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ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart9

1 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/03(月) 22:49:27 ID:a6uZ9Zi+
守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏     キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット        助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭        メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三   美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター)    カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣                  撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀                   音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎                  音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)

●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里     坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵   リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき      エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵     フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美    エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以

●放送局
※放送は終了しました

●関連サイト
公式サイト:http://s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:http://lilystrikewitches.web.fc2.com/

●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart8
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1224521163/

2 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/03(月) 22:50:29 ID:a6uZ9Zi+
Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。

3 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/03(月) 22:51:04 ID:a6uZ9Zi+
──リレーSSの手引き──
★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。

★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。

★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。

4 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/03(月) 23:38:49 ID:5LzswCJh
>>1
乙!

5 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 00:22:31 ID:gcf1BFu1
>>1

6 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 00:55:17 ID:tYFgj5og
t26gFAxTです。
前回投下分にレスをいただきありがとうございます。
一応主役のつもりだったエイラの影がすっかり薄くなって、
書いてて自分で申し訳なくなって、頭抱えているのですが、
まあ、オールキャラものだし、全体通してうまくみんな絡められればいいやと開き直り……。
ひとまず今回投下分で第一部「春」終了という感じです。(自分の中で)
Part8スレの方が真面目な議論でいい感じになっているので、話の腰をベッキリ折らないためにも、
新スレのほうに投下させていただきます。

7 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第14話 雨上がりの夜空の下で:2008/11/04(火) 00:59:48 ID:tYFgj5og
 軍用トラックが何台かやって来て、ビューリングは不思議そうに思いながらも、

近づき、運転席から顔を出した人物に驚嘆する。
「ルーデル……大佐?」
「たまたま通りかかってね。怪我人は、私の後輩だけか?」
「ええ……。少し、待っていてください」
 と、ビューリングは運ばれていくゲルトルートのもとへ向かった。
 アーデルハイドがぽつりとつぶやいた。
「事故が起きた事を傍受して、地元の軍を半ば脅しつけて応援を取り付けたのに"たまたま"ですか…」
「……黙れ、アーデルハイド」
 と、ほんのわずかだけルーデルは照れを見せる。
 アーデルハイドは上官の珍しい態度にふっと笑いながらも、視線の向こうの惨状に唇を噛んだ。
「世界を人類の手に取り戻したとはいえ、今度は人間側の身勝手さに呆れることが多くなりそうです」
「まあ、そう言うな。戦時であれ、そうでなかれ、ウィッチが世界――人々を守るという思いは変わらんよ。
愚かな者もいるだろうが、そうでない者もいるんだ。どちらであれ、守るべきものは守らねばな」

 ビューリングは、トラックに乗せられるゲルトルートを見守るミーナの肩に手を置いた。
「お前も一緒に乗るんだ」
「でも…」と、ミーナは、事故の被害者や彼らを介抱する仲間のウィッチたちに目を向けた。
「行ってきなって。言ったろ、あいつには、あんたが必要だって」
 ビューリングの背後から、シャーリーが顔を出し、ウィンクする。
「そのとおりだ。気にするな」
 ミーナは、小さく会釈をし、後ろ髪を引かれつつも、トラックに向け、駆けていく。
 その様子を見届けて、ビューリングから離れかけたシャーリーに、ビューリングが語りかけた。
「お前がフォローするとはな」
「仲間なんだから、当然だろ…」
 ビューリングは、シャーリーの言葉尻に悲哀を感じ、それ以上の追求を避け、ルーデルたちのほうへと戻っていった。

 夜になり、雨が上がって、空に星が輝き始めた頃、ルーデルの応援のおかげもあってか、
事故の被害者たちは平静を取り戻し、軍用トラックに乗り込み、各々の家へと帰っていった。
 残りの軍用トラックもエンジンをふかし始める。
 ビューリングが、ルーデルの乗ったトラックのドアに手をかけた。
「地元のものは皆感謝しておりましたよ」
「礼には及ばん。たまたま聞きつけただけだからな」
 ビューリングは、奥にいるアーデルハイドと顔を向き合わせながら、微笑み、トラックから手を離した。
「またお会いしましょう、大佐」
 ルーデルは、さっと手をひと振りして返礼すると、Uターンして、走り去っていった。

 事故現場に程近い、決して大きいとはいえない病院の一室にて、ゲルトルートは、頭に包帯を巻かれ、
外れた肩を固定され、ベッドに横たわっていた。
 ミーナはじっと彼女を見つめ、規則正しいその呼吸音に、飽きることなく耳をそばだてた。
 ゲルトルートが首を動かし、包帯でふさがれていないほうの目を開け、ミーナを見つめた。
 互いに、微笑みあい、ゲルトルートは左手をわずかに上げる。
「すまない。そばに行きたいんだが、体が動かないようだ」
 ミーナは、立ち上がって、腰を折り、ゲルトルートの額にそっと口づけて、怪我した体を圧迫しない程度に体を押し付けた。
 ゲルトルートは、左手を、ミーナの背において、安心したように、息を吐いた。

8 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第14話 雨上がりの夜空の下で:2008/11/04(火) 01:00:17 ID:tYFgj5og
 救急箱を片付け終えて、一息ついた芳佳に、リーネがスープを差し出し、二人は、折りたたみ椅子を引っ張り出すと、
夜空を見上げながら、飲み始める。
「そういえば、バルクホルンさんが目を覚ましたって」
「本当!? よかったぁ……」
 リーネは、久々に間近で見る芳佳の笑顔に胸を熱くする。
「ねえ、リーネちゃん」
「な、なに?」
「もう少しあったかくなったら、一緒にピクニック行こうよ。最近、忙しくって全然ゆっくりできなかったし」
 リーネは、スープ皿を落としそうになり、慌ててキャッチする。
 芳佳は、そのナイスキャッチに驚きながらも、また夜空を見上げた。
「11人分……、いや、五色ちゃんや疾風ちゃんも誘ったらもっとかな……。お弁当作り大変だな〜」
「よ、芳佳ちゃん、ピクニックって……その……二人きりじゃなくて…」
「あ、でもバルクホルンさんの入院ってどれぐらいだろう。
ウィッチだから人よりは治るの早いだろうけど、私が魔法を使えばもっと早くなるかな」
と、一人ごちモードに入る芳佳に、リーネは思わず涙目になりかけながらも、今は自分のそばにいるのだからと、
励ますように心の中で思って、芳佳に身を寄せた。

 ペリーヌは、ゲルトルートの、片方だけになったストライカーを持ち上げ、ルーデルが置いていったトラックに積み込み、
振り返って、驚きに肩を跳ね上げた。
 坂本が腕組みをして、穏やかな眼差しを向ける。
「素晴らしい活躍だったぞ、ペリーヌ」
「そ、そんなこと…」
「いや、あれはお前にしかできないことだ」
 ペリーヌは、言葉が見つからず、口元を引き結んでしまう。
 今、大好きな人が自分だけを見てくれているというのに。
 言ってしまおうか、いや、仲間が大怪我をしたばかりだと言うのに、不謹慎すぎる。
「魔力を使い切って、具合が悪くなったか?」
 と、気がつけば、坂本がだいぶ接近してきていて、ペリーヌは、後ろに引いて、トラックに体をぶつける。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です…」
 ペリーヌは腰をおさえながら、その場に手をついた。
 坂本は、手を伸ばしかけて、しばらく考え込んだ後、背を向けて、しゃがんだ。
「ほら、運んでやる」
 ペリーヌも、考え込んだ後、坂本の首に手を回し、体を預けた。

 道路の真ん中に仁王立ちし、浮かない表情で夜の景色を眺めるシャーリーに、ルッキーニが後ろから抱きついた。
「シャーリー、ご飯食べないの?」
「んー、食欲なくてな」
 ルッキーニがシャーリーの前に回りこんで、笑顔で見上げた。
「そだ。バルクホルン先輩、目覚ましたって!」
「そうか」
「なんか、あまり嬉しくなさそう」
 と、ルッキーニは首をかしげる。シャーリーは、はっとして、いつもの笑顔を作ろうとするが、頬が思うように緩まない。
 ただ、言葉でそんなことはないと否定してみるだけで精一杯だった。
 シャーリーは、その場を離れようとするが、ルッキーニが手を握って、制止する。
「ねえ、辛いことあるなら話してよ……」
 シャーリーは、一人にしてくれと叫びだしたいのを必死にこらえる。
 今、目の前にいるルッキーニごと、自分の中にある、もやもやとした嫌な感情すら振り払ってしまいたいぐらい、
そんな気持ちだった。しかし、ルッキーニを傷つけることができるはずもなく、シャーリーは、ルッキーニに目線をあわせ、
ひとまずはその場を収めるしかできなかった。
「辛いことなんて何も無いよ」


9 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第14話 雨上がりの夜空の下で:2008/11/04(火) 01:00:48 ID:tYFgj5og
「隣、いいか?」と、ビューリングは紫煙をくゆらせながら、エーリカの背後に立った。
「半径50メートル以内禁煙〜」
 と、エーリカはすたすたと離れようとする。
 ビューリングはタバコを足で消し、エーリカの隣に並ぶ。
「バルクホルンが目を覚ましたようだ」
 エーリカは、朗らかな笑顔を、ビューリングに向ける。
 ビューリングは、その笑顔に、彼女の妹である同僚の姿を重ね、自分でも驚くぐらい無意識につぶやいた。
「ウルスラのことだが…」
 エーリカは途端に表情が消え、やや不機嫌そうに口をとがらせる。
「なに?」
「最近、あまり話していないようだから気になってな。お前、何かしたのか?」
「してないよ。多分…」
「あいまいだな。お前らしいといえばらしいが…」
「こっちだって何度も何度も思い返したけど、見つからないんだよね、原因。そっちこそ何か聞いてないの?」
「あいつが、そんなことを相談してくるように見えるか?」
「それも……そうだな。うん、ウーシュならしないな…」
 話が途切れ、ビューリングは空を見上げ、癖で、またタバコの箱を一振りして、中身を出すと、咥える。
 エーリカは、横目で彼女を見て、頭の後ろで腕を組んだ。
「手、出すなよ」
 ビューリングは、エーリカの言葉に驚きつつ、そんなことするはずもないと言い返そうと思ったが、
なぜか少しだけカチンと来て、ぷいっと背を向け、火をつけた。
「……保証はできないな」

 事故車両をひとしきり片側に寄せて整理を終え、エイラとサーニャは車両のひとつに寄りかかり、エイラは土砂が落ちて、
壊れた家々を見つめる。住人たちに被害はないとは聞いているが、夜風の冷たさと相まって、エイラの心は寒くなる。
 次の瞬間、サーニャの指先がエイラの頬に触れて、エイラはひっくり返りそうになる。
 サーニャはエイラの手を取って、体を起こさせ、指先の泥を見せる。
「ついてたから…」
「サーニャだって」
 エイラは、高鳴った心臓をおさえるよう努めながら、袖をぐいっと引き上げて手を覆い、
サーニャの顔についた泥を丁寧に落としていった。
 気がつけば、サーニャの翠瞳が、じっとエイラを見返している。
 エイラは、引き込まれそうになりながらも、ぐっとこらえ、また、土砂に覆われた家々に目を向け、嘆息する。
「どうしたの?」
「予知能力持ってるくせに、なんも役に立てなかった。戦闘にしか向かないんだよ、私の能力」
「そんなことないよ」
「あるよ」
「ない」
「ある」
「ない」
 エイラは、頑固なサーニャを言いくるめることもできそうになくて、ぷいっと顔を背けた。
 サーニャに当たっても、どうしようもないのに。
 馬鹿だ、私。
 エイラは、頭をかいて、冷えた雰囲気を暖めなおすために、言葉を探し始める。
 サーニャは壊れた車の歪んだドアに手をかけ、少しばかり魔力で筋力を強化し、無理やりこじ開け、中に入り、シートに座った。
「おい、壊れてるけど人の車だぞ」
「ちょっとだけ」
 サーニャは、目を閉じると、頭から魔力に拠るアンテナを出し、拾った音を車のスピーカーに出力する。
 ノイズまじりに、音楽の切れ端が拾われ始め、徐々に形を帯びていく。
 サーニャは静かに目を開け、エイラに笑顔を差し向ける。
 エイラはサーニャの笑顔に負けて、助手席に座り、しばし、音に聞き入る。
 しだいにノイズがうせ、鮮明な、クラシック音楽が車内に、そしてあたりに流れ始めた。
 サーニャが、エイラの手を握って、覗き込んだ。
「私の能力も、戦闘以外では役立たずって思ったこともあったけど、こういうこともできるんだよ」
 これは、励ましなのだろうかとエイラは戸惑いつつも、サーニャの言葉に素直に耳を傾け、彼女の肩に頭を置いた。
「ありがとな…」

第14話 終わり


10 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 12:32:53 ID:v4s8Aj89
>>9の学園ウィッチのせいでいらんこ読破しちゃったぜ
大満足だった
ともかく乙

後はキャサリンのSSとか増えてくれたらいいんだけどな
他にも目覚めた智子中尉がアホネン化でウーシュ→エルマ→キャサリン→ビューリングと手を掛けていくようなのとか

11 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 13:17:27 ID:z8F+3kDr
後ろ向きなエルマと未来が見えるエイラはナイスコンビだと思うんだ
ネウロイの襲撃におろおろするエルマを「絶対成功する未来が見える」と嘘吐いて励ますエイラとか素敵じゃないか

…が、自分はいらん子難民なのでリーネイラに逃げる事にする

12 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 14:59:45 ID:ke1u9Nsu
とらやメロンの店頭って通販よりにない本も置いてたりするの?

13 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 15:25:32 ID:ucdupX+Q
リーネイラ……うん?
リーネ、イラ、…あれ?
リーネ…エイラ、だと?
ちょっと待て、>>11が今さりげなく新ジャンル発表したぞ!

それはそうと>>9
GJ!!こういう風に直接的な言葉を使わなくてもちゃんと百合が漂ってくるとこが
このシリーズの素晴らしいとこだと思う。
そして毎回お決まりのエイラーニャ。たまらんね。

14 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 16:27:49 ID:QOiDgRVT
最近コメディー分が不足してると思うんだ。
自分で書かんからわからんもんだけど職人さんの話だと普通の百合に比べ難しいらしいが。
誰か書いてくれんかのう・・・

15 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 16:41:22 ID:FaI9YMPI
>>11
何その同志が現れるまで口にするのは我慢しようと思っていたカップリング
何気に同い年だし余裕があるからリーネはエイラに羨ましさとコンプレックス感じてると思うんだよね
「同じ15歳なのにエイラさんはあんなに凄くて、それに引き換え私は…」
そんな事露知らずなんだか遠慮しがちなリーネの胸を悪戯で揉んでみるエイラ

てめえ何してやがる

16 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 16:50:22 ID:hM7Mrg88
シャーリーがルッキーニとじゃれてるのをゲルトが見て誤解するって内容のをドロップの作者さんに書いてもらいたい

17 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 17:18:55 ID:eXGIoLhI
>>14
じっちゃんのミーナさん崩壊シリーズは最高のコメディ。
しかしみんな出てくるやつは最近すくないかもなぁ...
ペリーヌとねこが入れ替わるやつおもしろかったなぁ。

18 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:01:18 ID:M41i97Cp
>>11>>13>>15
さぁ誰でもいいから早く書くんだ
早く書くんだ〜

19 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:08:14 ID:soQhrKYX
セロ弾きのウーシュ
いや、なんでもない。

20 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:11:01 ID:vEtEqViz
双子でも成長して16歳になったら外見が変わって欲しいなぁ。
メガネ+セミロング+おっぱい大きいとかにすれば
だいぶエーリカと印象が変わると思うし。

21 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:15:38 ID:FaI9YMPI
ハルトマン姉妹にモテモテのおねーちゃんとか駄目ですかね

22 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:28:33 ID:gcf1BFu1
>>21
今すぐにそれを文章にしてくれ!

23 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:34:33 ID:z8F+3kDr
>>18
結局エイラーニャと芳リーネに落ち着くつもりだがプロット…もどきの絵は書いていたりするw
あとはシャリエイラとかもっミーナにルッキーニ絡ませたかったりだとか、
ネタだけはあるんだがいかんせん文章力と集中力がたりない

ところで恥をしのんでメガミマガジン買ってきたんだがこれはすごいな…
とりあえずストライクの記事は切り外すつもりだけど家でこんな卑猥な雑誌みかけたことないから
普通に資源出して家族にみつかったら白い目で見られそうだ

24 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:35:56 ID:4S2fPYQi
>>21
双子によくある入れ替わりで遊んでたハルトマン姉妹。ウルスラをエーリカだと思って普段の文句やらいいつつ世話をするトゥルーデ。
面倒見がよくて優しいトゥルーデに惚れるウルスラ。そんなトゥルーデに迷惑ばかりかけてるエーリカ。
ウルスラとしてトゥルーデに会うと話題はいつもエーリカのことばかり。自分のほうがいい子なのに・・・とエーリカへの嫉妬を募らせるウルスラ。

25 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:52:12 ID:FaI9YMPI
>とりあえずストライクの記事は切り外すつもりだけど家でこんな卑猥な雑誌みかけたことないから
>普通に資源出して家族にみつかったら白い目で見られそうだ
凄まじい言われように吹いたww内容は良かったと思うから許してやってw

>>22
SS書きに言っておくれ
俺にはエーリカの話題になった時
「私は(姉さんと違って)マニュアル通りの事しかできないから…」って俯いたウルスラの頭にぽんと手を置いて
「規律やマニュアルは大事だ。カールスラント軍人として誇って良い」とおねえちゃんスマイル
「あ、ありがとうございます…。バルクホルン大尉」「トゥルーデで良い」
みたいなやり取りを妄想する事しかできない

26 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 18:58:36 ID:FaI9YMPI
あと次の日ぐらいにエーリカの部屋を掃除してる時後頭部に紙くずを投げつけられて
「いたっ。何をするフラウ!」「べっつにー自分の胸に聞いてみれば?」
「はぁ?なんなんだ全く・・・!」「なんでもないです。バルクホルン大尉」
よし炒飯作ってくる

27 名前:滝川浜田:2008/11/04(火) 20:49:53 ID:9RyrNYtf
昨日はシリアスなヤツを二話も投下しちゃったので例のごとくミーナさん崩壊シリーズ投下します。

あと>>17、そんなに褒めても何も出ませんよw
しかし、たまには甘々なヤツも書かんといろいろ鈍りそうだw

28 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ「風邪っぴきミーナさん」』:2008/11/04(火) 20:52:43 ID:9RyrNYtf

「う〜、最近めっきり寒くなってきたな、ミーナ」
「そうね…(鼻声)」
「うわっ、お前思い切り風邪ひいてるじゃないか!
ニット帽にマスク、マフラーなんて今日日ストーカーでもしないぞ!無理しないで部屋で寝てこい」
「嫌よ!私の生涯の役目は美緒のそばにいれ事だもの!
風邪を美緒にうつしてでも私は美緒と一緒にいるわ!死なばもろともよ!(鼻声)」
「流石にそれは困る!
良いから早く薬飲んで寝てこい」
「というわけで今日は風邪について考えていきましょう(鼻声)」
「別にそんな無理しなくても…。
それにまたもや私の意見は無視か。
頼むから寝てくれ」
「あら、私の心配かしら?(鼻声)」
「ちょっと違う。
私の周辺が静かになるかもしれないという切実にしてささやかな願いを込めて言ったんだが」
「もう、美緒のツ・ン・デ・レ・♪(鼻声)」
「………(拳に怒りを込めて)…………さっさと終わらせようか」
「風邪をひくと辛いわね。
何が辛いってやっぱり鼻が詰まると、食べ物の味がしない事ね(鼻声)」


29 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ「風邪っぴきミーナさん」』:2008/11/04(火) 20:55:28 ID:9RyrNYtf
「ああ、それは辛いな。何食べても味がしないのでは、食欲も落ちるしな」
「でも美緒!私は美緒に対しての食欲は常時MAXよ!
なんなら食べられてもOKよ!(鼻声)」
「そうなるとお粥くらいしか食べられないしな」
「あら、美緒、華麗にthroughなの?
いつの間にそんなテクニックを身につけてたの?
ミーナ、ゾクゾクしちゃう!(鼻声)」
「…ミーナ、人間というのは不思議なものでな、不遇な環境にいると新しい技術を身につけるんだ。
人間は本当に素晴らしいな」
「ええ、スゴいわ!
風邪→スルー→人間の進化まで話を昇華させる貴女の話術はスゴいわ!(鼻声)」
「……話を戻すか」
「やっぱり風邪を早く治すには身体を動かして汗をかくのが一番だと思うのね…
…ってなんでそんな遠くにいるの、美緒?(鼻声)」
「…なんだか嫌な予感がするんだ。
今のお前からその発言が出るのは免れない死亡フラグの様な気がする」
「嫌ね、美緒。いくら私でも風邪をひいてるのでは、美緒を満足させる事は出来ないわ。
だって寸止めになって美緒をモヤモヤさせたら嫌じゃない?(鼻声)」


30 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ「風邪っぴきミーナさん」』:2008/11/04(火) 20:59:55 ID:9RyrNYtf
「やっぱりそういう事じゃないか!もう良いから本当に寝ててくれ!」
「あ、そうだわ!美緒がしてくれるなら、寸止めにならずに済みそうね!
っていうワケで美緒!ほら来て!(鼻声)」
「行くか!お前本当に斬るぞ!
そして撃つぞ!」
「美緒に殺されるなら、一片の悔いなし!(鼻声)」
「うるさい黙れ!!」
「さあ美緒、とにかくシましょう!いっぱい汗をかけばぁっ…♪(鼻声)」
「ちょっ、お前本当に風邪ひいてるのかっ…!?なんだその腕の力っ!?
や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

―――――――――――――――――――

「美緒、食欲ある?」
「……………」
「あら、ダメねえ。あんなに鍛えてるのに、風邪なんかひいちゃって」
「…誰のせいだと思ってるんだ。お前だよお前。お前の風邪がうつったんだよ」
「あらあら、大変ね。
でも、ハスキーボイスの美緒も素敵よ♪
その声で『好きだよ、ミーナ』って言ってくれないかしら?」
「………もう突っ込む気にもなれん……」



以上です。これ実際に風邪ひいてる時に書いた作品ですw
きっと自分の風邪がミーナ隊長にうつったのでしょうw
皆さんも風邪には十分気をつけてください…

…さて爺はお風呂に入ってきます…

31 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:03:46 ID:96JrJm+l
本当は前スレへ埋めついでに投下したかったのに先を越された。仕様が無いのでこっちへ投稿。
ちなみに初投稿です。


634 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2008/11/04(火) 18:59:59 ID:z8F+3kDr
エイラ「リーネ、モイモイ!」
リーネ「ひゃあ!なんで突然胸に触るんですかエイラさんっ」
エイラ「何言ってんだ。スオムスでの挨拶はこうするんだぞ。」
リーネ「手をわきわきさせるはいいとしてなんで胸を」
エイラ「あー、悪い悪い手がすべっちまってさ。まあキニスンナ。ほれもういっちょ、モイモイ!」
リーネ「…やめ、やめてくださいエイラさん…っ…なんで両手で…きゃあっ」
エイラ「やー、おっきいからなぜか手が当たってしまうなーでも仕方ないよなー」
リーネ「ひ、ひどいです…」

って感じのSSをだれかひとつ


635 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2008/11/04(火) 19:59:56 ID:ucdupX+Q
>>634
ダメだ、リーネイラを想像しているはずなのに
物陰からエイラに黒い視線を送り続けるサーニャの顔しか浮かんでこねぇww

病んだら一番怖いのは誰か考えたとき、もしかしたらリーネより
サーニャのほうがヤバイかもしれないという妄想

32 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:05:17 ID:96JrJm+l
>>634
ハルトマン中尉とルッキーニちゃん、あとペリーヌさんのズボンが無くなってしまってから、二日三日後だったでしょうか。
ある日の、そう、お日様が沈む時の事だったと思います。


その日は、夜から夜間飛行の訓練の予定が入っていた為に長いお昼寝をしていたのですが、
目を擦りながら窓から見た空は、虹の七つの色の色相が上手く混じりあい、調和し、
それでいて、神様がその手元に携えた矛で空をかき混ぜたかのような混沌で、
一つとして同じ形の無い雲の、そのそれぞれに反射した赤やオレンジの光や、
その一方で、この、奥底の知れない空が見せる青や紫の暗みも、またそこにはあったのです。
この霊妙な空のパノラマに私は心を奪われて、暫しの間食い入るように見つめていましたが、
やがて、微かに残っていた太陽の光芒も彼方へ消え去り、
後には、後に残ったのは、目を背けたくなるような昏黒のその後の地平線だったのです。
私は、スミレの花の奥底の暗紺を連想させる不吉な予感を覚えましたが、
ふと夜間訓練の予定の事を思い出したので、そんな事はすっかり頭に無かったのでした。
(参考画像:薄明の空――ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org16233.jpg

「まさかリーネと二人きりで飛ぶ事になるんてなー。」
「そ、そうですね……。サーニャさん、大丈夫でしょうか……。」
「日頃の疲れが溜まっていただけさ。仕様が無い。」

この暗闇にいるのは、私とエイラさんのたった二人きり。
本当ならサーニャさんも一緒に空を飛ぶはずだったのですが、
今朝、夜間哨戒から帰ってきた頃から顔色が悪かったそうで、念のため今日の夜間哨戒任務はお休みになったのです。
いつも冷静なエイラさんは顔には出さないけれど、サーニャさんの事が誰よりも心配なはずです。
だってサーニャさんとはいつも一緒なんだもの。本当ならずっと側に居てあげたいはず。
でも、軍人としてそこは割り切っているのでしょうか、こうやってまるで他人事のような口ぶりです。

「冷えてきたな。」
「ええ。」

そう言ってエイラさんは、ほんの僅かだけど、顔を背けたように見えました。きっと頭の中ではサーニャさんの事を考えているはず。
ここ数日は雨のお天気が続いて、気温が下がっていました。きっとサーニャさんはそれで体を壊したのでしょう。
普段ならルッキーニちゃんと同じぐらいに悪戯好きで、人をからかってばかりいるエイラさんだけど、
今日はまるで、森も湖も海ですらも凍えきったスオムスの冬のように、仄暗く、冷たい。
私自身はスオムスには行った事は無いけれども、以前スオムスに住んでいたと言う父から、
季節によって姿を変えるスオムスの風景の美しさと神秘さを、度々聞かされたものでした。

ただ、どうしようもない事情があるとは言え、このまま会話も交わさず、漆黒の空の海面に映る二つの影になるだけでは、互いに気が滅入ってしまいます。
ましてやエイラさんの事です。もしかしたらサーニャさんの調子の変化に気付かなかった事で、自分を責めてすらいるのかもしれない。
このまま、心労でエイラさんまで倒れてしまったらこの基地は大変な事になります。慰める事は出来なくても、気を紛らわすぐらいだったら、私にだって出来るはず。

「あ、あの、エイラさん。」
「何だ?」
「エイラさんの出身はスオムスでしたよね。スオムスの挨拶って、何ていうですか。」

33 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:05:54 ID:96JrJm+l
特におかしな事は言ってないはず。他愛も無い日常会話だと思って話して見たのですが、
エイラさんは呆れるように、両手を広げて首を横に振りました。

「あのなあ・・・。」

そう言って、ため息を吐く真似をするエイラさん。な、何かまずい事を言ってしまったんでしょうか・・・。

「心配してくれてありがとな。大丈夫、大丈夫、サーニャはきっとすぐ治るよ。
 未来予知の魔法が使える私が言うんだ、間違いないぞ!」

エイラさんは、まるで坂本少佐のように大声で笑い始めました。
きっとその言葉は、私では無くエイラさん自身に向けたものだったのでしょうが、
決して、無理をして言い聞かせている感じでは無かったような気がします。エイラさんの中で、きっと何かが片付いたのでしょう。
普段は見る事の出来ないようなその大きな笑い声に、つられて私も笑ってしまいました。

「そうですね、きっとサーニャさんは明日には良くなってますよ!」
「明日って・・・。随分と気が早いなー。」

エイラさんは私をからかう様に言いました。普段の調子が戻ってきたようです。

「そうそう、スオムスでの挨拶だったか?」
「ええ、そうです。」
「そうだな・・・。」

曲げた人差し指を軽く顎に押し当て、考えるそぶりを見せると、
エイラさんはすぐに口を開きました。エイラさんは頭の回転が速いのだと思います。

「"Good day"に当たるのが"Hyvaa paivaa"だけど、うちの基地の中だったら、"Moi!"でいいな。」
「モイ、ですか。」
「そうそう。"Hei!"と同じだな。」
「そうなんですかー。」

そう私が頷いた時、暖かい微笑みを見せるエイラさんの眼の奥に、妖しい光が揺らめくのを私は確かに見たのです。
(参考画像:ルッキーニちゃんの眼の奥の妖しい光―ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org16215.jpg
その瞬間私の脳裏には、今日の薄明の空の後に広がった薄黒い空の光景が浮かびました。
この人は危ない―――そう思いつつも、自分から話を切り出した以上、エイラさんの側から離れるわけにはいきませんでした。

「ブリタニア語で"Hei,hei!"なんていう時は手を横に振るけどな、スオムスではちょっと違うんだなこれが。」

心臓の鼓動が高鳴るのを感じました。夜の大気に冷やされた額の汗が、嫌に冷たく感じます。

「こうなー、右手を顔ぐらいの高さに上げてなー、」

エイラさんの口元が、笑いを堪え切れなくなったように歪みました。

「4本の指を曲げて、こうやるんだよ。……リーネ、"Moi,moi!!"」

その瞬間、彼女の白い両手が、私の胸に
(省略されました。 続きを読むには"Moi,moi!!"と書き込んで画面の前でスオムス式に手を振ってください。)

34 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:30:09 ID:ucdupX+Q
Moi,moi!!
ワキワキ

前スレ埋まったけど、あっちもあれで完結かな?
どっちもGJ!!

35 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:33:11 ID:96JrJm+l
あ、宣言忘れてました。以上です。題名は「薄明の空」です。
読み返してみると、「夜間哨戒」なのか「夜間訓練」なのかはっきりしませんね。正しくは夜間哨戒です。
その他訂正したい箇所は多くありますが、きりがないので二つだけ。


6行目
×一つとして同じ形の無い雲の、そのそれぞれに反射した赤やオレンジの光や、
○一つとして同じ形の無い雲の、そのそれぞれに反射した赤やオレンジの光が、

あと、13行目と14行目の空白が短すぎたので、脳内保管して増やしてもらえればありがたいです。

36 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 22:33:47 ID:AGXoQdR9
Moi,moi!!
>>31
先越してしまい申し訳なかった
しかしあれをスレの最初に投下する勇気はないので今は安心している

37 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:35:36 ID:ohV7/ZsY
前スレ>>628
>シャーリー×リーネ
>シャーリーがリーネのストライカーを整備してあげてる。
>お返しにリーネがシャーリーの服のほつれを、隣で繕っている。

こうですか? わかりません。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

38 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:36:54 ID:ohV7/ZsY
「おいリーネ」
「は、はいっ!」
 訓練から戻ってきたら、突然シャーリーさんに声をかけられた。
 思わずルッキーニちゃんがいないか、胸を庇いつつきょろきょろしてしまう。
「そんなに緊張するなって。あたしとルッキーニはいつでもセットってわけじゃないぞ。ちょっといいか?」
「はい……あ、でも……」
 と、一緒にこの後食事係の芳佳ちゃんを見る。
「いいよ、先わたしの方で準備してるから」
「うん」
 芳佳ちゃんを見送ってからシャーリーさんに向き直る。
 整備の途中だったのかツナギに工具入れ、手には少佐が扶桑から持ち込んだグンテっていう手袋をつけていた。
 そして、思わず目線が止まってしまう場所は、やっぱりおっぱいだ。
 相変わらず大きい。
 大きいけど気にしないどころか誇ってる感じ。
 私もあんなに自信いっぱいにいられたらいいな。
 あ、でもでも、自信をつけるのにもっと大きさが必要だったらどうしよう!?
「なんであたしのおっぱい見てんだ?」
「え、あ、いえ! べべべべつに何も見てませぇん」
 首をぶんぶん振りながらごまかす。うう、こんなんじゃごまかせないよ……。
「まぁいいや」
 と、深みにはまりそうになった所でシャーリーさんの方からスルー。
「お前のスピットさぁ、セッティング変えたほうが良くないか?」
「え?」
「お前基本的にルッキーニよりも長射程で支援攻撃だろ」
「はい。狙撃が私の特性ですし」
「だったら……まぁ、あたしとしちゃあ不本意なんだが加速性能とか最高速度とかを犠牲にして、安定性と攻撃力強化に魔力を回せる方がいいんじゃないのか?」
「あ、はい」
「ヨシッ、じゃあセッティングしといてやるよ」
「え? いいんですか? あ、でもでも軍からの支給品ですから勝手に弄っちゃまずいと思います」
「大丈夫だって。RRマーリンはたっぷり弄りこんだし、前線での改装なんてよくある話さっ」
 シャーリーさん既にやる気満々で、お話聞いてくれそうに無い感じ。
「じゃ、じゃあその、お願い……しますね」
 後で叱られる覚悟をしつつなんとか笑顔を作ってお願いの一礼。
「おーしっ。早速やるか〜」
 そのまま楽しそうに私のスピットファイアmk\に向かう。
 私はいろいろと心配しながらも食堂へと向かった。


39 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:38:04 ID:ohV7/ZsY
 食事の間もシャーリーさんはずっとハンガーに詰めていてルッキーニちゃんがちょっと詰まらなそうにしていた。
 食事の後、心配だったストライカーユニットの改造の件をミーナ中佐に相談すると、ブリタニア軍にはミーナさんから説明をしてくれるとのことで一安心。
 安心したら私が自分の事ばっかりしか考えていなかったことに気付く。
 そんな自分が恥ずかしくて、シャーリーさんにちゃんとしたお礼を言いに行きたくなった。
 シャーリーさんの分の夕食は残してあったけど、それを暖めてからちょっと手を加え、トレイに乗せてハンガーへと向かった。
「シャーリーさん」
「お、リーネいい所に。一人でやっちゃおうかと思ったんだけどやっぱやりにくいからな、ちょっとエンジン始動してくれよ。ってなんかいい匂い……あららっもうこんな時間だったのかよ。わざわざもって来てくれたんだな。サンキュ」
 と、笑顔で振り返ってあっという間に用件を振ってから自己完結してお礼まで言われちゃった。
「いえ、お礼を言いたいのは私の方です。ありがとうございます」
「いいっていいって、半分趣味だしさ〜……ま、とりあえず起動準備だけしててくれよ。その間に頂いちゃうからさっ」
 外装を剥がして、エンジンとフレームのむき出しになっている私のスピットファイア。
 結構周りは機械油でべとべと。
 見ればシャーリーさん自身も結構汚れてる。
「シャーリーさん、後でそのツナギ、私がお洗濯しておきますね」
「ン? ツナギ? ああ、これなら汚れるの前提だしさ……あ、そうだ、それよりもさ、実は上着の部隊章ワッペンが剥がれかかってるんだ。そっちの直しやってもらえないか?」
「はい、いいですよ」
 笑顔で答えて懐から簡易裁縫セットを取り出す。
 そして壁に引っ掛けてある上着を見て「これですか?」と確認。
 と、シャーリーさんはなんだか変な顔でこっちを見てる。
 え?え?何でだろう? 私、気付かないうちに何か変な事しちゃったのかな?
「おまえ、いつもそんなの持ち歩いてるのか?」
「え?」
「裁縫セット」
「え、持ってないんですか?」
「いや、少なくともリベリオン娘とロマーニャ娘は持ってないな」
「スクールの人みんな持ってましたし、ミーナ中佐や芳佳ちゃんも持ってたから、みんな持ってるものかと思ってました」
「あたしが持ち歩いてるのは精密ドライバセットくらいかな」
「ぷっ、普通の女の子はそんなの持ってませんよ」
「あははっ」
 なんとなく自然に笑いが漏れてきて、お互い笑いあったあと自分の仕事に入った。
 周りの油が付かないようにしながらお裁縫するのには気を使ったけど、シャーリーさんの作業より私の作業の方が先に終わった。
 その間、こっちは言われるままに魔力を込めたり抜いたりして、シャーリーさんは何かいろいろ計測してるみたいだった。


40 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:38:41 ID:ohV7/ZsY
「終わりましたよ」
「お、流石にそっちの作業は早いな。こっちも幾つかパターン取れたからこれから組み上げとく。明日の午前の訓練には使えるようにしとくよ」
「すいません、本当にありがとう御座います」
 もう一度お礼。
「いいっていいって、半分あたし用のデータ取りみたいなもんだしさ」
 そういいながら手を休めず、手際よく組み上げを進めていく。
「シャーリーさん」
「ん?」
「あの、どうしたら……どうしたらそうやって自信を持って生きられるんでしょうかっ?」
 目をつぶり、思い切って聞いてみる。
「自信ねぇ、特別そんなつもりは無いけどなぁ」
「そう……ですよね、私が自分に自信がなさ過ぎるんですよね……」
「お前、射撃には自信あるだろ?」
「はい、それなりに……でもルッキーニちゃんも凄いですし」
「だったらその辺から攻めて見ろよ。これに関しては私が一番!って思えるものを持っていれば自信につながるんじゃないか?」
「一番、ですか……」
「あとリーネが一番になれそうなのって言ったら……おっぱいだな」
「!?」
 おもわず胸を庇う。
 さっきまで作業を止めなかった手がストライカーから離れて宙で卑猥に動いてる。
「あっはっはっは。そんなんじゃいつまでたってもあたしを追い越せないぞ〜」
「も、もうっ! そんなシャーリーさんキライですっ」
「ま、正直な話、あたしがセッティングしなおしたスピットならきっと自分に自信が持てるようになるさ」
「は、はいっ」
 大笑いから急にまじめな顔になられると、こっちも焦っちゃう。
「じゃ、今日はオヤスミだ。明日の訓練での感想、楽しみにしてるよ」
 そういってウィンクしたシャーリーさんから、私は一旦離れようとして立ち止まり、引き返して近づいて、ほっぺにキス。
「あ、あ、あ、あの、お、オヤスミの、あ、あいさつですっ! 失礼しますっ!」
 私は自分の大胆な行為に驚いて、真っ赤になって自分の部屋まで廊下を駆け抜けた。
 明日の訓練の事を、楽しみにしながら。


41 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:39:33 ID:ohV7/ZsY
以上となります。

リーネは芳佳の嫁だし、シャーリーにはルッキーニ、又はスレ的にトゥルーデがいるだろう!

と、そう思っていた時期も自分にはありました。
巨乳ペア最高!
妄想されたシーンが短めに終わってしまってすいませんごめんなさい。
あと、リーネ視点初めてなんでうまく描けてるかどうか自信無いっすごめんなさい。

二人ともマーリンエンジンなんで、整備をネタにするにはもってこいのペアだという事に
気付かせてくれた前スレ628に感謝。
多分ルッキーニのセッティングとかチューニングとかもやってそうな気もするんで、
そうするとエンジンが同じDB605を使ってるというか、本家DB605搭載であるBf109の面倒も
見ていると思われ。
つまり同じネタから派生でミーナ、エーリカ、エイラとの絡みも可能ではないかと推測。
どうだろうか?

42 名前:zet4j65z:2008/11/04(火) 22:46:19 ID:ohV7/ZsY
Moi,moi!!<挨拶

早朝8時には書き終わってたのに、会社からは書き込みできず、
家帰ったらアクセス規制のせいで書き込むのがこんな時間にorz
あと、自分のネタに詰まったときは人の妄想に便乗するのがいい感じ。


学園にミーナさん崩壊にmoimoiと、新スレも好調な滑り出しですなGJ

43 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 23:08:54 ID:BuchmP+H
前スレの埋めネタはエイラニャの人と踏んだぜ
GJ!!

44 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/04(火) 23:19:32 ID:96JrJm+l
>>36
いえ、早い者勝ちなので、どうぞ気にせずに

>>37
たった二行の文章から、ここまで話を広げられるとは・・・。
妄想力が無い俺としては本当に羨ましい。乙乙
リーネの性格も上手く表現されてるし、本編での会話を思い出しながら楽しく読めました。

45 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 00:00:48 ID:u1j155Js
>>41
職人さんGJ!!
俺の拙い妄想が職人さんが文章を作るきっかけになったのが凄く嬉しい。
こちらこそ感謝!!

46 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 01:03:24 ID:DtEkW8pD
遅ればせながら>>1乙!
ペリエイラーニャの続きと芳エイラーニャ話投下します
連投規制不安だけど大丈夫かな…

47 名前:「mix-turegret」-4 21X2w2Ib 1/4:2008/11/05(水) 01:04:01 ID:DtEkW8pD

逃げている途中でこっそりとシャーリーたちと別れて、しっちゃかめっちゃかになってしまったストライカーの
様子を見に行った。もちろん見つからないようにそろりそろりと。
さっきはあんなに乱暴に扱っちゃったけどあのメルスは私と一緒にたくさんの戦場を潜り抜けてきた相棒だ。
放っておいて置けるはずがない。…え?ルッキーニ?まああれの尻拭いは保護者のシャーリーがしといて
くれるだろ。
遠くから自分のいた辺りを眺める。そこにはすでに整備の兄ちゃんたちがわらわらといて、ちょっとうなだれ
たりしていた。その目に光るものが見える気がするのは…うう、気のせいだ、気のせい。あれは不運な事故
だったんだ。

(だって、シャーリーがあんなこと言うから)

おまえのおひめさまって言ったら、サーニャだろ、なんて。
それが真理で、絶対不変あるかのように言った。だからお前はおかしいと。頭でも打ったのかと。
(どうしちゃったんだよ、わたし)
分かってるんだ。ヘンだって。最近の私はどうかしてる。普段は気にも留めないはずのことばかりが気に
なって、いつもは気を配っているはずのことをおそろかにしてしまっている。
あの時流せなかった涙が目頭に溢れてくる。何が何だかよくわからないけど泣きたかった。

(だって、だって)

サーニャが一番、大切。そんなこと私が一番、そう信じていたはずなのに。
あの一瞬だけだとしてもそうではなかったことにこんなにも打ちのめされている。たぶんこの胸の罪悪感は
そのせいだ。たぶんサーニャに対して申し訳ないというよりも、そう信じてた自分を裏切ってしまった気がして
悲しいんだ。

お姫様、なんて。そんな風に名前をつけたことはないし、意識してみたことはない。
じゃあどんな風に思ってたんだと問われると難しいけれど、たとえるなら私にとって、サーニャは温室の中で
穏やかに咲いている一輪の白いバラみたいな、そんな存在だった。どっかの誰かがガラスの容れ物に大事に
大事にしまって育てているような、そんなもののような気がしてた。今になってみると、それは確かに「おひめ
さま」と言うのに相応しかったのかもしれない。考えてみればあまりにも。
外の空気に晒したらたちまち枯れてしまいそうだから、だから必死に守ってきた。汚れた心でそのまま触れた
らきっとよごれてしまうから、念入りに念入りに心を洗って接してきた。サーニャのいる場所だけほんわかと
柔らかで丸い光に満ちていて清潔で、そこは私にとっては別世界だったんだ。まだ誰も足跡をつけていない
一面の白銀世界のような、霧雨けむる早朝の誰もいない湖のほとりみたいな、そんな。
そのくらい綺麗だと思ったサーニャに求められて差し伸べて、ためらいながらも確かににぎり返してくれることが
嬉しかった。今までであった誰とも違う、サーニャは特別でとびきりの存在だった。間違いない。

ぽかん、と拳骨で自分の頭を叩く。頭の中がこんがらがって、なにがなんだかわからなくて、できることなら
叩いて壊して一からリセットしたかった。そんなことしたって、私はばかだからどうせまたおなじ過ちを繰り
返すのかもしれないけれど、それでも。
そんなことを考えながら扉のふちに頭を押し付けて格納庫の様子を眺めてた、少しばかり油断していたそのとき
だった。
「エイラさんっ」
突然背後から話しかけられて、慌てて涙を拭って振り返る。まるで今起きてきたばかりで大きなあくびをした
ところだと言わんばかりに。



48 名前:「mix-turegret」-4 21X2w2Ib 2/4:2008/11/05(水) 01:05:23 ID:DtEkW8pD
「ナンダァ………って、リーネか。どうしタ?」
「どうしたもこうしたもないですっ!」
てっきりミーナ中佐かと思ってどきどきしながら振り返ったら何のことはない、リーネだったから表情を緩め
たら、突然怒鳴りつけられた。
…な、なんだなんだ、なんで怒ってるんだ?思い当たる節は……ありすぎて断定できない現状だ。この間も
いたずらついでに胸揉んだしなあ。うん、あれはいいものだった。いや、決して疚しい気持ちなんかないぞ。
私はリーネをそんな目で見たことなんかないんだからな。ペリーヌだって、…………もちろんサーニャだって。
まあ、今の状況ならやっぱりストライカーのことだろう。ミーナ隊長から早くも聞かされたのかもしれない。
ルッキーニが誰か駆け付けるより早く目を覚まして逃げたのだったら、やっぱり一番疑わしいのは私だしなあ。
……でもそれってリーネが怒ることかあ?まあ、魔女の端くれなら、そりゃ怒りたくもなるだろう。

ともかく、思っても見ない相手に声を荒げられた私はうろたえるばかりで、少しだけ下にあるリーネの目線に
ひたすら縮こまることしかできなかった。下にもたくさん弟妹がいるのだと言うリーネは、怒ると案外怖い。
まあ、もともとが恐ろしく温厚で、しかも階級も一番低いから私たちに対してリーネが怒ることなんてほとんど
ないけれど…将来偉くとかになったりしたときが、怖いな。

「ご、ごめんってバ!!わざとじゃないんダ、ただちょっと手が滑って」
リーネの顔が険しくなる。とは言っても膨れ面で、むしろ子供みたいなんだけれど、何しろこの剣幕だ。
こわい。とてもこわい。
「…『手が滑って』ああなるんですか?一体どんなひどいことしたんですか!!」
「…それは…まぁ…いろいろと…」

ネジ回し思いっきり回路部分にくし刺したりだとか、
スパナで何回も何回も叩いたりだとか、
つまづいて盛大にひっくり返したりだとか。
私の目の前で広げられたその惨劇を、一つ一つ思い起こして頬をかく。…どう考えても、言ったらさらに
怒られそうで言葉にできない。だからあれは不運な事故だったんだ。…いや、ハルトマン中尉のアレはどう
考えてもわざとだけれど。よく考えたら一番のとばっちりはシャーリーだよなあ。面倒だから謝らないけれど。

「言えないくらい、ひどい事をしたんですね…っ…エイラさん、私、エイラさんのこと見損ないました。」
しかめ面のまま言われてしまって、私は今度こそうなだれるしかない。そうだよな。ウィッチにとってストライカー
は相棒だもんな。それを大切にできないなんてウィッチ失格だ。

「…ゴメンヨ…ミーナ隊長には正直に謝るから…」
「そうやってすぐごまかす!謝るならちゃんと本人に謝らなくちゃだめです!許してくれてもくれなくても、
 ちゃんと誠意を示さないと分かり合えないんですよ!」
「………ハア?なんで?」
ナニ言ってんだお前、と。間抜けな声を上げてしまったのは、リーネの発言があまりにも意味不明だったから。
だって人間じゃあるまいし、ストライカーに謝ったって意味なんかないじゃないか。誠意とかいうのはまあ
わからなくもないけれど。
けれどリーネは聞く耳を持たない。

「『ハア?』じゃないです!ほら、行きますよ!」
「ワワワワ、どこに連れてく気だよ!」
「そんなの部屋に決まってるじゃないですかっ!!」
「だからナンデッ!ストライカーが壊れたのは確かにそりゃ、元はと言えば私のせいだケド、なんかさっきから
 リーネおかしいゾ!!」



49 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 01:06:08 ID:DtEkW8pD

「……え?」
私の腕を掴んで、どこかへ連れて行こうとしたリーネがきょとんとした顔をする。すとらいかー?少し間抜け
な呟きが漏れた。
「…なんのことですか?私が言っているのは、サーニャちゃんのことですよ。…どんなひどいことしたのか
 知りませんけど、まずはちゃんと謝るべきです!!」
さーにゃ。その単語を聞いて私は固まった。つい先ほどまでの言い合いの断片が、頭に蘇ってくる。
私はサーニャにひどいことなんて、してない。傷つけないように、傷つけないように、そうやって接してきた
はずだ。
許す、とか。「ああなる」、とか。すべてのわけがわからない。だって私はそれをすべてストライカーのことだと
思いながら聞いていたのだ。だから全部あっさりと納得が出来た。
でも、違うって?いままでリーネが言っていたことはすべて、サーニャのことだって?うそだ、そんなの。

