ気づいていない自分を描写された内容に、エイラは驚きながらも、照れくさいようなこそばゆさを感じる。
しかし、そのこそばゆさは、サーニャに対し感じるそれとは違っていた。
カーテンのかかっていない窓から、まっすぐに差し込んだ夕日が、エイラの白い肌を暁に染めていた。
エイラは、うっすら、目を開ける。
夕日に照らされた銀髪。
かがんだサーニャの翠の瞳が机に伏せていた彼女を見つめていた。
ちらばった手紙から顔を上げて、エイラは飛び起きる。
落ちた手紙を、サーニャは拾い、エイラの隣の席の椅子にすとんと座り、エイラに渡す。
エイラは散らばった手紙をかき集めた。
読まれただろうか。
いや、まさか、サーニャがそんなことをするはずが無い。
仮に読まれたとしても、彼女は友達なのだからそれを咎める権利は――
違う。
サーニャは友達ではない。
友達なんかではおさまりきらない。
エイラは、押し込めていた自分の気持ちを静かに引き出し、サーニャへの、友達以上の気持ちを、自覚する。
途端、湯が沸いたように、顔が熱くなった。
すぐ隣いるサーニャへ顔を向けることもできず、硬直する。
- 154 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第5話 夕暮れ、教室の中で:2008/10/13(月) 01:46:24 ID:4wh8te3e
- サーニャは、そんなエイラに気づいてか、気づかずか、穏やかにつぶやいた。
「エイラって、人気者だね」
「そ、そんなんじゃ…ねーよ…」言葉とは裏腹に、か細いエイラの声。
「ううん。そうだよ……。うちのクラスでもたまに女の子たちが話題にしてた」
そう。
エイラは人気者。
たまにクラスの子たちにエイラの事を聞かれるが、答えない事にしている。
違う。
正確には答えられない。
私は、エイラの事をまだ何も知らないんだ。
同じ屋根の下で暮らしているのに。
手紙の子達と、大差はない――
サーニャは、一人、考えて、導いた結果に落ち込んで、瞳を伏せる。
エイラは、言い返すことを止めて、かき集めた手紙をとんとんと机で整え、紙袋にばさりと手紙を押し込む。
「……私も、負けてられないな」
自分に言い聞かせるように、ごくごく小さな声でつぶやいて、サーニャは立ち上がる。
エイラは、聞こえなかったらしく、ようやく緊張の解けた首を回して、サーニャを見上げた。
サーニャは、ぽかんとしているエイラを見つめ、ふいに、独占欲のようなものが湧き出て、彼女を立ち上がらせる。
「早く帰ろう」
そうすれば、話す時間が増えるから、とサーニャは心の中で付け加えた。
第5話 終わり
- 155 名前:t26gFAxT:2008/10/13(月) 01:48:12 ID:4wh8te3e
- ぐおお。他の方とかぶってしまった……。
>>150さん、投下どうぞ。
- 156 名前:《ナナしのオンド》/砂糖専用匙:2008/10/13(月) 01:48:34 ID:9+8r+DWZ
-
『アレ』と直接の接触をした
確かにコレと似ている形だ
この『アレ』は新しい『アレ』、あんまりウってこない『アレ』だ
サッ速情報をスってみた、ウってこないからやりやすい
そうしたら新しい『ウィッチ』も同じ事をしている
『ウィッチ』も情報を吸ってるの?
でもこの『ウィッチ』警戒も無かった、もしかすると新種?
※
《タノしい》
※
…何?
コレは《タノしい》…《ヨシカ》の《楽しい》
―もっと知りたい
『ココ』で共有すれば知れるかもしれない
・〜・〜・
失敗、他の『ウィッチ』は『ヨシカ』じゃなくて『アレ』だった
『アレ』なのに、楽しい『ヨシカ』は何?
〜
感覚がまた反芻する
そのたびコレの『ココ』は熱を帯びる
『ヨシカ』から受けた感覚情報は『ココ』に熱が溜まる
コレにもココにも無意味な情報
あの音と同じ、無意味のモノ
だけど今なら共有できる感覚
でもコレには情報がまだ足りない、まだ『カンジョウ』とゆうのはわからない領域だ
だからその事は『ヨシカ』からまた読みたい
『タノしい』も『ウレしい』も『スき』も、不思ギ
この温かい感覚をワタシは発したい
「※《芳佳》※」
《芳佳》ともっと『ココロ』を繋ぎたい
《芳佳》にこの温度を伝えたい
- 157 名前:砂糖専用匙:2008/10/13(月) 01:52:32 ID:9+8r+DWZ
- >>149
うわ、すいませんラグで挟まってしまいまして申し訳ありません。
とりあえずこちらは以上です、読みづらい文の上に挟まってしまいホントすいません
では失礼します。
引き続きどうぞ
- 158 名前:すべてを捧げて 番外編 「解散間近」:2008/10/13(月) 01:57:58 ID:4wh8te3e
- ガリアからネウロイの巣が消え去って、数日、第501統合戦闘航空団の解散があと数時間と迫っていた。
ミーナの部屋にて、ゲルトルートは、目を覚まし、慎重に体を起こす。
ベッドのそばの時計は4時をさしていた。
彼女のすぐ隣で、ミーナは深い眠りについている。
ゲルトルートは、しばらくミーナの寝顔に見入った後、彼女を起こさないよう、ブランケットをかけ直してあげてから、立ち上がり、床に散らばった服を着こんで、部屋を後にする。
大浴場――
ゲルトルートは、服を脱ぎ、髪を解きかけた時に、別の棚の籠に、リベリオン陸軍の軍服が入っていることに気づく。
「おっす」
一足先に湯に浸かっていたシャーリーが、ゲルトルートに顔だけ向けて、手を上げる。
ゲルトルートは、ああ、と短く返して、シャワーのほうへ向かい、髪を洗い始めた。
シャーリーはゲルトルートが洗髪に専念している間に、湯の中を進み、彼女の真後ろから、眺め始めた。最初のうちは、にやついていたが、しばらくして、思案顔に切り替わる。
髪を洗い終えたゲルトルートは見つめられていることに気づき、ぎょっとするも、気を取り直し、シャーリーに並んで、湯に入った。
ゲルトルートはじっと目をつぶり、微動だにしない。
シャーリーは、そんな彼女にちらりと視線を移し、口を開いた。
「髪、おろしてんのもいい感じなのに、下ろさないの?」
「戦いの邪魔だからな」
「じゃあ、ハルトマンみたいに短くすりゃいいじゃん」
「それは…」
「オトメゴコロってやつ?」
ゲルトルートはぱっと目を開く。
シャーリーは、珍しいものを見つけた子供のような顔をして、言葉を続けた。
「こんな時間に来るなんて、もしかして、中佐とお楽しみのあととか?」
「な、何を?!」
あまりの動揺ぶりにシャーリーまで目をぱちくりする。
「うっそ、まじかよ。っかぁ〜、あんたもやるときゃやるんだねえ大尉ぃ」
ゲルトルートはしまったと言わんばかりの顔で、自分の額を手の平でこすり、観念したかのように、湯に深く浸かった。髪が湯に漂う。
「……あまり、他言するなよ。お前はそういうところはわきまえていると思うが」
「お。嬉しいこといってくれるね、信頼してくれてるなんて」
「それなりに一緒にいたのだから、当たり前だ」
「そう、だな……」
ゲルトルートの真摯な言葉に、シャーリーは、思わず胸に迫るものを感じ、声のトーンが落ちた。
あと数時間で、皆が起床し、朝食を食べ、そして、解散――
翌日には大西洋を飛んでいるのかもしれない。
シャーリーは、考え込む。
そんなシャーリーの態度に、ゲルトルートは、気遣うように言葉を切り出す。
「……イェーガー、ひとまずリベリオンに帰るのか?」
「いや、ロマーニャ行ってルッキーニおろしてから帰る……のかな?」
「なんだ、歯切れが悪い」
「まだ実感わかなくてさ。本音を言うと、まだあいつのそばにいてやりたいっていうか」
「まさか、リベリオンの陸軍を抜ける気か」
「いや、さすがにそれは……。でも一瞬考えたかも…」
指で頬をかくシャーリーに、ゲルトルートは呆れたように息を吐いた。
- 159 名前:すべてを捧げて 番外編 「解散間近」:2008/10/13(月) 01:59:02 ID:4wh8te3e
- 「まるで子離れできない親だな」
「うっさいよ、シスコン」
「な、なんだと?!」
「ははは、悪い悪い。そういえば、言いそびれてたけど、妹さん、目ぇ覚まして良かったな。とはいっても、原隊復帰するなら、ブリタニアにはあまり行けそうもない、か…」
「ひとまず、明日以降は、ミーナとエーリカと数日ブリタニアに寄る予定だ」
「そっか、しばし戦士の休息ってやつだ」
「最初で最後の"戦士の休息"になればいいがな。それに、クリスの体が本調子になるまでに、すべての巣を殲滅できれば一番いい」
「ほぅ、現実主義者に大尉がそんな大きな目標を掲げるなんて珍しいですなぁ。これも愛の力がなせる技ですかね」
シャーリーがいつもの調子に戻って、ゲルトルートの肩に腕を回し、引き寄せる。
ゲルトルートは、言い返せず、のぼせたのか、照れているのか、ことさらに頬を染めた。
シャーリーは、しばらくゲルトルートに肌を密着させた後、離れて、湯から上がり、縁に座る。
「私も……、一日も早く戦いが終わるよう頑張るから、あんたも無茶せず、頑張ってくれよ、大尉」
ゲルトルートは、シャーリーの言葉を真剣な面持ちで聞き取ると、
「ああ。死ぬなよ、シャーリー。また会って、食卓で"電撃戦"をしよう」
と、言って拳を突き出す。シャーリーは珍しく名前で呼ばれたことに驚きつつも、同じように拳をつきだし、こつんとぶつけた。
「約束だよ」
ゲルトルートを残し、一足先に脱衣所にやって来たシャーリーは、入浴準備をしていたミーナに気がつく。
「おはようございます」
「おはよう、シャーリーさん」
いつもの微笑みを返すミーナ。シャーリーは、服に手を伸ばしかけ、意を決したかのように、ミーナに向かい合った。
体にタオルだけを巻いた状態で。
「こんな格好であれですけど……。明日、みんなの前でかしこまるのもなんか恥ずかしいし、辛気臭くなっちゃうから、今言います。今まで、ありがとうございました」
ミーナは、いつになく軍人然としたシャーリーに最初こそ驚きつつも、目を細めた。
「……至らないところもあったかもしれないけど、今まで、お疲れ様。原隊での活躍、期待してるわ」
ミーナはぴんと背筋を伸ばして、手を差し出す。
シャーリーも背筋を伸ばし、ミーナの手を握り返した。
「さよならは言いませんよ?」
「ええ」
二人は、互いに、力強い面持ちで、決心を新たにうなづきあった。
すべてを捧げて 番外編 「解散間近」終わり
- 160 名前:t26gFAxT:2008/10/13(月) 02:00:45 ID:4wh8te3e
- 投下完了です。
書き忘れましたが、保管庫管理人さんも保管ありがとうございます。
読み返してみると死ぬほど誤植見つかりまくったので、いずれまとめて修正依頼を。。
- 161 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 02:19:58 ID:Dj9s5pFX
- >>157
GJっ……!
ついに……
ついに……ネウ子参戦っ……!
- 162 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 02:26:31 ID:tqd50CbT
- >>154
学園ウィッチーズいいわー・・・
- 163 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 05:50:01 ID:ht7xXVzA
- >>137
そんなのあったっけ?って今保管庫調べてみたら、書いたの俺じゃねーか
自分で書いといてすっかり忘れてたorz つか今読み返すとホント酷いな
マイナーどころではもっさん×リーネあたりが意外とないんだよな
師弟関係だし結構妄想し甲斐があると思うんだけど
- 164 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 06:18:44 ID:Lo2TfeL1
- 初めは芳佳を巡るライバルだったのがだんだん…ってやつですね
- 165 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:27:17 ID:Zopfa4e4
- >>49のつづき(識別用タイトルを装備してみた)
ゲルトルートとエイラの二人が隣り合って朝食をとる姿は、すっかり見慣れたものになっていた。
ゲルトルートは食堂にはいってくるなり、きびきびとした足取りでキチンに向かい、プレートをとる
と、寝ぼけた様子のエイラをせっつき、つぎつぎにメニューをそのうえへ乗せていく。エイラはたち
まち好き嫌いをいったが、ゲルトルートはゆるさなかった。ジャガイモみたいに退屈なカールスラン
ト的格式で、ていねいに説きおこすのも聞きなれたものだった。
「どこがいやだって言うんだ? なに、そんな顔をして。ふん」と、ゲルトルートははじめた。
「嫌いでも食べるんだ。いいか、食事というのはバランスだ。
なにかを摂って、なにかを摂らない、なんてことがあれば偏りが出る。何事も基本はこういった些細な―――」
「だってみたのか、これを?」エイラがさえぎって言った。
「ひどい色してるじゃないか。もう、今日は、朝食はいいや」
エイラは食事に関しても全体的には無関心な態度をとったが、今は(彼女の言い方では)ひどい色をし
ている「それ」を、皿の上で転がしながらじたばたしていた。ゲルトルートは、またいつものわがま
まがはじまったな、と思った。
「よくはないさ、ちっとも」と、まるで姉のような口ぶりで言った。
「食事も任務のうちだ、ほら、どうせ食わず嫌いだろう」
そう言って、彼女が自分のカトラリーから食べさせてやるほどの過保護ぶりを発揮しても、もう誰も
それに驚くものはなかったし、エイラもそうして食べさせてもらえるので、ときとして自分の食器を
とりあげることさえ忘れることも、しばしばだった。
エイラはゲルトルートの差し出す手からにんじんのピクルスを食べ、顔を歪めながらもぐもぐやった。
ゲルトルートはそれを横目でうかがいながら、満足そうにうなずき、エイラの皿を自分の方へ引き寄
せてソーセージを切ってやる。
「うー」と、妹の方はうなって少しからだをゆすったりした。相手がぜんぜん自分をみていないのに
気づくとすぐにあきらめた。それで仕方なく言った。
「食べられなくはない」
「だろう? まったく」
「でも色をみただろう?」
- 166 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:28:35 ID:Zopfa4e4
- 「それは、みたさ」と、ゲルトルートは言った。そして皿の上のにんじんをナイフの先で指した。
「ほら、まだこんなにあるんだからな」
「もう、一つだって食べないぞ」
「なるほど、そうか。さあ、それならこっちを食べるといい」
ゲルトルートは切り分けたソーセージの皿を差し出した。それから、真っ白でパリッと音のしそうな
ハンケチを取り出すと、妹の首もとにそれをねじこんだ。やれやれ、と言いながら眉をよせて困った
ふりまでして見せたが、楽しげな様子を隠しきれない。
―――――――――
誰の目にも仲良しそのもののありさまを、しかしさいしょから今にいたるまで、しぶとくねめまわし
続ける人物があった。仏頂面のエーリカが、隣に座るペリーヌに、聞かれもしない不機嫌のわけをい
きなり開陳しはじめた。
「なにあれ、かわいこぶっちゃってさー。ねえ、どう思う?」
エーリカはイスのうえに肩膝を抱えこんだ状態で、ぐたっとテーブルに身体を投げ出し、頭上にフォ
ークをふりまわした。山盛りのマッシュポテトをたたえた皿を、せわしなくそれでたたいたりもした。
「特にどうということもありませんわ。任務に差し障りがありませんのでしたら、好きなことをなさって結構じゃありませんの」
ペリーヌはエーリカの体裁をとがめるような目で見たきり、とくに注意せずことに決めて、自分は立
派なそぶりで料理を口に運んだ。ついでに相手の述懐に対しては、どうでもよい、と言うふうなこと
を言っておいた。だが「少佐じゃなきゃ関心なしってこと?」と、たちまち食ってかかられた。
「へえ、そうか。じゃあ坂本少佐が宮藤にあんなことしたら?」
「なっ! 坂本少佐はそんな真似、決してなさいませんわ!」
「そうは言ってもなー。ほら、だって、二人はいつも隣同士に座っているし、」
エーリカは持ち上げたフォークの先で、すっと彼方を指し示す。ペリーヌは誘われるままその方角を
見やった。満足げにふふんと笑う気まぐれなダックスフントの関心はもう、さいしょのところにはな
い。つまり今やすっかりご機嫌になって、ペリーヌの混乱を誘うことを目指したちょっとしたいじわ
るに夢中だった。
- 167 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:29:35 ID:Zopfa4e4
- 「訓練でずっと一緒にいるし、宮藤のこと、特別に気にかけてるのは間違いないって」
と言うと、睨みつけてくるペリーヌに対しにやりと笑って、「時間の問題だな」と結んだ。
言われてみればたしかに、彼女の視線の先には、隣り合ってさも楽しそうに食事を摂る、扶桑の師弟
の姿がある。そんなことはない、ときっぱり撥ねつけたくもあったが、見ればみるほど親密なその様
子に、千兆の千倍もある否定のことばは、口の中からなかなか飛び出すことができない。
「めずらしく饒舌なのね」
と、言ったのはミーナだった。彼女は自分の朝食を運んできた。狼狽があらわになったペリーヌを通
り過ぎ、いつの間にかエーリカの後ろをとってにっこりとほほえみをたたえながら、部下のすばらし
い姿勢を注意した。
「お行儀が悪いわよ。余所見ばかりしていないで、ちゃんと食べなさい」
「げっ、ミーナ」
エーリカは跳びあがるほどぎくっとして、すぐに短いズボンだけの足をさっと床にふりおろした。し
かし上半身は、べたっと伸びたままだった。
「それで、誰と誰が時間の問題なのかしら?」と、ミーナは言った。
「べ、別になんでも……」
とてつもなく優雅なそぶりでイスにかけながら、さらに嫣然とほほえむと、エーリカは半身をテーブ
ルから引っぱがし、姿勢をそれなりにただしてから猛然と山盛りのマッシュポテトをかきこみはじめ
た。こんどミーナは「あらあら」と笑った。
ペリーヌはしばらく二人を眺めていたが、やがてその笑顔の裏を見透かそうと決意し、皿へかがみこ
んだエーリカのうえからミーナの横顔を盗み見た。とたんにミーナがふりかえり、二人の目がかち合
った。次の瞬間、相手の大きな赤い瞳がカッと見開かれた。ペリーヌは一気に縮み上がって、愛想笑
いもままならないまま、正面に向き直るとエーリカにならった。
≪いっ、いくら相手が中佐といえども、ぜったいに負けませんわ。そうよ、勇気を出しなさい。
大丈夫、あなたは気高く勇敢なガリア貴族。そして恋は勇気よ、ペリーヌ・クロステルマン≫
ペリーヌは自分で勇気づけた。
- 168 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:30:43 ID:Zopfa4e4
- ミーナはもう必要がないとみてごく平凡に正面を向くと、芳佳の隣で世話をやく坂本を見やった。相
手はすぐに視線に気づき、眼帯を少しうえにずらすと、ふっと篭絡するような気障な笑みを浮かべて
みせた。ミーナはどきっと身体をはずませ、みるみる頬を染めた。みずからの胸をかき抱くようにし
たとたん、その手からナイフがすべりおち、からんからんと床に転がった。
「ミーナ、行儀わるーい」
エーリカは勝ち誇ったように言うなり、「ごちそうさまー」といって、逃げるように去っていったが、
頬に手をあてがってうっとりと目をつむり、もじもじと一人身をよじるミーナはエーリカを歯牙にも
かけなかった。その様子を見て、ペリーヌがすぐさま彼方を見やると、ナイフの持ち方を指導する坂
本が芳佳の手をつつみこむようにとっているのを目の当たりにした。憤慨のあまり飛び上がった瞬間
に、テーブルへしたたかにぶつけた手からはナイフが落ち、かしゃんと耳障りな金属音をひびかせた。
「お行儀が悪いわよ、ペリーヌさん、あなたも」
ミーナはやさしくたしなめると、いつの間に持ってきたのか、すでに別のナイフを手に持ち、貴族の
令嬢も顔負けの鷹揚な仕草で料理を口に運んでいた。
―――――――――
「ねえ、トゥルーデ、今日部屋の掃除手伝ってくれるんだよね?」
「ふむ。そのことなんだが」
ゲルトルートは席を立ったところで揚々と近づいてきたエーリカに呼び止められた。すぐにはっと、
いくぶんまずそうな顔をすると、所在ない感じにもごもご言った。
「悪い。今日はエイラの装備をみてやらなければならなくなってな」
「だって昨日、約束したじゃんさー」
「本当に済まないが……任務にかかわることだ、こちらを優先させてもらいたい。申し訳、ないが…」
「そんなのないよ。先に約束したんだから――」
本当に済まなそうにするゲルトルートを見ると、エーリカは譲る気にはさらさらならなかった。彼女
は片足で片足をぼりぼり掻いた。それは、できるだけ相手の気をそそるためでもあったが、おもに非
難のことばが冗談めくようにするための、ふざけた態度だった。
「頼むから聞き分けてくれ、ハルトマン」と、ゲルトルートが言った。エーリカは掻くのをやめた。
- 169 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:31:51 ID:Zopfa4e4
- 「今の状況、いつ襲撃があるかわからないんだ。早く済ませておかなければ、隊の機能に影響する――」
その言葉に、エーリカは眉をひそめた。もしかすると、エイラを名前で呼び、自分をそうしなかった
のが気に入らなかったのかもしれない。エーリカはとつぜん、自分でもおどろくほど怒りをあらわに
して言った。
「そんなのトゥルーデがやらなくたって整備兵が――――」
「ハルトマン」
嘆息し、ゲルトルートがとがめるように言った。(またその言い方!)と、エーリカは思った。
「わたしのことは、自分でやるからいいよ。約束があるんなら――――」
席についたままのエイラが、ゲルトルートの服をひっぱって、エーリカに対し遠慮がちに言ったが、
ゲルトルートは「そうはいかん」と、すぐさまむきになってそれさえぎった。
「なんだよそれ」エーリカはさも不満げにぼそっと言った。
「ハルトマン?」
ゲルトルートの呼びかけに対し、もういい、と捨てばちに言うと、ぷいっと急に背を向けてつかつか
と食堂を出ていった。
彼女が出て行くとき、入り口でサーニャとすれ違った。こちらはふらふらとおぼつかない足取りでや
ってきた。けれども立ち止まったり、堂内を眺めわたすまでもなくすぐにエイラの姿をみとめると、
他のどこにも目をやらずに一直線にそちらに向かった。
「なんなんだ、まったく」
エーリカの背中を見送りながら、かいもくわからない、と言うように二人は肩をすくめていたが、サ
ーニャがあらわれるとエイラはそっちに気をとられた。
「サーニャ」
と、すぐにエイラが言った。
「おはよう、エイラ。……バルクホルン大尉」
ああ、とか、うん、と言った感じにゲルトルートも応じた。なぜかと言うと彼女に、オラーシャ人の
娘の表情がどこか病的な印象をもたらしたからだ。
「朝食か?」
とエイラが尋ねた。サーニャは小さく「うん」と頷き、しきりにもぞもぞしながら「エイラは?」と
尋ねかえした。そのとき下からのぞきこむようにされたので、エイラは急に顔を赤くした。ばれない
ようにぷいとそらすと、もう済んだ、と、そっけなく言った。
「では行くか、エイラ」
「うん、じゃあサーニャ、また後でな」と言ってエイラは立ち上がった。
- 170 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:35:05 ID:Zopfa4e4
- 「……エイラ」
「サーニャ?」
行こうとするエイラを、サーニャは呼び止めた。か細い声だったから聞きのがしてもおかしくはなか
ったが、だからと言ってエイラが聞きのがすはずはない。それどころか、声の中にこもった不思議な
冷たさまで感じとった。
「一緒に」とサーニャが言った。
「でも…」
驚いたようにエイラは相手の顔をみたが、彼女はサラファンだか、ウールでできた、見慣れないエイ
ラの服の端をつかんでほとんどうつむいていた。言うまでもないがそれはゲルトルートの持ち物であ
り、顔をあげないサーニャは、それがちっともエイラに似合っていないと言いたげにも見えた。その
膠着状態のところへゲルトルートがすぐに分け入った。
「もう済ませたんだ。わたしたちはこれから銃器のメンテナンスに――――」
エイラ、ともう一度サーニャが、断ち切るように呼んだ。サーニャはエイラの服をひっぱってはなそ
うとしなかった。声は相変わらずとてもちいさく弱々しげだったが、しかしゲルトルートに対しがん
として譲らないふうだった。それで、上官にさながら身構えるような格好になった。ゲルトルートの
顔に、にわかに血がのぼってきた。苛立たしげに彼女は言った。
「リトヴャグ中尉、エイラは――――」
「いやっ!」
ふいにサーニャが悲鳴のような声をあげた。だが偶然にもまったく同時にサイレンが鳴りひびいて、
大きく痙攣する音波でたちまちそれを打ち消した。
「敵襲か! 出撃準備!」
坂本がそう号令すると、隊員たちはすぐさま飛び出していった。悲鳴を聞いたのはエイラとゲルトル
ート、そしてサーニャだけのようだった。その三人は、未だ鳴り止まないサイレンに身を震わせてい
るように、突っ立ったままでいた。
「なにをしているの、あなたたち!」と、呼びかけたのは隊長だ。
「ああ」
ゲルトルートが間髪いれずに応じたが、その目は驚きのあまりサーニャに釘付けだった。ミーナはた
だならぬ雰囲気をみてとると、こう指示した。
「サーニャさんエイラさんは基地に待機、もしもの場合に備えて。バルクホルンはすぐに準備にかかりなさい」
「しかし」
「急ぎなさい! 命令です!」
「わかった」
- 171 名前:クロウカシスの虜:2008/10/13(月) 07:36:28 ID:Zopfa4e4
- ミーナが厳しく追い立てると、ゲルトルートは暗い声で、だがきっぱりと応え、二人を一度だけ振り
返って出て行った。ミーナはそのあとについた。表情は険しかったが、先を走るゲルトルートの背中
に複雑な視線を投げかけていた。
エイラはその間中、サーニャから目をそらせなかった。相手は深くうつむいていて表情がまるでわか
らない。エイラはどうしていいかわからなかった。さきほどの悲鳴が、夢のような気もしていたが、
さしあたりはそれが誰の耳にも届かなかっただろうことを思って安堵した。窓の外を見ると、飛んで
いくウィッチたちの姿が見えた。エイラはサーニャとの隙間をもうちょっとだけつめて、肩にそっと
手をおいた。痛くすると困るから、そっとだ。
「……めん…さい…」
「え?」
「……ごめんなさい」
「いいって」
エイラはサーニャのことばを一日千秋のおもいで待ちわびていたから、声を聞くなりふっと気を抜い
てしまった。次の瞬間、軽く置かれた肩の手からのがれるようにしてサーニャは倒れた。
以上、続く可能性が
- 172 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 08:13:57 ID:3bsQGpjv
- 朝起きたら
むさろさんや学園他にも連載物の更新・・
今日一日良い日になりそうだ
- 173 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 09:16:15 ID:YZv/Xq2P
- >>171
待ちわびてたシリーズキテター!
エー→ゲルでサニャ→エイラとは、ワクワクが止まらない
それにしてももっさんジゴロすぎる・・・w
- 174 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 10:18:26 ID:LibULqeY
- >>158
遅くなりましたがGJ!!
私が一番好きなミーゲル作品の番外編が見れてとても嬉しかったです
シャーリーの反応を見ると、日常的に二人は無意識の内からイチャついてたんだろうなw
お風呂の中でもう一戦楽しんでるミーゲルを想像しつつ、これからの作品も楽しみにしてます
- 175 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 10:39:16 ID:eHSNOUvH
- 目が覚めたら投下ラッシュで吹いた
ネウ子に学園、ゲルエイラどれもGJ!!
突然だけどウォッカって結構強いお酒なんだよな?
お酒飲んでぐでんぐでんになったサーニャがところ構わずエイラに甘えまくる光景を夢想した
ルッキーニにはシャーリーが絶対に飲ませないような気がする
- 176 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 10:44:12 ID:GfnUlmRT
- やっぱりエイラとサーニャのカップリングを引き離すともう片方はどうなるのかという問題が出てくるんですね
- 177 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 10:51:48 ID:FuU8agEQ
- >>175
オラーシャ人ならお酒なんて水と同じなんだぜ!きっとそれはサーニャの演g
- 178 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 10:56:59 ID:UvQ/AoTG
- >>177
そっちのほうが尚更美味しい!
- 179 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 11:01:35 ID:F3Vnsk9a
- >>ルッキーニにはシャーリーが絶対に飲ませないような気がする
なら俺はあえてルッキーニがシャーリーにお酒を飲ませて×××になるSSを書いてみる
- 180 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 11:55:00 ID:m3+kKazk
- 酔った勢いでサーニャに抱きつこうとか考えるも変わらずヘタレてるエイラさんが安易に想像できた
- 181 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 12:04:07 ID:fMVOW0LR
- >>180
サーニャに関しては理性フルMAXなエイラさんだからね
だが我慢出来なくなって遂に押し倒しちゃうエイラさんも捨て難い…
- 182 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 12:53:13 ID:SM9aH2fm
- 仕事が暇だったんで書けました。
ニッカxエイラです。
ニパの性格は自分の中で、イラストコラムの雰囲気、元ネタの人、
カウハバ第一中隊の出身っていう勝手な妄想の3本柱で作ってます。
なんていうか、
>>106
が、「この土地を開墾しなさい」と提示してくれたにもかかわらず、
勝手にシベリヤの凍土を掘り返してるようでゴメンナサイ。
- 183 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 12:54:03 ID:SM9aH2fm
- ●スオムス1943 幸運の青十字
スオムスは相変わらずネウロイの脅威に晒されていたけど、あいつらに当初ほどの熱意は感じられなかった。
わたし達スオムス空軍第24戦隊は、時折襲い来るネウロイの空襲に対しながらも結構のどかな毎日を送っていた。
そんな初夏の昼下がり。
わたしはスクランブル当番で、同じく当番のニパと一緒に詰め所に居た。
そして二人で暇をもてあましていた。
「今日は結構暑いよな〜」
「どうせ今日もネウロイが来ないなら、さっさと待機時間終わって欲しいよな〜」
最近のネウロイの低調ぶりは腹立たしい程だった。
数日に一回は飛んでくるのだが、何よりも熱意を持っている私たちの当番の時に限って連中は現れない。
そんな日が続き、私はもう2週間以上も獲物にありついていなかった。
「ほんと。さっさとサウナ行って水浴びしてイッル抱きたいな」
「オイ!」
そんなニパの一言に、所在無くタロットを並べていたわたしは手を止めてツッコミをいれた。
「ニパおまえその趣味はやめろって言ってるだろ〜」
「でもイッルだって毎度毎度まんざらでもないじゃない」
「毎度毎度なんて表現使われるほどしてない」
わたしは不機嫌な表情を作ってぷいとニパから視線を逸らした。
まぁ、実は本当にまんざらでもなかったんだけど、そんな事知られたらきっとニパは付け上がって行為がエスカレートするのは目に見えてた。
だから、眉根に皺を寄せたこんな表情にしとかないと後々まずい事になるのは先読みの魔法を使うまでもなくわかった。
「ちぇ〜、つまんないの〜って……イッル頬赤いよっ」
「えっ、ソ、ソンナコトナイッテ」
わたしは慌てて頬を押さえつつ否定したけど、時既に遅し。
しかも押さえた手に持っていたタロットが恋人の正位置を示してたせいで余計にドギマギ。
「図星」
ニパは嬉しそうな表情を浮かべると、あっという間に正面側からわたしの隣に擦り寄ってきた。
「じゃあほら、今日もネウロイこなさそうだし……」
と言いながらわたしの太ももに手を這わせてきた。
「ばか〜やめろよ……待機中だろ!」
説得力が無いのはわかってたけどがんばって嫌そうにしながら抗議する。
「うん」
ニパはあっさりと手を引いて立ち上がるとさっき迄座っていた正面側の椅子に戻った。
で、嬉しそうににやつきながら鼻歌を奏で始める年下の少女を訝しげに見つめるうちに気付いた。
「あ」
「待機が終わったら〜♪ サウナと水浴びとイッル〜♪」
うぇ、失言だった〜。
- 184 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 12:54:47 ID:SM9aH2fm
- と、そこに出撃命令を告げる連絡が入った。
緊張が走り、わたしたちはその一瞬で暇をもてあます少女から、スオムスの空の護り人へと変わった。
先を争うようにメルスを装着し、タキシングする間すら惜しむようにして滑走路へと滑り込む。
後はME109G-2のDB601魔道エンジンを全開にして、青空までは一直線。
わたしもニパも久しぶりの獲物に歓喜する獣の様に加速、離陸し、高度をとりながら次の無線の指示を待った。
「不審な航空機〜?」
「ネウロイじゃないの〜」
最新の通信によってわたし達の闘志は30秒と持たずに空回りした。
航空管制が言うには、スオムスの識別証である青十字ではなく、国際救護の赤十字をつけた航空機が飛んできたらしい。
でも、そんなのが飛んでくる予定は無いとの事。
国同士の謀略なんて今更あるはずも無いんで見間違いかもしれないし、もしかするとネウロイによる何らかの罠の可能性もあるんで確認しろとの事だった。
「ツイテナイナー」
「でもネウロイだったら一大事だろ」
早速やる気をなくして呟くわたしと逸る気持ちを抑えきれないニパ。
管制によるとスオムスとネウロイ境界線よりかなり内側の監視塔の補助兵からの報告との事だった。
補助兵って事は多分女性兵。
人手の足りないスオムスではウィッチ以外の女性もかなり多くが軍務に就いていた。
比較的最近になって24戦隊に復帰したニパはともかく、わたしは何度かどうでもいい報告に踊らされた事があったんで既にもうかなりだれてた。
そして、案の定航空機は翼と胴体にでかでかと『幸運の青十字』の描かれたスオムス空軍の所属機だった。
暫く同航して操縦者の男性パイロットから話しを聞くと、航法をミスって本来の航路をはずれ、通過するはずの無い監視所の近くを通ったと言う事を恥ずかしそうに、ばつが悪そうな感じに語ってくれた。
まぁ、確かにファストエイドキットの収納場所を示す赤十字マークは小さく貼られてはいるけど……。
この青十字はその昔にスオムスに現われた怪異を撃退したウィッチ、エリカ・フォン・ローゼンが幸福の印としていたもので、その一件以来空軍と陸軍の印として使われているものだ。
わたし達スオムスに住まう者にとってはネウロイに対抗する為の意思の表れ、誇りの印と言ってもいいほど大切なもの。
「青十字を見逃すとかってありえないだろー」
ぬか喜びの上に無駄骨な上に味方に裏切られたような気分になったわたしはさっきまでのやる気なさを何処へやらと奮起した。
「あ〜……もう力抜けたわ、帰ろうよイッル」
「い〜やおさまんない。監視所に行ってたるみきった連中に青十字がどんなものか見せ付けてやる〜」
ぐぐっと握りこぶしを作って主張するとニパものってきた。
「お〜、確かにそれ面白そう。暇つぶしにはなるね〜」
そして、私たちは監視所に進路を向けた。
- 185 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 12:55:24 ID:SM9aH2fm
- …………。
「なんか、こう……ドキドキして来ないか?」
「ごきゅり」
果たして、そこは桃源郷だった。
麗らかな陽気に誘われて開放的になった少女たちは皆妖精のように素肌を晒していた。
戦場のヒロインでもあるわたし達の突然の乱入は、そんな少女たちを熱狂させる事はあっても、慎みを持たせるような事は無くて……。
青十字の教育なんてどこへやら。
わたしとニパは夢の様な光景に見とれながら歓声をあげる少女たちに笑顔で手を振った。
「ニパ〜、今日は来てヨカッタナー」
にやけながら呟くとニパは隣でこくこくと頷く。
と、ニパが鋭いロールで背後にまわりこんできたと思ったら、おもむろに抱きついてきてわたしのおっぱいを揉み始めた。
「わわ、ちょっと、なにしてんの!?」
「ん〜、まぁ盛り上がった気持ちのお裾分けかな〜」
「し、下から見られてるって」
っていうか下の娘たちから口笛まで吹かれてるよ。
恥ずかしくって顔から火が出そう……。
「や、ヤメロッテバー」
胸とおなかの下の辺りから湧き上がる甘い感覚を必死に押さえ込んで、何とか高度をとりその場を離れる方向に向かう。
で、絡み合ってるんで失速寸前、ふらついて進路もおぼつかないわたし達は小高い梢に突っ込んでしまった。
衝撃だニパは枝で顔面強打して失神。
わたしの背中の上だったんで事なきは得たんだけど……ニパってば調子に乗りすぎ。
「はぁ、人の気持ち盛り上げておいて勝手に気絶だもんな〜……って、ダメだダメだ! 何流されてんだよも〜」
わたしは色々と凹みながら帰途に付いた。
後日、ニパが哨戒飛行の当番の時に例の監視所に向かうと、そこにはムキムキマッチョな男性兵士がお出迎えしてくれたとか何とか。
まぁ、わたしが手を回しておいたんだけどナ。
- 186 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:01:56 ID:SM9aH2fm
- 以上です。
エピソード的にはエイラの元ネタの人の著書にあった話まんまといえばまんまです。
他にも啄木鳥ネタとか書いてみようかとも思ってたりしますんで、
エイラーニャにニッカ絡めた三角関係とか、妄想は膨らむばかり。
ヤバス。
- 187 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:09:30 ID:SM9aH2fm
- で、マジで暇だったんで連投行きます。
今回も需要があるかどうかヒヤヒヤ。
- 188 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:10:16 ID:SM9aH2fm
- ●カールスラント1941 バルバロッサの幕間
我々の奮戦空しく、カールスラントの、いや欧州の西部戦線はネウロイに押され続けていた。
既にネウロイの勢力はガリアに達し、祖国カールスラントはリベリオンに亡命政府を樹立していた。
我々は日々ネウロイに立ち向かい、疲労は極限に達してはいた。
だがストライクウィッチ達は翼を休める事は出来なかったし、少なくとも私にはそのつもりも無かった。
そんな中、我々JG52に新たな命令が下った。
内容は最前線での爆撃部隊の護衛だった。
指揮官はルーデル大尉、言わずと知れた撃破王だ。
部隊の損耗率は高いが、受けた損害に対してその数十倍の戦果を挙げるという、にわかには信じ難い結果を出し続けている。
私は自然と気が引き締まった。
同じカールスラント軍人として、英雄たる撃破王の護衛を出来るとは非常に名誉な事だ。
「撃墜王のバルクホルン中尉か、我々の護衛をよろしく頼む。お前のようなエースを盾として戦場に赴ける事を光栄に思う」
お互い顔は知っていたが、実際に面と向かって話すのは今回が初めてだった。
そして、この英雄との邂逅に私は緊張していた。
威厳と自信に満ちた切れ長の瞳は正に歴戦の勇士の持つ闘志に溢れ、オストマルクで刻まれたと言われる顔の傷跡もその美しさを損ねるものではなく、むしろ撃破王という二つ名に一層の彩を与えていた。
「こっ、こちらこそ光栄です、ルーデル大尉。命に代えてもこの任務を遂行させていただきます」
少々声が上ずってしまった。
「フッ、そう硬くなるな中尉。私はただウィッチの義務を果たしているだけに過ぎん女だ。お前もただ義務を果たせばいい。それだけだ」
大尉が義務を果たしているだけと言うならば他のウィッチは全て最低限の事すらこなせぬ無能か……。
いや、これは全てのウィッチが大尉を目指せとの励ましのお言葉だ。この言葉は肝に命ぜねばなるまい。
小さく呼吸を整えて気を引き締め、姿勢を正し、改めて正面から大尉を見据えた。
と、その時になって初めて気付いた。
大尉の右斜め後ろに立つ氷のバラのような美貌を持つ女性、副官のアーデルハイト中尉の他は、皆ガチガチに緊張した年若いウィッチ達だった。
大尉率いる飛行隊は我が軍の最精鋭ではなかったのか?そんな私の視線に気付いたルーデル大尉は口を開いた。
「うちの部隊にいた腕利きは今バラバラになって各々部隊を率いているよ。なに、今は少々頼りないが、実戦を何度か経験すれば精鋭無比なシュツーカ乗りが出来上がる」
爆撃機乗りとはそんなに簡単なものなのだろうか?疑問に思いながらも私は上官のその言葉を肯定した。
「ヤー、大尉のお言葉の通りであります」
- 189 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:11:16 ID:SM9aH2fm
- 顔合わせのブリーフィングの後、私は一人大尉に呼び出された。
滑走路の端に二人きりと言う状況に再び私は緊張していた。
空には新人達のシュツーカが訓練の為に飛び回っていた。
「話は二点ある」
私に背を向け、滑走路の向こうの空に眼を向けたまま大尉は言った。
「先程の話だが、お前はどう思っている? 本心を聞きたい」
「先程、と申しますと大尉殿の飛行隊新人の話でありますか?」
「その通りだ。どう思う? 個人的な意見で構わんよ、ゲルトルート」
振り返りながら、大尉は言った。
ファーストネームで名前を呼ばれた事に一瞬どぎまぎする。
しかし、私の心の冷静な部分が、率直な意見を求められていると言う事に気付き、私はそのように応えた。
「私は不安を感じます。新兵にとって初戦を潜り抜ける事こそが、最も困難であると考えております」
「そうか」
大尉は暫し瞑目し、言葉を繋いだ。
「先程は奴らを安心させる為にああは言ったが、私の読みでは半数も帰れまいと考えている」
「半数、ですか」
半数が未帰還の予想。その数字は、想像していたよりも重い。
「だが、護衛部隊を束ねるものが同じ意見で安心したよ」
「命に代えても、大尉を、いえシュツーカ隊お守りします」
私は気を引き締め、決意を語った。
「この戦いは、まだまだ続く。だから、一人でも多くの経験を積んだウィッチを後に残して行きたい」
「はい」
「そういう事なので、今回の出撃で撃墜された味方は仮令敵地にあろうとも全て回収し、連れ帰るぞ」
そう言って大尉は私にウィンクした。
「はい……へ?」
私は恥ずかしい事に、かなり間抜けな声をあげてしまった。
「思いは同じなのだ、やれるだろう」
大尉は鷹揚に語る。
「はい。しかし、敵前降下して落伍者を回収とは私には無茶に思えます。木乃伊取りが木乃伊になり兼ねません。勿論個人的には一人たりとも味方を見殺しにするつもりはありませんが……」
「フフ。お前は可愛いな。何事にも真面目だ」
「わ、私をからかったのですか!?」
崩していた表情を少しだけ引き締め、口元にだけ微笑をたたえたまま大尉は言った。
「なぁに、戦闘脚部隊に荷物持ちをさせるつもりは無いさ。行きは爆弾を抱えてヨタヨタと飛び、帰りは帰りで負傷兵を抱えてフラフラと飛ぶ我々を全力で護ればいい」
不敵さ、強さ、優しさ、様々なものを織り込んだ表情がそこにあった。
私は不覚にも大尉にときめきを覚えてしまった。
- 190 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:12:01 ID:SM9aH2fm
- 「さて、二点目だが」
と、大尉が間合いを詰めた。距離は互いのカールスラントの制服に押し込められた胸と胸が触れ合う程。
私よりも頭半分くらい高い大尉の顔が間近に迫る。
ち、近いです大尉。
鼓動が高鳴る。
と、その手が私のあごに当てられる。
至近距離からの視線に射抜かれ、知らず知らずに俯き気味になっていた私の顔が、その力強くもしなやかな手によって持ち上げられた。
「顔が赤いぞ、トゥルーデ」
あ、愛称で呼ばれてしまった。
しかも、先程までの戦士然とした力強い声でなく、囁く様な、包み込むような、母性を感じさせる声。
何か喋らないと……で、でも今声を出したら全部上擦って恥をかきそうだし……どどどどうするゲルトルート=バルクホルン!
「大丈夫か?」
だだだ大丈夫です大尉! と、口に出来ずあごに添えられたその手に対して失礼にならない程度にがくがくと首を上下。
「そうか」
どうやら意思は伝わったらしい。
すると大尉は更に顔を近付けて囁く。
「ひとつ頼みがあるんだよ、トゥルーデ」
再び愛称。何たる破壊力。
余り見ていたら、その瞳に吸い込まれそうで、目線を逸らして応える。
「ナ、なんなりとっ」
ああああああ、『ナ』が思いっきりひっくり返ってしまった! 何をしているトゥルーデ……いや、ゲルトルート・バルクホルン!
カールスラント軍人として、恥ずかしくない受け答えをだな……。
そこに、空襲を告げるサイレンが鳴り響いた。
不覚にも纏っていた甘いピンクの空気は一瞬にして吹き飛び、私は反射的に管制塔を振り返った。
「無粋なネウロイだな」
大尉は半歩下がり、戦士の顔と声で呟く。
「二点目は急ぎではない。また機会を見て話すとしよう」
そして、さっきまで私に触れていた手で力強く背中を叩いた。
「さぁ行けバルクホルン中尉。行ってネウロイ共に撃墜王の戦いぶりを見せてやれ。そして我らシュツーカ隊のひよっこ共に安心を与えてやってくれ。貴様らはあの力強い翼に護られて飛ぶのだと」
「ヤーヴォール! フラオカピターン!」
私は大尉に向き直って敬礼し、格納庫へ向かって駆け出した。
二点目の話、頼みとは一体なんだったのか?
そんな疑問もストライカーを穿く頃にはすっかり消え、私はウィッチとしての義務を果たす為、空へと舞い上がった。
- 191 名前:zet4j65z:2008/10/13(月) 13:14:03 ID:SM9aH2fm
- 以上となります。
では、今晩の夜勤に備えてED集聞きつつマイナーカプ妄想しながら寝ます。
オヤスミー
- 192 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 14:09:16 ID:VcGj2DVW
- >>191
GJ!こういうトゥルーデ最高。他人が書かないような内容…しかも上手い…あなたの文が好きだ!
朝見なかっただけでもうこんなにたくさんのSSが。まったく居心地の良すぎるスレだぜ…
- 193 名前:滝川浜田 『MISSING WING』:2008/10/13(月) 14:59:45 ID:F3Vnsk9a
- SSがこんなに…! もうみんなGJと言わざるを得ない。
で、死ぬほどヒマなので、シャッキーニ投下前にエーゲル投下します。
ですが、悲恋ものですので苦手な人は避難!
トゥルーデがミヤフジに告白をした。
結果はOKだったらしい。
うん、ずっと想い続けて来たから、トゥルーデにとってはハッピーエンドだ。
…でも、それは私にとっては、紛れも無い、バッドエンドでしか無い。
――MISSING WING――
「ねえねえトゥルーデ」
「なんだ、エーリカ」
「ミヤフジとはどうなのさー」
「いっ、いきなりなんだっ…!//////」
このトゥルーデの驚いた顔も、いつもなら可愛く感じるのに。
今日はそう思えない。
それはきっと、私の心が汚れている証拠。
「いいからいいから、どうなんだよー」
「ま、まあ、良い付き合いをさせて貰っている。まさか宮藤がOKの返事をくれるとは思わなかったがな」
楽しそうに話すトゥルーデは私といる時より、輝いて見えた。
…私は、トゥルーデにとってなんなんだろう…
「…私は、トゥルーデにとって、なんなの?」
「エーリカ」
途端に二人とも表情が曇る。
「…お前は私に何と答えて欲しいんだ?」
「……私」
「……友達?戦友?同僚?…それとも……」
「……」
「お前は私にとっては大事な戦友であり、大切な友達だ。
それは昔から、そして、今からも変わらない」
- 194 名前:滝川浜田 『MISSING WING』:2008/10/13(月) 15:03:37 ID:F3Vnsk9a
- 「そう…だよね…!」
私は涙を押し殺して、精一杯の笑顔をトゥルーデに向ける。
「ハハハ、ごめんごめん!余りにもトゥルーデが幸せそうだったから、からかっただけだよ!本気にしないで」
「……エーリカ…」
「ほら、もうミヤフジとのデートの時間でしょ?ほら、行った行った!」
「ちょっ…エーリカ…!」
私は無理矢理、トゥルーデを部屋から追い出した。
時計の針の音だけが虚しく響く。
「……友達…か…ハハハ、トゥルーデらしい選択肢だよね…」
窓から見える青空を見て、泣く事しか出来ない私は、今やただの、情けない女で。
終わった恋を諦める事の出来ない、未練がましい女で。
「…トゥルーデの、バカ」
人の幸せも祝えない、酷い女で。
そんな事ばかり、頭を巡っていた。
END
以上です。ふう、久しぶりに他CPのSSを投下した気がします。
悲恋を書くのはちと辛いですが。
で、例の第4話ですが、夜くらいに投下したいなと思っとります。
…では、のちほど…
- 195 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 16:33:49 ID:3bsQGpjv
- >>191
連続投下とは恐れ入った
夜勤頑張れー
>>194
最近エーリカ片思いが流行?
んーこの二人の関係はよく判らん
夜を待ってるよー
- 196 名前:DlYSXlr+:2008/10/13(月) 17:06:03 ID:i09WqIg1
- >>191
二作連続とか凄すぎるw。
夜勤中もしっかり妄想を頼んますよ。
>>194
じっちゃんはホントにネタが尽きないなw。
シャッキーニもだけど、芳リーネも期待してる!
そして、ついでにエイラーニャを投下させて貰いますよ、と。
- 197 名前:カレーライスにゃかなわない:2008/10/13(月) 17:07:11 ID:i09WqIg1
- 「うぅ〜、やっと終わっタ・・・」
玉ねぎで沁みた眼をゴシゴシとこすりながら、エイラさんは大きく息を吐きました。
気が付けば、窓の外はもう真っ暗。
早くしなきゃナ・・・そう思いながら、手早く下ごしらえした材料を台所に並べます。
甘みが出るように大きめに切られた玉ねぎ。
食べやすいように一口大の大きさに切られたじゃがいもと人参。
しっかりと塩とコショウで下味を付けた豚肉。
隠し味で使うヨーグルトとチョコレート。
そして、わざわざ市場のおじさんに頼んで仕入れてもらった扶桑産のルウ。
これならきっと、とびきり美味しいヤツが作れるに違いない。
ウンウン、と一人で頷きながら、エイラさんはコンロに火を付けました。
しばらくして、お鍋が温まったのを確認してから、材料を入れてゆっくりと炒めていきます。
「ジャガイモ♪ ニンジン♪ タマネギ♪ 豚ニ〜ク♪」
少し調子のずれた鼻歌を歌いながら、エイラさんはピアノの練習に出掛けているサーニャさんの事を考えていました。
一緒に暮らしているサーニャさんは駆け出しのピアニスト。
今はクリスマスにガリアで行われる復興記念の演奏会の為に、毎日毎日、厳しい練習をしています。
最近は、思う様にピアノが弾けないみたいで少し落ち込んでいます。
「サーニャが喜んでくれるとイイナ・・・」
これを食べて元気を出して欲しい。
いつもの様に優しい笑顔をみせて欲しい。
そんな気持ちを込めながら、エイラさんはお鍋の中にお湯を入れました。
外では真っ白い雪がチラチラと降り始めていました。
- 198 名前:カレーライスにゃかなわない:2008/10/13(月) 17:07:59 ID:i09WqIg1
- 全ての料理を作り終わった頃、玄関のドアが開く音が聞こえました。
急いでエイラさんは玄関へと向かいます。
「おっ、帰ってきたナ♪」
「ただいま・・・」
エイラさんはサーニャさんの小さな身体を抱きしめました。
雪で濡れたサーニャさんの身体はとても冷たく、微かに震えています。
それにやっぱり、あまり元気が無いように見えます。
エイラさんは少し心配になって、冷たくなったサーニャさんの手を包み込みように握りました。
「・・・どっか具合が悪くなってナイカ? 風邪とかひいてナイカ?」
「うん、大丈夫・・・でも、今日も沢山間違えて、先生に怒られちゃった・・・」
「そっか・・・そういう時も有るサ・・・」
「うん・・・」
「それより、お腹空いてるダロ? 今日は私が腕によりを掛けてご飯を作ったんダ。温まるゾ 」
エイラさんは早速、サーニャさんをダイニングに連れて行きました。
室内に漂うおいしそうな匂いを嗅ぐと、曇り顔だったサーニャさんは不思議そうな表情を浮かべました。
「いい匂いがする・・・何を作ったの?」
「フッフッフッ。 今晩のメニューはカレーライスなんだゾ」
「カレーライス?」
「そう、カレーライス。 お客様、暫しお待ち下さいマセ」
ウェイトレスさんの様にかしこまった挨拶をすると、エイラさんはテキパキと夕食の準備に取り掛かります。
レタスと玉ねぎをホワイトドレッシングで和えたサラダ。
キノコの入ったコンソメスープ。
付け合せの茹で卵とらっきょう。
そして、真っ白いご飯の上に掛かった熱々のカレー。
おいしそうな料理が魔法の様に次々と、サーニャさんの前に並べられていきました。
- 199 名前:カレーライスにゃかなわない:2008/10/13(月) 17:08:51 ID:i09WqIg1
- 「いただきます」
「熱いから気を付けろヨナ」
エイラさんに言われてサーニャさんはふーふーと少し冷ましてから、カレーを口に運びました。
モグモグモグ。
サーニャさんが食べる様子をエイラさんはじっと見ていました。
「どうダ? 美味いカ? 辛くないカ?」
「・・・うん、美味しい」
一口食べ終わると、サーニャさんに笑顔が広がりました。
まるで野に咲く花の様な可愛らしい笑顔。
エイラさんは頑張って作って本当に良かったと思いました。
「そ、ソウカ! ヨカッタァ〜」
「すごく美味しいよ・・・」
「ウィッチーズにいた頃、宮藤がよく作ってたカレーが、サーニャは好きだったダロ? だから、今回は扶桑風のカレーライスにしてみたンダ」
宮藤みたいに上手く作れないけどナ、とエイラさんは照れくさそうにそう言いました。
いつもはお仕事も忙しくて、あまり料理が得意ではないエイラさん。
だけど、演奏会への出演が決まってからは、サーニャさんの為にお仕事を休んでサポートをしてくれています。
読み慣れない料理の本を読んで、こうやってサーニャさんが好きな料理を作ってくれます。
サーニャさんはエイラさんの優しさを改めて感じて、思わず涙がこぼれてしまいそうになりました。
「おかわりも沢山、あるからナ。 いっぱい食べて、練習頑張れヨ」
「うん・・・ありがとう、エイラ」
心からエイラさんへのお礼を言って、サーニャさんはカレーを食べました。
じゃがいもも人参も玉ねぎもとても甘くて。
ピリッと程よくスパイスが効いていて。
エイラさんの気持ちがいっぱい込められていて。
本当に美味しいカレーライスだとサーニャさんは思いました。
「・・・それにしても、今日の玉ねぎは新鮮だナァ。 まだ、目に沁みるヨォ」
サーニャさんの瞳に涙が溜まっているのを見て、エイラさんはそんな冗談を言いました。
そうだね、ツーンとするね、とサーニャさんは笑顔で答えました。
- 200 名前:DlYSXlr+:2008/10/13(月) 17:10:49 ID:i09WqIg1
- おしまいです。
少し前に出てたけど、スウェーデンの人は料理がイマイチらしいですな。
でも、エイラさんなら愛の力で頑張れると思います。
ちなみに自分はチキンカレーが好きです。
- 201 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 17:25:25 ID:5GC3178X
- この流れでえらく短い欝物書いちゃった・・・許してねw
────────────────────────────
あれ?どうして、こんなところで寝てるんだろう・・・
ストライカーユニット履いたままだし・・・
「ハルトマン、しっかりしろ!」
トゥルーデがいる・・・泣いてる?
「ハルトマンさん!しっかりしてください!」
ミヤフジが回復魔法かけてる?
そうだ・・・わたし、トゥルーデを守るために被弾したんだ・・・
あぁ・・・血がドクドク出てるのがわかる・・・たぶん助からないな・・・
なんだか・・・眠い感じ・・・これが「死」なんだ・・・
「傷が・・・ふさがらない・・・」
ミヤフジ・・・トゥルーデのこと・・・おねがいね・・・
ウーシャ、ごめんね。だらしないお姉ちゃんで・・・
みんな・・・ごめんね・・・
「エーリカ!死ぬな!私をひとりにするなぁ!!」
ごめんね・・・トゥルーデ、ずっと好・・・
────────────────────────────
本スレに誤爆しちゃったw
謹慎します
∧||∧
( ⌒ ヽ
∪ ノ
∪∪
- 202 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 18:08:33 ID:+wcbwk45
- >>201
正直一番かわいそうなのはゲルトに存在を忘れられているミーナだと思うんだ
- 203 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 18:40:17 ID:7G2aEh3q
- つまり…ミーナ隊長はすでに…
- 204 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 18:41:10 ID:KYdNMjrE
- >>200
面白かったが一つだけ、
エイラはフィンランド人です。
ちなみに自分はカツカレーが好きです。
- 205 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 18:49:46 ID:+wcbwk45
- __
(___)
__
, ィ´: : : : : : : : ヽ、
/: :/:/ニVi:ト、=\ニ\
/ニ/7/ l:| \: :ヽ:.:ヘ
レ': : i::l i:l ヘ: :i: :|
i/:./:!:l }:ト 、 }:ハ:!: i
/:./Aリ‐z'´ リ 二_キ|:l: :!