ちらり、と格納庫のほうをまた、見やる。くすぶったような煙はもうでておらず、整備のにーちゃんたちは早くも
作業を始めたようだった。だけどその陰に隠れているストライカーの状態がどんなにひどいものだったか、
私はちく覚えている。
…それと同じようなことを、私がしたっていうんだろうか。いつ、どこで?
何ひとつ思い至らない。この数日は毎日をやり過ごすのに必死すぎて、そういったことに気を回している暇
なんてなかった。

「…ちょっとマテ、まってくれ。わけがわからなくなってきた」
頭を抱えて少しうつむく。その上から掛かる、優し気だけれども今の私にとってはとても残酷な言葉。
「エイラさんは最近少し、様子がおかしいです。…サーニャさんのこと、避けてる」
「さ、避けてナンカ……イヤ、そっか…」
指摘されてはっとする。そうだ、確かに関わらないようにしてきた。どんな顔をして会えばいいのか分からな
かったから、ずっとずっと避けてきた。いつもはむしろ私の方から進んで彼女の世話をかってでるのに、ここ
数日はサーニャから近づいてこない限り私から何かをすることはなかった気がする。なんでだか分からない
けれど罪悪感が募って募って、いたたまれなくなるから。何をしてもペリーヌのことを思い出して自分の愚かさ
が嫌になるから。
言い訳なんて出来るはずがない。それは確かに、サーニャ自身にしてみたら自分を避けているようにしか
見えなかったのかもしれない。

(なんで気付かなかった)

自分で自分がいやになる。私はいつだってサーニャのことを誰よりも心配していたし、彼女を傷つけたりしない
ようにどんなときも細心の注意を払って立ち振る舞っていたはずだった。サーニャの様子を見て、あまり
はっきりとしていない彼女の感情の機微を捉えて、大丈夫かと声をかけて小さなことでも手を伸べて。
そうして私がぶっきらぼうに差し出すそれを受け取って、サーニャが微笑んでくれる顔を見るのがなによりも
幸せだったから。
でもここのところの私は違ってた。ペリーヌとの一件にひとりひどくうろたえて、自分でどう立ち回ればいい
のかさえわからずにおろおろと戸惑ってさまよって、いつのまにかサーニャのことなんか見向きもしないで
過ごしてた。いつもは目を瞑ってたってできることさえおろそかにして、多分サーニャをすごく傷つけた。

「ケンカでもしたんですか?何があったんですか?…避けてばかりいないで、ちゃんと話さないと。
 そうしないと、仲直りなんて出来ませんよ」
リーネの言葉はひどく温かくて、私とサーニャのことをひどく心配しているのが見て取れた。さっきあんなに
怒っていたのだって、きっとサーニャを放っておいてこんなところでほっつき歩いている私が許せなかった
からなのだろう。リーネは気遣いのエキスパートだ。
でもそんな言葉さえ、今の私には鋭く突き刺さる。だってサーニャは何も悪くないんだ。



50 名前:「mix-turegret」-4 21X2w2Ib 4/4:2008/11/05(水) 01:07:08 ID:DtEkW8pD
「ケンカとか、そんなんジャ…」
事態はもっとフクザツカイキで、深刻なんだ。それを伝えたかったけれどそのためにはペリーヌを巻き込ま
なければいけなくなる。私自身の保身のために今ひどく傷ついているであろうあいつを巻き込むのは、ひどく
可哀想なことのような気がした。…それなら嘘をついてでも、偽ってでも、私がひとりで傷ついたほうがいい。
たぶん、私にはそれを受けるだけの理由がある。

「なんでもないヨ。ただ、ちょっと、疲れがたまってたダケ。」

おどけるように作り笑いを浮かべて、リーネの肩を叩いてやる。ごめんな、すぐ行くから。そう言ってまた
どこかに逃げようと歩き出したら、再び呼び止められた。
「ちょっとまって、エイラさん、」
リーネと同じようにさん付けで、私を呼ぶその声が誰なのか、私は自身の背筋が凍るのを感じて認識する。
「あ、ミーナ中佐!」
出来れば何も聞こえなかったことにしてそのまま走って逃げ出したかったけれど、リーネがその人の名前を
口にしたことでその計画はもろくも崩れ去った。

「エイラさん?」
直立して、昔習ったとおりの形式ばった反転。「中佐、オハヨウゴザイマス〜」。引きつった笑いを浮かべて
挨拶をしたら、やっぱり満面の笑みで「そうね、おはよう」と帰ってきた。ああ、でも、目が笑っていませんよ隊長。

「私はストライカーユニットのことでお話があるの。部屋まで同行してくれるわよね?」
微笑むミーナ中佐の後ろで笑って手を合わせている大きな影がある。シャーリーだ。その隣ではガッティーノ
があかんべーをしていた。…ちょっと待て、止めを刺したのはお前だろう。

「話はシャーリーさんたちから聞きました。犯人は現場に戻るって、よく言ったものよねえ」
絶対零度の笑みが私の背筋をしんしんと冷やしていく。ちくしょう、スオムスの冬でだってこんな寒くないぞ。
隊長の後方にいるシャーリーいるを軽くにらみつけても、ごめんなー、とばかりに肩をすくめられるばかり。
よく状況がわからない、と言った顔をしたリーネが一人首を傾げていて、ルッキーニは「逃げるからだよー」と
にゃはにゃは笑っていた。いや、だからお前も共犯だろ。シャーリーはともかく。

「リーネ、ちょっと頼まれてくれないカナ」
「はい?」
「サーニャについててやって欲しいんダ。まだ、しばらく戻れなさそうだかカラ」
そうだ、そうしてサーニャも私以外の人の優しさに気付けばいい。ふたりぼっちのせかいよりもずっと、その方が
サーニャだって楽しいはずだ。こんなに自分のことばかりの私のことなんて、もう見捨ててしまっていい。
そう思うくらいに私は打ちのめされていた。もちろんストライカーユニットのことじゃない。これから待っている
説教のことでもない。…こんな、ばかで、おろかで、ざんこくな、自分にだ。あのときの、ペリーヌの笑顔が
また脳裏に蘇る。泣きながら笑って私に吐いたあの言葉が、あの時は暴言としか思えなかったその言葉を、私の
頭の中を支配していく。今なら私にそう言い放ったペリーヌの気持ちが分かる気がした。


「イエス・マム…」
行きましょうか?尋ねる隊長に返事を返して、私は小さくひとつため息をつくと、すぐ脇をすり抜けたミーナ隊長
の後ろについていくことにした。


(つづく)


51 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 01:08:08 ID:DtEkW8pD
ペリエイラ以上です。どうも自分が書くとエイラがどんどんネガティブになってしまう
最初は純粋にペリエイラ書きたかっただけなのですが501の面々がそうはさせまいと勝手に動いていくので
できればもうちょっと番外編も追加していきたいなあと…
本編自体はたぶんあと2話くらいで終わります。

読んでくださっている方、続き待ってるとコメントくださった方ありがとうございました
文章自体は日曜日ぐらいに出来上がってきたのですがちょっと忙しくて投下が遅れてしまい申し訳なかったです

続いて芳佳とサーニャ(エイラーニャ)話投下します。


52 名前:だいじょうぶだよ 21X2w2Ib 1/5:2008/11/05(水) 01:09:20 ID:DtEkW8pD

空のあまりの眩しさについ、顔をしかめた。格納庫の脇、ハンガーで私は一人座り込んで、ひたすら帰りを
待っている。
時刻は昼過ぎ。天気は快晴。海はこの上なく、穏やか。

サーニャちゃん。

呼びかけられた気がして、足にうずめていた顔を上げた。振り返ったらそこには宮藤さんがいて、私に
ぶんぶんと手を振っているのだった。突然の来訪に驚きながらも私も会釈を返す。
「どうしたの、こんなところで」
息を弾ませてこちらまで掛けてくると、宮藤さんはそう言って笑った。
私はね、いまお洗濯が終わったところなの!今日は大変だったんだよー、ハルトマンさんがいっぱい洗濯物
出してきて…と、最初は私への質問だったはずなのにいつの間にか自分の話に変わっているところがなぜ
だかおかしくて、つい私はふふふ、と肩を震わせてしまう。そんな私を見て、宮藤さんもとても嬉しそうにえへへ、
と笑った。しばらくそうして二人で笑いあう。

この間、私と同じ日に15歳になった彼女は今はエイラと同じ15歳で、14歳の私にとっては実際のところは
まるまる1歳年上ということになる。けれどそんなこと全く関係ないかのように私に宮藤さんは語りかけてくれる。
その奔放さと明るさに私は時々、とても救われるのだ。こんな人になれたら良いのにな、と強く願って仕方が
ない。そうしたら世界は、もっと違った色を見せるのかもしれない。私が気にも留めないようなことがすべて、
価値あるもののように思えたりするのかもしれない。

それに、もし、宮藤さんのようになれたら。

横目でちらりと滑走路の向こうを見やった。まっすぐ伸びる滑走路の奥に広がる海はどこまでも蒼く、果て
しない。空の青とは違ったその色に私はエイラの瞳の色を思い出す。どこまでもどこまでも、深い蒼。じっと
見つめられたらきっと吸い込まれてしまうんだろう。そんなシチュエーションにいまだかつて遭遇したことがない
から、実際のところは分からない。だっていつもエイラはすぐに目を逸らしてしまうもの。

「みんな、もうすぐ基地に着くって、さっきミーナ中佐に聞いたよ」
「…うん」
「無事だといいね」
「……うん」

私の視線の先に気がついたのだろうか、宮藤さんが言った。うん、と頷きながら私は、ひたすらエイラを
待ちわびている。それこそ宮藤さんが来る前から、正確に言えばエイラの部屋で目覚めたその瞬間から。
ネウロイが出現したのは、今から2時間ほど前。そしてエイラをはじめとしてリネットさんやシャーロットさんが
出撃しているところなのだった。私はそれを感じ取って目を覚まして、正体不明の大型飛行物体の消滅を
感じてエイラたちがもうすぐ帰還してくることを予感した。
…それだから、ここまで来たのだ。服なんてシャツとズボンとベルトくらいしか身につけないで、空いている
お腹なんて気にしないで。私が夜間哨戒から帰ってくると、エイラが格納庫で突っ伏して眠っていることが
ある。私の帰りを待って、一番に「おかえり」というために。
私も、たまにはそれをしてみたい、と思ったのだ。疲れて帰ってきたエイラを出迎えて、一番におかえりを言う。
そうしたらきっと、エイラはとてもとても嬉しそうな顔をしてくれるのだと思うから。

私がエイラにしてあげられることなんて、そんなささやかなことでしかない。
だから、強く、思う。

宮藤さんみたいに、なれたらいいのに、って。



53 名前:だいじょうぶだよ 21X2w2Ib 2/5:2008/11/05(水) 01:10:21 ID:DtEkW8pD

だってそうしたらエイラは私にそこまで気を遣わなくて済むのだろう。うまく周囲に溶け込めないことを心配して
気を回したり、頼りないからといつも隣にいなくたって、いい。
冗談だっていくらでも言って、子犬の兄弟みたいにじゃれあって遊ぶ。面白いことなんて何もないのにただ
ただ面白くて、ひたすら声を上げて笑ったりして。一方的に寄りかかるんじゃない、お互いに向かい合って、
そうして愉快に笑顔をかわす。そんな関係にとても、とても、憧れるから。でも、今の私じゃ、生まれ持った
この性格じゃ、きっと無理だろうと思うから。…だから、すごく羨ましい。ひたすらに、憧れる。

…エイラだってその方が絶対に楽しいだろう。おとなしそうな外見に反して彼女の本質は実に奔放で、無邪気で、
明朗快活だ。何かひどく理知的なことを考えているような顔をしながら実際頭の中では今日はどんないたずらを
しようかとかひたすらに考えていたりするのだ。

宮藤さんの話はいつの間にか、エイラたちの出撃前の昼食の話に移り変わっていた。ふかしジャガイモが
足りなくなってバルクホルン大尉が発狂したとか、ペリーヌさんが今日は「クサヤ」に怒り出したとか、そんな
ことを楽しそうに宮藤さんは話す。まだここに来て一ヶ月もたっていないはずなのに、宮藤さんはすっかり
この部隊の一員だ。まばゆいくらいの存在感を放っているのだ。

それに比べて私はどうだろう。白いシャツから伸びる、同じくらい白い腕。むしろ青白くさえ感じてひどく
不健康だ。あまりに眩しくて昼の光に融けてしまいそうだ、と思う。…これでは、いくら『幽霊みたい』と言わ
れても反論できない。エイラは「キニスンナ」と繰り返すけれど、でもやっぱり気になる。だって1秒でも長く
あなたの目に止まっていたいのだもの。

「みやふじさん、」

さえぎるように口をついて出た私の微かな呟きを、宮藤さんは聞き取ってくれたらしかった。とりとめもない話を
していた宮藤さんが口を止めて私を見やって、そして言う。どうしたの?私から口を開いたことが物珍しかった
のだろう、その目は好奇心にキラキラしている。
「どうしたの?何でも言って?」
「あの、その」
言葉が上手く出てこない。こんなことを人に尋ねるのは初めてで、しかも私はエイラ以外の人と話すのさえ稀だ。
でも聞きたい。知りたい。…たぶん、今しか聞けない。何より、こうしてちゃんと私の話を聞いて、待っていて
くれる宮藤さんに申し訳ない。

「みやふじさん、は、え…エイラのこと、どうおもってる?」

言えた、なのか、言ってしまった、なのか。
口にしたらその一言はあまりにもあっけなく吐息となって消えてしまった。けれどこの言葉が問い掛けで、
その対象が目の前にいる以上私がその言葉を言った事実はなくならない。もっともっと、さりげなく言えれば
よかったのに結局途中でためらって、どもって。これでは私がひどく緊張していることが丸分かりだ。人と
接することに慣れていないぶん、弱さを見れることにも慣れていない私にとってそこからしばらくの宮藤さんの
沈黙がまるで気が遠くなるくらいに長い長い時間のようにさえ感じた。

「うーん……ぶっきらぼうだけど、優しい先輩かなあ。ってあれ、もう同い年なんだっけ。」
私の葛藤などいざ知らず、宮藤さんはいつもどおりのほほんと答える。私チビだしなあ、とぼやく宮藤さんは
そう言えば私よりもいくらか背が低い。私と同じ身長のはずのペリーヌさんが宮藤さんをよく『マメダヌキ』と
気兼ねなく評するのもそんなところが関係しているのかもしれない。せわしなく動き回っては、にこにこと
その場を明るくしていく宮藤さんはとても可愛らしくて小動物のようにも思えるのだ。…年下の私から見ても
そうなんだから、きっとエイラもそれ以上に思っているに違いない、と思ってもっと落ち込んだ。

宮藤さんの言うとおりだ。エイラはとても、優しい。少しぶっきらぼうな物言いをするのも、それはエイラが
とても照れ屋なだけだ。だから新人で、すこしうっかり屋さんで、まだ何もわからない宮藤さんに頼られたら
エイラはきっと放って置くことが出来ないに違いない。
だから怖いの、なんて言ったら宮藤さんを傷つけてしまうかな。エイラを悲しませてしまうかな。それでも
やっぱり私はわがままだから今この手の中にある優しさを片時も離していたくないのだ。



54 名前:だいじょうぶだよ 21X2w2Ib 3/5:2008/11/05(水) 01:11:18 ID:DtEkW8pD

「それと、サーニャちゃんのこと、すごく大切にしてるよね!」

え?と、思わず声が漏れた。けれど当の宮藤さんはけろりとしたもので、私を気遣って無理に言っているようには
思えなくて。
「ほんとう?」
尋ね返すと、やっぱり。言葉の代わりに満面の笑みが帰って来る。他の人と話す機会の少ない私は傍から
みて私と彼女がどう見えるのかを周りから聞く機会がない。

ねえエイラ、あなたは自分から望んで私のそばにいてくれているのかな。しかたなくじゃない?ほっとけない
からじゃない?もっと真っ直ぐな気持ちで、私と同じように、あなたも私を想っていてくれる?
「…でも」
私の中にはそれを真実と信じ切れるほどの勇気がまだないのだった。だって彼女の気に入ってもらえる
ような部分が私に思い付かない。目を落とすと、ささやかとも言えない胸の膨らみ。普段から公言している通り、
エイラは大きな胸が大好きだ。だからエイラは私の胸に興味を持たない。たぶんエイラは私に魅力を感じる
ことがないんだろうな。でも、私が独りぼっちでかわいそうだから、一生懸命気を遣わせているんだろう。

考えれば考えるほど、悪い方向にしか進んでいかない。例えば傍にエイラがいたらこんな私の不安なんて
あっという間に掬い取って、「ナンテコトナイッテ」と笑うのだろうと思う。
虚空に目を凝らしても、青い青い空があるばかり。エイラの瞳に私は快晴の空を想うけれど、空の蒼は
エイラの代わりにはなってくれない。あの人の変わりは誰にも出来ないのだ。

「エイラは、だれにでも、優しい、から」
もぞもぞと言うと宮藤さんはあっけらかんと笑った。サーニャちゃんには特別に優しいよ!私の肩をぽん、と
叩いてそう言う。その行動は何だか坂本少佐のするそれに似ている気がした。顔を上げたらほら、やっぱり。
坂本少佐とどことなくかぶる、無邪気で明るい笑顔。それは二人の性格ががもともと似ているからなのかな。
それとも一緒に訓練しているうちに宮藤さんが坂本少佐に似たのかな。分からないけれど、変われるのなら
私も変わりたい、と思う。

「けど、エイラは、だれとでも仲良くできるから」

羨ましいのは、エイラじゃない。エイラとと一緒に笑って騒げるみんな。私も同じようにしたいのに、私には
上手くそれが出来ない。小さな冗談さえ口に出来ずにまごついて、いつもいつもエイラを心配させてしまう。
私が何かを言うたびに、宮藤さんは励ましの言葉をかけてくれた。エイラがいなくてもしっかりしたいのに、
私はやっぱりだめだ。上手く感情がコントロールできなくて、情けない言葉ばかりがこぼれ出てきてしまう。
いやだな、こんな私。いつもそう思っているのに、どうしようもない。独りぼっちのときはいつもこうだ。後ろ
向きなことばかり心に浮かんでしまうのだ。

「ねえ、サーニャちゃん」
私に耳を寄せて、相槌を打っていた宮藤さんが、不意に自分から口を開いた。囁く言葉はとてもとても優しい。
それは平坦なエイラの口調とはちがって、声音からも私に対する気遣いが分かるのだ。もちろん、口にする
言葉に抑揚がなくても、言葉遣いがぶっきらぼうでも、エイラがとてもとても優しい人だということは私が一番
知っているところだけど。

「サーニャちゃんって、もしかして、すごくヤキモチ屋さん?」

何だか可愛いねえ、とのほほんと。いつもの調子でそう言って宮藤さんは微笑んだ。
私はと言うと宮藤さんの口をついてでたある単語にうろたえて、思わず口をパクパクさせてしまう。
(やき、もち?)
それは、この胸のもやもやのこと?エイラと他の人が楽しそうにしていると何だかとても悲しい、この気持ち?
「そんなんじゃ、」
やきもち、って言うものがどんなものかは知っている。いわゆる『嫉妬』というものだ。ううん、そんなもの
じゃない、絶対。そんなに醜い気持ちじゃない。私は、ただ、エイラの。



55 名前:だいじょうぶだよ 21X2w2Ib 4/5:2008/11/05(水) 01:12:58 ID:DtEkW8pD

(いちばんで、ありたいの)

いつも一番近くに居て、エイラの笑ったり怒ったり泣いたり落ち込んだり、そんな表情を全部全部見ていたい。
楽しいときは一緒に笑って、悲しいときは一緒に泣いて。嬉しいことを何倍にもして、辛いことは半分に出来る
ような、そんな存在でありたい。他の人たちで代わりなんか聞かない、たったひとりの人になりたい。…だって、
私にとってエイラはもう、とっくのとうに「たったひとりの人」だから。
だから、嫉妬とかじゃ、ない。そんな風に呼びたくなんかない。…でも、もしかしたら、けど。
自分のこの気持ちはもしかしたらいけないことなのではないかと、突きつけられた気がして戸惑ってしまった。
もしかしたらそれはエイラの迷惑になる気持ちなのかもしれないと。

どうしたらいいのかわからなくなってうつむいた、その瞬間だった。
ふわり、と小さな何かが頭の上に触れる。眼前がかげってどうしたのだろう、と顔を少し上げたら、横から
宮藤さんが私の頭をぽんぽんと撫でていた。

「…みやふじさん?」
「芳佳、でいいよ。…ね、サーニャちゃん、その気持ち正直にエイラさんに話したら、エイラさんすごく喜ぶと
思うなあ」
かわいいかわいい、と、まるで小さな子供をあやすように頭を撫でる。それはエイラのいつもしてくれるそれとは
違ってずっと拙いものだけれど、私よりも小柄な宮藤さんが、何だかすごく大人びて見えた。まるでお姉ちゃんが
できたような心地になる。エイラと一緒にいるときとはまた違う、快さが胸に流れ込んでくる。

「よしか…ちゃん?」
「大丈夫だよ。私、サーニャちゃんの気持ち、応援してるから」
「う、うん」
ありがとう。言おうとしたお礼は空を仰いだ芳佳ちゃんの歓声でさえぎられてしまう。

「あ!エイラさんたちが帰ってきたよ、サーニャちゃん!リーネちゃ〜〜〜〜〜ん!!!」

その言葉に私も目を凝らしたら、手を振ってこちらに帰ってくるエイラたちがいた。



「サーニャ!!」
開口一番、エイラが叫ぶ。起きてたのか、とハンガーにいる私を見上げて笑うエイラの顔が、太陽よりも
ずっと眩しい。私は何度も何度も頷いた。そしてずっとずっと、言おうと思って、喉まで用意していた言葉を
叫ぶように言う。
「おかえりなさいっ、エイラ!!」
私が大声を出したことに驚いたのだろう、エイラだけでなくて他の二人までもが目を丸くして私を見やった。

「…タダイマッ!!」

その驚愕から一番最初に立ち直ったのはやっぱりエイラで、さっきよりもずっとずっとくしゃくしゃの笑顔で、
そう答えてくれた。私は嬉しくなって、ぶんぶんとエイラに手を振る。照れくさそうにエイラも小さく返してくれる。
「…なあ、サーニャ」
シャーロットさんが困ったように呟いた。首をかしげる私に肩をすくめて言う。
「私やリーネにはないのか〜?いくら私たちでも、そこまで見せ付けられちゃうと泣いちゃうぞ〜。な、リーネ!」
「え、あ、は、はいっ。」
「シャーリー〜〜〜!サーニャをいじめんナッ!!」
「なんだよ〜、エイラこそ、いっつもサーニャを独り占めで羨ましいぞ、このっ」
「うわぁっ!何すんだヨ、シャーリー!」
「ま、まあまあシャーリーさん…」



56 名前:21X2w2Ib:2008/11/05(水) 01:25:03 ID:VwFWtONt
ゴメン、最後の最後で引っ掛かった面目ない
10レスか、今度からは気を付けます

57 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 01:52:31 ID:STF4ZCQu
ちょwwww
最後は?

58 名前:だいじょうぶだよ 21X2w2Ib 5/5:2008/11/05(水) 02:01:20 ID:DtEkW8pD

エイラの首を抱え込んだシャーロットさんを、リネットさんがなだめて。「サーニャ、タダイマ〜」とエイラの
口真似をしてシャーロットさんが笑う。突然話しかけられた私が思わず会釈だけを返すと、「やっぱりエイラ
はずるい」と抱え込む手をきつくした。げほげほとわざとらしくエイラが咳き込んで、そして笑い出す。それを
受け取るようにシャーロットさんも笑って、それがリネットさん、芳佳ちゃんに伝播して、いつの間にか私も
笑顔になっていた。なんでだろう、こんなに眩しくて、太陽は痛いくらいにじりじり照り付けているのに、何だか
とても楽しい。

「そうだ!ルッキーニちゃんが格納庫の中で寝てますよ。シャーリーさんを待ってるんだと思います」
「ああ、そうか。じゃあ行ってやらないと!」
思い出したように芳佳ちゃんが言うと、あせったようにシャーロットさんが格納庫に入っていった。残された
エイラが肩をすくめて笑う。

「アリガトな、ミヤフジ。あのまま窒息死するかと思った。」
「ううん、本当のことだから。ね、エイラさんも疲れてるでしょ?サーニャちゃんは起きたばっかりみたいだから
 一緒にお風呂に行ってきたら どうかな?」
「ん?みんなで行けばいいんじゃないカ?」
今度はエイラに向かって芳佳ちゃんが言った。首をかしげるエイラに首を振って答える。
「私はリーネちゃんと後から一緒に行こうと思って。ほら、サウナなんてどうですか?私やリーネちゃんは
あんまり慣れてないからのぼせちゃいそうで…リーネちゃんも扶桑のお風呂がいいよね?ね?」
「え、わ、わたしは芳佳ちゃんと一緒ならどこでもっ」
「じゃあ決まり!ほらほらサーニャちゃんも、エイラさんと一緒に行って行って!」
「?まあいいカ。じゃあサーニャ、サウナいこ、サウナ!」
サウナ好きのエイラがぱぁっ、と顔を明るくして「先に行ってる!」と格納庫に向かう。さっきの大笑いを引き
ずっているのだろうか、エイラはいつもよりもずっと無邪気だ。私も、芳佳ちゃんに押されるようにしてハンガーの
脇から格納庫に向かう。

「芳佳ちゃん、あの」
「なあに、サーニャちゃん?」
「あ、ありがとう」

さきほど言い損ねたお礼を言ったら、芳佳ちゃんは「仲間だもん、当たり前だよ」と返って来る。押し付ける
わけでもなく、謙遜するわけでもなく、本当に当たり前だと言わんばかりに言う芳佳ちゃんの物言いに、私は
いつもいつも救われている気がする。
サーニャ!と、格納庫のほうから私を呼ぶ声。ハンガーのほうからも芳佳ちゃん、とリネットさんが芳佳ちゃんを
呼んでいる。
あ、行かなくちゃ。呟いた芳佳ちゃんが私の耳に耳打ちをして、「今行くよリーネちゃん!」と走り去っていく。

残された私は呼ばれた声に、エイラの元へと向かった。
「サーニャ、なんか嬉しそう。なんかあったカ?」
エイラのところにたどり着くと、すぐにそう尋ねられた。エイラは私の感情の機微に、とてもとても敏感だ。
…それもこれもきっと、いつも私を見ていてくれているからなんだろうな、と思う。ありがたい気持ちで
いっぱいになる。

エイラさんは、そのままのサーニャちゃんが大好きだと思うよ。

芳佳ちゃんが最後に私に耳打ちした言葉が頭に蘇った。本当かな、そうだったらいいのにな。確かめて
みたいけれど、まだちょっと怖い。
でも、大丈夫。思いながらエイラの手に自分の手を絡める。エイラが一瞬たじろいでけれどすぐに「きょうだけ
だかんな!」と言ってくれた。うん。答える私。
だってこれから二人でサウナに行って、水浴びをする。二人きりの時間はたっぷりある。

それがとてもとても嬉しくて、もう一度「おかえりなさい」と言ったら、赤い顔のままでくしゃりと笑って、エイラが
また「タダイマ」と返してくれた。



59 名前:21X2w2Ib:2008/11/05(水) 02:05:44 ID:DtEkW8pD
以上です。長々と失礼いたしました。最近何かいてもぐだぐだ長くなってしまう
サーニャの芳佳に対する『憧れ』はこんな感じなんじゃないかと勝手に捏造
エイラーニャのためならどんな逆境も前向きに解釈できる気がしてならないw

…そして連投規制のレス数を失念していて最後規制食らって申し訳なかったです
規制切れるのに一体どのくらい時間が必要なのかわからなくて無駄にお待たせしてしまった

60 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 02:17:28 ID:4c/Z2Utx
>>59
エイラ大好きなサーニャはほんとかわいいなー。長文とかむしろ大歓迎です。
芳佳を名前で呼ぶようになる経緯としても凄くいいと思う。GJでした。

61 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 03:14:45 ID:zRqkWZEg
>>59
いや〜やっぱエイラーニャはかわいいな〜ww
この二人ならどんな苦難も乗り越えられそうだ
後、ぺリエイラの続きも期待して待ってます。

62 名前:滝川浜田:2008/11/05(水) 03:19:06 ID:zi8YtDCM
こんな時間だと言うのに、platinum第5話投下します。
いやあ、最近、ギャグものとシリアスものの均衡が全く取れてないと自分で反省しきりです。
あと、欝ものって見てるより書いてる方が何十倍も辛いという事が今回判明いたしました。
ああ、辛い。

63 名前:滝川浜田 『platinum 第5話「水晶」』:2008/11/05(水) 03:20:57 ID:zi8YtDCM
……あれ、天井が見える。

なんで?
だって、あたし死んだのに。

そっか、ここは死後の世界か。
さて、あたしは天国行きか、地獄行きか。って、なんだかあたしらしくない発想だな。

と、あたしの腕に柔らかい感触。

……ルッキーニ……?

―――platinum 第5話「水晶」―――

あれ、なんでここにルッキーニがいるんだ?

それにここは、医務室だ。

……あたし、生きてる…?

そっか、死ななかったんだ。

奇跡…だよな。

あんだけの怪我してりゃ普通は死ぬよな。まだ痛むけど、宮藤の治療魔法のおかげかな。ハハ…

「シャーリー…それあたしの…」

…夢見てんのか…
もしかしたら、ずっとあたしにつきっきりなのか…?

そこまでやんなくて良いのに…
告白、し辛いじゃん…。

…と、その時、ふっと、あたしに罪悪感が…襲ってきた。

あたしのせいで隊のみんなに迷惑をかけてしまった。

それは、否定しようの無い事実。
みんなは優しいから、きっとあたしのせいじゃないって言ってくれる。


64 名前:滝川浜田 『platinum 第5話「水晶」』:2008/11/05(水) 03:25:40 ID:zi8YtDCM
…でもあたしの罪悪感は消えない。

ルッキーニの寝顔を見ていると、余計に。
なんであの時、死ななかったんだろう…。あの時死ねば、こんな思いせずに済んだのに…。

ルッキーニ、堅物…!
なんでこんなあたしなんか助けたんだよっ…!

「うっ…ううっ…っ…」

ああ、ダメだ。

涙が止まらない…。
それを思えば思うほど、やり切れない気持ちと罪悪感があたしを襲う。


悔しいっ…!悔しいっ…!

あたしの無力さが嫌になる…!
ルッキーニを庇ったつもりだったのに、ルッキーニに助けられるなんて…!

あたしっ…あたしっ…!


第5話以上です。
本当に前々から思ってたんですけど、自分の書くシャーリーってなんか妙に女々しい&弱いような…。
うーむ、シャーリーファンからは烈火の勢いで怒られそうだけど、そんなの知るか!w

眠いからテンションが少し変だなw

…というわけで本当に眠いので爺は寝ます。こんな時間に失礼しました。
ではおやすみなさい…

65 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 03:31:04 ID:opzxdoqv
>>64
自分は受けな感じのシャーリー大好きなので弱いシャーリー大歓迎ですよ
他の皆様の書くシャーリーは攻めな感じだし、弱めなシャーリーってのもいいんじゃあないかと

66 名前:ドロップ結1/5 j4ntaz3y:2008/11/05(水) 15:32:30 ID:DDk9j5Js
真昼間から時間があいたので投下します。前スレ>>319-324>>86のつづきのシャーゲル


 おどろいたことは、目をさませばやつは結局いなくなっていたこと。ぼんやりとしたまま一度だけなまえをよんだけど
当然返事なんてあるわけなくて、私はまだ夢のなかにいるような気分にひたる。ただちがうのは、いつもは床に
放ったらかしの私の衣服が丁寧にたたまれてベッドのはしにおかれていたことだった。なんだこれ、としか言いようが
ない。おこしたからだを再度ベッドにおとす。ばふ、とやわらかい音がして、かすかに自分のものじゃないにおいを
感じて眉をゆがめた。

「……なんで」

 なんでいないんだよ。切実すぎるつぶやきはあんまりなさけない声になってしまって、結局最後まで言いきれなかった。
 その日は、午前中は一度も顔をあわせなかった。それは不自然すぎる話だ。だって、私はひまさえあればやつの
姿をさがしていた。フラウに奇妙がられても気にせずにきょろきょろとしたし、ミーナに心配されてもなんでもないと
つっぱねた。私はとても不安だった。ひょっとしたらきのうのあのシャーロットは、私の都合のいい幻想だったんじゃ
ないか。あんなに鮮明な記憶なのに、私はすこしずつわきあがる恐怖に動揺していた。もし仮にあれがただの夢だった
として、そんなのはこれからがきのうまでとかわらないだけなのに。なのに私は、昔のままじゃもうたえられそうにない。
やっぱりだめだ、あいつにはちゃんと責任をとらせるしかなかった。そんな身勝手な結論にたっしてしまうほど、私は
こわかった。
 ふと、おさない声がする。いつもやつといっしょにいる少女。はっとして、声のしたほうへかけだす。廊下の曲がり角の
むこう、勢いよくとびだせば、すこしとおくにシャーロットのうしろ姿とやつに手をふってかけだそうとしてるルッキーニが
見えた。思わずおおきな声がでそうになったのを我慢して、ふとシャーロット越しにルッキーニと目があうと、少女は
いつもどおりのひとなつっこい笑顔をうかべて私に手をふる。そしてそのままはしりだしてどこかへ遊びにいってしまい、
するとルッキーニがあいさつをした背後の何者かに気づいたシャーロットがふりかえってしまった。今度はやつと視線が
ぶつかる。私は急に緊張して無意識につばをのんで、そこでやっと自分ののどがからからだと気づいた。

「あ、……」

 私よりさきにシャーロットが声をもらす。と思っていると、やつはぱっと視線をそらしてこちらに背をむけてあるきだそうと
した。ぎょっとした、足が勝手にかけだす。確定だ、やっぱりさけられていた。意味がわからなかった、きのうは、本当に
夢だったっていうのだろうか。今度は急に怒りがわいてきて、力まかせにはなれていこうとする腕をとった。

「おい」

 乱暴な声がでて、つぎにはえらそうなことばがとびだすはずだった。それなのに私はかたまる。だって、やっとふりかえった
シャーロットの顔は、トマトみたいに真っ赤だったんだ。

「……」
「……な」

 なんだよう。今朝の、私のひとり言なんてかなわないくらいになさけない声がふるえて、シャーロットの唇からこぼれてくる。
あまりのことになにも言えないでいると、シャーロットは居心地悪そうに視線をおよがせた。それからはなしてほしくてつかまれる
腕をゆすっていたみたいだけど、おどろきすぎていた私に気づけるはずもない。ばかみたいに目を見開いてその顔を凝視
していると、今度こそ手をはらわれる。

67 名前:ドロップ結2/5 j4ntaz3y:2008/11/05(水) 15:33:37 ID:DDk9j5Js
「あの、その、……悪いけど、しばらくほっといて」

 見事に赤面したままに、シャーロットがまたにげだそうとする。だけど反射的に、さきほどとおなじように腕をとって阻止した。
それでも今度は自分でも信じられないほどやわらかにふれて、ただしにがす気はなくてやんわりと力をこめる。するとこまり
きった表情がふりかえり、私はそれを思いっきりからかってやろうと思った。それなのに全然うまくいかない、私も多分、いま
すごくこまった顔をしているんだ。

「い、いやだ」

 なんとかそれだけ宣言して、すると伝染するように私の顔もあつくなっていく。シャーロットはなきそうな顔でうつむいてしまって、
それは私もおなじだった。急にあたりがしずかになってしまってつかんだてのひらがふるえて、すると唐突に今度はその手を
にぎられた。はっとして顔をあげると、さっきよりはなんとか色のひいたほほで、シャーロットが私を見つめていた。ぎゅ、と
てのひらをつつむものにかすかな力がこめられる。

「……今夜、あんたの部屋にいきたい、……」

 いいかな。かすかな、だけどはっきりとした発音がたずねてくる。なんていまさらな質問だろう、いままですき勝手にしてきた
くせに。そう言ってやろうと思ったのに、やつとちがって私はどんどんと体温が上昇していた。だから結局ちいさくこくりと頷く
ことしかできなくて、それがとてもとても、はずかしかった。

「やった、うれしい」

 邪気のない声。無防備すぎるそれに、急に羞恥心がわいてきてにぎられた手をひいた。するとあっさりと解放されて、うながした
くせに名残惜しくてあっと声をあげるけど、それよりもさきにシャーロットが私からはなれていく。またね。ささやいて、手をふる。
くしゃりとなった笑顔で、あんまりうれしそうだから私はそれに返事をすることもできないでうしろ姿を見送った。

「……」

 にぎられていた手をほほにはわせる。きっとあつく感じると思ったのに、その指先もおなじくらいに温度を高くしていたのか
そんなことはなかった。結局のところ私はそこらじゅうがあつくなっていて、シャーロットのかけていく背中はもうなくなってた。

「……くそ」

 ばかみたいだ。朝からずっとあせってこわくて仕方がなかったのに、いまじゃこんなに。せわしなくうつっていく自分の心情に
みじかく悪態をついて、それなのに気をぬけばまぬけにゆるんでしまいそうな口元がある。深呼吸だ、そうすればおちついて
くれる。なんとか思いついた解決法をためしてみても、やっぱり息はふるえるし、ほほはやわらかくゆがんでいくのだ。

----------

 ノックの音。私はあれから幾分かは冷静になっていた。まずはひとつだけ、きかなくてはいけないことがある。

「こんばんは」

 おちついたのはあちらもらしい。いつものように無愛想にドアを開けると、むこうも普段どおりにへらりと笑っている。それが
すこしくやしかった。冷静になったとはいえ、それは表面をとりつくろえる程度にはという制限つきだ。実際のところは、このあと
いったいどうすればいいのか見当もつけられていない。
 シャーロットは勝手知ったるとばかりにさっさと侵入してきてベッドに腰かける。それを観察しているとやつもじっとこっちを
見るので、仕方ないからとなりにすわる。

68 名前:ドロップ結3/5 j4ntaz3y:2008/11/05(水) 15:34:26 ID:DDk9j5Js
「……へんな感じだ」

 ふと、シャーロットがつぶやく。きのうだっておなじことしてたのに、きょうはなんだか、へんな感じ。あまりに要領を得ない
あいまいなことばの羅列なのに、私はまさに同感だった。それが気恥ずかしくて、ごまかすようにおいとよびかける。

「なに?」
「……」
「なんだよー」

 うつむいていると、ぷらぷらとシャーロットのゆれる足が見えた。うかれたような動きから、隣人の上機嫌さがうかがえる。
ついおもしろくて観察してしまい、するとだからなにとまたせっつかれる。こらえ性のないやつだな、と思いながらも、私はすっと
息をすう。だけどなかなかことばにできずにもたもたと唇をうごかして、もったいぶる気もなかったのに結果そうなってしまった。

「……なんできょうの朝、いなかったんだ」

 やっとでたのは、こどもみたいにすねた声。やってしまったと思う。でもしょうがないじゃないか、いやだったんだ、あんな
ふうに期待をうらぎられるのは。きょうこそは、目をさませばそこにいると思っていたのに。でてしまった声はとりけせない
から、もういっそいくらでもからかってくれという気構えでとなりをうかがう。

「……」

 シャーロットのなかで、私の予想外の顔をするのが流行っているのか。そう思ってしまうほど、やつはいやそうな顔に赤面
をのっけていた。だって、そんなの。歯切れの悪い台詞がつむがれて、私はまばたきをするほかない。

「しょうがないじゃないか、は、はずかしかったんだ」

 唇をとがらせてそっぽをむいて、シャーロットは言いわけをつづける。きのうはへんなとこ見せちゃったし、それに、朝とか、
どんな顔すればいいかわかんないし、……あんたが、なに考えてるのかもわかんないし。ぼそぼそと言いすてられて、瞬間
私は思わずぶっとふきだしてしまった。なんだ、こいつだって、さっきからかっこつけてただけじゃないか。

「あ、わ、笑ったこいつ。信じらんないっ」

 赤いままの顔でぎゃあぎゃあとさわがれて、私はもっとおかしくなって、それでもなんとか笑いをこらえて真面目な顔をつくろう
としてだけど失敗する。そうだ、結局きのうはおやすみと言われてすぐに眠気がつよくなって、なにもこいつに言わないで眠りに
おちてしまったんだ。なんてことだ、つまりはいま、やつは私に片思いしている気分なわけか。

「いやだった?」

 ふと、シャーロットが芯のある声をだす。はっとして反射的にとなりを見ると、あたしがいなくていやだった、とかさねてたずね
られる。なにか期待するように瞳がゆれていて、それは私をとらえてしまった。なにをやってるんだ、笑っている場合なんかじゃ
ないだろう。こたえなくちゃいけなかった。

「……」
「ねえ」
「……さ、さみしかった」

 だからって、なんてはずかしいことを言ってしまったのかと思う。だけど、本音しか言えそうになかった、やつの目は、そうやって
何度も私をあばいていって、それだというのにどうしてなにも気づかれないのかと思うほど。唐突に、からだをつつまれる。ぎょっと
してまばたきをして、シャーロットの髪がほほにふれて状況を把握する。

69 名前:ドロップ結4/5 j4ntaz3y:2008/11/05(水) 15:35:17 ID:DDk9j5Js
「な」
「どうしよう、うれしい。かわいい、あんた、かわいい」

 だきしめられて、かわいいのはそっちじゃないかと思うのに私は一生懸命だきしめかえすことしかできない。だめだ、全然、
なにも言えそうにない。私はこんな卑怯じゃないはずなのに、話してくれるのはいつもシャーロットじゃないか。

「あたしはちゃんと言ったのに、あんたはずっとまるでなかったみたいな顔してるから」

 あたしだってこわくて、さみしかったよ。安堵しきった声で、シャーロットが私をだく腕に力をこめる。頭をもたげた自己嫌悪を
おしかくしてしまうほどに心地よいそれに思わず目をとじて、だけどなんともひっかかってしまう。つい、えっと声をあげるが、存分
にうかれているシャーロットは気づかない。ほほをだらしなくゆるませている横顔をちゃんと見ようとすこしだけ身をよじるのに、
やつは全然はなしてくれない。

「言ったって?」
「意地が悪いなあ、だから、最初のときにさ……、ねえ」

 私がとぼけていると思ったらしいシャーロットはあいかわらずしあわせそうに口ごもっている。だけど私はといえば、こいつが
なんの話をしているのかまったく理解できていない。しばらく頭のうえに疑問符をうかべていると、その気配に気づいたのか
やっとやつはがばりとからだをはなす。

「……なんだよ、もしかしておぼえてないわけ」
「だからなんの話だ」

 至極当然の疑問をちゃんと形にすると、シャーロットの顔色がさっと変わる。がっと両の二の腕をつかまれておどろくと、
シャーロットは詰問する調子で私を凝視する。

「なに言ってんの、だからさ、いちばん最初に管制塔でやったときに」
「げ、下品な言い方をするなっ」
「そんなことはどうでもいい、だから、あのー。言っただろあたし。自分のき、気持ち」

 はずかしさに顔をゆがめながら、シャーロットは必死だった。おなじくらいに必死に私もあのときのことを思いだし、そして
思いあたってしまった。意識がとぶ一瞬まえ、こいつはなにか言っていた。ききとれなくて、それでそのまま忘れていたけど、
いまこいつはなんて言った。自分の気持ち。それってつまり……。

「う、うそ」
「うそじゃないよ、し、信じらんねえー。なんだよ、気持ちよすぎてきこえてなかったってか」
「な、へ、へんなことを言うな!」
「ほんとのことだろ。えー、あんたじゃあいままで自分のことどう思ってるかわかんないようなやつと寝てたわけ、それで平気
だったわけ、なんか幻滅だなあ」
「しるかそんなの! だいたいあんなタイミングで言うのが悪いに決まってるじゃないか」
「あ、あ、あんなタイミングじゃないと言えるわけないだろ!」

 言いあいがあつくなるうちにお互いつかみかかっていて、するとふいにバランスが崩れて私のからだがうしろへかたむく。
げ、とシャーロットがつぶやくと同時に、私たちはベッドにたおれこんだ。うえからシャーロットにおしつぶされて、どけ、と
思わず言ってしまうまえにやつがはあと息をつく。

70 名前:ドロップ結5/5 j4ntaz3y:2008/11/05(水) 15:36:11 ID:DDk9j5Js
「もういいや、そんなの」

 のしかかるまま弱気な声でつぶやいて、そのつぎにはころんところがって私のとなりに寝ころがる。それからひょいと手を
とられてどきりとした。私をながめるその顔はすねたような、それなのにすこしだけ満足そうで、すると急にもうしわけない
ような気分になる。だけどこの流れであやまれるほど、私はすなおにはできていないらしい。

「……じゃあ、いま、もういっかい言えばいい」
「え」

 かっと、シャーロットのほほが赤くなる。かわいいと思って、だけどそれを言えそうにないのもわかっていた。もう開き直って
しまうことにしよう。私は多分、シャーロットのまえじゃ卑怯でずるくなってしまうんだ。

「やだ、はずかしい」
「ふん、根性のないやつだ」
「なんだよ、あんたなんかまともに言ったことないくせに」
「ふふ」

 開き直ればこわいものなんてないのだ。どんなに挑発されたって、私はもうシャーロットがかわいくて仕方がない。もう
寝ようか。そう言うと、真面目な顔ではだかでかとたずねられる。

「だめか」
「だって、それはさ〜…」
「おい、手をはなせ。服がぬげない」

 言いよどむのが楽しくてくっと笑いながらつかまれた手をぶんとふるが、シャーロットはそれに余計に力をいれてさらには
くいとひっぱる。そのせいで顔と顔の距離が縮まってぎくりとした。おいじゃないよ、あたしのこと、みんなシャーリーってよぶよ。
甘える声。なにを求めているかはわかったけど、だけど、ひとつだけひっかかってしまった。だまると、まるでそれを悟ったか
のようにシャーロットがにっと笑う。

「なんだよ、みんなといっしょじゃ不服だって?」

 そうだよ、そのとおり。私はみんなといっしょなんかじゃないんだ。

「……おまえなんか、シャーロットで充分だ」

 ファーストネームをそのままよんで、それだけなのにシャーロットはうれしそうに目をとじる。それからあんたはなんて
よんでほしいのと聞かれるが、考えたこともない事柄にううんとなやんで、だけど私の答えがでるよりさきにシャーロットが
口をひらく。

「たまになら、おねえちゃんってよんであげるよ」
「……やめろ、ばか」

 そんな軽口が、私だってうれしかった。
 どうにも渋るシャーロットを面白半分にはだかにして自分もすっかり服をぬいで、ならんでシーツにくるまった。いつもの
ようにシャーロットが私の髪をといて、そしてきのうとおなじように耳元でおやすみをささやきあう。そして今度は、今度こそ
朝におはようをちゃんと言いあおうじゃないか。目をとじて、ひそかにシーツのなかでつないだ手が、心地よくて仕方がなかった。
 ……しかし結局、お互いむらむらしてそのあとも一悶着あったとかなかったとか、は、またべつの話だそうだ。


おわり

このシャーゲルはデレすぎているが、後悔も反省もしていません

71 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 16:26:27 ID:5LknkAuc
これを読んで幽霊列車とこんぺい糖を思い出したのは俺だけじゃないはず

72 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 17:01:24 ID:Q2fXzAPR
>>70
ちょw萌 え す ぎ る ! !
なんていいシャーゲル…だめだこの感情は文字では表せない!赤面とかどもりとかたまらん。
とにかくやばいくらい萌えた…GJ!


73 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 18:45:50 ID:TUo3kxaP
>>70
どーしよ…これは…ヤバイ、ヤバすぎる!!www
すばらしすぎる!!
はふぅ〜もぅ言葉がまとまらないです><
一言でいえば…最も高いと書いて最高です!

74 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 19:16:36 ID:d83ScrRR
>>70
うん、その、なんだ、もうね、たまんねえよひゃっほう!!
実に良かったです。これぞまさしく至高のシャーゲルと言えよう!!

75 名前:zet4j65z:2008/11/05(水) 20:16:45 ID:FmmzqJNS
>>70
絶妙の二人の距離感に身もだえしながら読みました。
シャーゲルをありがとう!

76 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 20:27:01 ID:DIqkHqE6
帰りの満員電車の中でニヤニヤしちゃったじゃないかw。
ゲルトお姉ちゃんはカワイイなw。

77 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 21:14:49 ID:rneGjMiR
エーゲルはまだか!文でも絵でも良いから誰か燃料くれ

78 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 22:01:48 ID:x0mbABkp
やばい。
私も帰り電車の中でムラム…じゃなく身もだえしました。
股間Talkの葉書も来てるしw

79 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/05(水) 23:49:13 ID:gSm2z9Yx
漫画版って百合的においしい所ってありますか?

80 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 00:16:25 ID:Ny1qZLg1
>>70
GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!最後の「おねえちゃん」に吹いたwww
ゲルトが珍しく?Sっぽいんだね。
シャリー顔真っ赤ってかわいすぎるだろう!
この続きも激しく読みたいです!!
シャリーのデレ期に期待。ゲルトがSでいられなくなるくらいのデレをw

お約束で・・・むらむらの中身をkwsk!いや嘘です、サーセン。

81 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/06(木) 00:44:44 ID:nvpBuyp6
>>79
竹井少尉が無意識に芳佳に顔を近づけてドキドキさせたり
五色が疾風にストーキングされてたりと妄想の余地は山ほどありますぜ!
俺…2巻が出たら漫画版キャラでSS書くんだ……。

がしかし、それはまだまだ先の話なので置いといて、
人生初のエイラーニャ、もといサーニャイラに挑戦してみました。
騎士のお迎えを待つばかりのサーニャはすでに散々書かれているようなので、
自分の趣味と織り交ぜてサーニャに思い切りエイラを攻めさせたら……ええ、言い訳は後でw

サーニャ視点のサーニャ×エイラで、「уже знает」です。

82 名前:уже знает ◆YFbTwHJXPs :2008/11/06(木) 00:46:33 ID:nvpBuyp6
止まっていたはずの運命が、ふとしたきっかけで動くことがある。
決して叶うはずのない想いが、突然叶うことがある。

奇跡なんていう間抜けな言葉を使わなくても、
もともと可能性という形で存在していたことなのだろう。

────────

そのあんまりな出来事に、わたしは自分でも驚くほど頭にきていた。

「エイラ」
「うわっ、サーニャ!?」

バン!とドアを開けると、ベッドに寝転がっていたエイラは飛び上がってこっちを見た。

「どういうことなのか説明して。」
「な、何の話だよ。」

つかつかと歩み寄ると、エイラはまるで悪いことをした子供みたいにずりずりと後ずさる。
本当に情けない人。空ではあんなに頼もしいのに、陸に降りた途端ずっとこの調子なのだから。

「宮藤軍曹から全て聞かせてもらいました。
 ユーティライネン少尉、納得のいく説明を要求します。」
「だっ……だから何の話だよって!!」

名字で呼んだのが堪えたのか、射止められたように動かなくなったエイラは、
わたしがベッドに乗りかかって、胸倉を思い切り掴んで、
瞳に自分の顔が映るまで近付いてもなお状況を理解していないようだった。

「どうして黙ってたの。」
「えっ?」

至近距離で見るエイラの顔はどこまでも魅力的で思わず腰が抜けそうになるけど、
ここでわたしが踏み出さないと、この人は一生このままだろう。

覚悟を決めなきゃ。

「エイラ。」
「な、何?」
「わたしのこと、"そういう"意味で好きなんでしょう。」

83 名前:уже знает ◆YFbTwHJXPs :2008/11/06(木) 00:48:37 ID:nvpBuyp6
────────

言い終えてから死にたくなるほど恥ずかしくなったけど、
わたしはただ必死でエイラの目を見つめ続けた。
驚いた表情のまま完全に固まったエイラはしかし、
掴んだ襟を引っ張り直すとようやくハッとなってまばたきを繰り返した。

「それは……その……つまり、いや、その」
「どうなの?」

きつい口調で問いただすと、エイラはよりによって「ごめん」などと口走った。
だからどうしてこの人は……。

「サーニャを傷付けるつもりはなかったんだ。
 私がどうかしていただけなんだ。だからその、許して──」
「わたしが聞きたいのはそんなことじゃない!」
「ひっ!」
「わたしは"どっちなの"って訊いたの!イエスとノー以外はいらない!」

エイラのこういう、勝手な思い込みでネガティブに走るところは大嫌い。
そのせいでわたしは一体どれだけの間待ち望み続けたことだろう。
エイラの口から発せられた、この言葉を。

「私は……サーニャが、すっ、好きだっ!」

やっと────。

「ばか。」

言ってくれた。

「エイラの、ばか」
「……サーニャ」
「ずっと待ってたんだから……」

最後は声にならなかった。
煮え立った怒りがフッと消えて、代わりに涙だけが糸が切れたように湧き上がってくる。
それを見られるのが恥ずかしくて、わたしはエイラの胸に飛び込んだ。
押し倒すような形でエイラの身体に乗りかかる。

「好きなの……」
「えっ!?」
「エイラ、好き……」

力任せに抱き締めて名前を呼ぶと、エイラはやがて観念したように背中に腕を回し、
黙ってぎゅっとしてくれるのだった。

84 名前:уже знает ◆YFbTwHJXPs :2008/11/06(木) 00:51:04 ID:nvpBuyp6
────────

頭が冷えてくるにつれて、嬉しさよりも恥ずかしさがこみ上げてきたから困った。
いつまでも抱きついているわけにはいかないけど、わたしは一体どんな顔でエイラを見ればいいんだろう。
ああ、そして、これはなんて贅沢な悩みなんだろう。
でも幸せな時間というのは永遠には続いてくれない。

「エイラ、サーニャ、いるかー?」

ドアをノックする音と、イェーガー大尉の声。
慌てて身体を引き離してしまったけど、大尉は部屋には入ってこなかった。

「そろそろ晩メシだってさー。」
「今行く。」

エイラは短く返事をした。大尉の足音が去ったあとで、
そろそろとわたしのほうに向き直る。
驚いたことに、エイラの頬にも涙の痕が残っていた。

「……掴みかかるなんてヒドいじゃないかー。」
「ごめんなさい……。」
「嫌われたのかと思ったんだかんな。」
「だって……」
「大体何で黙ってたって、サーニャだって同じだろ。」
「ごめん……」
「違う、謝って欲しいんじゃないんだ。ただ……」
「?」

その時わたしがどんな顔をしたのかは思い出せないけど、
エイラの気恥ずかしさを覆い隠したみたいな真っ赤な顔だけは、
多分一生忘れられないだろう。

「これからは、ずっと一緒なんだろ?だから、
 こんなことになる前に何でもちゃんと話してくれよな。
 隠し事はナシだ。私もサーニャにはちゃんと言うからさ。」

止まっていた涙がもう一度溢れてきそうになって、
わたしはただ無言で頷くしかできなかった。

『ずっと一緒』

……約束だよ、エイラ。


endif;

85 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/06(木) 00:55:00 ID:nvpBuyp6
以上です。サーニャはキレると怖いタイプだろうなあと思ったので。
宮藤に一体何を言われたのかはご想像にお任せします。
痺れを切らしたサーニャがふとしたきっかけで暴発するところが見たかった……。
微妙にキャラ崩壊と思う人もいるかもしれませんが、私の中ではサーニャはこうでなくては!と思っております。そりゃあもう。
その代わり、というわけではありませんが、前にちょっと言ったサーニャさん崩壊シリーズがちょびちょび書きあがってきたのでしばし待たれよ。

あとチラ裏で業務連絡。だいぶ前に始めた勲章のドット絵師募集ですが、締め切らせていただきました。
今月中に何かが起きるかもしれません。
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/win01.png
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/Legion01.png
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/asahi01.png
Coming soon......かも。

86 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 01:57:05 ID:BlrX41pt
>>85
GJ、GJ…!エイラ好き好きサーニャが大好きな自分のツボにはまった!GJ!
確かにサーニャは怒ったらすごく怖そうだwサーニャ崩壊シリーズ期待してます
そしてドット勲章すげえええ…!細かいなあ!!

>>77
呼ばれてないのに飛び出てみた
ttp://www2.imgup.org/iup724056.jpg
うっかりシャッキーニも描いてしまったらそこから妄想が膨らんでしまったので投下

――――

ああきっと多分きみは、世界で一番おひめさまだ。

「おいで、ガッティーノ」
ようやく見つけ出した子猫は、木の上で眠りこけていた。お気に入りの毛布をその枝にかけて、器用に、
どこか優雅に寝息を立てている。その姿はさながら、彼女の使い魔である黒ヒョウそのもの。

「ん…ニャ?シャーリー?」
「そうだよ」
あたしの呼びかけに子猫は子猫は目を覚ます。目をこすってあくびをして伸びをして、まだまだ彼女は
寝ぼけ眼。それはこの子がまだ幼いからだろうか、それともパスタとシエスタをこよなく愛す、彼女の
国民性からだろうか。

「お昼の時間だよ、フランチェスカ。早く行かないと鬼ゲルトが怒る」
囁くように呼び名を変える。そう言えばいつのまにか部隊内での彼女の呼び名がファーストネームでなく
セカンドネームに落ち着いてしまったのはどうしてだろうか?恐らくはそのほうが語呂が良かったとか、
そんな適当な理由なのだろうと思うけれど。ルッキーニ。この気まぐれで幼い子猫に、何だかぴったりの
名前じゃないか。

うう、と唸るルッキーニ。体は起こしたもののすぐに幹に寄りかかってしまう。動く気力がないのだろうか。
元気に走り回るときは捕まえようとしてもどうにもならないほどひょこひょこと動き回るくせに、一度休むと
決め込むとあんな高いところに行ってじっとして動かない。まったく困った猫ちゃんだ、と思う。

「フラン、フランカ。おいで、ほら」

腕を広げて待ち構える。首をかしげるルッキーニ。

「連れて行ってあげるから降りておいで。受け止めてあげる」
「…はあい」

ふわぁ、ともう一度大きなあくびをついて、ルッキーニは彼女の国の国旗の柄をした毛布をようやっと
取り上げた。どんなときでもそれを手放さない彼女は、いつだったか「これがないと眠れないの」と恥ず
かしそうにもらしたことがある。そんな彼女をあたしはなんて可愛らしいんだろう、とぎゅうと抱きしめた
のだ。ルッキーニはと言うと子ども扱いされたようで納得いかなかったのだろうか、ちょっとだけ憮然と
した顔をしていたけれど、すぐにあたしの胸に頭を押し付けてご満悦だった。

「いくよぉ、しゃーりぃ」
ばさり、と先に毛布を落とされて、あたしはそれを汚さないようにキャッチした。腕の上に広げて「ほら、」と
呼びかけると、まだ眠そうに枝に座り込んだルッキーニがあたしに呼びかけてくる。いいよ。あたしは返す。

ぴょん。

野生の勘と言うやつだろうか。あんなに眠そうな顔をしていたのに、ルッキーニはひょいと身軽にあたしの
腕の中に飛び込んできた。そして私の両腕に自分の体を横たえるようにして、あたしの首に腕を回してくる。
そしてまた、大きな大きなあくび。飛び込んできた時点ですでに半目だった瞳は、しょぼしょぼとしぼめられて、
しきりにこすられて、けれどもすぐに閉じられてしまう。あたしはその様をを肩をすくめてみやっている。



87 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 01:57:54 ID:BlrX41pt

「いくぞー」
「うん」
私の胸に顔を押し付けて、満足そうに。ルッキーニは身を寄せてきた。それは彼女が幼いが故の本能
だろうか。それとも、私だからなのだろうか。たぶん前者だと思うけれど。


「ねえ、しゃーりぃ。」
目を瞑ったままのルッキーニが不意に、目を見開いて私を見た。どうしたんだ、ルッキーニ。口を開くと、
なんだか面白いくらいに柔らかい言葉が出る。あの堅物じゃあるまいし、こんなに可愛い子が腕の中にいて、
冷たい口調が出てくるわけがないけれど。

「あたしね、知ってるよ」
「何を?」
「これ、『お姫様抱っこ』って言うんだよ」

ああ、そう言えば、気がつけば。
意識なんてしてなかったから気付かなかったけれど、確かに傍から見ればこれはそう呼ばれる格好だ。
「そうなのか。ルッキーニ姫は可愛くて、賢いな」
「うん、でしょう?」
寝ぼけているせいかいつもよりもずっとずっと幼い声で、ご機嫌にルッキーニはころころと笑う。それだけで
私の胸の奥に何だか温かい感情が流れ込んでくる。母性本能にも似た、でもちょっと違うかもしれない、
この気持ちは何だろう。
私がとっさに導き出せなかったその答えを、賢い賢いあたしのお姫様は即座に導き出してくれた。

「そうしたら、シャーリーは王子様だね。あたしの王子様」

ああ、もう、どうしてこんなに。
この子猫はこんなにも愛くるしいくせに、こんなにも賢いんだろう!

「そうだな、あたしは、王子様だなあ」
ルッキーニの、ルッキーニだけの。
何だかひどく嬉しくなって、顔がにやけてきてしまう。自分でもどう答えを出していいのか分からなかった
難しい難しい問題の解答が、いとも簡単に与えられたのだ。これを喜ばなくてどうすればいいだろう。

通路の奥のほうから、騒がしい声が聞こえてくる。カールスラント組がジャガイモの取り合いでもしている
んだろうか、それともペリーヌがまた宮藤に怒ってるんだろうか。エイラがリーネにいたずらしているの
かもしれない。
…もうすぐ食堂についてしまう。それまでに、腕の中で寝ぼけ眼のままの眠り姫を起こさなければ。

その瞬間、妙案を思いついて私は立ち止まった。どうしたの、と尋ねるルッキーニの額に自分の額を
引っ付けて、きざっぽく囁く。

「お目覚めのキスはいかがですか、お姫様」

―――
以上です。おかしい、シャッキーニは供給が豊富だからかかなくていいかと思ってたのに…
エイラが騎士ならシャーリーは王子みたいだと思う。きざな台詞とかすごく似合いそうだ

あとウルスラ→エーリカで、ウルスラの気持ちを知っているがゆえにエーリカを好きでも冷たくしちゃう
ゲルト→エーリカとかいうのを考えたのだけどだれかそんなフラウ愛され話書いてくれないかな



88 名前:滝川浜田:2008/11/06(木) 02:08:52 ID:oJQpMQDq
>>85 GJ!自分からしてみたらエイラーニャをまともに書ける方が羨ましいですよ。
そして保管庫の更新お疲れ様です!そして修正ありがとうございました。
…誤字が多くて毎度すんません…

>>86 更にGJ!
いえいえシャッキーニはまだまだ大人しいですよ。
このスレで今現在、アホほどシャッキーニを書いているのは自分以外にいないですしw
ネタは尽きませんがな!

…というわけで、「platinum」第6話投下します。
良いシャッキーニの後に悪いシャッキーニを投下するのは気が引けますが…。
……参ったぜ…。

89 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 02:09:54 ID:A/BIFr3y
>>85
怒っているサーニャも可愛いなぁ・・・
イエスかノーか?で迫る顔は怖そうだwww

それと勲章のドット絵の件ですが、一番右のオラーシャ(ソ連)連邦の勲章なんですが
ドット絵である「勝利勲章」は一個軍団以上を指揮及び実際に作戦行動を指揮して尚且つ戦闘で勝利した“将帥”のみ
授与されたものですから、「勝利勲章」よりは「ソ連邦英雄」の方が適切かと思われます。
サーニャのモデルである「リディア・リトヴァク」も「ソ連邦英雄」を死後受賞されています

というヤボなツッコミでした

90 名前:滝川浜田 『platinum 第6話「迷宮」』:2008/11/06(木) 02:12:43 ID:oJQpMQDq

……朝日が眩しい。
ルッキーニの瞼に朝日が差し込む。

「うにゃあ…」
「おはよ、ルッキーニ」
「シャ、シャーリー…!」
「おいおい、目真っ赤じゃん。
どんだけ泣いてたんだよ」
「み、みんな呼んでくるっ…!」
「ちょっと待って」

シャーリーはみんなを呼びに行こうとするルッキーニの腕を掴む。


―――platinum 第6話「迷宮」―――


「シャーリー?」
「ちょっと二人で話したいんだ。
だからちょっと座ってくれないか?」
「う、うん」

そう言うと、シャーリーはルッキーニを椅子に座らせた。

「あー…まずは、ゴメン」
「え、どうしてシャーリーが謝るの?
謝らなきゃいけないのは、あたしだよ…。…あたしの不注意のせいで、シャーリーにそんな怪我させちゃったし…
それに傷は…?」
「ああ、まだ痛いけど、大丈夫。
…それとお前を庇った事だけど、いいんだよそれは。あたしの好きでやった事なんだし。
……でさ、あたし考えたんだ」
「うん?」
「………あたし、ウィッチ、辞めようかなって思うんだ」


…時が、止まった。





91 名前:滝川浜田 『platinum 第6話「迷宮」』:2008/11/06(木) 02:17:23 ID:oJQpMQDq


「……………………………え?……なに、言ってるの………?」
「…あたし、結果的にみんなに迷惑をかけた事になるだろ?
それならいっそあたしがいない方がいいのかなって考えたんだ」
「ねえ、シャーリー、あたしシャーリーがなに言ってるかわかんないよ。
なんでそんな考えになるの?
シャーリー、冗談でしょ?」
「…ゴメン…。あたし、自分が嫌になったんだ。
あたし悔しくて悔しくて。何も出来ない自分が嫌なんだ。
何も出来ないならいっそもう……」
「シャーリー…!どうしてっ…!?
ねえ目を覚ましてよ!」

シャーリーは縋るルッキーニの手を払って冷たく言い放つ。

「……………ゴメン、さよなら、だ」
「…うっ…うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!」
ルッキーニの泣き声がシャーリーの耳を襲う。


――さよなら、ルッキーニ。――



第6話以上です。
まったくこのシリーズ誰かが常に泣きっぱなしですよね…。
ち、違う、自分にそんな趣味があるんじゃなくて(ry

早くこのシリーズを終わらせてバカみたいに甘いヤツ書きたいです。

…では、爺は寝ます。おやすみなさい…



92 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 03:23:32 ID:5gRHB/Sj
もうみんなGJ!すごいよ!追いつかないよ!

そして前スレ最後の方の少佐×隊長SSの存在に今頃気がついた!!
こっち見てる間にあんな甘々エロSSがあったなんて!!書いた人ほんとGJ!!



93 名前:DlYSXlr+:2008/11/06(木) 11:30:32 ID:y8btu/Zf
9スレ目になってもこの勢い。ここの住人は化け物か?!
管理人さんやじっちゃんなんて、もう生神様の領域に入ってるような気がするよw。

ここは自分もエイラーニャネタを投下していくさ。

94 名前:キスしてほしい:2008/11/06(木) 11:34:01 ID:y8btu/Zf
「ウ、ウ〜ン・・・」
眠りの底から意識が浮かび上がった瞬間、パッと目が冴えた。
一つ息を吐くと、白い煙が上って消えていく。
部屋中の空気が痛いぐらいに澄んでいる。
「ホントに帰ってきたんダナ・・・」
こんな風に寒さで目が覚めたのは本当に久々だった。
窓の外を見ると、陽の光を浴びて、凍った雪がキラキラと光っている。
昨晩、基地に着いた時には見えなかったが、今は辺り一面の白銀世界。
幼い頃から見慣れたこの光景が、ここが故郷のスオムスだという事を物語っていた。
「う、ん・・・」
不機嫌そうな声を挙げて、隣で小さく丸まったモノがモゾモゾと動いた。
白い華奢な手がゆっくりと這い出してきて、ずれた布団を被り直す。
「あと五分だけ・・・」
ぽつりと聞こえる消え入りそうな声。
子供がおねだりをするような。
子猫がミルクをねだるような。
そんな甘えた小さな声。
「・・・モゥ、サーニャってばァ」
いつものリアクションに思わず、苦笑してしまう。
普段は真面目で年齢に割に大人びているけど、朝だけは本当に苦手な彼女。
此処に来ても、ちっとも変わらないマイペースな彼女がちょっと羨ましい。
「ホラ、起きろサーニャ。朝ダゾ〜」
「やだぁ・・・」
私から逃げる様に彼女は更に小さく身体を丸めた。
白くてモコモコしたその姿はハムスターみたいで凄く可愛い。
ここ数日間は列車での長旅だったし、昨日も基地の案内や部隊の説明で寝るのが遅かった。
本当なら気が済むまで、タップリと寝させて挙げたいけれど、そうもいかない。
今日は朝からやることが沢山ある。
ストライカーユニットの調整をしたり、この辺りの情勢についての勉強をしなければならないのだから。
「グズってもダメだゾ。起きた起きた!」
決心が鈍らない様に、彼女がくるまっている布団を勢い良く剥いだ。
冷たい空気に晒されて、彼女の小さな身体が小刻みに震える。
重たそうな寝ぼけ眼を開けて、恨めしそうに上目使いで彼女は私を睨む。
「・・・エイラのいじわる」
「いじわるじゃナイ」「いじわる・・・いじわるするエイラなんかキライ」
不満そうに、ふん、とそっぽを向くと彼女は枕に顔を埋めてしまった。

95 名前:キスしてほしい:2008/11/06(木) 11:37:26 ID:y8btu/Zf
洗面所で簡単に身支度を整えて、部屋に戻ると、彼女はまた布団に潜り込んでいた。
時計の針はドンドン進んでいっている。
そろそろ起きて貰わないと本当に困ってしまう。
「・・・なぁ、サーニャ、頼むから機嫌を直して、起きてくれよォ」
「・・・やだ」
相変わらず、そっぽを向いたまま彼女は口を尖らせて言った。
悔しいけれど、拗ねた彼女の顔も凄く可愛い。
「サーニャぁ・・・」「ふんだ・・・」
何を言っても聞き耳もたず。
こういう態度を取られると正直、どうしていいか分からない。
ミーナ隊長みたいに優しい言葉を掛けて諭すのは恥ずかしいし、ペリーヌみたいに嫌味を言うわけにもいかない。
坂本少佐みたいに怒鳴り付けるなんて、とてもとてもだ。
「・・・てくれたらいいよ」
「・・・へっ?」
ポツリと小声で彼女は何かを言った。
よく聞き取れなかったけど、何か取引の条件を出してくれるらしい。
「何ダって?」
「・・・エイラがキスしてくれたらいいよ」
「なっ?!」
いきなり、そんな事を言われて心臓が破裂しそうになる。
血が昇ってきて、顔も熱くなっていく。
冗談だと思って、彼女の顔を見たけれど、相変わらず、拗ねた表情をしていてよく分からなかった。
「エイラがキスしてくれないなら起きない・・・」
「な、な、何言ってるダヨ?!」
「お姫さまは王子さまのキスで起きるのに・・・」
「だ、だからって・・・」
「してくれるの? してくれないの?」
彼女はじっと、私の目を見てくる。
眠たそうに細められた水晶の様な瞳。
子供のように純真無垢な綺麗な瞳。
「・・・エイラは私の事、キライなんだね・・・だから、キスもしてくれないんだね・・・」
悲しそうに表情を曇らせる彼女。
まるで捨てられた猫みたいで。
「・・・わ、わかったヨ」
そんな風に言うなんてズルすぎる。
嫌なんて言えないじゃないか・・・。

96 名前:キスしてほしい:2008/11/06(木) 11:42:22 ID:y8btu/Zf
「私はサーニャの事、好きだから・・・キライなんかじゃないから・・・」
意を決して、彼女の枕元にしゃがみこむ。
彼女はちょこんと布団から顔を出して、そっと目を閉じた。
「い、いいカ?」
「うん。いいよ」
頷いたのを見て、少しずつ顔を近づけていく。
額に掛かるフワフワの髪の毛。
長い睫毛。
形の良い鼻。
そして、少しだけ開かれたピンク色の口唇。
何だか凄く恥ずかしい。
耐えられなくなって、私も目を瞑った。
あと少し・・・。
もう少し・・・。
「・・・ふふふっ」
お互いの吐息が触れ合うぐらいまで距離が近づいた時、彼女がクスクスと笑い始めた。
何事かと思って、私は笑う彼女の顔を覗き込む。
「な、なんだヨ?」
「ふふふ。エイラったら顔が真っ赤になってるよ?」
「なっ!?」
彼女は私の赤くなっている頬をツンツンと指でつつく。
「う、うるさいな。別にいいダロ」
「ふふっ、エイラは可愛いね・・・」
「か、からかうナヨ!」
怒っている私を余所に彼女はベッドから起き上がって、大きく伸びをする。
「笑ったら目が覚めちゃった。顔洗ってくるね」
そのまま、私の横をすり抜けて、ドアへと向かう。
慌てて、私は彼女の後を追う。
「ま、待てヨ、サーニャ!」
「あっ・・・」
何かを思い出したように彼女は振り返る。

ちゅっ・・・。

彼女は、私に触れるだけのキスをした。
「・・・はい。おはようのキス。じゃあ、私、先に行くね♪」
そう言い残して、彼女は鼻歌を歌いながら部屋を出ていってしまった。

私は、嬉しさやら恥ずかしさやらでしばらく動く事が出来なかった。
壁に掛かっていた鏡で自分の顔をチラリとみてみたけれど。
何だか腑抜けたような情けないをしていて。とてもじゃないけど、お姫さまを目覚めさせた王子さまには見えなかった・・・。

97 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 11:44:01 ID:y8btu/Zf
おしまい。
自分は小悪魔サーニャとヘタレエイラが好きです。
お姫さまサーニャと王子さまエイラも好きだけどw。

98 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 11:55:18 ID:nvpBuyp6
>>97
昼間っから見せ付けてくれちゃってもう!!GJ!!
自分から誘っておいて途中で遮るとかサーニャ小悪魔過ぎるw

99 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 21:58:15 ID:rVXqEdWl
>>97
×〜んダナ
○〜ナ 〜ダ

100 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 22:09:02 ID:pWR7Acj5
なんだかんだでサーニャの方がエイラにベタぼれな気がする

101 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 22:10:57 ID:uW2wXeps
>>100
そんなの、当たり前だろ!

102 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 22:51:02 ID:VKAIyck/
エイラーニャが相思相愛なのは周知の事実だが
その思いがより強いのは実はサーニャなのかもしれない

103 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 23:14:09 ID:3Cmgo2YU
まあいつも部屋を間違えた振りをしていることからもそれは伺えるな

104 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 23:47:01 ID:QjEVINU9
これ済出?
http://www.uploda.org/uporg1769563.jpg

105 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/06(木) 23:48:56 ID:zT5LijZL
そりゃまあ一週間前に出た雑誌のだから

106 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 00:04:44 ID:hs4pfGj1
少佐が「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!わっはっはっは!」
ってミーナに言ってミーナが猛烈にイタズラされようとする話を書こうと思って頑張ってたが挫折した
話を作るのは難しいものだな…

107 名前:滝川浜田:2008/11/07(金) 00:10:41 ID:wOSCxnCr
>>106 自分もハロウィンネタでシャッキーニ一本書いたけど投下のタイミング逃したぜ!

というわけでplatinum 第7話投下します。


108 名前:滝川浜田 『platinum 第7話「悲哀」』:2008/11/07(金) 00:16:05 ID:wOSCxnCr

ガチャ
バタン

「…おいリベリアン。ルッキーニに何を言った?」
「…別に何も。あたしの言いたかった事を言っただけだよ」
「ルッキーニ、泣きながら出て行ったぞ」
「…お前には関係ない」
「リベリアン」
「ああもう!お前には関係ないって言ってるだろ!!しつこいんだよ!」

すると、バルクホルンはシャーリーの胸元をガッと掴んだ。


―――platinum 第7話「悲哀」―――


「答えろ」
「なっ…なんだよ、そんないきなり」
「ルッキーニはお前の事を誰より心配していたんだ。
お前はルッキーニの気持ちを踏みにじるつもりか」
「…立ち聞きしてたのか。良い趣味持ってるな」
「ふざけるな、リベリアン」
「…あたしがどう思ってようがそれは勝手だろ。
あたしがウィッチを辞めたいって言ってるのに、誰がそれを止める事が出来るんだ」
「…リベリアン」
「あたしなんかあのまま死ねば良かったんだ!
あのまま死ねば、誰にも迷惑かけずに死ねたんだ!
なあ、堅物!
なんであたしを助けたんだよ!
あのまま死なせてくれたら良かったのにっ…!あたしはっ…」

バシッ

部屋に乾いた音が響いた。
バルクホルンはシャーリーの頬を叩いた。



109 名前:滝川浜田 『platinum 第7話「悲哀」』:2008/11/07(金) 00:20:48 ID:wOSCxnCr

「…なっ、何すんだよっ!」
「……見損なったぞ、リベリアン。
今のお前は最早私の知っているリベリアンではない」
「バルクホルン…」
「もういい。勝手にしろ。
お前の言う事にいちいち口出しする気はない」

バルクホルンは掴んでいた胸元を放し、ドアへ向かう。

「…じゃあな、リベリアン…元気でな」
「ちょっ…おっ、おい…!」

ガチャッ
バタン

「…なんだよっ…!なんだよ!
…あたしだって…辛いんだよっ…!!」

シャーリーのシーツを握る力が強くなる。

「ううっ…うあああああああああっ!!」

シャーリーの叫びは、部屋を響き渡った。


第7話以上です。
欝連続で非常に申し訳ない。
もう少し続くのでお付き合い下さい…。

…では爺は寝ます。おやすみなさい…



110 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 01:11:16 ID:7IattqPz
>>106
それものスゴく読みたい、頑張ってくれw!!
>>109
シリアスもギャグも書けるってすごいなぁ。続き待ってる!!

111 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 01:23:04 ID:HwRSYLVN
t26gFAxTです。

=============================
ストライクウィッチーズ 第294統合戦闘航空団
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1225730058/

410 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/11/04(火) 22:46:57 ID:fSiBO7ty
>>408
ペリーヌ「このお花、お父様喜ぶかしら。あら?なにかしら黒い飛行機?」

456 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/11/04(火) 23:06:32 ID:I9lpdNw5
>>425
ネウロイの攻撃、家族と居城の最後を目の当たりにして崩れ落ちるペリーヌ。お嬢様らしいフリフリなドレス姿。
その後、前線で戦闘に明け暮れるペリーヌ。軍服姿でネウロイへの敵意を剥き出しにした昏い表情。
501加入後、最前線でも豪放磊落な坂本と接している内に現在のペリーヌらしい表情が出てきた。

こんな映像を想像したよ。
=============================

つーこって、本スレ294の>>410さんと>>456さんに頂いたレスに触発されて書いてみた。
お二方に捧ぐ……。
ここ見てるかわからんし、希望に適った内容になりえているか自信はないけどもw
投下します。

112 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:24:28 ID:HwRSYLVN

 ガリアの空の下、ペリーヌ・クロステルマンは、同じ年頃の少女たちと、草むらに座り、語らいを愉しむ。
 早くから、ウィッチとしての素質を見込まれ、定期的に家から離れ、訓練をしていたペリーヌとその仲間のウィッチたちは、明日から始まる長期休みで、家に帰ったら何をしようかと、年相応の話題で無邪気な笑顔を向け合う。
 ふっと、彼女たちの周りが暗くなり、一同は一斉に顔を上げ、その場に固まる。
 見たこともない、不気味な真っ黒い渦が、彼女たちのはるか頭上を通り過ぎ、ガリアへ向けて音もなく進んでいく。
 そして、次の瞬間、数台の戦闘機が風を切りながら、その渦を追いかけ、中心へと吸い込まれていくように突撃していった。
 渦がガリア中心部の直上で止まり、先ほどの戦闘機、いや、戦闘機を模った黒塗りの、赤い光を宿した"別のもの"が渦から吐き出されると、街に向け侵攻し、赤い閃光を放ち、ガリアを一瞬で炎の国へと変え、その様子を呆然と見つめるペリーヌたちを暁の色へ染め上げた。

 ――ミエ
 ――プルミエ
 ――ブループルミエ

『ブループルミエ! 状況を報告しなさい』
 インカムからの怒声に、ペリーヌは顔を上げた。
 司令部だ。
「こちらブループルミエ、発見したネウロイを殲滅しました。これより、帰投します」
 ペリーヌは、目の前の、焦土と化したパ・ド・カレーをじっと見つめ、背後の僚機に手信号で合図し、ブリタニアにある基地へと方向を変える。

 ブリタニアに暫定的に作られた、立派とは言いがたい、自由ガリア空軍の基地に降り立ったペリーヌは、ストライカーを脱ぐと、物憂げに、辺りを見回し、佇む。
 そんな彼女の周りに、彼女の小隊の隊員でもあり、同時に、友人でもあるウィッチ達が集まって、顔をかしげたものだから、
「今日はもう各自の部屋にお戻りなさい。報告書の提出を忘れないように」
 と、ペリーヌは慌てて髪をかき上げ、"いつもの自分"を見せると、隊員たちから逃れるようにその場を去っていった。
 彼女の友人でもある、隊員の一人が、つぶやいた。
「ペリーヌ、大丈夫かな。なんかこう張り詰めてるって言うか……」
「あの子、あの日も泣かなかったよね」
 昔の彼女を知っている友人たちは、気丈に振舞うペリーヌの心中を思い、しゅんと視線を落とした。

 自室に戻ったペリーヌは、ベッドに静かに腰掛け、胸ポケットから小さな写真を取り出す。
 写真の中の、今よりもうんと幼かった頃のペリーヌと、彼女の父親が、今まさに写真を見ているペリーヌに笑顔を向ける。
 ペリーヌは、ぎゅっと目をつぶって、写真を胸に押し付けた。
 メガネを外し、目元を指先で揉むが、しばらくして、あきらめかけたように、ベッドに仰向けに倒れこんで、長い金髪を広げ、ため息をつく。

 第501統合戦闘航空団の基地の廊下で、坂本美緒は困ったような顔つきで、うろつく。
 窓の向こうを見ると、滑走路から、二人のウィッチがストライカーを装備し、空へ飛び立っていった。
「浮かない顔ね、坂本少佐」
 声のしたほうに振り向くと、書類を片手に、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが、心配そうに見つめている。
 美緒は向き直って、片手を腰に置いて、微笑んだ。
「いや、基地が広すぎて、まだ要領がつかめていないだけだ」
「確かに、慣れるまでには時間がかかりそうね」と、ミーナは、ぐるりと周囲を見回して、肩をすくめる。
「撤退戦ではほとんど外で寝起きしていたようなものだったからな…」
「そうね」
 二人は、窓の向こうの空に描かれる飛行機雲を眺める。
「バルクホルンも、ハルトマンも調子はよさそうだな」
「ええ」
「残りの隊員は?」
「明日以降、随時到着予定よ。まずは訓練が必要だし、物資も万全とは言いがたいから、本格運用はしばらく先にはなりそうだけど」
「そうか、楽しみだな」
「お手柔らかにね」

 ペリーヌは強く叩かれるドアに目を開け、跳ね起きた。窓の外はすっかり黄昏の装いで、部屋が暁に染まる。ペリーヌは、その光景に怯み、思わずカーテンを閉め、髪を整えると、ドアを開けた。
 ドアの向こうに立っていた女の上官が、ペリーヌの許可もとらず部屋に押し入る。
 抗議しようと口を開きかけたペリーヌの前に一枚の紙が差し出される。
「これは…」
「誇りに思え。貴官は、世界有数のウィッチからなる統合戦闘航空団の一員に選ばれた」

113 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:25:11 ID:HwRSYLVN
 あまりにも突然の辞令に、ペリーヌは、その日のうちに、荷物をまとめざるをえなくなり、夕食がそのまま今まで戦いを共にしたガリア空軍の隊員たちとの別れの席となった。
 幼い頃から一緒に戦い、お互い、戦士の顔つきとなってしまった事を苦々しく思いながらも、どこかの戦場で、そしていつか奪還を果たしたガリアでまた再会しようと、少女たちは強く抱きしめあい、誓う。

 ペリーヌは、朝日が昇るか昇らないかという時間に、用意された車の後部座席に乗り込むと、目的地に向かう。
 窓の外の、どこまでも広がる草原にガリアを重ね、膝の上に置いた手を固く握り締めた。
 ようやく、基地への石畳上の渡り道の前にたどり着くと、ペリーヌは運転手に告げた。
「止めてくださる? あとは歩いていきますわ」
 ペリーヌは、まだ海水で濡れている渡り道を歩き、冷たさの残る潮風に吹かれながら、基地へと近づいていく。
 なんて大きさだろう、と感激しながらも、自分の生まれ育った家の惨状を重ね、唇を噛む。
 すっかり気持ちを沈ませながらも、昇る朝日に目を狭め、表情を引き締めると、ようやく基地にたどり着いた。
 基地の入り口は開け放たれており、彼女は、そこにもたれかかる人影に目を凝らす。
 黒髪に眼帯という、ペリーヌにとっては物珍しい出で立ち。
 無駄のない、美しい所作。
 何かに惹かれるような状態になって、立ち止まるペリーヌに、眼帯の少女は近づき、手を伸ばした。
「よく来たな。私は、扶桑皇国海軍遣欧艦隊第24航空戦隊288航空隊、坂本美緒少佐だ。この第501統合戦闘航空団では飛行隊長だ」
「自由ガリア空軍第602飛行隊、ペリーヌ・クロステルマン中尉です。以後、お見知りおきを」
「では、クロステルマン、基地を案内しよう……、とは言っても私もまだ来たばかりだが」
 ペリーヌは彼女の後につきながら、聞き覚えのある彼女の名前に、記憶の糸を手繰らせる。
 サカモト・ミオ。
 ミオ・サカモト。
 ロイナント・ミオ・サカモト。
「リバウ航空隊の……」
 つぶやくペリーヌに、美緒は振り返る。だが、その表情は、突いて欲しくないところを突かれたというものだった。
「残念な結果に終わってしまったがな…」
「すみません。そのようなつもりは…」
「気にするな。私は今度こそ勝つつもりだ。勝って、ガリアを奪還する」
 一転、勇ましい表情を見せ、目を輝かせる美緒に、ペリーヌは、図らずも、心を動かされる。
 
 用意された個室に通されたペリーヌはトランクを置き、シルクの布に包んだレイピアを取り出した。
 腕組みをしていた坂本が、ほぅ、とつぶやく。
「お前も剣を使うのだな」
「ええ、ガリア貴族の嗜みですもの」
 と、ペリーヌは自慢げに言ってのける。坂本はその様子に豪快に笑う。
「面白い奴だな。どれ、私と、訓練で一戦交えてみるか?」
 その言葉に、ペリーヌはつんとそっぽを向いた。
「……訓練なんて必要ございませんわ。私たちは即戦力として、この最前線でネウロイと戦うために集められたんでしょう?」
「ああ。だが、そう急くな。本格的な始動はまだ先だ。それまでは訓練をして互いに高めあおう」
「私は……、一日でも早く故郷を取り戻したいだけです」
 美緒は、駄々をこねる子供のような態度のペリーヌの背に、やれやれといった表情を向けながらも、口元は笑っていた。

 ペリーヌを追ってくるように搬入された彼女のストライカーが整備を終え、ハンガーに並べられた。
 チェックをするペリーヌのもとに、ゲルトルートとエーリカがやってくる。
「少佐が編隊飛行をしろと言っている。準備しろ」
「よろしく〜」
 ペリーヌは、飛ぶこと自体は気が進まないわけではないが、まだ慣れていない――というよりも、朝食時に自己紹介をし終えたばかりの二人のペースにいまいち乗り切れず、わずかに緊張をする。

 ゲルトルートが長機となり、エーリカ、ペリーヌがそれぞれ左右後方について、一気に上空へと飛び立つ。
 ペリーヌは、カールスラントのエースである二人に必死で追いつき、隊形を崩さないよう、加速に集中した。

 ミーナは、その様子を望遠鏡で眺め、隣の美緒に視線を移した。
「いきなりあの三人で組ませるなんて…」
「二人のエースにもまれたほうが、なにかと勉強にはなるだろう」

 稼働時間ぎりぎりまで飛びきって、三人は基地へと戻ってきた。
 まだ余力は十分といった様子で、すうっと格納庫に吸い込まれていくゲルトルートやエーリカとは裏腹に、肩で息をするペリーヌはよたよたと後についていく。


114 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:26:43 ID:HwRSYLVN
 翌日、ペリーヌは、置時計の時刻に驚き、慌てて服を着込み、部屋を飛び出すと、ちょうど廊下を歩いていたミーナとぶつかりそうになる。
「す、すみません。すっかり寝入ってしまって」
 ミーナは怒るでもなく、くすりと笑う。
「昨日あれだけ全速で飛んだんですもの、仕方ないわ」
 平静を装っていたつもりではあったが、あっさり見抜かれていたことに、ペリーヌは頬を染め、うつむく。
 ミーナがペリーヌを覗き込む。
「他の隊員とは馴染めそうかしら?」
「私は仲良しごっこをするためにここに転属されたわけではありません。一日でも早くネウロイの殲滅をしてガリアを…」
 と、言いかけたペリーヌの手をミーナが握り、歩き始める。
 ペリーヌは困惑しながらも、上官の手を振り払えず、つんのめりながら連れて行かれるままになった。

 格納庫の入り口にたどり着いた二人は、滑走路の先端付近で訓練に勤しむ、美緒、ゲルトルート、エーリカを眺める。
 ペリーヌは、眉をひそめる。
「あの三人、訓練なんて必要ないでしょうに…」
「三人とも、今度こそ目的を確実に達したいだけよ。私たちは今の戦争で、大切なものをたくさん失ってしまった。あなただって……、立場上、個人情報を確認させてもらったけど、先のガリア侵攻でご家族を…」と、ミーナが顔を向ける。
 ペリーヌはミーナに向けた表情を強張らせながらも、うなづいた。
 ミーナは、表情を引き締める。
「一日でも早く、ネウロイから世界を取り戻したいというあなたの気持ちはよく分かるわ。けど、今は肩の力を抜いて、目の前にいる仲間たちを"知ってみる"のもいいんじゃないかしら」と言ったかと思うと、ミーナはペリーヌの背後に回り、両肩に手を置いた。
 エーリカがミーナたちに気づき、大きく手を振る。
 ゲルトルートは腰に手をあて、美緒はにっこりと微笑んだ。
 ペリーヌは、どうしてよいものかわからず、とりあえず、恥ずかしそうにしながらも、小さく、エーリカに手を振り返す。
 ミーナは目を細め、とんとぺリーヌを押し出して、彼女から離れると、基地へと戻っていった。

 美緒、ゲルトルート、エーリカの三人に加わったペリーヌは、最初のうちこそ凝り固まっていたものの、ミーナの言葉のおかげなのか、彼女自身の生真面目さゆえなのか、徐々に、訓練に熱中し始め、気がつけば夕刻が近づき始めていた。
 エーリカがその場に座って、美緒を見上げた。
「あ〜、おなかすいた〜。ねえ、今日はもういいんじゃない?」
「何を言う、ハルトマン。お前、腕立ての数減らしてこっそりさぼっていただろう」と、ゲルトルートが睨みつける。
「あ、ばれてた」
 申し開きをするでもなく、あっさり言うエーリカにゲルトルートは拳を握り、説教を始めた。
 そんな二人のやり取りに流されず、美緒は持っていた竹刀を肩に置いて、ペリーヌに振り向いた。
「ふむ。それもそうだな。では今日はここまでとするか」
「は、はい…」
 ペリーヌはすっかり疲弊した体を前倒しにして、答える。
 美緒の言葉に、エーリカは立ち上がると一気に駆けていき、説教途中だったゲルトルートが追いかけた。
 美緒は、滑走路から海を、そしてその向こうの夕日を眺めた。
「今日も綺麗だな」
 ペリーヌは、彼女の横顔の美しさに、目を奪われる。
 しかし、頭の隅を横切る故郷の惨状が咄嗟に邪魔をするように、ペリーヌの心を曇らせた。
「夕日は、嫌いです……」
 とぼとぼと基地に戻るペリーヌにぽかんとしながら、美緒は彼女の背中をじっと見つめ続けた。


115 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:28:35 ID:HwRSYLVN
 スタッフも隊員もまだ少ない基地は、夜になるといっそうに静まり返っていた。
 美緒は、ミーティングルームから漏れる光に気づき、覗き込む。
 しばらく考え込んだ後、部屋に進み入り、ベランダのほうへ向かう。
「クロステルマン中尉」
 突然の声かけに驚いたのか、ペリーヌはことさらに肩をびくつかせ、恐る恐る振り返り、美緒の姿を見とめると、また、外へ視線を戻した。美緒は彼女の隣に立ち、夜風で運ばれる石鹸のにおいを感じる。
「扶桑の風呂もいいものだろう?」
「え、ええ」
 髪を耳にかけるペリーヌ。美緒は、その幼い顔をじっと見つめた。
 ペリーヌはその視線に気づいて、美緒に顔を差し向ける。
 特に意識をするでもなく、ペリーヌは思い立った言葉を、口元からこぼす。
「少佐は、最後に泣いたのはいつですか?」
 美緒はその質問に小さく口を開け、考え込み、言った。
「さあ、忘れてしまったな。こう見えて、涙もろいんだがな。中尉は…」
 と、言いかけて、美緒はペリーヌがごく最近家族を失った事を思い出し、口をつぐんだが、ペリーヌが言葉をかぶせた。
「私も、覚えていません。ガリアが侵攻されて、家族を奪われても、泣けなかった。いえ、泣かなかったんです。
けど、きっとそれは強くなったって言うことなんですよね? 泣いていても、何も解決しませんもの」
 まるで自分に言い聞かせるように早口に言うペリーヌに、美緒はわずかに眉をひそめる。
 ペリーヌの言葉は止まらない。
「少佐だって、お泣きにならないから、きっと強いんですわ」
「それは、違う」
「いいえ!」
 美緒は、ペリーヌを抱き寄せ、ペリーヌの体は、彼女の腕の中で弛緩し、糸が切れた操り人形のように、だらりと手が垂れた。
 ペリーヌの後頭部を美緒の手が撫でる。
「ペリーヌ……、私は、自分が強いと思ったことはない。リバウも、ガリアも、奪われた。
戦場には、お前よりももっと幼いウィッチも駆り出されている。無論、私一人で世界をしょっているつもりではないが……、不甲斐なさを感じているかと言われれば、そうだとしか答えられない」
「幼くても、ウィッチである以上、戦場に出ることは覚悟しているはずですわ、少佐が責任を感じることは……。それにあなただって、幼い頃から…」
「ああ……、そういえばそうだったな。だが、願わくば、子供を戦場に出さなくてもよくなるほどの世界にはしたい」
 美緒はペリーヌから体を離し、そっと、やさしく、笑った。
 力強く、抱きしめて、そして、無償の笑顔をくれて、まるでお父様のよう――
 ペリーヌの中で何かが溶け出し、そして、彼女の頬に、涙が伝う。
 美緒が指で涙をすくい、ささやいた。
「ペリーヌ、泣くことを否定するな。泣きつくして、見えることもある」

 翌朝、ミーナ、ゲルトルート、エーリカの三人は互いに視線を交わしあいながら、向かい側に座る美緒とペリーヌの二人を怪訝そうに見つめる。
 美緒は、ごく冷静に、食事に手をつけているが、ペリーヌは、数日前までの高飛車な態度がうせ、どこかもじもじと、しおらしく、美緒を必要以上に意識しているためだ。

 午後になり、美緒はペリーヌを連れ、格納庫にやってくる。
 ペリーヌは辺りを見回した。
「あの、バルクホルン大尉と、ハルトマン中尉は?」 
「一応、非番だ。あいつらはここに来てから毎日ストライカーを酷使していたからな。なんだ、不服か?」
「い、いいえ、滅相もございません」
 と、ペリーヌは慌てて否定し、高鳴る胸を押さえながら、深呼吸し、気を引き締めた。

116 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:29:46 ID:HwRSYLVN
 二人は、ストライカーを装着し、それぞれの武器を携行すると、さっそく空へと飛び立った。
「もう少し人数が増えれば模擬戦闘もできて訓練内容が充実するんだがな」
「そういえば、残りの隊員は……?」
「どこの国も、とっておきのウィッチを出すのは憚られるのだろう…」
 ペリーヌは、自分はあっさり差し出されたのだろうかという考えが頭をよぎり、表情を曇らせる。
「おい、勘違いするなよ。お前は優秀なウィッチだ」
 美緒はペリーヌの心を読み取ったかのように、すかさずフォローした。
 ペリーヌは頬を染めながら、うなづいたが、視線の隅に映ったものに気がついて、その場に制止する。
 美緒も止まり、ペリーヌの横に並んだ。
「ネウロイか?」
「気のせいかもしれませんけど、一応確認したほうが」
「うむ……。ミーナ、聞こえるか?」
『ええ』
「怪しい影を発見した。これより索敵行動に移る」
『了解。応援が必要な場合は直ちに連絡してちょうだい』
「ああ。よし、ペリーヌ、行くぞ」
「はい」

 美緒とペリーヌは海上を飛び回るが、ネウロイらしい存在は見当たらなかった。
「やはり、気のせいだったみたいですね」
「ああ…」
 と、言いかけた美緒は一瞬で顔色を変え、叫んだ。
「ペリーヌ、離脱しろ!」
 二人の頭上より、赤い閃光が放たれ、二人は、波しぶきに当てられながらも、上昇し、なんとかネウロイの上を取る。
 ネウロイは大型ではなかったが、それでも大きさとしては、二人の何倍もあった。
 今度は上空に向け、閃光が放たれる。
 二人はすばやく回避し、体制を整えながら、ネウロイに距離をつめ、引き金を引き、銃弾を叩き込むと、離脱した。
「少佐、まずはコアを探さないと」
「ああ、任せろ」と、美緒が眼帯を引き上げ魔眼を晒す。
 ペリーヌは初めて見る魔眼にどきりとしながらも、頭を振って、再びネウロイに向かった。
「私がひきつけている間に!」
「無理するなよ」
 ペリーヌは、最小限のシールドでネウロイに向かい、また銃弾を浴びせ、離れる。
 ネウロイはペリーヌにだけ集中するように、閃光の束を放つ。
 ペリーヌは、臆することもなく、ランダムに、回避運動を繰り返し、それらをかわす。
 美緒はその動きに思わず見とれ、歯の間から笑いをこぼす。
「さすが、ブループルミエといったところか…」
 魔眼がコアを捕らえ、美緒は眼帯を下ろすと、一気に急降下し、ネウロイの右翼に銃弾をありったけ食らわせ、下にもぐると、コアを蔽う箇所の装甲にも正確な射撃をし、離脱しかけ、持っていた武器が閃光に打たれ、消失する。
 舌打ち。
 上昇し、ペリーヌに合流する。
 さきほど撃ち上げた部分の隙間からコアが覗く。
「少佐、お怪我は?」
「銃を失っただけだ。まだ刀がある」
 と、柄に手を伸ばしかけたが、ペリーヌを見つめ、微笑んだ。
「とどめはお前がさせ」
「そんな、上官を差し置いて」
「話し合ってる暇はない、再生してしまうぞ」
「は、はい」
 ペリーヌは、銃を背負うと、レイピアに持ち替えて、ネウロイ目がけ、落ちていく。
 ネウロイが近づけさせまいといった具合に、大量の閃光を放つが、ペリーヌはシールドとターンを駆使してそれらをかわすと、大きく声を上げながら、コアを破壊した。
 海に崩れ落ちていくネウロイの残骸の中をペリーヌは進んでいく。
「よくやったな、ペリーヌ」
 降りてきた美緒が横に並び、爽やかな笑顔を差し向けた。
 ペリーヌは、はい、とうなづきかけるが、次の瞬間、ストライカーがぷっすんという情けない音を出して、停止し、彼女は海へ向け落下する。
 美緒がペリーヌの手を握り、彼女を抱き寄せた。
「稼働時間を過ぎてしまったようだな」
「愛機とはいえ、困ったものですわ」

117 名前:その気高き青:2008/11/07(金) 01:30:35 ID:HwRSYLVN
 二人が基地の滑走路に降り立つ頃には、あたりは緋色に染まり始めていた。
 勝利の高揚と、心優しき上官の胸に抱かれていたことによる熱が、ペリーヌの中で冷め始める。
 美緒はペリーヌの表情と、夕日に目を向け、胸に抱いていた彼女を、お姫様抱っこするように持ち上げた。
「なあ、ペリーヌ、なぜ夕日を嫌う?」
 ペリーヌは、美緒の目を、意地悪な人と言いたげに見つめながらも、口を開いた。
「あの日を――燃え落ちていく祖国を思い出すから」
「そうか。だが……、私とお前で初めて一緒にネウロイを撃墜した日という思い出として、別に加えてもらえないか?」

 ペリーヌは、茜色に照らされる彼女の穏やかな表情を見つめ、瞳を潤ませ、うなづいた。


 終わり


118 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 01:55:33 ID:B3aS8TGq
>>117
乙ですペリーヌ可愛すぎワロタ

この後の夜に、もっさんがペリーヌを撃墜して、この日がペリーヌにとって二重の意味での撃墜記念日になる・・・
と考えてしまった俺の心は心底歪んでいますね、武力介入されてきます

119 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 02:46:42 ID:7IattqPz
>>117
二人の出会いもうこれ公式でいいんじゃね?ってくらいGJ!!
ペリーヌ可愛いしもっさんのジゴロっぷりもたまらんね!!!