{:.{:.イ r==、 '~ ̄` |:|'^i
レ|〈ハ /// 、 /// レjソ
レヽヘ -‐┐ /:!::|宮藤さんくらいしか葬式に来てくれなかった
|: : \ `¨´ /:.:.|:.l
|: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
|: : |/^\ / `Y :!
___| : ハ <> M <>/ l:.ト 、
_ィ´/|: ,' ∨三V三∨ i:.ト -`> 、
「 |/ L/i|ヾ」 リ /ヽ
| ヽ |l o ∨ l
| ∨_ oニ] ‖ [__ o__」 | i |
| {| | | | |l | | | |ハ l |
| i| | | | ‖ | | | | l} |
| ヘム-‐┘ |l o  ̄`ヽ / |
| ヽ、 ‖ ノ l
- 206 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 19:01:01 ID:3bsQGpjv
- >199
なんという新婚
なんという未来予想図
エイラさん良き妻で良き夫ダナ
ちなみに私は今日カレーが腐ってました
>>201
エーリカ一途物が多いな
というかミーナとエーリカも行けそうだが
難しいんだよなぁ
- 207 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 19:09:31 ID:fMVOW0LR
- >>200
GJ!いい話だ・・・
ストウィチ世界では、スウェーデンとノルウェーがバルトランド
フィンランドがスオムス、となってる模様
ちなみに自分はチーズカレーが好きです。
- 208 名前:200:2008/10/13(月) 19:51:27 ID:OuMdNI5c
- 指摘サンクス。
スウェーデンじゃなくてフィンランドだったのか・・・。
地理が苦手ですんません・・・。
カレーは何入れても美味いですよね。
- 209 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 19:54:36 ID:n8Q9Tdqr
- サーニャン
- 210 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:01:05 ID:VcGj2DVW
- >>199
エイラさん素敵です。萌えたGJ
>>201
エーリカあっ!
エーリカの片想いはなんか辛い。幸せになって欲しいんだ
- 211 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:10:24 ID:NYxhGzIk
- なんだか馴れ合い度高いスレだな
仕事環境を完全に明かしてる人もいるし職人だらけ
そろそろ引きどきかな
- 212 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:15:10 ID:dwxP7WDG
- 仕事環境晒しはアレだが、馴れ合い?はそこまで感じない。
- 213 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:16:19 ID:dE+qjqD1
- >>212
レス乞食に構っちゃダメ
- 214 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:50:51 ID:wiNUElvZ
- エイラーニャで投下します。いやサーニャイラか?
ただいちゃいちゃする二人が書きたかっただけ。
保管の際にはID;wic2dg+mでお願いします。
「なあ、サーニャ?」
「・・・ぅん?」
エイラが声をかけると、彼女のすぐそばにいたサーニャが寝ぼけた声で返事をした。
ここはエイラの部屋。
ネウロイの襲撃も、訓練もない穏やかな午後。
ベッドの上に腰かけタロット占いに興じていたエイラの隣で、サーニャは読書をしていたが、
昨夜の夜間哨戒の疲れからか、いつのまにかエイラの半身にべったりとよりかかるような格好で
お昼寝中だったようだ。
つまり、エイラにとってはこの上なく幸せな状態だったわけで。
彼女としても、できるならいつまでもこの体勢のままでいたいところだったが、
さすがのダイヤのエースも生理現象には勝てない。
「ちょっと、トイレ行ってくるから・・・」
そう言い残してサーニャのそばを離れた。
エイラはそのまま後ろを振り返ることなく部屋を出て行ったから、残されたサーニャが
少しだけ頬をふくらませてむくれていたことに気がつかなかった。
- 215 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 20:52:37 ID:wiNUElvZ
- 少しして部屋に戻ると、サーニャは起きていた。
「ただいま」
「お帰り」
サーニャの微笑みに迎えられて、嬉しくなる。
でもエイラはエイラだから、さきほどのようにサーニャのすぐ隣には座れず、ベッドのヘッドボード
に寄りかかり両足を投げ出して座る形になった。
そばにあった枕を抱きしめてみる。
タロットにも飽きてきたし、今度は何をしようか。
そんなことを考えていると、自分が抱えている枕をサーニャがじっと見ていることに気がついた。
「ん?どうした?」
サーニャは答えない。代わりに、エイラにすっと近づき、その枕に手をかけた。
おとなしく枕を手放すエイラ。
昼寝をするのに、枕がほしくなったのか?
しかし、エイラの予想は外れていた。
サーニャはすぐに、その枕を横に置いてしまう。
そして枕がなくなった分空いたエイラの足の間に入りこみ、エイラに背をむけるような形で
彼女にもたれかかった。エイラの人間座椅子と言ったところか。
ナ、ナンダコレハ・・・・
あまりの事態に固まるエイラ。自分の鎖骨の辺りに寄りかかるサーニャの頭からは
シャンプーのいいにおいがする。密着した体から、サーニャの体温が伝わってくる。
普段は控えめなサーニャだが、眠い時はエイラに寄りかかってきたり、部屋を間違えて
エイラのベッドにもぐりこんできたりしてその度にエイラはいつもびっくりしたりドキドキしたりと
振り回されていたが、今日も眠いからこんな可愛い行動をとってくるのだろうか。
こんなことをされては、理性を保つ方が難しいじゃないか。
そんなことを考えつつも、エイラは結局固まったまま。
すると、サーニャがふいにエイラを振り返った。
何か言いたそうに、じっとエイラを見つめる。
至近距離から見つめられて、心臓がばくばくうるさい。
いっぱいいっぱいなエイラは、サーニャが言いたいことなんて察することができるはずもない。
正面に向き直り、エイラに気づかないくらいの小さなため息を吐き出した後に、
エイラの両腕をつかんでサーニャのお腹の辺りに回させた。
つまり、エイラが後ろからサーニャを抱きしめるような格好になる。
もう一度振り返ると、ゆでだこみたいになったエイラが見えた。
エイラから抱きしめてくれなかったのは残念だけど、自分の行動でクールな顔が崩れる
エイラは何よりも可愛い。
そんな小悪魔的なことを考えながら、微笑むサーニャ。
エイラはというと、とりあえず今度トイレに行きたくなっても絶対に我慢しよう、なんて
どうでもいい決意を固めていた。
おわり
- 216 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 21:17:02 ID:OrAu6s+G
- >>215
ナイスエイラーニャだ
場面想像するだけでニヤニヤできるな
- 217 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 21:22:39 ID:3bsQGpjv
- >>215
GJダ
エイラーニャも良いが
サーニャイラも最高だ
というかべた惚れサーニャが好きだ
- 218 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 21:35:58 ID:weJtcPco
- こんばんわ、ゆりたまごです
今後はおとなしくいい子にしますので、今回までは大袈裟なの許して下さい
リレーSS完走おめでとうのたくさんのお言葉
自分がこのスレの住人で本当によかったと胸に響きました
その上この凄まじいSSラッシユ!
そんな心からの感謝を込め、すべてのスレ住人の方々へと捧ぐ
台詞多め、ト書少なめですが読んで下さい
保管庫さんへ、お詫び
リレー勲章について、ドット絵は流用のつもりで
新しく描いて頂きたいと申したのではない事、御理解下さい
良案のつもりでしたが失敗しました
御足労おかけし、お詫び申し上げます
- 219 名前:ゆりたまご「三 姉 妹」:2008/10/13(月) 21:39:11 ID:weJtcPco
- エーリカ&サーニャ&ルッキーニです
二期があったら中弛みの頃にありそうな、どうでもいい話こーゆーの好きなんで
「三 姉 妹」
〜プロローグ〜
「まるで昔、お父さまの書斎で見かけた推理小説の登場人物になったみたい…」
なにか冒険が始まる、そんな予感にサーニャは胸を膨らませていた
〜act1〜「退屈な午後」
時間は少し巻き戻る
よく晴れた昼下がりのこと
エーリカとサーニャ、ルッキーニはミーナから資料の整理を命じられていた
「あ〜資料整理なんて面倒くせ〜」
「ぐぅ〜なんであたしらがこんなんしなきゃなんないの〜」
「…」
「でもな〜サボるとミーナ恐えーからな、サーニャを見習ってわたしらも…」
「ねーサーニャ、なぁ〜にみてんの?」
サーニャは無言で手にしたファイルを差し出す
‘当基地における怪奇報告書’と書かれている
「あ〜あれだろ?夜な夜なおっぱいを揉みまくる怪人とかさ〜」
「けっきょく正体は芳佳だったんよね〜」
「でも…この基地は古いお城を改装したものだから…不思議な事があっても」
「さーにゃ〜ロマンチストぉ〜」
〜act2〜「結成!」
「おっとロマンなら負けないよ、すべての謎は…わたしが解明してみせる!」
「なになに?探偵みたいだんね」
「おっ!いい事言うねルッキーニ君!それだ!三姉妹探偵ここに結成だ!」
「三姉妹…」
サーニャの頬が薄紅に染まる
大はしゃぎの二人とは対象的だが
自分も仲間に入れて貰えていた事が、本当に嬉しかったのだ
- 220 名前:三 姉 妹2:2008/10/13(月) 21:42:01 ID:weJtcPco
- 〜act3〜「あたしがリーダー」
「やっぱ長女のわたしがこの探偵団のリーダーだよね!」
「んにゃあたしリーダーやりたいぃ」
「ルッキーニは…そう!マスコットだな」
「にゃにゃリーダーがいいの〜リーダーやりたい〜」
お子様だ…とは二人の心の声だ
シャーリーもよくこんな我儘に毎回付き合っていらるなぁと思った
「ねぇサーニャ?」
「どっちがリーダーに相応しい?」
とりあえずサーニャがリーダーという選択肢はないらしい
「えっと…、…ルッキーニちゃん…かな」
やったーとの叫びを背にエーリカはサーニャを睨む
「まっしょーがないっか」
大人な発言と裏腹にエーリカの表情はどんより暗い
「あの…ハルトマンさんはリーダーと言うより…ボスだから」
「!…ボス?ボスねぇ〜いいねボス!いい響きだよ」
この人もお子様だ…とはサーニャの心の心だ
〜act4〜「私の特技」
「やっぱそれぞれ特技も必要だな〜もちろんわたしはこの美貌だけど」
「ん〜じゃあたしは頭脳明晰とこんで、サーニャはねー目からビームだすの」
「違うだろ!大食いだよ大食い!カレーが大好物なんだよ」
「…ひっくっ」
サーニャの泣きそうな顔に二人は戸惑う
ギャグだって!普通わかるだろ?なんて扱い辛い奴なんだ
エイラあんた凄いよ、よくこんな奴のフォローしてるよ…とは二人の心の声だ
「やっぱサーニャと言ったら美声だよな、なっ?」
エーリカは、おまえもフォローしろ!とルッキーニに目配せする
「歌姫サーニャってすってき〜!」
サーニャの表情が心なしか緩んだ
とりあえず胸を撫で下ろす二人であった
〜act5〜「わたしの発案」
「美少女エーリカ!」
「えっと…サーニャです」
「違うだろサーニャ、真面目に、もう一度初めからやり直し、いくよ」
「超絶美少女エーリカ!」
「歌姫サーニャ…」
「そして頭脳明晰ルッキーニ!」
『我ら可憐な、三姉妹探偵、参上!』
「よし!決まった!さすがわたしが考えただけの事はあるね」
なんで名乗りの練習なんか、しかも超絶とか付けてるし…
バルクホルン大尉もよくこんな奴の手綱握ってるよ…とは二人の心の声だ
本当はちょっと楽しかったけど
- 221 名前:三 姉 妹3:2008/10/13(月) 21:45:50 ID:weJtcPco
- 〜act6〜「やっぱり退屈な午後」
「でもさ〜そう簡単に事件なんて起きないよな」
なんやかんやで三人は資料整理の作業を再開していた
「なになにサーニャ〜まだそれ見てんの?」
二人は‘当基地における怪奇報告書’と書かれたファイルを覗き込む
「え〜と虹色の扉、これを見た者は二度と帰っては来れない?嘘くせ〜」
「誰も帰って来れないのになんで書いてあんの〜きゃっはっは」
笑い声を上げる二人を余所にサーニャは資料室の石壁を見つめていた
窓から差し込んだ午後の日差しが石壁の一点を照らしてしている
壁の一部が反射して虹色に輝き、窓枠に形取られたそれは、まるで扉の様だった
「サーニャいったい何…」
「んがが…」
「虹色の扉…」
「ふっふ〜ん、これは大いなる謎ですよ探偵団の諸君!」
〜act7〜「冒険の予感」
「ね〜あたしたちでさ〜この謎、解決しちゃおーよ」
「おっ!いい事言うね〜ルッキーニ探偵!」
さっきまであなた達鼻で笑ってたじゃないの!とは思ったが
正直な所、この二人以上にサーニャの胸はわくわくしていた
なにか冒険が始まる、そんな予感がした
昔父親の書斎で見かけた推理小説の登場人物の様に
「でも虹色の扉みちゃったし、あたしたちどーなるのかんな?」
「…(びくっ!)」
「大丈夫!三姉妹探偵に不可能はないよ!」
〜act8〜「虹色の壁」
三人はすくっと立ち上がり、その壁へと向い調査を開始した
オストマルクやカールスラントで城の石壁と言ったら大抵は大理石だが
アルサクレック島に近いこの古城の石壁は御影石で出来ていた
「たぶん…壁に含まれる石英が光を屈折させていると思うんです」
サーニャが提案する
「いや他の場所も同じ花崗岩だし、この部分だけ橄欖石の含有量が多いんだよ」
エーリカが分析する
「かこうがんだしかんらんせきのがんゆうりょうが???」
頭脳明晰ルッキーニには謎のセンテンスのようだ
「あ゙も〜わがんな〜い、あたしにもみせて〜」
「あっ…ルッキーニちゃん…」
「ちょっと!押すなって!」
『うわっー!!!』
壁の一部「虹色の扉」が回転し、三人は壁の向こう側へと倒れ込んでてしまった
- 222 名前:三 姉 妹4:2008/10/13(月) 21:49:01 ID:weJtcPco
- 〜act9〜「お姉ちゃん頑張る」
三人は暗闇に閉じ込められていた
今自分達が入って来た扉は、先程の無理な衝撃で固く閉ざされていたのだ
だが普段はズボラなエーリカの頭は、この様な状況においてこそフル回転する
「サーニャさっきの怪奇報告書には何て書いてあった?」
「夜な夜なおっぱいを揉みまくる怪人?」
「違う!その次だ」
「正体は芳佳ちゃんだった…」
「おまえ…わざとだろ、虹色の扉について聞いてんだよ!」
「ごめんなさい…何も…」
「サーニャのバカ、あたしたちどうなるの〜」
「大丈夫なんとかなるさ!お姉ちゃんに任せなさい!」
「おねえちゃん?バルクホルン大尉のこと?いないよ?」
「違うよ!わたしだよ!三姉妹、長女だよ!」
「大丈夫です…こっちに道が続いているみたい…出口に繋がっているかも…」
サーニャの頭にはアンテナが生えてていた、仄かな光が辺りを照らし出す
「サーニャお姉ちゃん大好き〜」
ルッキーニがそう叫んだ
サーニャは照れた
そしてエーリカはむくれた
〜act10〜「仕返し」
エーリカは面白くなかった、手柄をすべてサーニャに持って行かれたのだから
だから少し意地悪をしてみたくなった
「ねえサーニャ、エイラとさ〜もうキスくらいは…したの?」
「あっ、それ、あたしも気になるなる」
「なんで…そんな…」
「だってあんた達付き合ってだいぶ経ってるでしょ?」
「いっつもいっしょにいるよね〜ん」
「私たち…別にそんなんじゃ…」
「うわっあんたら告白もまだだったの?ヘタレエイラじゃしょーがないか」
「エイラはいつもこんな私を守ってくれて!ヘタレなんかじゃないです!」
…
サーニャの声が暗闇に響き渡り、そして静寂が訪れた
こんなに荒立てたサーニャを目にするのは、二人にとって初めてだった
「でもエイラがサーニャの事、大切に思い過ぎて手を出せないのは本当だと思うよ」
「…」
「ねーサーニャはエイラのこと、すき?」
「…」
ルッキーニからの問いに、サーニャは少し間を置き、そしてこくりと頷いた
「いつもエイラに勇気貰ってるんだろ?少しはあんたも勇気出さなきゃ、ね?」
「…はい」
ありがとうエーリカお姉ちゃん、ルッキーニちゃん
…サーニャは心の中で呟いた
- 223 名前:三 姉 妹5:2008/10/13(月) 21:52:37 ID:weJtcPco
- 〜act11〜「しっぺ返し」
「さっすが上の姉ちゃんプロだねプロ、恋愛のプロだんね〜」
「まぁねえ〜当然よ、と・う・ぜ・ん!」
「あの…バルクホルンさんと…その…あの…キスしちゃってるんですか!」
「!!!」
なんて事聞くんだこいつは!…とはエーリカの心の声だ
どうやらサーニャの恋愛好奇心を目覚めさせてしまったらしい
「あっ、それ、あたしも気になるなる」
「とっ、とっ、とっ、とっ当然よ、と・う・ぜ・ん!」
閃光の眼差しがエーリカへと集まる
「実はもっとすんごい事もしてたりするんだな〜(ごにょごにょ)」
『!!!』
エーリカは二人に耳打ちする、二人は声を失った
「まぁトゥルーデが求めてくるから仕方なしに…なんだけどねぇ〜」
もちろんすべて嘘である、キスもしていない
相手にすらされていないのが事実である
そして彼女は妹達にとって神となった、遺憾ではあるが、これも事実である
〜act12〜「おませな末っ娘」
「そーゆールッキーニ、おまえはシャーリーともうキスしたのか?」
「え!ルッキーニちゃん…まさか…」
「うん、とっくにしてるよん、まいにち」
『まいにち!!!』
うっ、こいつ、お子様のくせに!…とは二人の心の声だ
「だってシャーリーはあたしのママだもん」
はいはい、そーゆーキスね、それなら私達だってとっくの昔に経験済だもん
お姉ちゃん達のプライドは無事、守られた
〜act13〜「隠し部屋」
三人は恋話に花を咲かせながら歩き続け
そして暫くして、先頭を行くサーニャの足が止まった
「どうやらここで行止まりみたいです」
そこは小部屋になっていた
辺りを見渡すと装飾品ではない実用的なフルーレやレイピアなどが散乱していた
どうやら秘密の趣味部屋の類ではなく、戦時の隠れ家に使用されていた様子だ
エーリカは確信した、ここは行止まりではないと
「よく調べてみよっ、こういう場所は大抵抜け道として使用すからね」
サーニャは目を閉じレーダーで辺りを照らす
「ありました、あの瓦礫の上です…だけど」
その瓦礫の上の天井は筒抜けとなっていた
かつて存在していたであろう螺旋階段は崩落していたのである
- 224 名前:三 姉 妹6:2008/10/13(月) 21:54:24 ID:weJtcPco
- 〜act14〜「風の階段」
「ここまで来たのに、あたしたち死んぢゃうの〜え゙やだぁ〜」
「なにか…方法があれば…」
ルッキーニを安心させようとサーニャは必死に辺りを調べるが…
「ふふ〜ん大丈夫!安心しなっ、次女にばかりイイ格好させれないからね」
二人はエーリカを見つめる
これから彼女が何をやろうとしているのかは、全くわからなかったが
その笑顔を見ているだけで、二人はただ安心した
「二人共わたしに抱きついて、いっくよーシュトルム!」
エーリカの掛け声と共に三人は穏やかな風に包まれた
それは上昇気流となり三人を上空へと運んでいった
〜act15〜「力を合わせて」
「サーニャあとどれくらい?」
エーリカが尋ねる
「あと10m、9、8、!、上空に障害物確認、薄い板状の物体、硬度は不明」
「サーニャ?薄いってどんくらい?」
今度はルッキーニが尋ねる
「16cm位だと思う」
「石壁は無理だけど、そんぐらいならぜんぜんへいきっ!」
「安心してっ!お姉ちゃん達にだけイイ格好させないよー」
二人はルッキーニを見つめる
その笑顔を見ているだけで、二人はただ安心した
「大丈夫!…だってあたしたち」
『三姉妹探偵に不可能はない!』
三人の声が揃う、何も不安はなかった
「愛と…」「勇気と」「ゆーじょーの」『三位一体魔法!』
『トゥリー・ヴィント・フレッチェ』
掛け声と共にその三本の矢は一筋の閃光となる
その閃光は薄暗い被膜を突き破り、天国への門を抉じ開けたのだった
- 225 名前:三 姉 妹7:2008/10/13(月) 21:57:53 ID:weJtcPco
- 〜act16〜「慌しい午後」
所変わって談話室
緩やかな昼下がり、三人以外の隊員達は三時のティータイムを楽しんでいた
「ルッキーニがおやつの時間を忘れるなんてありえるか?」
「あいつら仕事サボって、一体何をやってるのやら」
そんな会話が行き交っている
すると突然地響きが鳴り出す、次第にそれは大きくなり
爆音と共に暖炉の底から、当のおサボり三人組が飛び出して来たのだ
煤だらけの三人を見て隊員達は唖然としたが
一つの冒険を終えた三人にとって目の前に映る日常の光景は
とても懐かしく、とても輝かしいものだった
ルッキーニはラブリーシャーリーに抱きついた
サーニャは大好きなエイラに擦り寄った
エーリカは愛しのゲルトにダイブして
ゲルトはそれをひらりとかわし、エーリカは床に転がった
そして三人は一斉に泣き出した
シャーリーはルッキーニの頭を撫でてあげ
エイラはサーニャの背中をそっと擦り
ゲルトはエーリカを抱き起こすと、今度は優しく抱き締めた
ただただ三人は泣き続け、そして三人は抱き締め続けた
全員が三人の事情を理解するまで、それから数十分はかかった
〜エピローグ〜
「大変です事件です!リーネちゃんのブラジャーが何者かに盗まれました」
そう言いながら芳佳が駆けてくる
「ふっふ〜ん、これは大いなる謎ですよ探偵団の諸君!」
「新たな…冒険の予感がします!」
「いっちゃうぅ〜?」
『三姉妹探偵の出動だ!』
「究極超絶美少女エーリカ!」(究極?)
「歌姫サーニャ!」(もう怖気付いたりしない!)
「そしてリーダー・ルッキーニ!」(頭脳明晰やめました!)
『我ら可憐な、三姉妹探偵、参上!』
この基地に怪奇事件のある限り、三姉妹探偵の冒険は続いてゆく
〜おしまい〜
以上です、長文申し訳ない
三度目の暗闇ネタ、暗闇フェチなんです
更に二度目の生還ネタ、好きなんです吊橋効果
そして二度目の扉&螺旋階段、これは発想力の限界です
前回に続き読んで頂いた方々、レス頂いた方々ありがとうございます
それではこれにて失礼致します
- 226 名前:滝川浜田 『Decision!』:2008/10/13(月) 22:55:58 ID:F3Vnsk9a
- >>225GJ! 二期があったら是非こういう話をw
さて、少し遅くなりましたが、第4話を投下します。
――朝。
起床のラッパがけたたましく鳴る。
いつもならダラダラ起きるところだけど、今日のあたしにそんな余裕は無い。
今日はあたしにとって、生きるか死ぬか。そんな大事な日なのだから。
――Decision!――
ぞろぞろみんな起きてくる。
その中にはもちろん、あたしの今日の“相手”であるルッキーニも。
「おはよ、ルッキーニ」
「ウニュ〜…おはよー、シャーリー…」
ルッキーニはまだ目覚めていないらしく、眠たい目をこすりながら、あたしの隣の席に着く。
と、告白の前にルッキーニに謝っとかなきゃいけない事があるんだった。
「あのさ、ルッキーニ」
「ウニャ?」
「なんかごめんな…最近お前の事無視なんかして…」
「シャーリー…」
「ちょっと、まあ、いろいろあってさ…人と話すような状況じゃなかったんだ。
本当にごめん!」
「あっ、いや別に良いよ、そんなの!
別に気にしてないから!」
「…許してくれるのか…?」
「うん!あたしそんな暗い表情のシャーリーはイヤだから!
いつものシャーリーに戻って欲しいんだ」
「ルッキーニ…お前…」
あたしは嬉しくなって、みんながいるというのに、ルッキーニに抱きついていた。
「ありがとぉ〜!ルッキーニィ〜!あたし、お前の友達で良かったよぉ〜!」
「ちょっ…シャーリー…!はっ、恥ずかしいよぉっ…!//////」
みんながビックリした表情であたし達を見る中、リーネとミーナ中佐だけがニコニコしてあたし達を見ていた。
まあ、何にせよ、ルッキーニと仲直り出来て良かった。
これでルッキーニに告白しやすい環境はひとつ、整ったワケで。
- 227 名前:滝川浜田 『Decision!』:2008/10/13(月) 22:58:05 ID:F3Vnsk9a
- すると、ミーナ中佐が静かにあたしに近寄って来て。
あたしに囁いてきた。
「今日、告白するのかしら?」
「…はい、まあ…」
「告白する時は躊躇は禁物よ。こうと決めたら、一気に行くのよ」
「はい」
「頑張ってね♪」
「シャーリー、ミーナ中佐と何話してるの?」
「あっ、いや、ルッキーニには関係の無い事だよ!アッハハハハハ!」
「…?」
この会話をルッキーニに聞かれたらいろんな意味で終わりだ。
ミーナ中佐とリーネの会話には慎重にならないとな…。
そう思いながらあたしは宮藤が作った味噌汁を一口、口に含む。
―――――――――――――――――――
そして訓練中。
あたしはルッキーニの事ばかり意識し過ぎて、ちょっとミスった。
それは普段のあたしならまずやらかさない初歩的なミス。
フォーメーションの訓練をしていたのに、あたしがボケっとしていたせいで、フォーメーションが崩れたのだ。
「…はぁ、やっちまったな…」
「まあまあ、ドンマイ、シャーリー!」
「ルッキーニ…。まあ、しょうがないよな!うん、しょうがない!」
「ヘヘっ、やっぱりシャーリーには明るい笑顔が良く似合うよ!」
- 228 名前:滝川浜田 『Decision!』:2008/10/13(月) 23:01:44 ID:F3Vnsk9a
- あたしはルッキーニの頭をグリグリ撫でる。
そう、ここで腐っていたら今日は乗り越えられない。
あたしは意を決して、ルッキーニに話しかけた。
「…なあ、ルッキーニ」
「なーに、シャーリー」
「今日の晩飯の後、ちょっと中庭に来てくんないか?
…最近話してなかったから、ちょっと二人で話がしたいんだ」
ルッキーニの「ル」を口にするだけで、緊張感があたしを支配する。
「うん、いいよ」
「よし、じゃあ待ってるからな」
よっし!ルッキーニに約束を取り付けた!
あとは、あたしの気持ちを正直にぶつけるだけだ!
お前にあたしの想い、伝えるからな!
―――――――――――――――――――
――晩飯を滞りなく終わらせて、遂にあたしの運命の時間はやって来た。
今夜の夜風はあたしに味方してくれているのか、昨日みたいに冷たい風では無い。
今なら、何でも出来そうな気さえする。
多分それはただの思い込みだけど、今のあたしにはそんな強がりさえ武器になる。
そんな事に浸っていると、あたしの視界にルッキーニが見えた。
「シャーリー」
「おっ、ルッキーニ、来たか」
あたしの“決戦”はこれからだ。
第4話終了です。
あと2話です。今これを書き終わった安心感からか少し気が抜けていますが、まだまだストックはありますw
次回も読んでいただけたら、嬉しいです。
では、爺はここらで…
- 229 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 23:28:12 ID:WzMYIBLD
- このGJが追いつかない感じ……何もかも懐かしい……。
圧倒的勢いじゃないかこの連休は。
片っ端からGJ!!どれもハイクオリティで素晴らしい。
ところでリーネスレにいつもの人がきてるようですぜ。
936 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/13(月) 16:27:05 ID:Bj3NMw9z
リーネちゃんのないしょの基地探訪の第10話追加
ストーリーがまとまるまでかなり時間を食ってしまった
http://www2.age2.tv/rd2/src/age0589.zip.html
pass:ヨシカ
- 230 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 23:50:32 ID:+aJE7ftG
- >>225
GJ!こういう話大好きだww
サーニャかわいいよサーニャ
- 231 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 23:51:30 ID:CiWfQRrI
- http://www2.uploda.org/uporg1724300.jpg
本スレより転載
- 232 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/13(月) 23:54:12 ID:3bsQGpjv
- >>225
GJ
可愛くて良いな
全員?にちゃんとパートナーが居るし
>>228
更新乙
いよいよ佳境
あと2話頑張れー
- 233 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 00:25:44 ID:jc49Gyyu
- 眠く無いカ?
- 234 名前:21X2w2Ib 1/3:2008/10/14(火) 01:31:58 ID:2KRFOznp
- 21X2w2Ibです。エイラーニャ投下します。
───
一緒に、楽しいことを考えよう?
その言葉は彼女にとってはなんてことのないもので、投げかけた優しさだってただの気まぐれに近いもの
だったのだろう。
でも、それだけの言葉でだって、私はひどく救われた気持ちになったのだった。
夜が、好きで、嫌いだった。
「たまには休みなさい」と言いつけられて、私の主たる任務─夜間哨戒─のシフトを別の人に替わって
もらったその夜。なぜか、と言うべきかやはり、と言うべきか。私は悪い夢を見た。
どんな内容だったのかなんて覚えていない。けれど思い出したくもない。恐ろしさにうなされて飛び起きると
言うことは良い夢だったはずがない。…ネウロイの襲撃で燃える故郷の記憶か、今、この瞬間にもオラーシャ
のどこかでネウロイの襲撃に怯えているかも知れない家族の想像か。
目を開いて部屋を見渡しても、夜間哨戒が夜の常である私の部屋は月の光さえも入らずに真っ暗闇だ。それ
でも慣れた目は部屋の様子を薄ぼんやりと映し出すのだから、きっと私は夜に生きるべき人間なのだろう、と
自虐的に思う。明るい場所は似合わない。きっと希薄な私の存在なんて、きっと霞んで消えてしまうから。
せっかく明日丸一日貰った休日だって、食事や入浴の時間以外はこの部屋で過ごすことになる。日の光さえも
ほとんどさえぎるような、この世界に背を向けているかのような、この部屋で。
私にはまだ、この部隊に休日を一緒に過ごせるような友人がいない。この先出来るのかどうかも分からない。
作り方も知らない。溶け込み方も、わからない。
ただ役目とそれを全うするために与えられた居場所だけがここにあって、私の存在意義なんてそれぐらいしか
ないのだろうと思う。そのぐらいに思っておくほうが傷つかなくてすむのだろうと臆病に縮こまっているのだ。
外に出て、風にも当たってこよう。そんなことを考えてベッドから上がる。少し汗もかいてしまったようだ。
夜目に慣れた体は戸惑うことなく私を導き、そして私の手は迷うことなくそのノブを握り締めて回した。開くと立て
付けが悪いのかギィと音が鳴る。びくりと肩を震わせた。明るいうちは何も気にならないのに、こう暗くて静かだと
小さな物音でも気になるのはどうしてだろうか。何かいけないことをしているかのような背徳感が、常に背中を
ついて回るのだ。
テラスに出たら、眩しいくらいの光に包まれた。部屋にいるときは全く気がつかなかったけれど、今夜は良く晴れて、
月も出ていたらしい。あまりの明るさに目を細めて立ちすくむ。その光景はとても綺麗だったのに、私はむしろ
周りの星々がその明るさに霞んでいるのを見て、可哀想だ、と思った。小さな光は大きな光に負けてしまう。
どんなに精一杯輝こうとしてもそれに気付く人はきっといないのだ。そしてあまりにも小さい光は人の目に届く
ことさえなく消えてゆく。
(私も、そうなのかな)
誰の目にも止まらず、いつしか消えてゆくのだろうか。朝・昼と眠って、食事は細々と隅で食べて、誰にも気付かれ
ることなく夜間哨戒に出掛けてゆく。そしてみんなが起き上がる前に基地に帰って来て、誰とも出会うことなく
また眠る。その繰り返しを延々と続けて、いつか。
そう思うとひどく寂しくて、けれどもそのほうが楽なのかもしれない、と半ばあきらめている自分もいた。
他人とどうやって付き合うか、話すか。そんなことを鬱々といつまでも、思い悩んで過ごすよりは、と。
心地よい夜風が、火照った体を冷やしていく。今夜の風は少し強めで、目を閉じると哨戒をしているときのような
気分になれた。これではいつもと何も変わらないわ。心のどこかでそんなことを思いながら、それでもいいかと
一人自嘲する。
そうやって一人きりの世界で、そんな考えにふけっていたものだから。
私は最初、それを風の囁きか何かだと思ったのだ。
それは最初、チューイ、などと言うひとつの単語でしかなかった。しかもそれは非常に控えめなもので、だから
風のいたずらだろう、なんて思って気付かない振りをした。魔法を使って判別すれば良かったのかもしれないが、
私の能力はこんな近距離の、しかも詳細な、目標補足には向いていない。
「リトヴャク中尉」
次はそんな言葉を掛けられて。ようやく私はそれが風の呟きでもなんでもないことを知った。けれど振り向くことが
出来なかったのは、ひとえに私の恐れゆえだ。掛けられたその声は、この部隊のミーナ中佐以外とはほとんど
話すこともない(しかも私は大抵与えられた命令に返事をするくらいだ)私にとって聞きなれないものであったから。
- 235 名前:21X2w2Ib 2/3:2008/10/14(火) 01:32:40 ID:2KRFOznp
-
「サーニャ・リトヴャク中尉」
三度目に呼びかけられてようやっと、私は腹を決めることにした。その背後に誰がいるのか、どんな表情をして
いるのか、そんなことに恐怖しながらも、勇気を振り絞って目を見開いて、振り返ったのだ。それはもしかしたら、
ネウロイに対峙するときよりもよっぽど恐ろしい気持ちだったかもしれなかった。
「──…」
そして、果たして。
そこに、彼女は、いた。長い髪が風に緩やかになびき、黄味がかったその白銀色が月の光にキラキラと輝いて
いる。ああ、この人は確か同じ部隊の。
瞬間的に名前を判別することが出来ずに押し黙る私をよそに、彼女は私の方に歩いてきた。そして片手に携えて
いた何かを、ぽん、と私に手渡す。
「そんなところにずっといたラ、風邪、引くヨ」
抑揚の無い発音で彼女はそう言いながら小さく笑った。平坦な口調のはずなのにそこには私に対する気遣いが
ありありと見えていて、私は戸惑いにただ彼女を見上げる。渡されたものは上着で、どうやら彼女が自分の
部屋から持ってきたものらしかった。風が吹くと、私の腕の中から、彼女の体から、同じような優しい香りが漂う
からだ。
あなたは誰?どうしてここに?
そう尋ねたいけれども驚きで言葉が出ない。言いたい言葉は吐息となってもれるばかりで一向に音になってくれない。
「うめき声が聞こえタ。悪い夢でも見た?」
ああ、それでも。
私よりも長身のその人は少しだけ体をかがめて私に視線を合わせては、そう尋ねてくるのだった。ああ、そうだ、
この人は私の隣の部屋の人だ。エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉だ。そのことを思い出して、聞かれて
いたのか、とひどく申し訳ない気持ちになる。
けれどそれと同時に思った。
気付いてくれていたんだ、と。
(どうしよう)
ダイジョウブ?首をかしげて心配そうに私を見る蒼色の瞳に、深い深い優しさが宿っているのが見えた。今すぐ
すがり付いて泣いてしまいたい。そんな衝動を理性でセーブして、私はこくり、とうなずく。
(うれしい)
いろいろな気持ちがごちゃまぜになって、ただ、それだけの答えを私の頭がはじきだした。ただただ目の前に、
私のことだけをみて、私のことを一身に心配してくれている人がいる。ただそれだけのことだったのに、その瞬間
私の世界はがらりと変わったのだ。
風が一陣、私と彼女の間を通り抜けて行く。ぶるり、と身震いをして始めて、自分が寝巻き姿のまま外に出て
しまっていたのだと気付いた。渡された衣服を一瞥して、彼女をもう一度見ると「着なきゃ風邪引くヨ」と笑われる。
それでも私が戸惑っていると、彼女は私からそれを奪い、「手、上に上げテ」と言って無理やりそれを着せてきた。
柔らかな綿のパーカーがすっかり冷えてしまった私の体を包んでいく。まるで目の前の人に抱き締められている
かのような感覚になって顔を赤くしたのを、果たして彼女は見ただろうか。知られていないといい、と思う。
ありがとう。
自分としては大きな声を出したつもりだったけれども、実際声にしてみたらそれは容易く夜風に溶けてしまう。
どうしたらよいのかわからずにただ唇を噛み締めると、「ドウイタシマシテ」と照れくさそうな言葉が返ってきた。
ほっと胸を撫で下ろす。同時に不思議な気持ちがあふれてくる。
だって彼女はひたすらに、私を見てくれているのだ。顔だってとても近くにあるものだから、その瞳に小さく映って
いるのが恥ずかしいくらいに分かってしまう。今すぐここから消えてしまいたい。そうとさえ思うほどだったけれども、
まだここにいたい。この人ともっと話したい。気恥ずかしさよりももっと強いその気持ちが、私をこの場所に押し
とどめていた。だってすごく嬉しかったのだ。私のうめきをこうして拾い上げて、そうしてここまで来てくれたことが、
とても、とても、とても。
- 236 名前:21X2w2Ib 3/3:2008/10/14(火) 01:34:53 ID:2KRFOznp
-
不思議だった。つい先ほどまで私は独りぼっちでもいいと思っていたはずなのに、今はこんなにも一人になる
のが怖い。出来ることなら彼女の衣服の端を掴んで「行かないで、ここにいて」と懇願したいほどの気持ちで、
私は彼女をひたすら見つめている。
「…そんなに見られると、恥ずかしいダロ」
そう彼女に呟かれても、止めることが出来ない。むしろその恥ずかしさに赤く染まってゆく彼女の頬が嬉しかった。
私もきっと、同じ位に、それ以上に頬を染めているのだろうと思いながら。
「眠れないのカ?」
しばらくして、静かに彼女に尋ねられた。私の脳裏にあの、真っ暗な自分の部屋が浮かぶ。いつもはむしろ居心地
がいいはずのあの部屋が、今ではとても恐ろしい場所のような気がして私はうなずく。何よりあの場所では、私は
独りぼっちなのだ。
無言の私の返答に、彼女はうーん、と唸った。一体何を考えているのだろう、分からず私はただひたすらそんな
彼女を見ている。風に揺れる髪を、かすかに伏せられているまつげを、口許に当てられたほっそりとした長い指を、
見ている。きれいだなあ。そんなことを思いながら。
「今日ダケ、なら、イイヨ」
たっぷり1分ほど、悩んでいた彼女の口から出たその言葉に私が一体どれくらいびっくりしたことだろうか。その
言葉の真意が掴めずに目を丸くする私に、彼女は重ねる。
「一人で眠れないなら、私の部屋に来るとイイヨ」
今日だけ、ダケドナー。直後にそう加えるのは照れているのだろうか。
「ほ、ほら!ええと、話相手位にならなれるし、一人が怖いなら、二人なら怖くないカナ、って」
慌てて付け加える言い訳のような、補足のような、その言葉の必死さに私はつい笑ってしまった。「笑うなんて
ひどいダロー」。そう口を尖らすその仕草さえ、なんだかもう見慣れたような気分になっている自分が不思議だ。
だって何も怖くないのだ。それぐらい彼女の仕草は私に対して親しげだった。温かかった。
「行こうヨ」
遠慮がちに差し出された手を、ためらいなく握る。冷えた二つの手が重なり合うとどこからか熱がやってきて、
いつの間にか溶け合っていく。ああ、人の手って、こんなに温かかったっけ。いつの間にか忘れていた感覚が、
よみがえる。何だか涙が零れ落ちそうになったけど、そうしたらきっと彼女が心配するだろうからこらえた。
たどり着いた彼女の部屋はやっぱり私の部屋の隣で、物が多い割にひどく片付いていた。カーテンは閉め
切られているのに、窓からはいっぱいに月の光が差し込んでいる。だから暗くはない。けれど眩しくもない。
ベッドに横になると、ひどく自然な様子で彼女は毛布を掛けてくれた。そして自分もベッドに潜り込んで仰向けになる。
「リトヴャク中尉は、花、好き?」
不意に投げかけられた問いに、うん、と言う返事を返した。ソッカ、と彼女の満足げな呟きが漏れる。
「じゃあさ、明日一緒に出掛けよう?今日訓練中に、いいものを見つけたんダ」
何を、と尋ねると「花畑!」と嬉しそうに彼女は答えた。
「一緒に楽しい事を考えヨウ。『楽しい人には草も花、いじけた人には花も草』って、私の国では良く言うんダ。
雑草でしかないのかもしれないけど、すごく綺麗だったんダヨ」
二人で見たらきっともっと綺麗だろうなあと思ったんだ。そして臆面もなくそんなことを言ってのける。
いいの?尋ねたら彼女の手が伸びてきて、私の頭をゆっくりと撫でた。どうしてか胸が高鳴る。もっともっと一緒に
いたい。この人のことを、もっと知りたい。強く、思う。
「だから、もう寝ヨ、リトヴャク中尉」
私の頭を撫でるその手が、とてもとても優しくて、温かくて、柔らかかったから。彼女の最後の台詞を待たず、
私はとろとろと眠りに落ちてゆく。けれどこれだけは伝えなくちゃ。そう思って眠りに落ちる直前呟いた。
「サーニャで、いい」
だから私もあなたのこと、エイラって呼んでいいですか。
目が覚めたら一番にそう言おうと思いながら。
たぶん彼女は微笑んでイイヨと言ってくれるのに違いないという妙な確信が、私を心地よい夢の中へ引きずり込んでいった。
- 237 名前:21X2w2Ib:2008/10/14(火) 01:39:21 ID:2KRFOznp
- 以上です。
『楽しい人には草も花、いじけた人には花も草』は、フィンランドのことわざ。
エイラはミヤフジの出現により気持ちが焦ってへたれてるだけで、無自覚のときは
ぐいぐいサーニャを引っ張ってるかっこいい子だと信じてる。
例によって全く題名が思いつかなかったのでどなたか良いものがありましたらよろしくお願いします
>>54
遅レスになってしまい申し訳ないです。
そうか、ロシア語やフィンランド語にすると言う手があったか!
タイトル変更の申請をさせていただきました。ご提案どうもありがとうございました。
- 238 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 01:45:30 ID:NDg2jJP7
- エイラーニャの人ktkr
相変わらずフィンランド小ネタがいいなあ
6話のAパートとかサーニャ被弾→ギャキィ!を見るにサーニャの不安を敏感に感じ取って行動してるよねエイラは
- 239 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 02:35:02 ID:5AJhRyiZ
- >>237
うぉぉぉぉぉぉぉ!エイラーニャの出会い(というかキッカケ?)GJ!
それまで大して話す事もなかった2人が、
些細な出来事から接近していく様子にこっちもドキドキしたんだぜ!
苗字読みも新鮮だった!
- 240 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 03:06:58 ID:nU/JhkRH
- トゥルーデは力持ち、というのを知ってからというもの、
トゥルーデへの気持ちが大きくなりすぎてついつい避けるようになってしまうエーリカ
一方避けられる理由が分からず悶々とするトゥルーデ
そして今日こそ理由を聞こう…と思っていたら、顔を合せた瞬間また逃げられそうになってしまう
思わず後ろからエーリカの腕を掴みその勢いでエーリカを壁に押し付けるトゥルーデ
「……痛ッ…」
「あ…す、すまない…」
といった感じの妄想が頭から離れないんだぜ…
もちろんその後は理由を知ったトゥルーデにぎゅっと抱きしめられて今度は照れ笑いで「痛いよ」と言うエーリカで。
エーゲルは何気に悲恋ものが多いけど個人的には幸せになって欲しい。
- 241 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 12:44:55 ID:T08Z2W5L
- そいやフリーガーハマーってウルスラのがもとなわけだが、サーニャが受領するときに基地にきてたりしたんかねえ
- 242 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 13:11:14 ID:F8SZtoDP
- エーリカのすばらしき世界
- 243 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:38:23 ID:KMnWrpa2
- 戦ってる軍人の女の子が大好きです。
妄想のままにルーデルxトゥルーデの続き書きました。
堅物カールスラント軍人なバルクホルン中尉と、
内心でふにゃふにゃになってる少女トゥルーデのギャップがうまく伝わってくれれば幸い。
- 244 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:39:22 ID:KMnWrpa2
- ●カールスラント1941 ブリッツクリーク・アヘッド
バルバロッサの発令から暫くたったある日。
私、ゲルトルート・バルクホルンは最前線の野戦飛行場にいた。
飛行場と言っても広めの平地を整地し、一部に鉄板を引いて補強しただけの簡易なものだったが、主に軽量なウィッチが使用する前提であるならば十分なものだった。
着任早々にネウロイの空襲と言う歓迎を受けたが、我々はこれを難なく撃退。
むしろ迎撃戦闘の快勝は味方の士気を上げるのに大いに役に立った程だ。
そして、本日これより侵攻する陸上部隊支援の為、ネウロイ防御戦線に向けて航空攻撃を開始する事となった。
「整列、傾注!」
ストライカーユニット、Fw190AとBf109Fを装備した航空機動歩兵の乙女たちが、私の目の前に整列していた。
私よりも年上の者、年下の者、同い年の物、等しく私という指揮官に付き従う部下であり、掛け替えの無い戦友達。
「出撃前に貴様らに伝えておきたい事がある」
私は静かに皆の顔を見た。
「知っての通り、今回の出撃はこの作戦の為に分派された我々分遣戦隊の初陣となる」
「また、我らカールスラントの誇る英雄、撃破王ハンナ・ルーデル大尉殿との初の共同作戦でもある」
「先日、大尉殿は私に決意を告げられた。大尉殿は全ての爆撃部隊の隊員を連れ帰ると仰られた」
「私も同じ気持ちだ。同じ思いで如何なる時も飛んでいる」
「だが、大尉殿の決意は私の想像を超えていた。味方が敵地にて落伍したなら、これを拾い上げて帰還するとまで仰ったのだ!」
「明日を担うウィッチの為、一人でも多くの経験を持ち帰る……私にもその意識は伝わった。十分すぎるほどに!」
「同時に、その意思が余りにも大きい事も悟った。大尉殿の意思は翼を並べ、共に空にあるもの全てに向けられている……」
「わかるか? それは貴様らの落伍の際にも大尉殿は分け隔てなく救いの手を差し伸べると言う事だ」
「英雄には堂々とした凱旋がよく似合う。負傷兵を抱えてヨタヨタと飛べなどと英雄に求められるか?」
「否! 断じて否だ!」
「もしも我らが英雄にその様な恥辱を与える者がこの戦隊から出ようものなら、帰還後私が直々に教育を施す!」
「そしてもう一つ、隣接する戦域ではオラーシャや扶桑の派遣軍も奮戦している。もしも連中の活躍に遅れをとる様な事があった時もまた然りだ!」
『了解です。中尉殿!』
「以上だ。祖国万歳!」
『祖国万歳!』
「総員離陸!」
私は伝統的なロマーニャ式敬礼を行って訓示を終え、出撃命令を下した。
私は基本的に力強く、抑揚をつけた訓示を好んで行う。そのやり方が私の性に合っているからだ。
ミーナの場合は静かに、言葉の一つ一つに意思を込め、浸透させるような訓示となる。
エーリカは……奴にやらせると緊張感が台無しになるので基本的には私が行う事にしている。
そんな二人とは、現在戦域が離れ離れになっていた。
司令部の戦力の均等配置という意思が働いたようだ。
本来、有力な戦力を集中かつ有機的に運用するというのがかつて我々カールスラントの研究していた戦術ではなかったのか?
現在の他国の派遣部隊との協調を優先するが故に我々の持つアドバンテージを失っては居ないだろうか。
いや、余計な事は考えるまい。
私は軍人として、ウィッチとしての結果を出せばいいのだ。
そしてBMWの魔道エンジンが与える力強い加速の後、私とFW190Aは青空に舞った。
- 245 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:40:09 ID:KMnWrpa2
- 続いてシュツーカ隊も離陸し、ルーデル大尉が話しかけてきた。
「いい演説だったぞ、バルクホルン中尉。だが少し持ち上げすぎだな。恥ずかしくて顔から火が出そうだぞ」
半ば非難めいた感想を述べるがその声と表情は笑みを湛えていた。どうやら先程の私の訓示は及第点を頂けたらしい。
それだけで就寝時間を過ぎても推敲し、練習しただけの甲斐はあったというものだ。
「カールスラント軍人としての当然の心構えを述べたまでです」
余り大尉を見つめてしまうと頬が火照りそうだったので少し視線を逸らしながら答える。
そして視線の隅に捉えた他のシュツーカと大尉の装備を見て愕然とした。
一般隊員が125kg爆弾を両手に抱え、MP40短機関銃を肩がけにしている事に対し、大尉は左腕に125kg爆弾、右手にMG42を抱え、その背には37mm対装甲ライフルを背負っていた。
それだけの重装備にもかかわらず他の隊員に遅れをとるどころかより軽やかな飛行を見せている。
みれば副官のアーデルハイト中尉も37mmライフルを背負ってはいたが、爆弾に関しては両手で保持していた。
「フ……頼もしい限りだな、バルクホルン中尉」
私から見れば頼もしいのはあなたのそのお姿です。と思ったが口に出してはまた声が上擦りそうだったのでやめた。
そして、私は言葉を飲み込んで一呼吸し、リズムを整えた上で「光栄です」と一言だけ返した。
「フム、では帰ったら先日の話の続きでもしよう……」
大尉はそれだけ言うと「え?」と思ったこちらの返事も聞かずに高度を変え、シュツーカ隊との編隊を組んだ。
先日の話。
ルーデル大尉から『トゥルーデ』への頼み事。
あの距離感、一瞬の逢瀬の記憶が蘇り、私を困惑させる。
しかし、この戦時に於いて個人的な用事など瑣末な事。
尊敬する大尉との会話とはいえ、それがバルクホルン中尉でなくトゥルーデという一人の少女に向けられたものであるならば、カールスラント軍人として意識して思考から排除せねばなるまい。
私は改めて前方を見据えると緊密な編隊を組みつつ高度を上げた。
ネウロイ前衛に一撃を与えるべく結集し、進軍する陸軍の歩行脚隊の戦列を追い越して飛ぶ。
程なくして眼下に瘴気の淀みが広がり、同時にネウロイの迎撃が始まった。
- 246 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:40:59 ID:KMnWrpa2
- 無我夢中でロールとダイブと上昇、そして牽制、照準、射撃を繰り返す。
無論一瞬たりとも警戒を怠らない。
常に1乃至は2機が上空に遷位し、近づく敵の鼻っ柱を叩き、戦意を挫き、シュツーカ隊を護る。
波状攻撃を仕掛けるネウロイ航空隊の余りの多さに内心悲鳴をあげつつも全て飲み込んで闘志の咆哮へと換えた。
指揮能力に優れた才を持つミーナが今ここに居ない事に対し、カールスラント軍人にあるまじき汚い言葉で悪態をつきながら総員の位置を把握し続けた。
無条件で皆の背中を護るエーリカの不在も同じく悪態に換え、不満の全てはネウロイにぶつけた。
そして、未だ我々護衛部隊の激戦が続く中、攻撃ポイントに到達したシュツーカの乙女達が爆撃を開始した。
攻撃を開始したのはシュツーカ隊12名の内7名だった。
ルーデル大尉とアーデルハイト中尉、そして新人5名と言う構成。
残り5名は少し離れた場所で待機している。流石の大尉達と言えども激戦の中で10人の新人の面倒を見るのは無理なのだろう。
炸裂する高射砲の衝撃波に揺さぶられながら、シュツーカ隊は何とか投弾を終える。
見れば地上を見れば、黒煙の向こうに長大な主砲を持つネウロイの大型陸戦兵器が崩れ落ち動かなくなっている。
他にも数箇所から煙が上がっていた。ある程度の戦果が上がったのは確実のようだ。
ここまでの間、脱落者は無し。我々も奮戦の甲斐があったというものだろう。
だが、低空に遷移して離脱途中の新人が一人、炸裂した至近弾によって大きくバランスを崩した。
どうやら失神したらしくその身体はあっという間に高度を失っていく。
そこに咄嗟の判断で37mmライフルを投げ捨てて身軽になったアーデルハイト中尉のフォローが入った。
中尉は意識の無い新人に呼びかけながら回避機動を行うが、そんな動きの鈍ったウィッチはネウロイ高射砲にとって格好の的でしかなかった。
再び高射砲弾が炸裂し、新人を庇った中尉は傷だらけになっていた。
次は無い。だがそこで中尉にとって最高の僚機であるルーデル大尉から最高のフォローが入った。
大尉が高射砲を鮮やかな狙撃で吹き飛ばしたのだ。
しかし、この時点で待機していた新人5人による二次攻撃は事実上破綻をきたしてしまった。
新人達の投弾には大尉と中尉の歩調を合わせた支援が不可欠だったからだ。
今回は撤退だろうと判断し、襲い来るネウロイの間隙を突いて撤退支援の為の編隊を組もうとした矢先、ルーデル大尉から驚くべき通信が入った。
「バルクホルン中尉、二次攻撃を行うからこちらに来て新人を二人まとめろ」
「なっ!? 無理です、ルーデル大尉!」
「やる前から諦めるな! 見ろ!」
大尉が指差した先では、先程爆撃によって破壊されたかに思われた大型陸戦兵器がその脚を震わせ、再び立ち上がろうとしていた。
「新人に構う余り狙いが浅くなった。奴の主砲は鈍重な地上部隊にとっては非常に脅威になる。確実につぶす」
「しかし……」
無茶だった。大体私は爆撃の訓練など最低限の座学以外受けていないのだ。
そんな爆撃に関して素人同然の私が初陣のウィッチ二人を導けるはずが無い。
「やるんだよ中尉!」
大尉は尻込みする私の胸元を掴んで左手で力強く引き寄せるとおもむろに唇を重ねた。
な、ななななな!?
突然の事に体が硬直する。
無線を通じ地いくつもの気配が息を呑み、皆の視線が集まるのを感じた。
自分のどこか冷静な部分が「キスをしているのに目を大きく見開いているのはおかしい」と見当違いな指摘を囁く。
急転直下の状況が思考を麻痺させるが、感情が羞恥へとつながって頬を染める前に大尉は唇を離す。
「気付けだ。気に入ったか? トゥルーデ」
穏やかでいて力強い瞳が、恐ろしい程至近距離にあった。
「えっ……いや……そのっ」
うう、追い討ちの様に愛称で呼ぶなんて……。
「やらんのなら更にこの先に進む用意もある。悠長な事をすればお前がやる気になる前にここで二人して墜とされ兼ねんぞ」
余裕を湛えた微笑のまま、大尉はとんでもないことを口にする。
- 247 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:41:53 ID:KMnWrpa2
- さ、先って何だ!?
いやいやいやいや、何を期待しているトゥルーデ!
いや違う、そんな事を考えるなバルクホルン! これは……これは脅迫だぁっ!!