もっぺりはなかなか貴重なんで嬉しいしすごいクオリティーの高さだった!!!

120 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 12:40:50 ID:7+q8qaxu
サーニャと芳佳が誕生日が同じなのがうらやましいってエイラがぼやいてるのを聞いて
お揃いのアクセサリーをサーニャがエイラにプレゼントするってのはどうだろう

121 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 13:18:02 ID:7v+LH3RK
>>92
スレの最後の最後ならえろいの書いてもあんまり怒られないだろうと思ってやった
反省は多少しているが9スレ目も狙おうと今ネタを考えている

122 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 15:42:32 ID:IxyIJGRY
>>121
まじでかよww期待してるわ

123 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 17:26:24 ID:Qip75zVK
もっさん×芳佳ってあんまり無いのね

124 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 18:03:03 ID:Na9q/2b8
自分の脳内は常にもっさん×芳佳である。

125 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 18:17:29 ID:jbkYFMUg
個人的には芳リーネ分が足りなくなってきた・・・。

126 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 18:19:33 ID:4n22vsOy
>>125
だよな……芳リネが足りないからもう自給するしかねえ!!
と言いたいところだがなにぶん燃料がない。

だれか電波ゆんゆんの真っ黒病んデレリーネ書いてくれ……。

127 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 18:48:07 ID:kF3vV9kr
オヘスラ(オヘアとウルスラ)がない

128 名前:zet4j65z:2008/11/07(金) 18:56:41 ID:HcGzccDd
>>109
自分で書いたりじっちゃんの見てたりすると、シャーリーが楽天家なのって表向きのスタイルで
結構色々悩んだりしてるんじゃないかと思ってる今日この頃です。GJ
>>117
こういうの大好きです。っていうか、自分の中でそれほどでもなかったペリーヌの萌度があがりましたw


というわけで、流れを無視するようで申し訳ないが、
前スレで408で『続きは各自で妄想』とか言っておきながら
自分の妄想が臨界点突破したので、自分で投下する。

129 名前:zet4j65z:2008/11/07(金) 18:57:15 ID:HcGzccDd

 サーニャはつかつかと近付いて来て、ズボンを隠すタイミングを失ったまま目の前まで来られてしまう。
 余りにも近付かれたのでズボンを持つ手を曲げて目の前まで引き寄せてしまう。
 心なしか頬が赤い気がする。
 それだけじゃなくて、なんだか呼吸も荒くて、視線が熱っぽい。
 こんな『そそる』表情のサーニャなんて……もう、わたし、限界だよ……。 
「い、いや、これは、その……」
 キョドる私を無視して、サーニャはそのピアニストのしなやかな指を立てた。
 そしておもむろに、ズボンの真ん中、濡れた部分を、白くてきれいなその指で、ゆっくりと、なぞった。
 ゾクッとした。
 わたしは動けなかった。
 ある意味直接ソコに触れられるよりもよっぽど衝撃的。
 何もつけていない私のむき出しのソコからは、えっちな汁が溢れ出して止まらない。
 そして、指は何度か上下して止まる。
 シャーリーの大きなおっぱいや、その先端にしゃぶり付くバルクホルン大尉なんかよりも、サーニャの立てている

指一本がこんなにヤラシイなんて……。


130 名前:zet4j65z:2008/11/07(金) 18:58:03 ID:HcGzccDd
「濡れてる」

 指先の感覚を確かめて、嬉しそうに、何かに安心するように呟くサーニャ。
 わたしは内股をすり合わせながら甘く痺れた下半身に力を入れてたんだけど、ズボンに触れるサーニャの指が3往復目に入ったところで耐えられなくなって、ふにゃふにゃになりながらぺたんと尻餅をついた。
「ひぅ!?」
 床のひんやりした感触は、素肌には刺激的過ぎて思わず声を上げる。
「ぁ……大丈夫? エイラ」
 へたり込んだ私を心配そうに見下ろすサーニャ。
 大丈夫だ。って返そうとしたけど出来なかった。
 視線が低くなった私はソレを見てしまったから。
 サーニャの黒い重ね着されたソコにも、わたしと同じ様に濡れたシミが出来ているという事に。

 だから、ぜんぜん大丈夫じゃない私は、ごきゅりとつばを飲み込んで、何も言えないままにドキドキを押さえ込む努力をする事しか出来なかった。
 勿論、その努力が実らない事を予感しながら。


131 名前:zet4j65z:2008/11/07(金) 19:01:42 ID:HcGzccDd
以上です。今度こそ続きは各自で妄想と言う事でw
っていうか、ドロップがいい感じになっているところに平行して
こんなんでいいのかなと思いながらもやっちゃいました。

なんか、自分のネタが進まないと人の妄想に逃げる癖があるのかもw

あと、「指一本がこんなにヤラシイなんて……。 」
の部分は思わぬ改行が入っちゃってましたんで前の分につなげてくださいお願いします。

では、これから出勤ノシ

132 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 19:32:45 ID:gJtxH/CE
あなたはいつか
もう一度、妄想が限界点突破してこれの続きを書いてくれると信じてる
俺はいつまでも待ってるぞ〜

133 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 20:33:21 ID:vVEjfM8L
エロエロなエイラーニャもいいですとても

134 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 22:04:18 ID:AwENjJRQ
だ、誰か芳リネを・・・

135 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 22:05:11 ID:XYQMS4dF
http://g004.garon.jp/gdb/Gz/0R/aH/dE/CE/fK/5C/8A/iO/fy/UQ/yB1.jpg

136 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 22:06:27 ID:N2wNpE8U
グロ注意

137 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/07(金) 23:33:58 ID:vHzExYp0
http://imepita.jp/20081107/847250

138 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 01:29:30 ID:U7rsc31C
このスレ的に一番人気ないキャラって何気にペリーヌ、もしくはリーネか?
どっちも本編で百合キャラなのに・・・だから逆に妄想しにくいのかな

139 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 01:49:47 ID:c4LRUVa4
>>137
これはもしや、あの4話後の切ないエーリカ×トゥルーデの4コマを描いた作者さんの絵・・・?

140 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 01:59:48 ID:mUBeQtgX
このスレで限った話だとクオリティの高いSSの登場人物になると思うよ?
実際シャーゲル小説からシャーリー好きになったし。


141 名前:滝川浜田:2008/11/08(土) 02:10:06 ID:MfKR/JY1

こんな深夜に俺参上。
今別のストライクウィッチーズ以外のSS執筆中につき、深夜くらいしか来る時間がありませんが、どうかお許しくだされ…

っつーわけでplatinum 第8話、投下です。


142 名前:滝川浜田 『platinum 第8話「疾駆」』:2008/11/08(土) 02:13:44 ID:MfKR/JY1

《中庭

ルッキーニは膝を抱えて、うずくまっていた。

「大丈夫か?ルッキーニ」
「大尉ぃ…」
「おい、鼻水でグジュグジュだぞ。これで拭け」

バルクホルンがルッキーニにハンカチを差し出す。

―――platinum 第8話「疾駆」―――

「ありがとう…ズビーッ
……大尉。あたし達のやった事って間違ってたのかなあ…」
「お前のリベリアンを助けたいという気持ちは間違って無いと思うぞ」
「…でもシャーリーに怒られちゃった」
「……」
「…シャーリー、辞めちゃうのかな」
「…私はあのままのリベリアンとは、これから付き合っていける自信が無い。
お前はどうなんだ、ルッキーニ」
「…あたし、シャーリーが辞めるって言うなら、あたしも辞める」
「お前本当にリベリアンが好きなんだな」
「さよならなんて言われたけど、あたしシャーリーと別れるつもりなんて無いもん」
「…なら、私に愚痴るよりリベリアン本人にその事を伝えた方が良いんじゃないか?」
「…でも多分ついてくるなとか言われるよ。
…シャーリー、あたしの事嫌いになったんだから…。
それにシャーリーがあんな怪我したのもあたしのせいだもん」
「ルッキーニ」


143 名前:滝川浜田 『platinum 第8話「疾駆」』:2008/11/08(土) 02:18:28 ID:MfKR/JY1
バルクホルンはルッキーニを優しく撫でる。
そして小さく笑う。

「お前らは似た者同士だな」
「ふぇ?」
「お前らはなんでもかんでも自分一人で背負い過ぎる。
…私もそうだった。宮藤に出会うまでは」
「芳佳…」
「宮藤が私を変えたんだ。
人は一人じゃない、と教えてくれたんだ」
「……」
「どうだ、リベリアンを変えてみるつもりは無いか?
ルッキーニ、お前なら出来ると思うがな」
「…あたし」
「リベリアンと別れたくないだろう?
…それに想いを伝えてないうちから投げ出すのか?」

ルッキーニは意を決した様に立ち上がった。

「それが、あたしにできること…なのかな」
「自分が正しいと思えるなら、動き出さなければな」

ルッキーニは少し、空を見て。


「大尉、ハンカチありがと!洗って返すね!」

走り出した。

「ああ」

(いくら何を言われても、あたしやっぱりシャーリーが好きだからっ…!!)

ルッキーニはシャーリーの元へ走る。
自分の気持ちをすべて打ち明ける為に。


第8話以上です。
今宣言する!この話は全11話であると!

というわけで残り3話となります。
ここからはまあ、安心して読めるレベルの展開になります(予定)。
んあ―…この話が終わったらミーナさん崩壊シリーズでも投下しますかね…

…では爺は寝ます。おやすみなさい…


144 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 09:34:21 ID:0KlALIxc
朝起きると必ず新作が1本ある生活ってのがね。習慣になっちゃってもうね。
>>143GJ!!まだまだ続くけどちゃんと読んでますよ。wktkして待ってる!

145 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 09:48:28 ID:WoNuc3bi
>>139
それがピクシブのだったら間違いない

146 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 10:29:10 ID:bMj40gJi
>>137
エーゲル分補給完了

147 名前:zet4j65z:2008/11/08(土) 11:03:32 ID:VrHTu3GQ
早速>>117に触発されてみた。

●ブリタニア1944 ブルプルミエ


「アッズーロウーノ!」
「ブルーワンだろ」
「あおのいちばん、かなぁ?」
「ブラウアインだねー」
「シーニネンユクシ」
「……ゴルボイアディーン」
「ブルプルミエですわっ!」
 なんなんですのっ! いきなり人のTACネームが呼びにくいなんて言って好き勝手にっ!
 誇り高く由緒あるガリア語のブルプルミエが読みにくいのでしたら、ご自分の方からガリア語に精通なさるのがスジってものでしょうに!
 それが何を勝手に自分たちの母国語で自分勝手にっ!
「もうっ! 勝手になさいっ!」
 こんな所には居られない。
 そんな思いで勢いよく席を立って、食堂を後にする。
 そんなに怒る事ないのに、等と無責任な言葉が背中に届く。
 冗談じゃありませんわっ! 今はここブリタニアで共同戦線を張る都合上教養として学んだブリタニア語を使っていますが、私はガリアの貴族の娘。
 祖国があのような状況でもなければこのような迎合など本来は認められない事ですわ。
 言葉とは国の誇り、それをあのような形で茶化されるなんて全く我慢なりません。
 今は一時的にとはいえ国を失った者同士であるハルトマン中尉までもあのような低俗な事に参加するとは……全く情けなくなりますわ。、
 怒りが収まらないまま歩いてるうちに格納庫へ着いた。
 同じく祖国の誇りの一つであるVG.39に触れ、思いを噛み締める。色々悔しくて、涙が出そう。


148 名前:zet4j65z:2008/11/08(土) 11:04:20 ID:VrHTu3GQ
「ペリーヌさん」
 背後から声。リーネさんですわね。
「なんですの?」
 振り返らない。これしきの事で目に涙を溜めてるなんて事、知られたくありませんわ。
「その……みんな悪気があるわけじゃないんです」
 解っていますわ……だからこそ余計に始末が悪いんではありませんか。
「わたし、ガリア語好きですよ」
「そんな、今更取り繕われても返って腹立たしいだけですわ」
「違います。わたし、そんなつもりじゃありません」
「では、一体どういうおつもりですの?」
「わたし、その……ガリアの言葉の響きって昔から好きだったんです。それで、スクールで習うの楽しみにしてたんですけど……ウィッチとして戦闘訓練をしなければいけませんでしたから……」
 あら、リーネさんは嘘のつける子ではないですし、これは意外と本気?
 考えてみれば先程の騒ぎの中でもリーネさんは発言していませんでしたものね……。
 私とした事が、気が立っていたせいでよく考えもせずきつく当たってしまいましたわ。これは反省しなくては。
「あの……出来ればここに居る間だけでもいいんで、ガリア語を教えてくれませんか」
 用意した言葉を、先に言われてしまう。
 昔のリーネさんはここまで積極的ではありませんでしたわね。
 でも、うじうじしていた昔よりは今の方がとても好感が持てますわ。
 余り認めたくは無いですが、一応宮藤さんの功績といえなくもないですわね……。 
「で、ではその、私でよろしければ、ガリア語を教授して差し上げても宜しくってよ」
 そうやってリーネさんを受け入れる言葉をつむぎながらも、未だにそちらを振り向けずに居たのは、今度はちょっと嬉しくてウルッとしてしまったから。
「あ……」
 リーネさんが嬉しそうな声を上げる。
「食事後の自由時間に私の部屋でよろしくて?」
「はいっ」
「では準備をしておきますから、また後で」
「あの……ありがとうございます」
 そうやって終始背中で語った私は、内心ウキウキしながら授業のメニューを考えつつ自室へと戻ったのでした。 


149 名前:zet4j65z:2008/11/08(土) 11:05:08 ID:VrHTu3GQ
以上となります。

ペリーヌ一人称難しいよママン。と、ガリア語を交えて愚痴ってみる。

ペリーネは自分的に初物なんで至らないところがあったらごめんなさい。
これって部屋での出来事とかも何か考えてみるべきか。
各国の言葉に関しては適当にググって当てはめました。
フランス語発音的に「ブループルミエ」、では無く「ブルプルミエ」の方が近いかと
思って勝手にそう表現しています。……自分フランス語わかるわけではないんですがw

でまぁ、TACネームネタを持ち出してみたは良いけど、他のキャラってどうなんだろ?
作品中だと名前で呼び合ってたりするけど、実際は作戦中だとイッルとかリーリャとか
になるんだろうか?
それともいらん子みたいに国名+番号かなぁ。
ああああああ、ダメだ!
扶桑一番とかで呼びあってたらもっさんが芳佳に撃墜されるフラグとしか思えんwww
とりあえず、いらん子重版かかってるみたいなんでキャンペーンの為に投資しようかと思う。
まぁ、1巻を2冊と2巻3巻を一冊づつ既にもってはいるんだけどw

150 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 11:44:34 ID:QUpm+Xw5
頻繁に投下してくれるのはありがたいが
正直もうちょい書き貯めてくれ

2、3レスの短文をちみちみと毎日投下されても・・・

151 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 12:09:15 ID:POoxTCB5
         ─┬=====┬─┬─┬
           ヽ┴-----┴ 、/_ /
         ==||:|: 乃 :|: 「r-┴──o
   ____________ |:|:__ :|: ||--┬┘
   |ミ///ロ-D/   ~~|ミ|丘百~((==___
 . └┼-┴─┴───┴──┐~~'''''-ゝ-┤
   ((◎)~~~O~~~~~O~~(◎))三)──)三)
    ゝ(◎)(◎∩◎)(◎)(∩)ノ三ノ──ノ三ノ
         //     | |          ミ
        //Λ_Λ  | |
        | |( ´Д`)// うるせえ、チハぶつけんぞ!
        \      |
          |     lヽ,,lヽ ミ
          |    (    ) やめて
          |    と、  ゛i  装甲へこんじゃう


152 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 12:51:13 ID:QUpm+Xw5
すまん、安価>>143

153 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 12:51:19 ID:6JU2ihTc
>>149
ペリーネktkrGJ!
このカプ誰も書いてくれないから寂しかったんだ。

>>150
まあ同意だけど、そういう時のための保管庫だと思うんだ。
続く場合とかははじめに前置きとかしてくれるとありがたかったり。
まとめて読んだり少しずつ読んだりできるし。

154 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 12:55:19 ID:6LzyeFse
>>126
戦闘でストライカーユニットが損傷し、近海の孤島に不時着する芳佳とリーネ。
早く帰還しようと焦る芳佳。
反対に芳佳との二人きりの状況を邪魔されたくないリーネ。
欲望に暴走したリーネは島にあった朽ち果てた小屋に芳佳を監禁する。
「ふふふ。ずっとずっと一緒だよ、芳佳ちゃん・・・」

みたいなのはどうだろうか?

155 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 13:20:41 ID:0KlALIxc
>>149
GJ!!ペリーヌ一人称自分も挑戦したが難しすぎて10行で挫折したorz
そして言語ネタはたまらんわあ。ガリア語のキモい発音を必死で練習するリーネ……イイ!!

>>150
言いたいことはわからんでもないがそれはある種の持ち味というか、作風の一つなんだと私は捉えているがね。
ただ1レスに収まるような短文はさすがにちょっと……と思ったことはあるけど。
あくまでショート・ショート略してSSなんだし、本意に即すと言う意味でじっちゃんの作品群はどれも実によく凝縮されている。

>>154
はははっは早くSSに以下略

156 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:00:55 ID:KNK/Km++
>>111
グッジョブ!
ペリーヌ可愛いなぁ。もっさんかっこいいなぁ。

もっさん以外の四人って故郷を失った四人なんだよね。
ペリーヌもそうだけど、「故郷」の話になったら熱い想いが
心に渦巻いてそう。

で、遅レスですが前スレ>>513
レスどうもでした。
正直一人称は書き慣れてないためあまり上手くは書き切れませんでした。
サーニャは寝てるから誰ともからませにくいですw

またネタが出来て書けたら書きたいです。

157 名前:滝川浜田:2008/11/08(土) 14:06:56 ID:MfKR/JY1
なんかいろいろすみませんでした。

レス数に関しては、あまり長くなるのもちょっとアレだしなあ…といろいろ考えての事だったんですが…。
それで不愉快な思いをさせてしまったのなら、非常に申し訳ないです。

それでいろいろ考えたのですが、しばらくお休みをいただきたいと思います。
別スレにちょこちょこ出没はすると思いますが。

では、少し頭を冷やしてきます。


158 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:26:32 ID:wpQSzBTA
>>149
TACネームとかコールサインっていいよね。空軍って感じがして俺も好き
前のカールスラントスリーもいいなあーとか思ってた

>>151
そのAA見るだけで吹くからやめてくれww

>>157
あんま気にする事無いと思うけどなあ。楽しみにしてる人もいるんだし
まあ復帰待ってますよ ノシ

159 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:29:53 ID:QUpm+Xw5
雰囲気悪くしたみたいですまん

そういやDVD三巻の秘め声は誰になるんだろうかね
意外とエーリカ辺り、爆弾発言しそうだと楽しみにしている

160 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:32:11 ID:KNK/Km++
>>149
ブループルミエの"premier"って序数詞だから
英語だと”blue first”ドイツ語だと”blau erste”となると思う。
フィン語では"premier"は”ensimmainen”だと思うけど
活用が難しいので調べただけだと、どういう形になるのかわからない。

以上はつまんない茶々なので聞き逃してくれると結構。

で、ペリーネグッジョブ。
やっぱぺりツンに対してやさしく包み込むリーネはいいですな。
ミーナみたいにいい指揮官に……ともっさんが言ってたけど
こういう人当たりの良さとかも含めての評価なんだろうなと
ふと思ったり。

161 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:36:30 ID:g0i+GO1g
遅くなりまして>>1乙です

最近遅筆気味ですがエイラ×アホネンSS書いてます

これからもよろしくお願いします

162 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:45:06 ID:c4LRUVa4
>>157
/(^o^)\あばばばばばば

・・・ボス・・復帰・・・待ってます・・・

163 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 14:59:19 ID:SRAMPaY3
>>157
ラスト3話投下してから頭冷やしてくれ

「ミーナさん崩壊シリーズ」はゆっくり待ってる

164 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 15:00:50 ID:wpQSzBTA
>>163
IDがメモリ

165 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 15:05:08 ID:GemT5eUo
確かに2,3レスで1話構成というのは、短い感じがする時もありましたからね。
ただ、ほぼ毎日投下してくれるおかげで、このスレが今の勢いを保っていると言う面も否定は出来ない事ですし。

まあ、何も毎日投下する義務なんて無いんだから、
現在の1レス当たりの行数で4,5レス書き溜めた後に投下するよりかは、
数日に一回、1レス当たりの行数を少し増やして、尚且つ、話としての密度を濃くした方がいいのかもしれません。
会話文だとある一文を書くのに大した時間は掛かりませんが、
地の文となると、たった一文を書くのにでも5分も10分も費やす事だってあるはずです。
ただ、会話文をメインにして、地の文を極力減らすと言うのが爺の作品の特徴でもあるでしょうので、簡単にはいえませんが・・・。


どうも、上から目線になってしまいすみません。復帰をお待ちしています。

166 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 15:16:40 ID:WuHDOm5C
自分はSS書けないから分からんけど作者の自由でいいと思うよ!!
自分なりの区切りで投下すればいいと思う、ここは作者がいてこそ成り立つ訳だし!
じっちゃんの復帰も待ってるしミーナさん崩壊シリーズも勿論楽しみにしてる!!

167 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 15:24:22 ID:0KlALIxc
そうだな、一番困るのはシリーズを途中で放棄されることだ。
続きが気になって仕方がないじゃないか。

ところでじっちゃんさ、
次 で S S 1 0 0 本 目 じ ゃ ね ?

168 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 15:30:36 ID:6JU2ihTc
マジかよ?もはやエースどころか神の領域じゃないか!
じっちゃん、休むのはギネス申請(連続投下で完結)されてからにしてくれ!


169 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 16:16:09 ID:2fD5vNTG
俺としては5、6レス一気に投下より2、3レスくらいで投下されたほうが読みやすくていいんだけどなあ

170 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 16:16:14 ID:3aZM+TaN
言いたいことは言えばいいが言い方ってもんがある
ちなみに俺は気にならないよ、じっちゃんGJ

171 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 16:17:21 ID:zVwb4ni+
まぁ演出ですよ

172 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 17:03:58 ID:bMj40gJi
いや、なによりさ
じっちゃんの存在のデカさに脱帽だわ

さすがギネス級エースw

173 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 17:17:08 ID:djmPNK4/

「エイラ…私の愛のフリーガーハマー、受け取ってっ!!!」
「モチロンダ!サーニャの全部を受け止めてみせルッ!!」

ちゅどーん ひょい
ちゅどーん ひょい
ちゅどーん ひょ(ry
ちゅどー(ry

「エイラ…どうして…」
「はっ!ついいつもの癖でよけてしまっタ!」
「エイラのばかああああああ!!(ちゅどーん)」
「うわあああああごめんヨさーにゃあああああ(ひょい)」

「ねえ、トゥルーデ、あれ…」
「…放っておけ、フラウ。バカップルにはああいったイベントが必要らしい」


って言うネタを思いついた
…すまない疲れてるみたいだ


174 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 17:48:52 ID:kzkLWWI/
そのうち37mm砲持ち出されるぞエイラさんwww

175 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:09:53 ID:c4LRUVa4
リーネ「私の愛のボーイズ!!受け止めて!芳佳ちゃああーーん!!」
芳佳「ひぃやああああああ」バシーン
エイラ「私にもあんなシールドがあればナー」

ペリーヌ(あ・・・あんな愛の伝え方があったのね・・よし・・・)
ペリーヌ「少佐・・・あの・・・あの・・」
もっさん「どうしたペリーヌ?」
ペリーヌ「私の・・・私の愛も受け取ってくださいましー!!」ビビビ
もっさん「ちょwww待てwww」
エーリカ「『愛』と書いて『トネール』と読む!!ここ大事!テストに出るよ!」
トゥルーデ「おい待て!!!!坂本少佐のシールドは!!」
もっさん「くっ・・・まずい・・耐えれ・・・」パリン
もっさん「うああああっ!!ああああっああっ!!!!」
ペリーヌ「あ」

ミーナ「何があったの!?応答して!!」
エーリカ「坂本少佐がやられたの!シールドを張ったのに!」
ミーナ「美緒ぉおおおぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
芳佳「坂本さん!!坂本さん!!」

176 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:32:53 ID:dXvHqeIl
なんかスレの空気が微妙に重いようなんで、気分転換にSS投下します。
ようやく時代がわたくしに追いついてきましたわ、
ってわけで、もっさん×ペリーヌです。長いですが一揆投下ですすいません。

タイトル「はくちっ!」


「はくちっ!」
 と突然、ペリーヌは盛大な声をあげる。私は思わずペリーヌの方へと顔を向けた。
 はくち? ……白痴? たしかそんな題名の小説があったが……。
「どうかしたのか?」
「すみません……ただのくしゃみです」
 そうか、ずいぶんと変わったくしゃみをするんだな。
「どうした? 風邪でもひいたのか?」
「いえ、そんなことはないと思うんですけど……」

 ――とペリーヌ本人は言ったものの、やはり風邪をこじらせていたらしい。
 ペリーヌは部屋で安静を取ることになった。

「じゃあこれをペリーヌさんのところに持っていってください」
 と、宮藤はおかゆの乗せられた盆を、なぜか私に渡すのだった。
 場所は食堂、時刻は朝。朝の鍛錬を終え、私は遅い朝食を取ろうとしていたところだった。
 これはつまり、私が看病してこいということだろうか?
 私はしばし、その場で立ちすくんだ。
 もちろん嫌というわけではない。ペリーヌのことが心配でもあるし。
 ただ、別に私でなくてもという思いも、正直なところある。
 というより、私にちゃんとできるのだろうか――あまりそうは思えない。
 なにせ私は、生まれてこのかた風邪とは無縁だったから。つまり、まるきり勝手がわからないのだ。
 私の両手にある盆が、なにやらずしりと重く感じられた。
 いったい、なにを考えてるんだ、宮藤は。
「どうかしたんですか、坂本さん」 
「あ、いや、別に構わないが……お前は?」
 私は思わず助け舟を出した。こいつの実家は診療所だから、適役だと思ったのだ。
「いえ、私はいいです。野暮ですから」
 よくわからないが、どうやら私一人で行かねばならないらしい。
 それにしても「野暮」というのはどういう意味なのだろうか。
「それに、あまり大勢で行っても迷惑ですから」
 私が躊躇っていたせいか、宮藤はさらにそう付け加えた。
「うむ。それもそうだな」
 自分を納得させると、私は一人、ペリーヌの部屋に向かうことになった。

177 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:34:19 ID:dXvHqeIl
「坂本少佐……」
 と、廊下を歩いている私に、呼びかける声。
「ペリーヌさんが風邪ひいたって」
 私が振り返ると、そこにたのはサーニャだった。
 引っこみ思案な奴で、ペリーヌとはあまり仲が良くないと思っていたが……
 そうか、こいつもペリーヌのことを心配しているのか。
「どうだ、お前も一緒にくるか?」
「いい……野暮だし」
 が、サーニャはそう言って、ふるふると首を横に振る。
「その代わり、とっておきの話を――」
 と、サーニャは私に歩み寄ると、耳打ちをする。
「オラーシャでは風邪をひいた時には……ごにょごにょごにょごにょ……」
 サーニャの話を私は、うんうんとうなずきながら聞いた。

「あ! 坂本少佐ーっ!」
 と、廊下を歩いている私に、呼びかける声。
「ペリーヌが風邪ひいたってきいたよ」
 私が振り返ると、そこにいたのはルッキーニだった。
 いたずら好きの困った奴で、ペリーヌもよく被害にあっているが……
 そうか、こいつもペリーヌのことを心配しているのか。
「どうだ、お前も一緒にくるか?」
「いかない。だって野暮だから」
 が、ルッキーニはそう言って、べーと舌を出す。
「その代わり、おもしろいコトを――」
 と、ルッキーニは私に歩み寄ると、耳打ちをする。
「ロマーニャでは風邪をひいた時には……ごにょごにょごにょごにょ……」
 ルッキーニの話を私は、うんうんとうなずきながら聞いた。

「おっ、坂本少佐」
 と、廊下を歩いている私に、呼びかける声。
「ペリーヌが風邪ひいたんだって」
 私が振り返ると、そこにいたのはハルトマンだった。
 正直よくわからない奴で、ペリーヌとはあまり接点がないと思っていたが……
 そうか、こいつもペリーヌの心配をしているのか。
「どうだ、お前も一緒にくるか?」
「あーやめとく。野暮野暮」
 が、ハルトマンはそう言って、胸の前で両の手のひらを私に見せるようにする。
「その代わり、イイコトを――」
 と、ハルトマンは私に歩み寄ると、耳打ちをする。
「カールスラントでは風邪をひいた時には……ごにょごにょごにょごにょ……」
 ハルトマンの話を私は、うんうんとうなずきながら聞いた。
「それと、あと――」
「なんだ、まだあるのか?」
「その時には……ごにょごにょごにょごにょ……」
 その話の続きにも私は、うんうんとうなずきながら聞いた。

178 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:36:17 ID:dXvHqeIl
「ペリーヌ、入るぞ」
 と、私はペリーヌの部屋に入った。結局、私一人だ。
「しょっ、少佐っ!」
 と、ひどく驚いた声をペリーヌはあげると、上半身だけ飛び起きたのだった。
 別に驚かせるつもりなどなかったのだが……そもそもなぜそんなに驚く?
「まだ寝ていろ」
 私がそう言ったものの、ペリーヌは変わらず身を起したままだ。
「いえ、もうずいぶんよくなりましたから。
 それに……少佐とこうして二人きりというのも、なんだかひさしぶりで……」
「そうだったか?」
「はい……」
 口を尖らせてペリーヌはうなずく。
 そういえば近頃、たしかにこうしてペリーヌと二人ということも、あまりなかった気がする。
 みなが誘いを断ったのも、私たちを二人にするためだったのだろうか。
 しかし「野暮」というのは、よくわからぬままだ。
 私はベッドの傍らにある椅子に腰かけた。
「食欲はあるか?」
「はい」
「そうか。じゃあ――」

 ――と、ここで私は、サーニャに言われたことを思い出したのだった。

「よし、私が食べさせてやろう」
 が、ペリーヌからの返答は一向にない。
 完全に思考停止しているように見受けられる。どうかしたのだろうか?
 しばらくして、ようやくペリーヌは「はい?」と首をかしげて聞き返す。
 やはり具合が悪いのだろうか。意識がはっきりしていないのだろう。
「私が食べさせてやる、と言ったのだが」
 サーニャの言ったとおりだ。病人一人ではどうにも心もとない。
 ここは私がしっかりしないと――そう思った矢先に、

「ええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!」

 と突如、奇声をあげるペリーヌ。なにやらひどく動揺した様子だ。
 私なりにペリーヌを気遣っての言葉だったのだが、いらぬ迷惑だったのだろうか……?
 なんでもオラーシャでは、病人にはこうしてやるのが一般的だと聞いたのだが。
 そういえば、ペリーヌの出身はガリアじゃないか。オラーシャとガリアが同じだとは限らない。
「イヤだったか?」
「いえ………………おねがいします」
 なんだかしおらしくなったペリーヌは、その小さな口をめいいっぱい開ける。
 躁鬱が激しいのは風邪の影響だろうか。
 まあいい。元気があるようでなによりだ。
 私は胸を撫でおろした。
 レンゲにおかゆをよそうと、その開いた口にとかすように運んでいく。
「うまいか?」
「はい。とっても」
 ペリーヌは幸せそうな顔を私に見せる。喜んでくれてよかった。

179 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:38:11 ID:dXvHqeIl
 ぐぅ―――――――っ

 と、安堵した私のお腹から、ついつい腹の虫が唸り声をあげる。
 そういえばまだ朝食を食べていないんだった。
「一口だけもらっていいか?」
 私がそう言うと、ペリーヌの顔が急に真っ赤になる。
 そしてしばしの間のあとに、ペリーヌは無言でこくりとうなずいた。
 とにかく了承を得たので、私はレンゲを口に運んだ。うむ、うまい。
 するとペリーヌの顔が、かあ、とさらに赤くなる。
 なにやら様子がおかしい。どうかしたのだろうか?
「どうした?」
「いっ、いえ、なんでもありません!」
 当人はそう言うものの、やはり様子が変だ。
 もしや私が全部食べてしまうとでも思ったのだろうか。
 そうだ。そもそもペリーヌに食べさせようと持ってきたのに、なぜ私が食べている。
 ペリーヌにもいらぬ気を使わせてしまった。
 なにをやっているんだ、私は。これじゃ駄目だろう。
「ほら、まだ残っているぞ。食べろ」
「いいんですか?」
「当然だ。しっかりと滋養をとらないとな」
 私はレンゲにおかゆをよそい、ペリーヌの口の前に差し出した。
「ペリーヌ・クロステルマン、至極感激した次第です。いただきます」
 なにもそんなにおおげさな物言いをしなくても。
 むしゃぶりつくようにペリーヌは、差し出したレンゲを丹念に舐めまわすのだった。

 そして、おかゆの入った鍋もすっかりからっぽになって。
「まさか坂本少佐が看病にきてくださるなんて……!」
 そう言う、ペリーヌの視線が熱い。まさかそんなに喜んでくれるなんて。
 はじめは看病という行為に対して、戸惑いや物憂さというものがあったけれど、
 こうして感謝されてみると、してよかったとさえ思う。
 なんだかこう、私まで嬉しくなってくる。
「気にするな。こういうことはお互いさまだろう」
 まあ、私は風邪などひいたことはないが。
「じゃあ、少佐が風邪をおひきになった時は、わたくしが看病して差し上げますね」
 だから、私は風邪などひいたことはないんだが。
 ああ、と私はうなずく。気持ちだけ受け取っておこう。
「どうだ? 少しはよくなったか?」
「はい、おかげさまで。ぐっすり休息も取りましたので」
 しかし本人はそう言うものの、ペリーヌの顔は已然として赤いままだ。
 やはりまだ熱があるのだろうか。
「熱はまだ下がらないか?」
 私はペリーヌの顔に手をやると、前髪をあげておでこに触れた。

 ――と、ここで私は、ルッキーニに言われたことを思い出したのだった。

180 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:40:11 ID:dXvHqeIl
 私は椅子から腰を浮かせて、ペリーヌにおもむろに近寄った。
 ひどく驚いたペリーヌはあわてて背をひくが、私はそれをさらに追いかける。
 顔と顔とが、急速に距離をつめてゆく。

 そして――――ごつん、という衝撃。

 おでことおでこがぶつかったのだ。
 ペリーヌのかけるメガネのフレームが当たり、ちょっと痛い。
 鼻先同士も、触れるたり離れたりの距離をたもって、かすかな鼻息が私をくすぐる。
 なんでもロマーニャでは、こうやって熱があるかどうか確かめるのだという。
「熱いな……それにどんどんあがっていってないか?」
「そ、そんなことは……」
 ペリーヌは否定するものの、たしかに額は熱をおびている。
「それになんだが、ますます顔も赤くなったようだが」
「こ、これは……」
 ペリーヌの吐息が直に私の顔にかかる。
 その仰ぎ見る瞳は心なしか潤んでいるが、けして逸らすことなく、私に向けられる。
 ペリーヌはひどく動揺している。
 きっと私に気を使わせまいと、相当無理をしていたんだろう。
「もう寝ろ」
 私はくっついていたおでこを放すと、無理矢理にペリーヌをベッドに寝かしつけた。
「ここまできて、そんなっ……!」
 ペリーヌは恨めしそうに私を見つめる。
 なにやらよくわからんが、私に抵抗しようとでもいうのか。
 しかし私とて、看病する身の上。多少、後ろ髪を引かれる思いもあるが、ここは心を鬼にしなければ。
「いいから寝ろ――いや、頼むから寝てくれ」
「イヤです」
 私の懇願に、断固とした拒否。しかも即答だ。
 こんな聞き分けのないペリーヌを、私ははじめて見る。
「どうしてそんなことを言う?」
「こんなの生殺しもいいところです。少佐こそ、急に態度が変わりすぎじゃありませんか?」
「それはお前に早く元気になってもらいたいと思ったからであって……」
 私はなだめるように語りかけた。懸命に言葉を選んで説き伏せるように。
 まるで意固地になった子供にでもするようだな、と思った。
 ――いやもしかしたら、と私は考えを改めてみる。
 もしかしたら、ペリーヌはまだ子供なのかもしれない。
 そう思ってペリーヌを見てみたら、なんだかいつもよりもずっと幼く見えた。
 今まで私が気づかなかっただけで、いつもは懸命に背伸びをしているのかもしれない。
 でも、せめて病気の時くらい、人に甘えたいと思うことだってあるはずだ。
(だからと言って、なぜ私なのだろうか?)

181 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:42:27 ID:dXvHqeIl
「少佐のお気持ちはよくわかりました」
 ずっと押し黙っていたペリーヌの口が、ようやく開いた。
「でも、だったらどうして、わたくしをそんな気持ちにさせるのですか?」
 そんな気持ち? 思わず私は首をかしげた。
「やっぱり、今日の少佐は変です」
「変、か。そうだな、私もそう思う」
 とうとう言われてしまった。私なりに尽力したつもりだったんだが。
 やはり私に、こんな大役は果たせなかったか……。
「よくわかりませんが、あまりご無理はなさらないでください」
 そう言うペリーヌの語気は、少し和らいでいた。
 無理するな、か。たしかにそのとおりかもしれない。
 所詮、こういったことは、私の分際ではなかったのだ。
 ――でも、と思う。
 このままこいつのことを投げ出してしまって、本当にいいのだろうか。
 そんなはずはない。
 だって今ここにいるのは、私だけなのだから。

「お前が迷惑でなければ、私に無理をさせてくれないか」

 そして、少しの沈黙と、見つめあう時間がおとずれた。
「別に――」
 と、ペリーヌは私から視線を外して言う。その横顔はまた、少々赤くなっている。
「別に、迷惑でなどありませんが……少佐こそ、わたくしの看病など迷惑なんじゃないですか?」
 私は一度だけ強く、首を横に振った。
「なにを言っているんだ。そんなはずないだろう」
 私がそう言うと、ペリーヌの表情が緩んだ。
「どうして?」
 か細い声で、ペリーヌは私にたずねる。本当に、幼な子のようだ。
 どうして、だと? どうしても、だ。
 考えたこともない。考えるまでもないことだから。

「そんなこと、お前が心配だからに決まってるじゃないか」

 と言うと、ペリーヌの顔が、ぱあ、と明るくなった。
「そ、それはいったいぜんたいどういう意味で……?」
「ん? なにもおかしなことじゃないだろう」
 いったいお前は、私をどんな風に見ているんだ?
「はやく元気になるんだぞ」
 私はペリーヌの頭をそっと撫でてやった。
「はいっ!」
 そしてペリーヌは、屈託のない笑顔でうなずいたのだった。

182 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:43:54 ID:dXvHqeIl
「じゃあもうゆっくり休め。私が見ててやるから」
 そのくらいなら、私にだってできるだろう。
 私はペリーヌを寝かしつけ、そっと掛け布団を掛けてやった。

 ――と、ここで私は、ハルトマンに言われたことを思い出したのだった。

 私はかけた布団を投げ捨てるように剥ぎとると、ペリーヌに取っ組んだ。
「いっ、いったいなにをなさるのですかっ!?」
 と、ベッドに仰向けの、どこまでも無防備なペリーヌ。
「すっかり忘れるところだった。このまま寝るのはまずい」
 食事をとったことだし、汗を相当かいているはずだ。
 そんな体が汗で濡れた状態で、寝かせるわけにはいかない。
「服を脱がせてるんだ」
「なっ、なぜ!?」
「服を着替えるんだ。私が手伝ってやる」
 なんでもカールスラントでは、風邪をひいたらこまめに着替えをするのだという。
 その時には、看病する人が手伝ってあげた方がいいらしい。
「さあ、脱げ! 脱ぐんだ!」
 そうして取っ組み合いの結果、ペリーヌは抵抗するのをやめ、おとなしく私に従うのだった。
 ペリーヌの寝間着をようやく脱がし終わり、その白い肌があらわになる。
 部屋は暖かくしているが、それでも少し震えていた。
 いけない、すぐに新しい寝間着を着せないと!

 ――と、ここで私は、ハルトマンの話に続きがあることを思い出したのだった。

183 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:45:18 ID:dXvHqeIl
 私は着替え、ではなく、タオルを手に取った。
 もう片方の手は、ペリーヌの手首をがっちりと掴んだ。
「な、なにをなさるのですかっ!?」
「汗で濡れているからな。着替える前に、ちゃんと拭いておかないと」
 そして、私は体を移動させ、ペリーヌに馬乗りになる。
 左手と両足でペリーヌをしっかり押さえこむと、汗ばむ肌をタオルでぬぐってやる。
 顔から首筋に、肩におりると二の腕から肘、手の先へとタオルを動かしていく。そして逆の腕も拭いてやる。
 次は平らな胸へと戻ると、お腹を経て、そして――
「どうしたんだ!? こんなところがびしょびしょじゃないか!?」
 と、私は思わずペリーヌの股のあいだに手をやった。
 あきらかに異常なほど濡れている。体の他の場所からは考えられぬほどだ。
「いえ、これは汗ではなく……」
 おかしなことを言う。たしかに股の間はびしょびしょだというのに。
「汗でなければ、なんだと言うんだ?」
「そ、それは………………やはりこれは汗です! 少佐への思いが流させた、わたくしの心の汗です!」
 なにやらもってまわった言い方をするが、きっと私に気を使わせまいとしているのだな。
 汗ということなら、拭いてやらねばならん。
「じゃあ拭くぞ」
「えっ……そっ、それは……」
「構わないな」
「…………はいっ」
 いちに、いちに、というタオルの往復運動。
 ペリーヌはその動きにいちいち、びくんびくんと体を震わせてこたえる。
 その動きにふと、釣りあげられた魚を思い出した。
「ちょっと強くこすりすぎたか?」
「いえ、わたくしにはこのくらいの方が……」
「そうか。じゃあこのまま続けるぞ」
 しかし、拭いても拭いてもこの汗は、むしろあふれ出してくるくらいだ。
 私はその汗と長い時間格闘し、ようやくそれを終えるころには、
 ペリーヌはすっかり眠ってしまっていた。
 それとなんだか、ひどくぐったりとした様子だった。

184 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:46:47 ID:dXvHqeIl
 細い寝息をたてて、すやすやと眠るペリーヌの寝顔を覗き込んで、思う。
 もうきっと大丈夫だ、と。
 だってその寝顔は、とても幸せそうに見えたから。
 大丈夫、ペリーヌはよくなる。
 自分に言い聞かせるように、祈るように願いをこめる。

 いまだ私には幼く見える、ペリーヌの寝顔を覗き込んで、思う。
 そういえばペリーヌだって変だったな、と。
 それは風邪がそうさせたのだろうか。
 あるいは私が知らなかっただけで、これもまたペリーヌ自身なのだろうか。
 ……よくわからない。
 いつものペリーヌはどうだったかと、思い出してみると、
 私はペリーヌのことを、今まであまりよく知らなかったという事実に唖然となる。
 そもそも疎まれこそすれ、なぜこんなに私に慕ってくれるのだろう。
 それは嫌な感情ではない。そうじゃなくて、逆だ。とってもいい気分なんだ。
 そのことを愛おしいとさえ思う。
 なんだろう、この気持ちは……?
 そういう思いが私のなかにあるのを感じると、なんだか体中がが熱くなってくる。

185 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 18:48:15 ID:dXvHqeIl
 そうして翌日。
「坂本少佐!」
 と、私の名前を呼ぶ声。
 いつものように、私が朝の鍛錬をしているところに、すっかり風邪の治ったペリーヌが姿を見せた。
 私は一瞥すると、自然と吐息が漏れた。
 と――目と目があった。
 そのまま二人の間の時間が止まってしまいそうになる。
「もういいのか?」
 私はそう言いつつ、視線を外した。
「はい、もうすっかりよくなりました」
 ペリーヌは已然、私をじっと見つめている。
 なんだか胸がドキドキする。なにをされるでもないのに、なんだか急かされてでもいるようだ。
「どうかなさったのですか?」
「あ、いや……なんでもない」
「……もしや、わたくしの風邪が少佐に伝染ったのではありませんか?」
 そんなはずはないだろう。
 それに――もうそんなにじっと、私を見つめるな。
「いや、そんなことは……はくちっ!」



以上です。
このあと、ペリ看病→また風邪ひく→最初に戻るの無限ループ。
だらだらと思いついたことを書いてたら、予想以上に長くなってしまいました。すいません。

186 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 20:45:55 ID:0KlALIxc
>>185
もっペリきたー!!そしてGJ!!長文大歓迎!!
しかしいくらなんでも少佐鈍感すぎるwwだがそれがいい!!
きっとこの後ペリーヌは当分の間浮き足立ちまくるんだろうなあ。
そして少佐のあまりの鈍感さに絶望すると。

187 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/08(土) 22:05:13 ID:mUBeQtgX
唐突なエロ(?)展開ワロタ

188 名前:滝川浜田:2008/11/08(土) 23:57:59 ID:MfKR/JY1
どうも、こんばんは。
お休みをいただくと言っておいてアレですが、やはりシリーズものの途中で放棄するのは、自分としても不本意なので、残り3話、一気に投下したいと思います。

それと、レスをくれた皆さん、本当にありがとうございます。
とりあえずは、このシリーズを投下した所で、お休みを取らせていただきます。


189 名前:滝川浜田 『platinum 第9話「決意」』:2008/11/09(日) 00:01:28 ID:MfKR/JY1

今日は良い天気だ。

あの日の嵐がまるで嘘のようだ。

あたしはあの悪夢から生還した。

でも、結果的にそれは、あたしをまた別の苦しみに誘う事になった。

みんなに迷惑をかけてしまった罪悪感。

自分の弱さが分かってしまった悔しさ。

もうこんな痛みと向き合うぐらいなら、あたしは…

―――platinum 第9話「決意」―――

まだ、胸の傷は痛む。

少佐の話によると、完治までにあとニ、三ヶ月はかかるらしい。

ネウロイのヤツどんだけ深く抉ったんだよ。

でも、これがルッキーニに当たっていたと考えると、背筋が凍る。


…そうだ、あたしはルッキーニにはあたしみたいな目に遭って欲しくないから、ルッキーニを庇ったんだ。

でもあたしのその行動は、ルッキーニ、みんなに迷惑をかけてしまった。


……あたし、一体なんなんだ……?