こうなってしまってはもう私に選択肢など一つしかないじゃないかっ。
「やります! やらせていただきますっ! ベーアイン、打ち合わせ通りに護衛の指揮を引き継げ。こちらは大尉の指揮下に入る!」
心なしか、少しからかう様なB中隊1番機ベーアインによる了解の応答の下、指揮官の思考停止によって乱れていた編隊行動は再び一体の生物のような連携を取り戻す。
そして、私は心を決めたからには徹底的に地上攻撃に集中する。
視線を走らせると先程アーデルハイト中尉が投げ捨てた37mm対装甲ライフルが目に留まった。
一気に降下して回収し、動作を確認する。
流石はボルトアクション。その単純なつくりはカールスラントの丁寧な仕事も相まって、投げ捨てられた後も動作不良の発生を拒否していた。
「よし、いける」
本来かなり重量があるものなのだろうが、私の特殊能力『怪力』の前にはその重さは無いも同然だ。
とはいえ魔道エンジンの搾り出す推力には限りがある。
重いライフルを抱えた今の私はその打撃力と引き換えに本来戦闘脚のもつ軽快さを失っていた。
慎重なストライカー裁き必要になるが、この程度なら問題はあるまい。
「いい判断だ中尉。では行くとしようか」
先程までの行為など無かったかの如く鷹揚な振る舞い。
まるでピクニックにでも向かう様な気軽さで攻撃の開始を告げる大尉。
そんな大尉の心の余裕を分け与えてもらった私を含む素人襲撃ケッテは、見事ネウロイの頭上に鉄の雨を降らせ、その義務を果たした。
帰路。
私の気のせいなのかもしれないが、皆の視線が生暖かい気がする。
二度目の攻撃時にも発生した脱落者を背負って飛んでいなければ、先程の行為に関して質問攻めにあっていただろう。
しかし、当のルーデル大尉はすまし顔で飛んでいた。
思わずその横顔に見とれそうになる自分を叱咤する。
一瞬だけ目が合うと、私の心を読み取ったのか「話は戦闘終了後だ、中尉」とだけ言ってはぐらかされてしまった。
飛行場へと帰り着くと、そこでは先に帰還した一次攻撃隊とアーデルハイト中尉達が滑走路脇の小屋の中で傷の手当をしていた。
大尉は降りるなり小屋に向かい、本日何度目かとなる驚くべき発言を行った。
「休んでいる暇はないぞアーデルハイト、出撃だ!」
私を含め護衛隊が呆気にとられて言葉を失う。
更に驚くべき事にそんな声をかけられたアーデルハイト中尉はため息一つ吐いてから「了解」の一言と共に格納庫に向かったのだ。
見れば手当てをしていた医者も力なく首を振っている。
カールスラント軍人としてあるまじき態度ではあるが、我々戦闘脚隊全員があんぐりと口を開け、呆然と事の成り行きを眺めていた。
そんな我々を見つけると大尉は大声で怒鳴った。
「何をしている! お前らが先に上がらんと安心してネウロイどもを吹っ飛ばせんだろうが!」
そして我々はやっと気付いたのだ。大尉が本気だと言う事に。
思えばあの何かを悟りきったようなアーデルハイト中尉と、諦めきっている軍医の表情が全てを物語ってたとも言えるかもしれない。
結局我々はその日だけで都合3度の地上襲撃を行い、1度の防空戦闘を行う羽目になった。
3度目の出撃ではアーデルハイト中尉が怪我と疲労でリタイアし、初めから私が地上攻撃要員としてカウントされた。
防空戦闘では蓄積した疲労で動けなくなった我が戦隊員のFw190を半ば奪うようにしてに装着したルーデル大尉も出撃し、見事戦果を上げていた。
- 248 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:42:43 ID:KMnWrpa2
- 全て終わって帰還すると地上部隊からの電報が入っていた。
勿論感謝状などでは無く、獲物を奪うなとのお叱りだった事は言うまでも無い。
夜の帳が下りた。
普段なら寝るには早すぎる時間だが、皆ストライカーを脱ぐが早いか寝所に引っ込んでしまった。
寝台に辿り付けぬ者、着替えの途中で力尽きる者等もあり寝所の小屋はエーリカの私室よりも混沌としていたが、今日ばかりはそれを咎める気になれなかった。
無理も無い。体力には自信のある私でさえ、手足も瞼も鉛のように重いのだ。
だが、私にはまだなすべき事があった。
滑走路の端までたどり着くと、月光の下に私などよりも女性を感じさせるシルエットが佇んでいた。
ルーデル大尉は待ち合わせの10分前だと言うのに既にそこにいた。
あれだけの連戦にも関わらず、疲れを感じさせないその姿にはただ感服するばかりだ。
「よく来てくれた」
大尉は戦士のそれではなく、優しく包容力に溢れた声で私を出迎えてくれた。
胸がきゅんとする。
間違いない。この感覚は、この感情は明らかに尊敬の念から来るものなどではない。
認めたくは無いが、これは……多分恋だ。
今、私は同性に恋してる。
「頼み事の件だ、わかるな」
そう言いながら、二人の距離はまた胸が触れ合う程まで縮められた。
私を魅了してやまない瞳、
「大尉……」
言葉が出てこない。
ドキドキがとまらない。
「これから、私の事を『お姉さま』と呼んでくれないか」
「え?」
意外な申し出にキョトンとしてしまう。
今まで『お姉ちゃん』と呼ばれることはあれど、私が誰かに対してそんな表現を使う事など考えられなかった。
おねえさま……お姉さま、か。なるほどしっくり来る。強さ、優しさ、威厳、包容力……理想の姉がいるとするならばルーデル大尉を置いてほかにありえないと思われた。
多少動転しながらもお姉さまという響きについて思考を傾けていると、返事の無い私に不安を感じたのか大尉が口を開いた。
「唐突過ぎた様だな。嫌ならいいのだ。忘れてくれ」
ああ、まずい! そんな悲しそうに目を伏せないで下さい大尉! いえ、お姉さまっ!
「めめめ滅相も無い! ししししかし私の様な者が、あの、大尉に……その様な呼びかけを行っても、その、良いのかどうか……」
思い切り声が上擦り、どもってしまう。しかもそんな情けない私の台詞は、お姉さまの唇によって中断された。
空戦中の醜態を思い出し、この月の光に相応しい雰囲気を少しでも作り出そうと判断した私はお姉さまだけを強く感じられる様に瞳を閉じた。
相変わらず心臓は早鐘のように高鳴っていたが、心にあった焦りや緊張は、この長く優しいキスを交わす間に嘘のように消えていった。
唇が離れる。
「トゥルーデ、君がいいのだ。君にそう呼んで欲しい」
優しく囁く声が最後の一押しになって、私も優しく、確かめるようにその言葉を紡いだ。
「お姉さま」
- 249 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 13:52:35 ID:KMnWrpa2
- 以上となります。
お姉ちゃんキャラなトゥルーデを逆の立場してみたかったんでやってみました。
なんか長くなっちゃいましたが、全部最後の一言の為の前置きみたいな感じかも。
カップリング的にはエイラとサーニャの組み合わせが最高なんだけど、
ここのスレを見ていれば自分で書くまでも無く補完され続けるんで
自分はなるべく人がやら無そうなところに突っ込みます。
- 250 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 14:35:00 ID:38bEKitv
- >>249
あなたがお姉さまか
いや、お兄さまか?
いずれにしても軍事ネタがすごい
ここまでの書き手がついに現れたか
- 251 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 16:46:27 ID:bk0JFLWv
- おお・・・緻密なSSだ・・・知識量の差を感じる・・・
こんないい作品の後は気が引けますが、ちょっとしたシャーゲル書き上がったんで投下していきます
ケータイでカチカチやってるもので、読みづらいかもしれませんが
ぱちりと目を開けると月明かりがカーテンの端からのぞいていた。
どうしよう・・・全然眠くない・・・
リーネは小さく溜め息をついて体を起こした。
いつもならもう夢の中にいるはずなのに、考え事をしていたら眠気が飛んでしまったみたいだ。
考え事と言うか、頭の中が芳佳だらけになっていただけなのだが。
ホットミルクを作ったら眠れるかなぁ・・・
ベッドから下りてスリッパを引っ掛け、隣で寝ているであろう芳佳に気を配り、静かに部屋を出る。
消灯時間の過ぎた廊下は当然真っ暗だった。
風が窓を揺らすと、リーネの体は強張った。
芳佳に付いてきてもらいたいが、疲れて眠っているのに起こしてしまうのはかわいそうだ。
意を決して足を踏み出し、変なことは考えないようにと早足で食堂を目指した。
怖くない、怖くない・・・
しばらく歩くと、なにやら音というか声が漏れ聞こえてきた。
うっすらと聞こえる苦しそうな声にリーネは冷や汗を流す。
やっぱり芳佳ちゃんに付いてきてもらえばよかった・・・
こういう時は少しでも誰かの近くにいたくなるもので、体は自然と個室のほうに寄っていった。
しかし食堂へ進めば進むほど声は大きくなっていく。
こんな時バルクホルンさんは怖がらないのかな・・・
そう思ってゲルトルートの部屋を通りすぎようとしたが、足がはたと止まる。
この声は、ゲルトルートの部屋から聞こえている。
しかも聞き慣れないせいで分からなかったが、どうやらこの声もゲルトルートのもののようだ。
嫌な夢でも見ているのだろうと心配しながらも、だいぶ落ち着きを取り戻したリーネは再び食堂へと歩を進めようとした。
『はぁッ・・・・は・・だめだ・・』
ぴたりと体が硬直する。
こんなにはっきりと寝言を言う人は見たことがなかった。
そして何より、ゲルトルートの声は普段聞くことのない艶っぽさが感じられた。
- 252 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 16:47:48 ID:bk0JFLWv
- もしかして誰かと部屋で――?
自分の想像のせいでリーネは人知れず赤面した。
そんなはずないと首を振っても、依然ドアの奥からは甘い声が聞こえてくる。
『んっ・・・ひぁ、あっ・・・・』
想像が確信へと変わった時にはもう、ドアにもたれて聞き耳をたてていた。
バルクホルンさん、こんな声するんだ・・・
胸の鼓動がうるさいくらいに激しい。
中での行為がどうなっているのか推測はつかない。
ホットミルクのことなど忘れ、好奇心の赴くまま盗み聞きをしているうちに、ゲルトルートが小さく叫んだ。
『も・・シャーリ・・・ッ・・・ふああぁッ!』
それきり、甘い声はしなくなった。
シャーリーって・・・シャーリーさんだよね・・・
シャーリーとゲルトルートが親しいのは気付いてはいたが、まさかここまでとは思いもしなかった。
どうして二人が?とか、やはり年上の人は違うとか、考えが巡るうちに部屋の中から足音が聞こえてきた。
動くのが遅れたリーネがドアから離れた時には、目の前にタオルで身を包んだシャーリーが立っていた。
「盗み聞きかいリーネ?」
「ごっ、ごめんなさい!」
声が裏返ったリーネを、シャーリーは自分の唇に人差し指を立てて制する。
慌てて口をつぐむと、優しい声が静かに聞いてきた。
「・・・・・・あたしらの関係、わかった?」
確信が事実になる一言だった。
何をしていたのか、その問いだけで理解ができた。
サーニャのように頷くと、シャーリーはやれやれといった顔で踵を返し
「おやすみ。」
とだけ言い残してドアを閉めた。
しばらく呆然と立ち尽くしていたリーネだったが、ふと我に返り自分の部屋に戻ることにした。
眠れなかった理由も何もかも忘れ、ベッドで今の出来事を思い返したり、ゲルトルートとシャーリーのことを考えていたらとうとう朝になってしまい、後でミーナや坂本に叱られるはめになった。
もちろん寝不足になった大きな原因は誰にも言えないのだが。
以上小ネタでした。
- 253 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 17:07:27 ID:F8SZtoDP
- タイム・イズ・オン・マイ・サイド
- 254 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 17:36:01 ID:i2GIjdWZ
- みんな放送終わったのにものすごいなー。素晴らしすぎ!!
SSとか書けない自分にとって最高だわ。
ところでそろそろ少佐のSS....いや、なんでもない。
- 255 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 17:42:02 ID:XEmQW9+j
- >>249
いいとこ突いてくるなあ…いいぞもっとやれ!いややって下さい!
>>253
うはwこういうシチュ大好きだGJ!
シャーゲルはこんくらいいっちゃってても良いかも知れんね
- 256 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 17:44:22 ID:XEmQW9+j
- 安価まちがえたorz
- 257 名前:流れ魚:2008/10/14(火) 19:38:22 ID:N5Jcfoag
- 初投稿になります。よろしくお願いします。
※鬱展開注意!!
-----------------------------------------------------------------------------------------
『Flowers gone』
ねえ、エイラ。もう少しだけ――。
もう少しだけ、このまま眠らせて―――。
意識が遠くなっていくの・・・頭が重いわ・・・。
考えるのが億劫なの・・・なんで、何でこんな事になっちゃったんだろ―――ねえ、エイラ?。
私はいつものように、夜間哨戒の任務に就いたの。いつものように出かけるまでエイラとお喋りをしていたの。
いつものように他愛もない話、エイラは「宮藤が来てからサーニャは変わった。」とヤキモチを妬くけれど、
私が想ってるのはエイラだけだよ。そう思ったけど言えなくて、代わりに
「・・・この戦いが終わっても一緒にいてね。」
と、言うのが精一杯だった。これがいけなかったの?ねえ、エイラ?
いつもね、夜の空に飛び立つとすぐにエイラのこと、恋しくなるんだよ。
早く帰って、また一緒に寝て、お喋りして、笑いたいなって思ってるんだよ。これがいけなかったの?ねえ、エイラ?
- 258 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 19:53:03 ID:N5Jcfoag
-
いつもと違ったこと。今日は哨戒中にネウロイに逢ってしまったということ。
ううん、いままでもこういうことは何度かあったわ。いままでは、基地から応援を呼んで
ネウロイをやっつけて、って何事もなく上手くいってたの・・・。
いつもと違ったこと。今日のネウロイは8体もいたということ。
気づいたときには、周りを取り囲まれて、基地に応援を頼んだときにはもう交戦が始まってしまっていたということ。
いつもと違ったの・・・。これがいけなかったの?ねえ、エイラ?
いつもと違っていたことに気が動転していたのかもしれない、
2体のネウロイを撃墜することはできたけど、魔力を使い切ってしまったの。
ちょうどその時だった。基地の方から弾丸が飛んできて、それがリーネちゃんのものだって分かったわ。
そして、応援が来たのが見えたの。エイラが血相を変えて先頭で飛んでくるのも見えたの。
そんなにあわてなくても大丈夫だよ、ねえ、エイラ?
「あっ・・・」
私の全身を激しい痛みが支配した。衣服の、機械の、肉の焦げたにおい。
痛い。傷口から血があふれ、飛ぶ力を失ってしまった私は深い夜に堕ちていく気がした・・・。
薄れ行く意識の中、ウィッチーズのみんなが残ったネウロイを落としていくのをただ眺めてた・・・。
堕ちていく体がふわりと浮いた気がした。エイラの声が聞こえた気がした。
意識が遠くなっていくの・・・頭が重いわ・・・。
考えるのが億劫なの・・・私、死んじゃうのかな―――ねえ、エイラ?。
意識は途切れた―――。
- 259 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 19:57:32 ID:N5Jcfoag
- 3ヶ月後。
私の部屋に住人が戻ることはなかった。
あの後、ロンドンの国営病院に運ばれた私は、そのまま手術室に運ばれ緊急処理を施され、一命を取り留めた。
ウィッチーズに復隊できるかどうか分からないほどの傷を負ってしまった私。
代わり番こにお見舞いに来てくれるみんな。エイラは付きっきりで看病してくれる。
もう少ししたら、退院できるみたい。そしたら、また一緒に空を飛びたいね。
エイラは苦笑いを浮かべて私の頭を撫でるけど、私はまた貴女と一緒に空を飛びたいの。だから――
ねえ、エイラ。もう少しだけ――。
もう少しだけ、このまま眠らせて―――。白百合が散るのはまだずっと先のお話だから。
「大好きだよ、エイラ。」
エイラの腕の中で堪えきれずに泣いた―――。
-----------------------------------------------------------------------------------------
以上、サーニャ×エイラでした。
ラストシーンを考えてから書いたほうがいいことを身をもって知りましたorz
- 260 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 20:19:10 ID:6gVECTyT
- >>エイラーニャはいくつあっても足りん。GJ
ゲーム化決定の情報に歓喜なのだが、どうもオリ主人公がいるみたいなんだよね…
…男じゃないよね?
- 261 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 20:20:22 ID:6gVECTyT
- アンカミス><
>>259さんGJですもっと頼む。
- 262 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 20:20:26 ID:7BShOAIq
- 股間督の言葉を信じるなら男は無いはず
- 263 名前:zet4j65z:2008/10/14(火) 20:25:18 ID:KMnWrpa2
- ハルトマン姉妹って、
エーリカがダックスフント=アナグマ猟犬でウルスラがアナグマ=獲物だから、
シチュ的にはエーリカ攻めウルスラ受けなのかな。
個人的には寡黙少女が自ら開発した器具で姉攻めな方が萌えるけど……。
>>259
白百合さんの1vs8は死亡フラグだったんでちょっとドキッとしました。
生還endでなにより〜GJ
- 264 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 20:42:28 ID:XEmQW9+j
- >>260
股関督率いるスタッフ達ならきっと大丈夫。俺は信じてるぜ
- 265 名前:滝川浜田 『brilliant stars』:2008/10/14(火) 20:42:54 ID:m2356MPO
- 例の第5話投下いたします。
ルッキーニはいつもの様に、あたしに話しかけた。
「用ってなに?シャーリー」
「まあまあ、そんなとこに突っ立っていないでさ、こっち来いよ」
あたしはルッキーニを手招きでこっちに寄せる。
いきなり告白ってのもさすがにアレだし、ちょっとした会話で、時間を稼ぐ事にした。
「今夜は星がキレイだな」
「うん」
「こんな星の中、ストライカーユニットでかっ飛ばしたらさぞ気持ち良いだろうなあ〜」
「ああ、そうだろうねえ♪」
「あたしさ、小さい頃、星をこの手で掴むのが夢だったんだ。
こう、空にまで昇って星をグッとさ」
「アハハ、シャーリーって小さい頃から、ロマンチストだったんだね」
「今でも時々、星が掴めるんじゃないかって思う時があるんだ。
ハハ、子供っぽいって言われるかもしんないけどさ」
「ううん、あたしシャーリーのそんな所が好きだよ!あたし子供みたいなシャーリーの事を可愛いって思う!」
「お前、年上の人間に可愛いって。
ま、お前になら、言われても別に良いけどな♪」
あたしはルッキーニの頭を優しく撫でる。
- 266 名前:滝川浜田 『brilliant stars』:2008/10/14(火) 20:46:12 ID:m2356MPO
- 「なあ、お前毎日楽しいか?」
「うん!ルッキーニがいるから毎日退屈せずに済むよ!」
「アッハハハハハ!そりゃ相棒冥利に尽きるなあ!」
「あたし、シャーリーがいなかったら多分ここにはいないと思う」
「おいおい、ちょっと言い過ぎだろ」
「うん、だってあたしシャーリーの事すっ…」
あたしは、ルッキーニの唇を人差し指で塞ぐ。
そしてあたしは真っ直ぐにルッキーニを見据える。
「そこまで、だよ。ルッキーニ」
「シャーリー…?」
「……ルッキーニの“好き”ってさ、どういう意味の“好き”なんだ…?」
「えっ…」
あたしは、ちょっと間を置いてルッキーニに話を始める。
「…お前を呼び出したのはさ…お前にどうしても伝えたい事があるからなんだ」
「…シャーリー…」
「…お前がどう思ってるか分からないけど、あたしは…」
ルッキーニの手をギュッと握る。
同時にあたしの胸の鼓動はバクンバクン言って、破裂寸前だった。
「……あたしは、ルッキーニの事が……好きなんだ」
「シャーリー…」
「あの、ごめんな、こんなありきたりな言葉で…。他に思い付かなかったから…。
……でも、あたし、本気だから。本気でルッキーニの事、好きなんだ」
「シャーリー…あたしは……//////」
「その、もちろん友達としてとかじゃなくて……恋愛対象として……//////」
あたしがそう言うと、二人どちらかともなく黙ってしまった。
あたしの頭の中には最悪のエンディングがよぎった。
…しばらくの沈黙の後、ルッキーニが口火を切った。
- 267 名前:滝川浜田 『brilliant stars』:2008/10/14(火) 20:48:09 ID:m2356MPO
- 「……やっと、だね」
「は?」
「…やっと、言ってくれたね…ちょっと遅いよ…///」
あたしはルッキーニの言葉の意味が理解出来ずに、狼狽える。
「ちょっ、お前、えっ…?…どういう事なんだ、ルッキーニ…?」
「…まだ分かんないかなあ。シャーリー、本当に鈍いなあ」
「…ルッキーニ…お前何言って…」
あたしの言葉はルッキーニの唇に遮られた。
そして唇を離される。
「あっ…っ…えっ…?//////」
あたしは突然の出来事に、声を失った。
すると、ルッキーニはちょっと顔を赤らめながら、拗ねた様に頬を膨らませて。
「……シャーリー、あたしに告白するの遅すぎだよ。あたしずっと待ってたのにさ」
「えーと…」
混乱する頭で、分かりやすく整理すると、あたし達は最初から相思相愛で、ルッキーニはあたしから告白してくるのをずっと待ってた。
でも、あたしがなかなか勇気を出さずにくすぶっていたから、やきもきしてた…と。
そういう事で良いんだよな…?
「ルッキーニ…お前…//////」
そう思うと、急に顔が火の様に熱くなってきた。
- 268 名前:滝川浜田 『brilliant stars』:2008/10/14(火) 20:52:09 ID:m2356MPO
- 「って事は、あれか!?
結局あたし一人で悩んでたって事か!?」
「…そうなるね」
うわっ、メチャクチャ恥ずかしい!
あたしバカみたいじゃん!!
なんだ今までのあたし!
今すぐ記憶から消したいっ!//////
そんな葛藤をするあたしをよそにルッキーニは話を続ける。
「それと、コレ」
「あっ、それあたしのルッキーニの写真コレクション!…そうか、無くなったと思ったら…」
「シャーリーがなかなか告白してこないから、罰として没収しといたの♪
っていうか、コレどうやって撮ったの?」
「ちょっ、返せよ!それ、大事なものなんだから!」
「へへっ、いーやっ♪」
あたしがルッキーニからそれを取り返そうと、ルッキーニを追っかけてたら…
「うわわわっ!!」
「ンニャッ…!!」
躓いたあたしは、大きな音とともにルッキーニを押し倒した様な体勢になっていた。
第5話以上です。
残るはあと1話です。
あと1話楽しんでいただけたら幸いです。
では、爺はこれで…
- 269 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 20:54:14 ID:Qq6x2t57
- >>268
おお更新乙
ついに残す所後1話頑張れー
後多分気づくと思うけど誤字?
>「うん!ルッキーニがいるから毎日退屈せずに済むよ!」
- 270 名前:滝川浜田:2008/10/14(火) 20:58:33 ID:m2356MPO
- >>269
すまん誤字です
管理人さん、例のごとく修正頼みます。
またミスりました…。
本格的に吊ってきますわ…
- 271 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:03:16 ID:jc49Gyyu
- 馬鹿野郎!
吊ったら続きが読めないじゃないか
- 272 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:07:00 ID:6gVECTyT
- >>264
開発会社がエロゲとかミリ物とか信長の野望とか出してて期待していいのか心配していいのか。
今は信じるしかないのね。サンクス
- 273 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:11:40 ID:6gVECTyT
- よく見たらラッセルはただの販売だったね/(^o^)\
- 274 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:16:34 ID:Qq6x2t57
- 新キャラ主人公でも
あんまり他のカップリングの間には入って欲しくないなぁ
闇文では
ストライクウィッチーズはペアが基本ですから、そこは出来るだけそうしたいところです。
とのコメントが有るのでそこら辺は期待したい
でもエイラーニャとかシャキーニとかの絡みもちゃんと見たいなぁ
- 275 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:19:46 ID:1bTRTma4
- >>274
きっと主人公がキューピットとして奔走するゲームにしてくれるよ
好感度によって劇中で見られなかったあのカップリングも・・・!?
とかだったら5本買う
- 276 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:20:26 ID:7BShOAIq
- 好きなキャラを主人公に選んで、ってのはやっぱり無理かなぁ・・・
- 277 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:24:13 ID:Y+GY5R9d
- 基地司令としてウィッチに指導し戦闘を指揮して、交流を深める・・・という王道w
- 278 名前:滝川浜田:2008/10/14(火) 21:30:52 ID:m2356MPO
- 風呂上がったらもう一本投下してよかですか?
誤字がなんだか悔しいので
前言ってた芳リーネですけど
- 279 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:31:00 ID:Byq1xdFd
- >>276
そんなんだったらサーニャ選んでエイラ攻略してくるわ!
- 280 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:31:18 ID:Qq6x2t57
- >>278
ハリーハリー!
- 281 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:41:13 ID:jc49Gyyu
- ゲームの特典なにを期待する?
- 282 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:47:32 ID:NyPUS+JK
- >>279
エイラ選んでサーニャ攻略するのは超難度だろうな
ヘタレな選択肢以外出てくる気がしない
- 283 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:48:51 ID:6gVECTyT
- >>281
DS版は無難にペアの画面クリーナーとかドラマCD。
PS2版は新規アニメDVDなんてどうだろうと妄想。
- 284 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 21:53:39 ID:1bTRTma4
- >>281
買った人だけに2期の映像をいち早く見せてくれるPVを所望
- 285 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 22:01:16 ID:Qq6x2t57
- 予約は必須だな
- 286 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 22:12:24 ID:cuh2tIPS
- この手のキャラゲーでこんだけ安心(百合的な意味で)できる作品は他にないな
- 287 名前:滝川浜田 『独・占・欲』:2008/10/14(火) 22:14:33 ID:m2356MPO
- では>>278で言っていたSS投下します。
…ミスなんかくそくらえ!
リーネちゃんに呼び出された。
それも物凄い笑顔なんだけど後ろに鬼でも取り憑いたかの様なオーラを発しながら。
「よしかちゃん、こんやわたしのへやにきて?」
あれは確実に何か怒ってる。
おかしいな、私リーネちゃんを怒らせる様な事、したっけ?
そんな疑問を抱えながら、私は夜、リーネちゃんの部屋に向かった。
「リーネちゃん、来たよー」
ガチャッ
「いらっしゃい、芳佳ちゃん」
迎え入れてくれたリーネちゃんの部屋は、電気も点けずに真っ暗だった。
すると、私の後ろで鍵がかかる音がした。
…なんだか嫌な予感がする…
「芳佳ちゃん、座って」
「う、うん」
私はリーネちゃんに促されて、ベッドの上に座る。
真っ暗なせいか、リーネちゃんの表情はよく見えない。
でもなんだか怒ってる事くらいは分かる。
「…ね、ねえ、リーネちゃん…私なんかした?何かしたなら私、謝るから」
するとしばらく黙った後、リーネちゃんは静かに口を開いた。
- 288 名前:滝川浜田 『独・占・欲』:2008/10/14(火) 22:17:04 ID:m2356MPO
- 「…今日、坂本少佐と楽しそうに話してたよね」
「うん」
「…何話してたの?あんなに楽しそうに」
「え…何って…。扶桑の事とか、いろいろだけど…」
「…でも坂本少佐に頭を撫でて貰ってたでしょ?」
「いや、あれはいわゆるスキンシップってヤツで…」
「………………………」
リーネちゃんの瞳が怒りで染まって行く。その瞬間、私の視界は回転した。
「リ、リーネちゃっ…!」
私は無理矢理押し倒された。
私の上には物凄い笑顔なんだけど、目は笑ってないリーネちゃん。
「私以外の人と楽しそうにしてる芳佳ちゃんなんて見たくない」
「リーネちゃん…!」
「芳佳ちゃんは私だけのモノだって事、みんなに教えてあげなくちゃ」
「えっ、えっ、リーネちゃんっ…!?」
「…今夜は、寝かせてあげないから、芳佳ちゃん」
「えっ、リーネちゃん…ちょ、ちょっと…あっ、ああっ…!!!!」
―――――――――――――――――――
…よしかちゃんがわるいんだよ?
わたしのしらないところでたのしそうにしてるから
よしかちゃんはわたしのこいびとなのに
よしかちゃんったらみんなにいいかおするんだもん
だから よしかちゃんにはわたしのあいを
いっぱいいっぱい
そのからだにおしえてあげるからね
もうわたしいがいのひとといられないように
あいしてるよ、よしかちゃん
―――――――――――――――――――
END
以上です。黒いというよりこれじゃただの病んでる人だな…。
明日こそはミス無しで投下してみせる…!明日ミスしたら俺はもうダメだ…
…では、爺はここらで…
- 289 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/14(火) 23:07:33 ID:GPiwFoFm
- >>288
GJ
- 290 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 00:12:49 ID:kAhTyRqQ
- 本スレでシャーリーの扱いが変わってきている件。
明言されてはいないが、ここでシャーゲルSSが何本か投下されたことと無関係ではないと思う。
- 291 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 00:24:22 ID:GjKtBdwa
- シャリトゥル好きとしては、そうであって欲しいトコだが、あれは
昨晩貼られた色鉛筆の人のシャリトゥル絵が、当初ロリコンビって
タイトルにしようとしていたって事に端を発するんよ。
シャリ→ルキ、トゥル→芳佳他って事で意気投合したってネタ。
ただ、そろそろシャリトゥルの季節になっても良いとは、思う。
- 292 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 00:32:34 ID:tEc9cOrA
- >>288
GJ
- 293 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 01:04:43 ID:yEN11yIq
- 一体なんだと言うのだ、この急加速は!!
GJが追いつかないジャマイカ
>>237
諺ネタはどの国も奥が深くて面白いですよね。そしてかっこいいエイラ最高!!GJ!!
タイトルは原文で、と思ったけど長すぎるのでズバリ「Kukkia」(意味はFlower/Bloom)で!またしてもスオムス語です。ワンパターンでサーセン
>>249
ルーデル様格好良過ぎる。休んでいる暇は無いぞ!
乙女トゥルーデは新鮮でもにゅもにゅしますね。それでいてちゃんと「戦場」を描写しているという……
最早私などでは遠く及ばぬ実力差を感じてしまいました。素晴らしかったです。
>>253
よりによってリーネが覗くというのが面白いwいやGJ!!
携帯派同士気張っていこうぜ!!
>>259
タイトルのネタが重過ぎるぜベイビー。死にオチかと思ったじゃねーかw
エイラの名前を繰り返し呼び続けるサーニャ、という構図は大好物です。GJ!!
>>268 >>288
じっちゃんのスタミナには驚かされてばかりだ。そしてそのどれもがGJ!!
ミスは後から修正できるし、ドウッテコトナイッテ。最終話いい子にして待ってる。
ここ数日は確かにシャーゲル祭りとも言うべき人気沸騰ぶりだったよな。
自分もストックがあるがその前に書かねばならん前提話が……うう……頑張ろう。
- 294 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 01:08:49 ID:kAhTyRqQ
- >>291
作者さんには失礼かもしれないが、あの絵がシャリトゥルSSに触発されて描かれたという可能性はないかな?
- 295 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 01:23:25 ID:fioElKky
- t26gFAxTです。
前回投下の2作品にレスいただきありがとうございます!
DVD2巻が待ち遠しくてなかなか筆が進みませんが、(言い訳)
学園ウィッチーズ第6話投下します。
- 296 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第6話 扶桑の魔女たち:2008/10/15(水) 01:25:50 ID:fioElKky
- エイラがサーニャへの想いを自覚し始めた日の翌朝。
土曜日ということもあってか、部屋の外には平日のにぎやかさはなかった。エイラは、自室の天井をぼんやりながめ、昨夜の事を思い出す。
珍しく、サーニャが饒舌に話しかけてきてくれた――はずなのだが、何を話したかは、さっぱり思い出せそうもない。ただただサーニャの表情を目に留め、相槌を打つのが精一杯で。
ほんの前までの関係がまるで夢であったかのように、エイラは、サーニャをなかば神聖視すらし始めていた。まるで、自分の、彼女への想い自体を否定するかのように。
「私なんかじゃ…」
エイラは、眠りなおすために、ブランケットを頭の上まで引っ張りあげる。しかしながら、体のほうは正直に、空腹を告げた。
気の抜けた、腹の音が部屋に響く。
エイラは、ブランケットをベッドから蹴り落とした。
「おはよう、エイラ」
食堂に一番乗りしていたサーニャが、カップから口を外して、微笑みかける。
エイラは、ひきつりそうになる顔を必死に抑えて、なんとか笑顔を差し向けた。
「おはよ、サーニャ」
エイラは、皿にスープを盛って、サーニャの隣に、いつもより数センチ離れて座り、スープに口をつけ始める。
味付けミスなのか、緊張のせいなのか、味をまったく感じない。
エイラは思わず渋い顔をする。
「エイラ、具合悪いの?」
サーニャが覗き込む。エイラは酷く動揺し、がちゃりとスプーンを皿にぶつける。
「い、いや……、味が…」
スープに映るサーニャの顔。サーニャは、エイラのスプーンを取って、一口飲んだが、首をかしげた。
「別に、普通だよ? はい」
スプーンを返すサーニャの指先と、エイラの指先が触れ、エイラは立ち上がってしまう。
サーニャは、目を見開いて、エイラを見上げた。
エイラは、しまったと思いながらも、
「し……、宿題が…あるんだ。部屋に、戻らなきゃ…」
「……でも、まだこんなに早い時間だし」
「先に終わらせたいんだ…ごめんナ…」
サーニャの表情がわずかに曇ったのを、エイラは見逃すはずも無かったが、とりなす言葉が見つかりそうも無く、奥歯を噛み締め、食器を片付けると、足早に食堂を出て行った。
ちょうど食堂にやって来たペリーヌとリーネが勢いよく出て行ったエイラと、食堂で肩を落とすサーニャに視線を交互に運び、顔を見合わせた。
- 297 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第6話 扶桑の魔女たち:2008/10/15(水) 01:28:06 ID:fioElKky
- サーニャは、食事を終えた後、エイラの部屋に行くのも気が引けたため、外の空気を吸うために、日光を避け、木陰沿いに歩きながら、寮の敷地内を歩く。
中庭に近づいた頃、元気な声が聞こえてきて、その方向へ進むと、同じ寮の坂本と芳佳が、別の寮の扶桑の生徒たちと木刀を素振りしていた。
「おい、宮藤、キレがなくなってきてるぞ!」
「は、はい!」
二人に見とれているサーニャの背後で影が揺れ、サーニャが振り向きかけた瞬間、胸がもまれる。
どことなく遠い目をした、不思議な雰囲気の少女。
サーニャの短い悲鳴に、その場の一同が注目した。
その中の、ストレートヘアーの少女が、すばやくサーニャの背後の人物に近づき、ゲンコツを食らわす。
「疾風! あんた訓練さぼって何やってるの!」
「指先の鍛錬だ。五色もやってほしいか?」と、疾風と呼ばれた少女が、ストレートヘアーの少女――五色に指をわきわきさせながらにじり寄る。
サーニャは、ただただぽかんとして、疾風と五色のどつき漫才のようなものに圧倒される。
「あなた、501号館の子かしら?」
サーニャがもう一度振り向くと、今度は、坂本と同じぐらいの年恰好の少女が、貴婦人然としたふんわりとした雰囲気を漂わせつつも、山盛りのおにぎりを積んだ盆を持って立っていた。
「名前は……、サーニャさん、だったかしら?」
「は、はい。あの……はじめまして」
「はじめまして。504号館寮長の、竹井醇子です」
エイラは、自室の机に突っ伏していた。
宿題に手をつけている雰囲気は無い。
そもそもあの場から退避するための方便であったのだから。
さきほどのサーニャの曇り顔がエイラをざわめかせる。
エイラは、自分憎さに机に一発頭突きする。
鈍い音がして、エイラは思わず悶えた。
と、その時、ドアがノックされる。エイラは額を押さえながら、ドアを開けると、ペリーヌとリーネが立っていた。
二人は、エイラを見るなり、どことなく見え透いた作り笑顔を見せ、両脇から彼女をがっしり押さえ込むと、廊下を引きずっていく。
「おい、離せよ〜…」
ペリーヌとリーネは寮のテラスにエイラを運ぶと、据えられた椅子に座らせる。
すかさず、リーネが、テーブルの上に並べた各々のカップに紅茶を注ぎ始めた。
「ナンナンダヨ…」
「あのね、ペリーヌさんがエイラさんを心配し…」
ペリーヌがリーネの口を塞ぎ、椅子に座りなおし、髪をかき上げる。
「た、たまにはクラスメイトとお茶を囲んで語らいを楽しむべきでしょう」
「今そんな気分じゃ…」
ペリーヌは、ふと視線を変え、中庭にいる扶桑の面々やサーニャを眺めた。
リーネも、ペリーヌの視線の先の光景を眺め、押し黙る。
「うむ。醇子のおにぎりは相変わらず綺麗に三角握れているな」
坂本が喜色満面でおにぎりにかぶりつく。
醇子は褒め言葉ととっていいのかわからないといった困り顔をしながらも、湯飲みに茶を注ぎ、各々に渡していく。
芳佳がサーニャに湯飲みを手渡す。
「はい、サーニャちゃん」
「あいがとう、宮藤さん」
「芳佳でいいよ」
どことなく少年ぽく、嫌味なく笑顔を向ける芳佳に、サーニャはエイラを重ねている自分に気づく。
昨夜の、うわの空状態だったエイラと、朝のエイラの変心を思い出し、ふっと心の奥に影がよぎるも、扶桑の面々に囲まれ、サーニャは戸惑いつつも、朝の出来事が徐々に自分の中で緩和していることに気がついた。
- 298 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第6話 扶桑の魔女たち:2008/10/15(水) 01:30:57 ID:fioElKky
- 急に黙ったペリーヌとリーネに気がつき、エイラは彼女たち同様中庭を見つめサーニャの姿に気づく。
満面とまではいかないでも、扶桑の面々に微笑みを返すサーニャに胸をなでおろしつつ、
笑顔の消えた、すぐそばのペリーヌとリーネを交互に見て、つぶやいた。
「お前たちは、あっちに混ざらないのか? ツン……ペリーヌは、坂本先輩が好きなんだろう?」
「な、なにをいきなり?!」
「いや、バレバレだから……。で、リーネも宮藤好きだろう?」
「……うん。でもね……、芳佳ちゃんには芳佳ちゃんの交友があるから。ずっと自分のそばにだけいて欲しい、って思った時期もあったことは否定しないよ。けど、縛ってまでそばにいてもらって……それって本当に私が好きになった芳佳ちゃんなのかなあって…」
「め、珍しく同意見ね」と、ペリーヌが指でメガネを持ち上げながら、「要は、過度の独占欲は見苦しいのよ。おわかり、エイラさん?」「お前たちも、結構考えてるんだナ…」エイラが紅茶のカップをぐいと傾ける。
「あ、当たり前ですわ。それより、今朝サーニャさんと何かあったの?」
エイラは、口いっぱいに含んだ紅茶をごっくりと飲み込む。
リーネとペリーヌの視線がエイラに刺さる。なんでもねーよといういつもの返しは効きそうにないと判断し、エイラは口を開いた。
「私なんかが、サーニャのそばにいていいのかなって…その…引っかかり始めて…」
ペリーヌが額に手を当てて、ごくごく長く息を吐いた。リーネも、いつものほんわか笑顔に呆れが透ける。
「な、なんだよ?」
「いつも言おう言おうと思って、黙ってあげてたけど……。エイラさん、あなた、お馬鹿が過ぎますわ」
「な、なんで?」
「あのね……。サーニャちゃん、エイラさんが来てから、すごく変わったんだよ?」とリーネがフォローを入れる。
エイラがまばたきもせず口を開いているものだから、ペリーヌは思わずテーブルを叩く。
「つまり、サーニャさんはあなたがいてとっても喜んでいるはずなのよ!」
「そんなわけ…」
「「あるの!」」
つい、リーネもペリーヌに同調して声を荒げる。
- 299 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第6話 扶桑の魔女たち:2008/10/15(水) 01:32:07 ID:fioElKky
- リーネとペリーヌの大声に耳をじんじんさせながら、自室に戻ったエイラは、サーニャの部屋へ向かうか向かわないかで部屋の中を歩き回る。
サーニャが自分を必要としているなんて。まさか。いや、そう言って、ついさっきまでリーネとペリーヌに説教に近い口調でまくし立てられたばかりだ。
「まずは、謝ろう」
エイラは、自分に言い聞かせるように言って、ドアを開けた。
ドアを開けたすぐそこにはサーニャが立っていた。
エイラは固まる。
サーニャは、エイラの許可を得ずに、そのまま部屋に入り、ベッドに座った。
エイラは、破裂しそうなほど心臓を高鳴らせ、なんとか、後ろ手でドアを閉める。
――サーニャちゃん、エイラさんが来てから、すごく変わったんだよ?
――サーニャさんはあなたがいてとっても喜んでいるはずなのよ!
エイラの頭の中でリーネとペリーヌの言葉がいったりきたりを繰り返す。
本当に、サーニャは、自分を必要としてくれているのだろうか?
そうだとして、私なんかが……。私なんかで……。
エイラは自問自答するが、そっと自分の胸に手を当てて、息を吐いて、サーニャの隣に座った。
エイラが座ったのを合図にしたかのように、サーニャがベッドに倒れこむ。
「ここでお昼寝させて」
サーニャのどことなくうるんだ瞳を見、エイラは余計な考えをすべて取っ払い、ささやいた。
「……今日ダケダカンナ」
エイラは、そっとサーニャの銀髪をなで、心の中でつぶやく。
答えは、これから導けばいいや――
第6話 終わり
- 300 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 01:38:35 ID:yEN11yIq
- >>299
一番乗りGJ!!続きキター!!
いよいよエイラーニャが動き出すわけですね。いや実に堪能した。
ラストシーンのサーニャの積極さに吹いたw
- 301 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 01:49:24 ID:RR/DdOpH
- >>299
連載キタ!!待ってました
ペリーヌとリーネのペアやっぱすきだなあ
ところでシャーゲルがガチで付き合っていたとしたらキスひとつするにしてもまず取っ組み合いからはいるさましか想像できない。
「あんたあたしより背低いんだからあんたが目閉じろよっ」
「それを言うならきさまのほうが年下なんだからそっちこそ目を閉じろ!」
そして歯をぶつける。
シャーゲルいいよシャーゲル
- 302 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 02:03:58 ID:0cyLciuT
- >>294
別に失礼じゃないと思うよ。絵師さんもここや本スレ見てるみたいだし、自分が発端だなんて一言も言ってないしね。
絵が張られる前からオヘアさんがウルスラを〜とかリベリアンはロリコンってレスはちらほらあったし、
それを書いた人がここの住人だったのかもしれない。
- 303 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 02:44:21 ID:kAhTyRqQ
- >>302
レスサンクス
まあ、発端や起源にこだわりすぎてたな。反省。重要なのはシャーゲルを楽しむことと、ここのシャーゲルSSが絶品だってことだ。
この二人、バディものの典型みたいな感じがすごくいい。
TV本編では「電撃戦」のやりとりくらいしか絡みがないのに、あそこからよくここまでふくらましたよね。紳士の皆さんの妄想力に乾杯。まさに妄想のなかで人は跳ぶんだな。
- 304 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 06:15:40 ID:6JoR+k6G
- ゲーリカ投下します。4レス程度の予定です。
- 305 名前:take it easy 1/4:2008/10/15(水) 06:17:19 ID:6JoR+k6G
-
全くお前は、仕方の無い奴だな。
私の部屋の惨状を見てトゥルーデがため息をついた。旧知の仲である彼女にとって見たらとっくのとうに、
知っての通りの散らかりようだ。
「大体だなあ、使った物はすぐ片付けるようにすればこんなことにはなら無いんだぞ。分かるかハルトマン、
出したらすぐ片す。面倒に思って後回しにするからこんなに溜まってしまうんだぞ、だいたいお前は…」
などと、大尉は仰っておられますが私は聞きません。だいたいトゥルーデのお説教はいちいち長いんだよな、
とごちたら「口より先に手を動かさんか」と頭を軽くはたかれた。
「なんでぇ?トゥルーデがやってくれるんじゃないのー?」
「寝言は寝て言え!私は!休日を返上して!お前のために!お前の部屋の掃除を!手伝って『やっている』
だけだ!」
「じゃあねる〜」
「寝るなっ!いいから座って床のビンを片付けんか、おおおまえ、また勲章を床に放っておいて!」
とか何とかやり取りをしながらも、トゥルーデは私の動く前にぱっぱと部屋を片付けてゆく。その手際の良さは
逆に私が割り込んだら迷惑なんじゃないだろうかと思うほどで、そんなわけで私はその様を傍観することに
決め込むのだった。
麻袋に、いらないものを詰め込んでいく。別の麻袋には衣服を。「脱いだ物はちゃんと洗濯に出せ!まとめて
出されると当番が大変だろう」。はいはい、わかってますって。
「ハイは一回で十分だ」
「はーい」
「悠長に返事をしている暇があったらお前も動け!」
「えー」
しぶしぶゆっくりと動き出す、私。
けど私がひとつの行動を終える間にあちらときたら20くらいの作業を終えているような気がする。うん、
やっぱり私は見ていたほうがいい。きっとこの部屋にとってもそれが一番だ。よかったね、私の部屋。ウン
ヨカッタネ、エーリカチャン。そんな寸劇を、頭の中で繰り広げて。
手を止めても、もうトゥルーデは何も言わなかった。たぶん作業に夢中になり始めたのだ。生真面目で一本気、
悪く言えば猪突猛進で向こう見ずなバルクホルン大尉殿は一度夢中になったらそれに集中してしまう。たぶん
何も見てない聞こえてない。私の姿も、たぶん、私の声も。
どんどんと部屋の置くまで侵攻して行くものだから、私から見えるのは背中ばかりだ。顔は見えない。表情
なんて読み取れない。トゥルーデが何を言ったわけでも無いのに、不意に突き放された気分になって顔を
しかめた。右手を上げて、ゆっくりと伸ばす。当たり前のことだけれど彼女に届くはずなんて無い。
思えばいつも、そうだった。
祖国カールスラントから一緒にやってきた私とトゥルーデとミーナの三人は、原隊にいた頃も良く一緒にいた。
3人でいればどんな強そうな敵にだって負ける気がしなかった。実際そうだった。私はトゥルーデも、ミーナも、
大好きだったのだ。もちろんそれは今も同じで、この部隊に配属されることになった時だって、トゥルーデたちが
いるなら何も怖くない。そう思っていた。自惚れじゃ無ければたぶん、同じような気持ちを二人だって私に、
残りの一人に、抱いてくれていたはずだ。
(届かないなあ)
小さく、嘆息する。
トゥルーデたちは気付いてたろうか。私が一人、言いようもない孤独感と寂しさを抱えていたこと。
一人だけ年下で、一人だけチビすけで。いくらネウロイを撃墜しても生まれて持った年齢と、体格は埋まらなくて。
長身のトゥルーデたちを下から見上げながら、もしかしたら二人は私とは別の何かが見えているのかもしれない、
と思ったことが何度もあった。いつの間にか先に進んでいってしまったミーナたちを後ろから眺めて、どうしたら
いいのか分からずに今と同じように手を伸ばして、ため息をついたことは数え切れない。
- 306 名前:take it easy 2/4:2008/10/15(水) 06:18:01 ID:6JoR+k6G
-
自分の気持ちの伝え方なんて知らない私はとりあえずそれを甘えることで紛らわすことにした。私が自分たち
よりも年下であるということをきっとトゥルーデたちは無意識に気にかけていたのだろう。聞き分けの悪い子供
みたいな台詞をいくら吐いたって、笑って許してもらえた。そうすることでしか二人に私を見てもらおうとすること
ができなかたから。
「ハルトマン……エーリカ!」
「へ?……どったの、トゥルーデ?」
突然呼びかけられて、私はきょとん、と首をかしげる。
「さっきから何度も名前を呼んでいたぞ」
「そうだっけ…ごめんごめん」
「全く…お前のためだって言うのに、何考え事をしているんだ」
見ると、部屋の中は不気味なくらいにすっきり片付いていた。あまりの小奇麗さにむしろ自分はこんな環境で
眠れるのかと不安になる。すかすかの部屋はなんだかとても、空虚だ。自分の存在意義が見つからないのだ。
机の上に綺麗に並べられた勲章が、窓から差し込む陽光にキラキラ光っている。私がそれを見ていることに
気がつくとトゥルーデもなぜか淡く笑った。
(なに、その顔)
でも、なぜか、私は。その顔に違和感を覚えてしまった。
妙な苛立ちがお腹のそこからふつふつと湧く。こんなの、私の知ってるトゥルーデじゃない。私の知ってる
トゥルーデは、もっともっとバカみたいに真面目で、まっすぐで、無愛想で、無口で。
そんな、アホみたいな、隙丸出しの、顔をするような人じゃ、ない。
それもこれも全部、宮藤が来てからだ。宮藤が来て、トゥルーデが怪我をして、それからだ。
何が原因なのかなんて分からない。私の大切な人を一生懸命助けてくれた、宮藤を責めるつもりは無い。悪い
のは全部、トゥルーデだ。
「…トゥルーデ、変わったよね」
そんな想いが募って口から出た言葉は、ずいぶんといやみったらしかった。言葉にしてやっと我に返ったけれど、
後悔してももう遅い。恐る恐るトゥルーデを見る。「バカを言うな」と吐き捨てるばかりだったはずのトゥルーデは
そこにはいなかった。ただただ、目をまん丸にして、ひどく驚いた様子で、少し傷ついた顔で、私を見ていた。
やめてよ、そんな顔。トゥルーデらしく、ない。
なあ、フラウ。
何も言わずに黙りこくっていたら、ぽつりとトゥルーデが私の名前を呟いた。親しい人しか呼ばない、私の愛称で、
呼んだ。何さ。そっけなく私は返事をする。
「私は、そんなに変わったのか」
「…変わったよ。見違えるほど。」
「そうなのか」
ひとり、納得したようにトゥルーデは頷く。私は何も分かって無いのに。私を置いてけぼりにして、そんなことを
する。
私は怖かった。また、置いていかれるのかと思った。私の知っているトゥルーデが、私の全然知らない誰かに
なってしまうのが、ひどく恐ろしかったのだ。たぶんミーナだったらそんな恐れは抱かないんだろう。同じ目線で、
同じ方向を見て歩くことのできるミーナなら。
でも私は違う。私はいつも一方後ろにいて、二人の後ろを必死についていっているだけなのだ。
「…ミーナにも、同じことを言われた」
「そりゃ、そうだろうね」
「お前は、怒っているのか?」
「さあね」
- 307 名前:take it easy 3/4:2008/10/15(水) 06:18:50 ID:6JoR+k6G
-
ミーナはどんな顔で、トゥルーデにそのことを伝えたんだろう。きっと同い年の余裕で、微笑んで、『そんな
あなたもいいわよ』なんて付け加えたんだろう。ああ、羨ましいな。ずるいな。
私は、ひどいな。つっけんどんな返答を返しながら、私は心で泣きながら笑っていた。すたすたと部屋の中に
入って言ってベッドに座り込む。やけに明るくて片付いた私の部屋は、何だかひどく居心地が悪い。だから
きっとこんなにも胸がむしゃくしゃするんだ。三角座りをして膝に足をうずめた。
「……聞いてくれ、フラウ」
遠くから聞こえる、トゥルーデの声。なんだよ、もう。その優しげな声。
「私は、気付いたんだ」
私の返答の有無に関わらず彼女は続ける。かすかに必死さを帯びるその口調。それもこれも、聞きなれた
声音の、聞きなれない言葉。
「世界は、本当はこんなに明るいのだ、と」
意味が分からず顔を上げると、綺麗な部屋の真ん中でトゥルーデが気恥ずかしそうに笑んでいた。
「…笑っちゃいけないって、思っていたんだ。楽しむことは、今も生死の境をさまよっているクリスに失礼なんだと。
妹を守れなかった私にそんな権利は無いんだって。…でも、気付いたんだ。どんな人だって、楽しかったら
笑っていいし、悲しかったら泣いていい。ちっぽけなことだって怒って構わないんだって。そうしたら、すごいな。
世界がとても明るいんだ。眩しく見えるんだ。」
幸福そうにそう、彼女は言うのだった。私の知らない顔で、私の知らない声色で。けれども見知った顔で、
聞きなれた声の調子で。
「私は今の自分が、けっこう好きなんだ」
お前が何に怒ってるのかは分からないけど、今の私も、私だ。
諭すような口調は、私の記憶にあるトゥルーデのそれに比べたらひどく柔らかくてふにゃふにゃで手ごたえが
無くて、まるで憐れに思われているようでひどく悔しい。
「それが、どうしたのさ」
…分かってた。私はそれを、祝福してあげるべきだったんだと。でも口から出るのは憎まれ口ばかり。穏やかな
顔で笑うトゥルーデはもう別人だった。私の知ってるトゥルーデはそこにはいなかった。こんなに近くにいるのに
何だか遠い。私ばかりが置いてけぼりだ。
「私は変わってしまったのだろうし、それはフラウにとって気に食わない変わり方だったのかもしれない。…でも、
出来るなら、それでももう一度、私のことを好いてくれたなら…この上なく嬉しい」
窓を背にしている私が眩しいのだろうか、トゥルーデは目を細めてこちらを見ていた。たぶんそれだけのはず
なのに、私にはなぜかその顔が、泣きそうな顔に思えて、何も言えなくなってしまう。なんだよ、トゥルーデは
私よりも年上だろ。体だって大きいだろ。それなのに。
「そんな顔、しないでよ」
そんなの、トゥルーデじゃない。
「私は、別に」
トゥルーデが、それでいいなら、構わないんだよ。私を好きでいてくれるなら。
そう続けようとしてはっとした。何だ、単純なことだったじゃないか。この胸のもやもやも、いらいらも、一つ彼女に
問いを投げかければすぐ、解決することだった。…怖かったのはトゥルーデが変わってしまったことじゃなくて、
望む答えを得られないかもしれないこと。それだけだったんだ。
「ねえ、トゥルーデ」
笑顔を作って、彼女に語りかける。きっと昔と全く変わらない、私よりも歳も身長も上のこの人に甘えるときに
使う声音。けど私が変わっていないと思っていても、トゥルーデには全く違って聞こえるのかもしれない。
なんだ、と返される前に私は尋ねた。先手必勝、電撃戦だ。気を遣う暇なんて与えてやらない。
- 308 名前:take it easy 4/4:2008/10/15(水) 06:20:10 ID:6JoR+k6G
-
「私のこと、好き?」
好きさ。
跳ねて返って来る表情は私の知らない、とても柔らかな笑顔。肩の力も頬の力も抜いた、たぶんトゥルーデ
自身がとても気に入っているであろう表情。
でも、その返答に、私は今までと全然変わらない、トゥルーデの気持ちを聞く。嘘を嫌うこの人が、本当の気持ちを
話すときは全く淀みを加えないことを私は良く知っている。だって後ろから、ずっと見ていたのだ。
「大好きだよ。じゃなかったらお前と一緒になんかいられるか」
欲しかった答えはいとも容易く手に入って、私は満足に顔を綻ばせる。ベッドから下りてトゥルーデの元へ掛けて
行って、ぎゅうと抱き締める。…昔と何も変わらない、トゥルーデの匂い、トゥルーデの温もり。
「なら、いい」
きっとこれからもまたトゥルーデは変わっていくんだろう。でもそれは私もそうだし、ミーナだって同じだ。
変わっていないと思っていたって、もしかしたらウルスラ辺りなら『変わりすぎ』とため息をつくのかもしれない。
じゃあ、それを否定するよりもずっと、受け入れて、受け止めていったほうがずっと容易いじゃないか。
「では、片付けの続きをはじめるぞハルトマン!」
「えええええー!いまなんかいいムードだったじゃん!片付けなんてどうでもいいよ」
「何を言っている。公私を分けるのは優秀な軍人の務めだ。そして私はいまこの部屋を片付けるという任務を
遂行している最中だ!」
いま、一瞬流れたなかなかに甘い空気は一瞬にして崩されて、トゥルーデはお掃除大尉と変貌してしまった。
全くこの規律バカと来たら、もう。ため息を突いて私はそっぽを向く。ちりが積もり積もって山になるのだとしても、
そのことを今から危惧しても仕方が無い。そうしたら山になったときに考えればいい。
「いいよー、またすぐ散らかるしー」
「その考え方がいかんと言ってるんだろうがっ!今朝なんて寝る場所も無かったんだろう!?」
「そのときはトゥルーデの部屋があるから大丈夫!」
「大丈夫なわけ、あるかっ!!」
そんなやり取りを交わしながらも、トゥルーデが何だか楽しそうな顔をしてることに気がついた。何だか楽しく
なってきて、思わず笑い声を漏らすと、トゥルーデも小さく笑ってくれた。
───
以上です。
書き慣れていない組み合わせなのでおかしなところが多々あるかもしれません。
幸せなエーリカを模索中。
- 309 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 07:59:19 ID:TzpR7i7O
- >>308
ぐぐぐぐっじょっ!
- 310 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 08:02:01 ID:ce4OeuYF
- ゲーリカって響きが美しくない
- 311 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 08:06:10 ID:rFcd0TLN
- GJGJ
- 312 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 08:12:03 ID:oyLyEwoi
- >>308
乙〜よかったよー
- 313 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 08:47:57 ID:mJdDkZVp
- じゃあゲルトマンかバルクマンか?w
>>308
ハラショー!クリスや宮藤相手と違ってエーリカ相手だとゲルトが結構しゃんとしてるよねw
- 314 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 08:48:05 ID:0vtA1WvV
- >>308
GJぇぇ!!
エーゲル大好き〜
- 315 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 09:03:08 ID:K9jeUyVK
- トゥーリカもしくはトゥーフラというのはどうだろうか?
>>808
これはいいしおリカ(しおらしいエーリカの略)GJ!!!!
- 316 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 10:35:06 ID:KuE2HSd2
- >>308
乙
ハルバルはガチと言うより友情の延長っぽい所がいい
- 317 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 10:45:11 ID:ltv2Flcm
- ハルバルが一瞬なにか解らなかった
- 318 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 10:46:54 ID:ZyvjhSGu
- 呼び方はゲルリカが好き
- 319 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 10:48:17 ID:ltv2Flcm
- ゲルニカっぽいな
- 320 名前:zet4j65z:2008/10/15(水) 11:35:07 ID:FPDTnC6V
- >>308
GJっす
トゥルーデの堅物とふにゃふにゃとギャップ最高!
カップリングに問題が無さ過ぎて呼称にしか議論の余地がないですねw
個人的にはトゥルフラがいいかなぁ
もしかしてエーリカがギャップに驚いたからEDに二人の組み合わせが無いのか!?
- 321 名前:『月』第四話1/3 j4ntaz3y:2008/10/15(水) 12:07:23 ID:mD249D6j
- >>83のつづきです
毎度レスしてくださった方ありがとうございます。たぶんこれの次で終わり。
きょうはもしかしたら寝つけないかもしれない、なんてのはあっさり杞憂におわる。ベッドにはいればいつのまに
か朝になっていて、しかもねぼうまでオプションでついてきた。朝食の時間おわっちゃったよ、と勝手知ったると
あたしの部屋にはいってきたルッキーニにからだをゆすられて、あたしはやっと身をおこした。
ちょうどよかったな、と思う。朝食の席でやつと顔を合わせるのは気まずかった。とりあえず着替えをすませながら、
それでもあたしは部屋をでる気にならない。
「ルッキーニ」
部屋の隅にあるあたしの工具いれをあさって遊んでいるこどもをよんだ。普段はそんなことしたらだめだって
とりあげてしまうのに、きょうばっかりはそんな気力もなく放置していたらルッキーニはじつにたのしそうだった。
無邪気なやつ。
「なあに?」
それでもあたしがよべばぴょこんと顔をあげてこちらにきてくれる。なんと癒されることだろう。あたしはさらに
手招きをしてベッドにこしかける自分のひざのうえにルッキーニをすわらせた。
「なあルッキーニ。ちゅうしてもいい?」
「にゃはは、シャーリーがへんなこと言ってる」
ルッキーニのこしに手をまわして抱きすくめるとちいさな手があたしのそれにかさなる。きゃっきゃとたのしげに
笑って、ぷらぷらと足をゆらした。その仕草はどれをとってもまるでけがれを知らなくて、そう思いついた自分に
辟易した。思考がすっかりただれている。
「あーあ、ルッキーニもいつかすきなやつができたってあたしからはなれてくのかな」
さみしいなあそんなのは。腕にすこしだけ力を入れて、目のまえの肩にあごをのせる。ルッキーニはふしぎそうな
顔をした。すきとかきらいとか、そんなのでこんなにわずらわされるのは気分がわるくてしょうがない。
バルクホルンが自分で自分をささえられるやつだと、あたしは本気で信じていた。いやちがう、そうであると完璧に
見せかけているさまが、すこしだけだ、たったすこしだけ立派だと思っていた。あんなバルクホルンを、あたしはきっと
見たくなかった。それなのに、ミーナ中佐はあんなにあっさりバルクホルンをよわくした。いやになる、まだ、こんなに
いらいらする。
「……きらいなら、あんなことしない」
声にだして、昨夜のバルクホルンの最後のことばを反芻した。それから遠慮もしないでぶつけたとがりきった自分
のいらだちを思いかえす。なんてこどもだ、バルクホルンがはらいせなんかのためにあんなことをしないことくらい
わかっていてあんなことを言った。やつはミーナ中佐にやさしくしたくてしかたがないんだとハルトマンは言っていた
けど、やつだって、きっとやさしくされたかったんだ。バルクホルンは、それくらいにはよわいところがあってさみしくて、
それであたしをえらぶっていうのはおそろしくセンスがないけれど、きっとプライドの問題だった。バルクホルンが
わかっているかはしらないにしても、ちゃんとやさしく甘やかしてくれるやつはいたんだ、だけどほんとにやさしく
されちゃったらあいつは多分たちなおれなくて、だから自分をきらいなあたしをえらんだ。きっとそれだけだ、そうに
きまってる。
「かんちがいしてるんだ、あいつは」
すきときらいってにてるんだ、と自分に言いきかせた。だいすきだってだいきらいだって、相手のことが気になって
しかたないんだ、だからいまこんなにやつのことが気になるのも、やつのことがあんまりきらいだから。そうでなけりゃ
とんでもない気の迷いだ、そうであってくれなくちゃ困る。
「シャーリー?」
ルッキーニが腕のなかでもぞもぞと動いた。あたしのひざのうえにいるのにもあきてきたらしい。いつもならすぐに
解放してやるんだけど、今日ばっかりはそうもいかない。頑なともとれるほどに、あたしはルッキーニをはなさなかった。
- 322 名前:『月』第四話2/3 j4ntaz3y:2008/10/15(水) 12:08:39 ID:mD249D6j
-
いい加減ルッキーニに甘えてもいられないから朝食をとるために部屋をでる。あのあとあたしの腕のなかであたしと
むきあってそれからまるでおねえさんみたいにあたまをなでてくれた、気まぐれなルッキーニはもうあっさりとどこかへ
かけていってしまった。ルッキーニはそうやってたまにあたしをこどもあつかいして、まるで自分が面倒を見ているような
顔をする。そのときの、本当のこどもの満足そうな顔を見るのがけっこうしあわせなあたしはけっこう頭がわるいのかも
なと思った。
「はらへったなあ」
おおきな独り言。一生懸命奮起しようとしている自分がすこしなさけない。でもとりあえずは朝ごはんだ、これから
いろいろ考えなくちゃいけない気がするけど、それはまず食欲をみたしてから。
「……」
そう思ったのに、どうしたことか。食堂にはいってみれば、バルクホルンがトレイをかかえてまさにいまから自分の
ぶんの朝食を準備しようとしていたところだった。おたがいにかたまって見つめあってしまった。しまった、そうだ、あたし
が朝から顔をあわせるのは気まずいと思ったんだからあちらさんだってそう思ってもふしぎじゃない。時間をずらした
つもりが、見事にかぶってしまったんだ。
「……はよ」
「おはよう」
気のぬけたあいさつをすると、バルクホルンのきっぱりとした声がかえってきた。普段のやつだ、あたしが立派だと
思って、そうであってほしかったと思った、ゲルトルート・バルクホルン大尉だった。それなのに矛盾している、それが
またあたしは気にくわない。さめてしまった朝食をトレイにとっているやつのとなりにあたしもたつ。
「ふたりしていなかったなんて、ミーナ中佐がどう思ったかな」
意地のわるい声で言っても、やつはあたしのことばなんてきこえてないようにさっさとあるいていって席につく。しつこく
ついていって、トレイもなにも持たないままやつのとなりにこしかけた。バルクホルンは食事をはじめない。
「見ないでくれるか」
「見てないさ、自意識過剰だな」
「じゃあ、きさまも食事をしたらどうだ」
「どうも、食欲がない。あんたのことで胸がいっぱいなんだ」
はっとしたようにバルクホルンがこちらを見た。あたし自身もなにをばかなことを言っているんだろうと思う。ゆっくりと、
雰囲気が核心にせまっていく。バルクホルンは目をふせて、そして唇をかむ。きのうは気づかなかった、こいつのこの
仕草はすこし色っぽい。ひょいと、トレイからまるいパンをとる、それからちぎって自分の口にはこんで、その間もやつは
うごかないでいた。
- 323 名前:『月』第四話3/3 j4ntaz3y:2008/10/15(水) 12:09:35 ID:mD249D6j
- 「あんたさ、あたしのこときらいじゃないようなことを言ったけど」
バルクホルンのかたがゆれて、そしてこちらを見ればいいと思った。でもその横顔はうつむいたまま。あたしは、やっぱり
あたしじゃだめそうだなあと実感する。それって、あんなことをしたことへのただの正当化だろう?と、言わなくていいような
ことを、まるでバルクホルン自身が気づいていない真実でも告げるようにささやいた。するとバルクホルンは、おおきな瞳
であたしを見た。心底おどろいたような、すきとおったそれにひるみそうになったところで、手首をつかまれて我にかえる。
持っていたパンはなんとかおとさなかった。
「……なんだよそれは」
必死なバルクホルンが声をふるわせる。きっときのうのあれは、バルクホルンにとっては告白も同然だった。それを
ごまかそうと、あたしこそ必死なのだ。すきときらいはにてるんだ、だからバルクホルンは、ただかんちがいしてるだけ
なんだ。さきほど結論づけた思いこみを何度も頭のなかで読みあげて、できるだけ目にも声にも色をつけない努力を
する。
「ごめんね」
謝罪の意味はあたしにもわからない。バルクホルンがどうとったかもわからない。あやまられるのがきらいだとつぶやいた
バルクホルンに、あたしはしずかにあやまった。ごめんね、あたしは、やっぱりあんたにやさしくできそうにないんです。
「あんたがすきなのは、ミーナ中佐なんだよ」
あたしの腕をつかんでいたてのひらがするりとおちた。それにあわせてまるいパンも。あたしはいまどんな顔をしている。
たのむから、なきそうな顔だけはしていてほしくなかった。
つづく
- 324 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 13:26:06 ID:6JoR+k6G
- >>299
学園ウィッチーズ続きktkr!15歳組好きとしてはペリーネとエイラのやり取りがたまらない
エイラーニャはもどかしいくらいゆっくり進んでいくのがあってるなあ
>>323
月の更新キテター!いつみても文章が秀逸すぎる…
シャーリーかっこいいなあ。続きを楽しみにしてる!
今見直したら名乗り忘れていてごめんなさい。>>305-308は21X2w2Ibです。
寝ぼけててゲルトとエーリカの組み合わせの略称がどうしても思いだせず
思いつきで書き込んだら物議をかもしてしまい本当に申し訳ありませんでした
慣れないことはするもんじゃないですね
- 325 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 16:06:40 ID:qFAMisfW
- シャーリーはメカニックの技術があるし知力は低くないと思うんだ
だからひらがなが演出なら違和感あるなって思う
- 326 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 16:14:14 ID:ltv2Flcm
- みんな外国語ペラペラなので、成績普通の芳香より俺は馬鹿。
- 327 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 16:24:48 ID:FPDTnC6V
- いらんこのハルカでさえブリタニア語ペラペラなのに、俺たちときたらorz
- 328 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 17:30:12 ID:ybXdr67r
- 扶桑の人間なのに、自国の言葉すらときどきおかしい自分ときたらorz
- 329 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 17:54:57 ID:+UgPoVKm
- みんな元気出そうぜ…
英語も日本語もダメダメな私は今、シャーリー×エーリカの同い年コンビを模索中。
コメディ調に行きたいのになんでシリアスになっちまうんだ…?orz
- 330 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 17:57:49 ID:44C9Bh3P
- _ _ _ _ _
_'; `、_ _'; `、_ '; ) _'; `、_ '; )
(_、 ,__`; (_、 ,__`; |キ, _ (_、 ,__`; |キ, _
| '_ (\ | ,|,,...__ | ^,_ `ヽ. | ,|,,...__ | ^,_ `ヽ.
/´ 、 ヽ \) L_ ヽ | |' ^( |_, .L_ ヽ | |' ^( |_,
( (| ノ ヽ ) _) ノ | | ヽ,_) _) ノ | | ヽ,_)
`ー '´ )/ <,._.,/ `´ <,._.,/ `´
`´
┌――――‐r ___ _ ./''''l .,-lヘ.
. ''ー――――" |___| / ! .| |,,_ ヽシ┘
匸二二二二 ̄| / ! .| ゛`゙''ー、,、
,/ / ./ / .l゙ |゙゙''-、,_/.
___, -' ,/ r―‐''"´ __/ .| |
`ー----ー'" `ー-‐‐'"" .―″
- 331 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 18:00:11 ID:rFcd0TLN
- >>329
おっお前冒険しすぎだぜ
どんな話になるか想像がつかん
期待して待ってる
- 332 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:15:19 ID:yEN11yIq
- 言語ネタで呼ばれた気がしたので私参上!!
てなわけで前スレ>>449の続きをここらで投下しようと思います。
ややシリアス、でもって三角関係、微エロ、長文と注意事項満載ですがよろしければお付き合いください。
今度は規制来ないでくれ……頼む……!!
トゥルーデ視点のトゥルミーナで、「Gier Suendigen」です。
- 333 名前:Gier Suendigen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:17:43 ID:yEN11yIq
- 結局のところ人間というやつは一度問題にぶち当たってしまうと、
そのことをいつまでも引き摺ってしまうものらしい。
根本的解決がなされない限り、記憶の呪縛からは逃れることはできない。
全くもって不条理な生き物だ。
あの一件以来、ハルトマンのアプローチはより積極的になっていった。
必要以上に密着したり、名前で呼ばせようと試みたり、
何のつもりか料理にまで手を伸ばして、鍋を一つダメにしたり。
正直、あのずぼらで楽観主義者のあいつにここまでさせていることに、
私は一種の罪悪感さえ抱き始めている。
そしてその度に、ミーナへの想いを振り切れないでいる自分に
呆れ返るばかりなのだった。
────────
そんなある日の夜。
私はミーナに呼ばれて司令室に顔を出していた。
「あなたにもそろそろ、こっちの仕事を覚えて欲しいと思って。
それに最近、坂本少佐の調子が悪いみたいなの。」
そう言って書類の山から引き抜いた分厚いフォルダを私に手渡すと、
ミーナはその書類にサインやら印鑑やらを施す作業を始めた。
あの坂本少佐が不調か……などと考えながら、自分もソファに腰掛けて言われた通り中身の整理を始める。
静かな司令室に、ペンや紙の無機質な音だけが響く。
仕事はどれも全く実りのない、どこまでも単純で事務的な作業ではあったが、
そこにミーナがいること、目に見える形でミーナを支えているということが、
それらをまるでこの世の最高の娯楽のように変えるのだった。
「……ねえ」
不意にミーナが話しかけてきた。
「何だ?」
「あの子……フラウだけど。最近やけにあなたにべったりじゃない?
何かあったのかしら?」
「ああ……。」
何てことだ。遂に恐れていた事態が起きてしまった。
ハルトマンの気持ちをミーナに知られることは、百害あって一利無しだ。
あいつには悪いがここは一つ、心を鬼にするしかない。
「知らないな。新しい勲章を貰って舞い上がってるんじゃないのか?」
うん、我ながらうまい逃げだ。
今日はあいつの柏葉・剣付騎士鉄十字章の授勲式だったから、言い訳としては上等だ。
「でも、あの子そんなことで喜ぶような性格だったかしら……。」
「さ、さあ……どうだったかな。」
前言撤回、全然ダメだった。
ハルトマンは勲章を床に放置するほど名誉に無関心じゃないか。
「……それに、原因はあなたにあるような気がするのよね、トゥルーデ。」
うぐ。まずい。
- 334 名前:Gier Suendigen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:18:59 ID:yEN11yIq
- 「どういう意味だ?」
「はっきりとは言えないけど、そうね……あなたがいない時のフラウって、
どうも本調子じゃないっていうか、元気ないのよ。」
ああ、一体どう言い逃れすればいいというのだ。
もしくはこれが世に言う鎌かけというやつなのか?
「あ、あまり変わったようには見えなかったがな。
いつもの気まぐれじゃあないのか?」
「だったらいつも通り、一日も経てば戻ると思わない?」
「それもそうだが……。」
「あなたはどう思ってるの?べったりされて。」
「どう……って……言われても」
「いえ、回りくどいのはやめてはっきり言いましょう。
あの子、トゥルーデのこと好きなんじゃないの?」
「え、あ……」
……誰か助けてくれ。
────────
「どうなの?」
「どうって……それは……」
ミーナはいつしか作業をやめて私をじっと見ていた。
その眼差しには、冗談の色など欠片もない。
これは試されているのだろうか?
私の気持ちがどこに向いているのか、ハルトマンを通して知ろうとしているのだろうか?
いずれにせよ、誤解を招く事態だけは回避しなければならない。
しかしそれは同時に、私の想いをミーナに知られることになりかねない。
そんな度胸があったら苦労しないのだが……。
「……ハルトマンは、戦友だ。そして家族でもある。
それ以上でもそれ以下でもない。」
「家族、ね。その通りだわ。
じゃあ、私はどうなの?」
ミーナが何を考えているのかわからない。
これは何だ。何を求められているんだ。
いい加減腹を括れという運命かなんかなのか。
勘弁してくれ。
「ミーナは──……」
「私は、……何?」
- 335 名前:Gier Suendigen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:21:20 ID:yEN11yIq
- 「……ミーナも同じ、大切な家族で、戦友だ。
他にどう例えようもないさ。」
「嘘吐き。」
即答された。
「何でそう思うんだ?」
「それはこっちの科白よ。私に言ったこと、もう忘れたの?」
「な、何の話だ?」
「あなた、言ったわよね。私のこと、……愛してるって。」
「それは……」
「嘘だったっていうの?」
えーと、何だ。
思考が全く回ってくれないんだがどうすればいいんだ。
「私、ずっと待ってたのよ?あなたがそう言ってくれるのを。だからあの時私、すごく嬉しくて……キスを交わして、やっと想いが伝わったって、そう思ったのに……!!
なのにあなたときたら、次の日にはもう何も無かったみたいに元通り!!私が遠回しに誘っても全然気付きもしない!!
あまつさえ、フラウと二人であんなことやそんなことを……っ!!」
「ミーナ、落ち着いてくれ。」
「あなたは私を何だと思ってるの!?
あの時のキスは嘘だったっていうの!?
答えて!!答えなさいよ!!」
「ミーナ!!」
違う、違うんだミーナ。
私はお前にそんなことを言って欲しくてこんな態度をとったんじゃないんだ。
私はただ……恐れていたんだ。
嫌われたくなかったから、確信の持てないお前の気持ちに踏み込めなかっただけなんだ。
だから聞いてくれ。聞かせてやるとも。
お前が望んでいるというなら何度でも言ってやる。
「私はミーナが好きだ。愛してる。誰よりも大切に想っているさ。」
「嘘だわ!!」
「嘘じゃない!!ただ、怖かったんだ。お前に嫌われかもしれないのに、好きだなんて言えないだろ。」
「じゃあどうしてあの時……」
「あの時は……その……ミ、ミーナがあんなことするから憔悴していたんだ。すまない。」
「謝らないで。」
ミーナは俯いたまま動かなくなった。
その表情は読み取ることはできなかったが、再び顔を上げた時には頬に一条、涙の痕が見えた気がした。
「信じていいのね……?」
「ああ。もちろんだ。」
ミーナは立ち上がって私の側に来ると、袖をぎゅっと引っ張って胸に身体を預けてくる。
「私も、愛してるわ……。」
ずっと聞きたかった言葉が私の中に流れ込んできた。
「トゥルーデが好き。もうずっと前から、こうしたかったの……。」
「私もだ、ミーナ。」
互いの名前を呼ぶ度に、想いがとめどなく溢れ出てくる。
それが零れ落ちないように、確かめ合うように、どちらからともなく唇が重ねられる。
最初は優しく、それから貪るように、私達はただ貪欲に求め合った。
唾液を飲み込む度に身体は熱くなり、その熱が脳をとろけさせ、
そのまま私達は────ソファに崩れ込んだ。
- 336 名前:Gier Suendigen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:22:27 ID:yEN11yIq
- ────────
やっとの思いでミーナを部屋まで運び込んだ私は、その穏やかな寝顔を眺めながら、
漸く湧き上がってきた実感に頭が沸騰しそうになっていた。
わ、私は遂に、ミーナと……っ!!いや、落ち着け、落ち着くんだ。
「んぅ……」
布団をかけ直してやると、むにゃむにゃと口元が動く。
私はそれを見届けてから、部屋を出てドアをそっと閉めた。
窓の外ではもう月が天頂を通り過ぎ、何もかもが眠りに就いている。
これ以上起きていては明日に響くだろう。
自分のベッドに飛び込むと、程良く冷めた布団が身体に纏った熱を奪っていく。
仰向けになって目を瞑れば、さっきまでの行為が瞼の裏に……う、いかんいかん。
「トゥルーデ」
「おわあっ!?」
突然の声に驚いて起き上がると、ドアのところにハルトマンが立っていた。
「ずるいよ……トゥルーデは」
バタン!!とドアを閉めると、私の方につかつかと歩み寄ってくる。
まさか……!?
「全部……見てたのか。」
「聞いてた、が正解」
何てことだ。
「ねえ、何で私じゃダメなの?」
「……人の気持ちに理由などあるか。お前には悪いが、これは譲れないことなんだ。」
- 337 名前:Gier Suendigen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:23:26 ID:yEN11yIq
- 「……トゥルーデのばか。」
ハルトマンは問答無用で私のベッドに乗り込んできた。
脱ぎ捨てた靴が壁にぶつかってゴン!!と鈍い音を立てる。
「何をする気だ。」
「わかってるくせに。」
「やめろハルトマン。そんなことは……」
「トゥルーデが悪いんだから。」
私が押し返す前に、両腕を掴まれて後ろに押し倒された。
一瞬の出来事だった。ハルトマンは獲物を捉えた時の眼で私を一睨みすると、
そのまま私の首筋をべろりと舐めた。
「ふあっ!?」
体が跳ね上がって声が勝手に出た。
「ミーナのこと散々攻めて、トゥルーデはまだ一度もイってないんでしょ?
可哀想なトゥルーデ……私が代わりにいっぱいシてあげるからね。」
ハルトマンは恥じらいの欠片も見せずにそう言い放つ。
やめろ。やめてくれ。こんなのは間違ってる。
こんな、私にとってもお前にとっても良くないことは。
ああ、だというのに、どうしてこの身体は馬鹿正直に反応してるんだ。
どうして腕に力が入らないんだ。この快感は何だというんだ。
「んああ!!は、や、やめ……」
「うふ、トゥルーデもそんな可愛い声出せるんだね。
もっと苛めてあげるよ。」
ハルトマンは信じられない動きで私の服を剥ぎ取った。
抵抗する力を持たなかった私は、なすがままにされた。
決して屈服しまいと思考を繰り返すほど、余計に敏感に反応するようにさえ感じた。
「はあ……最高だよトゥルーデ……早くイったところを見せて……」
いつしか思考は快楽の底に沈んでしまった。
身体のコントロールは最早指一つままならなかった。
そして、最後まで離すまいと必死で掴んでいた意識さえ、
私の手から零れてどこかへ飛んでいってしまった────
continue;
- 338 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/15(水) 19:25:06 ID:yEN11yIq
- 以上です。まだまだ続きます。
ここんとこ楽しい話多いのに淡々と暗い文章書いて申し訳ない。
せっかくなのでどうでもいい話をするとこの板では何故かUnicode出ないのでワープロ表記ですが、
タイトルは本当はカールスラント文字を使ってたりします。ウムラウト。うひゃあたまんねえ!!←アホ
最後に一言感想でも。
>>308 颯爽と掃除を始めるトゥルーデが照れ隠しにしか見えない件wGJ!!
>>323 このこじれ具合を矛盾なく書ききれるのがすごい。GJ!!あとこのルッキーニ可愛過ぎる。
さて、保管庫更新してくるか……。
- 339 名前:流れ魚:2008/10/15(水) 20:30:26 ID:FfJhNA7a
- >>257
1作目の感想ありがとうございました。励みになります。
まだまだ、駄文の域を抜けませんが、投稿させてください。
トゥルーデ+シャーリー友情篇?百合分が足りないですかも。【2作目】
---------------------------------------------------------------
『Hello New Yorker』
私はいつものようにハンガーで自分のマシンを弄っていた。
―誰よりも早く飛ぶこと―
それが私の夢だった。
が、何より機械弄りが好きだった。
501部隊に配属されて日の浅い私にとって、
この場所が唯一のオアシスだった。
「おい、リベリアン。」
オアシスに侵入者。
しかも、この声は一番苦手なカールスラントの堅物大尉。
せっかくの私だけの時間が終わっちゃった。
「なんっすか、バルクホルン大尉?」
「貴様、機械弄りが得意だと言ってたな。こいつを見てくれないか?」
ふーん、頼み事とは珍しい。
ん?こいつ開口一番に失礼なこと言わなかったか?・・まあいいか。
どれどれと私はバルクホルンの差し出したストライカーユニットを受け取った。
「こいつは誰のだ・・・イエローワン?カールスラントのお嬢の機体か。」
「そうだ。ハルトマン中尉のストライカーユニットなんだが、貴様も知ってのとおり
あいつは腕はいいが私生活はずぼらでな。特に、ユニット整備なんか自分でしたためしがない。」
「ふーん、それであんたが代わりにやってるのかい?立派お姉さんというわけか。」
「なっ!別にそういうつもりは、ほら、日頃の整備を怠ればヤツの実力が出せないから・・あーえっと・・。とにかくだ!」
照れてんのかこいつ?ちょっと可愛いかも。
「はいはい、で何処を見て欲しいんだい?」
「・・・ここなんだが。」
「なるほどな、これなら大丈夫だ。ほら、ここをこうして一回外してつなぎ直せば、元通りさ!」
「ほう、さすがだなリベリアン。」
- 340 名前:流れ魚:2008/10/15(水) 20:39:44 ID:FfJhNA7a
-
あっ、思い出した。こいつ最初もそう言ったな。
「おい、私の名前はシャーロットだ。変な呼び名で呼ぶな。」
「ふん、助かったぞイェーガー大尉。」
・・・コイツ――。
フフ、からかってやろう
「あんた、ハルトマンと仲良いんだろ?好きなのか?」
「なっ、何を寝ぼけたことを言っているんだ貴様!」
慌ててる、慌ててる。もう一押し。
「んー、この間ハルトマンから聞いたんだがな、違ったか?」
「ち、違うも何もそのことは誰にも言うなとエーリカに・・・わ゙ー!」
図星かよ、顔真っ赤だぞ、おい。
「隠すことじゃないだろ。ところで、私とも仲良くしてくれないか、ゲルトルート。」
「なっ・・・!」
「ほら、私は基地に来たばかりでな、独りなんだよ。あんたたちカールスラント組を見てると羨ましいんだ。」
「・・・そうか。どうしてもというなら、仲良くしてやらないこともないぞ。」
「素直じゃないな、トゥルーデ。そうだ!今晩、部屋に来いよ。ハルトマンも一緒にさ。友情の盃を交わそうじゃないか。」
「ふん、そういうことなら、悪くはない。楽しみにしているぞ、シャーリー。」
そう言うと、さっさと片付けて出て行ってしまった。
でも、その顔には最初ここに来たときのような取っ付きにくさなかった。
フフ、照れ屋で可愛いじゃないか、カールスラントの堅物。今夜が楽しみだ―――。
---------------------------------------------------------------
以上です。
501部隊が招聘されたばかりで、まだ全員そろってない頃をイメージしてます。
シャーリーはきっと独りが寂しかっただけだと思いますが、コレをきっかけに仲良くなっていってくれればと思います。
その後、ルッキーニが加入した時にもしかしたら何かしらイベントがあるかもしれません。
それはそうと、1作目裏というのがありますので、後からまた投稿したいと思います。
- 341 名前:流れ魚:2008/10/15(水) 20:46:08 ID:FfJhNA7a
- >>257裏です。
---------------------------------------------------------------
『Moon gold』
神様、お願いします。サーニャを助けてください――。
どうしてこんなことになってしまったんだろう・・・。
ワタシはどうなっても良いから・・・この娘の命の灯は消さないでください―――!
ああ、神様、お願いします――。
いつの頃からか、サーニャは夜間の哨戒から明け方帰って来てはワタシの部屋で寝るようになっていた。
その日もいつものように、ワタシの部屋で寝ていた彼女は太陽も昇りきった頃に目を覚ました。
それからいつものように、他愛もない話をした。ワタシは彼女が好きだった。
「宮藤が来てからサーニャは変わった。」
確かに明るくなって、他の隊員とも話せるようになっていた。それは彼女にとって良い事だけど、
ワタシは少し妬いていた。サーニャを誰かに取られるんじゃないかと。・・・嫌な胸騒ぎがした。
少し間をおいてサーニャは「・・・この戦いが終わっても一緒にいてね。」と言った。
ああ、神様、お願いします――。ワタシたちの願いを聞いてください。
サーニャが夜間の任務に出かけた後、胸の辺りがザワザワした。さっきのヤキモチのせいかな?
居ても立ってもいられなくて、サーニャに貰った宝石箱に収められたタロットカードを取り出して、並べてみた。
「最悪だ。こんな並び始めてだ・・。駄目だ、早くサーニャを連れ戻さないと・・大変な事になる。
さっきの胸騒ぎもワタシの未来予知の能力が反応していたんだ。それなのにヤキモチなんかと勘違いして・・。
最悪だ―――。」
そのとき基地内にけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
遅かった――。それはスクランブルを告げる合図だった。
- 342 名前:流れ魚:2008/10/15(水) 20:49:22 ID:FfJhNA7a
-
夜の空にサーニャを見つけた時、たくさんのネウロイに囲まれていた。何匹いたかなんか覚えてない。
頭に血がのぼるのが分かった。「なんで、もっと早く気づかなかったんだ。」後悔の念に後頭部を殴られた、
「今日はサボっちゃえよ。」ううん、ひとこと「今日の運勢は悪いから気をつけるんだぞ。」と言えば
こんな最悪な事態にはならなかった。我を失いそうだった・・。
赤い光の帯が、目の前で彼女の体を幾重にも貫いた――。
浮力を失ったサーニャは、地球の重力に惹かれていく――。
誰よりも先に飛び出していた。
受け止めたサーニャは羽のように軽かった。顔から血の気が引いていく。
神様、お願いします。サーニャを助けてください――。
ワタシのせいだ。ワタシのせいでサーニャは・・・。
ワタシはどうなっても良いから・・・この娘の命の灯は消さないでください―――!
ああ、神様、お願いします――。
タイセツナ人も守れないなんて、こんな“力”イラナイ。
3ヵ月後。
ワタシはウィッチーズに休暇願いを提出した。
サーニャは、一命を取り留めた。変わりに私は魔力を失った。
あの夜、医療施設に運ぶ間に宮藤が治癒の魔法をかけていた時、ワタシは神様に願った。
「ワタシはどうなっても良いから・・・この娘の命の灯は消さないでください―――!」と
きっと神様は、私の力と引き換えにサーニャの命を救ったんだろう。未来予知の力が未来を変えてしまった瞬間だ・・。
ん?「また一緒に空を飛びたい」って?ごめんな、サーニャ。もうワタシは魔法が使えないだ。
ううん、ちがうよ。サーニャのせいじゃない。魔法が使える使えないは関係ないんだ、
今サーニャとこうして一緒にいられるだけでワタシは幸せなんだぞ。
そんな顔すんな、泣きそうだよ、バカ・・・。
ワタシはサーニャを強く抱きしめた。
「何年経っても、何があっても、ずっと一緒にいような。」
ああ、神様、お願いします――。ワタシたちの願いを聞いてください。
---------------------------------------------------------------
以上です。
連投駄文失礼たしました。
勢いで書いた3本でしたので、今度は、じっくり話しを考えたいなと思います。
また戻って来られることを祈念します。
- 343 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 22:17:04 ID:rFcd0TLN
- すまないいきなりのSSラッシュで
感想が全部書けないぞw
- 344 名前:滝川浜田 『Bookmark a Head!!』:2008/10/15(水) 22:22:02 ID:DtxlhrYx
- 最終話投下します。
「…っ…!!…あっ、ごっ、ごめんっ…ルッキーニッ…!!////////////」
「シャーリー…//////」
「すぐ退くからっ…」
あたしがルッキーニから退こうとすると、ルッキーニはあたしの頭を掴んで、自分の顔にあたしの顔を近付けた。
「ルッキーニ…ッ…//////」
「…シャーリー…あの写真撮った時の事、覚えてる?」
あの写真?
ああ、この前宮藤から貰った写真の事か。
「ああ、覚えてる」
「あの時から、あたしずっとシャーリーがあたしの事好きだったって事分かってたんだ」
「…じゃあ、その場で早く言えよ」
「あたしは受け身だから。
シャーリーから好きだって聞きたかったんだ」
「…意地悪だな。あたしの気持ちを知っていて、あたしを振り回したって事か?」
「そうなるかな♪」
…まったくルッキーニは本当に意地悪だ。
あたしはとんでもない小悪魔を好きになったみたいだ。
「…写真返せよ」
「イヤ」
「どうしてだよ」
「…だって」
- 345 名前:滝川浜田 『Bookmark a Head!!』:2008/10/15(水) 22:25:16 ID:DtxlhrYx
- そう言うと、ルッキーニはあたしの顔をじっと見て、呟いた。
「もう必要無いじゃん」
…あたし達はキスをした。
さっきの様な軽いキスじゃなくて、互いの想いを確かめ合う様な熱いキス。
今までの想いを込めて、あたし達はお互いを求め合う。
長い様で、短いキスは息の限界で終わりを迎えた。
あたし達の間には、銀色の橋がかかる。
「…それでもその写真は、あたしには大事ものなんだ」
「あたしがここにいるのに?」
「そ。ルッキーニのいろんな表情をあたしの中にブックマークしたいから」
「変なの」
あたしは繋いでいたルッキーニの手を更にギュッと強く握って。
「ルッキーニはあたしのすべて。
だから、ルッキーニのどんな表情もすべてあたしのモノなんだ」
「じゃあ、シャーリーはあたしのすべてで、シャーリーのどんな表情もあたしのモノだね」
あたしは軽く笑って。
「フフッ、そう言う事だな」
あたし達は起き上がって、互いに向き合う。
「あ、そういえばルッキーニ、お前から好きって聞いてないよ」
「さっきから何度も言ってるじゃん」
「…本当の気持ちを込めて言ってくれよ。…冗談じゃなくて…あたしへの想いを…込めて…さ」
ルッキーニはその綺麗な瞳であたしを見つめながら。
- 346 名前:滝川浜田 『Bookmark a Head!!』:2008/10/15(水) 22:27:03 ID:DtxlhrYx
- 「……好き…だよ…シャーリー…!
大好きっ!愛してる!」
「…あたしも…大好きだよ…!ルッキーニ、お前の事、ずっと好きだった!」
あたし達は強く抱き合った。
「へへへ…//////」
「なんだよ、いきなり」
「シャーリーって、やっぱり暖かい//////ウニャー♪」
「ハハ♪ルッキーニは甘えん坊だなあ♪」
遠回りで、なんだか変な感じの恋だったけど、あたし達、やっと辿り着けたんだ。
「…ね、シャーリー」
「なに?ルッキーニ」
「もう一回…キスしよ…?//////」
あたしはやっと掴んだこの幸せを離したりはしない。
「…うん、もう一回、だな?」
だから、今は、もう少し、お前に酔っていたいんだ。
「……る……ニ…」
「ウニャ?何か言った?シャーリー」
「いや、何も言ってないよ、ルッキーニ」
小さすぎて聞こえなかったこの言葉を、いつかお前に面と向かって言うよ。
『…愛してる、あたしの大事な、大事な、ルッキーニ…』
END
―――――――――――――――――――
〜ちょっとしたオマケ〜
「あっ、そうだルッキーニ、お前、ちょっと前、整備士のヤツからラブレター貰ってたよな?あれどうしたんだ?」
「見てたんだ」
「あれはちょっとショックだったよ…お前が誰かも分からない男からラブレターを貰うなんて」
「手紙叩き付けてフったよ」
「うへっ、マジか!」
「だってあたしにはシャーリーがいるから♪」
「お、お前〜っ!//////」
「ちょっと、苦しいよ、シャーリー!//////」
―――――――――――――――――――
- 347 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/15(水) 22:31:48 ID:FCkJqpHd
- >>341
なんか泣いた…
- 348 名前:滝川浜田:2008/10/15(水) 22:31:58 ID:DtxlhrYx
- 全6話、以上です。
…予想以上に疲れました。
本当は全5話の予定だったんですけど、最後の話が書いてたら異様に長くなったんで2話に分けました。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
自分は短編専門に戻り、これからもシャッキーニ中心でやっていくつもりです。
もう一度御礼を申し上げます。
こんなミスだらけのSS、読んでいただき、本当にありがとうございました!
そして皆GJ!SSが多すぎて感想が書けませんw
では、爺はこれで…
- 349 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:42:13 ID:S+ofSaCx
- >>348
長編お疲れ様でした!そしてGJ!
新たなシャッキーニの良さを見せつけられましたよ!
小悪魔なルッキーニもえぇですのぉ……。
- 350 名前:kK2NO0Bq:2008/10/16(木) 00:46:51 ID:VEWbNeox
- SSラッシュ!皆さんGJですっ!
流れに乗って投下します。以前想像できないと言われたサーニャ×トゥルーデやってみましたw
エロは少なめ。サーニャ慣れてないからちょっとおかしいかも…
だんだん明るくなりはじめた空。
お日様が顔を出して、薄紫が金色に変わっていく。
「ふわぁ…」
わたしは大きな欠伸をしながら基地に戻った。
昨夜はちょっと風が強くて、神経をはりつめていたからいつもより疲れちゃった。
ストライカーを脱いで、目を擦りながら静かな廊下を歩く。
…あれ?こんな朝早いのに、誰かいる…
「サーニャか?」
廊下を歩いていたのは、バルクホルン大尉だった。
「おはようございます…」
「おはよう。夜間哨戒、ご苦労だったな」
ぼんやりしたままのわたしの挨拶に、バルクホルン大尉は微笑んで返してくれた。
この基地に召集されたばかりの頃は少し怖かったけど、最近優しくなったなぁ、バルクホルン大尉…
「こんなに朝早く、どうしたんですか?」
わたしが尋ねると、バルクホルン大尉は何故かちょっと赤くなった。
「い、いや…たまたま目が覚めてしまって、ちょっと体を動かそうと思ってだな…」
「そうなん……ふあぁ…」
いけない、お話の途中なのに欠伸しちゃった。
「あぁ、ほら…早く部屋に帰って寝ろ。昨日は風が強かったから、疲れただろう」
バルクホルン大尉はわたしの背中をそっと支えて、部屋までついてきてくれた。
- 351 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:48:38 ID:VEWbNeox
-
「大丈夫か?」
「はい…」
わたしのふらふらした足取りを心配してくれたのか、バルクホルン大尉はベッドまで手を引いてくれた。
初めて手、握った…
あんなに重い銃を軽々と操る人なのに…とっても柔らかくて、あたたかい手…
「じゃあ、おやすみ……?」
思わず、離そうとする手をきゅっと掴んでしまった。
「どうした、サーニャ」
不思議そうな顔をするバルクホルン大尉。
「あの……」
「ん?」
「…少しでいいから……一緒に寝てくれませんか…?」
この温もりを、もっと感じたい…
そう思ったら、いつの間にかこんな事をお願いしていた。
「別にかまわないが…私でいいのか?」
こくん、と頷いたら、また優しく微笑んでくれた。
すごく…綺麗な人……
バルクホルン大尉が軍服の上着を脱いでる間に、わたしも服を脱いだ。
わたしの服をさっと取って、てきぱきと、でも丁寧に畳んでくれた。
なんだか…エイラみたい…
「ほら、早く横になれ。眠いだろう」
「はい…」
バルクホルン大尉はベッドの毛布をめくって、わたしに促した。
もぞもぞ中に潜ると、バルクホルン大尉もあとから入ってくる。
- 352 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:50:13 ID:VEWbNeox
-
胸元に顔を寄せたら、いい匂いがした。
やっぱりバルクホルン大尉、あったかい…
「ふふ…甘える相手が違うんじゃないのか、サーニャ。後で私がどやされてしまう」
苦笑しながら、バルクホルン大尉は髪を撫でてくれた。
お姉さんみたい。そういえば妹さんがいる…って言っていたっけ。
「…?」
ふと視線を上げたら、バルクホルン大尉の首筋に目がいって…
虫刺されみたいな、赤い痕がいくつかあった。
「これ…どうしたんですか…?」
「ん?何が……っ…!!」
痕を指差したら、最初はきょとんとしていたバルクホルン大尉のほっぺたが、みるみる赤く染まった。
「ま、まさかあいつ…こんな所に…!」
「あいつ…?」
「なっ、なんでもない!こっちの話だ!」
…?どうしてそんなに慌ててるんだろう…
そんな事を考えながら、瞼がもう半分開かなくなってきた。
「ん……」
うっすら見える視界には、まだ真っ赤な顔をしているバルクホルン大尉。
もぞもぞと手を伸ばして腰のあたりに抱きつくと、なんだかびくんって震えが伝わってきた。
「んむ…?」
なんだろう、今の…
気になって少し手を動かす。
今度は小さく、震えたのがわかった。
- 353 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:51:54 ID:VEWbNeox
- 「んぅ…?」
眠気にぼんやりしながら、ゆっくり手を動かして背中を触る。
「ふあっ…」
耳元で聞こえたこの声、バルクホルン大尉の声…?
「ッ、ぁ…くぅ…」
半分眠りかけている頭に、バルクホルン大尉の別人みたいな声が降ってくる。
なんだか…可愛い…
「あ、こら…サーニャ、んっ…!」
シャツの裾に手を入れて、すべすべした肌を直接撫でたら、バルクホルン大尉はぴくんって仰け反った。
わたしも、なんでこんな事してるのかわからないけれど…
靄がかかったみたいな、眠気の向こうから聞こえてくる声が心地よくて…
もっと聞きたいな、って思ったら、手が勝手に動いていた。
「ん…むにゃ…」
「あっ、や…ダメだッ…」
柔らかい胸に顔を擦り付けたら、バルクホルン大尉の声が高くなった。
「あった…かいの…」
「!ちょっ…」
あんまり動かない腕で、バルクホルン大尉のシャツを捲って、その柔らかい谷間にぽふんと顔を埋めた。
あったかくて…安心する、甘い香り…
もっと感じたくて、下着をくいってずらして直接触れた。
「ふあっ!サー…ニャ、あんっ…」
わぁ…ふわふわで、すごく気持ちいい…
甘やかな声を子守唄に、わたしはゆっくり目を閉じた。
- 354 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:53:44 ID:VEWbNeox
- ――――――
「!!??さ、さささサーニャ!!?」
「…んん…?」
突然大きな声がして、目を開けた。
ぼんやり顔を向けたら、部屋の入り口にびっくりした顔のエイラがいた。
わたしの目の前には、ぐっすり眠っているバルクホルン大尉。
「あれ、トゥルーデこんなとこにいたの?」
エイラの後ろから、ハルトマン中尉がひょこっと顔を出した。
「ベッド抜け出したと思ったら、サーニャと浮気か〜」
「う…うっ、浮気!!??」
くすくす笑うハルトマン中尉に、なんだか焦った様子のエイラ。
「こりゃ、お仕置き決定だなー♪サーニャ、トゥルーデが起きたら教えてね」
「ちょっ…さ、サーニャが浮気なんかするはずないダロ!」
ハルトマン中尉は手をひらひら振って帰っちゃった…
あ…そうだ。
エイラにも教えてあげよう。
「エイラ…」
「な…なんダ、サーニャ?」
「バルクホルン大尉…すごく綺麗で、可愛かったんだよ」
そう言ったら、エイラはパタンと倒れてしまった。
…どうしたんだろう…?
「ふ…わあぁ…」
んん、まだ眠い…
わたしはまたベッドに潜った。
甘い甘い香りに包まれて。
- 355 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 00:53:55 ID:vrw4eZ+u
- ほんとみんな乙!!
ところで>>301みたいなシャーゲルに萌えてしまったのだがw
取っ組み合い&悪態吐き合いながらそのままベッドになだれこんで
これまたイかせあい(実況69とか!)みたいなHになだれ込むふたりのSS読みたいです><
- 356 名前:kK2NO0Bq:2008/10/16(木) 00:55:28 ID:VEWbNeox
- おしまいです。
トゥルーデ全被撃墜まであと5人w
お目汚し失礼しました
- 357 名前:「mix-turegret」 21X2w2Ib 1/3:2008/10/16(木) 01:55:49 ID:/+/SLBgU
- マイナーカプの流れに乗って需要無視のペリエイラ投下。
ドシリアスでエイラーニャ、美緒×ミーナを含みます。
──
あなたはざんこくです、と、彼女はそう言って自嘲気味に笑った。
思っても見ないその台詞にただただ押し黙る。彼女の頬に伸ばした手と、彼女の涙で濡れた手が、熱い。
ひどく静かな廊下の隅だ。死角になっていて暗がりで、日も落ちたこんな夜中じゃ何も見えやしない。それも
これもぜんぶ、こいつが泣いていたからだ。「どうしたんだよ」とここまで引っ張り込んで、とりあえず背中を
さすってやった。それ以外にどうしたらいいのか分からなくて、とりあえず彼女の頬に手を当てたんだ。
「あなたのやさしさは、ときどき、ざんこくですわ」
もう一度、追い討ちとばかりに繰り返される、その言葉。
だって、お前、泣いてるじゃないか。反論した言葉はかすれて上手く音にならなかった。
泣いている人が目の前にいて、どうにかしてやりたいと思う。それが同じ部隊で戦う仲間だったらなおさら。
それの何が悪いことなのか、私には全く分からないのだった。
そんな間にも彼女の瞳に涙は溢れて来るものだから、私は慌ててそれを差し出した指で拭ってやる。
「ごめん」
何に対して謝っているのかなんて分からない。ただ責められているんだからきっと悪いのは私なんだ、間違いない。
「あなたには、わたしのきもちなんて、わからないでしょう」
何も手に入れられない。何もつかめない。すべては失われていくばかり。けれど守る力も無い。
けれどそのすべてを、あなたは持っているのだから。
彼女が言う言葉なんてほとんど理解出来ない。けれど私の直感が、ただ告げた。ああ、こいつはまた、泣く。
「わかるわけないダロ」
そんなの、お前じゃないんだから。いいながら抱きしめてやる。昔、昔、小さい頃、お母さんによくしてもらった
ように。ぎゅうと抱きしめて背中を叩いてやる。私の胸の辺りを彼女の涙が濡らす。拭う手間が省けてむしろ
ありがたかった。この行為さえも残酷だと、彼女は言うのだろうか。でも他に私は何が出来るだろう。
どうしたんだと、半ば脅迫するように問いただしたところには。
ミーナ中佐が、坂本少佐の部屋に行くのを見たのだという。でも別にそれが原因ではないだろう。それはただの
きっかけに過ぎなかった。こいつみたいにいつも少佐を見てなくたって二人の関係は私だってわかってた。
けれど言わなかった。それは予感でしかないけれど、たぶん私はこいつが泣くと思ったのだろう。知らないならば、
知りたくも無いならば、それでいい。そのほうが幸福だろうと思ったのだ。
本当は弱いんだと、ちゃんと知ってたんだ。意地っ張りだから気丈に振舞っているだけで、こいつの中身は
本当は、ひどくもろい。不安な気持ちを埋めるために、坂本少佐を追いかけていたのだ。誰かへの気持ちで
埋もれていれば、空虚な心は悲鳴を上げないから。
- 358 名前:「mix-turegret」 21X2w2Ib 2/3:2008/10/16(木) 01:59:31 ID:/+/SLBgU
-
その弱さに、私がつけこんでいるのか。私の甘さに、あっちがつけこんでいるのか。
分からない。でも、ひとつだけ確かな真実がある。ペリーヌは悲しいから泣いている。悔しいから泣いている。そして
今ここには私しかいない。ペリーヌはきっと、人の前では泣かない。少なくとも今は、まだ。だからここで私が
このツンツンメガネを放ったら、きっとこいつは独りぼっちで泣くんだ。
…そんなの、可哀想じゃないか。
そう思うのは、もしかしたらペリーヌに対してあまりにも失礼なのだろうか。それでもいい。泣いて欲しくない。
だってこいつだって私にとっては大切な仲間の一人だから。
「サーニャさんに見られたら、」
下の方から聞こえるくぐもった声。サーニャ。突然口にされた同僚の名前にひどく驚きながら首をかしげる。
こんなところでこいつに、名前を出されるとは思わなかったからだ。
「どうするんですの?」
「ハァ?どうもこうもないダロ」
ペリーヌが泣いていて、私がそれを慰めてる。少なくとも私はそう思っている。そこには何の問題も無い。なんだ
かんだでサーニャだってペリーヌと仲良くしたいんだ。一緒に慰めるのを手伝ってくれるかもしれない。
エイラさん。
名前を呼ばれて、返事をする前に強い力で胸を押し返された。そしてペリーヌは突き放すように手をいっぱいに
伸ばしてそして綺麗な顔で笑う。
「あなたはやっぱり、ばかで、おろかで、ざんこくですわ」
「…なんダと」
せっかく心配してやってるのに。そう憤慨しようとしたら、それより先に次の言葉が耳に届いた。
「でもそこがきっと、いいんでしょうね」
サーニャさんが羨ましいですわ。でも、とても可哀想だとも思います。
ぽかん、としていたら不意にペリーヌの顔が近づいてきて、くちびるに柔らかい感触が触れた。何をされたのか
判別する前に、彼女は走り去っていってしまう。
ああ、キス、されたのか。…された、のか?
嘘だ、そんなの、でもあれは。気付いた瞬間唇を抑えて座りこんだ。残酷だ、と言ったペリーヌの顔が頭にちらついて
離れない。そのときになってやっと、私は自分の行動が間違っていたのだと、たぶんあいつを傷つけたのだと、
思い知ったのだ。
しかもそれはペリーヌに対してだけじゃない。もしかしたらサーニャに対しても。
私は、ペリーヌただ単に「仲間」だと思っていた。いわゆる『そんな目』で見ることなんて思い至るはずも無かったし、
ペリーヌだってそうに違いないと思い込んでいた。それはもちろん無意識にだ。一度でもそんなことを考えたことが
あったなら、私はもっと彼女に対して慎重になれたろう。
それだから私は彼女に対して全く無防備だった。
…でも、あっちにしてみたらそうじゃなかったのかもしれない。そして今この瞬間から、私にとっても。
「エイラ、どこ?」
私を呼ぶ、声がする。ああ、サーニャだ。部屋にいなかったから探しに来たのかな。
ここにいるよ。そう返事をしようとした。そうして寂しがりなあの子を安心させてやりたかった。でも声がでなかった。
体にはまだ、ペリーヌの温もりと、小ささと、柔らかさとが残っている。私を見つけたサーニャはいつものように
私に引っ付いてくるのだろうか。そんなサーニャに私は上手く笑顔を返してやれるだろうか。
右手を見る。指の先が濡れているのは、ペリーヌの涙を拭ったからだ。あのとき私の心の中にはひたすらに
ペリーヌしかいなかった。意固地な彼女を独りで泣かすまいと必死だったからだ。
- 359 名前:「mix-turegret」 21X2w2Ib 3/3:2008/10/16(木) 02:04:20 ID:/+/SLBgU
-
(できない)
このままでサーニャに触れるなんて、そんなの。
ひどく思い罪を犯してしまった気分だった。罪悪感でいっぱいで、サーニャに対して申し訳なくて。
きびすを返してそろりと、声のする方向とは逆に走り出した。それはペリーヌの去って行った方向と同じだった
けれど、いまはあいつとも会いたくない。きっと会わないほうがいい。
でも問いただしたい。なんであんなことしたんだ、って。
エイラ、どこにいるの。
サーニャの声に、悲しみが混じる。それは小さな声だし、小さな違いだけれど、私が聞き違えるはずが無い。
私が一番大切なのは、サーニャのはずだ。…それなのに。
(ばかだ、私は)
なんで今はあのツンツンメガネの顔が頭から離れないんだ。涙のいっぱい溜まった瞳で、それでもひどく綺麗に
笑った。その、最後の顔がずっとずっと、私の脳裏を捕らえて離さないんだ。
今夜は部屋の隅で寝よう。心の中で、誰に誓うでもなしに呟く。
サーニャがやってくるかもしれないベッドじゃ、きっと眠れない。安心して眠っていることなんて出来ない。
もしも明日の朝私のすぐ隣にまたサーニャがいたら、泣いちゃいそうだ。逃げ出しちゃいそうだ。
それからどうする?どうせペリーヌにはどんなに避けたって鉢合わせしてしまう。アイツと私のスケジュールは
さほど変わらない。
(わけわかんないよ、もう)
泣きたいのは、私の方だ。多分全部、私のせいだけれど。
────
以上です。続くかもしれません。その場合、最終的にエイラーニャに変化する予感がします。
題名は「mixture(交錯)」+「regret(後悔)」の造語。
>>保管庫管理人様
もしかしたら今頃保管庫更新を終えているかも知れず非常に恐縮なのですが、>>234-236の話の題名を、
>>293で提案してくださった「Kukkia」に変更願えないでしょうか?
提案くださっていたのにうっかりスルーしてしまい申し訳ありませんでした
スオムス語に明るくないのでありがたかったです。
- 360 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 02:37:23 ID:MmVUIuQH
- なんじゃこのSSラッシュは・・・
もう皆神!
- 361 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 02:51:15 ID:Pkyprtnj
- アニメ終わったからこそ逆に自由に妄想して創作できるのかもしれないな…
とにかく職人さんたちいつもGJ!!
突然だがエルマ×エイラを妄想した
5歳上エルマさんに甘えるエイラとか、年下のスーパーエースにときめくエルマさんとかよすぐる
- 362 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 03:14:56 ID:ulDmwq/l
- 皆さんすげぇ・・・
- 363 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 03:15:45 ID:uGb27x0p
- 自分の場合はアニメが終わって寂しくなったんで燃料を補給してる感じかもw
勿論補給されるだけでなくなるべく供給できたらいいな、と思ってます。
エルマさんはトモコ中尉から指揮官としての能力だけでなく
百合総受け体質も受け継いじゃったりしてるんだろうか……。
- 364 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 03:25:03 ID:ip2CGgbU
- >>361
エルマさんに「エル姉、エル姉」ってべったべたに甘える
エイラさんを絶賛妄想中であります!w
エルマさんはエルマさんでエイラは妹みたいなもんだから、大丈夫です!
私はノーマルです!って苦しい言い訳をry
- 365 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 04:02:14 ID:hoIr5QIf
- >>364
>エルマさんはエルマさんでエイラは妹みたいなもんだから、大丈夫です!
>私はノーマルです!って苦しい言い訳をry
想像するだけでニヤニヤするぜこんちくしょう!
さらにアホネン大尉にからかわれてアウアウして欲しい
- 366 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 07:46:13 ID:kCuqW+St
- >>356
GJ!!
ついにサーニャにまで攻められたか、ゲルトさんwww
残り五人ということで期待して待ってます
ん・・・もちかしてクリス×ゲルトは無い感じでしょうか?
流石に妹にまで攻められたらダメかw
- 367 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 07:51:01 ID:MFLxgXa7
- やばい最近忙しいけどここはオアシス
みんなGJ
- 368 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 08:07:20 ID:VEWbNeox
- >>366
クリスもありか!w
- 369 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 10:04:13 ID:EJLjfDcf
- いとしのレイラ
- 370 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 16:52:49 ID:9MSMXBPl
- 過疎
- 371 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 16:58:59 ID:7XjEMneT
- スランプ解消のためにいらん子を買ってしまった・・・
ちょっと読んでくる
- 372 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 17:12:31 ID:shDwFObI
- 昨日はまるでライオンのようだったヨ
- 373 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 17:30:09 ID:TCNrAF+6
- いらん子どこにも売ってないんだが
- 374 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 17:36:55 ID:dmhu5q2u
- >>373
ttp://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=200603000452
- 375 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 17:42:35 ID:d7IZobGg
- >>368
っちょ、やる気ですかwトゥルーデも大変だな…w
いやぁ期待して待ってる!