ルッキーニを庇ってヒーローになりたかったのか?


…違う。あたしはただ単純にルッキーニを助けたかっただけなんだ。


地位とか名誉とか、そんなの関係ない。
ただ、ルッキーニを助けたかったんだ。




190 名前:滝川浜田 『platinum 第9話「決意」』:2008/11/09(日) 00:03:44 ID:TfY7DB6g




……ルッキーニも同じ気持ちだったとしたら?

いや、ルッキーニだけじゃない。それは堅物や他のみんなだって同じだ。

ただあたしを助けたかっただけなんだ…。

アハ…アハハハハ……
あたし、バカ過ぎるよ…。

ルッキーニの気持ちも汲み取らずにあんな事…

なんだ、あたしやっぱりダメじゃん…

このままここでウィッチを辞めたりなんかしたら、あたし負け犬で終わっちまう…

それは嫌だ。



まだ、ルッキーニに想いを伝えてないのに。



あたし、このままじゃ…終われない…!





191 名前:滝川浜田 『platinum 第10話「雪解」』:2008/11/09(日) 00:06:07 ID:TfY7DB6g

ガチャッ

「…シャーリー、起きてる?」
「なんだよ、ルッキーニ」
「元気かなー…って」
「ま、ヘコんではいるよ」

二人の間に、妙な雰囲気が流れる。
その雰囲気に耐えられなくなったのか。

「「あ、あの!」」

二人同時に口を開いた。


―――platinum 第10話「雪解」―――


「あ」
「あ、シャ、シャーリーからいいよ」
「………ゴメンな、ルッキーニ」
「……シャーリー」
「あたし、ルッキーニの気持ちも考えずにあんな事言っちゃって…。
…お前、あたしの為に助けてくれたんだよな?」
「うん、シャーリーに死んで欲しくないから」
「……ゴメン…あたし本当にバカだったよ…。みんなの気持ちも知らずに…」

シャーリーの横顔は今にも泣き出しそうだった。
綺麗な目には涙が溜まっていた。

「ねえ、シャーリー。ウィッチ、辞めるの?」
「…………」
「もしそうなら、あたしもついて行く。だから…」
「…ルッキーニ…あたしはまだけじめをつけてない。
それまではウィッチを辞められない」
「シャーリー」
「あたし、海に浮かんでいる間、いろんな事を考えてたんだ。
このまま死んでしまえばどれほど楽なんだろうかとか…。
その間中、あたしは悔しかったんだ。ルッキーニを庇ったのに、あたしが助けられるなんて…だから…死にたかったのかもしれない」
「……」
「……でも…怖くなったんだ…。
…まだやり残した事があるって思ったら、死ぬのが怖くなったんだ…!
嫌だ、死にたくないって…!
もう一度ルッキーニに逢いたいって…!」
「シャーリー…」



192 名前:滝川浜田 『platinum 第10話「雪解」』:2008/11/09(日) 00:10:04 ID:TfY7DB6g
すると、シャーリーの目からは涙が流れた。

「…ゴメン…あたし…ルッキーニの事…好き、なんだ…!」
「シャーリー…!」
「バカだよな…あんだけなんで助けたんだとか言ってたのに、今更掌返したようにお前の事が好きだなんて…!
身勝手にもほどがあるよな…!…ゴメン…ゴメン…ルッキーニ…あたし、嫌な女だよなぁ…!」
「…………」
「ううっ…うっ…」

部屋にはシャーリーの泣き声が響く。

「…バカ」
「うっ…ううっ…ルッキーニ…」
「本当に…バカ…シャーリーの…バカ…悪いのは…あたしだよぉっ…!」
「ちょっ、なんでお前まで泣くんだよ…。お前は何にも悪くないだろ…!」
「あたしの不注意でシャーリーに怪我させたんだ…だからあたしが悪いんだ…!」
「ルッキーニ…お前…」
「うっ、うっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁん!ゴメン、ゴメン、シャーリー!」
「ルッキーニ…!」
「あたしも…シャーリーがあっ…好きなの…!だから、シャーリーを助けたかったんだっ…!」
「…バカ…バカバカバカバカ!
そんなに泣くなよ!お前に泣かれると…あたしまで…悲しく…なるだろ…!」
「シャーリー…!ゴメン…!」
「謝んなよ…!だってあたし達、両想いだって分かっただろ…?」

シャーリーはルッキーニを抱き締めた。

「ルッキーニ…もう泣くな…もう…」
「うわあぁぁぁん…!ううっ…うっ…!」
「好き、ルッキーニ、お前の事、好きだから…!もう、死にたいなんて言わないから…!」
「シャーリー…!シャーリー…!」

二人は泣き続けた。

涙が枯れ果てるまで、ずっと、ずっと。



次で最終話です。
最後までお付き合い下さい。


193 名前:滝川浜田 『platinum 最終話「明日」』:2008/11/09(日) 00:13:33 ID:TfY7DB6g

《数日後

「リベリアン、ほれ」
「ん?なんだリンゴ一個かよ。あたし一応ケガ人なんだから、豪勢にフルーツバスケットくらい持って来いよ」
「バカ言うな。…それより」
「ん?」
「ウィッチの件、どうなったんだ?」

―――platinum 最終話「明日」―――

シャーリーはリンゴをかじりながら答える。

「ああそれね。…もうちょっと続けようかなって。そう思ってる」
「そうか」

バルクホルンは安堵の表情を浮かべる。

「それにあたしには、ここにいなきゃいけない理由が出来ちゃったし」
「ルッキーニか」
「またストレートな物言いなこった」
「外れてはいまい」
「ま、ね」
「…リベリアン」
「なんだよ」
「今回は誰も悪くない。お前はルッキーニを助けたくて庇った。ルッキーニはお前を助けたくて嵐の空を飛んだんだ。
ウィッチ…いや、人間として至極当然の行いだ」
「ほぉ〜」
「…なんだその顔は」
「いや、珍しいと思ってね。あんたがあたしをフォローするなんて」
「バッ、バカ言うなっ…!」
「照れんな照れんな♪
…ま、でもあれだな、しばらくルッキーニには頭が上がんないなあ。迷惑かけちゃったし、泣かせちまったしな」
「フフッ、多分ルッキーニも同じ事思ってるはずだぞ」
「ならそれはそれで良いバランスだよ。節度のある付き合いが出来るじゃん」
「どうかな」
「なんだよ、どういう事だよ」
「どっちかが痺れを切らすかもしれない、という事だ」
「バカ、罪滅ぼしの為にしばらく禁欲生活だよ」



194 名前:滝川浜田 『platinum 最終話「明日」』:2008/11/09(日) 00:17:50 ID:TfY7DB6g
シャーリーはリンゴをかじりながら、ヘラヘラ笑う。

「リベリアン、私達はウィッチ、いや、人間である限り、死がつきまとって来る。
それは避けられない」
「ああ」
「それは過酷な事だ。…お前にそれを受け止める事が出来るか?」

シャーリーはリンゴをかじるのを止めて。

「残念だけど受け止める事は出来ない。
……堅物、これはあたしがレーサーの時に先輩から教えて貰った言葉なんだけどな、“人間、誰にでも死神が憑いている”って言う言葉、どう思う?」
「どう思うと言われても…」
「あたしはああ、その通りだな、って思う。まさに今回死にかけたワケだしね。でもな、堅物」
「…」
「この言葉って、元気付けられないか?」
「…どう言う事だ」
「ああもう鈍いなぁ!要するに」

シャーリーは笑顔で答えた。

「死神が憑いてるなら、その死神を跳ね除けるくらいの気力で生きてやれって。
そう言う事だよ」
「リベリアン…」
「今回の事で、それに気付いたんだ。正直あたしも今まではこの言葉の意味が分からなかったんだ。
ま、先輩がそう言いたかったかどうかは分かんないけどな」
「…お前」
「ん?」
「…呆れるほど楽天家だな、まったく」
「なんだと!?」
ピシッ
「痛っ!」

バルクホルンはシャーリーに軽いデコピンを一発。

「もうリンゴ食い終わったのか。もう一個持ってくるよ」

そう言うと、バルクホルンは部屋を出た。そのドアの前にはルッキーニが。

「ウニャッ…!」
「…盗み聞きか?良い趣味してるな」
「違うもん!」
「…ルッキーニ」
「なに?大尉」
「リベリアンにはやはり笑顔が似合うな」
「…うん!!」
「ほら盗み聞きしてないで、リベリアンに逢ってやれ。
それがアイツにとって何よりの見舞いだ」
「うん、ありがとう大尉!」

…そして、ルッキーニはドアを開ける。
その先には、愛しいその人が。

「シャーリー!!」

―――なあ、ルッキーニ。
あたしもう死にたいなんて言わないから。
だってあたしには、みんなが、そして何より大切な、お前が…
…いるから、さ。

END

195 名前:滝川浜田:2008/11/09(日) 00:26:44 ID:TfY7DB6g
「platinum」シリーズ、以上です。
ここまで読んでくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました。
やはり欝ものは辛かったですw

それで先ほども書いたように、このシリーズの完結を持ってとりあえずはお休みを取らせていただきます。
と言っても、SSを書いたり投下するのを一旦止めるという意味で、スレ自体はちょこちょこ覗かせていただきますし、たまにSS以外の書き込みもするかもしれません。

それに別スレの方にも出没しますので…。

またSSを投下する時、それまでに少しでもスキルアップ出来るように腕を磨いておきます。

ではいつかまた会う日まで。
とりあえずのさようならと言う事で。

長くなるのもちょっとアレなので、ここまでって言う事で。

それでは、お休みなさい。


滝川浜田


196 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 01:03:41 ID:8hliNPY3
>>195
長編乙&&GJ&&100本到達おめ!!!!!!!!
これでルーデル様同様唯一の金柏葉・剣・ダイアモンド付騎士鉄十字勲章の所有者になったわけですね。
でもってシャッキーニ万歳!!ドキドキしながら読んでた!!ハッピーエンドで何より何より。

撃墜王の復活を心よりお待ちしております。

197 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 02:44:11 ID:AKUq3vdE
>>195
乙&100本到達おめでとうございます!!!
お休みに入るとのことですが、最近ミーナさん崩壊シリーズを
楽しみに生きてた俺(とその他大勢)としては、いつまでも待ってるから、
早く帰ってきてくれ……

198 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 07:17:18 ID:fq+wtceF
>>195
乙&100本おめ!!!!
前人未到という言葉すら生ぬるい。もう人じゃないもん
まごうことなき神いわゆるゴッドだわ
それとはやく帰ってきてね

それはそうと、じっちゃんがなんのSS書いてるのか気になる
今期アニメで百合つったらヒャッコとかかな?

199 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 09:38:33 ID:A0mSh09m
ヒャッコは百合的に地雷と聞いて手を出すのが未だ怖い


そういや自分も最初ストウィは
パンツ丸出し=男性向け=野郎イパーイどうせ出てくる=なんちゃって百合で終わるんじゃね??
と思って三話まで期待しないで見てたなぁ・・・
四話のおねぇちゃんに惚れ、五話の主人公魔神化に確信し、おかげでここまで全力で走れたわ
ここまで(百合的にも)ドキドキしながら最終回を終わった後もはまれたのは神無月以来だ

つまり、何が言いたいかというと


おねぇちゃん、クリスと結構おめ!!

200 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 10:12:20 ID:6w7g9wBe
じっちゃん、はやく帰ってきてね…。ずっと待ってるからね…。

さて俺も(勢いを落とさないためにも)ss書くかな

201 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 10:20:14 ID:6Jc4JQQL
じっちゃん帰り待ってるぞ!
きっとssを50本くらい書き溜めて来てくれるだろうと前向きに考えてる

最近上手く文章がかけないので小ネタ程度にひとつ
サーニャ→エイラのような、こっそりエイラ→エルマのような
───

私のすぐ傍にいるエイラが、不意に遠い遠い場所を見つめて黙りこくることがある。

ぱさりと乾いた音が他に誰もいないブリーフィングルームに響いた。とろとろと寝ぼけ半分でいた私の耳は
その微かな音で覚醒する。寄りかかっているその向こうから、柔らかさと温かさを感じる。お気に入りの枕を
ぎゅうと抱きしめなおしてそちらのほうを見た。

私は、たぶん、そこにいるエイラに何かを言おうとしてそうしたのだった。けれど私は何も言わず押し黙る
だけ。窓も扉も締め切られた部屋は耳が痛くなるくらい無音で、私はその静寂を破るのが恐ろしかった。

エイラはぼんやりと窓の外を見つめていた。手に持った紙には私にはまだよく理解出来ない、エイラの
故郷の言葉が並べられている。
エイラ、エイラ、エイラ、エイラ。何度も何度も繰り返されている、その文字だけは何とか理解できた。見間違
えるはずがない。エイラの名前だ。私にとってはひどく特別な意味を持ったそのアルファベットの連なりが、
今は何だかひどく恨めしい。

「───…」

こんなに近くに居るのにエイラがひどく遠く感じるのは彼女の心が今ここにないからだろう。自分の瞳と同じ
色をした青い青い空の向こうに、今その心はきっとある。それがわかってしまうのが、少し悲しい。そんな心の
機微にも気付けないほど私が鈍感だったなら、何も気にせずに彼女に語りかけることが出来たのだと思う
から。

エイラの手の中にあるのが、今朝ミーナ隊長に手渡されたばかりの彼女の故郷からの手紙だと私は知って
いた。割と頻繁に送られてくるそれが、彼女の故郷にいる先輩からのものだと言うことも、知っていた。そして
今まで届いたすべての手紙が、ベッドのサイドチェアの上から二番目の引き出しに大事に大事にしまわれて
いると言うことも、知っている。

これから数日、エイラはその手紙に対する返事を書く作業に熱中するのだろう。部屋のテーブルに置き放
された書きかけの手紙を、私は今まで何度見たことかわからない。全く読めないその手紙はエイラの意外に
端正な字でゆっくりと埋め尽くされていくのだ。エルマ、という名前のつづりを何度も繰り返して、ニパ、とか、
私の知らない人の名前も時折出して。たどり着くのに何日も何日も掛かるようなその距離を隔ててだって、
その場所は、そこに住まう人たちは、エイラの心を捕らえて離さないのだ。


今日のスオムスの天気は、どうなんだろうなあ。


ぼそりとエイラが呟いた。それはもしかしたら無意識に口にされた言葉で、エイラ自身は音にしたつもりが
なかったのかもしれなかった。けれども私の耳には確かに届いてしまった。そして悲しくなってしまった。
ブリタニアは今日も快いくらいの晴れだ。青い青い空がどこまでも続いていて、そこにそっとちぎって乗せた
ように、白い雲が時折混じる。吸い込まれてしまいそうなほどの、青い空だ。


202 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 10:22:10 ID:6Jc4JQQL

けれどその青空が、エイラの故郷まで続いていると言う保証はないのだった。だから、その国が晴れている
という確証も、なかった。私の能力はどこまでもどこまでも見渡せる能力だけれど、それは天気を見るもの
ではない。どこかにある異常な物体を感知するためのものでしかない。
けれどもしかしたら彼女の故郷は今日もネウロイに襲われているかもしれないのだった。ブリタニアに続く
ネウロイとの最前線、そこがエイラの生まれたスオムスだ。
晴れか、雨か、血が降るのか、炎の海か。窓の外を見ているばかりのエイラの表情は、私からは全く見え
ない。もしかしたら泣きそうな顔をしているのかもしれない。今この瞬間にも自分の大切な仲間たちが戦って、
傷ついているのではないか。そう思っては、心を痛めているのかもしれない。

目をきゅうと瞑る。なんて言葉をかけたらいいのかわからないとき、私はいつもそうして逃げてしまう。何か
上手い言葉をかけてあげられたらいいのにと思いながら何も出来なくて、いつもいつも後悔する。
でも今、私は彼女に何をして上げられる?大丈夫だよ、何も怖くないよ。そんな確証もない励ましの言葉を
かけてなんになる?私に未来なんて見えないから、遠くを見渡すことが出来ても詳しいことはわからない
から、その励ましの言葉は虚構にしかならないだろう。根拠のない自信を抱くことが出来るほど、私は強くない。

だからただ心に誓う。私は誰よりも、エイラのために戦おう、と。
そうして早く彼女を故郷に返してやりたいのだ。エイラを大切に想って、こうして手紙を送ってくるその人の
ためにも。

サーニャ?
囁く声が聞こえるけれど、目は開かないことにする。だって開いたら泣いてしまいそうだと思ったから。
彼女がここを発つ日はつまり、私との別れの日を意味する。故郷を、原隊を別にする私たちは、この場所
から切り離されたら離れ離れだ。

でも、それでも、いい。エイラが幸せならそれが一番いい。
ゆっくりと頭を撫でる感触がした。ああもうどうしてこの人はこんなにも優しいだろう。離れたくない、ずっと
一緒にいたい。ぬるま湯のようなこの人の優しさに、ずっとずっと浸っていたい。
けれどそれは、口にしてはいけない願いだ。

出来ることなら今夜、彼女の故郷の方へ目を伸ばしてみよう。もしかしたら天気ぐらいなら、分かるかも
しれない。
晴れていたらいい。晴れていてください。どうか何事もありませんように。
そうであったならもしかしたら、もうしばらくこのままでいても許されるような気がするから。

───

短い文章だし保管庫に入れなくてもいいかなと思うので名乗らないことにしとく
こういう1シーンを切り取ったぐらいのだったら思い浮かぶんだけど長いのはどうも文章にならない…

203 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 10:45:18 ID:8hliNPY3
>>202
朝からいいもん読ませてもらったぜ、GJ!!
エイラ×エルマ前提のサーニャイラとかいいかもしれんね。

204 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:00:11 ID:mJiteWbk
じっちゃん完結乙&100オメ!
ほぼ毎日投下されるじっちゃんSSがないと寂しくなるんで早い復帰を願ってます。


>>125>>126>>154
他人のズボンで空を飛ぶ……もとい、他人の褌で相撲をとる癖がぬけません。ごめんなさい。
だいぶ自分の中でアレンジされちゃってますけど、病んでるのは確かなんでご勘弁を。
あと、いいところで終わってるのは仕様です。

205 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:01:05 ID:mJiteWbk
●ブリタニア1944 format by LYNETTE

 同時に多方面へと展開したネウロイ殲滅の為、501隊は夜間哨戒で消耗して待機するサーニャちゃんを除く全員がロッテ単位で出撃しました。
 コアの位置をつかめないまま徒に魔力と弾薬を消費した私と芳佳ちゃんの二人は、最後に残った弾丸でコアに損傷を与えてネウロイを撤退に追い込婿とに何とか成功しました。
 でも、私の射撃の集中時間を稼ぐ間に被弾した芳佳ちゃんは負傷し、ストライカーも損傷。海に墜落しました。
 私自身も魔力は限界だったけど、芳佳ちゃんの為力を振り絞って何とか救助し、やっとの事で近所にある小さな島に辿りつきました。
 島には元貴族の別荘だったのか、打ち捨てられた屋敷があったので、ひとまずそこに運び込んで濡れた服を脱がし、比較的綺麗なベッドを見つけてそこに寝かしつけました。
 芳佳ちゃんの怪我はネウロイのビームで破壊された銃の破片や破裂した弾薬のせいで、腕や太ももの部分はひどい傷でしたが胴体や頭の致命的な部分はかすり傷程度でした。
 シーツを千切り包帯代わりにして止血だけすると、何か使えそうな医療品が無いか屋敷の中を探してみる事にしました。
「ん……はぁっ…………と……ぁん」
 傷で発熱して、苦しそうにうなされている芳佳ちゃんから離れるのは心苦しかったけど、きっとすぐに戻ってくるから、まっててね、芳佳ちゃん!
 
 そこそこ大きい屋敷だったお陰で捜索は苦労したけど、まだ使えそうな消毒薬の類やちゃんとした包帯を見つけられたのでなにより。
 途中で地下室への入り口らしきものも見つけたけど、あそこはまたあとで確認だね。
 怪我をしたのが私なら、芳佳ちゃんにすぐ治してもらえるのにな……。
「んんっ…………さん……」
 まだ、うなされてる。
 ひどい汗。
 ふき取っても、ふき取っても、また出て来る。
 脱水症状が心配になったわたしは、水を汲んでくる。
 幸いな事に真水の出る井戸があった。海水を沸かすとかそんな手間をかけなくて済んだので、水はすぐに用意できてよかった。
 容器いっぱいの水を部屋に持ち込んでから気付いた。
 どう飲ませよう……。
 コップから口に流し込もうとしても、零れてしまう。
 水を飲ませる、と思ったときから心の片隅にその方法は思いついていたんだけど、ま、まさか本当にそうしなきゃいけないのかな?
「ご、ゴメンね芳佳ちゃん。でも、これは必要な事だからっ!」
 わたしは、まだ意識の無い芳佳ちゃんにそう言って謝ってから、口に水を含み、芳佳ちゃんに口付けた。
 人工呼吸のやり方を思い出し、逆に気管の方に入らないように頭を起こしたりして調整する。
 その間ずっと唇はつながったまま。
 芳佳ちゃんの柔らかい唇の温かい感触に、何かに流されそうになりながらも何とか水を送り込む。
 大分こぼれてしまったけれど、コップよりはマシな気がした。
 そう、思うことにした私は何度も何度も水を口に含んでは、芳佳ちゃんの唇に吸い付いてその体温と感触を味わった。
 芳佳ちゃんを助ける為だ、って思う心が私を大胆にして、心を酔わせていく。
 そんな大胆なわたしは、口周りにこぼれた水を舌で拭き取るなんてすごい事も普通に出来てしまった。
 唇以外の場所も、舌で味わう芳佳ちゃんの感触は心地いい。
 いつの間にか、こぼれた水なんて関係なく芳佳ちゃんの身体に舌を這わせて、汗を味わってた。
 お臍の下の方がきゅんとして、無意識にフトモモを擦り合わせる。
 シャツを押し上げる、恥ずかしい大きさの胸の先端が硬くなって、布地との摩擦で甘い感覚を響かせ始める。
 左手で芳佳ちゃんを支え、右手で水差しを持っていなければ、多分一人でヤラシイ事を始めてしまっていたかもしれない。
 シーツがずれて、あらわになる芳佳ちゃんの胸。
 ぼうっとした頭では、その控え目な可愛らしいおっぱいにしゃぶりつくのは当然の行為に思えて、欲求の赴くままに唇をピンクの先端に寄せる。
 唇や首もとの肌とはまた違った感触に誘われるまま、唇で噛んで強く吸った時、「はぁんっ」と芳佳ちゃんが一際大きな声を上げる。


206 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:01:42 ID:mJiteWbk
 そこで、我に返った。
 わたし、何てことしてたんだろう……。
 こんな、苦しんでる芳佳ちゃん相手に、自分の欲望をぶつけるような事……。
 自己嫌悪に陥るけど、状況は落ち込む暇も与えてはくれなかった。
 気がつくと日は落ちて、冷え込んできていた。
 今度は体温を奪われないようにする為の方策が必要だった。
 毛布やシーツを探してくるべきだ、これだけの屋敷ならきっとあるはずだ、ってどこか冷静な自分が囁いていたけど、私はもう一つの聞こえてきた声に耳を傾けることにした。
 服を脱いで、一緒のシーツに包まる。
 芳佳ちゃんをぎゅっと抱きしめ、その体温を全身で感じる。
 硬くなった乳首を素肌に押し当てる。
 フトモモの、付け根を、芳佳ちゃんのフトモモに密着させる。
 横から抱きついた姿勢のまま、眠る芳佳ちゃんの耳元で喘ぎ声を噛み締める。
 こんな非常時にエッチな事ばかり考えてる私の事を、芳佳ちゃんに知られたくない。
 でも、こんなに芳佳ちゃんのことを思ってるんだってことを知ってほしい。
 そんなギリギリの感情、恥ずかしさと思いの強さが私を追い詰めて、一際強くフトモモに腰を押し付けると、漏れ出る声を芳佳ちゃんの横に跳ねた髪を噛んで耐えながら、私は最後まで逝ってしまった。

「芳佳……ちゃぁん……」
 甘えるようにして耳たぶにしゃぶりつつ、ふわふわした夢の中に落ちるとき聞いた一言は、私を絶望させるのに十分な一言だった。

「さかもと……さぁん……」

 私がこんなにまでしてるのに。
 ずっと一緒に居るのに。
 こんなに愛してるのに。
 無意識に芳佳ちゃんが呼ぶのは、私の名前じゃないんだね。
 火照ったままの体と裏腹に、心が急激に冷えていく。
 芳佳ちゃんを私のものにしたい。
 私色に染めたい。
 私だけの芳佳ちゃんが欲しい。
 芳佳ちゃん、芳佳ちゃん、芳佳ちゃん、芳佳ちゃんよしかちゃんよしかちゃんよしかちゃんよしかちゃんよしかよしかよしかよしかよしか……。
 そして私の意識は、暗いけど、どこか安心できる深い深いところへと堕ちて行った。




207 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:02:22 ID:mJiteWbk
 朝、芳佳ちゃんはわたしの胸の中で目を覚ます。
 赤い顔で可愛く慌てていたけれど、私はもっとカワイイ芳佳ちゃんを知ってる。
 知っているから、いつもその芳佳ちゃんで居て欲しい。
 おっぱいが好きなら、求めてくれればいいのにって思う。
 もっと素直になっていいんだよ、って。
 芳佳ちゃんが求めてくれるなら私どんな事だって出来るよ。
 だから……だから遠慮なんてしないで、もっと私に欲望をぶつけてくれればいいのに。
 わたし、芳佳ちゃんの欲望になら滅茶苦茶にされてもいいんだよ。
 ううん、違う。
 わたしは芳佳ちゃんに滅茶苦茶にされたいの。
 でも芳佳ちゃん、こんなにかわいい芳佳ちゃんはわたしみたいな娘を滅茶苦茶にする方法なんて知らないよね。
 ふふ、大丈夫。
 知らなくても平気だよ。
 わたしが教えてあげるから。
 わたしが芳佳ちゃんを、わたしの芳佳ちゃんをわたしの欲望で滅茶苦茶にしてあげる。
 芳佳ちゃんはただ自分がされた事を私にしてくれればいいようにしてあげる。
 わたし、わたしすごくエッチだから、色んな事したいし、して欲しいよ。
 きっと芳佳ちゃん途中で啼いたり叫んだりしちゃうかもしれないけど、二人には必要なコトだから大丈夫だよね。
 うん、大丈夫。
 だって芳佳ちゃんが感じたこと、思ったこと、考えたこと全部わたしにシテいいんだよ。
 だから、だからきっと、わたしたちきっとシアワセになれるよ。


 芳佳ちゃんが起きる前に、わたしのストライカーを納屋の中に隠した。
 芳佳ちゃんのストライカーは既に墜落時に失われていたから問題は無かった。
 通信機も壊した。連絡を取ったり、場所を特定されたりしないよう。
 食料は保存食で一ヶ月以上持ちそうなくらいの備蓄があったし、荒れているけど裏手に菜園もあって食べられそうな野菜類もあったんで、あんまり心配していなかった。
 そして、少し気になっていた地下室を確認した。
 ワイン倉にでもなっていれば、お酒で酔わした芳佳ちゃんと色々するのもいいな、って思って。
 でも、わたしはそこで予想を上回るどころか天啓とも言うべき収穫を手にすることが出来た。
 地下室には、勿論期待通りのワイン倉の部分もあったけど、それ以上にスペースを割いていたのが石造りの牢獄のような部屋だった。
 半分が書斎、半分が拷問部屋のような奇妙なつくりの部屋には色々な物が残されていて、その大半が女の子を性的に倒錯した世界へと誘う物ばかりだった。
 見ただけじゃ用途が解らないものや薬品類もあったけど、机の上にあったノートのようなものを開くと、その使用法から効果まで全てが羅列されていた。
 それだけじゃなくて、別のノートには実際どの道具をどう使ってどういったことを行ったのかが、詳細なスケッチつきで残されていた。
 わたしは気付いてしまった。
 ここがどんな場所であるかという音に。
 そう、ここはその昔に、魔女が魔女を責める為の秘密の地下室だったんだ。
 わたしは運命に感謝した。
 わたしの芳佳ちゃんとわたしがこんな素敵な場所に導かれたって言う事に。
 ただ漠然と、芳佳ちゃんをわたし色に染めたいっていう思いだけが先走っていたのに、具体的に何をすればいいかが見えてきた。
 先のことをちょっと想像するだけでワクワクしてくる。
 ワクワクと同時にエッチな部分が熱を持って濡れて、もうズボンなんて穿いていられない程になってくる。
 我慢しきれなくなって一人でしてしまいそうになるけど、意志力を動員して耐える。
 だって、わたしは芳佳ちゃんの身体以外では最後まで逝かないって決めたから。
 夕べ心に誓ったことを思い描くと、火照りはますます激しくなったけど我慢することが出来た。
 わたしは濡れきってただ素肌に張り付くだけのズボンを脱ぎ捨てると、芳佳ちゃんの居る部屋へと急いだ。
 もう一度眠る芳佳ちゃんの身体で気持ちよくなろうと考えながら。


208 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:03:04 ID:mJiteWbk
「リ、リーネちゃん……その、なんで裸?」
 焦ってどもりながらの第一声。
「おはよう芳佳ちゃん。夜は寒かったから、こうするのが一番あったかいと思ったの。だから、芳佳ちゃんもハダカだよ」
「え? くっ!」
 慌てて身体を動かして確認しようとするけど、手足の傷が痛んだのか苦しそうな声を上げる芳佳ちゃん。
「あぁ……、手足、まだ動かさない方がいいよ」
 芳佳ちゃんの傷は意外と深くて、暫くは両手両足を動かせそうに無かったから、これからの事には好都合。
「いたた……うん、そうみたいだね」
「わたしのせいで、ごめんね」
「リーネちゃんのせいなんかじゃないよ。悪いのはすぐにコアを見つけられなかった自分だから」
 芳佳ちゃんはそういって自分を責め、力なく微笑む。
 そんな表情もかわいい。
「芳佳ちゃん……」
「と、ところでリーネちゃん、なんだか顔赤いよ。もしかして付きっ切りで看病してくれて体調崩しちゃったりしたの?」
 自分の身体が大変なのに、私の事を気遣ってくれる芳佳ちゃんは素敵。
「ううん、わたしは平気だよ」
 わたしの顔が赤いのは、さっきまで芳佳ちゃんの身体でえっちな事してたからだよ。
 そう伝えたら、芳佳ちゃんはどんな反応してくれるのかな?
 私の事軽蔑して、蔑んだ目で見てくれるのかな、それとももっとしようって言ってくれるのかな。
 でも、そういう楽しみはまた後で。
 今は今出来る事をしないといけないね。
「平気ならいいんだけど……ところで、ここは?」
「うん、島みたい。人のいない屋敷があったから勝手に運び込んで使わせてもらってるの」
「そう、なんだ。速く帰らないと、皆心配するね……」
 表情が曇る。
 まだ、芳佳ちゃんには『みんな』が重要なんだね。
 でも大丈夫。
 すぐにわたしの事しか気にならなくなるよ。
「それがね、芳佳ちゃん、通信機もストライカーもなくなっちゃったから、ここで救助を待つしかないの」
「えええ! そうなんだ……私達大丈夫かな?」
 本当はそこで、私達が二人きりでいることに喜んで欲しいな。
「うん、調べてみたんだけど、食べられそうな保存食とか自生してる野菜とかはあったから、暫くはここで生きていけると思うの」
「そっか」
「芳佳ちゃんの怪我も、一応薬や包帯を見つけてあるからきっと大丈夫だよ」
 なるべく安心してもらう。芳佳ちゃんに元気がないとわたしも辛くなっちゃうから。
「うん、リーネちゃんが居てくれてよかった」
 やっと笑顔になる。
 もっとそう言って欲しいな。
 わたしと一緒にいられる事がシアワセって、はやく心からその事だけを思って欲しいな。
「ところで芳佳ちゃん、おなかすいてない?」
「え、ああ、すごく減ってる〜」
「うん、昨日から水しか飲んでないからね」
 どういう風に飲んだかは、後でちゃんと聞かせてあげる。
「すぐに食事用意してあげるから、待っていてね」
「うん、本当にゴメ……って、裸だよ!」
 芳佳ちゃんにわたしの事を見てもらいたくてわざと裸のまま部屋を出ようとする。
「私達二人以外に誰も居ないから」
 そう言いながらも、乳首がカチカチになって尖っている事や、股間が湿り気を帯びてるどころかぐっしょりになっていることを指摘されないか、ドキドキしながらの行為だった。


209 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:03:52 ID:mJiteWbk
 部屋を後にしたわたしは、台所で素肌にエプロンだけつけて簡単に食事を用意する。
 料理ではなく端に食材を切って食べやすくして、ちょっと味をつけるだけ。
 そして、地下で発見した薬の幾つかをここで試してみる事にした。

「お待たせ様。時間かかっちゃって、ゴメンね」
「んーん、いいよ。わたしこそ何も出来なくて申し訳なくて……」
 本当に申し訳なさそうな表情の芳佳ちゃん。
 でもその視線が裸にエプロンをつけただけのわたしの姿を犯してるの、わたし知ってるよ。
 それに、わたしはこうして芳佳ちゃんの看病できるだけでも嬉しいから、そんな顔しなくてもいいんだよ。
「干し肉と野菜類でこんな簡単なサラダしか用意できなくてごめんね」
「わたしが用意してもらってる立場なんだから、そんな事気にしないで。それに、サラダ美味しそうだよ」
「そう言ってもらえると嬉しいな」
 でも、本当はそうして無邪気にしてる芳佳ちゃんが一番美味しそうなんだよ。
「はい、あーん」
「え?」
「腕、うごかせないでしょ。だから食べさせてあげる。あ〜ん」
「あ、あは。なんだかこういうのって照れるね……あ〜ん」
 芳佳ちゃんが、食べる。
 見慣れた光景のはずなのに、意識してその唇の動きを追っているだけでまた興奮してくる。
 ピンクの唇が開いて閉じて、中で舌を絡め、飲み込む。
 当たり前の動作がとても艶かしい。
「あ〜ん」
「あ〜ん」
 笑顔で、甘えるように口を開く。
 舌が覗く。
 フォークを迎え入れる。
 ただただ、それだけの事にドキドキが収まらない。
「あ〜ん」
「あ〜ん」
 こうしている間にも芳佳ちゃんは用意した薬を採りこんでいく。
 その成分がどんな変化をもたらすかも知らずに、幸せそうに、餌をついばむ小鳥の様に、わたしの手から食べ続ける。


210 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:04:40 ID:mJiteWbk
 器のサラダがなくなって、楽しい食事の時間が終わってしまった。
 本当はもっと食べさせて居たいのに、幸せな時間ほど過ぎるのが早い。
 でも落ち込んだりはしない。次の幸せな時間はきっともっと幸せだから。
「ねぇ芳佳ちゃん、水、飲む?」
「あ、うん、欲しいかな」
「じゃ、お水も飲ましてあげるね」
「うんっ」
 笑顔で頷く芳佳ちゃん。
 わたしはその笑顔に向かって自分の口に水を含むと、わたしを誘惑し続けるその愛らしい唇に向かって口づけた。
「!」
 緊張が伝わってくる。
 無防備な時とはまた違う唇の感触。
 色んな表情があるんだね。芳佳ちゃんらしくて、すごく素敵。
 どうしていいのかわからないまま、わたしの舌に侵入されて水を注ぎ込まれる芳佳ちゃんのくち。
 名残惜しいけど、目的はキスじゃなくてお水を飲んでもらうことだから、わたしの口の水がなくなったところで顔を離す。
「リッ、りーねちゃっ、ごほっ、げほっ、げほっ」
「あ、むせちゃったの? 大丈夫?」
「ひっひどいよっ! 突然っ! ……その、キスだなんて……」
 ひとしきりむせてから、体勢を立て直して抗議の声を上げる芳佳ちゃん。
 でも最後の方は消え入りそうな口調で、わたしから視線をそらして言う。
「ひどくなんてないよ。わたし、意識が無い芳佳ちゃんに何度もこうやって水を飲ませたの。水がこぼれないようにするのって、こうするしかなかったから」
「あ……、ご、ごめんねリーネちゃん。わたし、いきなりだったから驚いちゃったの……それに、キスって……」
 初めてだったの。
 声は聞こえなかったけど、唇はそう動いてた事をわたしは見逃さなかった。
 何て素敵。わたし、始めてをもらえちゃった。
「わたし、芳佳ちゃんのファーストキスだったんだね。夢中だったから、そういう事に気が回ってなくて……ゴメンね、芳佳ちゃん」
「ううん、いいのっ! 一生懸命で、私の事いっぱい考えてリーネちゃんがしてくれた事なのに、怒ったりして、ごめん」
「わ、わたしの方こそっ」
「で、でもでもっ」
 そこで、お互いに気付く。
「私達、お互いに謝ってばかりになってるね」
「そうだね。でも、やっぱりわたしの方が悪いと思ってるよ」
「もうっ、リーネちゃんってば変な所で譲らないんだから」
 その後は自然に笑いが漏れてきて、ひとしきり笑ったあと、普通にコップから水を飲ませてあげた。
 そして、薬が間違ったものでなければ、そろそろ効果を発揮する頃だった。


211 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:05:15 ID:mJiteWbk
「あ、あのね、リーネちゃん……」
 少し頬を染めて、恥ずかしそうに芳佳ちゃんが口を開く。
 来た、と思った。
「どうしたの? 芳佳ちゃん」
「そ、その…………」
 ごにょごにょと、芳佳ちゃんらしくないはっきりしない態度。
 なんて言ってるかなんて聞き取れないけど、わたしは答えを知っていた。
 でも、助け舟なんて出したら勿体無い。
 芳佳ちゃんには自分で一線を越えて欲しかったから、わたしはなるべく声が意地悪にならないようにしながら言った。
「はっきり言ってくれないとわからないよ」
「……っこ」
 聞こえた。だけどもう一押し。
「ね、お願い。もう一度はっきり、ね」
 にっこりと笑顔で、顔を近付ける。

「おしっこ、したいの」

 顔を真っ赤にして恥ずかしそうに呟くその芳佳ちゃんの表情は、わたしが今まで見た芳佳ちゃんの中で、一番魅力的だった。


212 名前:zet4j65z:2008/11/09(日) 11:06:38 ID:mJiteWbk
とりあえずは以上となります。
っていうか、書くのに熱中しすぎてどんどん病んで変態になって行きやがった。
よしか連打辺りから先の記憶が曖昧デスヨwww
この先の展開、変態度がスレの良識を突き破りそうなんでどうしよう?

管理人さんに直接メールして保管庫にだけアップしてもらうかなぁ。


ちなみに、昨日のペリーヌ一人称とこれ、かかってる時間が一緒くらいですw
ちなみにちなみに、現在未完になってるアフリカ話も書いてはいるんですよ。

213 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 11:25:02 ID:8hliNPY3
>>212
こここっここれはたまらん!まさかホントに実現するとは……!!
何も恐れることはナイ、いいから早くリーネちゃんの変態フライトへ突入するんだ!!
さすが休日、朝からwktkが止まらないぜ。

214 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 12:50:11 ID:txEcNTeU
これは・・・・皆GJすぎる・・・これは・・・久しぶりのリハビリ作品が投下できんっ・・・

215 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 15:43:40 ID:9qpmWWgr
>>212
 _  _  _
 ヽ〃´   `Xノ
   ! イ(ィルイィ)リ  
 oO○(!! ヮ ノ' ・・・・・・・・・
 〜(,_U_U

216 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 19:25:25 ID:6w7g9wBe
修羅場なのに見に来てみたら…ほんとみなさんGJだぜ!

>>214
気にするな、来い!!

217 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 19:52:41 ID:6k95sJxt
>>214
みながおまいを待っているぜ。

218 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 20:28:36 ID:txEcNTeU
どうもお久しぶりです◆juxGFpUaK.ですいらん子を購入いたしましたところ・・・
アホネン大尉というキャラがいましてねえ・・・・ええ、

追伸
>>216>>217に感謝してこの作品を皆様に捧げます

〜エイラさんの受難〜

私、エイラ・イルマタル・ユーティライネンは嫌な夢を見ることがある・・・その元凶・・・・それは5年も前にさかのぼる・・・

〜5年前・カウハバ航空基地〜
「本日より大尉殿にご教授頂く、エイラ・イルマタル・ユーティライネン軍曹であります!」
「本日よりあなた達訓練生の教官を勤めさせていただくミカ・アホネンよ」

5年前、能力を見出された私は来るべきネウロイとの戦争に備え訓練に明け暮れていた
今回は実地派遣のような形でカウハバ航空基地に来た。

今回は模擬戦という事で特別に実戦部隊の指揮官が呼ばれていた

「ふふ・・・そんなに硬くならなくても結構よ?」
「いえ・・・そんなう・・・うれしいんだな最前線のウィッチにお会いできるなんて・・・」

私は憧れのウィッチに会えてとても高揚していた



219 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 20:29:51 ID:txEcNTeU
夜・・・寒い夜、私はアホネン大尉の部屋にいる
いや、まあもちろん模擬戦はアホネン大尉の第1中隊の勝利
なんか中隊の何機かを模擬弾で撃墜したご褒美とか・・・

「それにしてもたいした腕前ね。ちょっとびっくりしたわ」
「ありがとう・・・ございます・・・それでこれは?」
「なんのことかしら?」

なぜか私はベッドに座らされていて向こうはというと・・・

「なぜ鍵を閉めて服を脱いでるのですか?」
「知りたいかしら?」
「うっ・・・」

大尉は私の服をていねいに脱がせ始める

「ちょっ・・・ちょっと・・・待って欲しいんだな・・・」

「だぁめ、これから私の妹になるのよ・・・」
「ふわ・・ダメナンダナ・・・」

大尉の手が私の・・・私の純潔に侵食してくる・・・

「だめぇ・・・・なんか・・・へんナンダナ・・・」

「あらやだ・・・こうも反応してくれると調教のやりがいがあるわ・・・うっふふふ」


結局この日は4回も撃墜された・・・




220 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 20:30:47 ID:txEcNTeU
〜現在〜
「というわけなんダナ」

私の告白を聞きカールスラント組と、坂本さんは閉口していた・・・・

まあ私がうなされていると心配してくれたサーニャが年長組の人らに相談してくれたらしい・・・・

「まあ・・・つらい体験だったな・・・」
バルクホルン大尉が口を開く
「そうよね・・・」
ミーナ中佐

「でも、やっぱり女の子が・・・サーニャが一番・・・」

「ん?どうした?エイラ?」

「なっ・・・なんでもナインダナ・・・坂本少佐・・・」


なんかハルトマン中尉がニヤついてたりミーナ中佐がぎくりとしたりしていた・・・


続くような続かないような・・・

あとがき
3スレぶり?お久です。
ちなみにいらん子3巻は重版待ちです
エイラの口調に関してはお察しください。

必要スキル:脳内変換


221 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 22:09:12 ID:8hliNPY3
>>220
イイヨイイヨー、このスレはアホネンさま分が足りないと前から思ってたんだ。GJ!!
そして自分が穢れてると思ってますますサーニャに対してヘタレになっていくエイラですね、わかります。

ちなみにいらん子は重版決定したらしいです。
自分も難民だから今から楽しみでしょうがない。

222 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 22:13:23 ID:u6c97QP0
>>219-220
GJ…しかし、いらん子の設定の1939年当時だと
エイラ10歳何だナ…

アホネンめ…10歳のようι゙ょにまで手を出すとは…。

223 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 23:00:11 ID:JZwKaFGr
幼女エイラ……萌えてしまったじゃないかorz……GJだぜ……。

>>221
「私がサーニャにしたいことは、アホネンと一緒なんじゃナイカ……?」ってますます悶々としてそうですね。
が、がんばれ。

224 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/09(日) 23:35:39 ID:9qpmWWgr
>>222
10歳の女の子を4回撃墜とかマジでキチガイじみてるwww

225 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:06:17 ID:F1BXtwDV
xQl8TeR8です。
「もしサーニャがエイラ以外の人の部屋に間違えて入ったら」
ttp://www.syu-ta.com/blog/2008/09/23/033226.shtml
ペリーヌで書いてみました。


226 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:08:15 ID:F1BXtwDV
「もしサーニャがペリーヌの部屋に間違えて入ったら」

「なんなんですの!」
ペリーヌはベッドがいきなり何の前触れもなく揺れたので、基地が爆撃されたのかとあわてて起きあがった。
周囲は何事もなく爆撃の煙も、炎もない。
普段と変りがないのでペリーヌは安心した。
気のせいかと思ったペリーヌは、坂本少佐との朝の訓練に出る前にもう一度寝直そうとしてふと横を見た。
なんとサーニャ・リトヴャク中尉が自分の隣に寝ていたのだった。
一瞬サーニャの部屋に間違って来てしまったのかとペリーヌは思ったのだが、周りの調度品や部屋の作りは自分の部屋のものであって、間違ったのはサーニャの方だった。

「あの……サーニャさん?」
呼びかけてみる。
返事はない……というか寝入ってしまってるサーニャはそもそも返事なんて出来ない。
「お、お部屋、間違っておりましてよ?」
冷静を装いつつペリーヌは注意してみるが、もちろんサーニャに何の反応もない。
「あの……」
ちょんちょんと彼女の手をつついてみる。
「ううん……」
サーニャは少しうなると煩わしそうに手を動かしてペリーヌの手を逃れようとした。
「ちょ、ちょっとなんですの、その態度は!人の部屋に無断で入って、人のベッドで無断に寝て!」
怒るペリーヌにもサーニャは反応しない。
よほど深く寝入ってしまったらしい。
「お起きなさい!サーニャ・リトヴャク中尉!起きなさいったら!」
ペリーヌはなにがなんでも起こそうと、サーニャの肩を持ってゆさゆさと揺すってみる。
迷惑そうな顔をするものの、サーニャが目を開けることはなかった。
「まったく……いい根性してますわね」
起きないサーニャに呆れつつもどうすべきかペリーヌは考えた。


227 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:09:10 ID:tody4xs+
上官であるミーナ中佐や坂本少佐に言いに行くべきか?
あるいは彼女と仲がいいユーティライネン少尉を呼んでみるか?
それとも……。
ペリーヌはサーニャを見た。

きっと彼らは夜間哨戒で疲れたサーニャを優しく起こすか、もしかしたらここで少しの間寝させておくように言うかもしれない。
ほんとは疲れた仲間を思いやるなら自分もそうすべきなのかもしれない。
(でも……)
そうするのはペリーヌにとってなにか面白くなかった。

「かくなる上は……!」
ペリーヌの身体から薄青い光が立ち上り、同時に頭に獣耳が出て、ネグリジェの裾から細くて長い尻尾がのぞく。
ペリーヌはサーニャに近づきその身体に触れようとするが。

『お母さま……』
サーニャの口から出た言葉にペリーヌは凍りついた。
サーニャの国のオラーシャの言葉ではあったけれどペリーヌにもその言葉の意味はわかる。
その響きはガリアの国の言葉にも似ていたからだ。
それは自分もかつては毎日当たり前のように口にした、そして今は言うことさえなくなってしまった言葉だった。
サーニャの閉じられた目からは涙がこぼれ落ちた。
ペリーヌはハンカチを出してサーニャの涙を拭いてやり、肩を落としてため息をつく。
「そんな顔をされてはもう追い出せないじゃありませんの」
猫耳と尻尾はいつの間にか消えていた。
ペリーヌは毛布をサーニャに掛け、自分は制服に着替えた。
そしてベッドの端に腰掛け、サーニャの頭を恐る恐るなでてやる。
「私のベッドで寝るんですから、悪夢を見たら承知いたしませんわよ?」
ペリーヌはそう言うと立ち上がり、部屋を出たのだった。

228 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:10:30 ID:tody4xs+
「少し早すぎましたかしら?」
ペリーヌは滑走路にいた。
坂本美緒少佐の朝の訓練はここで行われる。
だがほかの仲間どころか坂本少佐すらいなかった。
レイピアを抱え朝焼けを見ながら、ペリーヌはサーニャのことを考えた。
彼女と話したことはほとんどないから彼女の過去になにがあったかペリーヌは知らない。
伝え聞くオラーシャの状況やここにいることを考えると彼女はおそらく自分と似たような状況なのだろう。
その状況は隊員の大部分にもいえることでもあった。

「早いな、ペリーヌ」
「坂本少佐!」
ペリーヌは振り返った。
竹刀を持った坂本が穏やかな表情で立っていた。
坂本を見ていると、思わずペリーヌの口をついて出た。
「あの……」
「なんだ?」
「私たちはガリアを……ネウロイから取り戻せるでしょうか?」
「私は扶桑人だから国を失ったおまえの気持ちは本当にはわからないのかもしれない。しかしネウロイを憎む気持ちは同じだ。私だってネウロイのために失ったものはある」
言いながら坂本は普段見せないような寂しげな表情をした。
だがすぐに寂しげな表情を消し、ペリーヌに、そして自分にも言い聞かせるよう決意に満ちた顔をした。
「……ペリーヌ、私たちは取り戻すのではない。取り戻さねばならないのだ。人々のためにも、自分のためにも」
なにも言わずまじまじと見つめるペリーヌに坂本は少し赤くなった。
「ん、まぁ……これくらいの心意気でないと取り戻せるものも取り戻せないからな」
ペリーヌは坂本の決意がうれしく、顔をほころばせた。
「私、少しナーバスになってました。そのようではネウロイに負けてしまいますわね。少佐の心意気を見習って私も精進いたしますわ」
「そうか。ならば訓練開始と行くか。ビシビシ行くぞ!」
「は、はい!」
パッとかけ出す坂本に遅れないようペリーヌも続いた。
朝日が走る二人を応援するかのように背中を温かく照らしていた。


229 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:14:25 ID:tody4xs+
以上3レスです。

なんだかうpしたのを見ると改行が微妙に残念なことに。


230 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 00:25:08 ID:0bjliLvV
>>229
あら・・・素敵なお話・・この優しさ流石はペリーヌさんですわ


改行もそんな問題無いんじゃないすかね、自分は気にならなかったです、はい
サーニャが部屋を間違えたらシリーズ、自分も書きたくなっちゃいました

231 名前:xQl8TeR8:2008/11/10(月) 00:50:55 ID:tody4xs+
>>230
ぜひとも!自分以外の他の人がこのシリーズを書いたの見てみたいです。
そうなるとたぶん自分のが見劣りしちゃうかもしれないんですが。

実のところなにも言わずサーニャを寝かせてくれる人ってのが
案外書きにくかったりします。

232 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/10(月) 01:12:40 ID:Vy3LoR4n
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/refresher.png

ええ、順調に技術力の無駄遣い中の保管庫の中の人ですこんばんは。
自動ソート生成機をC++で組み立ててGUIをHSPで実装というわかる人にしかわからない最悪級の手抜きソフトですが、
これが完成すれば手間が90%削減されるのでもう更新に間が空くこともなくなる……はず。
もう2、3日放置しますが色々と勘弁してください。全手動の限界突破!SS、溢れる!