- 376 名前:ゆりたまご「501魔法特捜隊」:2008/10/16(木) 20:13:02 ID:DEteONmZ
- おバカな感じに投下
最初に申し上げるとダイバスターです、シュールです
「501魔法特捜隊」
1939年、我々の目の前に突如出現した未確認飛行体ネウロイ
芳佳隊員との接触により彼女達にも知性がある事が確認された
彼女達は我々人類の理解を深める為、様々な疑問を投げ掛けて来たのである
そんな彼女達からの無茶な質疑に備えるべく
あらゆる謎を調査解明する為に組織された調査機関
それが501魔法特捜隊ウィッチーズである
第63話「ウィッチーズ、ビキニも作れたもんね」
〜魔法特捜隊基地・朝礼〜
エーリカ博士「諸君、おはよう」
ゲルト「おはようございます博士」
芳佳「おはようございま〜す」
エイラ「おはヨ〜」
シャーリー「あ〜おはよ〜」
エーリカ博士「早速だが今日の調査だ、諸君これを見てくれ」
博士はパネルを指さす、パネルには南国の踊り子さんが映っている
ゲルト「これは…ポリネシアンダンス、これがなにか?」
芳佳「わかりました!おっぱいですね博士!」
エーリカ博士「そうだ、見て欲しいのはこの部分だ」
パネルに映る女性の胸元が拡大される
ゲルト「これは、椰子の実の…ブラジャー…」
エーリカ博士「そうだ椰子の実のブラジャーだ」
「ポリネシアの人は椰子の実のブラジャーだがリベリアンならどうする?」
エイラ「言ってる意味わかんねーヨ」
芳佳「なんか嫌な予感がします」
シャーリー「…モグモグ(スパムサンドを噛り続ける)」
ゲルト「リベリアンならどうするってどういう事ですか?博士」
エーリカ博士「ドーナツでビキニが作れないかなと思ってな〜」
ゲルト「え!」
芳佳「えぇ!!」
エイラ「エー!!!」
シャーリー「…モグモグ(スパムサンドを噛り続ける)」
エーリカ博士「ドーナツでビキニを作る!魔法特捜隊、出動!」
全員「はっ、ラジャー!」
こうして博士の開発したドーナツビキニの試着実験の為
ゲルト隊員とシャーリー隊員は研究所へと向かったのである
- 377 名前:501魔法特捜隊2:2008/10/16(木) 20:16:00 ID:DEteONmZ
- 〜研究所に移動中〜
シャーリー「芳佳って可愛いよな〜」
ゲルト「おまえ今何と言った?(ムッとする)」
シャーリー「芳佳って可愛いよな〜」
ゲルト「おまえ今何と言った!(更にムッとする)」
シャーリー「芳佳のビキニ姿みてーな〜」
ゲルト「…」
シャーリー「おまえは芳佳と付き合ってるのか?」
ゲルト「うっ、付き合って…ないよ」
シャーリー「そうなんだ、ふぅ〜ん」
ゲルト「なんでそんな事…言うんだよ」
シャーリー「あたしの感だと芳佳はおまえに気があると思うな〜(超適当)」
ゲルト「おまえ…いい奴だな」
〜魔法特捜隊三時のおやつ研究所〜
今回、調査内容を知らされずにやって来たのは
魔法特捜隊専属コンビニエンスアイドル、サーニャ・V・リトヴャクさん
ゲルト「今日はよろしく」
サーニャ「よろしくお願いします…」
シャーリー「ちょっと着てもらいたい水着があるんだけど」
サーニャ「はい…」
ゲルト「ん?本当はこの仕事、嫌なんじゃないのか?」
サーニャ「いえ…、…、まぁ…」
ゲルト「本当はどんな仕事やりたいんだ?」
サーニャ「あの…歌手とか…」
シャーリー「あんたなら、きっとなれるよ!(超適当)」
サーニャ「本当ですか!私、頑張ります!」
ゲルト「では早速だが、水着はその試着室の中にあるから着替えてくれ」
サーニャ「はい!」
今回博士が密かに開発を進めていたドーナツビキニとは
二つのリングドーナツ(本物)が紐で繋がれたトップスに
前を隠すドーナツがTバック状の紐で結ばれたボトムで構成されたモノなのだ!
サーニャ「…」
ゲルト「どうした?」
サーニャ「これちょっと…着れないです…」
ゲルト「どうするリベリアン?」
シャーリー「その手の趣味の奴じゃなきゃやっぱ無理か〜」
ゲルト「それでは仕方ないな、では基地に帰還する」
- 378 名前:501魔法特捜隊3:2008/10/16(木) 20:19:21 ID:DEteONmZ
- 〜魔法特捜隊基地〜
ゲルト「ただ今戻りました」
エーリカ博士「どうだったドーナツビキニは?」
シャーリー「まぁ…やはりドーナツビキニは…」
ゲルト「その手の趣味がある人でないと試着して貰えない事が判明しました!」
エーリカ博士「やっぱりそーか、残念…」
エイラ「そんなの調べなくてもわかりきってた事ダロ〜」
芳佳「目付きがいやらしいです、博士」
ゲルト「でも博士、わかりきってた事なら、なぜわざわざ調べ…」
エーリカ博士「ばかもーん(ゲルトを殴る)」
ゲルト「!」
芳佳「!!」
エイラ「!!!」
シャーリー「!!!!」
エーリカ博士「いいかよく聞け、ドーナツの穴にはな、ドーナツの穴にはな…」
エーリカ博士「たくさんの夢が詰まっているんだよ!」
エイラ「わけわかんネーヨ」
ゲルト「すいません博士…そんな事も知らないで…」
エーリカ博士「よーし、それじゃみんなでドーナツでも食いに行くか!」
エイラ「ヤッター!」
エーリカ博士「殻を剥くのが多少面倒臭いけどな」
エイラ「それドーナツじゃなくてピーナッツダヨ」
全員「わーはっは」
我々の世界には、まだまだ魔法で証明できない謎がある
あらゆる謎を調査解明、頼むぞ501魔法特捜隊ウィッチーズ!
〜END〜
以上です、えっと…ごめんなさい
前回に続き読んで頂いた方々、レス頂いた方々ありがとうございます
それでは早々に失礼致します
- 379 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 20:56:48 ID:MFLxgXa7
- >>359
うは、これは良い
是非続き書いてください
最終的にエイラーニャになると嬉しい
- 380 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 21:43:10 ID:iuuG0A5A
- ttp://upload.jpn.ph/upload/img/u27876.jpg
- 381 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 22:06:03 ID:d7IZobGg
- >>378
GJ!全体的に吹いた
エーリカ博士ww
- 382 名前:滝川浜田 『輪廻〜輪舞曲〜永遠』:2008/10/16(木) 22:32:02 ID:K7JM7JAi
- SSという名の短文投下します。
エイラ独白(エイラーニャ)です。
…エイラは慣れてないので、変な所があっても気にしないでください
――もう一度、生まれ変わるのなら、私はもう一度サーニャの傍にいたい――
…深夜、目が覚めた。
汗をかいていた。
私の隣では、サーニャが寝息を立てている。
私はサーニャの頬を撫でる。
「サーニャ…」
「う、うんっ…」
サーニャの頬が微かに紅潮する。
私達はウィッチーズ。
いつ戦場で命を落とすかは分からない。
タロット占いでも、それは分からない。
それは今日か、それとも明日か。
月明かりに照らされたサーニャは、より一層美しく私の目に映る。
サーニャ、永い眠りから、お前が目覚めたら、私と踊ろう。
手と手を取り合って、優しく、優しく。
私は一分一秒でも長くサーニャのすべてをこの身体に閉じ込めておきたいんダ。
果てしなく、深く、そして誰にもこの世界を邪魔されない様に、
影が失くなるまで、失くなっても、私達は踊り続けよう。
旋律なんて無くてもいい。
私とサーニャがいれば、それが旋律になるんダ。
さあ、世界が壊れるまで揺らめこう、
世界が壊れるまで交わろう。
私達だけの輪舞曲で。
この永い永い夜が明ければ、私達だけの朝が始まる。
END
以上です。エイラ難しい…。
これのサーニャバージョンもありますが、サーニャ語りは更に難しい…。
そのうち投下します。
…では、爺はこれで…
- 383 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 23:19:07 ID:uGb27x0p
- 別カプのネタで書いてるんだけど、
エイラ&エルマのへたれペアが心にちらついてすすまねぇす。
「エル姉、エル姉! 1日に6機落としたヨ!」
「わぁ、それはおめでとうございます」
「じゃ、約束どおり膝枕ダナ」
「はい、どうぞこちらへ」
「ふふ、いい匂い〜……むにゅ」
「ひゃあ! どこを触ってるんですか〜」
「大丈夫、膝枕には付き物ダロ、エル姉」
「ああん、ちょっと……駄目ですって〜」
(ふふ、だいぶこちら側にいらっしゃっていますわね、エルマさん)by影で見ているアホネン
>>382
エイラの台詞って、シリアスだとどこまでカタカナにするかのバランス取り難しいですよね。
そういえば、SS書いたり読んだりしてる時って、皆さん声を当てはめてたりします?
ちなみに自分、ルーデル書いてるときシグナム声の清水香里を意識してたんですが、
活字で台詞回しだけ見てると勝手に脳内で大塚明夫の声が再生されて困りましたw
- 384 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 23:42:07 ID:MFLxgXa7
- >>182
GJ
サーニャバージョン待ってる
>>383
そういえばエルマはエイラと同じスオムスだったな
実際に関わりがあったらどんなのだったか気になる
特にアホネンとかw
- 385 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/16(木) 23:48:42 ID:shDwFObI
- みんなGJ
最近エイラーニャが生き甲斐です
- 386 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 00:15:50 ID:6wrdqa+1
- http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3325.jpg
百合姫で紹介されてたな
それにしても相変わらずぶっとんだ記事だな
これじゃサーニャと芳佳がくっつく物としか思えないじゃないかww
- 387 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 00:18:21 ID:UKgnfVO8
- 芳ニャもそれはそれでいいものだ
- 388 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 00:26:52 ID:UlNP+BSR
- >>386
百合姫め…
- 389 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 00:31:13 ID:jB2/oBUL
- ああ、駄目だ
ルッキーニがシャーリーのお胸でふかふかして笑ってるの見ると、なんかもう
ああ!!!シャーリーになりたい!
- 390 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 00:32:38 ID:8eDuGPoe
- 流石に今回は百合姫に絶望したわ…何でサーニャとエイラの仲をクローズアップしないのか。
- 391 名前:『月』最終話1/3 j4ntaz3y:2008/10/17(金) 00:37:19 ID:X8p9jbsn
- >>389 超同意
では>>323のつづき。これで最後です
いままでレスしてくれた方ありがとうございました。みなさんのおかげでここまでこれた。
「……そうか。そうだよな」
長い沈黙をやぶったのはバルクホルンだった。それから床によこたわる取り上げられた自分の朝食の一部を
ひろいあげて、ふんと自嘲気味の笑いをもらす。
「食べ物を粗末にしちゃいけない」
あたしが食べかけたパンを、バルクホルンに手渡される。そのときわずかに指先がふれて、思わずびくとふるえて
しまったのが伝わっていなければいい。わるかった。それから一瞬の間のあとその一言だけをつぶやいて、やつは
もうなにも言う気はないみたいだった。そうだ、なにもかも、もうなにもかもが、これでおわり。謝罪のことばが重く重く
のしかかって、断ち切ろうとしたあたしが、こんなにショックをうけるなんてお笑いぐさだ。たちあがって、パンについた
ほこりをはらう。これ以上ここにいたらまたガキくさいくだらないことを言ってしまいそうでこわかったから、もうあたしは
退散することにする。
「……、あの」
でもだめだ、あたしはこんなに名残惜しいみたい。食堂の出口のほうまできたところで、まるで我慢できなかったよう
にうつむいたバルクホルンをふりかえる。あたし、あんたの言うことひとつ聞かなきゃいけないんだ。つぶやきくらいの
ちいさな声に顔をあげて、バルクホルンはふっと笑った。それを見てあたしはおどろいて、なんてひどいやつなんだろう
と思う。だって、そんな笑い方はじめて見た。こいつが、こんなにきれいだったなんで知らなかった。そのときはじめて
思い知ったんだ。
「きのうのことをわすれてくれれば、それでいい」
だけど、言うことはとても残酷なのだ。そう仕向けたのは自分のくせに、あたしはまるでふられたような気分になる。
きっとバルクホルンも、すぐにわすれてしまうんだ。あたしがいくらひきずっても、バルクホルンは、あっさりと。だって、
あんたはしらないんだもの、本当は、本当はあたしだって。
「……了ー解」
一生懸命間延びした声をつくる。いつもの自分になっていただろうか。もうふりむかない。ふりむけなかった。全部を
ごまかすようにかじった床におちてしまったパンは、なんだかすこしだけ苦かった。
- 392 名前:『月』最終話2/3 j4ntaz3y:2008/10/17(金) 00:38:18 ID:X8p9jbsn
- 足は自然とハンガーへむかっていた。なにも考えたくないときは機械いじりに没頭するのがいちばんなのだ。我ながら
わかりやすい、とにかく今は現実逃避がしたかった。
淡々とつづく廊下、そのむこうからふと人影があらわれる。おや、と思う間にそれがハルトマンだと認識する。鼻歌でも
歌っていそうないつもの表情で頭のうしろで手をくみながら、ハルトマンのほうも近づくあたしに気づいたのか、よっとでも
言うようにひょいと手をあげた。あたしもそれに遠慮がちに手をふる。ああなんだかうしろめたい気持ちがでてしまった。
それから特にことばもかわさずにすれちがう。
「――ハルトマン」
だけどあたしは、呼びとめてしまうのだ。気の抜けた顔でふりかえって、ハルトマンはまばたきをする。ごくり、とつばを
のんだ。
「あたし今からハンガーのほうにいってストライカーの調整しようと思ってるんだけど」
ぱちぱち、と、まばたきがさらにはっきりとした動作になる。なに言ってんだこいつ、とでも言いたげな顔。そんなの
こっちもそうだった。なに言ってんだあたしは。
「……レンチを食堂にわすれてきちゃって、わるいけどとってきてくれないか」
ああ、阿呆だ、あたしは。そんなわけない嘘が、まるで脊髄反射のように口からぼろぼろでていく。ハルトマンは今度
こそぽかんとする。が、一瞬後にはあいた口をきゅっととじてあたしに近づいて身長差にまかせてしたからのぞきこんだ。
あたしは薄ら笑いをうかべて冷や汗をたらすほかない。
「ごめん」
思わずあやまって、そしたらハルトマンはふうんとはなをならす。それから言った、そういえばきょうはトゥルーデが
朝むかえにこなくて、食堂にもいなかったんだよ。
「シャーリーもいなかったから知らなかったでしょ?」
「……」
小悪魔の笑みが見あげてきて、たぶん今の会話だけで多少のことはばれてしまったのだ。これだから聡いやつは
困るんだ。あたしはきまりがわるくて頭をかいて、でもごまかすのもいやだったから顔のまえで手をあわせる。
「ごめん、バルクホルンにちょっといろいろ言っちゃった。わるかった、ほんとに」
ゆるしてもらうため、というよりその事実をこいつに伝えるためにあやまった。そのわりに、でもいちばん大事なこと
は言ってないぞという言い訳もわすれなかったんだけど。ハルトマンは腕をくんでううんと唸って、すぐにどうでも
よさそうな顔をする。
「べつに言ってくれてもよかったんだけどな」
「ほんとかよ……」
そのわりにはバルクホルンにはひたかくしにしているじゃないか。思いついてもそんなことは言えないで、あたしは
やつの出方を観察するしかない。数秒思案する顔をして、それからハルトマンはよしとうなずく。
- 393 名前:『月』最終話3/3 j4ntaz3y:2008/10/17(金) 00:39:17 ID:X8p9jbsn
- 「ふふん、わすれものね。わかった、とってきたげるよ。わたしはやさしいからな」
「……おう、ありがと」
どうやら、多少どころの話じゃないらしい。不敵な笑い方に内心びくびくとしながら頷いた。ハルトマンにはもう
つつぬけだ。自分をやさしいと言ったハルトマン、それは本当にそのとおりだった。
くるりとからだのむきをかえて駆け出した。そして走りながら、ハルトマンはふりむくのだ。でもさ、もしかしたら、
シャーリーのわすれものかえしにいかないかも。無邪気に挑戦的な声が心地よくひびく。なんてやつだろう、
もしかしてハルトマンは、あたしがこうなってしまうとわかっていてミーナ中佐とバルクホルンの話をあたしにしたんじゃ
なかろうか、と、邪推してしまうほどに、ハルトマンは食えないやつなのだ。
「ぜひ、そうしてくれ」
わざとらしいくらいに肩をすくめてからさけんだら、ハルトマンがははと笑う。そんな冗談が言えるほどあたしは楽に
なっていた。そうさ、ハルトマンはやさしいんだ。ことバルクホルンに対しては、あたしなんて絶対に敵いやしないんだ。
あいつにはひょっとしたら大変な役を押しつけちゃったかもしれないけど、あたしは確固としてハルトマンを信じた。
バルクホルンには言わなかったハルトマンの秘密は、そうするに足る確証なのだ。
「ちぇ、はらへってるのわすれてたや」
こんなんじゃたりないけど、あと一口のこっていた、バルクホルンに手渡されたパンを口に放った。不思議なもので、
今度はほんのり甘かった。
「……さて」
あたしはぐっとのびをしてからハンガーへむかう。きょうはハルトマンとバルクホルンのストライカーも勝手にいじって
しまおう。そして、ハルトマンからはわたしのかわりに調整してくれてありがとう、なんて言われて、バルクホルンには
勝手なことをするなと怒鳴られよう。そうなったらいい、だってきっとそれが、あたしとやつらとの、いちばんの関係なんだ。
ハンガーからのぞく青い空。うすく雲のかかった果てのない世界は、ずっとあしたもあさっても、ずっとあたしたちの
うえにあるのだ。
おわり
- 394 名前:j4ntaz3y:2008/10/17(金) 00:40:51 ID:X8p9jbsn
- 最後までお付き合いくださった方はありがとうございました。当初の予定よりはさわやかっぽい終わり方をできたかなと思います。
しかし世はエーリカを幸せにしたい流れだというのに思い切り片思いにしてしまってすみません。
あとシャーリー視点だったせいでミーナさんフォローなしですみません。だれかそのへんの番外編書いてください。
ところでエーリカはラスボスオーラがするのに受けっぽいと思うんだがどうか。
ひらがなの多用について指摘くださったかたありがとうございます。これはシャーリーを意識しての演出というよりは
書いてるひとの単なるくせなのでとくにこだわった演出というわけではないです。のでよろしければ脳内で漢字変換
していただければと……申し訳ない。
そういえば内容に全然関係ないタイトルについてですが、最初のほうでバルクホルンがシャーリーを襲おうとする話
だったのでかの剣城様にあやかって『月がとても綺麗だから』にしようかと思ったんですがさすがにないと思いなおして
月だけとったらそのあとこの漱石の一文をつかったすばらしすぎるSSが投下されたので却下して心底よかったなと思いました。
つぎはできたら甘い感じのシャーゲルがかけたらなあと思います。需要があるかは知らん。
- 395 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 01:19:54 ID:OwvoxWpG
- >>394
GJでした
甘いシャーゲル期待してます
- 396 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 01:21:00 ID:O7VmeYB/
- >>394
GJ…GJ!続きメチャァ!クチャァ!楽しみにしてたよ!あなたの書き方がものすごく好きだ!
連載乙でした。次回作も楽しみにしてます
そしてお目汚し申し訳ない、
522 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/10/16(木) 18:52:27 ID:WCvEt4+R
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3139.png
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3137.jpg
せっかく描いたのでトゥルフラとペリエイラ(ーニャ)
盛大に誤爆して来てしまいました。猛省しておとなしくえいらーにゃかいてくる
- 397 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 01:23:19 ID:nxl3JH62
- ペリエイラかわいいなw
この二人のコンビはなかなかいいかも
でもさーにゃん一人ぼっちじゃいやいや
- 398 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 01:35:49 ID:rcuCub4r
- >>397
つ芳佳
- 399 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 01:43:38 ID:/VYshBHf
- >>396
先ほどの本スレの方ですねw
絵が上手で羨ましい〜。
トゥルーデお姉ちゃん・・・。ハァハァ
- 400 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 06:29:47 ID:YK25Z06L
- >>394
すごく良かったGJ
しかしエーリカは最強すぎるなw
百合姫がやってくれたか…買わねば。
- 401 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 12:14:47 ID:3ddSgcw9
- >>394
すごく雰囲気があって好きな文章です。
毎回楽しみにしてたから終わって悲しいw
シャーゲル大好きなんで甘いのもメチャア!クチャア!楽しみにしてます。
- 402 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 13:49:58 ID:m+7mpJk6
- >>365
エイラはエイラで「エルはお姉ちゃんみたいなもんだから違うんダサーニャ!」と言い訳しそうだw
エルマさんが故郷の母親張りに心配性で手紙とかよく送って来てたらいいなあ
スオムスに戻ったら二人ともエルマに懐いてすっきり解決
- 403 名前:クロウカシスの虜:2008/10/17(金) 13:54:24 ID:/Kx/KViQ
- >>171のつづき
堅苦しいかも知れないから好まない人は回避
6,
今朝方、またも予期せぬ侵攻をみせたネウロイは、ハンガーにいたシャーロット、フランチェスカのす
ばやい出撃によって無事撃退されたとエイラは知らされた。その彼女はいま医務室にいた。報告、自慢、
偵察、元気付け、なんと呼んでも間違いはないが、一等先に病室を見舞った好奇心のかたまりであると
ころのこのペアは、だがおおいに面食らってそこを後にしていた。
サーニャが倒れたとき、気を抜いていたせいで受け損じるかと思った瞬間から、完全に血の気が引いた
病人より病人らしい顔つきをエイラはしていた。しかし実際には、なんとかその腕をつかむことで床へ
ぶつけることだけは防いだし、それから彼女の信じられないほど軽い身体を抱えて医務室にかけこむま
での迅速な働きは、誰に責められるべき一点も見当たらない。その彼女を、呼吸することを忘れるほど
に打ちのめしていたのは、あれほどいつもいつも気にかけている「つもり」でいて、サーニャのそんな
調子をどうして気が付いてやれなかった! という自責の念だ。
そうしてミーナが見舞ったとき、エイラはベッドの傍らにほとんど身動きもせずに座っていた。一度、
入ってきたミーナの方をぼんやりとした目で見やったが、その顔は先のふたりが目撃した通り、ひどく
青ざめて茫然自失のありさまであった。ただ、看病をかわるか、という旨の問いかけに対しては堅く首
を横にふった。
慢性的な睡眠不足のせいで消耗した魔力がまったく回復していない、というのが、今は半ば暴力的とも
言える眠りの中に沈むサーニャに対し、軍医の下した診断であった。そのため情緒がひじょうに不安定
になり神経性の熱病まで罹患しているが、魔力が回復ししだいすぐに快方に向かうだろうとの見積りか
ら、これについてはあまり問題視されなかった。ついては不眠状態にある精神の抱える「心配事」が注
目に値した。だがそう、医師に指摘されるまでもなく一刻もはやく原因を取り除かなくてはならないこ
とはミーナにもわかっている。
彼女は医務室を辞すときもう一度エイラの背中に声をかけたが、相手は聞いているのかいないのかわか
らない返事をしただけで、今度は振りかえりもしなかった。
- 404 名前:クロウカシスの虜:2008/10/17(金) 13:55:24 ID:/Kx/KViQ
- 両開きのドアをそっと正面で閉じあわせると、窓からさした夕陽の光線が憂いたっぷりに散らばる通路
の上を、ミーナは急ぎ足で歩き出した。彼女は抱えていた三つの仕事の内、これで一つを済ませたこと
になる。次のきわめてやっかいな心配事は、さて、どこにあるだろうか。彼女は捜しまわった。
夕暮れの滑走路には強い海風が吹きつけ、すぐにミーナの深い赤色の髪をうつくしく乱した。立ち止ま
り、髪をなでつけながらふと海の方を見やると、髪の色が風に持っていかれ、不規則な表情をした空を
いっぺんに真っ赤にした。その中でミーナの燃えるような瞳は澄み、埠頭にぽつんと座っているエーリ
カの小さな背中を見つけることができた。
ミーナは得心が行き、その反対側の暗がりに目をやる。ふう、と一度ためいきのような深呼吸をしてか
ら再び歩き出した。18歳の女の子にはいささか不似合いな威厳を保つのに、背中を押す強風が役立った。
ゲルトルートはハンガーにいた。
「トゥルーデ」
ミーナはできるだけ気さくな感じになるように呼びかけたが、出てきた声はやっぱりその表情通りの重
苦しさを半分以上もかむっていた。調合的には最高の水準に達していたといえる。そして相手は一瞬び
くっと肩をはずませてから、もの思わしげな顔をあげた。しかしすぐにまた目を伏せると、平然とした
口調をよそおって型通りのことを訊ねた。
「ミーナか。リトヴャグ中尉はどうだ」
「寝不足らしいわ。あまり心配することはない、ということよ」
そうか、それはよかった、と、ひどく沈んだ声でゲルトルートは言った。どうやら他にもくるおしいほ
ど知りたいことがあるような様子だったが、それを聞き出すのがおそろしかったらしい。沈黙がおとず
れた。ゲルトルートは目を落としたままで臆病な笑いをこぼした。
「送弾不良を起こしていたようだが、どうやら出撃中に整備兵が直したらしいな」
とつぜん彼女はそう言って、手にしていた6kgもする短機関銃を下へおろすと、いっそうシュンと耳をた
れた使い魔をひっこめた。それで、ミーナはゲルトルートの感情の振幅を知る手がかりを一つ失った。
が、彼女はめげずに、すかさず引きとって言った。
- 405 名前:クロウカシスの虜:2008/10/17(金) 13:56:25 ID:/Kx/KViQ
- 「トゥルーデ、あなた近頃、エイラさんと――――」
「あまりプライベートなところに立ち入ってもらいたくはないな」
ゲルトルートは相手のことばを打ち消すように、語気するどく一息に言った。依然として顔をそむけた
ままだったが、おそらくは視野の端にとらえられた位置でミーナはぴくりとした。
「ええ、でも…」
個人的な感情により隊の士気を下げさせるわけにはいかない。それはいささか無粋な忠言であるが、し
かしミーナはこの隊を取りしきる者だ。それこそ私的な感情に負けて看過するわけにはいかない。正し
いことを選ぶことが、最上ではない場合がある、わかっていても、ゲルトルートの物言いはひどくショ
ックだった。結局彼女は、あいまいな調子でむにゃむにゃと発声するのが精一杯だった。
「言いたいことはわかっている」
ゲルトルートは二度目の沈黙も蹴散らした。神経質そうに鼻をならした。それは自分自身を笑いたいと
でもいうような振る舞いであり、もちろんそんな弁明めいたことなどしないほうがマシなことは、彼女
自身わかっていた。と言うのも、すぐにとりつくろうようにミーナを見やり、ことばを刻みながらこう
言った。
「だが少しだけ――そう――少し、ほうっておいてはもらえないだろうか」
「ええ、そうね、あなたの気持ちは…けれど…」
「ミーナ!」
ゲルトルートは急に激した口調で叫んだ。ややあって「すまないが」と震える声でつけくわえたなり口
をつぐんでしまった。これ以上、一言も喋る気はないというように伏せられたその顔は、相手をもう、
ちらとも見なかった。
ミーナは打ちのめされたような顔をしてゲルトルートを見つめながら、そのままさらに五秒ほど佇んで
いたが、一歩、二歩とひじょうにゆっくり後退すると、逃げるようにして身体を反転させた。去ろうと
しかけたその目に、ふいに入り口の影から飛び退くものがわずかに見えた。案の定、彼女がハンガーを
出ると、基地へと一目散に走っていくエーリカの後姿があった。こうして、二つ目の仕事は不首尾に終
わった。
- 406 名前:クロウカシスの虜:2008/10/17(金) 13:57:36 ID:/Kx/KViQ
- 芳佳との一件が解決して以来、平安だった睡眠が、いつから悪夢に侵されるようになったかをゲルトル
ートは知っていた。
妹のクリスが目覚めたとの知らせを受けた。前回見舞ったときは、かたくなに閉ざされていたその意識
が回復したらしかった。つまり、もう自分を自分と認識してくれるその目が、開いたのだと。そうとわ
かるとゲルトルートは怖気づいた。会いたいと、すぐさま飛んでいきたいと思う気持ちを踏みつけにし
て、塞ぎ虫が首をもたげた。「それ」が言うには妹を病床に臥せるほど傷つけたのは彼女自身だった。
すると悪いふうに感情を捏造された記憶ばかり、彼女の頭の中に縮こまり、やがて胸へと殺到してきた。
質実剛健な軍人たるところのゲルトルートは、ひとまずそれらをベッドの下に積み上げることで自らに
対して隠蔽を試みた。その夜、またあの夢を見た。
その日からまたゲルトルートはなにもかも自分のせいにしはじめて、周りを見る目がめしいた。彼女は
これまで自らが抱えてきた理想が、現状から遊離し、孤立していたという考えにとりつかれた。その焦
燥が、再び隊列から彼女をはみ出させてしまった。このままでは作戦に出すことは無理だ、と指揮官は
告げた。すべてを喪失する恐怖にみまわれた戦いぶりはさらに凄惨きわまり、何度目かの譴責で、次は
ない、と決めつけられた。
吐き気を催すほどの弱気はいや増しに高まり、悪い夢を眠るたびごとに必ず見た。その中からしだいに
妹の姿さえなくなって、ひどく抽象的な形相を呈すころには、夜をあてどもなくさまよい歩く習慣がす
っかり身についてしまっていた。
黒い綿のような夜がもう、うんざりするほど続いており、空なんてちっとも見ていなかったのに、なぜ
だかその夜、満月が出ていた。そこにまるで月光に射落とされた星のように、うちしおれ、転がってい
たものを拾ってかえると、「それ」はしばらくぶりの安眠をもたらしてくれた。さらに自分のことを
「おねえちゃん」と呼ぶ「それ」は、心の中に巣食う虫から目をそらしつづけるためにおおいに役立った。
- 407 名前:クロウカシスの虜:2008/10/17(金) 13:58:33 ID:/Kx/KViQ
- かわいい妹の姿が目の端にでも入るならば、ゲルトルートの飛行は最高だったし、戦闘での無茶な振る
舞いも再びなりを潜めはじめた。ただ摂るというばかりだった食事はとびきりうまかったし、暇を憂鬱
に支配されることも少なくなった。むろんそういった快さが、内面にするどい屈折を隠し持っていたこ
とは確かであるが、それゆえにいっそう固執しなければならなかったのもまた事実だ。
しかし相手の目ざましいまでの、自分とかけはなれた気質は、ゲルトルートの中でなにかを変えていっ
た。旺盛な好奇心と混じりけのない真実を見せる、健やかな考えの持ち主は、さわやかな風のように彼
女の心をゆさぶる、まったく新しい存在だった。例えばあの満月のように、ありきたりのものに高い意
味を、ふつうのものに神秘に満ちた外観を、エイラは与え、もはやそんな一瞬一瞬は、なにものにも代
えがたい喜びをもたらしはじめた。ことに天使のような顔や無垢、感動をあたえる頼りなさは、思いも
かけず彼女の気質に合致したのだ。
そのようにして、彼女は偽者の妹を寵愛したが、日増しに強くなるある類の感情をまったく理解しなか
った。尚武なカールスラントにあってエースと呼ばれる彼女には、そういったものごとを深く考える暇
など一度もなかった、と言えなくもないが、多くは彼女がとくに姉馬鹿だからということと、生真面目
なその性格に由来していた。
ゲルトルートはミーナが去ったしばらく後でハンガーを出た。とたんにものすごい熱さの風が顔に吹き
つけたかと思うと、それは空気の中にある、恋の気配だった。
以上、続く可能性がある
- 408 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 14:08:01 ID:6i8ZgiNJ
- 三島を彷彿とする明晰で整然とした文だな
好きです
- 409 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 14:36:41 ID:VRAjzTAi
- >>407
最近のアニメはワンパターンですよねwwwwwwwwwwwwwwww
- 410 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 15:50:30 ID:wkc56H9i
- おお、きてれぅ!
お姉ちゃんは病みやすいなw
サーニャが心配だ
- 411 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 17:08:19 ID:gKXnOlDR
- うむ、三島っぽいな。素晴らしい
- 412 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 17:13:30 ID:0V742wtf
- >>49も>>165も何故かスルーしてしまって、前スレ>>417の続きがあるのにやっと気付いたよww
人間の心理と言ったような曖昧な”モノ”を言葉に表すのが苦手な俺としては、
こういう もやもやとした抽象的な概念を明確に言語化し、描写できるってのは本当に羨ましい才能だ。
ストーリー自体も素晴らしいんだが、俺にはこの感動を上手く表現するだけの筆の力が無い。すまん。
詰まるところ俺の言いたいことは「いいぞ、もっとやれ」
乙
- 413 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 17:55:05 ID:X4UtEk29
- 萌え死にたい人にお薦めの百合ん百合んスレ「ストライクウィッチーズでレズ百合萌え」のガイドライン
・平日の昼間なら大丈夫だろうと思っていたら昼休みに3人がSS投下した
・SS投下から1分のレスで次の投下が始まっていた
・SS投下から後書きまでの10分の間にGJされた
・書き込みの1/7がSS。しかも全ての妄想レスが職人にSS化されるという都市伝説から「マイナーカプほど危ない」
・「そんな職人だらけなわけがない」といって書き込んだ妄想が5日後SSで戻ってきた
・このスレにおける職人によるSS投下は1日平均2.6本、うち約2.3本が常連エース。
ここ数日の放送中並みのラッシュにはびっくりです。この貪欲さがたまらんね。
だが調子乗ってると言われようと止める気などさらさら無い!!というわけで>>338の続きをば。
話は漸く起承転結の転を迎えます。例によってやたらシリアス、微エロですがよろしければお付き合いください。
ミーナ視点のエーリカ×ミーナ(!)で、「Unschuld」です。
- 414 名前:Unschuld ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 17:56:16 ID:X4UtEk29
- してやられた、と思った。
前々から何となく危ない気はしていたけど、まさか本当にやられるとは思っていなかった。
だって彼女は────誰よりも信頼している戦友の一人なのだから。
────────
「フラウ。」
お風呂上がりらしく、体から湯気を上げつつ呑気に鼻歌を歌いながら自分の部屋に入ろうとする彼女を、私は呼び止めた。
「ミーナ、呼んだ?」
一歩戻って振り返る彼女につかつかと近寄って真っ直ぐ目を見る。
「ねえ、あなたトゥルーデに手、出したでしょう。」
「何で?」
「それはこっちの科白よ。」
とぼけた調子で返してきたが、洗面用具を抱えた手が一瞬ぴくっと反応したのを私は見逃さなかった。
「様子がおかしいから問い詰めたらすぐに白状したわ。どうしてこんなことしたの?」
「別に……してみたくなったから」
「してみたくなったからって、あなたねえ……」
「そんなことより。」
あっさり白状したフラウは、全く悪びれない様子で私を見た。
「一杯どお?」
「…………。」
- 415 名前:Unschuld ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 17:57:06 ID:X4UtEk29
- ────────
フラウの部屋の中は比較的まともな状態だった。当たり前だ。
この前トゥルーデが掃除したばかりなのだから、散らかっていたら流石に問題がある。
促されるままベッドの隅に腰掛けると、フラウは持っていたタオルを床に投げてその上に洗面道具を置いた。
「使ったタオルはちゃんと洗濯しなきゃダメよ。」
「そんなことより、話したいことがあるんじゃないの?」
全く気にしない様子でテーブルに腰を下ろす。テーブルに座るなとあれほど言っているのに……。
いや、今はそれは置いておこう。
「単刀直入に言うわ。トゥルーデは私のものだから、勝手なことしないでくれる?」
「いいじゃん、けち」
即答された。
思わず切れそうになってギリギリのところで自制する。落ち着くのよ、私。
「あのね、いくら戦友のあなたでも、超えてはいけない一線ってのがあるでしょう。」
「でも、トゥルーデ別に嫌そうじゃなかったけど。」
「そういう問題じゃないでしょう!!」
無理だった。体が勝手に叫んだ。
「とにかく、次やったら許さないから。」
「許さないって、どうやって?」
「……わざとやってるの?」
「うん。」
「私を怒らせて、楽しい?」
「楽しいとかじゃなくて」
私に出しうる最大限の冷たい目線を完全に無視して、フラウは立ち上がって私の肩に手をかけた。
そして、何事か、と考えた時には既にそのままベッドに押し倒されていた。
「ミーナにももっと構って欲しいかな。」
「え?」
言うが早いか、何の躊躇いもなしに唇が重ねられた。
「んっ……!?」
- 416 名前:Unschuld ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 17:58:16 ID:X4UtEk29
- ────────
あまりの衝撃に、一瞬何が起きたのかわからなかった。
フラウが?
キス?
私に?
「ん……ちゅ、ちゅ……」
猛烈な勢いで迷走し始める思考とは裏腹に全く動かない両手を易々と抑えつけられ、
口の中を舌で欲しいままにされる。
強引に流し込まれた彼女の唾液を、私はゴクリと飲み込んだ。
「んくっ…ん……、ちょっと……んむっ、ぁ、やめ……フラウ……んんんっ!?」
「んむ……ちゅ。うふ、大丈夫だよ。楽にしてあげるからね。」
一瞬、両手が自由になった。かと思うと、制服の裾からフラウの手が入り込んでくる。
背筋がぞっとしたのは恐怖からだろうか。それとも……
「や、やめなさい。これ以上は────」
「そんなこと言って、期待してる癖に」
「どうしてこんなことをするの!?」
「ミーナのためだよ。」
「え?」
「それとトゥルーデのため。でもって私のため。」
この子は何を言っているの?
その疑問が頭を駆け巡って、一瞬抵抗を緩めてしまった。
途端に隙を突かれて体勢が更に悪化していく。
「そんなことより、もっとミーナの可愛い声聞かせてよ。」
「〜〜〜!!っあ!!」
わからなかった。
トゥルーデを裏切りたくなくて、必死で抵抗したいはずなのに、
私の身体はフラウの行為をあっさり受け入れていた。
強引な愛撫にも自分でも驚くほど正直に反応する。
押し返す為にある両手が、逆に肩を抱き寄せている。
繰り返すキスはただひたすらに────甘い。
「うふ、ミーナは素直だね。あの堅物はもっと抵抗したよ。」
「や…………ぁ……」
「素直なミーナにはご褒美をあげる。」
フラウが私の中に入り込んでくる。
抗い難い快感は沸騰した理性を遠くに投げ捨て、
私はただ無我夢中で求めるしかできなかった。
ああ、トゥルーデ、ごめんなさい。
私は最低な女だわ────
- 417 名前:Unschuld ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 17:59:37 ID:X4UtEk29
- ────────
「これで計4回、撃墜だね。」
フラウがそう囁く頃には、私はもう指一本動かせなくなっていた。
呼吸をするのが精一杯で、ろくに声も出せない。
くらくらする意識の中で、フラウの声だけがやけに耳に響いた。
「そろそろ話してもいいかな。ねえ、ミーナ。提案があるんだけど。」
「……?」
こっちはそれどころではないのに、平気で続ける。
熱に浮かれたままの緩い頭でその提案とやらを聞いた。
それはどこまでも自分勝手で、荒唐無稽で、非常識な提案だった。
そして確かにこの、無理矢理脱がして押し倒して、
あまつさえ指を突っ込んだままでしかできない話ではある。
「……そんな提案に、イエスと答えろっていうの?」
「言ってくれるまで続けるつもりだよ。」
ぐい、と動かされ、口からだらしない声が無意識に飛び出る。
「別に悪い話じゃあないはずだよ。」
「いいとか悪いとかじゃなくて……っあ!!」
「私たちは家族でしょ?」
この提案を受け入れれば、私もトゥルーデも今のままではいられなくなる。
しかし、そうでもしなければフラウは……。
「私は────」
- 418 名前:Unschuld ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 18:00:29 ID:X4UtEk29
- ────────
静かな朝だった。意識がはっきりしてくるにつれて、
フラウが、そして自分がしてしまったことの大きさがずっしりとのしかかってくる。
私はトゥルーデを裏切ってしまった。
あんな一方的に愛情を求めておきながら、
自分は一時の快楽に身を委ねてあんなことを……。
「ミーナ、いるか?」
突然ノックの音がして、トゥルーデの声が聞こえてきた。
正直今は顔を合わせたくないけど、無視するわけにもいかない。
「入って。」
ガチャ、とドアが開けられ、既に制服を着たトゥルーデが入ってくる。
「昨日遅くまで部屋に戻ってなかったようだが、大丈夫か?」
「ええ、ちょっと野暮用で……」
「また残務か?言ってくれればまた手伝ったのに。」
「ううん、いいの。」
ベッドの縁にゆっくり腰掛けたこの人は何だか温かくて、
その言葉の一つ一つが棘となって身体中に突き刺さるように感じた。
「わざわざそれを言いに?」
「あ、ああ、いやそれもあるが……」
「?」
「その、お前に一番におはようを言いたくてな。
どうも起こしてしまったようだ。すまない。」
唐突に涙が溢れ出てきそうになって、私は平静を装うのに全力を尽くさなくてはならなくなった。
どうしてこの人はこんなに優しいんだろう。
温かいスープのような、ほっとする気持ちが湧き上がってくる。
そしてそんな彼女と自分を比べてしまって……悲しくさえなる。
私なんかが、あなたの支えになれるのかしら?
「……ありがとう。」
「え?」
自然と口から言葉が零れ出た。
「朝一番に逢えるなんて嬉しいわ。
ねえ、これからは毎朝起こしてくれるかしら?」
「…………!!」
愛しい人の顔がぱあっと華やぐ。
それから勢いよくぎゅっと抱き締められ、燻っていた眠気が一瞬で消えてなくなった。
「ああ、いいとも。愛してるよ、ミーナ。」
フラウとのことは、今はトゥルーデには言わないことにした。
その時が来たらきちんと全部話せばいい。
思い切り抱き締め返すと、太陽のような温かさが私を包み込んだ。
「私も愛してるわ、トゥルーデ。それと……"おはよう"。」
「ああ、"おはよう"。」
continue;
- 419 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/17(金) 18:01:40 ID:X4UtEk29
- 以上です。初のミーナ視点、頑張って近づけたつもりですがいかがでしょうか……。
次回でこの話は最終回になります。もう少しだけお付き合いいただけたら幸いです。
最後に一言感想など。
>>340 「フフ」っていうのはなんだかシャーリーらしくて良いですね。ニヤニヤします。
>>348 完結乙!!やはりこの二人はいちゃいちゃさせておくに限る。シャーゲルも良いが本命はシャッキーニで決まりだな!!
>>356 小悪魔サーニャいい!!実にたまらん。お姉ちゃん陥落も無理はない。新ジャンルGJ!!
>>359 乙女エイラ最高!!でもって採用どうも。次の更新で直しときますね。
>>378 元ネタ知らないが博士吹いたwそして久々のドーナツネタww
>>382 "輪舞曲"を咄嗟に"ロンドと読んだ私はもうダメかもしれない。じっちゃんの短文は情緒があって好きです。
>>394 完結編キター!!乙!そして惜しみなくGJ!!
>>407 「うめえ」の一言に尽きる。>>412の言う通り、この描写力には思わず息をのんでしまいました。GJ!!
- 420 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 18:07:49 ID:amjsMJ57
- 輪舞曲はロンドであってるよ
よく円舞曲のワルツと間違えられる? けど
- 421 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 18:18:29 ID:+wdlW6Vp
- >>407
相変わらず、文章が上手いですね。
続きが気になります。
ところで、どうでもいいことかもしれませんが、
6kgもする短機関銃って何ですかね?
- 422 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 18:29:51 ID:+wdlW6Vp
- >>421ですが、
判りました
スオミM1931ですね
ドイツ系ばかり調べてたのと
ドラムマグ入れた重量で覚えてたので気付きませんでした。
スレ汚しすいません。
- 423 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 18:34:15 ID:wtwtArBA
- 管理人さん乙
保管庫の更新もしながら文書も書けるとは
続き待ってます
- 424 名前:滝川浜田 『モノクローム・キス』:2008/10/17(金) 21:12:42 ID:80eWsTs1
- SS投下します。エーゲルです。
悲恋じゃありませんよw
――貴女が何時私の前から消えてしまわないか。
私はトゥルーデでキスを交わす度にそんな事ばかり考えてしまう。
私は貴女を愛してる。
貴女も私を愛してる。
それは確認しなくたって、分かりきっている事。
それなのに、私は、貴女からの言葉が、愛がもっと、もっと欲しい。
――モノクローム・キス――
「ねえ、トゥルーデ。私の事、愛してる?」
「…何を言っている。好きじゃない人とはこんな事はしない」
私は隣で寝ているトゥルーデに思い切って聞いてみた。
トゥルーデから返ってきた答えは、至極当然なものだったけど。
そりゃそうだ。嫌いな人とはキスなんてしないし、ましてやその先になんか進まない。
「しかし、なんで今更そんな事を聞くんだ」
「いや、なんかちょっと心配だったんだ。トゥルーデって少し気が多いからさ」
「あのなあ…」
「でも安心したよ。トゥルーデが私の事、愛してくれてるって分かって」
思えば、私が最初にトゥルーデにキスをしたのは半ば強制的な乱暴なキス。
トゥルーデへの想いが強くなりすぎて、私は間違いを起こしてしまった。
…でも、トゥルーデはそれでも私を優しく受け入れてくれた。
- 425 名前:滝川浜田 『モノクローム・キス』:2008/10/17(金) 21:17:21 ID:80eWsTs1
- 「ねえ、トゥルーデ」
「今度はなんだ、エーリカ」
「…トゥルーデは私の前からいなくならないよね?」
「…分からないな。私達は命を賭けてネウロイと戦っている。
いつ私達の命が散るか分からない状況にいるんだ。お前の言う“いなくならない”という保証は無い」
「…うん」
「…だが、少なくとも私は、お前の前からいなくなるつもりは無い。
…それともお前は私の前からいなくなるつもりか?」
予想外のトゥルーデの優しい言葉に私は涙が込み上げて来た。
「…あれ、トゥルーデってそんなに優しかったっけ…?」
「私は十分優しいつもりだが?」
そう言うと、トゥルーデは私を抱き寄せて囁いた。
「…私達はずっと一緒だ…エーリカ…」
「うん、トゥルーデ」
―――――――――――――――――――
長い片想いはとても辛くて、苦しくて。
たとえ想いが通じ合っても、不安は消えなくて。
でも、それは貴女のキスで少しだけ、和らぐ様な気がするんだ。
貴女の優しいキスは、私の独りよがりなモノクロームの世界から、助け出してくれる。
そして私は今日も貴女と交わる。
貴女といる世界を強く、強く幸せに感じながら。
END
以上です。エーゲルってイチャイチャしているより、一見ドライに見えても、心の奥底では繋がっている、っていう感じなので、こんな作品になりました。
これがシャッキーニなら迷わずイチャイチャさせてたんでしょうけどw
…では、爺はお風呂に入ってきます…
- 426 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 21:43:14 ID:wtwtArBA
- うお
じっちゃんのエーゲル良い
>一見ドライに見えても、心の奥底では繋がっている、っていう感じ
確かに
エーリカ天然そうに見えて案外しっかりしてる所もあるし
この二人は好きだナ
- 427 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/17(金) 22:01:11 ID:ol3XgSGc
- >>425
GJ
エーゲルだいすきダ
- 428 名前:ハルトマンにまかせろ!:2008/10/17(金) 23:15:45 ID:9WAVr3E0
- あんまり百合っぽくならなかった。トゥルーニャと見せかけて、エーゲルのつもりなんダナ。
トゥルーデ視点です。タイトルは某動画からパクりました。
このSSでは、基地内では主にブリタニア語が使われていると想定してます。
私たちは夕食を済ませ、後片付けを担当する者以外は談話室に集まっていた。ネウロイの
襲撃予報は当てにできないが、ブリーフィングの予定も無く、ミーナもここにいるので
特に手伝うこともない。私は空いた時間の中で、沈みがちな気分を持て余していた。
向かいに座るサーニャの視線には気付いていたが、あえて放っておいた。しばらくして、
ようやく意を決したように話し掛けてくる。
「あの……バルクホルン大尉」
「何だ」
「これを読んでほしいの」
そう言ってサーニャが差し出した紙には、カールスラント語で何か書かれていた。
手紙かと思ったが、見ると図と注釈が上から順に印刷されている。
「フリーガーハマーの使用説明書だな。これを訳せばいいのか?」
「新しいロケット弾と一緒に送られてきたの。今のランチャーで使う場合の注意を
書いてもらったみたい」
今さら説明書で何を確認したいのかと思えば、そういうことか。紙の裏を見ると、
手書きで注意すべき点が細々と記されている。
「整備の人がお願いしますって」
「ふん。まあ、怠慢でもあるまい。戦場で使う者こそ、武器の手入れができなくては
話にならんからな」
ブリタニア人の整備士にとっては、各国の技術協力によって開発されたストライカーユニットは
いいとしても、正しくカールスラント製の新兵器などは扱いかねるのだろうか。ともかく、
今後も彼らの力を借りなければならない。これを訳せば少しは協力できるだろう。
- 429 名前:ハルトマンにまかせろ!:2008/10/17(金) 23:16:48 ID:9WAVr3E0
- ざっと目を通すと、表に刷られているのは基本的な扱い方だ。構えて撃つ、背面に注意、
弾は地面に落とさない。改めてサーニャに知らせるまでもなさそうだ。
裏を見ると、丁寧なスケッチがペンで書かれていて、それに注意書きが付いている。しかし、
何々をする、何々してはいけないという説明ではなく、様々な状況に応じた体験談のようだ。
表側の素っ気なさとは対照的で、実戦を経験したウィッチが書いたのだろう。
そして奇妙にも、私はこれを書いた人物をよく知っている気がした。署名などは見当たらないが、
この筆跡にも見覚えがある。
そいつは今、机の向こうのソファに寝そべっている。私は、双子とは不思議なものだと感じていた。
もちろん、ここにいるエーリカ・ハルトマンではなく、双子の妹のウルスラがこれを書いたのだろう。
ウルスラはフリーガーハマーの開発に参加していたはずだ。私は彼女と会ったことはなく、双子でも
性格は違うと聞いていた。だが今では、よく似ていると思う。
この注意書きのメモは、ウルスラからの手紙だ。これを読むウィッチが無事に生き残れるように
彼女は願ってくれている、彼女の姉と同じように。戦いの中でエーリカに守られている私の背中は熱い。
その熱さは心地よく、どんな勲章よりも仲間と共に飛び続けることが誇らしいと伝えている。
「今のところ不都合はないの。でも、せっかく書いてもらったから……」
「確かに、これを読まずに済ませるのは惜しいな。だが私よりも適任者がいるんだ。
おい、ハルトマン」
「んぅー」
声をかけると、エーリカは首だけを起こして応じた。こちらに来る気はないらしい。
「わかりました。お邪魔してごめんなさい」
「勘違いするな。私も同席するのだからな」
「えっ?」
「な〜に? なんなのトゥルーデ」
さて、このだらしない姉は手紙に気付くのだろうか。私らしくないやり方かもしれないが、
これくらいの悪戯をされても文句は言えまい。
- 430 名前:ハルトマンにまかせろ!(おまけ)!:2008/10/17(金) 23:18:51 ID:9WAVr3E0
- 以上です。以下はおまけ。
夕食の後片付けを終え、サーニャの様子を見ていたのだろう。ただならぬ表情のエイラが
叫びながら駆け込んできた。
「サーニャをイジメンナァーッ!!」
「わあっ、エイラ!? どうなってんの」
「バルクホルン大尉! 見損なったゾ」
「……ひょっとして」
「サーニャが一生懸命書いた、ラララ、ラブレターを……」
「やっぱり」
「他の人に見せるなんて、馬鹿にしてるのカッ!」
「うわ〜、トゥルーデひどい。このおんなごろし〜」
「カールスラント軍人の血は何色ダッ!」
サーニャが泣き出したが、断じて私のせいではない。エーリカも状況を察したのか
茶化すのはやめて、フォローしてくれるようだ。いつもながら頼もしい。
「エイラ、よく見てよ。これがラブレターに見える?」
「……カールスラント語なのカ?」
「うん」
「大尉に読んでほしくて、辞書を引きながら書いたんダナ……」
「違うよ。ほら、フリーガーハマーの絵が」
「サーニャ! 大尉を撃つなんて、早まらないでクレ!」
「ごめん、トゥルーデ。無理だった」
ああ、サーニャもエイラも、二人とも肌が白いな。日光浴などは要らぬ世話だろうか。
クリスの病室の日当たりは悪くないはずだが、あれで十分なのだろうか。
「エイラこそ、早まらないで……勘違いしないで」
「エッ?」
戦場のような喧騒に半ば放心した私は、愛する妹のことを思い浮かべていた。その時、
私は電流のようなひらめきを得た。私の姉としての本能が告げている、これはいける!
喜びと誇りが胸からあふれ、自然と口をついて言葉になった。
「よくわかった。お前たち、私の妹になれ」
この場を静寂が支配する。サーニャの涙が、朝もやのように優しく溶けていく。
それを見て、私は新しい姉妹の絆を確信していた。
「ぷっ……ひゃひゃひゃ、あはははっ!」
やがて再び、この場は喧騒と笑いに支配されたのだった。
- 431 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 00:12:12 ID:uz6a+J91
- お姉ちゃんパワーは偉大だな
- 432 名前:zet4j65z:2008/10/18(土) 00:13:31 ID:pI6oDUXD
- 個別に感想書く時間がなくて申し訳ない気持ちでいっぱい。
っていうか、ウルスラの手紙とか確定済みカプの片割れ同士のセッションとか、
俺の妄想どっから漏れた!?
そんなわけで書きかけだけど投下します。
前編と思ってください。
後半は出来れば24時間後くらいにうpできるようにします。
- 433 名前:zet4j65z:2008/10/18(土) 00:14:22 ID:pI6oDUXD
- ●ブリタニア1944 くらやみのそらのくものそこ
「ふぁ……」
大あくび。
朝は眠いよねぇ。
トゥルーデが何か言いた気な顔でこっち見てるけどきにしな〜い。
んふふふふ。
しぜんと頬が緩む。
いつもの朝食風景なんだけど、今日は決定的に違う所がある。
なんと、この後合法的に眠れるのでしたぁ。
なんか嬉しくってトゥルーデに起こされる前に起きちゃったくらいだからなぁ。
っとまぁ、単に夜間哨戒の当番なだけなんだけどね。
サーニャを狙い撃ちにしたネウロイをエイラとミヤフジを含んだケッテが見事撃破してから数日後。
また同じようなのが出てくるかもしれないって予測が出て、暫くは夜間哨戒のシフトをロッテで行う事になった。
基本的にサーニャを中心にシフトを組むって話になって、エイラがずっと自分のターンを主張したんだけどミーナが却下。
色々理由はつけて細かい事言ってたけど、みんなのお母さん役のミーナの事だから親睦深めろ、って言ってただろうと理解。
何で想像かと言えば、ブリーフィングでその話をしている時ってぼーっと別の事考えてたんだよね。
ま、大体あってたみたいで結果オーライ。
んで雑務のある佐官コンビとエイラとミヤフジ以外でくじ引きしてわたしが一番を引き当てた。
実際サーニャとは二人で飛ぶとかも無かったし、いい機会かもー。
と言うわけで、わたしはゆっくり朝食ととって、夜間専従班詰め所……平たく言うとサーニャの部屋に向かった。
夕べも夜間哨戒を行っていたサーニャはもう寝てるはず。
小さくノックして扉を開け、かすれるような小声で挨拶。
「おはよーございます」
カーテンの閉じられた昼なお暗い部屋へと侵入、勿論抜き足差し足忍び足……って、何でこんなまねしてんだぁ?わたし。
で、折角ここまで気を使ったって言うのにベッドの上には誰も居ない。
「ちぇ〜、またエイラのとこかぁ」
ま〜床かソファー以外で寝るのも久しぶりだしなぁ。
ぽふっ。とりあえずうつ伏せにベッドに倒れこんでみる。
何でうつ伏せかって言うとそりゃあ勿論、目的は匂い!
シーツに残るサーニャの芳香を堪能させてもらおうじゃないかぁ1
すぴすぴ。
…………。
ガッカリだ。
お日様の匂いしかしないじゃん。
3人で使う>洗濯する>その後毎回エイラ部屋に帰還・就寝……簡単にパターンが見えるな……。
ムキー。なんか寂しいぞ。
ウルスラやミーナやトゥルーデ以外とはこういう機会無いから楽しみにしてたのになぁ。
っていうか、サーニャって大人しいし年下だし、代用妹としてかいぐりしたかったな〜。
ごろんと仰向けに大の字。
「はぁ、寝るか……」
わたしは一人寝の昼に覚悟を決めて目を閉じた。
- 434 名前:zet4j65z:2008/10/18(土) 00:15:27 ID:pI6oDUXD
- …………。
「眠れないぞ」
普段なら一日中寝れそうなんだけどな。
エイラの部屋いくか? いやいやいや、お二人さんの邪魔しちゃ悪いよねぇ。
トゥルーデのところじゃさっさと寝ろって追い返されるだろうし、態度は違えどミーナも同じようなもんだろうし。
あ〜、ルッキーニの隠れが使ってみるか?いやいや、繊細なカールスラントホラウであるわたしにはあの何処でもシエスタは真似出来ないよな。
「ん〜」
ここはやはり、トゥルーデあたりでうまく妄想してフィーバーする事によってこのベッドにわたしの匂い付けをっ!
……ナニ考えてんだかなぁ。さすがにそれは無いだろ〜。
「はぁ」
妹に、手紙の返事でも書くかな。
自分の部屋から手紙の束を持ってくる。
双子の妹ウルスラはある意味トゥルーデよりも堅物なカールスラント軍人。
究極のマニュアル主義者だし規範にもうるさかったりする。
単なる近況報告がなんだか膨大な研究資料みたいになることもしばしば……いや、毎回かぁ。
ま〜、空戦に関する考察とか、最新技術に対する検証とか色々役立ちそうな事もあるんだけど難しすぎ〜。
でも適当な返事返すと次の手紙が貰えなくなるんで、それは寂しいからこっちも真面目に読んで返事を書く。
「え〜と、今回は……『レーダーの活用と発展及び電子戦についての考察』。うぇ……また難しそうなネタだな」
わたしは昼を大きく過ぎるまで手紙を書いて過ごしていつのまにか寝てしまったみたい。
気がつくとカーテンから差し込む日差しもすっかり無くなっていて、床に寝転んだわたしには一応毛布がかけられていた。
同時にいい匂いとなんかいい感触。
寝惚けながら本能に身を任せてその『いい感じ』のものにスリスリ。
「!」
それが動いて身を硬くした。アレ?と思って目を開けるとそこには驚いたサーニャの顔があった。
「お〜。おはよ〜さ〜にゃ」
ん、床?