それでまあ本題に入ると、例のブツが遂に書き上がってしまったわけだが……。
今ならコレを最初に投下したじっちゃんの心境が理解できます。これは勇気要るね!
かといって投下しないのも勿体無いので投下します。
滝川師匠100機撃墜到達記念作品(今決めた)
サーニャ×エイラでシナリオノベル

サーニャさん崩壊シリーズ「Принцесса быть Меня(私がお姫さま)」

233 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 01:15:04 ID:Vy3LoR4n
某月某日、エイラの部屋にて──

サーニャ「ねえ、エイラ」
エイラ「うん?」
サーニャ「お姫さまだっこ、して」

ブーッ(AA略

エイラ「なななっな、何を言い出すんだよ!?」
サーニャ「ダメなの?」
エイラ「ダメっていうか、いやその、……えー!?」
サーニャ「さっきルッキーニさんがイェーガーさんにお姫さまだっこされてたの。
 わたしもされてみたいな。」
エイラ「で、でもほら、なんというか心の準備が……」
サーニャ「ダ メ な の ?」
エイラ「やる!!やります!!やらせていただきます!
 だからそんな目で見んなぁぁぁ!!」


サーニャ「……どう?」
エイラ「どうって……えっと……」
サーニャ「ドキドキする?」
エイラ「する……って、何言わせんだよ!!」
サーニャ「でも、好きな人をだっこしたらドキドキするって前に本で読んだの……」
エイラ「何の本だよ!! ──いややっぱり言わなくていい!!
 サーニャがそんな本読んでるトコ想像したくナイ!!」
サーニャ「×××っていう本なんだけど……」
エイラ「言うなぁ!!」

234 名前:サーニャさん崩壊シリーズ「私がお姫さま」 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/10(月) 01:16:52 ID:Vy3LoR4n
サーニャ「こんなことも書いてあってね、"ドキドキしてなかったら、ホントは好きじゃない"……」
エイラ「サーニャ──」

ぴとっ

サーニャ「あ、ちゃんとドキドキしてる」
エイラ「するに決まってんだろ!そんな胸に顔うずめたら……ああああ!!」
サーニャ「やわらかいね……」
エイラ「揉むなぁぁぁぁ……!!んあっ、ふっ!!」
サーニャ「エイラ、ちゃんと支えてなきゃダメだからね。」
エイラ「んっ、やあ……ぁぁぁ……」

ガクッ

エイラ「ムリ」
サーニャ「ムリじゃない。立って。」
エイラ「ムリなものはムリ!そんな、胸揉んだら、力入んな……」
サーニャ「わたしのこと嫌いなの?」
エイラ「そんなワケないだろー!?」
サーニャ「じゃあ、立って。」
エイラ「……まず揉むのをヤメロー!!」

エイラ「ハァ……ハァ……」
サーニャ「やっぱりエイラはわたしの為なら何でもできるんだね。」
エイラ「ワルカッタナ、ショージキモノデ!!」

ぐいっ!

サーニャ「じゃあ次は、キスして。」
エイラ「ひああっ!!首に抱きつくなぁ……ていうか顔近いっ!!
 ちょっと、サーニャ、タンマ──」
サーニャ「して?」
エイラ「いだいいだい!!首捻ってる!!」
サーニャ「……。」
エイラ「するっ!!するから!!離してくれー!!」

…………。

サーニャ「……。」
エイラ「……。」

サーニャ「……やっぱりイヤなんだ。」
エイラ「えっ?いやっ…」
サーニャ「エイラはわたしとこういうコトするのイヤなんだ。」
エイラ「違っ……ただその、なんというか心の準備が……」
サーニャ「わたしはエイラのこと好きだからいつだってキスしたいのに……
 エイラは好きじゃないから違うんだね……。
 死にたいなあ……。」

エイラ「アー!モウ!!」

んちゅっ

235 名前:サーニャさん崩壊シリーズ「私がお姫さま」 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/10(月) 01:18:59 ID:Vy3LoR4n
サーニャ「ん……」
エイラ「んぅ……」

…………。

サーニャ「……」
エイラ「(サーニャ舌動かし過ぎ!!ヤバイ、モウダメ、
 こんなにされたらまた力が……んっ!!)」

ぷはっ

サーニャ「……甘い……」
エイラ「ハアッ、ハアッ……」
サーニャ「ねえエイラ、もっと」
エイラ「さ、さすがにこの体勢辛くなってきたカナーなんて……」
サーニャ「もっと」
エイラ「あの…腰が…」
サーニャ「わたしはエイラともっとキスしたいって言ってるの!
 もっとエイラの唾液が飲みたいの!飲み足りないの!
 わたしの言うこと聞いてくれないエイラなんていらないっ!!」

みしみしっ!!

エイラ「あぐっ…さーにゃ…ぐるし…」
サーニャ「わたしのものにならないエイラなんて……っ!!」
エイラ「やべて!!首じべないで!!じぬ!!じぬ!!!!」

サーニャ「……。」
エイラ「モー、何でそんなにお姫さまだっこにこだわるんだよう……」
サーニャ「だって……」

ぎゅっ

サーニャ「エイラにだっこして欲しかったの……。
 エイラがお姫さまを守る騎士みたいに格好良いから……。」
エイラ「〜〜〜!!!!」




236 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/10(月) 01:20:35 ID:Vy3LoR4n
……以上です。ごめんなさいごめんなさいごめんな以下略
続きを投下するかどうかは反応次第ということで。
そして科白の前の名前消しとくの忘れた!1レス目の名前欄も忘れた!!
ちょっとは落ち着けよ私。

最後に>>229GJ!!
ペリーヌは優しい子ですよね、ええ。たまらん。
先生!次はシャーリーverが読みたいです!!

237 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 01:45:18 ID:jfTeDB37
GJ!!サーニャ強いすぎるw
続けてくたさい
面白いかった

238 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 02:00:55 ID:auvcPmIn
なんというサーニャ・・・間違いなく酔っている

239 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 03:08:46 ID:FtCME/6I
このエイラさんは間違いなくサーニャの尻に敷かれる…
ん、いやそれは決定事項だったか

240 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 04:12:13 ID:mboXzfYB
>>239
いやいや尻に敷かれるとは、限らんよ
このエイラじゃ無理かもしれん…
だが崩壊してないエイラは、サーニャに対しても
決めるところはちゃんと決めてくれると、俺は信じてる

241 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 07:53:50 ID:hvTi4bxZ
せっかくウィッチの股間に使い魔の♂性器が生える
プロットを思いついたが>>3のテンプレに
「ふたなり自重」って…
せっかく、動物の♂性器を検索して調べたのに。

242 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 08:02:26 ID:S7ex/aW4
>>241

エロパロ板にごー
…あのね、犬(もっさん、カールスラント組、芳佳)のは最中に根元が膨張して抜けない構造なのね。


243 名前:241:2008/11/10(月) 08:30:39 ID:hvTi4bxZ
>>242
行ったら、次スレ立っていなかった…。

244 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 08:51:58 ID:T1y281Cw
ちゃんと冒頭で注意書してくれりゃ、問題無いんじゃないか??
小説一つ落とすためにエロパロ復活させるより
ちゃんと女キャラ同士での内容だったら、ここでもいいと思う


245 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 09:27:56 ID:RYU8ybvy
こうしてなし崩し的にふたなりも男との絡みもありになっていくのであった。

246 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 09:40:15 ID:mboXzfYB
>>245
いやこの作品的に考えて男との絡みは、ありにはならんだろう
ふたなりはキャラへの愛が感じられれば、俺は問題ないが

247 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 09:44:09 ID:RYU8ybvy
じゃあ>>246がOKだそうだから、ふたなり解禁ということで。

248 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 09:52:33 ID:H+NUNGT4
じゃーおれがいやだから解禁禁止ということで。

249 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 10:04:59 ID:hvO9WndG
わざわざ余計なもの生やさなくても、皆さん立派な尻尾があるじゃない

250 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 10:21:06 ID:8WS1u+Do
txtでうpとか、管理人さんに頼んで保管庫にだけ上げてもらうとかなら
見たい人だけ見られるんじゃないか?

251 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 10:25:19 ID:BRuH527l
スレから追い出されたSSを投下するスレPart2
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1208076450/


ここでやれば?

252 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 10:43:27 ID:+7pL21eq
尻尾があるんだから尻尾使えよ

253 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 10:44:52 ID:IoF3FdwM
ここに投下したら最初に注意書きしても、保管庫入れるときはなくなっちゃうからなぁ
>>251のスレに投下→このスレにURL張り付け→保管庫はエロパロの方に
ってくらいが落としどころだと思う

254 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 11:11:40 ID:Pb0tQf+T
いちゃいちゃしてるならふたも許容範囲
男は論外

255 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 11:15:56 ID:VAOGC7Ua
保管庫にも注意書きしてもらえばいいじゃない

256 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 11:37:34 ID:RYU8ybvy
じゃあキャラへの愛とかいちゃいちゃについては>>254が判断してくれるから、ふたなり解禁ということで。

257 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 12:07:10 ID:z2XE8AbZ
精神的なものに重きを置いていればふたも百合じゃないかっ!
百合じゃないかっ!

258 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 12:08:07 ID:IoF3FdwM
だからわざわざ荒れる燃料をこのスレに投下する必要はないだろう
他に解決策があるならそっちを優先すべき

あと前々から思ってたけど、このスレは管理人さんに甘えすぎ

259 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 12:13:52 ID:S7ex/aW4
変態淑女ですが栗肥大だと思えば何の問題もない><
(きんも〜☆)

260 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 12:41:06 ID:H+NUNGT4
精神的なものに重きをおいているならふたなりで絡ませる必要ないじゃn。

ふたなり禁止で上手くまわってるんだから、そのままにしとけばいいじゃん。

261 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 12:55:47 ID:z2XE8AbZ
>精神的なものに重きをおいているならふたなりで絡ませる必要ないじゃn。
そう思うのも個人の嗜好というものじゃないか?

とはいえ、一般的にこの板でふたなりは忌み嫌われるのは事実
注意書きしてもここでの投下は止めておいた方がいいだろうな。荒れないためにも

262 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 13:38:21 ID:x4/rsCjF
エロパロスレが生きていればこんな議論をすることもないんだがなぁ

263 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/10(月) 13:42:24 ID:oG8eAgY+
えっと、いずれにせよ注意書きだけは必ずということで……。
フタは百合か?談義をここで始めるのもなんなので、とりあえず>>251に落とすことを自分は推奨したいです。
メールでもいいですが例によって更新が遅れてるので。読者を待たせるわけにはいくまい。
あと>>232のブツが完成したら一覧の最後に備考欄が新設されるので注意書きをすることは可能です。
従って基本的にここに来た作品は百合一覧に収納するつもりです。要望があれば分けますが……。

>>258
頼られるなんて名誉ジャマイカ

264 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 15:21:52 ID:mboXzfYB
>>263
なぜだろう…私には、管理人がすごく輝いて見える…

265 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 15:26:23 ID:ik2EOmMk
>>263
管理人様にも勲章が必要ダナ
格好良すぎる!

266 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 15:34:58 ID:eCn9lGvh
管理人さんはこのスレのミーナ隊長だと言わざるを得ないんダナ。

267 名前:zet4j65z:2008/11/10(月) 16:28:18 ID:oNHfx23Y
>>266
管理人さんをオバサン呼ばわりとか失礼じゃないか?w
でもほんとここが概ね平和なのは管理人さんのお陰なんじゃないかと思います。

それはそうと、format by LYNETTEの続きを書いたんだが、
まぁぶっちゃけていうと芳佳が2回おしっこをするだけの話なんだけど、
一応排泄物をネタにしてるんで気分を悪くする人もいるやも知れんという事で
早朝5時くらいに保管庫管理人様に直接メールしました。
でも>>251みたいなスレがあるんならそこに投下すべきかな?
多分だけど、この先「おしっこ」「お尻」「豆」「リーネ」「帰還」
って感じの話の展開になると思われ。
家に居るより会社で暇な時の方がはかどるんで気長に……ピンポーン

ん? 誰か来た様だ。

268 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 16:31:37 ID:u/Gqwzrm
管理人様素晴らしすぐる!
せめてもの気持ちを込めてSS投下します。捧げます。
エイラーニャです。なのに一人称は芳佳です。
タイトルは最後に(途中でわかる人が多いでしょうが)。


 ぽん、と私の髪の毛に水滴が触れる。
 私とリーネちゃんは訓練を終え、ハンガーから出てきたところだった。
 雨……?
 私は歩を止めると、濡れた髪に手をやり、空を仰いだ。
 ぽつ、ぽつと、小さな雨粒が、ゆっくりとしたリズムをとって降ってくる。
 でもおひさまは雲に顔を隠すことなく、空はさっきまで飛んでいた時とおなじ青さを保っている。
「雨、降ってきたね」と私が言うと、
「天気雨だね」と、手のひらを空に向けたリーネちゃんはこたえた。
 まるでシャワーを浴びているみたいだな、と私は思った。
 訓練でかいた汗、体の熱を、雨粒のひとつひとつがぬぐい去ってくれる。
 私は雨はあんまり好きじゃないけど、この雨だけはなんだか別。
 濡れてまいろう。季節は夏だけど。
 そうして私は、リーネちゃんと手をつないだ。そしたらリーネちゃんが握り返してくる。
 リーネちゃんも、私とおんなじことを感じているのかな。そうだったらいいな。
 私たちは歩をはやめることなく、ゆっくりとその雨のなかを歩いた。

 木陰に立つ、すらりとした人影が見えた。
 長く伸びた銀色の髪は、少し雨に濡れ、きらきらと光っている。
「お、宮藤とリーネじゃないカ」
 と、私たちに気づいたエイラさんは声をかけた。
「どうしたんですか、エイラさん」
 私たちはエイラさんのいる木の下に入った。
「雨宿り中。サーニャを待ってるんダ」
「サーニャちゃんを?」
 頭に疑問符が浮かぶ私に、エイラさんは両手に持った紙袋をちょっとあげてみせた。
「サーニャとちょっと町まで買い物に行ってたんダ。で、今さっき帰ってきたとこってワケ」
「それでサーニャちゃんは?」
「傘取りに行ってるトコ。私は一緒に走るからいいって言ったんだけどナ、すぐだからって」

269 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 16:32:11 ID:u/Gqwzrm
「ずいぶんたくさん買ったんですね」
 と、リーネちゃんは興味津々な様子。
「町まで行くのはひさしぶりだったからナ。ついいろいろと買い過ぎちまっタ。
 なかなかそんな時間がとれなかったしナ」
 エイラさんの声が喜びに少し弾む。
 時間は「とれなかった」じゃなくて、「あわなかった」んじゃないのかな、と私は思った。
 一人だったら、町に買い物にいくくらいの時間なら、結構融通はつきやすいから。
 でも二人いっしょに、それもシフトが夜間のサーニャちゃんととなると、たしかにあまりないだろう。
 つまり今日は、サーニャちゃんとのひさびさのデートだったわけだ。

「それでなにを買ったんですか?」
 リーネちゃんは訊くと、覗き見るように紙袋に顔を近づける。
「やかんとティーポット、それにカップ一式。あと下着とかシャンプーとか歯ブラシとか……」
「やかん?」
 私は聞き返した。
 それにポットにカップ……これってお茶の道具だよね?
「ほら前に、夜間のシフトでサーニャの部屋が専従員の詰め所になったダロ?」
 ああ、と私はうなずいた。
 サーニャちゃんの歌を真似するネウロイが出た時、
 私とエイラさんはサーニャちゃんの部屋にお世話になったんだった。
「またああいうことがあった時のためにサ」
 そう言うエイラさんの声は、少し沈んでいた。
 それはあの夜の戦いのことを思い出したからだろう。
 あたり前のことだけど、エイラさんはサーニャちゃんの身を案じているんだ。
 もうあんなことはありませんように、って。
 でもサーニャちゃんは夜間哨戒を任されている。飛ばないわけにはいかない。
 哨戒飛行、それも夜間となると、とても大切な任務だ。サーニャちゃんの代わりになる人はいない。
 サーニャちゃんのおかげで、私たちは夜、眠りにつくことができるんだよね……

270 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 16:34:21 ID:u/Gqwzrm
「どうかしたのか、宮藤?」
「あ、いや……」
 考えていたことがエイラさんに見透かされたのかな。表情に出ていたのかも。
「ま、いいサ」
 エイラさんは仕切り直しするように、一度息を吐き出した。
「サーニャの部屋って、食堂からは遠いダロ?
 ちょっとお茶を飲みたくなった時に、いちいち食堂まで行ってお湯沸かすのも面倒だしナ」
 その声は、再びいつもの明るさを取り戻していた。
 それは、沈んでしまった私を励ますようで。
 私は心のなかで、エイラさんにありがとうを言った。 
「任務とか関係なくサ、お茶が飲みたくなったら、サーニャの部屋にいつでもドーゾ」
 いいのかな、と私はリーネちゃんと顔を見合わせた。リーネちゃんもそういう表情をしている。
「遠慮スンナ。サーニャも喜ぶからサ」
「でも迷惑じゃないかな……?」
 おずおずとした私の言葉に、エイラさんは首を横に振った。
「アイツって恥ずかしがり屋ダロ?
 思ってるコトを伝えるのがヘタクソでサ――本当はみんなと仲良くなりたいって思ってるのにナ。
 だから、これがきっかけになれば、って」
 エイラさんはそのあとに、オマエたちこそ迷惑じゃなければダケド、と付け加えた。
 ううん、迷惑なんかじゃないよ。私は首を横に振った。
 だって私やリーネちゃんも、もっとサーニャちゃんと仲良くなりたい。
「うん、是非行かせてもらうよ」
 そうして私はしっかりとうなずいた。
 きっとサーニャちゃんも喜んでくれるよね。
「なにかお菓子をつくって持っていくね」
 とリーネちゃん。
 エイラさんは顔をほころばせると、照れくさそうに、ありがとナ、と言った。
「みんなにも伝えておいてくれるカ。来るものは拒まずダ」
「うん、わかった」
「もちろんペリーヌにもダゾ。アイツには肝油でもご馳走してヤロ」
 ニヤリと笑うエイラさんに、私たち二人は苦い笑いを返した。

「それよりこんな長々と話してていいのカ。洗濯物干したままダロ?」
 あっ! と私とリーネちゃんは同時に声をあげた。
 已然雨は降り続いたまま、そしてエイラさんの言うとおり、洗濯物は干しっぱなしだ。
「いけない! リーネちゃん、はやく!」
「うん!」
 私たちは雨のなかを走り出した。

271 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 16:36:14 ID:u/Gqwzrm
 ――のだけれど、物干し竿までたどり着いた時には、すっかり雨はあがっていた。
 でも、さっきまで雨が降っていたという事実は変わらないわけで。
「濡れちゃったね」
 シーツに指先を触れながら、リーネちゃんは言う。
「うん。でもすぐ乾くよ」
 だって今日はいい天気だから。

 と、私の目に映る二人の後ろ姿。
 傘を差すサーニャちゃんと、それに入るエイラさん。
 歩調はあわず、ちぐはぐな二人三脚を見ているみたい。
 ゆっくりと一歩一歩、その時間が少しでも長く続くように二人は歩いていく。
「もう雨やんでるのにね」
 と、冷やかすようにリーネちゃんは言った。
「うん、でも――」
 私はそっと目を閉じてみる。
 耳をすませば、甘い歌声が聞こえてくる。
 サーニャちゃんが歌っている。
 これは、雨粒を数えていたまだ小さなころのサーニャちゃんに、お父さんがつくった曲だ。
 あの二人の下には、まだ雨が降っているんだ。
 やさしくて、あたたかな天気雨が。

「ねぇ、見て。芳佳ちゃん!」
 その声に、私のまぶたが開く。
 リーネちゃんが指さす方に私は顔を向けた。
 わあ、と私は歓声をあげた。
 空には鮮やかな虹がかかっている。
 なんだかあの二人の門出を祝福してるみたいだな、なんてことを私は思った。
「きれいだね」と私。
「うん、きれいだね」とリーネちゃん。
 そうして私とリーネちゃんは、顔をあわせて笑いあった。

「ねぇ、リーネちゃん知ってる? 扶桑では天気雨のことを『狐の嫁入り』って言うんだよ」



以上です。
サーニャの出番すくねえ! つかセリフ一言もねえ!
オチから思いついた一発ネタ(のわりには結構脱線)。あと相合傘が書きたかっただけです。
タイトルはなんのひねりもなく「狐の嫁入り」です。

272 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 17:03:37 ID:0qEAoDZb
>>271、保管庫の中の人GJ

えー、アホネンSSへの感想ありがとうございます

とりあえずアホネン×幼女エイラにエルマを足してカオス展開にするつもりです
またよければお付き合いください!

では〜

273 名前:kK2NO0Bq:2008/11/10(月) 23:49:28 ID:fTQi7WMv
ご無沙汰しています、トゥルーデ撃墜部隊のkK2NO0Bqです。
久しぶりに投下致します、坂本×トゥルーデです


274 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:50:43 ID:fTQi7WMv
あぁ、眠れない…!

寝返りを何度もうっていた私は、ついに体を起こした。
なんとなく寝る前にクリスの写真を見つめていたら、なんだか気分が高揚してしまって…
いや、興奮したとかそういうものではないぞ!

窓の外を見ると、まだ夜は深そうだ。
風呂にでも入って、さっぱりしてこよう。

私はバスローブを羽織り、部屋を出た。
今夜は月が綺麗で、その明かりが静かな廊下をほんのりと照らしている。

クリスもこの月を見ているだろうか……
あぁ、隣で見ていたい…


脱衣場に着くと、浴室の中から水音がした。誰か先客がいるのか?
籠を見てみると、白い軍服が丁寧に畳まれていた。この服は、坂本少佐か。

「おぉ、バルクホルンか」

中に入ると、少佐が私に気付いて微笑んだ。

「どうした、こんな夜中に」
「少し、目が冴えてしまって…。少佐は?」
「ついさっきまで訓練していた。少し汗をかきすぎてしまってな」

思わず感嘆のため息を漏らしてしまった。
こんな時間まで訓練とは…なんて熱心な方なのだろう。
年も階級も一つしか違わないのに、私なんかよりずっと大きく見える。


275 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:51:53 ID:fTQi7WMv
「そんなところに立っていないで、温まったらどうだ?」
「あ、はい…失礼致します」

私はおかしそうに笑う少佐の隣へと体を浸けた。

「何か悩み事か?」
「え?」
「眠れないんだろう。お前がしっかり睡眠を取らないなんて珍しいじゃないか」
「あ…いえ、その…」

…クリスの事を考え過ぎた、なんて口が裂けても言えないな…

「しょ、少佐こそ、いつもこんな時間まで訓練を?」
「いや、普段はもう少し早く休むのだが…今日は気持ちが入りすぎてしまってな」
「熱心なのですね」

私の言葉に、少佐の表情が少し曇ったように見えた。

「…まぁ、訓練するにこしたことはないからな。はっはっは」

…気のせいだろうか?

少佐は湯から上がると、髪を洗い始めた。
私は肩まで浸かり、大きく息をつく。


「…バルクホルン」

少し沈黙が続いた後、ぽつりと少佐が呟いた。

「なんですか?」

振り返ると、少佐はこちらに背中を向けたままだった。
真っ黒な髪は、シャンプーの泡にまみれている。



276 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:53:13 ID:fTQi7WMv
「…もし私が飛べなくなったら…みんなを頼むぞ」
「え…?」

私は思わず体を乗り出した。
少佐はシャワーを出し、頭から浴びて泡を落としていく。

「少佐…」

きゅっと蛇口を締めると、少佐はこっちを向いた。

「…ミーナに全てを任せる訳にもいかないからな。お前なら、ミーナをしっかりサポートできるだろう」
「少佐、まさか…」

少佐はすっと近付くと、言いかけた私の唇を指で押さえた。

「これは秘密だぞ、バルクホルン」

戸惑いながらも小さく頷くと、少佐はふふ、と笑った。

「では、これは約束だ」
「は…?…ん……!」

聞き返す間もなく、私と少佐の唇が重なった。

な…なんだ、少佐は何を…

「!ん、っ…」

混乱している私を尻目に、少佐は私の口内へと舌を割り込ませてきた。

「ふ…は、しょ…ぅさ…あん…」

頭をきゅっと抱き寄せられ、逃げ場を無くした私は少佐のされるがままだ。

「…ふぁっ…」
「ふふっ…可愛いな、バルクホルン」

少し顔を離した少佐は、悪戯っぽく笑った。
普段はあまり見せない表情だ。なんだか、頭がくらっとした。


277 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:54:48 ID:fTQi7WMv
「そんなに蕩けた表情をして…バルクホルンは誘い上手だな」
「ぇ…?」

少佐はぼんやりしたままの私をひょいと抱き上げ、湯船から上がらせた。
そのまま少佐の膝の上に下ろされる。

「悪いようにはしない。力を抜いていろ」

私の手を自分の肩に掴まらせると、少佐は背中に手を伸ばしてきた。

「っ…あぁ…!」

つぅ、と背中を指が滑る。
ちょうど腰の延長線辺りを何度もなぞられ、びくびくと震えた。

「ひゃ、ぁ…んん…!」

天井に声が響き、慌てて口を押さえる。
すると、少佐は空いている手で胸を掴んできた。

「大丈夫だ、誰も起きてこない。だから聞かせろ」
「んっ、で、も…うぅッ…」

駄目だ、背中と胸は…どうしても声が出てしまう…

「ぁ…ふ…くぅん…」

少佐の指は、私の弱い所を的確に攻めてくる。
触られてもいない下半身が、じんわりと熱を持ってきたのがわかった。

「濡れてるな、バルクホルン」
「ぅあッ…!」

少佐にも気付かれたようで、太股でくい、と脚の間を押された。

「案外、慣れていたりしてな」
「そ、そんな事…あぁっ!」

抗議しようとした声が、胸の突起を摘まれた衝撃で裏返った。

278 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:56:16 ID:fTQi7WMv
「あまり長引くと、逆上せてしまうからな」

少佐はそう言うと、私を触る指に少し力を込めた。

「あうっ…!ぁ、んん…!」
「ふふ、気持ちいいか?」

体を支えきれず少佐にしがみつくと、甘い香りが鼻をくすぐった。
その香りに、またもくらくらとする。

「ぁ、あ…しょうさぁ…」

無意識のうちに、私は少佐の引き締まった脚に局部を擦り付けていた。

「いやらしいな、バルクホルン」
「はうっ…!」

耳元で囁かれ、そのまま耳の縁を舐められて、私はもう限界だった。

「も…だめ、あ…んっ…」
「ふふ、いいぞ」
「ぁ…ああぁっ…!」

ぐっ、と腰の辺りを押され、体が大きく痙攣した…


「は…ん……」
「大丈夫か?」

力が抜けぐったりした私の背中を、少佐は優しく擦ってくれた。

「はっはっは…バルクホルンがこんなに乱れるとは知らなかったな」
「しょ…少佐、この事は…」
「わかっている、誰にも言わないさ」

シャワーで体を流し、私たちは浴場を出た。

「お互い秘密が出来たな、バルクホルン」
「え…?」

…そうか、少佐は秘密だと…その約束だと言っていた。

「少佐、先ほどの話は…」
「秘密、だぞ。そう言ったはずだ」

少佐はさっと服を羽織り、「おやすみ」と微笑んで出ていった。

「……」

何故か少し小さく見えた背中を見送り、私はぎゅっと胸を押さえた。

胸が熱く、どこか震えるくらい冷たかった。


……やはり、今夜は眠れそうにない。


279 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/10(月) 23:58:07 ID:fTQi7WMv
おしまいです。全被撃墜まであと4人w
このあとつなげられればペリーヌ×トゥルーデにつなごうかと思います。
お目汚し失礼しました〜

280 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 00:09:45 ID:AIp4RcfW
>>233
なんという公明のサニャwww
GJです!

281 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 00:13:47 ID:Is6hiqKZ
保管庫管理人さん素晴らしすぎだろ!とにかくGJ、んでこれからも頑張ってください

>>271
GJ!こういう、素朴だけど愛にあふれたイイ話って好きだ。

>>279
実は待ってました。しかしなんだこのトゥルーデの受けうけしさは!
ペリトゥル…予想がつかんが期待してるw

282 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 01:10:53 ID:gVf56jmq
>>236
保管庫の管理人さんからレスが!
ありがとうございます!
シャーリーver、がんばって書けたら書きます。

崩壊サーニャ、エイラのへたれ返上かそれとも
へたれのままなのか楽しみです。

>>268
これはいい芳リネ(+えいらーにゃ)。GJ!

283 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/11(火) 02:18:51 ID:UYrdgfoU
何でこんなベタ褒めされてるのかわからないけど期待に添えるよう頑張るよ!
保管庫エディタは今週中にはリリースできる……かな?

で、そんなことを言いつつ通勤中に書き溜めたストックがまだまだあるので
好評につき投下を続けようと思います。
サーニャ×エイラでシナリオノベル

サーニャさん崩壊シリーズ「Я Любовь Пушистый(ふわふわが好き)」

284 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/11(火) 02:19:50 ID:UYrdgfoU
某月某日、エイラの部屋にて──

「ねえ、エイラ」
「うん?」
「エイラはどんな服が好き?」
「どんなって……うーん、そういえば最近は制服とパーカーくらいしか着てないなあ」
「違うの。わたしにどんな服を着て欲しいか、って訊いてるの。」
「へっ?」
「芳佳さんがね、扶桑では変わった衣装を着せ替え合って楽しむ遊びがあるって教えてくれたの。それで……。」
「(アイツはまた余計なコトを……!!)」
「わたし、エイラの為ならどんな格好だってできるよ?」
「そんなコトしなくても、サーニャは今のままで、その、……」
「?」
「今のままでも可愛いに決まってんだろ!何言わせんだよ、モー……」

「……。」
「なっ……何で拗ねた顔するんだよ、サーニャ」
「わたしはエイラと着せ替えっこしたかったのに……。」
「あ、いやその」
「わたしはいつもエイラに見て欲しくて一生懸命お洒落してるのに、
 エイラは全然見ててくれてなかったんだ……!!
 わたしが何着てても関係ないんだ……!!」
「そっ、そんなつもりじゃ……」
「わたしのコト見てくれないエイラなんていらないっ!!」
「ヤメロー!!その銃をしまうんだサーニャァァァ!!!!」

285 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/11(火) 02:21:10 ID:UYrdgfoU
「じゃあ、はいこれ。」
「はい……って、これサーニャの制服……」
「着て?」
「きききっき、着るのか!」
「わたしのズボン勝手に着たエイラなら大丈夫だよね?」
「あれはもう謝ったじゃないかー。ていうかその、今ここで着るのか?」
「着て?」
「でも──」
「着てよ!着なさいよ!わたしの言うことが聞けないの!?」
「ひぃっ!?」
「それともわたしに脱がせて欲しいの……?」
「着る!!着ます!!今着ますからそんな顔で迫ってくんなー!!」

「ふふっ、エイラ可愛い……」
「あんまジロジロ見たら恥ずかしいだろー。」

「ふう……これでいいか?」
「…………。」
「サーニャ?」
「……(ブーッ)」
「ワァ──!?サーニャ、鼻血、鼻血!!」
「あっ、ごめん。つい興奮しちゃって……」
「コーフンし過ぎて鼻血が出るなんて聞いたコトないって!!」
「わたしは大丈夫……それより、お願いがあるの。」
「な、何だ?」
「魔力、解放して?」
「え?」
「耳としっぽ……」
「ああ、うん。別にいいけど……んっ……」

シュルッ

「これでいいか……って、サーニャ、また鼻血!!」
「わたし……生きてて良かったよ……ぁ……(ドサッ)」
「サーニャ、おい、サーニャァァァ!!」




286 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/11(火) 02:22:17 ID:UYrdgfoU
以上です。お気づきかと思いますがミーナさん崩壊シリーズ「私は貴女になりたい」のリメイクです。
ミーナさんが自分で着る派ならサーニャさんはエイラに着せる派!
サーニャは自分で何かするよりエイラに何かさせるほうが好きなんじゃないかと思った。

あと>>271>>279GJ!!どちらも大いにニヤニヤさせていただきました。

287 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 02:31:28 ID:ASbM1DLi
鼻血サーニャとは新鮮だがむしろいい!
サーニャはある意味エイラ以上に相手のことが好きだと思うんだ

288 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 03:18:53 ID:LRxu+0Us
エイラより想いが強いサーニャは大好物です
エイラにベッタリくっついて離れないくらいなサーニャなんてもう俺が鼻血噴き出すくらい

289 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 03:55:32 ID:2e7dyf9t
>>286
ふと、この話エイラとサーニャ逆転させて
口調変えれば、そのまま普通のエイラーニャじゃね?
って思ってしまった…

290 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 04:00:47 ID:i3BDlla3
キャラの書き分けが出来てなくて愛がないというクレームがつきました。

291 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 04:22:05 ID:2e7dyf9t
>>290
いやそうは言ってない
ただ、鼻血サーニャがいまいちピンとこなくて
代わりにエイラの制服着たサーニャを見て、
エイラが鼻血噴き出すシーンが頭から離れないもんだから
言ってみただけなんだが…

292 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 05:18:09 ID:dR8j5WM0
でもエイラは、サーニャに銃を向けることはおろか(逆は普通にアリ)
「わたしはサーニャと着せ替えっこしたかったんダけどナ……」なんて口が裂けても言えないと思うんだ。
心のなかで思ってても。

あと揚げ足とってきついこと言うのやめような。
またSS投下すんぞコノヤロー。

293 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 05:27:19 ID:4gEY8O9F
おそらく昨日のふたなりどうのこうのの話題のときに煽り立ててた奴だろう
気にせずスルーの方向で

294 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 06:27:08 ID:OqNjcpcs
エイラ「な、なあサーニャ」
サーニャ「何?エイラ」
エイラ「サーニャはいつもその黒い服だよな?」
サーニャ「うん、お気に入り」
エイラ「たっ、たまにはそのー、あのー、えぇっと…」
サーニャ「?」
エイラ「ふっ、服、こ、交換してみたりなんかしちゃったり…しないか!?」
サーニャ「(胸の部分が余る的な意味で)いい」
エイラ「…そ、そうだよな!何言ってんダロ私!ハハハ…」
サーニャ「…エイラ、いいよ」

そういうとサーニャは服をするりと(

サーニャ「エイラ、どう?」
エイラ「すすすごく似合ってるナ!」
サーニャ「ありがとう。エイラも似合ってるよ」
エイラ「えー?そうかー?」
サーニャ「うん、かわいい。エイラは、エイラが思ってるより、ずっとかわいいよ…(ギュッ)」
エイラ「ササ、サ、サーニャさん!?サ…あっ…」
サーニャ「エイラ、鼻血…あれ?エイラ?エイラーッ!」

295 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 06:32:03 ID:e+cluNsf
年長組(もっさん。ミーナ、シャリ)の慰み者なバルクホルンがかわいいんだナ。


296 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 06:41:41 ID:OqNjcpcs
適当に逆転させたらいつも通りダナ本当に(

やっつけですまない
エイラが「胸がちょっとキツいカナ」でサーニャがヤンデレでも良かったカナ
…とか、が多いナ
まぁ勘弁して下さい

297 名前:zet4j65z:2008/11/11(火) 11:15:36 ID:rk02l69E
みんなの心のミーナ隊長であらせられるに保管庫管理人様に感謝しつつ投下します。

病んでる、というか変態リーネの続きとなります。
おしっこの苦手な人はスルーでお願いします。

ブリタニア1944 format by LYNETTE SPLASH DOWN
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/ss/fblynette.html

っていうか、管理人さん先行して保管庫に置いてくれるなんてホントありがとうございます〜

298 名前:DlYSXlr+:2008/11/11(火) 13:51:24 ID:7JnMF8cq
このスレは勇者が多すぎるwww。
鼻血とか排泄物とかどんどん新ジャンルが開拓されていくなw。
流れに乗って、自分も初めてゲルトお姉ちゃん(ミートゥル)の小ネタを投下していきます。
2レス分しかなくて、短くてすいません。

299 名前:お姉ちゃんの妹日記:2008/11/11(火) 13:52:13 ID:7JnMF8cq
○月×日
今日はリベリアンのヤツが、故郷から届いたスナック菓子を振舞っていた。
私も一つ貰ったが、甘ったるくて食えたものではなかった。
残ったものをルッキーニに分けてやったら、凄く嬉しそうに食べてくれて、とても可愛かった。
アイツはどうやら、甘いお菓子が大好きなようだ。
今度、カールスラントのトルテをご馳走してやろう、と言ったら目を輝かせて喜んでいた。
あの顔で「ありがとう、おねえちゃん」と言ってくれるのなら、菓子代など安いものだ。

○月×日
訓練後にエーリカと久しぶりに長く話をした。
クリスの話をすると、エーリカも双子の妹のウルスラについて色々と私に話してくれた。
双子とは言っても、ウルスラはエーリカと全く正反対の性格で、とても無口で恥ずかしがり屋らしい。
そのせいか、姉妹仲もどこかぎこちなく、エーリカもウルスラとの関係に少し悩んでいるということだった。
もし、2人一緒に私の妹になる事になったら、分け隔てなく可愛がってやろうと思う。
そうすればきっと、3人で仲良く楽しく幸せに暮らしていけるはずだ。

○月×日 
今朝の朝食でリーネが焼いてくれたスコーンはとても美味しかった。
私がその事を褒めると、リーネは少しだけ恥ずかしそうに喜んでくれた。
リーネはとても家庭的でクリスとは正反対な性格だ。
きっと毎朝、美味しい料理を作ってくれることだろう。
それから、あの可愛らしい控えめな声で「おねえちゃん、朝だよ。起きて」と私を起こしに来てくれるのだ。
そして、もしも私が寝ぼけてリーネの胸に触れるような事があれば・・・。
「・・・おねえちゃんのえっち」と可愛らしく叱ってくれるに違いない。
果たしてその時、私は理性を保っていられるのだろうか?

○月×日
今日もペリーヌが宮藤と喧嘩をしていた。
理由もいつもと同じく、少佐と仲の良いペリーヌが宮藤に嫉妬したのが原因らしい。
しかし私は、本当のペリーヌはとても優しくて寂しがり屋であるということをよく知っている。
あの性格も不器用な彼女の寂しさの裏返しなのだろう。
戦争が終わったら私は、身寄りの無いペリーヌを妹として暖かく迎えてあげようと思っている。
戸惑いながら姉である私の胸に飛び込んでくる彼女の姿を想像するだけで、私はご飯を三杯は食べる事が出来る。

○月×日
早朝訓練をしようと早起きをすると、夜間任務から帰還したサーニャがサロンで寝ていた。
人形のような、天使のようなとても可愛らしい寝顔。
おかげで、"早起きは三文の得"とはこういう事なのかと実感する事が出来た。
そのまま、自分の部屋にお持ち帰りしようと思ったが、ミーナにばれると色々とまずいので、サーニャの部屋まで運んでやった。
途中、エイラとすれ違った時、凄い形相で彼女は私を睨み付けてきた。
「サーニャをそんな目でミンナ」と言っているようだった。
まったく、失敬なヤツだ。
大体、そんな目とはどんな目なのだ?
私は姉として、可愛い妹であるサーニャの事を優しく見守っているだけだ。
別に、ちょっと触れてみたいとか、ちょっと悪戯してみたいだとか、そんな邪な事は一切考えていない。
私はストイックなカールスラント軍人なのだ。

○月×日
今日、宮藤が今度の休暇の時に、カールスラントの事について色々と教えて欲しいと言ってきた。
折角、異国の地に来たのだから、様々な国の食文化、芸術、歴史などの風俗に触れて、知識と教養を身に付けたいらしい。
思えば、クリスも好奇心に目を輝かせながら、私に色んな事を質問してきたものだ。
こんなところまで似ているなんて・・・やはり、宮藤は私の妹になるべきだ。
さて、宮藤にはどんな授業をしてあげようか。
姉と妹、そして先生と生徒の禁断の関係・・・。
想像するだけでムラムラしてきて、夜も眠れないじゃないか。
うふふふ、今度の休暇が楽しみだ。

300 名前:お姉ちゃんの妹日記:2008/11/11(火) 13:53:00 ID:7JnMF8cq
「・・・さて、ゲルトルート・バルクホルン大尉。これはどういうことなのか説明して頂けますね?」
「ま、まってくれミーナ、これは・・・」
「確かに私は、"私達は家族"だとあなたに言ったわ。だけれど、"年下の隊員はあなたの妹"とまで言った覚えはないわ」
「ち、ちがうんだ・・・」
「しかも、その妹達のことをこんな汚らわしい眼で見ているなんて・・・あなたは最低ね」
「ご、誤解だ!誤解なんだ!」
「誤解? 何が誤解なのかしら?」
「いや、その・・・そ、そうだ。これはフィクションなんだ」
「フィクション?」
「じ、実は今度、カールスラントの文学懸賞コンクールに応募しようと思っていて。これはそのプロットなんだ」
「プロット、ね」
「そ、そうさ。妹に恋をした姉の心情を赤裸々に描いた私小説風の作品にしようかなと・・・」
「ふーん・・・」
「・・・・・・」
「それなら、これを部隊の皆に見てもらって、添削してもらいましょう」
「!?!?!? ま、まってくれ! それだけは・・・」
「あら、どうして? 文学作品というのは人に読んでもらえなければ意味が無いでしょう?」
「し、しかし・・・」
「それにこれは"フィクション"なのだから、恥ずかしがることなんてないわ」
「いや・・・しかし・・・その」
「・・・トゥルーデ、どうやら、あなたには"教育的指導"が足りないみたいね」
「あ、あれだけは勘弁してくれ、ミーナ!」
「ミーナ"おねえさま"でしょう?」
「ミ、ミーナおねえさま・・・」
「ふふふ。怖がることなんてないわ。特別に優しくしてあげるから・・・」
「や、やめてくれ!」
「"おねえちゃん"って呼ばれるよりも"おねえさま"って呼ぶ方が素晴らしいことをトゥルーデに教えてあげるわね・・・うふふふ」


301 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 13:53:59 ID:7JnMF8cq
おしまい。
あっ、ゲルトさんの中の人、結婚おめでとうございます。

302 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 15:42:05 ID:Is6hiqKZ
>>301
なんというか、その、…Niceお姉ちゃん.
そしてさすがミーナおねえさまwwGJ!

303 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 16:05:55 ID:WPcPv7nb
GJです。ああ…やっぱりミーナに折檻されてこそのトゥルーデ!(ヒドイ

304 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 16:16:16 ID:2e7dyf9t
>>296
まさか俺の妄想を具現化してくれるなんて思わなかった
まさにこんな感じだ、ありがとう

305 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 18:25:13 ID:aoUm/BDA
GJ
やっぱりミーナさんに逆らえないトゥルーデが最高だw

306 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 18:42:19 ID:Zk6x+npg
コナン…エイラ
ラナ…サーニャ
ジムシー…ルッキーニ
で妄想してみた。
結構しっくりきた。
「軽いなぁサーニャは。羽みたいだ!」だっけか。

307 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 19:39:41 ID:03ay8zaS
コナン…トム
ラナ…ベッキー
ジムシー…ハック
で妄想してみた。
結構しっくりきた。
「軽いなぁベッキーは。羽みたいだ!」だっけか。

308 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 22:50:43 ID:l4c9NYUh
俺キャラ×ウィッチみたいなSSを見てしまった・・・この俺を慰めて
物理的に(SS的な意味で)

309 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/11(火) 23:01:24 ID:p/6iKUpe
>>308
同情するよ。しかし慰めはしない

要するに、その負の力を糧に自給自足する作業に移るんだ!

310 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 00:18:54 ID:uQngcckC
年下好きを公言してはばからないゲルトおねえちゃんなんだけど
実際の性生活ではミーナ、もっさん、シャーリーに弄ばれちゃう現実

311 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 00:22:16 ID:dxIDkXh6
エイラとサーニャが小さな丸いテーブルを挟んで座ってて、エイラがアポロ?(名前合ってるか分からないけど三角形のチョコレートのやつ)を箱からテーブルの上にバラバラって出して、サーニャと二人で並べてるって夢を見た!
てか初めてスト魔女のキャラを夢に見たわ

312 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 00:34:25 ID:fke4ulB9
二人でチョコを摘みながら雑談して、最後にチョコが一個だけ余って、
「お腹が一杯になったから、サーニャにアゲル」といって、エイラがチョコを譲ってあげるんだな。
そんでチョコを食べた後に、「おっそわけ」と言いながら、サーニャが甘いキスをすると・・・。

313 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 00:46:12 ID:2Xr87xvH
>>311
純粋ないい夢だな
俺は心が汚れてるから夢にエイラーニャが出てこないのだろうか…

314 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 00:47:58 ID:uQngcckC
サーニャ関西人みたいだなw

315 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 01:05:18 ID:c0TwCP0X
t26gFAxTです。
えー……、
前回ぺリ本(ぺりもっさん?)投下したときに書き忘れましたが、(すみません…)
学園ウィッチーズ14話へのレスありがとうございました。
いただいたレスを額面どおり受け取ると、いらん子の販促になったようでちょっと嬉しいw
そしてそして、「その気高き青」にもレスいただきありがとうございます。
今後も本スレでレスを交わしていくうちに、ぽんと頭に降ってきたネタは、ちょいちょい書き残してなるべく具現化できるよう頑張ります。
それでは、今日は、学園ウィッチーズシリーズ投下させていただきます。

316 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第15話 よくばり:2008/11/12(水) 01:06:47 ID:c0TwCP0X
 サーニャは瓦礫の合間から差し込む光で目を覚ます。
 破れた服の隙間から白い肌と、その肌をくすませる血が覗く。
 瓦礫に挟まれたストライカーを脱ぎ、なんとか瓦礫から這い出したが、そこには街を形作っていた残骸以外は見当たらない。
 頭にできた小さな傷から流れる血が濡らした銀髪が顔に貼り付く。
 眼下に広がる自分が住んでいた街――があったであろう地点にたどり着き、彼女は焼けたグランドピアノを見つけた。
 父は、母は、無事だろうか。
 そして、共に闘っていた仲間達は――
 空を見上げる。
 青い空。
 そこには敵はいなかったが、仲間であるウィッチ達も、いない。

 サーニャは、自分の涙で濡れた枕に気づいて、目を覚まし、涙を拭った。

 朝もやの中、寮の中庭で、坂本は、真剣を振るい、体に適度な熱さを残していく。
 しばらくして手を休め、考え込み、また、剣を振るい始める。

 ペリーヌは、目を覚ますと、さっそくメガネをかけ、窓の外の中庭に目を向け、鍛錬中の坂本を見つけると、頬を緩めた。
 彼女は、すっくと立ち上がると、すぐに服を着替え、髪を整え、部屋を出て行く。

 手が止まり、次の動作に移れなくなっている坂本の背後から、声がかけられた。
「剣先に迷いが生じているわよ、美緒」
「醇子か……」
 と、坂本はつぶやいて、止まっていた手を大きく握っていた刀とともに振り上げ、刀を鞘に収め、振り返る。
 醇子はすでに据えつけられたベンチに座り、上品な微笑を差し向ける。
 坂本は、その微笑に吸い込まれるように、静かに隣に座った。
 鳥のさえずりもまばらな、早朝の中庭。
 二人の扶桑の魔女は、姿勢正しく、背筋を伸ばし、その静穏の中に身を預ける。
 坂本が、自身の膝に置いていた手を、静かに握り締めた。
「この間、ハッキネン主任教官にいただいた話、受けようと思う」
「そう。じゃあ、これからは特別教官と生徒という間柄ではなくて同僚ね」
 にっこと微笑む醇子を見、坂本は、わずかに腰を浮かせかけるが、視界で何かが動いた気がして、すとんと座りなおした。
「ああ、そうだ。これからは、同僚だ」

 建物の陰から、坂本と醇子の姿を眺めていたペリーヌは、踏み出そうとしているローファーのつま先をどことなく恨めしく見つめ、きつく目をつぶると、踵を返して寮へ戻っていく。

 目が覚めたエイラは、ベッドの上で、白い腕を天井に向け、うんと伸ばす。
 先日怪我をしたゲルトルートも順調に回復しているし、サーニャとも、毎日が平板でありながらもささやかな幸せを感じて共に過ごしている。今日は何をしようか、話そうか。
 ベッドに体育座りをして口元を緩ませた瞬間、がちゃっとドアが開いて、エイラはびくんと肩を揺らし、身構える。
「ぺ、ペリーヌ……、なんだよ?」
 エイラの声に、ペリーヌははっと顔を上げて、見回し、ようやく部屋を間違えたことに気がついたといった面持ちであるが、気が抜けたような顔で、珍しくあっさりとごめんなさいと言うものだから、エイラはとんと床に足をついて、歩み寄り、ペリーヌを覗き込む。
「坂本先輩がらみか……?」
 エイラは珍しく真剣な顔つきで言うものだから、ペリーヌの瞳が動揺に揺れ、見つめるエイラの瞳から逃れるように顔を横に向ける。
「どんぴしゃか…」
 と、エイラは、頭をかき、ついこの間届いた椅子の後ろに回りこみ、嫌味にならない程度の口調で言う。
「話ぐらいなら聞いてやるよ」

317 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第15話 よくばり:2008/11/12(水) 01:08:14 ID:c0TwCP0X
 教官宿舎の大広間に、コーヒーカップを片手に、ビューリングはかったるそうに現れる。
 ふとソファを見ると、ブランケットがこんもりと山を作っている。
 テーブルにはおびただしい資料の山。
 ビューリングは、テーブルにカップを置いて、膝をつき、ブランケットを静かに引き上げる。
 中には、メガネをつけたまま丸くなったウルスラがすうすうと寝息を立てていた。
 ビューリングは、ふっと、笑みをこぼすが、

 ――手、出すなよ
 ――保証はできないな
 
 この間のエーリカとのやりとりを思い出し、自戒するように、つぶやいた。
「くだらない。生徒の挑発に乗るなんて……。色恋なぞ…」
 大広間に向けてずんずんという足音が聞こえ、ビューリングはブランケットを戻し、コーヒーカップを持って立ち上がる。
「ビューリング、グッモーニーン!」
 と、オヘアがあくびをしながら、やって来て、ウルスラのいるソファの前で膝に手を当てて、腰を折り、ため息をついた。
「ウルスラ、結局ここで一晩明かしたねー」
「最近、やたらと没頭しているな……。どこかの研究所に頼まれごとでもされたのか?」
「それはないと思うけど、ウルスラが相談なんてありえないから、わかんないねー」
 オヘアは肩をすくめて、大げさに首を振った。
 ビューリングは盛り上がったブランケットをちらりと見て、コーヒーをすする。

 エイラは、ベッドに胡坐をかき、椅子に座るペリーヌを眺める。
「で、何があったんだよ?」
「……別に、どうということはありませんわ。坂本先輩が朝の稽古をしていらしたから、お話でもしよう思ったら…」
「先客が?」
 ペリーヌは、こくりと、うなづいた。
「お隣の寮の竹井教官と並んでベンチに座っておりましたわ」
「……そんだけ?」
 拍子抜けしている様子のエイラに、ペリーヌは頬を熱くし、立ち上がって部屋を出ようとドアノブに手をかける。
「ま、待てよ…」
「……あなたに怒ったわけではございませんわ。ただ、こんなに些細なことでいちいち落ち込む自分が情けないだけです」
 と、ペリーヌは珍しく、そして自分でも驚くほどに本心を吐き出す。
 エイラは、振り返る彼女を見て、指で頬をかいた。
「うーん、確かに些細は些細なんだろうけど、けど、そんだけ好きなんだって事の証じゃん。そういうの大事なんじゃ……ナイカ?」
 不器用そうにしながらも、言葉を選び、空色の瞳で見つめ返すエイラ。
 ペリーヌはエイラの言葉に一応の納得を示したのか、ドアノブから手を離して、しおらしく、ドアに背をもたれた。
 エイラは、白い歯を見せてにかっと笑い、立ち上がると、服を引っつかんで着替え始めた。
「ああ、腹減った〜飯飯〜」

318 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第15話 よくばり:2008/11/12(水) 01:09:14 ID:c0TwCP0X
 ゲルトルートは、病室で目を覚まし、体を起こす。
 頭の傷は浅く、包帯は数日で取れたが、腫れた目は眼帯で覆っているので、慣れない視界に戸惑いながら、首を回して、窓から見える風景を眺める。
 開くドアの音に反対側を向いて、目を見張る。
「ミーナ? こんなに朝早くから…」
 ミーナは、目を細め、朝食を用意し、ベッドの脇に座った。
「肩の調子はどう?」
「魔力のおかげか、かなり回復してきている。医者も、早ければ来週には退院できると言っているよ」
「じゃあ、それまでは極力通うわ」
「し、しかし、それでは学業がおそろかに。カールスラント軍人たるもの…」
「今は学生でしょ? 学業も大事だけど、戦時中は青春を過ごしたくても過ごせなかったんだから、ね?」
 と、ミーナは、パンをちぎり、ゲルトルートを見つめ返した。
 この状況と青春がどう結びつく?
 ゲルトルートは、そう思いながらも、つい、つばを飲み込んでしまい、言葉が出なくなり、仕方なく、うなづいた。
「はい」と、ミーナは小さくちぎったパンをゲルトルートの口元に近づける。
「はぁ……、え? ひ、一人で食べられるんだが…」
 ゲルトルートは顔を真っ赤にして、後ずさる。
 ミーナの眉が寂しさを表すように下がった。
 ゲルトルートは、その表情に、雨の日の約束を思い出したのか、恥ずかしそうにしながらも、差し出されたパンを、口に含んだ。

 501号の食堂に、人が集まり始め、ほぼ全員が席について食事を始めた。
 辺りを見回す芳佳に、リーネが首をかしげた。
「どうしたの?」
「ミーナさん、来ないね」
「ああ、ミーナなら病院だ」と、坂本が噛んでいたものを茶で流し込む。
「え? どこか、悪いんですか?」
「にゃはは、何言ってんだよ宮藤ぃ。トゥルーデの見舞いだよ」と、エーリカがからからと笑う。
「ラブラブだな」
 エイラはカップから口を離してにやりと笑った。
 自然、一同もつられて笑い出す。
 一人を除いて。
 笑っていたルッキーニは、ちらりとシャーリーを見て、どこかうつろな瞳の彼女の肩を揺らした。
「シャーリー、具合悪いの?」
 シャーリーは、慌てて、笑顔を作り上げた。
「ははは。そんなんじゃないよ、寝不足だって」
 

第15話 終わり


319 名前:ドロップ裏・前編1/4 j4ntaz3y:2008/11/12(水) 02:38:58 ID:Hv1RNH6g
>>318
多くの場面を盛り込んでいるのにまったく混乱なく仕上がっているところがすげえなあといつも感心しながら
読ませていただいてます。あとウルスラとビューリングのあれこれがwktkすぎる
つかシャーリー→ゲルトとかなんという私ホイホイ

そういえばちょっとまえピクシブにロリコンビの絵があがってて狂喜乱舞しました。なにあのかわいいひとたち
絵師の神々はもっとシャーゲル描くべき、いや描いてください

というわけで>>70のつづき投下します。むらむらの中身を要求された気がしたので……と言いつつ最初から書く気満々だったえろです
書いてたらながくなったので前後編にわけます。そろそろしつこいのでこのシリーズっぽいやつはそれでおわりのつもりですが予定は未定です


「あ、あのさあ」

 おやすみを言って数分。私はすっかり目をとじて眠りにおちる準備は万端だった。なのにシャーロットが、にぎった
手をくいとひくのだ。気だるく瞼をもちあげると、くらいなかに、すねた顔を見つける。

「……なんだよ」
「そんなあっさりねないでよ、なんか、こう……だってさあ」

 あたしばっかり、ねつけないわけ? おもしろくなさそうな声。それがひびくと同時に、へそのあたりになにかがはう。
思わず息をのんで、それがシャーロットの指先だと認識すると、反射的に額をてのひらではたいていた。

「いたい、ばか」
「うるさい、へんなことするな」
「へんなことじゃない」

 シャーロットがすこしひくい声をだす。ぎくりとした、本気の声。背筋が粟立つ。じつのところを言ってしまうと、眠り
におちる準備ができてるなんて大嘘だった。私だって、ねつけそうにない。冗談で、からかうつもりではだか同士で
ベッドにもぐったけれど、じかにつたわる体温が、こんなに私のおちつきをさらっていくなんてしらなかった。本当は、
シャーロットがこんなちょっかいをだしてくれたことにほっとしていたくらい。だって、自分からなんていけそうにない
んだ、私はいつからこんな根性なしになったのだろう。ため息のでるような思考におちていると、また指が私の腹を
なでていく。ちくしょう、このばか。声にださずに悪態をついて、その二の腕をつかんでぐっとシーツにおしつけて、
自分はからだをうかせてのしかかる。

「あら、めずらし……」

 へらず口が言いおわるまえに唇をふさぐ。一瞬だけふれてすぐにはなれると、もうやつは口をひらかない。見おろして
見かえされ、今度こそもっとふかくした。自然に自由なほうの腕が首にまわされそうになったけれど、それを阻止すべく
そちらの二の腕もつかんでそのままシーツにぬいつける。シャーロットは意外そうにまばたきをして、なに、とつぶやく
が無視して何度も唇にキスをおとした。目下の人物はしばらくはその拘束をとこうと戯れ程度の抵抗をしていて、
だけどすぐにあきらめて私からの接触を甘受する。

「なんだ、あんたもしたかったんだ」
「うるさい」
「ん…ねえ、キスすきだね」

 唇だけじゃあきたらなくて、ほほにもまぶたにもすべらせて、するとおかしそうな声がする。意識したことなんて
なかったけど、まるで図星をさされた気分になって顔をはなすとシャーロットがふふと笑う。

320 名前:ドロップ裏・前編2/4 j4ntaz3y:2008/11/12(水) 02:39:53 ID:Hv1RNH6g
「なんだよ、はずかしがらないでよ。あたしもすき」

 催促するように、シャーロットのてのひらが私の腕にからまる。両の二の腕をおさえられているから制限つきの
動きだったのに、いちいちこいつのさわりかたはくすぐったくて、だけどはらうこともできない。結局私は、やつの
思うとおりに動くしかないのだ。

「……おまえはおしゃべりがすぎるな」
「じゃあ、だまらせればいいよ」

 どうやったらこいつの意表をつけるのだろう、もう数えきれないくらいにふれたやわらかな唇に、私はまた口づける。
感触をたのしむためにやわく歯をたてて、するとシャーロットのてのひらがすこしふるえる。それについ心臓がなって、
ゆっくりと舌をいれた。なかはびっくりするほどあつくて、ぐらぐらと頭の芯がゆれるかと思うほど。私がどうにか舌に
舌をはわせると、それも私の動きにあわせてからみついてくる。何度してもなれない、多分一生だ、いつだってこの
行為は私を昂らせた。

「ん、ふ、……ん」

 自然と声がもれて、お互いてのひらに力がこもる。今度こそ本気でじれたシャーロットが拘束をほどこうとしたけれど、
私も必死にそれをふせぐ。なにを意地になってるんだろうと思うのにやめられなくて、私は多分、きょうはそんな気分
なのだ。そろそろ息苦しくなってきたころ、シャーロットがさきにすこしだけ首をふる。もう解放しろの合図。思わず顔を
はなすけど、名残惜しくてつい音をたててはなれてしまった。

「あ…も、あんた、しつこい……」

 わずかにはやい息をつきながら、シャーロットが勘弁してよと目をとじた。自分だってあらい息をして、それでも肩を
すくめてみせる。

「だらしないな」
「うっさいな、言っとくけどね、あんたのキスはしつこすぎる。どんだけあたしの口がすきなわけ」

 口だって。べつにそこが個別ですきなわけじゃない。不服に思ったがそれを口にだすこともできないで、私はつぎに
首筋に顔をうずめる。あとをつけてしまおうか、と思いついてすぐに実行した。あまく歯をたててからすいあげる。ん、と
シャーロットが鼻にかかる声をあげ、すぐにいたいと唇をとがらせた。

「あと、のこった?」
「のこした」
「もう、なにやってんだよ……」

 よくそんな文句が言えたものだ。私だってまえにからだじゅうにつけられたことがある。そのときは全然しらなくて、つぎ
の日風呂場にいくまえに気づけてよかったといまでも思う。上手に衣服にかくれるところだけで濃く色づいたそれらは、
幾度と私にそのときを思いださせた。しかも首筋につけられたひとつは襟にかくれるかかくれないかの位置で、絶対に
こいつはわざとやったんだ。だれかに見つけられやしないかと気が気じゃなかった私を、あのときシャーロットは性格の
わるそうな笑顔でながめていた。

「じゃあ、あたしもつける。いっぱい」
「だめだ」
「なんで」
「……きょうはちょっと、おとなしくしてろ」

 言いつけると同時に、シャーロットのおおきなふくらみに手をかける。するとやつの腕も解放されて、咄嗟にそれは私の
手首をつかんだ。でもそれよりさきに、指先が真ん中の突起にふれる、途端にシャーロットは表情をかえて、手首にふれる
てのひらも、つかむというよりはすがるようにくっついている。両手をかたほうずつにはわせて、丁寧にマッサージした。
そのたびにすぐそばの表情はゆがんでいき、色をおびていく。きれいだと思った。こんなきれいなものがあるなんて、いま
までしらなかったと、本気で思ってしまうほどに。

321 名前:ドロップ裏・前編3/4 j4ntaz3y:2008/11/12(水) 02:40:41 ID:Hv1RNH6g
「んっ、あ、は、…ねえ、んっ、きょうは、せっきょくてき、じゃない」

 あまい息をおりまぜて、シャーロットがからかう口調をつくる。いつのまにかその両手は私のほほにそえられて、でも
それだけ。シャーロットは、言いつけどおりにおとなしく私にもてあそばれている。いつもそうだ、どんなに私がめちゃくちゃ
にしてやろうと思っても、こいつはこんなふうにうえから見おろしてどこかに余裕をかくしてるんだ。ごくとつばをのんで、
いつのまにかさっきよりあかくなったそれを口にふくむ。あ、とみじかく、きょうのうちでいちばん高い声がなる。

「あ、あっ。きゅうに」
「かたくなってる……」
「言わなくて、い、から…っあ」

 しゃぶりつく私の頭を、シャーロットが両手でつつむ。そして必死に刺激して、そのたびにゆっくりと、てのひらが私の髪を
なでた。まるで上手だとほめられている気がして、こんなふたつも年下のやつにえらそうにほめられたって癪にさわるだけ
なのに、そのはずなのに私は胸の奥からわいてくるよろこびに動揺した。うれしかった、自分がシャーロットを気持ちよく
できているのが、こんなにうれしい。

「ん…きもちいい?」
「あ、ん、…あ」
「ねえ……」

 こちらがせめているはずなのに、あまえた声がでてしまう。ばかみたいだ、まるで、母親にあまえるこどもみたい。しかも
まだ乳離れもできていないときている。はずかしくて、だけどやっぱり髪をなでる指がそれ以上に心地よかった。きもちいいよ。
さとすようにささやかれて、私はもうだめだった。

「は…っ」

 前ぶれもなく、シャーロットの下腹部までてのひらをすべらせる。さすがのやつも息をのんで、思わずといったふうに私を
だきよせる。唇は片方をふくんだまま、もう片方も指でつまみながら、唐突な動きで侵入させる。

「い…、っあ」

 やさしくする余裕も持てず、乱暴に動かす。シャーロットはむしろそれがいいのか身をよじり、私の頭をかかえる腕に力を
こめる。はじめてのときとまるで逆だ、あのときすがるしかなかった私を、いまはシャーロットが必死にはなすまいとしている。
そう思いついて、すると大事なことも思いだす。ふと口をはなし、だきよせられる顔をなんとかずらしてシャーロットの瞳を見た。

「…っ、おい」
「ん、な、なに」
「私のこと、…どう思ってるか言え」
「は、あん、な、にきゅうに」

 だって、さっき自分で言ってただろう。あんなタイミングじゃなきゃ言えないんだろ、だったら、このタイミングは絶妙じゃ
ないか。指をふやして、奥までおしこんでかきまわす。そのたびに耳をふさぎたくなるような音がして、それなのにそれに
聞き惚れる。

322 名前:ドロップ裏・前編4/4 j4ntaz3y:2008/11/12(水) 02:41:41 ID:Hv1RNH6g
「いや、やだ、あっ、そんなの」
「言え、言わないと……、ねえ、いって、いってよ」
「こ、こんなの、ん、あ、あっ、ずる、ずるいっ……」

 シャーロットが、なきそうな声をあげる。ちがう、ないてる。そまりきったほほに、幾筋ものあとがつたう。指はやすめない
まま、反対の手をぬぐうようにはわせた。するとそれにやつのてのひらもかさなって、まるで必死にはなさないようにと、
指のあいだに爪のさきがくいこんでくる。

「あ…シャーロット、シャーロット……」

 キスがしたいのに、そんなことをしてはききたいことばがきけないから我慢して、かわりになまえをよんでほほに何度も
口づけた。ぬれたそれはしょっぱくてあまくて、私を酔わせる効果があるかと思うほどだった。かわいい。うわ言みたいに
ことばがもれる。本当だ、ベッドにはいるまえは全然言えなかったのに、こんなときだったら勝手に、臆面もなくことばが
でてくる。

「かわいい、なくな、なくなよ、なんで…」
「だ、って、そん、なの、そんなのっ」

 首にまわされた片腕が緊張して、声が切羽詰まっていく。高くみじかくのぼりつめて、私だって限界だった。さわられても
いないのに、もういきそうなんだ。いっしょにがいい、いっしょに、いっしょに……。

「あ…す、…すき、あたし、もお、…すき、だいすき……っ」
「……っ」

 ききたかったことば、きっとシャーロットだって、言いたかったことば。完璧な合図だった。私たちはおそらく同時に、
からだをこわばらせて、はてた。


つづく

気づいたらゲルシャーになってた。つぎは多分ゲルトさんがあっさりひっくり返されると思う

323 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 02:50:29 ID:8iUBSZqt
>>322
こんな時間まで起きてて良かった。gj
お姉ちゃんってエイラに負けずへたれているイメージあってそれがいいけど、
責めも悪くないよね。エーリカを責めるお姉ちゃんを書き途中です。

324 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 02:52:12 ID:H2rtpXFJ
>>322
もっぱら撃墜されっぱなしなお姉ちゃんですが
わたしはトゥルーデ攻めも大好きですたまらんのです

武骨で、どこか優しさ未熟さがある。自分の中ではトゥルーデの攻めはそんなイメージがありまして
自分のトゥルーデの攻めと今回の作者様のトゥルーデ攻めのイメージがぴったりって感じでですね、もうドツボですよ

いやホント素晴らしい、ブラボー!ブラボー!

325 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 03:27:38 ID:84udhwjY
>>308
ふ○ばか?
一応あそこは男ありだし俺キャラありだし
その旨書いてあるはずだが?

あそこはあそこで読み応えのあるえいらにゃがあったり
ロリものがあったりするからなぁ。

326 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 06:24:01 ID:DDFngLu1
サーニャ「エイラ…私、女の子同士で恋愛するなんて気持ち悪いと思う」

327 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 07:51:41 ID:UmBYn7FZ
>>326
「ふーん…でモ」
そういうと、エイラは、
サーニャの黒タイツ越しの股間を弄る…
ニチャ…

「こっちの口は正直なんだナ…」

328 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 07:53:59 ID:uBYuk+mI
↑これはサーニャの罠だな
しかし…最高に甘いですなぁ〜…ゲルシャーク
作者さまはなんか、こうムラムラ表現がうますぎるw

329 名前:kK2NO0Bq:2008/11/12(水) 09:20:41 ID:1Ekh+1ck
>>322
トゥルーデとシャーリー、読めば読むほどハマりますなぁ

宣言したペリトゥルは置いといて今エーゲル書いてるんだけど、エロを投入するかしないか迷ってる


330 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 12:00:21 ID:uBYuk+mI
エロこーい!!
真っ昼間っから来ーい!!

331 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 13:12:39 ID:d9sH+A7u
>>322
このスレのシャーゲル文、特にあなたの文章の影響でロリコンビ絵描いてわりかし前にピクシブにあげましたw
あなたのおかげでロリコンビがよりいっそう好きになりました!www

>>329
エロぜんっぜんおkですwww
ばっちこーい!!w

332 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 18:39:21 ID:titwVT6n
308だが、待ってるだけでは埒があかないので自分でも描いてみることにしたぜ
マウスで直線使って描いてるんでかなり見苦しいですが・・・
やっぱりエイラーニャは至高だ
http://www2.imgup.org/iup728412.png
管理人さん、>>285のシチュ気に入ったので勝手に使わせてもらいました・・・事後承諾でおk?

333 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 18:57:39 ID:+6ZbeD07
>>332
オフッ、エイラスレで盛り上がってると思ったらこっちにも来たのか!
承諾なんかなくったって全然おk!鼻血いいよ鼻血

334 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 19:17:31 ID:Sc4HeiAv
>>329
いってしまえ!ばっちこい!

>>332
マウスでこんなのよく描けるよなあ…すげえよ…

335 名前:kK2NO0Bq:2008/11/12(水) 19:59:58 ID:1Ekh+1ck
>>329です
エロ入れてきたww
そしたらちょっと長くなってしまった。

最初シリアスな感じしますが全然シリアスじゃないですw


336 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:02:27 ID:1Ekh+1ck
はっと気が付くと、周りは焼け野原だった。

故郷のカールスラントなのか、ウィッチーズ基地のあるブリタニアなのか、全く違う国なのか…
それすらもわからないくらいに、広がるのは焼けた大地と瓦礫の山、燃える炎だけだった。

がしゃん、と遠くで音が聞こえ、私はそっちに向かって走った。
しばらく進むと、瓦礫が少し高く積み上げられている場所があった。
その上部から、人間の脚がぶらりと突き出ている。

その脚に見覚えがあった。
あれは…あのストライカーは、まさか…

「エーリカ!!」

私は急いで駆け寄った。
瓦礫をどけて、体を抱き起こす。
泥と血で汚れたエーリカは、ぐったりとしていて

半分開いた目は、何も映していなかった。

「エーリカ!しっかりしろ、エーリカ!」

必死に揺さぶっても、エーリカは動かない。

いやだ、一体どうして…
なんで動かないんだ、エーリカ…!

「エーリカぁぁぁ!!」



―――――――


「エーリカっ…!」

私はがばっと体を起こした。
見回すと、見慣れた自分の部屋。全身にびっしょりと汗をかいていた。

「……夢か…」

外は夜が明け始めて、うっすらと明るくなっている。


337 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:03:52 ID:1Ekh+1ck
なんて酷い夢だ…
大きくため息をついて、胸を撫で下ろした。

しかし、どうしてあんな夢を見たのだろう。
まさか、エーリカに何かあったんじゃないだろうか。そう思ったら、さっと血の気が引いた。

私はベッドから飛び降り、急いでエーリカの部屋へ向かった。

「エーリカ…!!?」

ばん、とエーリカの部屋のドアを開けた私は…目を疑った。

夢の中のような瓦礫……ではなく、ゴミの山。
あちらこちらに服やら紙くずやら酒のビンやらが転がっていて、床が見えないくらいだ。

その部屋の真ん中、ベッドがあるはずの場所に…
一段と積み上がった荷物、そこからぶらりと突き出た脚。

……夢とよく似ているが…これは…

「エーリカ」

近づいて、ぐい、と体を抱き起こす。
ずるっと現れたエーリカは、汚れてこそいないが口回りは涎で濡れていた。

「こら、エーリカ。起きろ」

ゆさゆさと揺すると、むにゃむにゃと言いながら目を開けた。

「はれ…?おはよ、トゥルーデ…」
「おはようじゃない!なんだこの部屋の状態は!」

エーリカは目を擦りながらゆっくりと部屋を見回した。

「まだ明け方じゃん…おやすみ…」
「寝るなっ!」

あぁもう、私がどれだけ心配したと思っているんだ!

338 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:05:30 ID:1Ekh+1ck
「も〜…なんだよ、こんな朝早くからぁ…」

エーリカは不機嫌そうに呟いた。

……言われて見れば、確かに。
部屋の汚さについつい怒ってしまったが、私が夢を気にしすぎただけであって、こんな早朝にエーリカを起こす理由はないのだ。

「…すまない、少し変な夢を見てしまってな…説教はまた後にする」

頭をくしゃっと撫で、私は部屋を出ようと立ち上がった。…しかし、

「待ってトゥルーデ」

ぐい、と腕を引っ張られ引き寄せられる。

「なに?夢ってどんな?」

…全くこいつは…
ついさっきまで半分寝ているような状態だったくせに、目をぱっちりと開いて楽しそうに聞いてくる。現金な奴だ。

「…別に、対した夢じゃない」
「うそ。トゥルーデ服も着てないじゃん」
「!!??」

そう言われて、私は初めて自分が全裸のままここへ来てしまった事に気付いた。

「服着るのも忘れるくらいびっくりする夢だったの?ねぇねぇ」
「う…うるさい、何か羽織る物を貸せ!」

熱くなった顔を隠すようにそっぽを向くと、エーリカはベッドの上をがさがさと漁り始めた。
要望通り、バスローブでも貸してくれるのかと思ったら…

「よし、空いた。トゥルーデ、こっち来て」

ベッドの上にできたスペースをぽんぽん叩くエーリカ。
…というか、下に物を落としただけじゃないか。


339 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:06:48 ID:1Ekh+1ck
「全く、なんなん…うわっ!」

近づくと、引き倒されベッドの上に組み敷かれた。

「こら、エーリカ!」
「どんな夢か教えてくれたらどいたげる」

私の上に馬乗りになったエーリカは、にこっと笑って言った。
…言わなければ本当にどかないだろうな…

「……よく、わからないが…戦闘の夢だ」
「戦闘?戦ってたの?」
「もう戦いは終わった後で…どうやら、私たちの敗北だったらしい」

ふんふん、と頷くエーリカをちらりと見た。

「それで…撃墜されたお前を見つけたんだ。瓦礫の中で…」
「へぇ、私やられちゃったんだ」
「…怪我もひどくて、いくら揺すっても起きなくて…」

夢の中で見た光景を思い出してきてしまった。開いているのに、何も映していなかったエーリカの瞳。
…だからこそ、この部屋の状態に余計に拍子抜けしたのだが。

「そっか〜」

何故かエーリカはにこにこしている。

「何を嬉しそうにしているんだ。夢の中とはいえ、やられていたんだぞ」
「だって〜」

にこにこ顔のまま、ぎゅむっと抱きつかれた。

「私の事心配してきてくれたんでしょ?」
「ッ…悪いか、バカ…」
「へへ〜っ、やぁだ私愛されてるぅ〜」

全く、調子のいい奴だ…
そんな所が好きなのも、事実だがな。


340 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:10:06 ID:1Ekh+1ck
「よし、じゃあトゥルーデが安心できるようにしてあげる」
「は?」

なんだそれは、と言いかけたが、エーリカの唇に阻まれた。

「んっ…」

いつもと同じキスだが、なんだか今日は凄く気持ちがいい。

「はっ…ん…」

啄むように何度も口付けられ、その間にもエーリカの手が私の体を撫でる。

「トゥルーデ、かわいい」

エーリカは銀の糸を引きながら口を離し、そのまま首筋から鎖骨へとゆっくり顔を下ろしていく。
舌が触れた部分が、いつもより熱い。気持ちいい。

「エー…リカぁ…」
「ふふ、今日のトゥルーデはいつもよりえっちだね」

エーリカの唇が胸に到達し、片方を揉みながらもう片方の先端をぴちゃぴちゃと舐め出した。

「あ…ぁ、…んんっ…」

エーリカに触られている、と思うだけで、胸の中がいっぱいになる。
初めてじゃないのに、なんだ、この気持ち。

「ん〜…素直なのもいいけどやっぱりちょっと物足りないな」
「ん…なんだ、それは…」
「ほら、ちょっと嫌がったり恥ずかしがったりするトゥルーデをやりこめちゃうのが燃えるというか」
「ばっ…バカな事を言うな!」

唸っていたエーリカは、不意に思い付いたように私の体を反転させた。


341 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:11:26 ID:1Ekh+1ck
なんだ、と思う前に、腰がひょいっと持ち上げられる。
膝を立たされ、エーリカに向けて腰だけを高く上げた格好になってしまった。

「え、エーリカ!?」
「この体勢は初めてだよね」

楽しそうな声が聞こえ、すぐに体に刺激が走った。

「ひあっ!や、ぁっ」

エーリカの舌だと思われる熱いものが、私の局部を舐め始めた。
臀部を柔らかい髪がふわふわとくすぐる。

「あっ、エーリカ…やだ、あん…」

中心の窪みをなぞられたかと思えば、上部の肉芽をつつかれたり、太股の付け根に口付けられたり…
不意に刺激され、それが見えない。いつもの何倍も恥ずかしくて、熱くなった。

「トゥルーデ、すごい…溢れてくるよ」

じゅる、と愛液を啜られ、その音がまた熱を上げる。

「やっ、だめ、もぅ…」
「ん、もう限界?」
「かぉ…顔、みたい…エーリカぁ…」

後ろに手を伸ばすと、エーリカはぎゅっと握ってくれた。
そのまま、また体をくるりと反転させられる。

「もう、そんな可愛い事言って…反則だよ」

エーリカは頬を染めて私を見つめた。

あぁ、その瞳には確かに私が映っていた。

「エーリカッ…ぁ、あぁ…!」

ぎゅっとしがみつきながら、私は達した。




342 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:12:43 ID:1Ekh+1ck
―――――

「なんでそんな夢見たんだろうね?」

ベッドに沈んだ私の頭を撫でながら、エーリカが呟いた。

「予知夢、というのだけはごめんだな」
「大丈夫だよ、私負けないから」
「…当たり前だ。現実になってたまるか」

目を伏せると、エーリカはきゅっと体を密着させてきた。

「ねぇ、トゥルーデ」

また、私を映した瞳と視線がかち合った。

「私、トゥルーデを置いてったりしないから」

ちゅ、と鼻先にキスが降ってくる。

「ずっと側にいるよ」

それは、何よりも安心する言葉だった。
同時に私にも決意をさせる言葉だった。

私も、エーリカを置いていったりしない。
ずっと、こうして側にいる。

「じゃあ、一休みしたら片付けだな」
「えぇーっ!せっかくいいムードなのに」
「えぇーっじゃない!徹底的にやるぞ!」

窓からはきらきらした朝日が射し込んでいた。

それがエーリカの瞳みたいだなんて思った事は、内緒だ。




343 名前:kK2NO0Bq:2008/11/12(水) 20:14:01 ID:1Ekh+1ck
おしまい。シャーゲルに押されてるがエーゲルが好きだ!w

お目汚し失礼しました

344 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:17:14 ID:H2rtpXFJ
>>340
>いつもと同じキスだが、なんだか今日は凄く気持ちがいい。


いつも・・・いつもと同じキスだってさ・・うふふ・・ニヤニヤ

乙でした

345 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:32:13 ID:CXWeRTPY
久しぶりのエーゲルだ!
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ

346 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:44:10 ID:OaKuNa3W
学園シリーズに、シャーゲルに、エーゲル!GJが追いつかないよ!!!
エーゲルは久しぶりな感じがするな〜。

>>322
ドロップ・シリーズ終わりなの〜?えええええ〜このままずっと続いて欲しい!
後半戦はやっぱり攻められるゲルトさんかw
ゲルト攻め&乙女シャーリーも好きなんだけどなぁ。

このシリーズが終わっても別のシャーゲルは書くのかな?
あなたのせいでシャーゲルにハマりまくってしまったというのにw
シャーゲル分が不足してしまうよ…

pixivでシャーゲルを探そうとしたら「ロリコンビ」タグがあって吹いたw

347 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 20:58:29 ID:Sc4HeiAv
>>345
ん?俺いつ書き込んだっけ

エーゲルもシャーゲルもミートゥルもぜんぶストライクゾーンだから困るw
つまりトゥルーデ大好きだ。

348 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 21:15:22 ID:XJpU2E6P
「宮藤!お姉ちゃんと呼んでくれ!」
「いいですけど…その変わり…胸を揉ませてください!」



349 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 21:28:13 ID:uBYuk+mI
わたしはえっちなテゥルーデがだいすきだ

350 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 22:05:56 ID:llGvMWyY
本編の行動から察するに、お姉ちゃんは頼んでも無いのに、
勝手に一人で服を脱ぎ始めそうだよな・・・。

「フフフ。さぁ、宮藤、好きなだけ揉んでいいぞ」
「・・・私も混ぜてもらっていいかしら?」
「ミ、ミーナ?!」

351 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 22:16:52 ID:VnaV4Rgu
ちょっと前の本スレの影響で、健気エーリカ→トゥルーデの報われない片想いにもだえまくってる。


352 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 22:19:39 ID:H2rtpXFJ
>>350
ミーナに続いてどんどん他のウィッチも参戦してきて最終的に全員に好きにされちゃうお姉ちゃん

353 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 22:58:20 ID:Sc4HeiAv
>>352
My脳内デフォルトw

354 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 23:00:13 ID:tI2tKGnk
そろそろじっちゃんのミーナさん崩壊シリーズが読みたいなぁ

355 名前:Nachtkerzen (1):2008/11/12(水) 23:13:56 ID:rQBwlPEO
投下します。エイラーニャ、ゲルトマン前提のエイラとエーリカです。

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「……うっわ」
 ハンガーに出ると、風が吹き付けてきた。雨はもう上がったみたいで、雲が切れ間から月の光が漏れてきているけど、強風はまだ治まらない。
 多分海も荒れている。断崖の下から、波が砕ける音が何度も聞こえてきた。
「こりゃーみんなしばらく帰ってこないわ……」
 ……やめやめ。いつ帰ってくるかも分からない相手を、こんな所で待つもんじゃないねー。
 頭の後ろで手を組み、きびすを返す。立ち去り際にもう一度だけ滑走路の方を見て、私は足を止めた。
「……ん?」
 開けっ放しになっているガレージの扉。そのすぐ側に誰かいる。
 暗くて見えづらいけれど、資材の箱に座って外を見ている人影。今基地に残ってるのは、シャーリーとルッキーニと……あと誰だっけ。興味がわいて足を向けた。


「(……あー、そういうこと)」
 ハンガーの出口近く、ぎりぎり雨の直撃を免れた木箱の上に座って、エイラが外の空を見上げていた。吹き込んでくる風に、わずかに色の入った銀髪がなびく。
 エイラは一心に荒れ模様の空を見ている。私にはまだ気づいていない。
「(……ふふん)」
 足音をしのばせて背後に近づく。エイラはまだ気づかない。私はにやりと笑って、エイラの肩を叩いた。
「……どしたの?」
「〜〜〜〜!!」
 うひゃぇ、というか、うひぁえ、というか。
 言い表すのが難しい声をあげて、エイラの背中がのけぞった。
「……ハ、ハルトマン中尉カヨ……」
 振り返ったエイラが、心臓のあたりを押さえながら言った。……あ、耳出てる。
「もう寝たんじゃなかったノカ?」
「まだ早いじゃん。私夜型だし。
 ……で、何してんのかな?」
「べ、別に。いいじゃんカヨー」
 私が聞くと、エイラはばつが悪そうに目を背ける。
「(……ははーん)」
 内心ほくそ笑む。やっぱりというかなんと言うか、エイラはサーニャを待ってたみたい。
「ここ、いい?」
 私はエイラの隣に空いたスペースを指差す。
「……何だよ? 何の用ダヨ?」
 不審100%の目で私を見ながらエイラ。
「別に用って訳でもないんだけどねー」
 私はエイラの隣に腰をおろし、海の向こうを見る。
「……待ってる君が見えたから」
 私がそう言うと、エイラははぁ? と変な声をあげた。

356 名前:Nachtkerzen (2):2008/11/12(水) 23:14:52 ID:rQBwlPEO
 ネウロイの迎撃に、ミーナたち何人かが出撃して行ったのが今日の夕方。基地で留守番をしていた私達の元に、天候不良のために接触が遅れている、という連絡があった。
 別に心配してるわけじゃない。みんなの腕は信用してるし。でも、問題はこの天気なわけで。
 もし追撃の途中で深入りし、悪天候に捕まった場合、どこかに着陸して魔力を温存するぐらいの判断はしてるのかもしれない。
 こっちは、天気は悪いがどうせそのうち帰ってくるだろ、と思っていた上に、風呂に夜食の缶詰まで用意していたので、なんだか肩すかしを食わされた気分で。
 居残り組は落ち着かない気分で基地内をうろついていた。エイラも、多分そうだったんだろう。

「……心配?」
「ナニガ?」
「大丈夫じゃない? どーせいつもどおりだってー?」
「べ、別にソンナンジャネーヨ」

 エイラは言う。言葉に詰まりながら、あくまで否定しようとするのが面白くて、私の顔に笑いが浮かぶ。
 つっついてみよっかなー。悪戯心が沸いた。

「じゃー何で待ってんの」
「待ってネーヨ。ほら、すごい風のときってなんか興奮するじゃナイカ」
「……なにそれ」
「……あーいや、そういうワケデモ……」
「ふーん。でもまー、サーニャはきっと大丈夫だよねー」
「……だからソンナンジャないって言ってるダロ」

 ……うーん。
 水を向けて見ても、エイラはサーニャを待ってる事を認めない。
 ……ていうか、待ってるんじゃないって言い切れる、その自信はどっから出てくんだ? 変な闘志がわいてきた。

357 名前:Nachtkerzen (3):2008/11/12(水) 23:15:37 ID:rQBwlPEO
「……でもさー」
 話しかける私に、じとっと鬱陶しそうな目を向けるエイラ。かまわず続ける。
「もしへんなところに流されたりして、飛んでるうちに魔力が尽きて着陸しちゃったら、あと大変じゃない? ストライカーも滑走路がないと飛べないし」
「……大丈夫だろ? ミーナ中佐も少佐も一緒だし」
「まーね。でもほら、もしガリアの山の中に降りて、吹きっさらしの所に放り出されたら、きっと寒いよ。山小屋で一夜明かしてるとか」
「……ソレハナイダロ」
「どーかなー。ほら、もし落ちた所が雪山だったらさー、人肌で暖とるって言うじゃん」
「ネーヨ! 何言ってんだオマエー」
「『サーニャちゃんの肌綺麗』『ほら、冷えちゃうからこっちおいで』って。何とサーニャ大人気」
「ナ、ナニイッテンダヨ! ダイタイ今ハ冬ジャネーヨ!」
 私が一言言う度に、上がっていくエイラのテンション。
「まーそれはないか」
「……ダロ?」
「……でもこういうピンチの時ってさー、一緒に苦労した思わぬ人と仲良くなったりしないー?」
「……エ?」
 エイラが私の顔を見る。あは……なんか情けない顔。
「『行軍ご苦労だったな、ゆっくり休むといい!』『はい……あ……でも、少佐がいたおかげで助かりました……ありがとうございます……』『そうか、まあ気にするな! はっはっは!』とかさー、顔を赤らめたサーニャと坂本少佐。
 もしさー、そんな事になってたらどうする?」
「……ソンナワケ」
「……そんな様子を私ら横で見てるしかないんだよ? 寂しーよねー」
「ソ、ソンナワケネーッテ!」
 たまらなくなったのか、エイラが叫んで立ち上がる。
「……」
 エイラの体の両脇で握った拳が、ぶるぶる震えている。
「……さっきからナニガしたいんだ、アンタ……」
 顔をそらして吐き捨てるように言う。
「いちいちサーニャの事言って、あんたそれで楽シイノカヨ」
 じわ、と目に涙が浮かんでる。あ……泣かせちゃった。
「いや……言い過ぎた。ごめんごめん」
 笑いながら謝るけど、エイラは私をにらみつけたまま。
「……大体なにしに来たんダヨ。私をからかいに来たノカ?」
「……ごめん、私は別に……」
「別に、ナンダヨー」
 今にも泣きそうなエイラの顔。そこから目をそらし、海の方に顔を向ける。
「……悪かったって」
 エイラはまだ立ち尽くしている。
 はぁ。と私はため息をついた。膝を抱えて海の方を見る。
 こういうのはらしくないとは思うけど。悪いことをしたのは確かだし。このまま喧嘩してエイラを置いて帰るのもつまらないし。
 だから、正直に言うことにした。
「……エイラと同じ」
「?」
「……私もトゥルーデを待ってるだけ」
「……え?」
 エイラの驚いた声。ナンダソレ、って不思議そうに言って、私の方を見ている。
「エイラがサーニャを待ってるように、私はトゥルーデを待とうかなーって思ったの」
 本当のことを認めるのは、確かに照れくさい。私は拗ねたような顔をしてるかもしれない。なんだか恥ずかしい。
 ぽんぽん。さっきまでエイラが座っていた場所を手で叩いた。
「……ごめん。座ってよ」
「……フン」
 エイラは腰を下ろす。膝を抱え、海を見つめてふくれっ面。
「……私は別に待ってる訳じゃナイカラナー」
「だからいーって。無理しなくても」
 私がそう言うと、エイラはウルセーナ、と呟いた。

358 名前:Nachtkerzen (4):2008/11/12(水) 23:16:37 ID:rQBwlPEO
 強い風が滑走路の上を吹き渡っていく。吹き込んできた風になびく私とエイラの髪。
 傾きかけた月の下、二人で空を見る。雲が吹き払われ、次第に星が見えてくる空。私は何度目かの大あくび……トゥルーデ、まだかな。

 どちらからともなく、ぽつりぽつりと話をし始めた。私はトゥルーデの事。エイラはサーニャの事を。

「……ねむ。トゥルーデが帰ってきたら、一緒にお風呂行くかなー」
「……サーニャは無理カナ……。いっつも出がけに入てくし、飛んだあとはすごく眠くなるみたいナンダ」

 よく考えたら、私はトゥルーデのことをあまり人に話したことはない。基地内でもあまり突っ込んだ話はしないし(トゥルーデ達はどうだか知らないけど)、ミーナやトゥルーデ相手でも、長い付き合いだから、今更トゥルーデがどんな奴かなんて言う必要もなかったわけで。
 それで満足かって言うと、満足でもあり、ちょっとだけ不満で。でもそれは誰にも言えなくて。
 だから、他の誰かにトゥルーデの事を話せるのはうれしかった。

「あー熟睡するのは私も得意ー。
 でもさー、トゥルーデはどんな疲れててもきっちりかっちり身支度してから寝るんだよー。寝相もいいし、トゥルーデらしいでしょ?」
「……サーニャも寝相いいけど……時々寝返りで起こされるナ」
「あー。そうなの?」
「……い、いや、さ、サーニャが部屋を間違えて寝てるだけだからナ!」
「いや知ってるって。そういう事になってんのは」
「……」
「慌てて説明しなくてもいいんだよー?」
「……オマエナー……」
「でもさトゥルーデて、寝る前に服脱いでたたんで、明日の支度まですんだよ? 信じられる?」
「……いや、それ、普通じゃナイカ……?」
「そうかー?」
「サーニャは散らかしっぱなしだケドナ」
「……はーん」
「ナンダヨ」
「どーせそれ畳んであげるの君の役目なんだろ?」
「……い、いいんダヨ。サーニャ疲れてるんダカラ」
「愛だねー」
「ソンナンジャネーッテ」

 ぽつぽつ呟くエイラの横顔。
 エイラのサーニャに関する行いは隊のみんなが知ってる。みんなはそれを生暖かく見守ってるんだけど、エイラはエイラで一生懸命だよな……。
 さっきは茶化して言ってみたけれど、エイラはいつも必死だ。

 私が何かすると、トゥルーデは見てられるか! って感じで怒る。ミーナはダメよ、で許してくれる。ある程度までなら。
 でも、エイラは、サーニャが大変な時は、何が何でも助けようとする。まぁ、大変じゃないときも世話焼いてるけど。
 ……そこまでして後悔することはないのかねー。まぁ、しないところが、エイラのいいとこなのかもしれないけど。