「サーニャも床で寝た?」
コクン。
「だめだって〜。床なんかで寝たらきれいな銀髪が汚れちゃうよ」
「あの、部屋に戻ってきたら、ハルトマン中尉が気持ちよさそうに寝てたから、わたしも試してみたの」
いやそれはだめだサーニャ。わたしだって出来ればベッドで寝たいもの。
「ふわぁ……ベッドの方が寝心地よかったんじゃない?」
そしたらサーニャはちょっと困った顔で言った。
「うん、そう思う。なんだか背中とかお尻とか痛いし……」
そうだよね。
「じゃ、お風呂でも行ってリフレッシュして食事とってゴーかな」
「うん」
- 435 名前:zet4j65z:2008/10/18(土) 00:16:08 ID:pI6oDUXD
-
場所はお風呂。
わたしは何故か今、サーニャの髪を洗ってる。
エイラの仕事を取るようで悪いが、残念なことに幸いなことにお風呂には二人きり。
「ハルトマン中尉、髪洗うの上手です」
「あ、もしかして意外だった? 妹がいるしさ〜洗いっこくらいはしたよ」
「私のフリーガーハマー、ハルトマン中尉の……」
「ん、そうそう。自慢の妹の開発さっ」
「床に広げてあった書類束も、妹さんの……手紙?ですか?」
「うんうん」
図らずも代用妹として堪能しようと思っていた娘から本物妹の話題が出てきた。
嬉しくなったわたしはお風呂を出るまでの間ちょっと妹自慢をしてみた。
わたしもトゥルーデ程じゃないけどシスコン入ってるかもなぁ。
それはそうと、サーニャ。
出る間際にわたしのおっぱいを見てほっとした表情浮かべてただろ!
撃墜王の注意力を舐めるなよっ!
ま、ステータスだし需要もあるからいいんだけどネッ☆
- 436 名前:zet4j65z:2008/10/18(土) 00:21:46 ID:pI6oDUXD
- 以上です。
後半はエーリカ&サーニャロッテによる夜戦になります。
…。
……。
………。
…………。
サーニャの態度が最近ツメタイ。
サウナでエル姉に甘えていた写真を見られたのかもシレナイ……。
ドドドドウシヨ〜
- 437 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 00:40:52 ID:UQmWls67
- t26gFAxTです。
前回分にレスをいただき、誠にありがとうございます。
つうわけで学園ウィッチーズ第7話投下します。
- 438 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第7話 昼下がりの魔女たち:2008/10/18(土) 00:41:32 ID:UQmWls67
- まるで終わりが見えてこないほどの強い雨――
赤毛の幼い少女は、二つ並んだ墓石の前で、膝をつき、雨に打たれている。
そんな彼女に傘を差し出す、髪を黒いリボンで2つに結った少女。
赤毛の少女の顔は雨で濡れており、泣いているのかは判別がつかないが、表情から、その悲しみはすぐに見て取れた。
立ち上がり、しがみつく赤毛の少女を、もう一人の少女は空いた手で抱きしめて、つぶやいた。
ドアのノック音に、ゲルトルートは、自室のベッドで静かに目を開く。
夢の真っ最中に起こされたせいか、だるそうに体を起こし、ドアに視線を向ける。
静かに開いたドアから、ミーナが顔を覗かせた。
「……具合が悪いの?」
「なぜだ?」
「もう、お昼よ。土曜日だから、問題は無いけど…」
ゲルトルートははっとした顔つきで時計に目を向ける。13時を少し回ったところだ。
珍しく慌てるゲルトルートにミーナはくすりとひと笑いし、部屋に入ると、クローゼットから彼女の服を出し始める。
「おい……。子供じゃないんだぞ」
「あら、たまにはいいじゃない」
ミーナは服を出し終えると、ゲルトルートに手渡し、背を向けた。
ゲルトルートはわずかばかりに照れくさそうにしつつも、すぐに無表情に戻って、服を着始めた。
ミーナは、ベッドの脇にあるチェストの上の写真立てを眺める。
幼い頃のゲルトルートとミーナ。エーリカとミーナとゲルトルート。
ミーナは、倒れた写真立てに気づいて、手を伸ばしかける。
「よせ」
服を着終えたゲルトルートがミーナの手に触れ、そっと制止した。無表情の中に、澱んだ悲しみが透ける。
ゲルトルートは静かに手を外すと、先に部屋を後にした。
ミーナは、そっと写真立てを起こし、写真の中で笑顔を浮かべるゲルトルートと目が合う。
最後にこんな笑顔を見せてくれたのはいつだろう。
写真の中のゲルトルートの隣には、彼女によく似た幼いショートカットの少女が写っていた。
ミーナは、静かに写真立てをもとの状態に戻すと、ゲルトルートの後を追うように部屋を出る。
エイラはベッドに寝転がって、目の前にいるサーニャの寝顔を眺めている。
サーニャは子猫のように丸まって眠りこけていた。
サーニャは、お昼寝させてと言いつつも、生まれてはじめての遊園地に行ったその日の夜に、興奮を抑えきれずに親を少しばかり困らせる子供のように、目を輝かせ、エイラに質問を浴びせかけた。
好きな食べ物、言葉、季節、天気――基本的にどれも他愛も無い質問であったが、エイラは時々考え込んでは、真摯に答え、サーニャはそのたびに小さくうなづいた。
エイラも同じように質問し返すと、サーニャは、ごくごく小さな声で、エイラにだけ耳打ちするかのように、そっと答えを返す。
そのたびに、エイラの胸が高鳴った。
もっともっとサーニャを知りたいと、エイラは思い、サーニャも同じ考えであることを願う。
エイラは、満足げに体を起こし、空気を入れるため、ベッドのそばの窓を少しばかり開き、階下に視線を落とす。
足早に歩くゲルトルートを、ミーナが少し後ろにつく形で歩いていた。
エイラは、肘を突いて、眺めた。
「あの二人も仲いい、のかな?」
- 439 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第7話 昼下がりの魔女たち:2008/10/18(土) 00:42:03 ID:UQmWls67
- 学園内の格納庫。
シャーリーは、額の汗を拭い、オイルに塗れて汚れたウエスをストライカーのハンガーに引っ掛け、天井を仰ぐ。
その視線の先の、格納庫を横切る鉄骨の上には、ルッキーニが、つまらなそうな、それでいて不機嫌そうな様子で足をぶらぶらさせていた。彼女のかたわらには、籐のバスケットが置いてある。
「お〜い。いい加減機嫌直せってぇ」
「別に怒ってないもん」と言いながらも、ルッキーニはつんと顔を背ける。
「あっそ。じゃ、飯でも食ってくっかな〜」
シャーリーは少しわざとらしい口調で言ってのけると、出口へ向かい、ルッキーニの視界から消えていった。
寮の敷地を抜けたゲルトルートとその少し後ろについて歩くミーナは、学園へと続く並木通りを進んでいた。
ミーナは、しばらくゲルトルートの背を見つめた後、立ち止まり、口を開いた。
「……ガーランド中将に、手紙を出したそうね」
ゲルトルートは足を止め、少しばかり、非難の混じった視線でミーナに振り向いた。
「通信記録を見るなんて……、ここは軍では無いだろう」
「誤解しないで。この間電話をもらったときに、中将がそう言ってきたの。手紙の内容は……聞いていないわ」
今度は、ミーナが、意志の強い瞳で、ゲルトルートを見返す。
たちまち、ゲルトルートは逃げるように、背を向け、先に進み始めた。
「そうか、それならいいんだ…」
シャーリーがいなくなって数分、ルッキーニは落ち着かない様子で鉄骨の上を四つん這いで行ったり来たりした後、耐え切れないといった様子で、籐のバスケットを引っつかんで、ひらりと地上に降り、格納庫の出口へ駆けた。
誰一人いないグラウンドが、視界に広がり、ルッキーニは肩を落とす。
「そんなたくさん、一人で食う気か?」
ルッキーニが声をしたほうを向くと、シャーリーが格納庫のかげから出てきて、腕を組んで、壁によしかかった。
嫌味の無い、余裕のある面持ちでルッキーニを眺めている。
ルッキーニは、さきほどまでの自分の幼稚すぎた態度が途端に恥ずかしくなり、うつむいてしまう。
シャーリーが、組んでた腕を解いて、ルッキーニに近づき、膝を折ると、下から見上げた。
ルッキーニは、降参だと言わんばかりに、体の緊張を解いて、大きく息を吐くと、そっと手を差し出した。
「い、一緒に、食べよ……」
シャーリーが歯を見せ、にかっと笑う。
エーリカは、静かな校舎をぱたぱたと駆け、化学室へ向かった。
しかしながら、化学室には、さきほどまで実験をしていた様子はあるものの、誰一人いない。
カールスラント語で書かれたレポートの上にそっと指を滑らせ、小さく微笑むが、タバコのにおいに気がついて、顔を上げると、エーリカは化学室を出て行った。
ウルスラは、青空を眺めながら、ホットドックを小さな口で噛み締め、つぶやいた。
「まずい……」
「そうだな。オヘア――キャサリンのやつ、自信満々で作ってくれたんだが…」
と、ウルスラの隣のビューリングが表情を変えず、相槌を打つ。
しばらく、二人はもぐもぐと口だけを動かして、同僚が作ってくれた食事を消費することに専念する。
一足先に食べ終わったビューリングは、口元を紙ナプキンで拭う。
「……姉とは、仲良くやってるか」
「ケンカはしてない」
「話をしなければ、ケンカのしようもないだろう。双子のウィッチは話さなくてもケンカ出来るのか」と、ビューリングは珍しく冗談を言う。ウルスラは、黙って、ホットドックを噛み締める。
- 440 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第7話 昼下がりの魔女たち:2008/10/18(土) 00:43:06 ID:UQmWls67
- 格納庫でサンドイッチにかぶりついていたシャーリーとルッキーニの前に、ゲルトルートとミーナが現れる。
「お邪魔だったかしら」と、ミーナが微笑む。
彼女の隣のゲルトルートは気が進まないといった様子で隣のミーナに一瞬だけ視線を送った。
シャーリーはサンドイッチを飲み下し、立ち上がる。
「訓練かい?」
「ええ。今週は二人とも忙しくて飛べなかったから」
格納庫から伸びた滑走路に、ストライカーを装備したミーナとゲルトルートが並ぶ。
二人は、魔力を開放し、体から使い魔の耳と尻尾を伸ばす。
同時に、魔導エンジンが勢いよく始動し、二人の周りを魔力フィールドが覆った。
滑走し、二人の魔女はあっという間に昼の大空に向け、高く飛んでいく。
生徒の飛行姿を眺める、ウルスラとビューリングの背後でドアが開く音がし、二人は振り返る。
エーリカが、肩で息をして、二人の姿を確認した。
「見ーっけ…」
ミーナとゲルトルートは並んで飛行する。
ゲルトルートはミーナの横顔をしばらく見つめたのち、眉間にしわを寄せ、眉を吊り上げた。
「ミーナ」
「なあに?」
「もう、私にかまわないでくれ」
「……無理な相談ね」
きっぱりと言い切るミーナに、ゲルトルートは、小さく唇を噛んで、加速をしようとする。
その瞬間、一方のストライカーの魔導エンジンが完全に停止し、ゲルトルートは、バランスを崩し、地上へ向けて落ちていく。
異常を感じた屋上のビューリングとウルスラが立ち上がり、エーリカは、今昇ってきたばかりの屋上への階段を駆け下り始めた。
第7話 終わり
- 441 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 13:10:32 ID:fhEM5cu5
- >>436
エーリカの軽快な語り口が楽しい
後半も期待してる
>>440
拗ねルッキーニ可愛い
- 442 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 13:19:36 ID:Xr+J4uzf
- 夜勤看護婦2人が深夜に愛し合う映像
http://yourvideo.hot-jp.com/index.php?action=Detail&id=6533
- 443 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 17:31:09 ID:YqEHBRjr
- ふと思った
ストライクウィッチーズのサーチエンジンやリンク集的なものって存在する?
- 444 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 18:17:33 ID:rPJfr6Ec
- みんな最高
- 445 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 19:52:26 ID:uz6a+J91
- ここのSS投下率はすごいな
- 446 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:07:04 ID:y7iLAmg6
- >>443 まとめWikiならあるんだけどな…
というわけで(?)SS投下します。
基本シャッキーニですが、なんかよくわからなくなってます。
――ここはとある森の奥にある小さな家。
この家には、ミーナお母さんと美緒お父さん(なぜか単身赴任中)、そして、一人娘のルッキーニちゃんが楽しく暮らしていました。
そんなある日、ルッキーニちゃんはミーナお母さんから用事を言いつけられます。
「ルッキーニー」
「なにー、お母さーん」
「実はね、トゥルーデおばあちゃんのお見舞いに行って来て欲しいの。
私は時間も無いし、こんなの頼めるのは、ルッキーニちゃんしかいなくて」
「うん、いいよー」
「それなら、このフルーツバスケットを持っていって。
重いだろうけど、頑張ってね」
「はーい、じゃあいってきまーす」
ルッキーニが意気揚々と外に出ようとすると、ミーナお母さんが呼び止めます。
「あっ、ちょっと待ってルッキーニちゃん」
「うにゃ?」
「最近、森の中に可愛い女の子ばかりを狙うオオカミが出没するらしいの。
だからもし出会ったらいけないから、これを持って行って頂戴」
そう言うと、ミーナお母さんはルッキーニちゃんに赤い頭巾と護身用としてブレダ-SAFAT 12.7mm機関銃という立派な銃を手渡しました。
さあ、今度こそ、出発です。
「行ってきまーす!」
「気をつけてねー!」
- 447 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:10:58 ID:y7iLAmg6
- 《森の中
「あなたの○○○は△△で□□□□なんだね〜♪」
ルッキーニちゃんは地上波ではとても放送出来ないような、過激な歌を歌いながら、森の中を進みます。
すると、ルッキーニちゃんは森の中で立ち往生する二人の女の子に出会います。
「どうしたのー?」
「ん?ああ、早く帰らなきゃいけないのに、サーニャが道端で眠ってしまって、困ってるんダ。
…なあ、少し手を貸してくれないカ?」
「スー…スー…」
「でも、私おばあちゃんのお見舞いに行かなきゃいけないし…」
「ちょっとダ!ちょっとだけでいいんダ!」
その少女、エイラのあまりに必死な形相に押されたルッキーニちゃんは仕方なくサーニャを家に連れて帰る事にしました。
《サーニャとエイラの家
「ついたゾ、サーニャ」
「…起きないねえ…」
「サーニャは一度眠りにつくとなかなか目を覚まさないんダ」
と、サーニャはいきなりムクッと起き上がりました。
「おお、起きたカ、サーニャ!」
「……エイラ」
するとサーニャは何を思ったのか、ルッキーニちゃんがいるというのに、エイラを押し倒しました。
「なっ…サーニャ…!//////」
「…エイラ…好き…」
「サーニャ…!やっ…やめ…ああっ…ああっ…!//////」
二人の痴態を目の当たりにしたルッキーニちゃんはすぐさま家を出ました。
胸の鼓動は止まりません。
「な…なんだったんだろ…さっきの…//////」
ルッキーニちゃんはさっき見た事を綺麗さっぱり忘れて、トゥルーデおばあちゃんの家に行く事にしました。
- 448 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:15:28 ID:y7iLAmg6
- 「あなたは※※※だから@@@@なんだよ〜♪」
ルッキーニちゃんは再び放送禁止歌を歌いながら森を進みます。
すると、ルッキーニちゃんの前にやけに露出が多い服を来たお姉さんが現れました。
「ねえねえ、お嬢ちゃん、今からどこいくの?」
「今からね、おばあちゃんの家にお見舞いに行くの」
「へぇ〜、偉いねえ」
お姉さんはルッキーニちゃんの頭をナデナデします。
「へへ〜♪」
「ねえ、おばあちゃん家に行く前にお姉さんと遊ばない?」
すると、お姉さんの頭からウサミミがピョコンと飛び出しました。
(ヤバいっ!喰われる!)
「えっ、遠慮しまーす!」
ドガガガガガガッ
「ちょっ、危ない!危ないって!」
直感的に喰われると感じたルッキーニちゃんはお姉さんにブレダ-SAFAT 12.7mm機関銃をぶっ放しながら、急いで逃げました。
その後いろいろあって(割愛)ルッキーニちゃんはようやく、トゥルーデおばあちゃんの家に辿り着きました。
- 449 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:18:44 ID:y7iLAmg6
- 「おばあちゃーん、お見舞いに来たよー」
「ありがとう、ルッキーニ」
「…おばあちゃん、こんな暑いのにどうして布団を被ってるの?」
「これは、体温調節の為だ。
体温は人間にとって大切なものだ。だから(以下略)」
「ふーん、じゃあおばあちゃんの耳はどうしてそんなに長いの?」
「これは、ルッキーニの甘く可愛い声をよく聞く為だ」
「ふーん。っていうかおばあちゃん、声なんか違くない?」
「…それはね…」
すると、布団から出てきたのはおばあちゃんでは無く…
「おばあちゃんじゃないからだよ!」
なんとさっきルッキーニちゃんを誘ったオオカミもといウサギ・シャーリーだったのです!
「キャアアアアー!」
するとウサギ・シャーリーはルッキーニちゃんを布団の上に押し倒して、無理矢理キスをしてしまいます。
「う…にゃあ…//////」
「フフフ…♪」
ウサギ・シャーリーのあまりのテクニシャン振りにルッキーニちゃんはメロメロです。
調子に乗ったウサギ・シャーリーはルッキーニちゃんのズボンに手をかけました。
「ヒヒヒ…いっただきま…」
その瞬間、ウサギ・シャーリーの頭にビー玉が直撃しました。
- 450 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:21:36 ID:y7iLAmg6
- 「誰だ!」
「私の孫になんの用だ!」
「トゥルーデおばあちゃん!」
そこには三人の女の子を連れた、風邪を引いているはずのトゥルーデおばあちゃんがいたのです。
「おばあちゃん、風邪引いてるんじゃ…」
「ん?ああ、もうこの通りピンピンだ。
それよりルッキーニ、見てみろ、私の新しい妹のよしか、りーね、えーりかだ」
「「「おねえちゃーん」」」
「はいはい♪」
「……」
この三人をどこから連れて来たのかはあえて聞かないでおこうと思ったルッキーニちゃんは再び、ウサギ・シャーリーに抱き寄せられてしまいます。
「ルッキーニはもうあたしのものだ!
単なる妹バカのお前には何も出来まい!」
「くっ、くそ…!もうビー玉は無い…!」
そしてルッキーニちゃんは再びウサギ・シャーリーに押し倒されてしまいます。
ルッキーニちゃんの貞操危うし!
と、その時、更に後ろから声がします。
「ルッキーニ!」
「ルッキーニちゃん!」
「お父さん!お母さん!」
そう、そこにいたのは刀を持った単身赴任から丁度タイミングよく帰ってきた美緒お父さんとミーナお母さんでした。
美緒お父さんの目には怒りが宿っています。
- 451 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:25:56 ID:y7iLAmg6
- 「私の娘を傷物にして…!お前なんか、こうだ!」
そう言うと美緒お父さんは持っていた刀でウサギ・シャーリーを斬りつけました。
あまりの超展開にその場にいた誰もがドン引きしましたが、それに関しては誰も発言しませんでした。
「きっ…貴様っ…」
「ウッ、ウサギさんっ…!」
さすがに問答無用で斬りつけられたウサギ・シャーリーが哀れになったのか、ルッキーニちゃんはウサギ・シャーリーの元に駆け付けました。
「大丈夫!?ウサギさん!」
「心配してくれるの…?ハハハ、嬉しいなあ…」
ルッキーニちゃんは涙を流します。
「…あたし、ウサギさんにキスされて気付いたんだ…」
そう言うと、ルッキーニちゃんはウサギ・シャーリーにキスをしました。
「ルッキーニ…」
「あたし、ウサギさんの事が好きになったみたい…」
「ルッキーニ…それは…」
「あたし…ウサギさんの事…」
「嬉しいよ…あたしの事好きだって言ってくれるヤツなんて今までいなかったから…」
「ウサギさん…怪我が治ったら…結婚しよう…?」
「…ルッキーニ…でも人間とウサギが結婚だなんてどう考えても前代未聞だろ…
それにいつまた他の女の子を襲うか分からないぞ…」
「ウサギさんが遊びでも、あたしは本気だから…」
「ルッキーニ…」
「ウサギさん…」
そして二人はさっきとは違う、暖かいキスを交わしました。
熱く熱く、お互いの想いを確かめ合うように…。
- 452 名前:滝川浜田 『オオカミさんに気をつけて〜新・赤ずきん〜』:2008/10/18(土) 20:30:36 ID:y7iLAmg6
- 《数年後
「ウサギさん…あたし達、とうとう結婚だね…」
「ああ、あたし嬉しいよ。世界で一番大好きなルッキーニと結婚出来るなんて」
「えへへ…♪」
「ほら、ルッキーニ、もう始まるぞ」
ギィィィ…
さあ、未来への扉が開きました。
二人の未来に幸多からん事を…
FIN
脚本:シャーロット・E・イェーガー
―――――――――――――――――――
シャーリー「っていうような劇、今度やらない?」
全員「却下!!!!!!!!!!」
ルッキーニ(…でも、ちょっといいかも…//////)
ペリーヌ(というよりなんでわたくしの出番がありませんの…!?)
END
以上です。異様に長ったらしくてごめんなさい。
たまに中身の無いSS投下したくなるんですよね…
…では、爺はここらで…
- 453 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 20:39:33 ID:YqEHBRjr
- >>452
なんだか突っ込み所満載!と爆笑しながら読んでたら…なるほどこういうオチかw
おもしろかった、GJ!
やっぱサーチとかはないのか。こことPixivで十分ってことか…?
- 454 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 23:17:09 ID:Axm770ej
- GJGJ
最近忙しくてなかなか読めないぜ
でもここだけが今のオアシス
アニメで百合分が最近なかなか補給できないからな
- 455 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/18(土) 23:32:24 ID:wsXNvsgl
- 小説見てて思った
ゲルト&サーニャ、エーリカ&エイラってのもありかもな、ロッテ組んでたし
- 456 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 00:09:19 ID:VZ7rInKi
- >>433から435の続きを投下です
一部の楽しみにしてくれてた人、約束守れなくてごめんなさい。
仕事忙しかった上に書いてるうちに膨らんだんで、中編って事で勘弁してください。
- 457 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 00:10:23 ID:VZ7rInKi
- ●ブリタニア1944 くらやみのそらのくものそこ 中
夜間哨戒強化期間になってから恒例になった食事時の目に良いもの持ち寄り大会。
メインディッシュはロマーニャ風のレバー料理。
ロマーニャ風といってもルッキーニが作ったりとかじゃなくて、あいつは「たべた〜い」と言っただけ。
リーネがこっちで手に入るレバーを用意して色々レシピを調べながら完成した成果が目の前の料理。
ハーブ系を多めに使ってるんでレバー特有の癖も無くてとっても美味しかった。
ルッキーニは「なんか違うけどおいしーからイイヤ。リーネ大好き〜」っておっぱいに飛び込んでた。
シャーリーはそんなやり取りを横目で気にしつつ、料理ネタじゃリーネに適わないと踏んで表向き平静を装ってる。無意識に出したウサ耳がぴこぴこしてるのが笑える。
リーネに比べてうちの嫁と来たらジャガイモ蒸かすことしか出来ないからな〜……ま、それはそれで美味しいし大好きだしわたしもあんまり変わんないけど。
デザートには皆がリクエストしたんでまたまたリーネがもう一度取り寄せてくれたブルーベリー。
リーネは良いお嫁さんになるよな〜。ミヤフジは幸せ者だよな〜。
不人気の肝油はサカモト少佐とつき合わされてる扶桑後輩ミヤフジ、健気に自分から付き合うペリーヌと何故か美味しいというミーナが消費してる。
「味なんて関係ないから、身体にいいものを呑んだ方が良いんじゃないのか〜?」
トゥルーデのわき腹を肘でつつきながら言ってやると、
「ああ、だからこうしてハーブティーを飲んでいる」
って、冷静に切り返された。流石のトゥルーデでもやっぱり肝油はダメか。
ちなみにマリーゴールドは……、ティータイムにペリーヌが一人で消費してるみたい。あいつも意地になるからなぁ。
そんな穏やかな食事も終わってフライトの時間。
わたしはカールスラントのBf109G、サーニャはオラーシャのMiG60を穿いて滑走路に並ぶ。
なんだかエイラが心配そうにハンガーまで来てたんでちょっとからかってみる。
「おーい、さーにゃー、ふるえがとまらないんでてをつないでくれー」
と、手をぶるぶる振りながらサーニャの前に出してみる。
「え?」とリアクションに困って硬直するサーニャ。
うん、かわいいな。と思いつつエイラの様子を確認。
「ゴラー! なにやってんだよハルトマン中尉! あんたが夜空にびびるはずナイダロー」
「えー、夜空の暗さに怯えるフロイラインってそそらない?」
「そそらないっ!」
と、エイラはわたしの背中を押すと強引に滑走路を走り始めた。手を繋いでの離陸は許してくれないみたい。
「おおっ、がんばるね、エイラ」
「上でっ、サーニャにっ、変な事っ、スンナヨナっ!」
「参考までに聞きたいな〜? 空の上で出来る『変な事』」
「バカー!」
エイラは赤くなりながら叫ぶ。あれは日々色々と考えてるな〜。でもまだ実行には移していないと見えた!
「あはっ」
そんなちょっとヘタレなエイラを振り返って笑いかけつつ、そこからは自力で加速して、夜空へと舞った。
続いて、バランスを崩してたたらをふむエイラを心配そうに振り返りながらエイラも離陸してきた。
「あの、ハルトマン中尉……。エイラをあんまりいじめないで」
ん〜、いじめてるように見えちゃった?
「大丈夫だって。軽いスキンシップだよ。エイラもきっと気にしてない」
まぁ実際にサーニャに何かあったら本気で気にするだろうな。っていうか殺されるな。
「なら、いいんだけど……」
「エイラはさ、毎晩でもサーニャと飛びたいんだよ。でもわたしが出番取っちゃったから悔しがってるだけだって」
そういうとサーニャはほんのりと頬を染めて少しだけ嬉しそうな表情で俯いた。
このカップルってホント反応が予想通りになるよね〜。
エイラなんて普段つかみどころが無いのにサーニャ絡みになるとわかりやすすぎ。
- 458 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 00:11:09 ID:VZ7rInKi
- 天候不順の続くドーバーの空は、暗い。
地上では雨が降ったり止んだりを繰り返してる。
雲底高度は200mよりも低くて、積雲が全体的に広がってる。
わたしたちはサーニャの魔法を当てに、掴み所の無い闇の中へ踏み出した。
雲の中を飛ぶとあっという間に全身がズボンまでびっしょりになる。
無意識に全身にまとう魔力フィールドは暑さ寒さとか衝撃からは身を護ってくれるけど、服がぬれることに関しては無防備。
明日もローテだから、かえったらシャワー浴びて今日こそサーニャベッドだな〜。
視界が10mもない密雲の中では、翼端灯とサーニャの残した後流だけが道しるべ。
後流は、風の属性の持つわたしにいろんなことを伝えてくれる。
オラーシャ製の荒削りなストライカーユニットを穿いて、抵抗の大きいフリーガーハマーを抱えてても綺麗な軌跡を描くサーニャの後流を一言で言えば『優しい』かな。
うん、サーニャの残す軌跡は優しい感じがする。
あとは『歌』だ。
お世辞にも洗練とは程遠いオラーシャ製エンジンをここまでいいテンポで噴かすことができるのは、流石歌姫って感じだね。
まぁ、年下組の中ではエイラに次いで上手ってところかな。
お互い無言の盲目飛行が続く。
さっきは冗談めかしたけど、これだけの深い暗闇の中を一人で飛べって言われたら、さすがの私だって怖い。
でも、そんな重苦しい飛行は唐突に終わった。
突き抜けた雲上は4分の1ほどが欠けた月と星の光に照らされていた。
雲海には所々に積乱雲の塔が突き出して、幻想をこれでもかと演出。
止めとばかりに隣には月下に咲く白百合の歌姫。
あ〜やば……見とれてる。
トゥルーデ、ゴメンよ〜。今、あなたの心の花婿はエイラのガチ嫁に心奪われてます。
「……エイラが釘を刺す理由も、わかるよな〜」
「え?」
サーニャが何の事?とこちらを見る。
今見つめられたら理性を動員しないとまずい事になりそうなので視線を正面に戻してから口を開いた。
「スーパープリティ魔法少女エーリカちゃんの称号は今この瞬間返上。今日からはサーニャがスーパープリティ魔法少女を名乗ると言い」
勿論照れ隠し。
ああ、でもこの心の称号を手放すのは勿体無かったか!?
まぁ、わたしもウィッチーズじゃ年長組だし、今度からは『スーパーセクシー魔法少女エーリカちゃん』を名乗ろうと心の中で呟きつつ増速。
無駄に照れて赤くなってる頬の熱が、引いたのを確認してから他愛ない雑談を始めた。
知らなかったサーニャの事をいっぱい知りたいと思ったから、まず私の事を話した。
妹、ウルスラの事を中心に語る内、思ったよりも早く笑顔を引き出せた。
これはエイラやミヤフジのお陰だなって思った。
自然な流れでサーニャが自分の事を話し始めた時。
「!?」
突然サーニャが息を呑んだ。
- 459 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 00:17:27 ID:VZ7rInKi
- 以上となります。
続きはまた明日の夜にでも。
っていうか、今確認してみたら書いてある部分だけで今回投下した分より長いしw
ちなみにシャーリーのうさ耳ぴこぴこは、
>>452
読んだあと書き足しましたw
すごく面白かったっす〜GJ
アリス=リーネ
ウサギ=シャーリー
ハートの女王=ミーナ
トランプ兵=エイラ
とかで不思議の国のアリスネタもいけそう。
- 460 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 00:57:03 ID:gXe1lAqP
- >>459
チェシャ猫=ルッキーニ
帽子屋=エーリカ
三月兎=ゲルト
眠り鼠=サーニャ
とかで是非。
- 461 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 02:07:51 ID:ALNBTLTT
- >>459
GJ!19XXシリーズ大好きだ〜!
続きマッテマス
しかしなんという投下量……皆さん最高ッス!
最近いらん子ネタが増えて地味に嬉しいんだぜ
- 462 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 03:56:50 ID:bCyMs1Jr
- なにかと評判の悪い8話だが、手紙のガキと赤城の艦長を女体化したうえで脳内再生したらかなり破壊力のある話になったぜ?
芳佳にアプローチしかける杉田を牽制するミーナとかかわいすぎだろ…
ついでに樽宮と土方も女体化したらさらに妄想がkskした
- 463 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 04:00:00 ID:nAVC3DHR
- DVDの修正で女体化フィルター付特典とかつかないかな
股間督がんばれ
- 464 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 04:11:38 ID:GwPyVhI2
- つーか、監督ブログでの必死すぎる弁解具合を見てもう怒る気無くなったw
- 465 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 06:36:29 ID:61ZjnH2e
- まとめサイトの更新履歴見て吹いた
追加量がおかしすぎるww
- 466 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 06:43:29 ID:gz2OuI1n
- 2日で25本w
- 467 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 06:47:05 ID:eeBtUog3
- 管理人さんホントに乙であります
- 468 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 07:15:27 ID:iLREPkrc
- >>459
気になるところで引くなあ!
ホカンコノヒトヲモットホメロー!w
- 469 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 09:08:00 ID:QSRljZJ3
- >>459
続き待っておりますよ!
それにしても保管庫のSSの数本当に半端ないなあ…。
このままどこまで行くのか、楽しみでしょうがないぜw
- 470 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 09:42:20 ID:xrKd0Gz4
- ただ常連で最近書いてない人が結構いるんだよな
温泉の続きはどうしたのかと(ry
- 471 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 11:16:02 ID:QSRljZJ3
- >>470
そういやそうだな
それだったら(ほぼ)毎日投下してる俺は…
- 472 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 11:40:52 ID:jwG04O5H
- 最近SSでの少佐の絡みが無くて寂しいんだぜ
- 473 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/19(日) 11:44:14 ID:BgIJAyAn
- どういうわけか本スレでも管理人乙の流れになっててなんか涙出てきた。
ナイトリー更新できなくて実に申し訳ない。
私事情でここんとこ間が空き気味だけど1週間以上は絶対空けないようにするのでホント許してくださひ。
>>425 このお姉ちゃん格好良過ぎる。この距離感がエーゲルですよね。
>>430 そういえばエーリカとサーニャにはそんな繋がりがあったんだった!着眼点が素晴らしい。GJ!!
>>436,>>459 と思ったら次もこの二人だったという……。案外いい友人同士になれそうでいい雰囲気ですね。わっふるわっふる
>>440 ここにきてこの引きですか!!憎い演出だ。わっふるわっふる
>>452 >>425とのギャップがもうwそして美緒ミーナ夫婦GJ!!
>>471
だからじっちゃんは働きすぎだと以下略
でも確かに結構人入れ替わりましたよね。嬉しいやら悲しいやら……。
ただたまにふらっと戻ってきてくれたりする人がいたりするからまだまだ希望は捨てられぬ。
- 474 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 13:49:38 ID:SqQbDXUr
- 管理人さんも乙
書いてくれる人も乙
全員に感想書きたいが忙しいw
でもそれぐらいハイペースなのは良いことだ
- 475 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 13:56:18 ID:lDizWHXV
- サーニャとちゅっちゅしたいと思ってたけど、このスレ見てサーニャはエイラとちゅっちゅしていてほしいと思えるようになった
- 476 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 14:19:51 ID:6PO8y0zK
- >>475
いらっしゃいませ
- 477 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 14:24:01 ID:Wkw3z5QM
- こうして今日もまた百合好きが増えていくのであった・・・
- 478 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 14:25:43 ID:79HyVgR3
- 嗚呼、何故見てしまったのだろうか
- 479 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 14:27:41 ID:5CGH9NOc
- >>473
無理せずマイペースで行ってくれ。
暇潰しと趣味で書いてる駄作までも保管して貰ってる身としてはホントに頭が上がらないぜ・・・。
百合姫と三国先生と森島先生と乙先生で補給もしたし、またチマチマ書いていくか。
時代はエロ百合ですよエロ百合。
- 480 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 14:42:08 ID:8flGCc5x
- >>475
イイハナシダナー
- 481 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 15:00:37 ID:ZXAEjpkI
- たまにはエロ百合が読みたいなぁ〜
- 482 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 15:14:21 ID:SqQbDXUr
- >>481
ストパンでは無いが
その花びらにくちづけを
処女宮
辺りに手を出してみては?
- 483 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 15:36:45 ID:suB+7SlL
- ゆりんゆりんダナ
- 484 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 15:49:55 ID:W0rNYr7j
- チンポぶちこみてぇ
- 485 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 16:19:10 ID:6RgEJZlN
- 21X2w2Ibです。ペリエイラの続きとエイラーニャ投下します。
- 486 名前:「mix-turegret」-2 21X2w2Ib 1/3:2008/10/19(日) 16:20:42 ID:6RgEJZlN
-
夜間哨戒に出掛けるまでサーニャから逃げて逃げて逃げ回って、最終的にはミーナ隊長にどやされるように
して自室に帰りついたのは深夜過ぎ。サーニャは無事に出掛けたろうか、泣いていたりしないだろうか。そんな
ことを思いながら毛布にくるまって部屋の隅に座りこむ。
結局あのあとにペリーヌに鉢合わせすることは無かった。…とりあえず、今日と言う日はやり過ごせたことに
ほっとする。とはいっても例の件がそもそも日も落ちた頃の出来事だったのだから、数時間でしかないのだけれど。
頭では必死にサーニャのことを考えて、サーニャの心配をしているのに頭に浮かぶ光景はやっぱり泣き笑いの
ペリーヌの顔ばかりだった。そしてその直後の出来事ばかりだった。心がみしみしと軋む。両手で顔を覆って
「あ゛ー」と叫んでも何も変わらない。当たり前だ。
すべては私の油断のせいだ。あんな不意打ちを食らうなんて。普段の自分だったら容易く交わせた…あれを、
敵の攻撃と仮定した場合、だけれど。
気持ちの疲れがどんどんと外側に染み出して行って、考えることを抑制していく。いいからお前はもう休め、
と言われている気がする。
そうだな、わかったよ。自答のように答えて、私は毛布をくるみなおすと目を閉じた。
…が、もちろん、そんな寝心地の悪い場所で眠って安眠できるはずもなく。
目が覚めたのは空も白み始めた頃。最初はどうして自分がこんなところにいるのか覚えておらずうろたえて、
そして直後にすべてを思い出して2倍うろたえた。ふつふつと後悔が湧いてきて、けれども誰に、どう償ったら
いいのか分からない。
そろそろ、サーニャが帰ってきてもおかしくない頃合いだ、と思った。…もしかしたら今日も、サーニャは私の
部屋にやってくるのかもしれない。ただ単に部屋が隣で間違えやすいのか、一人で眠ることの寂しさか、
サーニャは夜間哨戒から帰ると寝ぼけて無意識に私の部屋にやってくることがあるのだ。実際のところが
どうなのかはなんて知らない。ただ私はそれを許容するだけだ。大切な人が無意識にだって私を求めてくれる
のならそれを拒絶する理由なんて私には無い。私の持ちうる最大限の優しさを以ってそれに答えてやるだけだ。
じゃあ、ペリーヌは?
ペリーヌは、私にとって一体なんだったのだろうか。
…大切な『仲間』なんだと、思ってたんだ。彼女がいわゆる『ツンデレ』であることを私はたびたびからかった
けれど、それだってそんな彼女を私なりに気に入っていたからだ。照れ屋で恥ずかしがりで意地っ張り。でも
寂しがり屋。素直じゃないけど嘘なんて絶対つけない、いいやつ。同い年である気軽さもあったのだろうか、
ペリーヌと会話をするのは存外に楽しかった。
そんな、ペリーヌと、あんなことになるなんて。
はあああ、とため息をつく。気恥ずかしいのか悔しいのか悲しいのか申し訳ないのか、良く分からない気持ちが
しっちゃかめっちゃかになってひたすらもどかしかった。
確かに大切だ。大切な、仲間だ。けれどサーニャとは違う。そもそもの毛色が違う。サーニャといるとなんだか
どきどきするときがあるけれど、ペリーヌと一緒にいるときにそんなことは考えない。だから、ちがうんだ。
ちがうったら、ちがうんだ。
目を瞑って懸命に思考を追い出そうとしても何も変わらない。これから自分はどうしたらいいのか、どんな顔を
してこれからをやり過ごせばいいのか、わからなくて途方に暮れるばかり。
どうせ起きるにはまだ早い。起きてるのなんていつ寝ているのかわからない坂本少佐くらいだろう──
そう体の力を抜いた瞬間、その音は、した。
それはギィ、と扉が開く音だった。そしてとてとてと音を立てて、何かが入り込んでくる音だった。
(ああ、やっぱり)
扉に鍵をかけておけばよかったといまさらながら後悔する。けれどもすぐに思いなおす。
だってもしも鍵なんてかけてたら、この部屋に入るつもりだった人間はひどく驚くのではないか?
もしくは力尽きて、部屋の前で倒れこんでしまうのではないか?
…そんなひどいこと、わかっていて出来るわけが無い。
足音は確実にこの部屋にある。いつもとは違う意味で暴れだす心臓を懸命に押さえつけて、こぼれそうな涙を
こらえる。傍から見ればなんてこと無いはずなのにこんなにも怯えている自分はきっと滑稽なんだろう。
でも、やっぱり私は臆病なんだ。
- 487 名前:「mix-turegret」-2 21X2w2Ib 2/3:2008/10/19(日) 16:21:30 ID:6RgEJZlN
-
するすると、衣擦れの音。入り込んできた『彼女』が、衣服を脱ぎ散らかしているのだろう。そして多分これから
まっすぐ私のベッドに向かって、そして力尽きて眠ってしまうのだ。…今日は邪魔者がいないから彼女もきっと
良く眠れるだろうな、なんて思いながら目を瞑って、彼女がベッドに倒れこむ音を耳を澄ませて待った。
…待った。
……待った。
(あれ?)
はてな、と疑問符が頭に浮かんだのは、待てど暮らせどその音が耳に届くことがなかったからだ。
どうしたんだろう、と薄目を開くと床の上に裸足が一対。こちらを向いて、あった。…と言うことは、その足の
持ち主もまた、こちらを向いていると言うことだ。ベッドとは全く違う方向の、部屋の隅を向いているということだ。
なんで?どうして?その答えが出る前に、その裸足は歩きだした。緩やかに、でも確実に、私の方に向かって。
わけもわからずかたく目を瞑り直す。とにかく眠った振りを決め込もう。そう考えたのだ。
未来を見れれば良かった。
痛感したのは、昨日から数えて2回目。一回目は昨日、ペリーヌにキスをされたときだ。
もともと勘は良くて、ネウロイの攻撃だって未来を見なくてもほとんど避けることが出来るのだった。能力に
おぼれるものは能力に滅ぼされる。そう叩きこまれているだけに、私も、他のウィッチも、日常生活で自分の
能力を使うことなんてない。
でも、今回ばかりは。
ふっ、と漏れた吐息のような呟きとともにこちらに倒れこんできたそれを、なるたけ自然な動作で抱きとめながら
ひしひしと思う。未来を見ることが出来たなら、もっと、上手く立ちまわれたのかもしれないと。
すがりつくように私に倒れ掛かっているその人を私は良く知っていた。この私が彼女を見間違えるはずが無い。
たとえ目を瞑っていたとしても、それは明白だ。
(サーニャ)
エイラ、って、聞こえた気がしたんだ。倒れこむ瞬間に、サーニャがそう言ったような気がした。それが寝ぼけて
いたからなのか、彼女自身が意思を持って言った言葉だったのか、それはわからない。
恐る恐る目を開くと、私の腕の中で、サーニャがすうすうと眠りについているのが見える。
ふぅ、と胸を撫で下ろして、目を細めてすぐ間近にあるサーニャの顔を見やった。少し、青白いのは夜間哨戒で
疲れ果てているせいだろうか?
「オカエリ、」
起こさないように声を潜めてそう言ってやる。眠っているサーニャに聞こえているはずが無いけれど、私は
そうして自分の仕事を全うした気持ちになりたかった。昨日の晩は結局、サーニャを見送りだしてやることが
出来なかったから。
ああ、なんだ、結構大丈夫じゃないか、私。先ほどまでの混乱はどこへやら、思いのほか落ち着いている自分に
気がついて思わず笑いが漏れる。そうだ、昨日の夜のことなんて忘れてしまえばいい。ペリーヌだって、今日、
また、会ったら元気になってキャンキャン吠えているんだろう…
そこで、ペリーヌのことを思い出してしまった時点でもう間違いだったのかも知れなかった。その瞬間、昨晩の
出来事が鮮明にフラッシュバックされたからだ。抱き締めたときの感触も温もりもすべて頭から体中に巡って
いって、そして今の状況とがっちりとリンクした。
倒れこんできたサーニャを抱き止めるために広げた手が、強張った。目が、あごのすぐ下にある頭をうつす。
からだじゅうが、温もりを感じ取る。
サーニャが小柄だというのは、そんなの言うまでも無いことで。…恐ろしいことに、実は、あの、高飛車なツンツン
メガネも、ひどく小柄だった。
私は失念していたんだ。二人の体つきが酷似していることを。
- 488 名前:「mix-turegret」-2 21X2w2Ib 3/3:2008/10/19(日) 16:22:41 ID:6RgEJZlN
-
そこからさきは、もう、考えてる暇なんて無かった。
ただ必死にサーニャから逃れようと本能的に動いた。私にもたれかかって寝息を立てているサーニャを毛布で
包んで抱きかかえて、ベッドにそっと横たえてやる。ぐっすり眠っていたサーニャは何も気付かずに静かに
寝息を立てていた。
直接触れたら気が狂ってしまいそうだったんだ。何が悪いのかなんてわからない、けど今の私じゃサーニャに
向ける顔なんて無いような気がした。
一連の作業を追え、ベッドから一歩下がって、ようやく一息つく。
けれどすでにこの部屋は私のものじゃなかった。サーニャのものだった。少なくとも私にはそう感じた。
出て行かなければならない。それも、今すぐに。あとずさるように後ろに下がって、扉にぶつかって。
「ごめん、」
小さく小さく口にする。聞こえるはずなんて無い。そもそもサーニャはまだ夢の中だ。
けれども今、この場をやり過ごすためにはこの言葉しか私には思いつかなかったのだ。
そして私は静かに部屋を後にした。
*
「ずいぶんとはやいな、エイラ」
朝食をとるために食堂に行ったら、すでに席についていたバルクホルン大尉に少し目を丸くしてそう言われた。
「…うん、マア、早く起きたりした、カラ」
「そうか。いい心掛けだ。」
ごにょごにょと言葉を濁しながら席につく。訝しげな顔でしばらく私を見ていた大尉はそう短く答えると新聞にまた
目を戻す。余計な詮索をしてこない、きっちりとした大尉の態度が今日はひどくありがたい。普段だったら会話が
続かずに困り果ててしまうところだけれど、大尉はもとより今は誰とも、楽しく会話が出来るような気分じゃなかったから。
おはようございます、と元気な挨拶とともに朝食を運んで来てくれたミヤフジに礼をする。
ミヤフジの料理は美味い。…あのねばねばしたのがなければ。けれども「扶桑ではこれが普通なんです」と
ミヤフジが豪語する通り、ミヤフジが食事当番のときにそれが外れたことなんて無いのだ。
…つまるところ今日もそれはあった。普段だったら「またかよー」と文句のひとつぐらい言いたいところだけれど
それさえも面倒で、私は黙ってそれを調理する。…このナットウとやらは、最後に自分でほぐすのが通例らしいのだ。
おはようございます。ミヤフジが別のヤツに挨拶をした。誰だろう、と前を向く。向いた瞬間、勢いよく顔を逸らした。
そして相手もまた、同じようにしたのを見た。どうかしましたか、ペリーヌさん?心底不思議そうに尋ねるミヤフジに、
いつもの元気の半分もなくごにょごにょと答える声がする。
「おい」
それを聞かないように聞かないようにとしていたら、ばさりと新聞を置く音がしてバルクホルン大尉に尋ねられた。
「そんなにショウユをかけると体に悪いぞ。人の好みにつべこべ言う趣味はないがその辺りでやめておかんか」
その、冷静な突っ込みにハッと我に返って自分が今調理していたナットウを見ると、それはものの見事にショウユ
の下に沈んでいた。…なんてことだ、こんなもの食べたら絶対に胃がいかれる。間違いない。
とりかえようか、とミヤフジが声を掛けてくれたけれど、『食べ物は粗末にするなよ』とでも言いたげな大尉の
視線が痛い。
もうどうにでもなれ。…できることなら、なってくれ。
こんなにしょっぱい朝食は初めてだ、と思いながらそれを口の中にかきこんだ。
───
以上です。続きます。
- 489 名前:Slowly, Growin' 21X2w2Ib 1/3:2008/10/19(日) 16:29:51 ID:6RgEJZlN
-
もどかしいくらい、たぶんおくびょうなこの人とわたしはゆっくりすすむから、
きっとわたしはどこへでもいけるのだろう。
ふたりでいっしょに、どこまでもいくのだろう。
まるで真っ白いミルクを心に注ぎ込んだように幸福な夢がうっすらとぼやけていって、ゆるゆると私は
覚醒した。
高く上った太陽が、カーテン越しに私を柔らかく包み込んでいる。寝乱れたシーツの上で体を起こして
ひとつ大きなあくびをして、「エイラ。」おそらく傍らにいるであろうひとに話しかけようとして。
「…えいら?」
出来なかった。
どこへ出掛けているのだろうか、本来この部屋の住人であるところのエイラ・イルマタル・ユーティライネン
少尉はそこには居らず、つまり私は一人で使うにはやや広いベッドの上で、部屋の中で、独りぼっちで
いたのだ。寂しさを紛らわそうとして手を伸ばしても、気に入りのぬいぐるみはこの部屋の隣、私の部屋に
ある。しかたなしに枕を抱きしめたけれど、やっぱり心は埋まらない。
いくらこの部屋がエイラの温かさと、エイラの香りとでいっぱいになっていたのだとしても──エイラが、
いなくちゃ。そうじゃなくちゃ、それらは全く意味を成さない。バニラエッセンスがその甘い香りに反して
とても苦いものであるように、甘い甘い砂糖菓子のようなあのひとがいなければ、この部屋だって
ただの入れ物に過ぎない。
いまだ残る眠気のせいで、感情が上手くコントロール出来ない。気付けば鼻の頭がつんとして、目頭が
熱くなるのだった。
…こんな弱い私を見たらエイラは一体どんな顔をするんだろう。ふと、思う。たぶん誰よりもおろおろと
して、だいじょうぶ?だいじょうぶ?と繰り返して、どうしたらいい、なんでもしてあげるよ、なんてわたわた
とするに決まっている。彼女は目の前の弱い人間に対してめっぽう弱いからだ。ちっぽけな存在を
見過ごしておくことが出来ない性分なのだ。
けれど、たぶん、でも。
きっと、私の一番に望むことは結局してくれないのだと分かっている。それは優しく私を抱き締めたり
だとか、手を握ってくれたりだとか、頬にキスをしてくれたりだとか、例えばそんなことだ。そうして触れ合って
私はここにいるよ、って教えてくれれば私は何よりも安心するのに、極度に恥ずかしがりのところがある
あのひとは意識してそういった行為をするのをひどく苦手とする。普段私に世話を焼いているときは平気
なのかと言うと彼女の中でははっきり違うようで、こと私に対してはまるで花咲く直前のつぼみのように
頑なで、慎重なのだった。
ぐるりと視線をめぐらしても、当然のごとくエイラの姿があるはずも無く。
ベッドの端を見ると、見事なまでに折り目正しく畳まれた私の衣服がそこにあった。傍らにある不自然な
空白はそこにエイラ自身の衣服があったことを表していて、恐らく私が今朝夜間哨戒から帰ってきたとき
脱ぎ捨てた衣服をエイラが拾い上げて自分の物と並べて丁寧に畳みこんでくれたのだということは明白
だった。面倒くさがりやのくせにこういうところばかりはひどく几帳面なひとなのだ。
(いないんだ)
ぽつんと残された自分の衣服を見やって、ぽつりと思う。訓練か、出撃か、それとも。
とにかくエイラがきちんとした制服を着て出掛けている以上、恐らくしばらく彼女が帰ってくることはないの
だろう。私を置いて、起こしてもくれないで、エイラは行ってしまった。…それは恐らく、夜間哨戒を終えて
疲れ果てて、ぐっすりと眠っていただろう私に対して精一杯気を遣った結果なのだと思うけれども、でも、
やっぱり、さみしい。
- 490 名前:Slowly, Growin' 21X2w2Ib 2/3:2008/10/19(日) 16:30:33 ID:6RgEJZlN
-
もっともっと、いっぱい、一緒にいられたらいいのに。
そんなことを考えるのは、私たちの立場からすれば不謹慎なことなのかもしれない。エイラはスオムスの
トップエースとして、私は広範囲の索敵という特殊能力を買われて、偶然ここに集められたに過ぎないの
だから。
ねえ、じゃあ、もしも。
例えば私たちがウィッチでもなんでもなくて普通にばったり街中で出会ったとしたならばこんな風に思うこと
もなかったんだろうか──そんなことを言うと、きっと、エイラは冷静に『そんなことはない』と首を振るの
だろうと思った。もしもなんてないよ、あるのは一本につながった過去と今と、未来だけだと。
ほんの少しだけ、未来を見ることの出来るエイラはこういった問題に対してひどくシビアだ。
「エイラ、」
もう一度名前を呼ぶ。言葉はエイラの部屋にがらんどうに響くばかりで私の望みの音は返って来ない。
それはとても虚しくて悲しいことだ、と思った。
探しに行こうか。でもどこに?
思いながら衣服を手に取る。恐ろしいくらいに綺麗に畳まれたそれらは私には一種の芸術にさえ思えて、
いつもそれを崩すのをためらってしまう。私のピアノを、歌声を、エイラはいつも幸福そうに聴いて、彼女なり
の最大級の褒め言葉を持って評価してくれる。けれども私はエイラの、こういったささやかな気遣いが出来る
ところこそとても、とても、素晴らしいと思うのだ。
(なんか、わたし、だめだなあ)
シャツに手を通して、ネクタイを締めて、そうして衣服を着替えながらため息をついた。
さっきから、恥ずかしいくらいにエイラのことしか考えていない、考えられない。そして考えれば考えるほどに、
傍に行きたくて仕方がない。恥ずかしそうに笑んで頭を撫でて欲しいし、ぎゅうと抱き付いてうろたえさせても
みたい。
そして言いたい。抱きついたその耳元で、いくらだって叫びたい言葉があるのだ。
会いたかったよ、大好きだよ、だから黙っていなくなったりしないで、ずっと一緒にいたいよ。
だけどきっと、私は言わない。絶対に、言えない。なぜなのかなんていちいち問うていたらきりがない。
…それは、ある種の情を持って私に触れるのをエイラが恐れるのと同じように、私もまたその気持ちには
ひどく臆病だから。
もしかしたらベクトルは同じ方向に向かっているのかもしれない。そう思っても恥ずかしくて、怖くて、上手く
言葉にすることが出来ない。だからいつまで立っても前に進めない。扉を開く一歩手前で足踏みをして、
戸惑っているのだ。ノックする勇気さえ私たちにはまだないから。
ああ、でも、今すぐ会いたいな。会いに行きたいな。
気持なんて何ひとつ伝えられなくてもいい。ただ今は一緒にいたい。それだけでもかまわない。
ベッドの上で、猫のように。
伸びをしてさあ下りようとしたその瞬間、不意にコンコン、という高い音が部屋に響いて飛び上がった。
誰だろう?恐怖にも似たその気持ちは、次の瞬間にこの上ない喜びに変わる。
サーニャ、おきてる?
それは、私の、待ち望んだ声だったからだ。粉砂糖のように柔らかい言葉がドアの向こうから私の耳に届く。
自分の部屋だというのにいちいちノックをしてくるところが、なんともエイラらしい。
扉に駆け寄っていく。そして開く。何も言わずにぎゅうと、エイラに抱きついてみる。ウワァ!と声を上げて
うろたえるエイラ。
- 491 名前:Slowly, Growin' 21X2w2Ib 3/3:2008/10/19(日) 16:31:44 ID:6RgEJZlN
-
「…寝ぼけてるの?…私はぬいぐるみじゃないゾ?」
手に持った何かを支えながらそんなことを言っていう。いまだに私が夜間紹介のあとにこの部屋に来る
ことを『部屋を間違えているだけ』と思っていたり、こんな発言を重ねているところを見ていると、この人は
相当鈍感なのではないかと思ってしまう。自分に寄せられる好意に対してひどく鈍いのだ。
間違えてなんかないよ、エイラを間違えるわけないじゃない。それが伝わらないのはきっと、何よりも私が
それを言葉にしないからなんだろう。
「おなかすいたロ?朝ごはん持ってきタから食べヨ。」
そしてほら、やっぱり鈍感なエイラはさっきまで私がどんな想いでこの部屋にいたかなんて何も知らないで
楽しそうにしているのだ。持ってきた皿のものをフォークで刺して、私に差し出してきてくれる。茶色くて丸い
それを、そう言えば私は前も見たことがあった。何かと理由をつけて料理当番を受け持つのをひどく嫌がる
エイラの手料理だ。
──こんなのスオムスじゃ誰でも作れるよ。他人に出すような料理じゃナイ。
でも私には、これぐらいしか作れないカラ。
私が絶賛をしたらそう言ってそっぽを向いてしまった、そのときのそれによく似ている。
ぱくり、と口にすると温かくて、少し酸味のある柔らかいお肉の味が口いっぱいに広がった。おいしい?
恐る恐る尋ねてくるエイラに、もう一度口を開いて答える。ねえ、もっと。身を乗り出して、えさをねだる
小鳥のように。
一緒に彩りよく添えられていたらしい野菜や、マッシュポテトまでもすっかり食べ終えて、満足に私はまた
エイラに擦り寄った。私の口の周りを拭きながら「しょうがないなあ」などとぼやいている辺りエイラはまだ
私が寝ぼけていると思っているらしい。私がきちんと覚醒していて、意識を持ってこんなことをしているの
だと知れたらエイラはそれこそ裸足で逃げ出すだろう。エイラはそんな人だ。
ゴメンネ。
そんな言葉がふってくる。心も、体も、満足で満たされている今の私にとってそれはまるで美味しく焼けた
パンケーキに更にたっぷりとかけるメイプルシロップみたいだ。
「…追いてっちゃっテ。朝ごはん、私の当番だったんダ」
膝の上にいる私の前髪をかきあげて額を撫でながら、申し訳なさそうにエイラは呟く。いいよ、もう。答える
代わりに服のすそを掴む。伝わるかどうかはわからない。でもきっとその気持ちをエイラは理解してくれる
ような気がした。
その代わりに、今日はもう、離さないから。
そんな気持ちがこもっていたことには、たぶんさすがに気付かなかったろうけれど。
言葉にしないから、私の気持ちは膨らんでいくばかりだ。いつまで経っても不確かで宙ぶらりんで、たまに
不安になって仕方がなくなる。それもこれも、私が、エイラが、おくびょうすぎるせい。
でも。
(Тише едешь, дальше будешь. )
そんなときは心の中で、この言葉をくりかえす。ゆっくり歩けば、遠くまでいける。
なら、もどかしいくらいでも、この人と一緒なら私はどこまでも行けるだろう。
「サーニャ、私そろそろ片付けに…」
「行きたいんだケド」と困ったように口にされた言葉なんて、とりあえず無視することにした。同じところで
ずっと淀んでいてもいい。だって幸福だもの。だから前に進むのなんてまだまだ先でいい。
だってきっと、私たちはずっと、遠くまで遠くまで、一緒に行くのだから。
- 492 名前:21X2w2Ib:2008/10/19(日) 16:35:21 ID:6RgEJZlN
- 以上です。今度はちゃんと百合スレだな、よし。
Тише едешь, дальше будешь.
は文章中にもあるとおり「ゆっくりいけば、遠くまでいける」という意味のロシアのことわざです
ではこれから出掛けねばならないので失礼します
SS投下の多さに吹いた!帰ったらじっくり読ませていただこうw
- 493 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 17:01:55 ID:aLXqAueZ
- >>475
踏み入れてしまったようだな
歓迎してやろう
- 494 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 17:40:39 ID:QSRljZJ3
- >>492
GJ!連続投下とは…!
>>475
百合の世界はなかなか抜け出せんぞ…
だがそれが良いのだ
- 495 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 17:43:43 ID:SqQbDXUr
- 続きキター
うはなんとも言えない
この距離感GJ
前のアーンしてる絵もGJ
- 496 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 18:14:19 ID:xn4PcW+d
- >>492
あいかわらずやわらかい雰囲気のたまらん文章です、しかも二本立てとは……
つづき待ってる!
- 497 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 18:35:20 ID:oJbLurlb
- >>357のペリイラの続きか!どういう落し所にするのか楽しみだ
>>492
今度はロシアネタか。いいねえ!どんどんやってくれたまえ!
ロシア人というとテトリスが強いとかチェスが強いとかそんなイメージしかねえw
- 498 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 19:19:46 ID:/H/xJKRy
- 「俺は機械を楽しむ純粋な秋葉オタだ!」
「俺が好きなアニメはガンダムとかだけだ。萌えとか言っているのと一緒にしないでくれ」
「作画はあれだけどストーリーはしっかりしているからそこを見ているだけ」
「○○は俺の嫁」
「ストライクウィッチーズ?さすがの俺でも引くわ」
「エイラちゃん最高です」
「百合厨は氏んだほうがいいよ^^」
「男がいない世界最高です(´Д`;)ハァハァ」 ←今ココ
- 499 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 19:39:00 ID:SqQbDXUr
- >>498
ようこそこの世界へ
ついでに転
http://uproda11.2ch-library.com/src/11127771.jpg
- 500 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 19:42:57 ID:lKxHcYf1
- >>499
これは・・・・エーリカが高値で買ってくれそうだ
- 501 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 20:02:33 ID:CpAA+HU7
- 早朝の本スレで、
『学園ウィッチーズシリーズとかは程よい百合でオススメ』
とか、どなたかに書いていただいて思わず気を引き締めざるをえなくなったt26gFAxTです。
今後も頑張ります。頑張らせていただきます。
前回分にレスをしていただいた方もありがとうございます。
第8話投下します。
1つだけ謝るとすれば、エイラの出番が…
- 502 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第8話 501号館の紛擾:2008/10/19(日) 20:03:13 ID:CpAA+HU7
- ミーナは、できうる限りの魔力を魔導エンジンに込め、墜落するゲルトルートを追いかける。
残りのストライカーの魔導エンジンも停止したゲルトルートは、きりもみ状態で、学園のそばにある林へと落下していく。
回る視界に翻弄されながらも、なんとか集中して、シールドを張ろうとするが、意思とは裏腹に、彼女は魔力が流れ出していく感覚に襲われた。
あっけないものだな。
自分の置かれた状況を無視したように、ゲルトルートの歯の隙間から、ふっと自嘲的な笑いが漏れる。
「トゥルーデ!」
ミーナの声がゲルトルートの鼓膜を震わせたと同時に、ゲルトルートは背後に回り込んだミーナに受け止められ、彼女とともに、林の木をなぎ倒して不時着した。
森の香りを感じながら、ゲルトルートは静かに目を開ける。
その途端、金髪の頭が彼女の頬に押し付けられた。
「トゥルーデ! 良かったぁ…」
横たわっていたゲルトルートに抱きついたエーリカが体を離し、満面の笑顔を向ける。
エーリカの肩の向こうには、ビューリング、ウルスラ、ルッキーニがほっとしたような顔でゲルトルートを見つめていた。
そして、ゲルトルートは、ミーナの膝枕に気づき、見上げるが、視線が合う前に体を起こした。
「おい。無茶をするな」と、ビューリングが止めようとするが、ゲルトルートはぎっと睨み返し、きょろきょろと辺りを見回す。
「私のストライカーはどこだ?」
「シャーリーさんが回収したわ。整備不良の可能性もあるから、スタッフを召集してチェックするそうよ」と、ミーナは埃を払って立ち上がる。
「整備不良……。そうか、その可能性もあるな…」
ゲルトルートは一人言のようにつぶやいた。
ミーナはそんな彼女の様子に案じるような視線を向ける。
少しばかり冷えてしまった雰囲気にルッキーニが声を上げた。「ねえ、みんな心配してるからそろそろ帰ろ!」
エーリカも同調し、ルッキーニを伴ってジープへ足を向ける。
ビューリングは、ウルスラに目配せをしてから、ミーナの肩をぽんと叩いて歩き出す。
ゲルトルートも、後を追いかけようとするが、不意にウルスラに手を握られて、立ち止まった。
手を握られ、見上げられる状況にほんの一瞬だけ過去を重ねて、ゲルトルートはウルスラの手を小さく払ってしまう。
「なんだ、急に」
「靴」
ウルスラは、ゲルトルートの態度に動じるでもなく、彼女の靴を差し出して、履かせる。
「靴ぐらい自分で…」
「小さい頃からの癖」
「私はエーリカではないぞ」
ウルスラは悟られないように、反応をし、靴を履かせ終わると立ち上がって、ゲルトルートを見上げた。
「嫌悪は、魔力を鈍らせる」
「なにを…」
ウルスラは、体をずらし、ジープに乗り込んだ面々をちらりと見て、もう一度ゲルトルートを仰いだ。
「あなたはもう少し周りを見渡すべき」
格納庫。
召集された数名の整備スタッフたちが黙々とストライカーの点検にあたっている。
シャーリーは、ジープのエンジン音を聞き分け、グラウンドのほうへ顔を向けた。
森に置いてきた面々がジープから降り、格納庫へ向け、まっすぐやって来るのを見届けると、整備主任と思しき、彼女より年上の女性スタッフの肩を叩く。
「悪いけど、さっきの報告の内容、しばらく伏せといて」
「え? しかし…」
「何か言われたときの責任は私が取るからさ。な? お願い!」と、シャーリーは両手を合わせる。
「もって数日ですよ…」
シャーリーの熱意に圧されたスタッフは帽子を深くかぶりなおして作業に戻る。
シャーリーは格納庫の出口まで駆け出して行って、ゲルトルートの前に立ちはだかった。
「体のほうは大丈夫か?」
「ああ、問題ない。ストライカーを見たいんだが」
「実はさっき開けたばっかでまだ原因解明できてないみたいなんだ」
「見るぐらい、構わないだろう?」
「なぁ、バルクホルン。あんたの熱意は買うけどさ。一応事故った身なんだから、今日はもう休もうぜ」
「そうそう」と、背後からルッキーニがゲルトルートに抱きついた。
エーリカも、頭の後ろで腕を組んで、笑う。「頭も木の葉だらけになってるしね〜」
ゲルトルートは二人にからかわれ、わずかに表情が崩れる。
そんな彼女を見つめたミーナに、シャーリーはちらりと視線を寄越し、見つめ返されると、力なく微笑んだ。
- 503 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第8話 501号館の紛擾:2008/10/19(日) 20:04:54 ID:CpAA+HU7
- 501号館、食堂。
「もう18時か…」
坂本が、懐中時計を閉じ、顔を上げ、怪訝な顔をする。
あごをテーブルに押し付けて、気の抜けただらしない顔をする芳佳とエイラ。
「……お前たち、それでも扶桑撫子か!」
「そんなこと言われても、訓練尽くしの一日でお腹がすきすぎて…」
「ていうか、私はフソウナデシコじゃないし…」
三人のとぼけたやり取りに、行儀よく座っていたリーネ、ペリーヌ、サーニャは呆れ気味に笑った。
食堂に向け、複数の足音が響き、一同は食堂の出入り口に顔を向ける。
先頭のミーナが、皆の視線に驚き、申し訳なさそうな表情になる。
「みんな、待たせてしまってごめんなさい」
「珍しい組み合わせだな」と、坂本は、ミーナに続いて入ってくる面々を見、不思議そうな顔をする。
思わず口ごもるミーナに気づき、シャーリーはすかさずフォローする。
「学園のほうでつるんで遊んでたら遅くなってな」
エーリカはシャーリーの意図に気づいたのか、そうそうと言い、ルッキーニも、一瞬戸惑いながらもそれにあわせる。
ゲルトルートはただ黙りこくって、気遣いゆえの、仲間の嘘に耳を痛めた。
風呂に入り終えたゲルトルートは、カーテンを開け、月明かりを浴びる。
ふと、部屋のひとすみに視線を向け、徐々に明らかになる輪郭をじっと見据える。
彼女の使い魔であるジャーマンポインターがふっと現れ、彼女を見つめ返した。
ゲルトルートは手を差し伸べるが、ジャーマンポインターはくるりと踵を返して、壁の影の中に溶け消えていく。
――嫌悪は、魔力を鈍らせる
頭に浮かんだウルスラの言葉に、苦し紛れに反論するかのように、つぶやいた。
「ただのストライカーの故障だ…」
シャーリーは、部屋のドアをノックする。
はーい、という元気な声が響き、エーリカがひょっこりと顔を出した。
「おお、珍しいな。なに?」
「……入っていいか?」
「いいよ。ちょっと散らかってるけど」
部屋に入ったシャーリーはちょっとどころじゃない、と思いながら、エーリカの部屋の有様を見渡すが、ドアを閉め、エーリカに並んでベッドに座る。
エーリカは、シャーリーの横顔を見つめ、言葉を待っていた。
シャーリーは視線を感じて、頭をかく。
「さっきは、話あわせてくれて助かったよ」
「なんだ、そんなことか」
「それもあるし……、バルクホルンの事、ちょっと聞きたくて」
わずかばかりに、エーリカの目が見張られるが、また元の笑顔に戻る。
「なんだ、惚れちゃったか〜?」
「バッカ。なに言ってんだよ! もともと元気ない感じだけど、最近さらに元気ないだろ、あいつ……。だから、何かでかい悩み事ができたのかなって…」
エーリカは部屋の天井を見上げ、しばらく考え込んだ後、ベッドに倒れこんだ。
「トゥルーデに妹いるの知ってる?」
「いいや」
「戦争中に怪我して、今も意識不明なんだ」
- 504 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第8話 501号館の紛擾:2008/10/19(日) 20:06:26 ID:CpAA+HU7
- ゲルトルートの部屋の前に立ったミーナは、踏み出せないといった様子で、佇んでいた。
「先輩」
「あら、シャーリーさん。どうしたの?」
シャーリーはゲルトルートの部屋のドアに視線を向け、やりにくそうな顔をする。
「あー、えっと……。ここじゃちょっと…」
いつにないシャーリーの態度にミーナの表情が引き締まり、すぐ隣の自分の部屋へ誘導する。
シャーリーは、後ろ手にドアを閉めて、話し始めた。
「バルクホルンのストライカーだけど、異常はなかったんだ。落ちたせいで外装は傷ついちゃったけど、中身はまったく問題なし」
ミーナの驚いた顔が差し向けられ、シャーリーは、彼女の気持ちを痛いほど感じながらも、言葉を続けた。
「要するに、今回の事故は、エネルギーの供給の問題。つまりはバルクホルンの魔力が…」
「……もう、誰かに話したの?」
シャーリーは静かに首を振った。
「スタッフにも、できる限りは黙っとくよう言ったよ。報告はしなきゃいけないから、来週までもたないかもしんないけど……。
でも、先輩には先に伝えておきたくてさ。あいつとは、そう深く話した事無いから、何か抱えてたとしても、ちょっとやそっとじゃ踏み込むことは無理なんだ。
でも、ハルトマンが、あんたならって。私も、同意見なんだ。あいつには、あんたが必要なんだよ……きっと」
「昔は、そう信じてこれた。私にとっても彼女は必要で……。けど今は、少し自信がなくなってきたわ」
と、ミーナは、力なく笑った。シャーリーは、ミーナの前に立ち、両肩をつかむ。ミーナの赤い瞳がシャーリーを見返す。
「……私は信じてるよ」
ミーナは瞳を伏せ、静かに顔を上げると、また、いつもの健やかな笑顔をシャーリーに見せた。
「ありがとう、シャーリーさん」
自室に戻ったシャーリーは、オイル臭くなった着衣を脱ぎ捨て、ベッドにどかっと倒れこむ。
風呂に行こうにも体は眠りを――眠ることによる一時的な逃避を求めていた。
ちょっとした口止めを強いたり、嘘をついたり、先輩を励ましてみたりと、慣れない事ばかりの一日に、心がひりついている感触。
シャーリーは片腕を目の上において、いつもは心地よいはずの月明かりをさえぎる。
ふと、その腕が握られて、外され、顔を傾けると、ルッキーニがベッドの脇に片肘を突いて、どこかおずおずした様子で眺めていた。
シャーリーは、笑顔を返す余裕も無く、今の私はバルクホルンばりの無表情だろうなあ、とぼんやり思いながら、ルッキーニを見つめ返す。
ルッキーニは小さくつばを飲み込んで、そっとシャーリーの頭を撫でた。
「シャーリー、元気出せぇ……」
シャーリーは、起き上がって、両手を広げた。
「……おいで」
ルッキーニの表情から怯みが消え、シャーリーの胸に飛び込む。シャーリーは、ルッキーニの背中と頭を撫でながら、ぼんやりつぶやいた。
「きっとすべていい方向に進むさ」
第8話 終わり
- 505 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 21:29:09 ID:QSRljZJ3
- >>504
GJ! 長編書ける人って凄いってつくづく思うよ
自分なんか6話書いて疲れたのに、コンスタントに連載は凄いわ
まあ何が言いたいかと言うと、続き待ってます
- 506 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 21:39:57 ID:SqQbDXUr
- >>504
続きキター
今回はシャーゲルか
良いねぇこの二人
- 507 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 21:47:37 ID:bf8mQWpH
- >>473
マイペースでおkおk
数が数だし大変だろうけど無理せずにマイペースで
- 508 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 21:49:39 ID:vCQnDRcz
- こういうのが見たいとかリクがないと書けません
- 509 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 21:52:18 ID:8TweKCaM
- GJ!人間関係が素晴らしいんだよなあ。続き待ってる!
今シャーリーエーリカ書いてるんだけど、エーリカがやけに弱々しくなってきてしまった…
エーリカ幸せにし隊の方、申し訳ない
- 510 名前:滝川浜田 『ゴーゴンの楯』:2008/10/19(日) 22:03:14 ID:QSRljZJ3
- バカの一つ覚えみたいに今日も投下します。
死ぬほど短い隊長×もっさん。
――その蛇の目に睨まれたら石になってしまう――
そんな怪物の伝説を昔、本で読んだ事がある。
その怪物の名をゴーゴン(メドゥーサとも呼ぶらしいが)。
私はそんな怪物はいないだろうと思っていた。
しかし、私の近くにその怪物はいた。
私を虜にしてしまった、美しい怪物が。
私はミーナの瞳からはもう、逃げられない。
――ゴーゴンの楯――
「お前は怪物だな」
「なに?いきなり」
夜、二人ベッドの上で過ごしている時、私はミーナにそう言った。
「お前に一度睨まれたら、もう逃げられない、という意味でだよ。
そういう怪物が伝説上に存在するんだ」
「あら失礼ね。私は愛を持って貴女に接してるのに」
「ん?私は褒めてるんだぞ?
よく私をここまで取り込めたな、という意味でな」
「フフ、私がその怪物なら、貴女はその楯ね」
「楯?」
「そう、怪物の私を護り支える頑丈な楯」
「アッハッハ、怪物と言われた事に関してはそんなに怒らないんだな」
「貴女を虜に出来るなら、怪物でも何でも構わないわ」
「…楯か。良いな。お前を護り支える頑丈な楯。
私はそうでありたいな。お前を護る楯に」
- 511 名前:滝川浜田 『ゴーゴンの楯』:2008/10/19(日) 22:09:02 ID:QSRljZJ3
- すると、ミーナは私を抱き寄せ、耳元で囁く。
「なら、命を賭けてでも私を護ってくれるかしら?美緒」
「ああ、怪物の命を護る楯になってみせるよ。…ただ」
「ただ?」
「私以外には力は使わないでくれないか?
…お前の虜になるのは私だけで良い」
「強い独占欲ね」
「何を言うか。楯の性だ」
ミーナは私の肩を掴み、優しく私をベッドの上に押し倒す。
「なら楯として私を楽しませる事も出来るわよね?」
私は苦笑いでミーナに言葉を返す。
「…なるべく期待に添えるよう頑張るよ」
――私は、怪物からは逃げられない。
だが、私はそれで良い。
怪物を護り支える頑丈な楯となる事を。
そして、その怪物を愛し続ける事を。
――私は、ミーナに静かに誓う。
END
以上です。
やはりこの二人は落ち着いた雰囲気のSSがよく似合う。
書いているこっちも穏やかになりますよ。
…ってか短編多くてスマン…
…では、爺はここらで…
- 512 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 22:14:44 ID:NRSVrOHR
- GGGGGGGGGGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ
- 513 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 22:32:03 ID:lDizWHXV
- 475だが
エーリカとちゅっちゅしたい。
- 514 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 22:52:15 ID:vFc03WjJ
- 大人おとなオトナ〜〜〜〜!!!!!
- 515 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 22:55:16 ID:x9PjG9pq
- まとめの小ネタ集見てたらエイラがどこぞの悪魔超人になってて吹いた
- 516 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:22:10 ID:VZ7rInKi
- 帰宅〜。
459の続き行きます。
っていうか案の定長くなったよ。
でも完結はしたんでよろしく。
- 517 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:23:11 ID:VZ7rInKi
- ●ブリタニア1944 くらやみのそらのくものそこ 下
「どうしたサーニャ?」
「な、なに……コレ……真っ白で、何も感じられない……」
見れば魔力アンテナが不規則な輝きに点滅してる。
その表情は不安でいっぱいになって今にも押し潰されそう。
顔色も元々色白の肌からすっかり血の気が引いてまさに蒼白といっていい状態。
「……ま、魔法が……何も……」
「え?」
アレ?そういえば通信機の様子も……おかしい?
二度叩いてからコール。
「501HQ、こちらカールスラントスリーハルトマン。応答願う! 繰り返す。501HQ、こちらカールスラントスリーハルトマン。応答願う!」
むむ、これって、通じてない!?
「おいっ! 誰か出ろ〜っ!」
くっ、これもネウロイの仕業か。
「『同じのが再度出てくる可能性がある』か……相変わらず猫の餌係並の仕事振りだよねっ」
明らかに前に現れた奴より進化してるじゃないかっ!
呟きながら横を飛ぶサーニャを見る。
「あ、あ、あ……」
駄目だ、まだパニックから立ち直れてない。
瞳いっぱいに涙を溜めてる表情って、こんな時でなければそそるんだけどな〜。
そんな思いも束の間、殺気を感じとった私はサーニャの左手を引いて強引に左ロール、そしてダイブ。
間一髪だった。
一瞬前まで私たちのいた空間は赤い光条によって薙ぎ払われた。
手を引いたまま雲頂を掠めるようにしながら左右に大きく蛇行。
サーニャを見ると目が合った。
まるで怯える子猫の様な不安いっぱいの眼差し。サーニャが初期に受けた何かの衝撃は相当深かったみたい。
「落ち着いた?」
声をかけて少しでも立ち直れる様に期待する。
「ま、まだ……ああ、感じられないの……」
いやいやする様に首を振りながら首を竦めてる。
「もう少し状況をわかるように説明しろよな……って、こっち!」
繋いだ手を強引に引いて、ギュっと抱き寄せて雲海にバーティカルダイブ。
「エイラとちがって、抱かれ心地悪いかもだけど、仕様だからクレームはお断りっ!」
サーニャよりも、声を出す事で自分を勇気付ける感じに叫ぶ。
向かうのは再び憂鬱な雲海の底。
ネウロイだって全く何も見えてなければまともに射撃できないだろうと期待しての行動。
でも、なんとなく予感がしていた。
長年の空中機動歩兵としての勘が告げていた。
危機は去ってない、って。
- 518 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:23:50 ID:VZ7rInKi
- 暗闇の迷宮の中、震えてるサーニャの瞳。
その表情の向こうにまたネウロイのビームが煌く。
それも複数。
案の定だ!
こっちからは何も見えない程の暗闇なのに、ネウロイは撃ってくる。
「サーニャ、この暗闇に通信無しじゃはぐれちゃう。手を繋いだまま回避機動……できるねっ?」
わたしの勢いに押されるようにこくんと頷く。
私は右、サーニャは左。お互いの手を繋いだまま、厚い雲海の暗闇の中で小刻みに蛇行、上昇、下降を繰り返す。
ネウロイはそんな複雑な機動をする私たちの進行方向に対して、いつも後方側の色んな角度から攻撃を仕掛けてきた。
「やらしいな。一番シールドがはりにくい方向からっ!」
こうなったらなるべく激しい回避機動で、相手に照準をつけさせないように飛ぶしかない。
視界はゼロ。
暗闇の中でのピッチ、ロール、ヨーを駆使した機動の連続で、わたしはあっという間に空間識を失った。
だからって、『下』を確認する為に悠長に飛んだら確実に直撃を貰っちゃう。
普段なら、サーニャは自分の能力でその辺が解るんだろうけど……多分何らかの……恐らくネウロイの影響でその能力を封じられてる。
わたしは考えた。
この息苦しい空から抜け出す為の、ネウロイのワンサイドゲームにピリオドを打つ為の一手。
ダイブして地表まで逃げる?
却下! 何処が下だかわかんない時にやれるモンじゃない。
だいたい、敵が確実に複数……多分最低でも6体……いる状態で、低すぎる雲底の下に突き抜けたら、あっというまに頭を抑えられる。
雲の上に出る?
無理、上下わかんない上に無理な上昇で速度を失ったらまた雲海の底に叩き落とされる。
助けを待つ?
待つにしたってこれじゃジリ貧。いつか直撃を貰う。
違う!
焦るなわたし!
考えなきゃいけないのはそんな先の事じゃないだろ!
1秒先に生き残るにはどうしたらいい?
撃たれなければいい。
そう、それだ。
じゃあどうする?
いくらわたしだって、こんな何も見えない場所で、精密な射撃なんかできるもんか!
ネウロイにはできる?
人間じゃないから?
- 519 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:25:48 ID:VZ7rInKi
- 考えながら左ロール。
わたしから少し遅れて動作する右手の先のサーニャ。
正面から向き合う。
ほんのりと明るく、表情を照らし出すサーニャの魔法アンテナ。
明るく?
光を狙って撃ってくる? 無理だ。こんな淡い光じゃ厚い雲にかき消されて目印になんてなるはず無い。
まてよ……アンテナ? レーダー?
電子戦!
「サーニャッ! 魔法切れっ!」
わたしはロールの途中でサーニャに向かって身を乗り出して、大声で叫んだ。
「ハ、ハイッ!」
普段戦闘中にだって見せないようなわたしの剣幕に驚いたサーニャは反射的に頷いてアンテナを消す。
同時に、体勢が崩れて一瞬失速。
そんな一瞬の隙に、禍々しい赤い光が飛び込んだ。
ビームはサーニャのフリーガーハマーの後端部分をもぎ取って、わたしの左ストライカーを掠めるように駆け抜けた。
スローモーションのような世界。
衝撃でサーニャの手からフリーガーハマーが吹き飛んだ。
いびつな形になった鉄塊がラケーテをばら撒きながら遠ざかり、雲間に消える。
繋いだままの右手を引いて、まるで体当たりデモするかのように強引にサーニャの細い身体を抱く。
太ももを絡めて密着。
迷い無く左手のMG42を投げ捨てシールドの展開に集中。
「ヴィント!」
固有魔法『風』を操って無理やり姿勢を制御。
硬さを重視した小さめのシールドの中に、二人の身体を無理やり押し込む。
準備が整うと同時に閃光と衝撃がきた。
フリーガーハマーの炸薬は次々に爆発を起こし、わたしたち二人を吹き飛ばした。
一瞬だけ意識を失っていたらしいわたしは、サーニャの胸で目を覚ました。
「ごめん……なさい。わたしのせいで、こんな……」
至近距離にもかかわらず、鼻をつままれてもわからないような暗闇じゃ、サーニャの顔は見えなかった。
やってみた。
- 520 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:26:39 ID:VZ7rInKi
-
「!?」
うん、暗闇だってこんなことされたらわかるよね〜。
鼻をつままれたサーニャは変な声と言うか音を上げながら焦ってる。
わたしはその手を頭に載せて優しく撫でながら言った。
「サーニャのせいじゃなくてネウロイのせい」
すっかり引っ込み思案な以前の状態に戻ってる様なサーニャ。
少しでも自分自身を攻める方向から抜けてもらわなくちゃ困る。
ここからが正念場。
わたしの、いや……わたしとウルスラの予想が正しければ、暗闇から抜け出す為の鍵はサーニャが握ってる。
敵は今、さっきの爆発と同時にサーニャの反応が消えた事で8割がた勝利を確信してる筈。
でも、念を入れるならもう一度わたしたちの存在を確認しなおす。
ネウロイが人間と同じ思考をしてるとかしてないとかそんな事は関係ない。
抜け目が無いヤツなら、動物でもきっとそうやって行動する。
残された時間は多分少ないけど、それでもゼロじゃない。
「サーニャが魔法で感じてた世界が、突然すべて真っ白になった。そうだね」
息を呑むのが聞こえる。どうやら正解みたい。
わたしは続ける。
「ネウロイがサーニャの魔法、電波操作に対して妨害をかけたんだ」
確信に近い予想。
「暗闇の中目隠しをされたサーニャは魔法で敵を探した。でも聞こえてくるのはネウロイの歌ばかり」
ウルスラの手紙と、それを理解する為に引っ張り出した幾つかの戦闘記録や報告書、そして目の前の出来事にわたしの想像を加えて言葉を紡ぎ出す。
「逆にネウロイはサーニャの歌電波を追う事で、一方的にこちらを捕捉し続けた。フフン、ざっとこんな所かな〜」
「ごめんなさいっ! 本当に、私がいなければ……」
ま、予想通りの反応だね。
だからわたしは用意しておいた台詞を投下した。
「うん、サーニャがいなけりゃネウロイに勝てない!」
「えっ?」
「逆転するよ。サーニャを傷つけられて手土産もなしに帰ったら、きっとエイラに何されるかわかんないし」
勝つつもりでいる。そんなわたしの言葉に驚いてる驚いてる。
で、サーニャの次の台詞も予想はついてる。
「でも私達、武器が……」
「でも私達、武器が……」
見事なハーモニー。
もう一度サーニャが何か言う前に私は言った。
「武器なんて私にはどうとでもなるから平気だよ。むしろ切り札は、サーニャの魔法さっ」
そのまま続けて逆転へのタクティクスをサーニャに伝えた。
全く表情は見えなかったけど、サーニャが目を白黒させて耳まで顔真っ赤ににしてるのは伝わってきた。
そしてサーニャは半信半疑ながら頷いてくれた。
- 521 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:27:15 ID:VZ7rInKi
- 行動、開始。
雲頂スレスレまで上昇を開始する。
こちらが生きている事を悟ったネウロイはまた取り囲むように移動しつつ、射撃を開始。
繋いだ手の先、サーニャが魔法のアンテナを展開。
不安そうに前を見つめながら深呼吸。
そして、「…………」と何かを呟いた。
オイオイ、小さすぎ〜。
「声小さいぞ〜真面目にやれよな」
わたしは平板な声でツッコんだ。
「で、でも……やっぱり恥ずかしい、です」
「一応命かかってるんだからドーンと行こうよ。ガンバルンダサーニャ」
最後の所はエイラっぽくスオムスなまりで発音して、言いながらも右手を引いて機動。
なるべく月の輝きが届く場所を維持しながら飛び続ける。
体が上下感覚を失っても、視覚で取り戻せるように。
サーニャの方はちょっと呆れた視線をこっちに向けながらも、覚悟を決めたのか深呼吸。
そして正面に向き直って口を開く。
「……ェィ……っ……」
「まだまだっ!」
「……ラ……きっ!」
「もっともっと!!」
「エイラッ! 大好きっ!!」
普段のサーニャからは想像出来ない様な大声でさけんだ。
ハイル!サーニャ! 心の中で万歳。
魔法アンテナがふた回りくらい大きくなって、同時に耳に仕込んだインカムがはじけた。
「あちちっ」
耳火傷しちゃったよ〜。あとでトゥルーデにふーふーしてもらうかな。
で、当のサーニャはそんな私の様子にも気付かず一心不乱に魔法を展開し続けていた。
「エイラ、好き。エイラ、愛してる。世界で一番エイラが好き。エイラ、大好き。エイラ、エイラ、エイラ……」
- 522 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:27:50 ID:VZ7rInKi
- ま〜、ホントは口に出して言う事も無いんだけど、本人に気合をいれて貰う為&わたしが楽しむ為に言葉にしてもらってる。
サーニャに何をしてもらってるかと言うと、相手のレーダー能力の妨害だったりする。
ウルスラの研究考察の中にあった今後の展望みたいな項目で、こんなのが予想というか、予言と言うかされてたわけだ。
じゃあどうやって行うか?
ラジオのチューニングと同じで、相手が使っていると思われるバンドにあわせて、相手にとってノイズになるような信号を出せばいい、多分。
サーニャには、ネウロイの『歌声』が一番よく聞こえる辺りにあわせて貰った。
あとは、問題は相手に衝撃を与えられるだけの電波の出力が出せるか?
その辺は魔法の適正に合わせて気合とか根性とか、扶桑の連中向けの精神論だったりするんだけど。
実際にそれで魔法は強化されるんで、以外と馬鹿に出来なかったりする。
その辺の魔法と精神の関係はウィッチの数だけあるみたいなんで、これは絶対にこう!ってパターンは無いみたいなんだけど、傾向くらいはわかる。
わたしの場合、風は自然体でいる方が充実しやすいみたいだし、ペリーヌのトネールは怒りを乗せてる方が強いみたい。
ちなみにこっちもウルスラから前に貰った手紙にかかれてた事だったりする。
じゃ、サーニャの場合はどうなんだろうと考えてみた。
サーニャの魔法は伝えるとか、受け取るとか、感じるとか触れ合う為のものかな〜、と。
だから一番強く出来そうな思いを乗っければきっとうまくいくよね。
「……サーニャはエイラの事が……大好きっ!」
頬を赤らめて、暗闇に向かって想いを捧げ祈る乙女。
絵になりすぎだぁ。
そして、ネウロイの攻撃は、止んだ。
ハルトマンシスターズの研究と推理はドンピシャ! いいかんじだねっ。
っと、まだ喜ぶには早い。
サーニャと、ついでにわたしを苦しめてくれた電子戦ネウロイを潰さなきゃ、私達の戦いは終わらない。
懐からピストル、W-PPKを取り出して、その感触を確かめた。
あいつは、さっきのサーニャと同じ状態にあるはず。
暗闇の中で一方的にこちらを叩いていたはずのあいつは、逆転された状況にきっとパニックを起こしてる。
さっきの怯える子猫の様なサーニャを思い出す。
ネウロイにも戦意とか士気とかいわれるものはある。多分、実際前線で戦ってないと解らない感覚、感触。
逆にそんな意思を失った相手は、脅威じゃなくなって狩られるべき獲物になる。
わたしの本能、嗅覚がそんな臆病者の臭いを嗅ぎ分ける。
魔法じゃない、戦場の空気から流れを読み取る、経験に裏打ちされた勘。
そして猟犬の嗅覚が、あいつの存在を嗅ぎ当てた。
雲海の底で溺れそうになってもがいてる獲物の存在を、嗅ぎ当てた。
隣のサーニャは目を閉じて電波の発信に集中していた。もうやり方を飲み込んでるみたい。
「サーニャ、そのまま電波続けてっ」
言い残して雲上に飛び出す。
サーニャは一瞬だけ何か言いたげだったけど、そのまま見送ってくれた。
強い意志の宿る瞳は「信じてます」って、言ってくれてた。
さっきのネウロイの攻撃でラジエターを損傷した左ストライカーは、さっきまでの機動と今の上昇で加熱が限界。
外せば次は無い。
数瞬遅れて、上空を旋回していた数機の中型攻撃ネウロイがこちらに気付いて機首を向け始める。
でも、もう遅いよっ。
雲海に闇に怯えた獲物が、もがく様に頭を出した。
コアの力でサーニャのような力を発揮していたのか、初めからコアは丸見えだ。
- 523 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:28:30 ID:VZ7rInKi
- 私はそのコア目掛け、稼いだ高度で得たエネルギーの全てをぶつけるつもりでダイブ!
W-PPKに魔力を乗せてフォイエル!
すれ違い様に目の前に大気を集めてシュトルム!
ネウロイはコアを砕かれて崩壊する。
同時に、限界を超えた左ストライカーが火を噴いた。
残るネウロイはあと6体。
私の行動はもう決まってた。
もう一度シュトルムを放つ為、意識を集中する。
動きの止まったわたしにネウロイが攻撃を開始。
妨害モードを終了して割り込んだサーニャが、シールドでフォロー。
通信機を失って直接会話できなくとも、互いの動きをカバーできる。
わたし達、いいロッテになれてる。
上昇中に天測で大体の位置と方位は確認済み。
時間も頃合ヨシ!
わたしは、ありったけの力を込めたシュトルムを、思いっきり雲海へと叩き付けた。
確信があった。
だから、暗闇の底まで突き抜けた雲海の穴から九つの星が昇っても驚きは無かったし、それどころか安心して眠くなってきたくらい。
後は任せたよ〜みんな。
そして、背中から白百合の香りに包まれると、わたしは意識を手放した。
オヤスミ〜。
- 524 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:29:12 ID:VZ7rInKi
- ごじつだん。
サーニャによるラブラブエイラECMは全ヨーロッパとリベリオン東海岸まで発信されてたみたい。
2人の仲は世界公認だー。
ま、サーニャ本人恥ずかしがって暫く部屋から出てこなかったけどね。……エイラの部屋だけど。
エイラもリアルタイムで全部聞いていたらしく、戦闘に入る頃には既に腑抜けふらふら腰砕け状態。
出撃時には一番意気込んでたのに一機も落とせなかったみたい。
流石のエイラも色々堪えたのか暫く部屋から出てこなかった。……自分の部屋からねー。
で、
「わたしってさ、2人の愛のキューピットみたいだよね」
って言ったら。
みんなから一斉に悪魔呼ばわりされちゃったよ〜……ギャフン><
- 525 名前:zet4j65z:2008/10/19(日) 23:30:08 ID:VZ7rInKi
- 以上となります。
長くなりすぎ、理屈っぽすぎ、サーニャが空気すぎ><
史実のハルトマンは結構勉強家だったと言う事で、
その辺は妹に助けられつつ活躍してると脳内設定。
エーリカxトゥルーデとエイラxサーニャのカプは既に成立してるものとしてます。
これからも懲りずに女の子がいちゃつきながらガチ空戦ってシチュを書いていきたいかな〜と思ってます。
というわけで、コメディには自信ないんで誰かアリスネタ書いて〜
- 526 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/19(日) 23:58:51 ID:ZD1pYJM3
- >>515
題名忘れたけど肉ネタの長編もたしかあったはず。
>>525
まってたぜ完結乙!
空戦ネタかかなくてどうする。
次も空戦ネタでたのむ。
- 527 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 00:42:04 ID:FS8Gp3E3
- >>525
>ま〜、ホントは口に出して言う事も無いんだけど、本人に気合をいれて貰う為&わたしが楽しむ為に言葉にしてもらってる。
これは外道www
空戦シーンもかっこよくて良かったよ。こういう軍モノらしい部分があるSS好きだ
ハルトマンは戦闘中は頼りになるなぁ
- 528 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 00:43:59 ID:HXaDrmCa
- >>525
お疲れ様
エーリカは本当に良いキャラしてるなぁ。
能天気だが勘だけかなり鋭いとかキューピット役には最高だ。
- 529 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 00:54:02 ID:5iUMKeOT
- >>525
完結乙!!堪能した
- 530 名前:しらない関係1/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:42:21 ID:73qmUGWk
- 前に次は甘いシャーゲル書きたいって言ってたひとです。甘くなったかは疑問だけど一応ふたりがデキてる設定なので注意。
あとちょっとえろいから注意。けっこう長いと思われる。
「いてっ」
ルッキーニがシャーロットの部屋の本棚をあさっていると、背後で声がした。そこにはベッドがあるはずで、そのうえ
でシャーロットがよくわからないちいさな機械をいじっているはずだ。だからルッキーニはきょうは相手にしてもらえず、
仕方なくおもしろくもない本棚を見学していたのだ。事態の変化にわくわくして、ルッキーニは勢いよくふりかえる。
するとシャーロットは、じっと自分の左の人さし指をながめていた。
「どったの?」
ぱたぱたと近づくと、シャーロットがそれがなあと指先を示した。するとそこには、真っ赤な色がついている。
「血だ」
「んー。ちょっとこいつでひっかいちゃって」
今度は右手にもったよくわからない機械を見せてくれる。よく見ればとがった部分があって、どうやらここに皮膚を
けずられてしまったらしい。
「シャーリー、いたい?」
「まあちょっとはね」
でもまあこんなもんは。そう言いかけたところで、ルッキーニに手をとられる。なんだろう、とシャーロットが思って
いると、ルッキーニはおもむろにそれを口にふくんだ。あれ、なんだ、いま自分でしようとしたことをなぜかやって
もらえた。やわらかい舌が、指のはらをなであげた。
「ル、ルッキーニ?」
裏返る声で言ったら、ルッキーニがひとまずそれを口から解放する。
「少佐がなめとけばなおるってまえに言ってたよ」
「え、あ、少佐? ああ、少佐ね。少佐が言ってたんじゃ仕方がないな」
「うえ、でも血っておいしくない」
ルッキーニは舌をだして眉をよせたが、またシャーロットの指を口にふくんだ。どうやら本気で治療行為をしている
つもりらしい。確かにこれはきくかきかないかで言えば一応効果のある方法だと思うが、しかしなんだこの背徳感は。
シャーロットは目下で自分の指を丁寧になめるこどもがとても危険なものに見えた。
(いや…しかし、これはなかなか……)
一生懸命な舌のうごきが指先につたわり、よこしまな思いがわいてきた。このまま無理矢理指を奥までおしこんで
かきまわしてしまいたい衝動をなんとかおさえながら、シャーロットはごくりとつばをのむ。そのとき。
「すまない、ちょっといいか。なんだか時計の調子がわるいみたいで……」
ノックもなしに部屋のドアがあく。そうすればもちろん訪問者があらわれるわけで、シャーロットは反射的に入り口の
ほうを見、そしてかたまる。
- 531 名前:しらない関係2/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:43:21 ID:73qmUGWk
- 「……バ」
「あ、ひゃいいら」
訪問者、バルクホルンもまたかたまった。そのなかで、指をくわえたままのルッキーニだけがたのしげだった。
金縛りにかかってしまったふたりの大尉のうちでさきに我にかえったのはバルクホルンだった。いまだ呆けるシャーロット
をぎんとにらんでからつかつかとふたりに歩みより、そして手に持っていた時計を思いきりふりさげた。がつん、と鈍い音が
ひびく。かたいそれとシャーロットの頭の天辺とが、まんまと見事に接触したのだった。
「いたい!」
「うるさい、ばか! こんなこどもになにをやらせているんだ!」
「な、なにって……」
もちろん、ただの傷の手当だ。そんな言い訳はしっかりと用意されているのにシャーロットは口ごもる。なんてったって、
さきほどまで自分がいったいどんな表情をしていたか見当もつかないのだ。ひょっとしたら相当の、目も当てられない
ようなだらしない顔をしていたのではなかろうか。
「ルッキーニ少尉、いつまでもそんなきたないものをくわえていなくてもいい、この変態は私がちゃんと制裁しておくから」
バルクホルンはルッキーニが両手で口もとにもってきていたシャーロットの左手をつかんで口からひきぬく。ルッキーニ
はふしぎ顔だ。いったいどうしてバルクホルンはおこっていて、シャーロットはなぐられたのだろう。
「へ、変態? 変態だって?」
「本当のことだろうが」
「誤解だって、いい加減にしてよ。いまのはだから……」
「ふん、どうやら私たちももうおわりのようだな」
「は? なんだよそれ、あんたすぐにそういうこと言うんだ。器がちいさいったらないね」
「なんだと!?」
「なんだよ!」
「ねえねえ」
徐々に熱をましていった言いあいがはっととまる。それからふたりは間から呼びかけてきた首をかしげるルッキーニ
を反射的に見る。
「おわりって、なにがおわるの?」
とにかくよくわからないことだらけだった。すでに述べたバルクホルンのおこっている理由とシャーロットがなぐられた
理由。さらにはふたりのけんかの理由。その内容だって皆目見当もつけようのない意味不明なものだった。それでも
けんかの観戦をしているのはそれなりにおもしろかったが、疑問のほうがつよい。ルッキーニは首をかしげて答えを
まつが、ふたりはなにやら汗をたらして向こうをむいてしまった。そしてルッキーニにきこえないように声をひそめる。
「……おい、ごまかせ。全力で!」
「なんであたしなんだよ」
「もとはと言えばなあ、きさまがあんな変態的な行為をあんなこどもにさせているのがわるいんだ」
「だからそれはちがうって言ってるじゃないか! そもそも失言したのはそっちだろ、あんたこそどうにかしてよ」
「だから失言する羽目になったのがきさまのせいだと言っている。この変態がっ」
「あ、また変態って言った。だったらこっちも言わせてもらうけどな、あんただって宮藤見てるときの顔は相当なもん
だよ。ええ? あたしのことだってあんなふうに見たことないくせに」
「み、宮藤? なんでいま宮藤がでてくるんだ!」
「あんただって変態だって言ってんだよ!」
「ねー! あたしのこと無視すーんーなー!」
- 532 名前:しらない関係3/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:44:24 ID:73qmUGWk
- 顔をよせて小声で大げんかをしていた上官ふたりに、まちきれなくなったルッキーニがタックルをする。バルクホルン
はぐえと言ってベッドにたおれこんでしまったがルッキーニの不意打ちにはなれているシャーロットはそのからだを
上手にキャッチし、それからさきほどのゆびさきをぐっとつきだした。
「ルッキーニ、なあ、さっきのはあたしが怪我しちゃったからなめてくれただけだよな、しかも自主的に。あたしがしてくれ
とはひとっ言だって言っちゃいない。そうだろ?」
ルッキーニはシャーロットにのしかかりながら首をかしげて、だけどすぐに思いだしたようにうなずく。
「うん! シャーリーがドジだから血がでちゃって、だからあたしが治してあげたの」
「なーそうだよなー。ほらな、見たことか。あんたのかん違いなんだよ」
勝ち誇った声をあげてとなりでベッドに突っ伏するバルクホルンを見たが、彼女はルッキーニの当たりどころが
わるかったのかうごかない。
「げ、ちょっとだいじょうぶかよ、まぬけだな」
「ル、ルッキーニ少尉、…やるじゃないか……」
「ねーそんなことよりさあ、さっきなんの話してたの?」
「……」
がばりとバルクホルンがからだをおこしてシャーロットの胸倉をつかむ。おい、全然ごまかせていないじゃないか、
と必死な目がにらむ。
「こっちがわざわざのびたふりまでしてやったのに」
「あ、ふりだったの今の。ほんとにい?」
「本当だ!」
耳元で大声をだされてシャーロットは顔をしかめたが、普段から機嫌のわるいバルクホルンがこれ以上不機嫌に
なってもいいことなんてないのでそろそろ遊ぶのもやめることにする。自分をつかむ手をひょいとはらってルッキーニ
にむきあった。
「ルッキーニ、おまえのおかげで血がとまったよ、ありがとう。そんでさ、このまんまじゃ傷がひらいちゃうかもしれないだろ」
きょとんとするルッキーニに指で示しながら説明する。だからさ、医務室から絆創膏とってきてくれないか。
「ばんそうこう?」
「おう、おつかいな」
「おつかい!」
ぴょん、ととびはねるように立ちあがって、ルッキーニは自信満々にかけだす。のせるのがうまいものだ、とバルクホルン
が感心していると、ドアから顔をだし手をふって見送っていたシャーロットがいきおいよくドアをしめてさらには鍵まで
きっちりかけてしまってぎょっとした。思わずまばたきをしていると、シャーロットは一仕事おえた顔で息をつく。
「……さ、最悪だなおまえ」
「なんだよ、あんたがごまかせって言ったんだろ。ルッキーニのことだ、あしたにはさっきのことなんて忘れてるさ」
ベッドにこしかけてあきれた視線をなげてくるバルクホルンにちかづき、そのとなりに座った。ぎしとベッドがなって、
ひょいと彼女の手のなかのものをとりあげる。
- 533 名前:しらない関係4/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:45:35 ID:73qmUGWk
- 「ノックしないんだもんな、あんた」
「ふん、いちいち無礼なきさまにおなじ思いをさせてやろうと思ってな」
シャーロットこそ、バルクホルンの部屋におとずれる際にノックを省くことがふつうになっていた。べつに急にはいられて
こまるような後ろめたいことはないと断言できるが、それでも気分はわるいのだ。
「案の定、あんなことをしているし」
「あのね、きいてただろさっきの。ルッキーニのやさしさじゃないか、あれは」
「そのわりにはたのしそうだったがね」
「なんだよ、嫉妬?」
「くだらない」
シャーロットが手のなかの、バルクホルンの持参したまるい置時計を目の高さにもってきて観察する。それからベッド
のうえにころがっていたドライバーをにぎった。
「あ、へこんでるよここ」
「おまえの頭がかたすぎるんだ」
「あーそうだ、なぐられたんださっき。こぶになったらどうしてくれる」
「しらんね。火のないところに煙はたたないそうだよ、イェーガー大尉」
嫌味たらしい呼び名に閉口する。なんだよやっぱり妬いてるんじゃないか。そっけない横顔にため息をついて、手を
とめる。時計は中途半端に分解されたまま放置された。
「あんたのふくれっ面は見飽きちゃった」
それからシャーロットは、ついとバルクホルンの胸元のリボンをひいた。ぎょっとした目がとなりを見るが、抵抗はしない。
「ここでするのは気分がのらない」
「なんでだよ」
「こんなちらかったベッドのうえじゃあ集中できそうにもないと言っている」
バルクホルンが口だけで拒否するが、シャーロットは意にも介さず作業をつづけた。ボタンをはずして、それから
バルクホルンのふたつに結わえられた髪をとく。意外と繊細な真っ直ぐな流れ。後頭部の上から下に指をとおすと、
バルクホルンははあとため息をつく。それからベッドのうえにほうりなげられている工具をわきによせて、気休め程度
の片づけをした。
「ねえ、あたしもぬがして」
「元気だよ、おまえは……」
バルクホルンの手がシャーロットのネクタイにかかる。慣れたうごきがそれを解き、几帳面な指がさきほどのシャーロット
とおなじ動作をする。丁寧にボタンをはずしているあいだ、自分のまえもすっかりとはだけていく。こいつはぬがされるのが
すきなんだよなあ、とバルクホルンはぼんやりと考える。そのわりにひとの服をひっぺがすのもきらいじゃないらしく、いつも
まずはじめに省略できない儀式のようにふたりしてお互いの服に手をかける。バルクホルンはこの時間がすこし苦手だ、
てれくさいじゃないか、とだれにでもなく言いわけした。
「……指、だいじょうぶなのか」
「え、ああうん。ただのかすり傷だから。心配しなくても全然つかえますって」
「ばか、そういうことを言ってるんじゃない」
「わーってるよ。むしろ、あんたになぐられたとこのほうが重症」
すっとシャーロットの左手がバルクホルンのあごをとる。そのまま指が一本のびてきて、ぴたりと唇にふれた。
- 534 名前:しらない関係5/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:46:43 ID:73qmUGWk
- 「……ね、心配ならなめて」
「……」
人さし指が、バルクホルンの唇を乱暴になぜる。こじ開けるつもりだということは容易に見当がつく。だがすなおに言う
ことを聞くのも癪だと思い歯をくいしばった。しかしそんな反応なんて、シャーロットにとっては想定のど真ん中だ。あいた
手を、白い肌の、心臓のそばにはわせた。首元から胸元にかけて、何度も何度も丁寧にくすぐるように、てのひらを
すべらせる。じらすうごきで敏感なところにはまだふれずに、目を合わせたまま肌を指で蹂躙した。絶対に言わないが、
バルクホルンの肌はくせになるんだ、とシャーロットは思っていた。
しつこくなでつづけるそのうちに観念したのか、バルクホルンはそっとシャーロットのうなじにてのひらをのばし、這わせる。
オレンジの髪がゆびさきにからんで心地よく、仕方がないな、という顔をつくってシャーロットの傷ついた指をたべた。ん、と
シャーロットは声をあげ、それから親指と中指でその両ほほを固定して指を奥まですすめる。舌をなでて歯をなぞり、
バルクホルンが少々苦しそうな顔をしても気にしない。
「あんた、これでルッキーニと間接キスしたってことになる。妬けるなあ」
「……、どっちにだ?」
指を舌のうえにおきながら、バルクホルンが器用に発音する。妙なことを聞く、決まっているのをわかっていて言わせたい
んだろうか。シャーロットはくっと笑ってから、あんたと間接キスしたルッキーニにだよ、とまじめな顔でささやく。どうだい
この素敵な口説き文句。シャーロットは内心ふふんと笑った。途端、指先に激痛がはしる。
「……っ」
声にならないさけびをあげて、あわててバルクホルンから手をはなした。じんじんとする傷口、そこには歯形とやぶれた
皮膚と、赤い血があった。
「な、なにするんだよっ」
「いやなに、急にいらっとしたものだから。しかし、あれだな。ひとの肉をかむってのは、最悪の感触だ」
気分がわるくて仕方がない、という顔でバルクホルンが眉をよせる。なんともおもしろい言い分じゃないか。シャーロット
はバルクホルンの肩をおしてベッドに背中をおとさせた。そのまま横からのしかかり、傷口がまたひらいてしまった指を
バルクホルンの心臓のうえにおしつける。すっと縦にひき、するとバルクホルンの胸元には一文字のかすれた赤の印が
できる。
「これで、あんたはあたしのもん、ってことで。どう?」
「悪趣味だな」
「そんなの、あんたとこんなことするようになった時点でわかりきってたことさ」
シャーロットの手が、やっと胸の突起にふれた。急なうえに奔放なうごきでせめられて、バルクホルンは思わず唇を
ひきしめた。それでものどの奥からもれる声は消せない。ごまかすように、自分を見下げる人物の首に両腕をまわして
ひきよせ、唇をふさぐ。そのまま問答無用で舌先でとじたそれをこじ開けて侵入した。
「ん……、は、はあ……」
どちらともなく声がもれる。シャーロットのてのひらはバルクホルンのふくらみにすいついたまま、それでも舌のほうも
抜け目がない。からめとろうとしてくるうごきをさらにからめとり、主導権をにぎる。バルクホルンは早々にあきらめて、
シャーロットのうごきにあわせた。
- 535 名前:しらない関係6/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:47:35 ID:73qmUGWk
- 「はっ……」
やっと解放されたころには、バルクホルンは肩で息をしていた。あんたって、キスがすきだよね、と自身も息を切らし
ながらもシャーロットは夢中になっていた目下の人物をからかった。するとバルクホルンはすこしだけむっとして、
それから服に手を侵入させる。じつはお互いまだまえを解放したままで、軍服のそでには腕がとおったままだった。
本当のことを言ってしまうと、バルクホルンはすべてをぬいでしまうよりは、こうやって中半端に着衣したまま行為に
およぶほうが興奮の度合が高かった。まあそんなことは、死んでもこのお気楽者には言いたくない。なにを言われるか
わかったものではないのだ。
すばやく服のなかで背中まで手をまわして、それから一本の指でつうと背筋をなぞった。
「あっ」
シャーロットは、背筋がなかなか敏感だった。高い声をあげて目をとじる。ぎくりとした。色っぽい表情。バルクホルン
はかっとはずかしくなり、さきほどのようにシャーロットの顔をひきよせる。しかし今度は、唇ではなく彼女の耳たぶに
かみついた。
「あ…や、……はあっ…」
背筋に爪をたてるのをやすめないまま、片方の耳も舌で侵した。ここもシャーロットの性感帯のひとつだ。舌のはら
をつかって全体をなめあげ、さきを細くして形をなぞりくぼみのなかまで犯していく。シャーロットは遠慮なく喘いだ。
それを聞くたびにバルクホルンの体温はあがっていく。こうやって自分が感じていることを隠そうともしない声に、
せめているはずのこちらが辱められて犯されているような気分になる。さらにはシャーロットはいつのまにか両手を
つかってバルクホルンの両胸をかわいがっていたし、まるで気がくるうかと思った。それはシャーロットもおなじらしい。
無我夢中でお互いをもとめた。
「や…あ、シャ、リ、んあっ……」
「あ、はあ……バルク、ホル…っあ」
無意識のうちに、ひざをお互いの下腹部におさえつけていた。からみあって、もうにげられそうにない。ゆっくりと、
まるで息を合わせたように、ふたりは相手のそこへと指をのばしていった。
- 536 名前:しらない関係7/7 j4ntaz3y:2008/10/20(月) 01:48:15 ID:73qmUGWk
-
---------------
「あれー?」
ルッキーニがシャーロットの部屋のドアノブをにぎる。しかしそれはまわらない。鍵がかかってる、とルッキーニは
首をかしげた。
「あら、どうしたのルッキーニさん」
「あ、中佐だー」
ぱっと笑って、ルッキーニは背後から声をかけてきたミーナにむかいあう。それから絆創膏を見せつけた。おつかい
がちゃんとできたという証拠の品だ。
「シャーリーがけがしたから、ばんそうこうとどけてあげようと思ったのに、鍵かかってるの。バルクホルン大尉も
いっしょにいるはずなのに」
かがんで目線をあわせながらふむふむと頷きながら聞いていたが、ミーナは最後のほうででてきたなまえにはっと
する。それから鍵のかかったドアを見つめて、さっとほほをそめた。
「……ルッキーニさん、だいじょうぶ。ちょっとした怪我なら、なめておけば治るの。なめておけば……」
口もとに手を当てながら目をふせたミーナをふしぎに思いながら、聞き覚えのある台詞にルッキーニはうれしくなる。
「しってる! 少佐も言ってたよ」
「え、美緒、美緒も?」
ふせていた視線をぱっとあげて、それから数秒思案顔をつくったあとミーナがたちあがる。
「そう、美緒も言ってたの……。さ、ルッキーニさん、こんなところにいてもどうせまだまだ鍵はあかないんだから
いきましょう」
なんでわかんの?そう言いたげなルッキーニの手をとって、ミーナはあるきだす。
「あ、そうだ。ねえねえ、バルクホルン大尉が私たちおわりだなってシャーリーに言ってたの。あのふたりになにが
はじまってたのか中佐しってるー?」
「そうねえ……」
ルッキーニの好奇心を話半分に聞き流しながらミーナは手をひいた。なにせいまの彼女の頭のなかには、美緒の
まえでいかにさりげなくちょっとした怪我をするかのシュミレートがくりかえしおこなわれていたのだから。
おわり
正直えろいのは一年ぶりくらいに書いた
シャーゲルは付き合ってるのひた隠しにしてるけどばれてるひとにはばればれな感じだといいと思う
- 537 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 02:25:41 ID:Xa8fcpHr
- ぶは!吐血!
相変わらず良いプロットだが今回はまたセリフがすばらしいな
前スレあたりからたまに巧妙なssが投下されるようになったと思ってたけど>>525>>536両名の仕業だと確信した
- 538 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 02:31:32 ID:fweZIgu5
- はぁ〜〜〜〜
大尉ーズはほんとうにHだなぁ!乙!!
- 539 名前:滝川浜田 『週刊SW(百合)ニュース』:2008/10/20(月) 03:05:57 ID:IP/Qt1hm
- こんなド深夜にSS投下します。オールキャラでニュース番組風ギャグです。
〜〜♪(アニメ ストライクウィッチーズの次回予告のテーマ)
キャスター:ペリーヌ・クロステルマン
ペリーヌ「皆さん、こんにちは、お昼のニュースです。
ではまずは最初のニュースです」
ペリーヌ「昨日、午前3時頃、ゲルトルート・バルクホルンさんの二股が発覚しました。
先日、バルクホルンさんはミーナ・ディートリンデ・ヴィルケさんと恋人関係にあると報道しましたが、そのあと割とすぐ、エーリカ・ハルトマンさんとの関係も発覚しました。
以下は三人のコメントです」
バルクホルン『違う。これは浮気じゃない。確かに私は、ミーナと付き合っている。
…だが、エーリカに関しては、私とミーナの関係に嫉妬したエーリカの差し金なんだ』
記者『結局、エーリカさんとは関係を持ったのですか?』
バルクホルン『……一度だ。一度だけだ。だが、エーリカとはそれきりだ』
ミーナ『正直、ショックです…。
あの夜、トゥルーデは私の耳元で「愛してる」って囁いてくれたのに(泣き崩れる)…』
エーリカ『…好きだから、しょうがないじゃん。
好きな気持ちは止めらんないよ。私だって、トゥルーデの事、好きなんだから…』
ペリーヌ「なお、これに関してバルクホルンさんは『あれだ、一夫多妻制なら何ら問題ないハズだ!!
そうだ、今すぐ法律を(ry』とのたまっているそうです」
- 540 名前:滝川浜田 『週刊SW(百合)ニュース』:2008/10/20(月) 03:08:49 ID:IP/Qt1hm
- ペリーヌ「続いてのニュースです。
先ごろ、宮藤芳佳さんとリネット・ビショップさんが、婚約会見を開きました」
パシャッパシャッ(カメラのフラッシュ)
記者『宮藤さん、リネットさんのどこを好きになったんですかー?』
芳佳『えっ…えっと……あの、優しいところと可愛いところかな…//////』
リネット『ちょっ、芳佳ちゃんっ…//////(バシッと芳佳の肩を叩く)』
記者『それでは、リネットさんは宮藤さんのどこを好きになったんですか?』
リネット『あっ、あの…//////…ぜっ、ぜっ、全部ですっ…//////……はっ…//////』
芳佳『ちょっ、ちょっとリーネちゃんっ…//////はっ、恥ずかしいよおっ…//////』
リネット『あああ、ごごごごめんなさい、芳佳ちゃんっ…!!//////』
ペリーヌ「なお、新婚旅行は宮藤さんの故郷である扶桑で行われる予定だそうです。
また、会見後、宮藤さんは、『私達、幸せになりまーす!』と大々的に幸せアピールして、会場の独身の記者をイラっとさせたそうです」
- 541 名前:滝川浜田 『週刊SW(百合)ニュース』:2008/10/20(月) 03:12:36 ID:IP/Qt1hm
- ペリーヌ「続いてのニュースです。エイラ・イルマタル・ユーティライネンさんと、サーニャ・V・リトヴャクさんが先ごろ、結婚式を行いました。
その様子をどうぞ」
記者『エイラさん、只今の心境はどうですか?』
エイラ『私は…遂に…サーニャと結ばれた…私の夢が叶ったんダ(歓喜の涙を流す)…。
嬉しすぎて言葉も出ナイ……!!』
記者『それでは、サーニャさんはどうですか?』
サーニャ『………(無言でエイラの腕にギュッと抱き付く)』
エイラ『…あ、あっ、サーニャッ、ちょっと大胆過ぎるんじゃナイカ…!?//////』
サーニャ『…エイラ…』
エイラ『ナ、ナンダ?』
サーニャ『…幸せに…なろうね…//////』
エイラ『………∞☆〒※†ゎΣゑβΩ#+◎$っ………………!!!!!!!!!(目の前がブラックアウト)』
ブハァッ
ドサッ
ペリーヌ「鼻血を盛大に噴き出したエイラさんは式直後、病院に運ばれましたが、命に別状は無くしばらく休んでいれば、直に治るとの事です。
なお、これに関してエイラさんは『サーニャは小悪魔過ぎるんダ…危険過ぎる…』
と言い残し、再び気絶したそうです」
- 542 名前:滝川浜田 『週刊SW(百合)ニュース』:2008/10/20(月) 03:15:40 ID:IP/Qt1hm
- ペリーヌ「続いてのニュースです。
昨晩、シャーロット・E・イェーガーさんとフランチェスカ・ルッキーニさんが密会していた問題で、シャーロットさんのロリコン疑惑が持ち上がりました」
シャーロット『ち、違うって!あたしはロリコンなんかじゃないって!
…え?だったらルッキーニの事は愛してないのかって?
いや、そんな事聞かなくても分かるだろ!
まあ確かに、「ルッキーニのこのちっさい胸がたまらないんだよなぁ〜」とか、キスする時、ルッキーニが足をちょっと伸ばすのが可愛過ぎるっ!」とか思ってるけど、あたしはロリコンじゃないからな!
……え?なに?そう思ってる時点でもう既にロリコンだって?
いや、だから(ry』
フランチェスカ『シャーリーがロリコンな事について?
あたしはシャーリーがあたしを好きでいてくれればロリコンでもシスコンでも構わないにゃ〜♪
え?シャーリーがロリコンだったらあたしが成長したら興味が無くなるかも知れない…?
(以後10秒ほど黙る)
ニャアアアアアアア―――――――ッ!!!!!
それはダメ!それはダメ!シャーリーには大人になったあたしも愛して貰いたいもんっ!!!
シャーリー―――――――ッ!!!』
(物凄いスピードでどこかへ消える)
ペリーヌ「なおこの後、シャーロットさんとシャーロットさんの元へ超音速で向かったフランチェスカさんは、いろいろ一悶着あったそうですが、最終的には
『ああもう面倒くさいからロリコンでいいや!!
あ、でも、ルッキーニは別だから!ロリコンとかそんな次元じゃないから!』
という結論で、両者が納得したそうです」
- 543 名前:滝川浜田 『週刊SW(百合)ニュース』:2008/10/20(月) 03:20:47 ID:IP/Qt1hm
- ペリーヌ「最後のニュースです。坂本美緒さんが……お見合いをするぅぅぅっ…!?」
タタタッ、ガチャッ
なぜか、スタジオから出て行くペリーヌ
…数分後。スタジオに戻ってきたペリーヌの全身には大量の重火器が。
ペリーヌ「……以上、お昼のニュースでした」
〜〜〜♪(ブックマーク ア・ヘッド《美緒×ペリーヌver.》)
と、同時に、スタジオから足早に出て行くペリーヌ
おわれ
以上です。
深夜ウダウダしながらラジオ聴いてたら、思いついたネタなので、思いっきりアホな方向に走ってますが、許して下さい。
ごめんなさい…。
あとオールキャラっていいながら、もっさんのセリフがなかったのは、許して下さい(二回目)…
では、爺は寝ます。おやすみなさい…
- 544 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 03:33:50 ID:fweZIgu5
- 深夜にじいや乙!!!
し・か・し
ミーナの旦那は少佐ーーーー!!!!!
トゥルーデはミーナの〜〜〜
慰めてもらう(性的ないみで)相手と主張したいw
- 545 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 03:36:55 ID:yOKKBmWI
- お見合いって普通に扶桑の撫子とするもんだと信じて疑わなかった
- 546 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 03:50:25 ID:ZsBzxq+y
- >>530
着衣のままするのが好きb
っていかにもカールスラント変人って感じでもうコレはバルクホルン公式設定でいいんじゃなかろうか
- 547 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 07:32:15 ID:W0BaoNzz
- みんなGJ
昼にでもゆっくり読ましてもらいましょう
ちなみに450超えたね
そろそろ次スレの次期
- 548 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 07:35:33 ID:MrjnMf0y
- カールスラント組はよくミーナかエーリカがあぶれてるけど、
仲良く3Pでいいと思うんだよナ。
夜な夜なミーナとエーリカの二人がかりで撃墜されまくるトゥルーデ。
本気をだせば私たちをはねのけられるのに、どうしてしないのかしらね?
ホントはこういうのだいすきなんだもんね?トゥルーデ。
みたいなのが良いなぁ。
- 549 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 09:02:33 ID:Ryw2hbdq
- >>525
注目してた組み合わせのSSキテター
ハルトマン姉妹の設定の生かし方が面白いね、こういう理屈は大好きだw
ECMが発動した時救援に向かってる編隊の反応が気になるなぁw
- 550 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 12:01:15 ID:ZsBzxq+y
- 此処の次スレの予感の早さはBBSPinkいち〜!!!!(かな?
バルさんはアレだね。ホモ2次でもテンプレな『キマジメ+年上+受け+ホントはド変態』キャラよね
- 551 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 12:04:09 ID:qjgW1rUf
- まだ500の半ばなのに455KBとかw 凄いなw
- 552 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 12:24:49 ID:ugoqyEFE
- スレで勢い1,2位だからな
クオリティの高い職人さん多いし、スレも平和だし、素晴らしいスレだ
>>525
ラブラブエイラECMを聞いていた隊員達…特にエイラさんの反応がすごく気になります…
- 553 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 12:36:40 ID:hYckyGUH
- そろそろDVD発売?
- 554 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 14:20:56 ID:kUXhxpEs
- パンツじゃないから恥ずかしくないも
- 555 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 14:25:47 ID:eFnGNqCi
- なぜかリネーヌってSSないんだな
エンディング一緒だったし、ロードレ×マミーナとかエルス×ニナが好きだった俺にはたまらないカプ
だったことに最近になって気づいたんだが
- 556 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 14:54:57 ID:HyMzdWoO
- 調べてたら北欧圏では口と口とでキスをして親愛の情を表すことがあるらしい
これを同性同士でやってたらまわりからはどう見えるだろうか
- 557 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 15:00:14 ID:50Yoz3Nq
- エイラーニャが生きがいの日々です
- 558 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 15:08:39 ID:XJJuWhjJ
- リネーヌって呼び方は新しいな。ペリーネで定着したもんだと思ってた。
- 559 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 16:13:54 ID:hYckyGUH
- ペリーヌとリーネはなぁ
- 560 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 17:15:47 ID:LNvHSry4
- 天然とツンデレは結構合うんじゃないかと思う
- 561 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 17:16:28 ID:AxPE4pw3
- >>548
今すぐそれをSSにry
- 562 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 18:14:23 ID:iujii17R
- >>548
最高
トゥルーデ受けバンザーイ
- 563 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 19:01:37 ID:Crx3Fs/z
- ペリーネは恋人というよりは姉妹って感じがする。
面倒身が良い天然のお姉ちゃんとツンデレだけど甘えん坊な妹みたいな。
終戦後、ペリーヌはリーネの家にお世話になってて二人揃って嫁入り修行中だといいな。
- 564 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 19:10:38 ID:kUXhxpEs
- チンチン握って待ってるから早く
- 565 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 19:16:45 ID:2rSkV7M4
- サーニャとルッキーニだとどうなるんだろ
- 566 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 19:44:38 ID:pssneNZY
- ルッキーニャ
- 567 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 19:45:52 ID:Sw8OZyE6
- >>566
なんかカワイイナ
- 568 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 20:22:53 ID:W0BaoNzz
- ニャ がつくとサーニャぽくて良いよな
- 569 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 20:56:32 ID:5iUMKeOT
- そろそろ次スレとか言われてるようなのでkskついでに>>419の続きでも投下しようと思います。
カールスラント組シリーズの一応の最終回となります。
欲望にあまりに忠実に書いた結果アレな展開になってますが仕様です。
長め、微エロですがよろしければどうぞ。
カップリングはネタばれになるので敢えて伏せます。
トゥルーデ視点で、「Tertiaer Auserlesen」です。
- 570 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 20:58:29 ID:5iUMKeOT
- 奇妙なことというのは本当に起こるもので、
冷蔵庫にしまったはずのバターが突然なくなったり、
使いたい時に限って耳掻きやらの小道具が出てこなかったり。
大抵の場合当事者はポカーンとする他ないわけで、
後から原因がわかって得心がいけばそれで終了、
わからなくてもそのうち忘れて何も思い出せなくなるものなのである。
だが困ったことに、私に起きた奇妙なことは、
どうやら私をこの先一生ポカーンとさせ続けるつもりらしい。
何てことだ。
────────
夜、大浴場で鼻歌を歌っていると、後ろから騒がしい声が聞こえてきた。
イェーガーとルッキーニだ。
「にゃっははははははははは!!お風呂──!!
シャーリーとおっふろ──!!!!」
「おいおい、走ると転ぶぞー。」
機嫌が良かった私はとりあえず爽やかに無視して目を瞑る。
何てったって今日は、初めてミーナからの"お誘い"があったのである。
いやっほう!
足を組み直して天井を見上げると、頭の痛くなるような巨大な下乳が視界に飛び込んでくる。
「カールスラントの堅物が鼻歌かい?
こりゃあ明日は雨かな。」
「そんな日もある。たまにはいいだろう。」
イェーガーはどういうわけか私の横にザブンと浸かると、
ルッキーニの動きを見ながらヒソヒソと話しかけてきた。
「最近ハルトマンのヤツがお前に色々してたみたいだけど、
あれは結局どうなったんだい?」
「終わったよ。多分な。あいつにはもう話したし……」
「話した?何を?」
「何ってミーナと……あ!いや、何でもない。」
危うく口が滑るところだった。危ない危ない。
「何だよー。最後まで言ってくれよ。」
「断る。とにかく、あいつとは何もかも元通りだ。問題ない。」
「ちぇー、つまんないの。
あたしはてっきり隊長とハルトマンがあんたを取り合ってるのかと思ってたよ。」
「なっ……!?」
「あれ?図星?」
- 571 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 20:59:26 ID:yOKKBmWI
- 600もいってないのに次スレとか…
テキスト用ろだ要るな
- 572 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:00:03 ID:5iUMKeOT
- 信じがたい洞察力だ。勘弁してくれ。
「そ、そんなワケあるか!!大体お前は──」
「シャーリー!!まだー!?」
「おっと、ここまでだ。
とりあえずお幸せにな。」
「だから違うと言ってるだろうが!!」
イェーガーはニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべながらルッキーニの方へ歩いていった。
まったく、何なんだあの女は。
これだからリベリオンの連中は情緒がなくて困る。
その点ミーナは、実にカールスラント人らしいな。
扶桑人よりもおしとやかで、ロマーニャ人よりも才気に溢れ、
オラーシャ人よりも美しく、ブリタニア人よりも繊細だ。
リベリオンの田舎娘など足元にも及ばない……そう!!まさに世界一!!
ミーナこそ世界一の女性というに相応しい!!
ああ、なんてことだ。私は世界一の女性を自分のものにしてしまったのだ。
あまつさえこのあと、ミーナの部屋に呼ばれていて、
恐らくキ、キスもして、それから、その……あの……アレだ!!!!
「いやっほおお────う!!」
ザッパーン!!
「……シャーリー、何か怖いよう」
「明日は雪だなー。夏なのに……」
────────
風呂でははしゃぎ過ぎた。反省しよう。
とにかく落ち着かねばなるまい。いつも通りだ。問題ない。
まずドアをノックしよう。するとミーナが中から「入って」と言う。
私はいつも通り、するりと中に入る。そしてさりげなく鍵を掛ける。
ミーナはどんな格好で出迎えてくれるだろうか。
私はいつもの制服を羽織ってきてしまったが大丈夫だろうか。
最初に何と話しかければいい?しまった、考えておけば良かった。
優しい言葉がいいだろうか。砂糖よりも甘い、とろけるような……。
いやむしろ、ちょっと強引なくらいがいいかもしれない。
片手でぐいっと抱き寄せて、「ミーナ、今夜は君を────」
「トゥルーデ」
「うわあーお!?」
突然名前を呼ばれて飛び上がってしまった。
後ろを振り向くと、ミーナがいつもの制服でつかつかと歩いてくるところだった。
「来てくれたのね」
ふと気付くと、もうミーナの部屋の前だった。
危うく素通りするところだった。危ない危ない。いつも通り、いつも通り……
「何浮かれてるのよ。みんな噂してたわよ。」
「す、すまない。ただ、ミーナのことを考えると私は……」
「くす、いいのよ。さ、入って。」
ミーナは照れくさそうに自分の部屋へと招き入れた。
多少予定と違うがまあいい!!ミーナのすることは正しいのだ。
この程度、幾度となく繰り返したシュミレーションによって予測済みだ!!
- 573 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:01:50 ID:5iUMKeOT
- ────────
前言撤回、この展開は予測不能だった。
「よっ」
「揃ったわね。とりあえずトゥルーデも座ってくれる?」
「何でハルトマンがいるんだ。質の悪いドッキリか?」
「いたら何かおかしいかしら?」
「当たり前だ!!私はミーナと……その……」
落ち着け。落ち着こう。話はそれからだ。
「今日は相談がしたくてあなたを呼んだのよ、トゥルーデ」
「私もね。」
「はあ……」
わけがわからないが、とりあえずベッドのハルトマンの隣に腰掛ける。
部屋の唯一の椅子にはミーナが座った。
「一杯どお?」
「いらん。」
「いいからいいから」
「あのな……」
唐突にハルトマンがウイスキーを勧めてきたので仕方なく一口だけ口にする。
「さて、それじゃあ本題に入りましょうか。
回りくどいのは面倒だから簡潔に話すわ。
ねえトゥルーデ、私達は家族、とあなたは言ったわよね。」
「ああ、もちろんだ。」
「自分以外の家族が不幸せになったら、それはよくないことよね。」
「同意しよう。」
「家族は助け合い、お互いの為に努力すべきよね。」
「まったくその通りだとも、ミーナ。」
「じゃあ決まりね。
今日から私達は三'人'で'恋'人'同'士'ということで。」
ウイスキー吹いた。
- 574 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:03:24 ID:5iUMKeOT
- 「は?」
「私とあなただけが恋人同士だとフラウが不幸せだから、
今日からはフラウも一緒によろしくねv」
えっと、その、なんだって?
と思っても目の前のミーナはにっこり笑って問答無用モードだ。
しょうがないので左を向くと、ハルトマンがこっちを見て同じくにっこりした。
「そおいうことで!」
こいつと私が恋人同士?
「なんで?」
「だって、私だけ独り身なんて淋しいじゃん。
二人だけ幸せになろうったってそうはいかないよ。」
「しかしだな……」
「それともトゥルーデは私のことはどうでもいいって思ってるの?」
「いや……そうじゃなくて……」
なるほど、これが思考停止というやつだな。
頭が全く働いてくれない。どうしろっていうんだ。
「私はトゥルーデが好きだよ。」
もっと止まった。
「それからミーナも好き。だから、一緒にいたい。それだけなの。」
「そういうことよ。」
視線をミーナに戻した。
「私も最初は戸惑ったけど、フラウを見捨てるなんて私にはできないわ。
それなら、一緒にいるしかない。違うかしら?」
「…………。」
「私はあなたが好きよ。でもフラウも好きなの。
あなたはどうなの?」
……………………。
…………。
…。
。
「わからん。」
- 575 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:04:52 ID:5iUMKeOT
- ────────
私は正直に言った。
「そんなこといきなり言われてもだな……。」
「うーん、やっぱ素面じゃあ無理があったよ、ミーナ。」
「もう一杯飲ませてみようかしら?」
「私を何だと思ってるんだ。」
「それなら……」
二人は何か意味ありげな目配せを交わすと、
何故かゆっくりとにじり寄ってきた。
「身体に訊くしかないわね。」
「だね。そいじゃ……」
何をするつもり────
「てりゃ!」
「うわあ!?」
まずミーナが突然ガバッと手を伸ばした。咄嗟に頭を伏せる。
しかしそれはフェイントだった。腰が浮いた僅かな隙にハルトマンが後ろに回り込んで私を羽交い締めにした。
半秒もかからなかった。見事な連携だ……って、それどころではない!!
「は、離せっ!!」
「やだ。」
「ミーナ、これは一体……!?」
「ふふっ、大丈夫よ。優しくしてあげるから……。」
ミーナはベッドに乗りかかると、動けない私の唇に突然キスをした。
それから肩をそっと抱いて、そのままハルトマンごと後ろに押し倒してしまった。
「んぅ……!?」
「あーっ、ずるい!!私もーっ!!」
ミーナのキスが激しくなってくる。
同時に、首筋をぺろぺろと舐められて飛び上がりそうになった。ハルトマンだ。
「やめ……んく、ん、ちゅ……」
ろくに抵抗もできないまま、完全に二人に挟まれてしまった。
頭の中はぐちゃぐちゃで、最早何を考えるべきなのかすらわからないというのに、
身体だけは意識と無関係に快楽だけを求めていた。
誰かこの状況を整理できるものならしてみろ。
私はそろそろ投げ出したい気持ちでいっぱいだ。
「あは、もうこんなに濡れてる。
トゥルーデが一言"いいよ"って言えば毎日でもこうしてあげるよ……?」
「んぐ……!!っぷは!!」
「気持ちいいの?」
「やめ……ぅああっ!?どこ触って──」
「体が熱いわよ、トゥルーデ……ふふっ。いい子ね。」
「んふ…うあ、は……ああ……や、やあっ──!?」
服を脱がされ、体中を蹂躙され、もう何がなんだかわからない。
意識も思考回路も絶賛沸騰中、理性も今にも千切れ飛んでいきそうだ。
もう好きにしてくれ。
- 576 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:06:24 ID:5iUMKeOT
- ────────
「頭はスッキリしたかしら?」
私の意識が戻ったことに気付いたのか、ミーナが耳元で囁いた。
「何とかな。」
軋む身体を無理矢理動かそうとすると、
いつの間にか自分が両腕で二人を腕枕していたことに気付いた。
所謂"両手に花"というやつだ。
「それで、考えてくれたの?私と──」
ミーナはハルトマンの方を見遣って首を小さく傾げた。
頭を反対に向けると、ハルトマンがゆっくりと目を開け、甘えるように摺り寄ってくる。
「──私はあなたにイエスと答えて欲しいわ。
これはフラウの意志じゃなくて、私の本心よ。」
「ノーと言ったらどうするつもりなんだ?」
「その時はせいぜい、フラウに慰めてもらうわよ。」
そう言うとミーナはむくりと少しだけ起き上がった。
肩肘をついたまま短くハルトマンの名前を呼ぶと、
ハルトマンもゆっくり起き上がってそのままミーナにキスをした。
まるで頭の中で炸薬が暴発したような衝撃だった。
- 577 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:08:19 ID:5iUMKeOT
- それは、他人のキスを至近距離で見せつけられたとか、
愛する人を親友だと思っていたやつに奪われたとか、
そういうどうでもいい理由なんかではなかった。
なんと美しいんだろうか。
よく見知った二人がその唇を通して繋がっている。
ただそれだけなのに、それはどこまでも淫靡で、背徳的で、
驚くより先に私はその光景にただ見惚れていた。
ミーナはひたすらにより深い交わりを求め、ハルトマンがそれに熱心に応える。
ちゅ、と短い水音と共に再び2つの唇に分かれると、
零れ落ちる唾液が滴となって銀色の糸を紡ぎ出すのだった。
「わかったよ。」
半ば惚けている二人を溜め息で呼び戻して、私は言った。
「わかったさ。ああ、よくわかったよ。
まったく、誰かの言う通りだ。今回ばかりは流石に呆れたな。
私はミーナと同じくらい、ハルトマンのことも好きだったんだ。
でなきゃこの感情はなんだっていうんだ。
こんなに、……こんなに、愛おしい気持ちになったのは初めてだ。
自分のあまりの鈍感さに目眩がするよ。まさに今この瞬間まで、
そんな簡単なことにも気が付かなかったんだからな。」
そうだ。
私は二人を、全く同じくらい好きだったのだ。
私がハルトマンに感じていた妙な気持ちは決して罪悪感などではなく、
思考すら常識に捕らわれていた私の、本能からの叫びだったのだ。
なるほど、"堅物"とは、言い得て妙だったというわけだ。
「それじゃあ……」
「ああ、いいとも。答えは"イエス"だ。
二人まとめて、私が幸福にしてやる。約束しよう。」
言い終わるか否かというところで。両側から死ぬほど強く抱き締められた。
「あ、あんまり締め付けるな。痛いだろうが。」
いや、まったく。
- 578 名前:Tertiaer Auserlesen ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:09:26 ID:5iUMKeOT
- ────────
後から聞いた話では、エーリカは先にミーナに同じ手を使って見事陥落させていたらしい。
目的の為には手段を選ばないのは実にあいつらしいが、
そんな話を聞かされては、まるで全てがあいつの手の上で踊らされていただけな気さえしてくるから困る。
無論、自分の気持ちが誰かに仕組まれた結果だというのは考え過ぎなのだろうが、
三人という現実を振り返る度にいいようのない作為を感じるのは、
きっとこれが文字通り、奇跡というやつだからなのだろう。
何しろ"二人の出逢いは奇跡"なんていうくらいなのだ。
三人が一緒だなんて、奇跡を通り越して最早傍目には狂気とさえ映るかもしれない。
私達の関係はどこまでも不安定で、ぎこちなくて、
一歩踏み外せばいとも簡単に壊れてしまうような、脆いものだ。
だが、私はそれを乗り越えるだけの絆が私達にはあると確信している。
誰が何と言おうと、この選択こそ正しかったのだと、胸を張って言える。
「何ぼーっとしてるんだよ、トゥルーデ。」
「今車回してきたから、いつでも出発できるわよ。」
後ろで二人の声がする。
部隊は解散し、仲間達ともしばしの別れを告げてさよならを言ってしまったが、
それでも一番大切な二人は、今私の名前を呼んでいる。
それだけで充分だ。
「「トゥルーデ!」」
「ああ。今行く。」
最後に基地の大きな門に別れを告げて、私は歩き出した。
先のことなど何もわからないが、怖いものなどもう何もない。
この三人が一緒ならば。
「では、帰るとしよう。私達の故郷へな。」
endif;
- 579 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 21:11:32 ID:5iUMKeOT
- 以上です。読んでくださった方ありがとうございます。
そもそも「一人あぶれるなら3Pでいいじゃん」とか思ったのが書き始めたきっかけでしたが、
いざやってみたら何だかふしだらというか節操ない感じになってしまいました。>>548、あとは任せた!!w
でまあ、番外編のシャーゲルが既に書き上がってるので明日辺り次スレに投下しようと思います。
さて、スレ立ては有志に任せて私は更新作業するかな。
- 580 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 21:19:23 ID:+1uCygT6
- >>536のシャーゲルだけでも幸せなのに、>>579までシャーゲルくる〜!?
3Pだなんてゲルトさんモテモテっすねw
ゲルトがたまに見せるであろう笑顔は、ペリ犬妄想の中のもっさんの笑顔に
匹敵する殺傷能力があるんじゃないかと思う。
カールスラント組だけが真相を知ってる気がする…
- 581 名前:滝川浜田 『誰も知らない〜nobodyknows〜』:2008/10/20(月) 21:30:53 ID:IP/Qt1hm
- 投下しますが、悲恋注意。
エーゲル、シャーゲル、シャッキーニです。
――誰も知らない。
あたしがカールスラントの堅物に想いを寄せている事なんて。
いや、誰も知らなくても良いのかも知れない。
告白したところで、結果なんて見えてる。
そしてあたしは知ってる。
堅物には好きな人がいる事。
ルッキーニがあたしに想いを寄せている事。
でも、それすらも、誰も知らない。
――誰も知らない〜nobodyknows〜――
あたしは見てしまった。
堅物がエーリカとキスしてる所を。
あたしが一番見たくなかった場面だったのに。
あたしはなんて運が悪いんだろう。
ああ、あたしの恋は終わったんだなって、まざまざと思い知らされた。
「シャーリー」
「なんだよ、ルッキーニ」
「残念…だったね」
「慰めてくれるのか?」
「……別にそんなんじゃないけど」
「…なあ、ルッキーニ」
「なに?」
「あたしと付き合わないか?」
二人の間には肌が痛く感じるほどの沈黙が走る。
- 582 名前:滝川浜田 『誰も知らない〜nobodyknows〜』:2008/10/20(月) 21:34:28 ID:IP/Qt1hm
- 「…それ、あたし大尉の代わりって事じゃん」
「ルッキーニ」
「代わりで付き合うって言うなら、あたしは嫌だ。
シャーリーには…本当のあたしを知って欲しいから」
「…ルッキーニ…」
「あたし、同情なんかでシャーリーと付き合ったりなんかしない。
…あたしそんなに軽くないもん」
「……ごめん…」
ルッキーニはあたしの手の甲を軽くつねって。
「あたし、いつかシャーリーが本気で振り向くような女性になるから。
…大尉に負けないような、魅力的な女性に」
「…ハハ、待ってる」
あたしの左手の痛みはその証か。
ルッキーニはイタズラっぽく笑うと、トテトテとどこかへと走り去って行った。
――誰も知らない。
あたしが堅物に恋をしていた事。
そしてその恋が終わりを告げた事。
誰も知らない。
あたしとルッキーニが交わした約束。
でも、これは、誰も知らなくて良い事。
この約束はあたし達だけの約束。
――もう、誰も知らない。
END
以上です。
うーん、今の自分の気分がSSに出ちゃったような…
でも大丈夫、明日には元気になるさ!
…という事で、爺はお風呂に入ってきます…
管理人さん、いつも乙です!
- 583 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:21:08 ID:AxPE4pw3
- >>579
GJすぎる!カールスラント組最高だなwニヤニヤが止まらんかった
>>573ウイスキー吹いた の一文で俺も緑茶を吹きました。いやはや、とにかくGJだぜ!
>>582
なんか斬新。(シャッキーニが両想いじゃないなんて!)
しかしGJ!トゥルーデとエーリカのキスシーンの詳細を是非とも知りたいところだ…
- 584 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:22:53 ID:W0BaoNzz
- おねーちゃんの人気に嫉妬w
カールスラントトリオは良いなぁ
というか今日中に次ぎスレ立てる?
- 585 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:51:10 ID:hYckyGUH
- もう次スレの季節か
- 586 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/10/20(月) 22:51:47 ID:5iUMKeOT
- GJありがとう!とても励みになるよ。
で、今編集してて気付いたんですが、次でSS300本目のキリ番ですよ。
投下を躊躇っている暇は無いぜ!!
という加速燃料を置いてみるテスト。
あ、でも長編は次スレの方がいいかも。
- 587 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:52:00 ID:FBKoTHo3
- 投下は待ったほうがいいですかね?
- 588 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:54:48 ID:HZ31yEti
- まだ余裕だからさぁ投下したまえ
- 589 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 22:58:57 ID:FBKoTHo3
- じゃあ最近少ない少佐分を・・・
見づらいかもしれませんが・・・
グラスに入った氷がバーボンに解けてゆく。
ゴルフボール大だったはずのそれは、今や細かいガラスの破片のようになっていた。
私はグラスを月明かりに透かしてみせ、溜め息をつくと薄まったバーボンを一気に飲み干した。
最近酒を飲む機会が増えた、と自覚している。
美緒が扶桑に出向いた際も、寂しさが胸に押し寄せるのをごまかすようにしてバーボンを手に取った。
そう、寂しいのね。私は。
宮藤さんが来てからというもの、美緒は彼女につきっきりだった。
もちろん新人の彼女を一人前にすることは隊の事を考えると重要な事だ。
だけど、私のワガママから言わせてもらえば・・・もっと側に居てほしい。
階級や歳の差など無視して、私と一緒にいてほしい。
「・・・なーんて、ね」
呟いた言葉は暗い部屋をさまよい、誰に届くわけでもなく消え失せた。
今日も美緒は来ない。これで四日目。
以前なら二日に一度は共に夜を過ごしていたはずなのに。
わかっている。子供じみたワガママだと。
現実は階級も、こなすべき役割も異なる。
それぐらいの線引きは出来ている・・・少なくとも皆の前では。
でもね、美緒・・・本当の私はワガママなのよ?
面と向かって言ってやりたい。あの鈍感な扶桑の魔女に。
- 590 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:01:00 ID:FBKoTHo3
- 鈍感でがさつで、そのくせ人一倍かっこよくて・・・
キスだってした。私は彼女が好きだから。
同じ時間を、同じ経験を、共有したい。
ほらね・・・私はまだ子供なの。
だから、美緒・・・側にいて・・・お願い。
部屋は、いや基地は物音一つしなかった。
グラスにまた氷を入れ、バーボンを注ぐ。
飲むなら強い酒のほうがいい。明日に響かないのならそれでいい。
そもそもこうして部屋で一人寝酒をするなど誰にも話していないから、たしなめる人は現れないのだが。
それに唯一たしなめてくれそうな人は来ないから。
疲れを残さぬよう早めに床に就いたはずだったが、ミーナのことが妙にひっかかって眠れぬままだった。
最近ミーナの部屋に行っていない。
いつだったか、ミーナはああ見えて寂しがり屋なんだ、とバルクホルンは言っていた。
私はそんな一面を見たことがなかった・・・いや、見せてもらえなかった。
バルクホルンの言うことが見当違いならいい、だが本当なら何故ひた隠しにするのか。
うーん、と小さく唸って、私は起き上がり眼帯を手に取った。
直接聞いてみるか・・・
「ミーナ、私だ。」
もう寝ているのだろうか、ノックをしても返事はない。
最近は夜に会っていないから、ふて寝でもしているのかと一瞬思ったが、ミーナはそこまで子供じみていない。
職務と私生活の割り切りなど出来て当然だろうと思い直した。
出直すか、と踵を返した刹那、部屋からガタンと音がした。
- 591 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:02:25 ID:FBKoTHo3
- 「ミーナ?」
再度呼び掛けても返事はない。
だがここで退いてしまうのは扶桑軍人の名折れである。
静かにドアノブに手をかけて扉を押し込んだ。
月明かりで照らされた部屋の奥に、制服姿のミーナは立っていた。
イスに片手を置いたまま俯いていて、表情が読み取れない。
「どうした?何かあったのか?」
近寄って肩に手をやると、ミーナはふにゃりと身体をくねらせ膝から崩れ落ちかけた。
膝が床につく寸前で、私がミーナを抱き留める。
身体に力が入っていないのか、彼女は私に全体重をあずけてきた。
「おい、しっかりしろ。どこか悪いのか?大丈夫か?」
やはり返事はないのだが、そのかわりに嗅いだことのある匂いに気付いた。
甘ったるく纏わり付くような木の香りと、微かなアセトアルデヒドの匂い。
視線を机のほうに移すと、液体が半分ほど残っているらしい瓶とグラスが並んでいた。
真っ先に思い付いた発想をすぐさま否定したが、どう考え直してもこれしか考えられないのだ。
ミーナは酔い潰れている、と。
酒など飲むのか・・・
今までそれなりの時間を隊で、そして二人で過ごしてきたが、ミーナが酒を飲むとは思いもしなかった。
そんな素振りも見えなかったし、伝聞した訳でもなかったから。
私は胸がなにかざわついている事に気付いたが、ひとまずこの酔っ払いをベッドに寝かし付けることにした。
ミーナのさほど重くない身体を抱き上げ、ベッドに沈める。
起きているのかそうでないのかは分からないが、すぅすぅと小さく呼吸が聞こえる。
起こさぬようにそっとミーナの頭を撫でてやった。
思えば、二人で夜を過ごす時は酒が間に入ることなどなかった。
真っ暗の部屋で他愛のないことを語り、契りを結ぶだけでよかったのだ。
だがやはり、そんな私の気持ちとミーナの気持ちにはズレが生じているのだろう。
自制心をしっかりと持った者が酔い潰れるなど、ましてそれがミーナなら有り得ぬことだと思う。
どうして言ってくれなかったんだ?
寝返りをうって背を向けてしまったミーナに問い掛ける。
いや、こちらが察するべきだったのだ。
宮藤の訓練にかまけて、こういう所を疎かにしていた私が悪いのだ。
- 592 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:03:45 ID:FBKoTHo3
- 「すまない・・・」
部屋はミーナの呼吸しか聞こえない。
返事は、今はしてほしくなかった。
こんな気分の時に酒を飲みたくなるのだな・・・
ベッドの傍らを離れ机の瓶に手をかけると、瓶の下に一枚の便箋が敷いてあった。
グラスに酒を注ぎ、便箋を手に取ると少し歪んだミーナの字でこうあった。
『坂本美緒少佐 上記の者は本日より一週間、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐の寝室で謹慎処分とする』
もやついた胸がすぐに晴れやかになった。
勿論こんな便箋に文字を書いただけでは何の効力もない。
すぐに酔った勢いで書いたのだろうと察しがつく。
そしてなんとなく、この内容がミーナの願望そのものだと思える。
なるほどな、と一人合点がいった私は机の端に転がっていたペンで自分の名前をサインしておいた。
これで一週間謹慎だな・・・
やれやれと小さく肩をすくめ、グラスに口をつけると舌がえぐられるような味がした。
えー、以上です。
- 593 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:42:16 ID:fweZIgu5
- そして一週間ネチョネチョといろんなプレイに勤しむ、とw
- 594 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:44:36 ID:5iUMKeOT
- >>592
GJ!!なかなかやるじゃないか少佐。情緒があって素晴らしい!!
お酒ネタは本編でできなかった分どんどんやって欲しいですな。
でもって、480超えたようだけどテンプレ修正は放送日だけでOKかな?
- 595 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:46:42 ID:2rSkV7M4
- このスレ見たらオナニーしなくなった
- 596 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:54:18 ID:W0BaoNzz
- >>592
うは甘えミーナカワユス
- 597 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/20(月) 23:59:32 ID:IP/Qt1hm
- >>594
OKですYO!
- 598 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:09:42 ID:qyBHZcIb
- 色よし張りよしバルクホルン〜♪作詞作曲エーリカ
を、サーニャorミーナが超Beautiful voiceで歌ったら
- 599 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:19:27 ID:M89gKhKO
- 酔って便箋に願望を書いちゃうミーナ隊長かわいいなw
こんな可愛らしい一面があるなんて!
- 600 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:30:00 ID:eXekemy0
- ミーナ隊長は空気読みすぎたり建前や常識にとらわれすぎてはっちゃけることができないって感じか。
そんな彼女が極々まれに酒やなんらかのハプニングにより歳相応のかわいらしさを発揮するのがたまらないんだな。
- 601 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:35:05 ID:WBYkerEm
- ミーナ隊長はデコが良いと思うんだ
だからデコチューでキュンとなるんだ
ごめん
- 602 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:37:14 ID:aGmPs9OY
- 酔っ払って絡む隊長をデコチュー一つでおとなしくさせる少佐とか
- 603 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:42:47 ID:AycnjoKQ
- 画面ではデコチューしてるけどフレームアウトしてる下半身では
少佐の長くしなやかな指はミーナの敏感な部分を輪郭をなぞるように
いやらしく往復しているのであった。
- 604 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:46:37 ID:Wb07duON
- 酔っぱらいのミーナ中佐と聞くと、某TV局のあの黄色いマスコットを思い出してしまう・・・。
ところでみんなが酔っぱらうとどんな感じになるんだろうか?
エイラは酒の力を借りてもサーニャには告白出来そうもないが。
- 605 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 00:47:55 ID:FMEgizB+
- シャッキーニのお酒ネタなら今執筆中さ
- 606 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:05:26 ID:AycnjoKQ
- ルッキーニのノンワカメ酒ってか?
- 607 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:12:34 ID:cemfiZOF
- >>548
は自分なんだが、
まったく管理人様とは良い酒が飲めそうだ…。
GJっした!!カールスラント組3P万歳!!
んで、後に続きたいのは山々なんだが、自分は絵しか描けないのだよね…。
ラブラブでトゥルーデが両手に花なカールスラント組描きたいな。
- 608 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:19:16 ID:PfwWGY22
- >>607
なに、絵だと?
いいから早く妄想を具現化する作業に戻るんだ。
>>597
d、とりあえず自分がスレ立て行ってみるわ。
- 609 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:24:28 ID:JIyez4oh
- 皆さん素晴らしいSSばかりで、鼻血が止まらない・・・。
何か自分で書いたのって、違和感あっていまいち投下出来ない・・・。
- 610 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:27:22 ID:PfwWGY22
- ERROR:新このホストでは、しばらくスレッドが立てられません。
というわけで誰か援軍を。
修正点↓
●放送局
※放送は終了しました
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart7
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1223651201/
- 611 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:43:44 ID:yAAXfdvG
- >>610
行ってみる
- 612 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:45:31 ID:vWhD+AA/
- もう次スレかよ・・・どんだけー
- 613 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:48:02 ID:yAAXfdvG
- ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart8
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1224521163/
- 614 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 01:50:24 ID:FMEgizB+
- >>613
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙!!
- 615 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 02:00:21 ID:rZ+mj9tT
- 相変わらず勢いがハンパないな
- 616 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 02:12:47 ID:yAAXfdvG
- ※埋めエイラーニャ・絡みあり
彼女との「行為」は、いつも誓いのようなキスから始まる。
それは夜間哨戒任務のために滅多にない、私と彼女が一緒の夜でのことだ。
向かい合った私の額に、手の甲に、手首に、首筋に、頬に、瞼に。ゆっくりとエイラは触れるか触れないか
のような口付けを落としていくのだ。けれども、跡など決してつけない。それはまるで彼女自身の臆病さを
露呈しているかのように。
彼女にとってこの行為は私が彼女の所有物であることを表すものでは決して無いのだ。ただ、これからの
行為がただの劣情任せのそれではなく、もっともっと深くて柔らかくて温かい、精一杯の愛情表現なのだと
誓うためだけにエイラはそれをする。まるで私の体が少し乱暴に扱えば壊れてしまうような脆いガラス
であると言わんばかりに。
額も、手の甲も、手首も、首筋も、頬も、瞼も。それら、すっかりすべての場所に口付けを終える頃には
いつのまにか私の衣服は、彼女自身の衣服さえも、総て取り払われているのだった。唇の触れるくすぐったい
感触に身を任せ、微かによぎる快楽に夢心地になっている私はいつもそのことに気付かない。体を重ねた
数なんてまだ数えるくらいのはずなのになんでこのひとはこんなにも手慣れているのだろう。
…そう頭に浮かぶ疑いの気持ちは次の瞬間にすぐ、かき消されてしまう。
「…」
情熱を、そのまま炎にして灯したような瞳でエイラが私を見つめて来るからだ。青い青い、安定な炎がその
視線からあふれてきて、私を心地よく包んでいく。そして、私の体は決して燃え尽きることのない、けれども
焼かれることもない、情熱の炎で芯まで熱くなっていく。
あとに残された場所はたった一つ。あと一歩だけ進めば、それからは雪崩れ込むように進んでいくだけだと
私たちは知っていた。身につけた衣服は互いにもうない。残されたのは透明なその理性のベールだけだ。
その最後に残された唇をじいと見つめてエイラはまた、思いとどまるのだった。そこに触れたらもう戻れない
と、それでも良いのかと言いたげに。
そこにあるのはひどく無邪気でまっさらな愛情だ。回を重ねても決して輝きの鈍らない、エイラの純情だ。
胸の奥に温かな気持ちがあふれ出す。狂おしいほどの愛しさが胸からとうとうと流れて来て止まらない。
空の上ではあんなにも強いのに、この人は本当はこんなにも弱いのだ。自分ひとりではあいするひとひとりに
満足にくちづけもできないくらいに。私だって決して弱くはないのに、まるで触れてはいけない、神聖不可侵の
ものであるように彼女は私を見る。私のすべてを暴いたのだって1度や2度ではないのに、相も変わらず
そうやってためらう。その様は呆れを通り越して、もはや愛らしいと思えるほどだ。
だから私はそんな彼女を、ほんの少しだけ後押しする。唇を寄せて目を閉じて、このあとの展開をねだる。
私も同じ気持ちだよ。何も怖くは無いよ。ほら、あなたと同じように私の心臓だって、こんなにもどきどきして
いるよ。それを知らせるようにその右手を私の左胸に導いて。先ほどまでのささやかな愛撫ですっかり立ち
上がってしまったその頂が柔らかく包みこまれて思わず「ん、」と声を漏らす。
サーニャ。エイラが私の名前を呼んだ。その刹那、重ね合わせられる唇に私の心が跳ねて、踊る。
触れるか触れないかの軽いキスはすぐに離されてしまった。エイラ。次に名を呼ぶのは私の方だった。続きを
ねだるように何度も何度もエイラに口付けるとその度にエイラの肩が跳ねる。もっと深く深く重ね合わせよう
と舌を差し入れると、おそるおそると返してくれた。苦しげに漏れるエイラの吐息に恋しさと愛しさがあふれだす。
もっともっと、私に触れて。私のすべてをあなたのものにしていいから。
それは言葉になら無い叫びのようでさえあった。
そんな叫びに呼応して左胸に添えられているばかりだった彼女の手がやわやわと動き出した。お世辞にも
大きいとは言えない私の両胸がエイラのほっそりとした手に包まれて揉みしだかれる。エイラの好みではない
はずの、ささやかな膨らみだ。申し訳なさと悲しさに目を伏せたら、ためらいなく唇が重ね合わせられる。気に
するな、と言われている気がする。その嬉しさと初めて与えられたはっきりとした快楽の刺激に、幸福の声が
漏れた。
- 617 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 02:13:49 ID:yAAXfdvG
-
「えい、ら、あっ」
けれどもまだ、物足りない。はしたないほどに自己主張をするものの存在を、私はその手の下に感じていた。
それは不意に温かなエイラの両手の平に擦れて、私の体に弱い電流のような快感を伝える。けれどもまだ
足りない。もっともっと、はっきりした物が欲しいのだ。
名前を呼べば、すぐに唇にキスが降って来る。ふるふると首を振って否定の意を示した。違うのエイラ。そこ
じゃないの。
「ここ?」
「あ、やめ…んっ」
手を止めたエイラはじいと私の瞳を見つめて、親指で私の胸の頂に優しく触れてきた。待ちかねた直接的な
刺激に思わず甘い声が漏れてしまう。羞恥に頬が燃えるように熱くなって、うつむいてエイラの肩に顔を寄せた。
むき出しの肩からはシャンプーの甘い香りが漂って来て、それだけでくらくらしてしまいそうだ。
いじわるなひとだ、と思う。だって分かってるくせにいちいちそんなことを聞いて来るのだもの。そんな優しげな
視線をしたってしっているんだから。
私の反応に満足したのか、今度はその唇でエイラはそこに触れて来るのだった。味わうように口に含んでは、
甘く噛んで私をわななかせる。その度に漏れてしまう高い声を堪えようと懸命でいたら「我慢しなくて良いんだよ」
との甘い甘い囁き。
「さーにゃのこえ、もっとききたい」
耳元でそんなことを言われたら我慢なんてできるはずがない。想いが、上だけで無く下の口からもとうとうと
あふれ出したのを体の奥から感じた。あまりの恥ずかしさにごまかそうと必死になっても、胸を刺激する唇に、
左手に、そしてゆっくりと、腹を撫でながら降りて来る右手に、私はひたすら歓喜して喘ぎ声をあげるだけだ。
下腹の辺りをかすめて、尻を愛撫される。望みの場所に触れてもらえないもどかしさに焦れったく思いながらも
よわよわ与えられる快感に腰が震えた。いつの間にかエイラの顔は私の目の前にあって私の反応を伺うように、
もしくは楽しむように、何度も私の額や、瞼や、頬や、耳元に口付けを落としている。
エイラ、
エイラ、
エイラ。
頭の中はそれでいっぱいで、それ以上もう何も考えられない。
「えいら、お、ねが、い…あんっ、もう」
どうか私の核心に触れてくださいと、涙目で懇願する。同時に唇をまた、深くあわせる。エイラの深い蒼の瞳が
まっすぐ私を捉えて、頷くように視線をくゆらせたのを見た。
濡れそぼったそこに、エイラの長い指が伸びてゆく。ようやっと唇を離した瞬間に指を差し入れられて、私の体は
大きく跳ね上がった。言葉にならない声を上げて、エイラにしがみつく。
ぬれてる。分かりきったその事実を、少し放心したように呟くエイラ。当たり前に決まっているでしょう。だって
あなたがそうしたのだもの。そう反論したくて、けれども上手く言葉が導き出せなくてやめた。
思考を奪うようにエイラの指が私の中で動く。その指は私の濡れそぼったそこの、一番敏感な核を探し当てて
柔らかく弄んだりもして、羞恥か快楽か、地獄か天国か、よくわからない気持ちで私はひたすらエイラの名前を
呼び続けるのだった。きつくきつく背を回せば、私と同じく凝り固まった彼女の乳房の先端が私の胸に増える。
彼女もまた、私との行為にとても興奮しているのだ。頭の片隅でそんなことを思ってさらに喜びが深くなる。どこ
までも上り詰めていって、気を失ってしまいそうだ。
「す、き、えいらっ、えい、らっ、すき…っ」
ああ、もう、だめだ。
頭が白く、霞がかっていく。絶頂の訪れを予感して私は何よりも、いつも、彼女に伝えたいと思っている言葉を
何度も何度も繰り返した。
エイラ、エイラ、好きだよ、大好きだよ。
エイラは何も言わない。何も言わずにただただ私を抱きしめて、首筋に優しい、優しい、キスを落とした。…かの
ように思っていたのに、その一連の動作の最中で耳元で低く、唸るように囁かれた一言が、私を絶頂の渦へと
引きずりこんでいく。体が大きく震える。もう、何も考えられない。
「あいしてる、サーニャ」
それは、不器用で恥ずかしがり屋なエイラから聞く、最上級の愛の言葉だった。
- 618 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 02:15:12 ID:yAAXfdvG
-
*
いまだ残る月の光の中で意識を取り戻すと、エイラは心配そうに私を覗き込んでいた。
恐らくそれほど長い時間ではなかったのだろうに、エイラは私が目覚めたらひどく申し訳ないことをしたかの
ようにいつも目を伏せる。ごめん、と言わないだけまだましだけれど。…だって私はエイラが好きで、エイラ
だって私が好きで。その気持ちを交わしたくてこの行為に及んだのだから何ひとつ申し訳なく思うことなどない
のに。それなのに、謝られたら、ひどく悲しい。
いまだ気だるさの残る腰を守りながら上半身を上げる。いつの間にか体中の汗は拭き清められ、私もいつもの
下着を身につけていた。エイラもまたそのようだから、もしかしたらさっきまでの出来事は夢幻だったのかも
しれない、と錯覚してしまいそうになる。そうではない、と教えてくれるのは私とまともに目をあわせようとも
しないエイラの反応だ。いつもそうなのではないか、と問われたら否定は出来ないけれど、行為のあとは特に
ひどい。
サーニャ。エイラが小さな小さな声で私を呼んだ。窓の外を見ていた私は振り返ってエイラを見る。すると、彼女は
泣きそうな顔をして眉を寄せて、こちらを見やっているのだった。微妙に視線が合わないのは、エイラが意図して
私の眼を見ていないからだろう。
なあに、と答える前に腕が伸びて、エイラの綺麗な指が私の目じりに溜まった涙を拭った。それでも涙は
とめどなく流れてくる。ついに観念したようにエイラが近づいてきて、唇で直接私の涙を拭う。けれどもやっぱり
止まらないから、ぎゅう抱きしめる。
悲しいの、と聞くエイラ。私は何も答えない。
「だいじょうぶだよ」
泣かないで、とエイラは言わなかった。ただ私の体を自分の腕の中に閉じ込めて、ぽつりとそう囁きかけた。
「"悲しみは海ではないから、すっかり飲み干せる"。」
そうだろ?と耳元で言うエイラの言葉は、とてもとても優しい。…きっといつも胸を支配している羞恥心など
どうでも良いと思うくらいに一心に、私を心配しているのだろう。
(でも)
心の中で、反した。やっぱりエイラは何も分かっていない。
私が泣くのは、涙が止まらないのは、悲しいからじゃない。だからそうしてあなたが償おうとする必要なんて
ない。私はどこも傷つけられていないのだから。…それよりも、むしろ満ち足りた気持ちでいっぱいなのだ。
エイラのくれる愛情がとめどなく注ぎ込まれて、入りきらないほどになって溢れている。
ねえ、エイラ。幸せでも、人は涙を流すことが出来るのよ。あなたは知らないかもしれないけど。
教えてあげようかとも思ったけれど、あまりにも幸せすぎたから止めた。悲しみが海ではないなら、喜びや
幸せはどうなのだろう。…実際に私は、幸せの海に今、おぼれそうになっているのに。
眠ろう、とエイラが誘う。導かれるままにベッドに倒れこんで、エイラに体を寄せた。
もし悲しみが本当に海のようにあったのだとしても…この人は、私のためならすべて飲み干してしまうだろう。
すぐに眠りについてしまった愛しい人の額に唇を寄せながら、私はそんなことを思った。
了
- 619 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 02:22:47 ID:FMEgizB+
- >>609
気にせず投下するが吉
- 620 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 03:26:10 ID:0ihX2vSl
- ┏┓┏┓ ┏━━━┓
┏┛┗┛┗┓ ┏━━┓ ┏┓ ┗━━┓┃
┗┓┏┓┏┛┏━━━┓ ┗━━┛ ┏┛┗━┓┏━━┛┃
┗┛┃┃ ┗━━━┛ ┗┓┏┓┃┗━━┓┃
┏━┛┃ ┏━━━━┓ ┃┃┗┛ ┏┛┃
┗━━┛ ┗━━━━┛ ┗┛ ┗━┛
┏┓┏┓ ┏┓ ┏┓ ┏┓ ┏━━┓┏┳┓
┃┃┃┃┏━┓┃┃┏━┛┗┓┏┓┏┛┃ ┗━━┛┗┻┛
┗┛┃┃┗━┛┃┃┗━┓┏┛┃┗┛┏┛ ┏━━━━┓
┃┃ ┃┃ ┃┃ ┗━┓┗━┓┗━┓┏━┛
┏━┛┃┏━━┛┃ ┏┛┃ ┏━┛┏┓┃ ┏┛┃
┗━━┛┗━━━┛ ┗━┛ ┗━━┛┗┛ ┗━┛
┏━━━┓ ┏┓ ┏┓ ┏┓┏┓┏┓
┗━━━┛┏━┓┃┃┏━┛┗┓ ┃┃┃┃┃┃
┏━━━┓┗━┛┃┃┗━┓┏┛┏━━━┓┃┃┃┃┃┃
┗━━━┛ ┃┃ ┃┃ ┗━━━┛┗┛┗┛┗┛
┏━━━┓┏━━┛┃ ┏┛┃ ┏┓┏┓┏┓
┗━━━┛┗━━━┛ ┗━┛ ┗┛┗┛┗┛
- 621 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/10/21(火) 03:26:43 ID:0ihX2vSl
- ┏┓┏┓ ┏━━━┓
┏┛┗┛┗┓ ┏━━┓ ┏┓ ┗━━┓┃
┗┓┏┓┏┛┏━━━┓ ┗━━┛ ┏┛┗━┓┏━━┛┃
┗┛┃┃ ┗━━━┛ ┗┓┏┓┃┗━━┓┃
┏━┛┃ ┏━━━━┓ ┃┃┗┛ ┏┛┃
┗━━┛ ┗━━━━┛ ┗┛ ┗━┛
┏┓┏┓ ┏┓ ┏┓ ┏┓ ┏━━┓┏┳┓
┃┃┃┃┏━┓┃┃┏━┛┗┓┏┓┏┛┃ ┗━━┛┗┻┛
┗┛┃┃┗━┛┃┃┗━┓┏┛┃┗┛┏┛ ┏━━━━┓
┃┃ ┃┃ ┃┃ ┗━┓┗━┓┗━┓┏━┛
┏━┛┃┏━━┛┃ ┏┛┃ ┏━┛┏┓┃ ┏┛┃
┗━━┛┗━━━┛ ┗━┛ ┗━━┛┗┛ ┗━┛
┏━━━┓ ┏┓ ┏┓ ┏┓┏┓┏┓
┗━━━┛┏━┓┃┃┏━┛┗┓ ┃┃┃┃┃┃
┏━━━┓┗━┛┃┃┗━┓┏┛┏━━━┓┃┃┃┃┃┃
┗━━━┛ ┃┃ ┃┃ ┗━━━┛┗┛┗┛┗┛
┏━━━┓┏━━┛┃ ┏┛┃ ┏┓┏┓┏┓
┗━━━┛┗━━━┛ ┗━┛ ┗┛┗┛┗┛
501 KB
全部
最新50