359 名前:Nachtkerzen (5):2008/11/12(水) 23:17:23 ID:rQBwlPEO
「帰ってこないナ……」
 サーニャ、と、エイラが呟く。
「……幸せ者だねぇ。サーニャは」
 その横顔を見ながらしみじみと言うと、ナンダヨソレー、とエイラの返事。
「幸せじゃん、いつも思われててさー」
「ソンナンジャネーヨ、バカ」

 その上、あそこまで甲斐甲斐しくしておきながら、こうムキになって否定するのが、なんか可愛い。
 面白いな君は。その言葉は言わずににっと笑う。

「あんたもいいのカヨ? こんな遅くまで」
「私はいーの。夜型だし」
「ふーん」
「……あ、そういえば、トゥルーデってサウナ入るとなかなか出ようとしなくない?」

 出かけたみんなは、待ってればそのうち帰ってくる。ミーナたちがいる限り、そんな大したトラブルはない、それは分かってる。
 でも、何となく帰ってしまうのももったいなくて。

 やがて時間が経ち、ストライカーに灯るの赤と緑の灯火が空から降りてくるまで、私はエイラと二人で待ち続けた。

360 名前:Nachtkerzen (6):2008/11/12(水) 23:18:25 ID:rQBwlPEO
 翌朝。

「おあよー」
 洗面台でかしょかしょと歯を磨くエイラに声をかけ、あくびをしながら蛇口を捻る。冷たい水で両手で受けて顔を洗った。
「あ、ああ。オハヨ……って服ぐらいちゃんと着ろヨ」
 呆れたようなエイラの声。彼女の持っていたタオルを奪って顔を拭く。
「……あれからドウシタ?」
「『まだ寝てなかったのかハルトマン』って怒られてー……みんなでお風呂入って……」
「ふんふん」
「トゥルーデの部屋の前までついてって……」
「お、おおー。それで?」
「……『眠い。帰れ』で叩き出されましたー」
「……ふふん」
 エイラは笑う。……なんかへこむなその笑い。
「エイラの方はどうなんだよ?」
「わ、私ハナー……」
 言いかけてにへら、とエイラは笑った。
「お? 何だその笑いー? 何かあったのかー?」
 にやけながらエイラの腹をつつくと、かぁっと赤くなるエイラの顔。面白い。
「……い、イイダロ? 秘密ナンダナ」
「何だよ。言えってー」
「……だ、だから秘密ナンダナ!」
「あーそー」
「……ふふん」
 ニヤつくエイラ……これは、なんかむかつく。
 何かいい事あったのかもしれないし「寝てるときにサーニャが寝言で私の事をナー」レベルの事かもしれないけど。エイラだけに。
「……まー、幸せそーだねー。結構結構ー」
 ひらひら手を振りながら背を向け、食堂の方に向かう。
「……だから、ソンナンジャネーヨ!」
 後ろから聞こえてくる、昨日から随分聞かされたフレーズ。なんだかいつも必死なエイラ。

 寝呆けて乱れた服を直しながら、食堂のに向かう。
 トゥルーデは多分もう、黙々とジャガイモをつついてるだろう。「遅いぞハルトマン」って言いながら。仏頂面で。たまにはそんなトゥルーデに「疲れてないー? よく寝られたー?」ぐらいの事は言ってみようか。エイラとサーニャを思い出しながらふっと浮かぶ考え。
 トゥルーデは多分、「……何か悪い物でも食べたか?」って言うだろうけど。エイラに対するサーニャみたいなのは、間違っても見られないだろうけど。
 反応はひとそれぞれで。でもそれはそれで、何だか面白い気がして。

 必死なエイラの姿を思い出してもうひと笑い。おはよーと言いながら、私は食堂のドアをくぐった。

361 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 23:19:18 ID:rQBwlPEO
終わりです。
エイラはエーリカとも絡ませやすいと思ったんですが、二人ともなんかちがうなんかちがうとも思いながら書いてました。
書き終えてきづいたんですが、エイラいじる役ならシャーリーでもよかtt……ゲフゲフン。
お付き合い有難うございました。

362 名前:zet4j65z:2008/11/12(水) 23:30:47 ID:qx33EfC8
>>361
帰宅した開いたらリアルタイム更新で読めましたw
どうでもよさそうな理由でまぜっかえしていじる、
そんなエーリカが自分内イメージドンピシャで楽しく読めました。


っていうか忙しくて昨日からのトゥルーデ祭りに参加できないのが悔しい限り。
それ以外のSSや小ネタもみなさんGJです〜


あと、もしformat by LYNETTE SPLASH DOWN読んだ方いましたら、
あのぐらいのレベルの内容でここのスレに直接投下OKかどうか
個人的見解でいいからちょっと意見が欲しいです。
毎回管理人さんに頼むのも悪いかな〜とか思ってるんで。

363 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/12(水) 23:36:59 ID:O6XmhIx1
>>362
楽しませてもらいました
投下前に注意書きでも付けときゃ問題ないでしょう

364 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:11:09 ID:VDkKNFDr
投下
魔法の呪文はお姉ちゃん


長きにわたり目覚めないクリス、悲しみに暮れる私、もはや私は精神的に限界寸前まで来ていた
不足してきた妹成分を補うために私は宮藤に頭を下げて言った

「宮藤!私を・・・私をお姉ちゃんと呼んでくれ!」

出会って数カ月の他人を姉と呼べ、などとふざけたことを言っているのは充分承知していた
だが我慢出来なかったのだ、ウィッチの活動、魔力にはメンタル面も重要だ
おかしいことを言っているわけではない、メンタルケアに付き合ってもらう、ただそれだけのこと・・・と自分を納得させる
宮藤は少し迷った様子を見せたが、すぐに答えてくれた

「わかりました、お姉ちゃん」

久しぶりに聞いたお姉ちゃん、ああなんと素晴らしい、その優しい言葉に私の脳は一瞬にして恍惚とする
しかし、ぼんやりとしていた私はすぐ次に放たれた宮藤の言葉にガツンと殴り付けられた

「・・その変わり・・・胸を揉ませてください!色良し張り良し!体感してみたいんです!」

なっ・・・!まさかの交換条件・・・だがこちらの願いに答えてもらった手前文句は言えん・・・

「・・・駄目ですか?お姉ちゃん?」

私の脳はすぐに私の首を縦に振らせた、お姉ちゃん・・・この崇高な言葉を芳佳のかわいらしい声で聞くと、私の脳はすぐに考えるのをやめるのだ

365 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:15:28 ID:VDkKNFDr
「さぁ、宮藤、好きなだけ揉んでいいぞ・・・」
私の胸に宮藤が手をかけて、その手をゆっくりとすぼめて広げて、繰り返す

「お姉ちゃんすごいよ・・・揉みごたえがあるよ・・・」
「や、やめてくれ・・・そんなことを言われると恥ずかしいだろう・・」
「そう言って恥ずかしそうなお姉ちゃんも、かわいいですよ・・・」

芳佳の手の動きに合わせて沸き上がる快楽の波、お姉ちゃんの響きと相俟ってそれは激しさを増す、脳がとろけてしまいそうなそんな時、物影から思わぬ人が現れた


「・・・私も混ぜてもらっていいかしら?」
「ミ、ミーナ?!」
「いいでしょう?トゥルーデお・姉・ち・ゃ・ん?」

聞いたことの無いようなミーナのかわいい声色に乗って、脳に流れ込むお姉ちゃんの響きは私の思考をまた止めた
答える間を奪われた私の懐に、ミーナはすぐに潜り込む。私は二人ぶんの刺激に耐えることになる

「くっ・・・もう・・・やめてくれ・・変になってしまいそうだ・・・」
「まだまだトゥルーデを好きにしたい人がいるのよ、ねえ?フラウ?」
「な!?」
「待ってましたあ〜」

その言葉と同時に物影からエーリカが現れ、即座に二人に混じって私の胸に刺激を加える

366 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:19:37 ID:VDkKNFDr
「くっ・・・いい加減にしろ!いくらおまえたちでも容赦はしないぞ!」
私が魔力を発動しようと力を込めたその時

「「「お姉ちゃん」」」

耳元に鳴る、妹達による三重の美しいお姉ちゃんコーラス
一瞬にして力は抜け、魔力を発動することは叶わなかった

「さてと、そろそろお二方もいらっしゃ〜い」
「「は〜い!」」

この声・・・シャーリーとルッキーニか・・・何故奴らまで・・・これはやはり・・・

「宮藤・・んっ・・・・最初からこうするつもりだったんだな・・・はあっ・・・」
「えへへ・・・ごめんなさいお姉ちゃん・・・」

「やさしくしゅてあげりゅからね〜お姉ちゃん〜」
「堅物もこうなるとかわいいもんだな・・・へへ・・・おっと、今日は『お姉ちゃん』だったかな」
「色良し張り良しとは言ったもんだ、かわいいぜ、『お姉ちゃん』」

367 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:20:55 ID:VDkKNFDr
シャーリーの登場は思わぬ事態を起こした
シャーリーの慣れた手つきに私の軍服が剥がされ、いとも簡単に私の胸は束縛から解き放たれたのだ
外気に晒される私の胸は紅潮していた

「えへへ〜、お姉ちゃんいっただきい!」

その時、無防備な私の胸にエーリカが噛み付いた
頭の中にはじけるピンク色の火花

「はうあああっ!!ああっ!!」

ただでさえもはや達する寸前だったのにいきなりの凄まじい刺激、快楽が一瞬にして私の閾値を越えてしまった
柄にも無い高い声を出し身体をこわばらせ、私は激しく絶頂を感じた

「・・・あ・・・ずる・・・ハルトマ・・」
「トゥルーデが・・・くて・・・我慢出来な・・・」
「まった・・・フラウったら・・・」

まだ高揚感が残り、回りの会話も、やっていることもぼんやりとしかわからない

「お姉ちゃんの声、とってもかわいかったよ・・・・・」
「だから・・・もっと気持ち良くしてあげる・・・もっとかわいい声を出させてあげるからね・・」
「覚悟しろようお姉ちゃん、今日は寝かせないぜぇ!」

しかし、『お姉ちゃん』のワードが含まれると、なぜかはっきりと聞き取れてしまった。こんな時というのに私と来たら・・・

368 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:24:06 ID:VDkKNFDr
・・まあ・・・これも結果的にメンタルケアだったのだろうか
かわいらしい妹達に好き勝手にされるなど、よく考えれば姉の願い通りの展開でもある
流れに身を任せるというのも、いいかもしれない
こんなことを考えてしまった私はもういろいろと駄目なのかもしれない
ゴメンなクリス、おまえの知らないところで私は、かわいくて少しいじわるな妹をたくさん作ってしまったよ
私を捕らえて放さない『お姉ちゃん』という魔法の響き、果てしない魅力がそこにはあるんだ・・・


そんなことを考えていると、ある程度体も落ち着いてきた。それを察したエーリカが声をあげる

「第二ラウンド、スタートかな!?お姉ちゃん?」

私の頭を抱えるミーナの手、重なるミーナの唇
いつも芳佳にやるように、後ろから組み付いて私の胸を強く揉み上げるルッキーニの手と、優しく私の胸を揉み込む芳佳の手
後ろからルッキーニごと私を抱きしめるシャーリーの手、こなれた様子で首筋を舐め上げるシャーリーの舌
そして、私の最も大事なところにズボンの隙間から入り込もうとするエーリカのしなやかな指

たくさんの刺激と快楽・・・いや違うな、これはもはや愛、妹達の愛だ!・・・
私は空を見上げ、今夜はいままで生きてきた中で一番長くなりそうだと確信して、妹達の溢れる愛に身を溶かした

369 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:25:10 ID:VDkKNFDr
第二ラウンドまで書けるほどの力は自分には無かった
トゥルーデ撃墜されまくりんぐ、そろそろ攻めトゥルーデの季節ですね
絵が描けるようになりたいです。おやすみなさい紳士淑女

370 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:35:23 ID:X+QbdsBY
>>362
私は全然オッケーだと思います。18禁板だし。
>>363さんと同意見です。

371 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:37:47 ID:SLFqkHMx
>>369
おお…。
まさか、文にしてくれるとは。
受信した電波(ネタとも言う)はさらけ出すものだな!
とにかく、ぐっじょぶぅ(*´Д`);','

372 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:45:37 ID:X+QbdsBY
「相手がミーナならあきらめもつく。二人はお似合いだし、なんといっても同郷で付き合いも長い。
口を開けばクリスのことばかりなのも当然だ。血を分けたこの世でたった二人きりの姉妹なのだから。
クリスにどことなく似ている宮藤のことが何かと気にかかるってのも、まあ許せる。
でもね…でも…
な ん で あ の リ ベ リ ア ン な の ?
同じ16歳で、規律意識が希薄で、ルーズでずぼらって、あたしとどこがちがうっていうの!?
胸?胸なの?ねえ、なんであたしじゃだめなの?教えてよ…トゥルーデ…」



373 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 00:55:15 ID:VDkKNFDr
>>371
本スレの方々とここの方々からはとてもいいネタがいただけて
いつもホントうれしい限りです住人さまさまです感想ありがとうございました


>>372
そろそろこのスレでのシャーゲルの隆盛っぷりに
エーリカが涙して、病んじゃう頃だなと思っていたんですよ
さあ病みエーリカ×トゥルーデをメモ帳にしたためましょう妄想をぶつけましょう



今度こそおやすみなさい

374 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 01:07:10 ID:HXHZUapl
シャーゲルなときのトゥルーデは本人が認めたくない無意識レベルのMな部分を
リベリアンが満たしてくれている状態なんだと思う。
みんなには実妹みたいなかわいらしい年下好きなのをそれとなくさらけ出してはいるが
ほんとうは自分と同じ位の腕力のある者に惹かれていてそれに(身体的に)屈したい自分も居る...
みたいな葛藤があるといいな

375 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 01:13:59 ID:ScVJcmoL
フミカネ画集で顔が出たおかげか、
ルーデルさんのイラストが増えてきてちょっぴり嬉しいt26gFAxTです。
学園ウィッチーズ前回分にレスいただきありがとうございます。
今日は相変わらず一人で盛り上がっているルーデルさんとアーデルハイドさんのSS投下します。

376 名前:凍えた薔薇を溶かすもの 第3話:2008/11/13(木) 01:14:47 ID:ScVJcmoL
 一進一退。
 カールスラントでの戦況は日々そのような状況で、ゴールに着いた途端、スタート地点に立たされるという感じの不条理な様相を見せていた。
 負傷者を出しながらも、作戦を無事遂行し帰還した、ルーデル率いるシュツーカ第十中隊は、装備を外すと、散開する。
 ルーデルは、格納庫を出ると腕組みをして、さっきまでいた地点の空を、睨みつけるように見上げた。
 彼女の背後にアーデルハイドが立つ。
「大尉、傷を」
 ルーデルは、腕組みをしながら、片方の二の腕の傷を見て、また視線を戻した。
「かすり傷だ」
「しかし…」と、アーデルハイドはルーデルに向けて、手を伸ばす。
「他の負傷した隊員の様子を見ておいてくれ。私は少し……、歩いてくる」
 ルーデルは、そのまま基地の外へ向けて、歩き出した。
 いつもは大きく見える背中は、妙に小さく思えて。
 アーデルハイドは、飛び込んででも引き止めるべきか、迷ったが、最終的には、今は一人にすべきだと判断し、漂った手で拳を握り締め、引き戻す。
 
 基地の外には、数日前より、街から退避してきた住人たちが、軍に支給された簡易テントで、冬空のもと、身を寄せ合っていた。
 ルーデルは、じっと、住人たちを見据える。
 決して、目をそむけてはいけない――これが、積み重ねた敗北の結果なのだから。
 しばらくして、"国際救世連盟軍"の腕章を巻いた女性たちが現れ、てきぱきと、手馴れた作業で即席の配給所を作り出すと、別のところでこしらえてきたであろうシチューをためた鍋を設置し始め、住人たちを呼び込み始めた。
 スタッフの一人のルーデルより背の高い少女が、背後で見ているルーデルに気づいて、にっと微笑んだ。
「あんたもどうだい?」
 カールスラント訛りのブリタニア語に懐かしさを覚え、ルーデルはすっかり厳しくなっていた顔つきをわずかに緩め、つい、カールスラント語で返答をする。
『いや、遠慮しよう。住人たちに分けてあげてくれ』
『あんた、カールスラントの……? それにその格好、軍人……、ウィッチかい?』
『ああ』
 ルーデルがうなづいた途端、少女が目を輝かせ、手を握ってくる。
『是非、礼を言いたかったんだ! 数日前にあんたたちがネウロイをとどめていなかったら、私の家族たちは今頃……、お仲間にも礼を言っておいてくれよ!』
 ルーデルは、少女の勢いに圧倒され、少しだけ照れくささを覚えつつも、手を握り返して、表情を引き締めた。
『了解した』

 アーデルハイドは、上官に言われたとおり、負傷した隊員の様子を見、しばらく話しかけた後、ルーデルの部屋をたずねる。
 しかし、覗いて見ても、部屋の主はおらず、殺風景な光景だけが広がる。
 まだ外にいるのだろうか。
 アーデルハイドは、肩を落とし、自室へ戻ると、さっそく報告書をまとめるため、机の前に座り、紙とインクとペンを取り出し、迷いなく書類作成を始める。
 部屋に響くペンの走る音。
 撃墜数、負傷者数など、戦場での出来事が、簡潔かつ明確にまとめられていく。
 順調とはいえない戦況。
 アーデルハイドは、ペンを置き、机に肘をついた。
 こんなところでなにをやっているのだろう?
 自分とルーデルは、一応は、上官と部下、それを越えた仲のはずなのに、あっさりと、彼女に言われた事を実行し、そしておとなしく報告書をしたためている。
 軍人としては至極正しいはずだ。
 しかし、一人の人間としては――
 アーデルハイドは勢いよく立ち上がり、机に太ももをぶつける。
 それ自体はウィッチである彼女にとっては痛くも痒くもなかったが、振動で倒れたインクが彼女の軍服を染めた。


377 名前:凍えた薔薇を溶かすもの 第3話:2008/11/13(木) 01:16:25 ID:ScVJcmoL
 外套もつけず歩き回ったルーデルの体はすっかり冷え切っていた。
 そのまま自室に戻るのも気が進まなかったため、そして、ごくごく自然に"会いたい"という欲求が沸いたため、彼女はアーデルハイドの部屋に向かい、ノックも、ためらいもせず部屋に入る。
 部屋には誰もいなかったが、部屋のつきあたりの机のすぐ下にインクだまりができていて、衣服とブーツが脱ぎ捨てられ、ケースに収めたハンドガンが転がっていた。
 水音に気づいて、ルーデルは、部屋の奥にある浴室へ大股で進み、シャワーカーテンを勢いよく開ける。
 短い悲鳴をあげ、アーデルハイドはとっさに胸をかばう。
 ルーデルは、気が抜けたのか、息を吐き、動揺に崩れた表情を引き締めなおす。
「何事だ、アーデルハイド」
「うっかりインクを倒してしまって…」
 ルーデルは、豪快とはいかないまでの大きな笑いをあげる。
「笑わないでください!」
「すまない。ただ、あまりにも愉快でな」
 アーデルハイドは、背を向け、ちらりとルーデルを見やる。
「あの、閉めていただけますか? すぐ出ますので」
「断る」
「な!?」
「外を歩いていたから体が冷えた。そばに行ってもいいか?」
 と、ルーデルは、いつもの凛々しい表情に、口元だけ笑みを浮かべ、アーデルハイドを見つめる。
 その瞳を前に、やはり、断れるはずもなく、アーデルハイドは、視線をそらして、うなづいた。

 着衣を脱ぎ去ったルーデルは、アーデルハイドの背後に立ち、壁に両手をついて、後ろから、彼女の頬に口づける。
 アーデルハイドは、スイッチが入ったかのように、くるりと体を回し、ルーデルに向き合うと、彼女の体を抱きしめ、唇を寄せた。
 シャワーから際限なく放たれる湯が、二人を外側から暖める。
 ルーデルは、唇を重ねたまま、片方の太ももをアーデルハイドの足の間に入れ、彼女に体を押し付けた。
 かろうじて冷たさの残るルーデルの体のせいなのか、足の間に差し込まれた太もものせいなのか、アーデルハイドは、大きく、息を吐き出して、ルーデルの背中に軽く、指を食い込ませる。
 拒否なのか、体の力が抜けて、力場を見失ったゆえの行動なのか。
 ルーデルは一瞬だけ迷ったが、目の前にいる部下でもあり、そして、どうしようもなく愛しい人間を前に、半ば利己的に、
今自分が欲しがっているものを彼女も欲しがっているのだと判断し、静かに唇を離すと、彼女の首筋、鎖骨、さらにその下へと舌を這わせ、空いた手で太ももをなで上げた。
 思考がふやけ始めたアーデルハイドは、思わず、ルーデルの怪我した方の腕に指をかけ、彼女の傷口を開く。
 しかし、ルーデルはまったく意に介さない。
 断続的な、アーデルハイドの息遣いがシャワーの音に混じり、ルーデルに届く。
 ルーデルは、シャワーを止めた。
 すっかりのぼせたような顔つきのアーデルハイドは息を整えながら、見つめるルーデルの視線から逃れる。
 ルーデルは、濡れた髪をかき上げ、アーデルハイドの顎を掴み、顔を向かせた。
「ここでは落ち着かないし、お前の声も聞こえにくい」
「こ、声なんて出していません!」
 と、アーデルハイドはルーデルの手から顎を逃すと、彼女を通り過ぎて、バスタオルを掴み、自分の体に巻いて、もう一枚を彼女に頭からかぶせると、わしわしと拭く。
「おいおい、まるで母親だな」
「違います。私は……、あなたの恋人です」
 ルーデルは目を見張り、言葉を接ごうとするが、アーデルハイドはルーデルの腕からまた流れ始めている血に驚き、彼女の腕を引いて、ベッドへ座らせ、携帯用救急キットからガーゼと包帯を取り出すと、鮮やかな手つきで、治療を始めた。

378 名前:凍えた薔薇を溶かすもの 第3話:2008/11/13(木) 01:17:15 ID:ScVJcmoL
 ルーデルは空いた手で髪と体を拭きながら、つぶやいた。
「……外で、礼を言われたよ。この間敗走した戦闘だったが、住人が避難する時間は稼げたらしい」
 アーデルハイドはそっと視線をルーデルに向け、ひどく、穏やかなその面持ちに驚き、巻き終えた包帯から手を離し、ルーデルを、両手で抱きしめる。
「どうした?」
 と、ルーデルは、珍しく困惑を混ぜた声でつぶやく。
 アーデルハイドは、彼女の肩に顔をうずめた。
「わかりません。ただ……、抱きしめたくなって、分かち合いたくなって……。
大尉、これが、人を好きになるという事なのでしょうか?」
 ルーデルの肩が熱を帯び始める。
 ルーデルは、アーデルハイドの両腕を握り、ゆっくり、引き離し、彼女を見据えた。
「ああ」
「大尉、あなたも、同じ気持ちですか? 私を…」
 ルーデルは、愚問だと言いかけ、同時に、きちんと気持ちを伝えていなかったことを思い出すと、一瞬だけ目を伏せ、覚悟を決めたように、顔を上げた。
「私は、お前を愛している。部下としても、一人の人間としても。アーデルハイド、これからも、共に戦い、生き抜いてくれるのであれば、私に口づけろ」
 乱暴ではあるが、ルーデルらしい物の言い方。
 アーデルハイドは、乱れたルーデルの髪を手ぐしですいて、ぴくりともしないルーデルに、唇を近づけ、押し付けた。
「喜びも悲しみも、すべて分けて下さい。ハンナ……」
 部下に、初めて呼ばれるファーストネームに、ルーデルは、じわりと、胸の奥に喜びが広がるのを感じ、そのままアーデルハイドを静かにベッドに倒す。アーデルハイドは、無意識にかばった胸を開放し、ルーデルを見返した。
 ルーデルはベッドから立ち上がり、部屋の明かりを消すと、またベッドに舞い戻り、暗闇で、アーデルハイドの体を探り当て、きつく抱きしめ、舌で、指で、唇で、汗ばむ彼女の体を愛撫する。
 暗い部屋に、ベッドのきしむ音と、二人の吐いた息の音が混ざり合う。

 朝が近づき、アーデルハイドは、目を開ける。
 きつく抱きしめられた体に残る痛みはなぜか心地よかった。
 目の前のルーデルは、じっと目をつぶり、規則正しい寝息を立てていた。
 アーデルハイドは、枕に頭をつけたまま、ルーデルの顔をまじまじと見つめ、彼女の鼻に刻まれた横一文字の傷にそっと触れる。
 ルーデルが、ゆっくりと目を開け、傷がどうかしたか、と言いたげに見つめ返した。
 アーデルハイドは、体をずらし、ルーデルに顔を近づけた。
「あなたに、嘘をつきました。私は、あのブリタニアのウィッチに少し嫉妬しています」
 ルーデルの視線が、考え事をするかのように泳ぎ、わからないといった表情を形作るので、アーデルハイドは言葉を続けた。
「その顔の傷は、彼女が原因。あなたは毎朝鏡を見るたびに、彼女の事を少しでも思い出されるはずですから…」
 ルーデルは、軽く笑い、昨夜アーデルハイドが治療した腕をブランケットから出す。
「お前がそこまで嫉妬深いとは」
「……嫌いに、なりましたか?」
 ルーデルは、顔を赤らめ視線をそらすアーデルハイドの頭を、ブランケットから出した手で引き寄せ、口をこじ開けるように、少し乱暴にキスをし、唇を解放してつぶやいた。
「そんなわけないだろう。それに、"思い出の傷"は昨夜増えた」
 ルーデルは、包帯を巻かれた腕をちらりと見て、目を細めた。

第3話 終わり

379 名前:「mix-turegret」-5 21X2w2Ib 1/5:2008/11/13(木) 03:23:11 ID:Q0vZH/Sk
ぼけーっと絵とか描いてる間にもぞくぞくSSが投下されてま、いっかーと文書くのを放置していた
21X2w2Ibです。お久しぶりです。みなさんGJ!!管理人さんすっごくGJ!!
こんな長ったらしいものの続きを待っている人がまだいるのかわかりませんが途中で止めるのもなんなので
ペリエイラ話の続きを投下します。>>47-50の続きで、5レスです。

―――――

普段気付かないものだけれど、私は自分が思っている以上に他人に見られたり、気を遣われていたりするらしい。
ミーナ隊長の執務室をあとにして、言いつけられた場所に向かいながら思った。ぽりぽりと頬をかく。何だか妙に照れくさい。

執務室で、どこぞの黒幕みたいに椅子に座り込んだミーナ隊長を目の前にして。
ああ、もう何が起こってもしるかもう、なんて高を括りながら隊長の言葉を待っていた。トイレ掃除だろうが
基地中の床拭きだろうが窓掃除だろうがなんだってやってやる。…むしろ、それで少なくとも1週間は時間が
つぶせるだろう、なんて考えていたのだ。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉、と形式ばった呼び名を聞いてピッと身を改めて、直立不動で「ハイ」
とだけ返事をした。

あれ、と思ったのはその、見つめた先の隊長が笑顔だったからだ。それも作り笑顔じゃなくて、もっと柔らかくて
優しいものだった。長いこと同じ場所で生活しているんだ。隊長の笑顔の違いなんて見ればすぐに分かる。
内心うろたえる私をよそに、隊長はすぐにその表情を崩した。そしてゆっくりと立ち上がると、私の肩に手を
置いて、まっすぐに目を見つめて、尋ねてきた。

だいじょうぶ?

それは、そう言えばシャーリーからもいわれた言葉で、それは私があの、失言をしてしまったからだった。
けれど今回はちょっと違う。隊長は、それ以上何も尋ねてこなかったのだ。ただ赤い色の目が私を見ていて、
なんか夕焼けみたいだ、なんて場違いなことを考えることが出来るほどに、それは威圧など微塵もなかった。
じゃあ、私の眼はなんだろう?サーニャはあけぼのの空のあおだっていうけれど。そこまで考えが至るほどに、
不思議と心は落ち着いていた。
けれど問いには答えなかった。言葉が見つからなかったからだ。だいじょうぶかと言われたら、きっと私は
大丈夫なんかじゃないんだろう。そんなの自分でも自覚していることだ。けれどそれを答えたら理由を話さな
ければならなくなる。どうしたの、なんて今の隊長に聞かれたらたぶん私は全部吐き出してしまうだろうと思った。
だから、言葉にしなかった。

「フラ…ハルトマン中尉の部屋の掃除の続きをお願い。それが終わったら自分の部屋で休むこと。…いい?」

労わるように、ゆっくりと。言葉にされたのは命令なんかじゃなくて「お願い」だった。無理だったらそれでいい、
とその目が語りかけていた。うん、と私はうなずく。
「ヤル。やります。」
いろいろなこと、整理しなくちゃ。このままじゃだめだ。私はウィッチだ。戦うためにここに来たんだから。
わかっているのに方法が分からなくて、悩めば悩むほど迷って袋小路でいた私にとって、その作業はうって
つけのような気がしたからだ。



ハルトマン中尉の部屋にたどり着く。ざっくばらんに物が置かれている割には片付いていてむしろ驚いたくらい
だった。…だって今日、『寝る場所もなかった』なんて言ってなかったか?思い出した瞬間、ああそうか、と
思い至った。

(バルクホルン大尉が掃除してたんだっけ、怒って)


380 名前:「mix-turegret」-5 21X2w2Ib 2/5:2008/11/13(木) 03:24:51 ID:Q0vZH/Sk

一応公事と私事とを分けて振舞っている隊長や大尉と違って、ハルトマン中尉はいつだって「ミーナ」「トゥルーデ」
だ。隊長はともかく、バルクホルン大尉は元の名前の片鱗もないからいつもわけが分からなくなるのだ。ここ
まで来ると、むしろ混乱している私たちを見て楽しんでいるんじゃないかと思うけれど、ところがそうではない
らしい。この間シャーリーの部屋で行われたバルクホルン大尉の愚痴吐き大会で大尉が言っていたからだ。
にわかには信じがたいことだけれど、私よりもずっと付き合いの長い大尉が言うんだ、たぶん間違いない
だろう。
しょっちゅうつき合わされているらしいシャーリーは「疲れた」とぼやいていたけれど私は結構楽しかった
んだよな、あの会。あの仏頂面の大尉の顔が崩れる瞬間を間近で眺めるなんて、そうそうできる体験じゃない。

ほうきやらモップやらちりとりやら雑巾やらといった掃除用具は、ご丁寧に整然と置き忘れられていた。きっと
大尉が置いていったんだろう。あの人が作業を放っていなくなるなんて珍しいけれど、どうせいないなら
使わせてもらわない手はない。
床に落ちているものを拾い上げては、明らかに要らない紙くずだとか布切れだとかを恐らくゴミ袋にしていた
のであろう麻袋に詰め込んで、衣類はとりあえずまとめて洗濯に出すためにこれまた別に麻袋に詰める。
まだ着てないからいいじゃないか、と言われそうだけれど衛生的に止めておいたほうがいいだろう。なんて
ったって得体の知れないビンが転がってたりする部屋だ。

書きかけの手紙、何かしらのメモ、写真。…そのうちに、きっと『要るもの』だと思われるものがたくさん出て
きて、私は少し申し訳ないような、照れくさいような気持ちになるのだった。…掃除はキライじゃないし、足の
踏み場もなくなるほど部屋を散らかしたり服を畳まずに脱ぎっぱなしにするのに比べたら私はきっと綺麗
好きなほうなんだろう。でも、他人の部屋まで乗り込んでいって掃除するほどではない。…まあ、バルク
ホルン大尉の場合はハルトマン中尉のお目付け役というか、保護者というか…とにかく、心配でならないから、
って言うのもあるんだろうけど。

…そうだ、たぶん、私がサーニャの世話を焼きたいのと同じ。
サーニャだから、きっと私は彼女の手を引いてしまうんだろう。眠気にふらふらしていたなら支えてやるし、
服を脱ぎ散らかしたなら畳んでやる。シャンプーが目に入ると言うなら洗ってやる。望まれているなら、
私のできるすべてをしてやる。
だって、頼られるのが嬉しいんだ。大切に大切に思う気持ちを上手く言葉に出来ないもどかしさを自分が
一番痛感しているから、だからそうして態度に示すんだ。間違ってるかもしれないけど、大尉のそれとは、
違うかもしれないけれど。少なくとも私にとっては、そうだ。

そんなこと私にとってはすでに確定事項だった。悩むこともなくすんなりと、ここまではたどり着けるのだった。
…問題はここからなんだよな。それから先が分からなくて、でも確かめるすべも勇気もなくてここまで来て
しまった。
はあああ、と長いため息をついたその瞬間、だった。

「…まだ終わってないゾ、中尉、…ってあ…」

ギィ、と言う音を立てて扉が開いた。ハルトマン中尉だと思った私は、気だるそうに返事をして…そして、
固まった。けれど相手は臆する様子もなくすたすたと室内に入ってくるのだった。

「ペリーヌ、」
「手伝いますわ」

…なんだか妙に緊張しながら話しかけたら、ぴしゃりと言い放たれてしまう。思わず伸ばした手をぴたりと
止めて、こちらに背を向けて雑巾を搾り出すペリーヌの後姿を見た。…貴族らしからぬ、その姿。お姫様
なんて程遠い、その様子。
「…ウン。」
不意に導き出せそうだった答えを追うのを、その手を下ろすと同時に止めて、私はひとまずこの部屋を
徹底的に綺麗にしてやることにした。



381 名前:「mix-turegret」-5 21X2w2Ib 3/5:2008/11/13(木) 03:25:49 ID:Q0vZH/Sk



作業を一通り終えた頃には日はもうとっぷりと落ちていて、明かりをつけなくてもいいくらいだった部屋は
すっかり薄暗くなっていた。そのせいで部屋の全容を掴むことは出来ないけれど、たぶん相当綺麗になった
ろう。…どうせ最初は目も当てられない有様だったんだろうから。

そろそろやめようか。そう語りかけることもなく、私は床に座り込む。ベッドを背もたれ代わりにして伸びをする
と体中がパキポキと音を鳴らした。働いたなあ、なんて、ひどく久しぶりに思った気がした。
私のそんな様子を感じ取ったのか、ペリーヌも作業を止めたようだった。そして恐らくは私と同じように、
けれども十分に距離を開けて、床に座り込む。部屋の暗がりのおかげで私からはあちらの姿がほとんど
見えない。たぶんそれはあっちにとっても同じだろうけど。

ねえ、どうして。

その言葉をどう切り出せばいいのか、暗闇に溶け込んだ部屋と壁との境界線を眺めながら考える。私の
気持ちは私のものだから、いくらでも作り出すことが出来るし、練りこむことだって出来る。けど他人の
気持ちは違うんだ。違うから、その真意が分からなくて惑ってしまう。勝手に推測する事だって出来るけど
それじゃあ相手を傷つけてしまうかもしれないじゃないか。

ねえ、どうして、キスなんてしたの。
暗闇ばかりしかない、彼女のいる方向を見やって思った。それだけで伝わればいいのに、なんて都合の
いい事を。

「らしくありませんでしたわね」
「…ナニが」
「ここのところの、あなたです」
「誰のせいだと思ってんダ」
「…わたくしのせい、ですわね、きっと」

会話の始まりは、やっぱりそんな言葉の応酬。けれどいつも交わすそれと違ってお互いに普段よりも
トーンが低い。話しかけてきたのがペリーヌからだと言うことも、いつもと違う。ひとりでツンツンとして、
ちょっと寂しそうにしているペリーヌをからかい半分にいじることが、私の常だったから。こいつもこいつなりに
気を遣ってたりするのかもしれない。

「悩みました?」
「……シラネ」

認めるのが嫌でそう吐き捨てたら、ペリーヌは小さく笑った。なんだかそれだけでほっとしている自分がいて
不思議だ。私との会話でペリーヌが笑顔になることなんて皆無に等しいのに。むしろ怒らせたりしたくて話し
掛けるのに。…なんでだろ、今は、そうしちゃいけない気がした。

「…八つ当たり、でしたわ、たぶん」

なにが、なんてペリーヌは言わなかったし、だから私も問わないことにした。代わりになんとなく口許を手で
押さえる。その感触はまだおぼろげにそこに残っていて、思い出した瞬間に顔が熱くなった。…と同時に、
彼女の口を付いて出た答えに少しがっかりしている自分もいて更にうろたえる。だって八つ当たり、って事は
本気じゃないってことで、それはたぶん坂本少佐の代わりだった、ってことで。…なんとなく、うすうす、感づ
いてはいたのだけれど、やっぱり言葉にされるのは悔しかったんだ。



382 名前:「mix-turegret」-5 21X2w2Ib 4/5:2008/11/13(木) 03:26:41 ID:Q0vZH/Sk

「…けれどあの時あなたに言ったことも、ほんとう。…あなたは坂本少佐に少し、似てますわ。バカみたいに
鈍感なところ、残酷なくらいに優しいところ、愚かなまでにまっすぐなところ。…もちろんほんの少しだけですけれど」
「…褒められてんだか、けなされてんだかわかんネー」
「坂本少佐であるならえくぼになるところですけれど、あなたではあばたになる部分ですわね」
「なんだよ、ヒッデーな、ソレ」

あの、いつも「わっはっは」なんて笑ってる坂本少佐と私が似てるなんて、いまいち信じられない。…でも、
あの人の強さは同じ部隊で過ごしている間に散々思い知らされた。今となっては憧れのウィッチのひとりだ。
そんな人と似ていると言われて…まあ、悪い気はしない。
…それに。今度は私の口から、クッという笑いが漏れた。だって、私も似たようなこと考えていたのだ。

「私もさ、似てると思ったンダ。サーニャと、ペリーヌ。」
「…それは褒め言葉ですの?」
「どこが、って言われると困るケド、小さいところとか、寂しがりなところとか、なのにすぐひとりで抱え込もうと
 するところとか。…こう、方向性はまーーーーーったく違うけど、根っこの部分が、似てル。」
「それって、似てるっていいます?」
「似てるけど違う、って感じだな、ウン。だってホラ、サーニャのほうがずっと可愛い」
「腹立ちますわね…!それを言うならあなたより少佐のほうがずううううううっと素敵ですわよっ!」
「なんだとコノヤロー!」

サーニャのほうがいい匂いだ、とか、髪がふわふわしてる、とか。
坂本少佐のほうが笑顔が可愛い、とか髪がさらさらしてる、とか。
挙句の果てには本人とは全く関係のないストライカーユニットのデザインにまで言及して押し問答する。もち
ろん私はサーニャ派だし、ペリーヌは少佐一辺倒だ。しかもお互い譲る気が欠片もない上にそもそも張り合う
土俵が全く違うからとどまることを知らない。
言葉はだんだん声高になっていって、ひそひそ声に近かったやり取りはいつの間にかいつもどおりの口
ゲンカまがいのそれに変貌していた。

「サーニャのぬいぐるみは可愛いんだゾ!!ふかふかで柔らかくて、抱き心地が最高なんダ!!」
「それを言ったら少佐のカタナだって!!あの美しい曲線美、繊細な造形…思い出すだけでうっとりしますわ!!」

いつの間にかはあはあとつく息まで感じるほど私たちは近づいて、向かい合って、互い掴みかからんと
していた。

「うっせー、このツンツンメガネ!!!」
「ヘタレに言われたくありませんわっ!!」

この、少しは気にしてることをっ!!もう許さんと手を伸ばしてその襟首を引っつかむとペリーヌもまた、
同じようにして…その瞬間、はっとした。いつの間にやら外からは月の明かりが差し込んできている。それに
照らされて、互いの姿が見えたのだ。
まるで子供のけんかみたいだ。本人がいるわけじゃないのに、けなされたわけでもないのに、こんなに熱く
なってつかみ合う寸前までいって。
それが滑稽で仕方がなくて思わず噴出すと、やっぱりペリーヌも同じ事を思ったようだった。…なんだか、
私とこいつのほうが似たもの同士みたいだ。絶対に肯定はしないけど。その様子が妙にツボに入って、
ひどくおかしな気分になって、あはははは、と声を上げて笑う。それが伝播したかのようにペリーヌも笑い
出す。なんなんだよもう、よくわからないけど、おかしすぎる。
しばらくそうして二人で笑いあって…そしてふと、やっぱり同時に笑いが絶えた。



383 名前:「mix-turegret」-5 21X2w2Ib 5/5:2008/11/13(木) 03:27:57 ID:Q0vZH/Sk

「…わたくし、あきらめないことにしましたの。」
何を、なんていちいち聞かない。どうせきっとこいつと私も似たもの同士なんだ。考えていることだって、同じに
決まってる。
「あのあとすごく後悔しましたから。…少佐には何もしていないはずなのに、嫌われてしまったような気分だった」
「……ソリャ、かわいそうにナー」
「…同じだったくせに」
「……シラネ」
「素直じゃありませんこと。…とにかく、安易な道には逃げたくありませんの、もう」
私は安易な道なのかよ、と突っ込みたい気持ちで一杯だったけれど、せっかくペリーヌが自分の決心を
話しているんだ、何も言わないでいてやる。私と少佐がペリーヌの言うように少し似てて、で、少佐のほうが
『ずううううううっと素敵』なんだったらそりゃ、私は『安易な道』ってやつだろう。少なくともペリーヌにとっては。

「だからエイラさん、あなたも」
「私?」
「さっさと行ってくださいな。馬鹿みたいなこと気にしないで、まっすぐ、行けばいいじゃありませんの」

そこまで好きなら、ね。
にっこりと笑うその表情を私はあの時と同じように綺麗だ、と思ったけれど私が最後に見た笑顔と似ている
ようで違う、気がする。あのときのようにドキリとなんてしない。後ろめたい気持ちも何もない。…そう言えば、
勢いでものすごいことこいつにいっちゃったんだな、サーニャ本人にだって言ったことがないのに、なんて言う
気恥ずかしさはあるけれど。

「…そう、ダナ。ありがとう、ゴメン、ペリーヌ」
立ち上がって、お礼と、謝罪の言葉を述べる。見上げてくるペリーヌが目を丸くして、直後に顔をしかめた。
「それはこちらの台詞だと思いますけれど」
「?そうなのカ?まあいいジャン」
「あなたがそう言うなら、まあ…」

自分でもてるだけの掃除用具とゴミ袋を持って部屋を出る。とりあえずこれを処分して、あとは風呂に行こう。
んで、いろんなこと洗い流そう。
…そうしたら、サーニャに会いに行こう。言わなくちゃいけないこと、たくさんある。なんてったってこの数日
まともに会話も交わさなかったのだ。もし失敗してサーニャが口を利いてくれなかったりしても、たぶん
ペリーヌが愚痴に付き合ってくれるだろ。ここまで来たらとことん巻き込んでやる。

じわじわと胸の奥から染み出してくる染み出してくるここ数日間の心地よい疲れに大きくひとつあくびをして、
窓の外を見る。すっかり暗がってしまった空に、ああやばい、サーニャが夜間哨戒に出掛ける前に戻ら
なくちゃ。そう思い立って足を速めた。


(続く)
―――
以上です。すっかり遅くなってしまい申し訳ない
本編あと1つに別視点の番外編2つで完結の予定です。
保管庫で読み返す気も失せるくらい長ったらしいですが最後までお付き合いいただければ幸い

これ終わったらいつぞやの「小さくなってしまっタ」でも文章に起こしたいなあ



384 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 03:59:16 ID:ze9VnPX7
>>383
よかった、もう続きないのかと半ば諦め掛けてたが待ってたかいがあった!!

これで、エイラとペリーヌは仲直りですね、裏方がどう動いたのかも気になります。
続き、及び番外編期待して待ってます。

385 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 08:41:41 ID:PaUecqIu
>>383
ずっと待ってたよGJ!続きを早く!仲直りしていちゃいちゃするえいらにゃを!!

386 名前:21X2w2Ib:2008/11/13(木) 08:57:37 ID:Q0vZH/Sk
うおお、朝起きて読み返したらものすごい誤字が…
>>383の最後の段落の最初の文で「染み出してくる」がひとつ多いです申し訳ない
保管の際は修正してしていただけると嬉しいです

>>384-385
レスありがとう!眠る前に考えてたら番外編がもうひとつ増えそうだが頑張ってみる
えいらにゃいちゃちゃは12割増しぐらいで…がんばる
せっかくだから自分の好きなものとことん詰め込んでみようと思います

387 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 10:36:20 ID:IaTWuPvb
ゲル『トルート』→トゥルーデ
坂本がもっさんになるような感じダナ
無粋な突っ込み失礼

388 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 10:40:05 ID:XFqyhnWU
Gertrudのtrudを取ってトゥルーデかな
日本語喋ってるけど設定じゃ英語圏だしちょっとわかりづらいよね

389 名前:21X2w2Ib:2008/11/13(木) 11:01:20 ID:Q0vZH/Sk
フォローサンクス、>>380の最初辺りのことだよね
ミーナ隊長はともかくエイラたちは普段「バルクホルン」って呼んでるから
たまに混乱してるんじゃないかと思ってああ書いた
エーリカ→フラウもそうだけどそっちは普段は呼ばれないだろうから

ついでに亀だが>>355に死ぬほど萌えた…!いいエイラーニャをありがとうGJ!

390 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 14:26:08 ID:91we64VC
じっちゃんの復帰はまだだろうか...。
やっぱいないと寂しいな。

391 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 16:42:02 ID:by7s1wk6
本人が暫く離れるって言っているんだ
俺らがどうこう言う話じゃないだろう

今はまだほとぼりが冷めてないし
今帰って来ても、変なのが最近粘着しているから無理して呼び戻すのも迷惑だろう
今は新しい職人さんが増えるのを楽しもうぜ


392 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 16:53:18 ID:ynNqm8l/
しかしシャッキーニ分が足りないと俺が困るw

自分で書けってことですね、わかります。

393 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 17:00:00 ID:Wu+geuvB
シャーリー×ミーナ的なものを書き始めたら、なぜかシャーリー×ミーナ+美緒になってきた。
んで、もしかしたらミーナ+美緒×シャーリーになるかも?
どんなだよ…書いてる自分でもわけがわからんw

394 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 18:11:00 ID:HXHZUapl
それはシャーリーのわがままボディを隊長ズがいいように弄んでるって介錯でよいか?<ミーナ+美緒×シャーリー

395 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 19:07:43 ID:eDQGgQfm
シャッキーニといえば今朝とてもおかしな夢を見た。
ちょっと話は遠回りになるけど、ザ・アンカーと聞いて果たしてどれくらいの人がピンとくるだろうか。
福本伸行の零という漫画で今やってるアレのことな。
今俺がすげー大雑把に説明すると、だいたいこんな感じなゲームなの。
ゲームの参加者は3人で、その3人は手足を拘束されて川の字に寝かれるの。
それだけならまだいいんだけど、なんとその3人の頭上には巨大なイカリが振り子みたいにブンブンしてんの。
それだけならまだいいんだけど、そこで参加者は順番にクイズに答えなきゃいけなくて、
クイズに不正解だとイカリがだんだん下がってくるの。もちろんブンブン振り子みたいに揺れて。
で、そんなんがもし頭に当たったら死ぬじゃん。でもこれはそういうゲームなの。命をかけた。福本漫画だから。
こんな説明じゃわかんねって人は今週なり最近のマガジン本誌を読んで貰えば、まあ雰囲気くらい掴めると思う。
で、ようやく俺の見た夢の話なんだけど、なんかそのなかで俺は小太郎のポジションなの。
あ、小太郎ってのはクイズを出題するDJな。で、俺がクイズを出題すんの。
で、誰にかっていうと、参加者は左からゲルトとシャーリーとあと1人はたしかペリーヌだったの。
で、3人は寝かされて、その状態でクイズに答えていくの。
で、シャーリーは正解しまくるんだけど、ゲルトとペリーヌが足を引っ張りまくるの。
ここまでは零と同じ展開。配役でいえばシャーリー=零、ゲルト=さくら、メガネ=ペリーヌなんだと思う。
で、だんだんアンカーが下がってくるワケ。でも大丈夫なの。アンカーは鋼鉄のイカリじゃなかったから。
じゃあ鋼鉄のイカリじゃないならなんなんだっていうと、それはルッキーニだったワケ。
つまりロープにルッキーニがくくられてて、振り子みたいにブンブンしてんの。ブンブン。
で、ルッキーニはそうしてブンブンした状況でめいいっぱい手を伸ばしてんの。3人のおっぱいに向かって。
このまま下がりきったら3人とも揉まれるなってなって、紆余曲折の末にとうとうそうなったの。
ペリーヌは助けてって俺にすがるの。当然俺は無視したけど。
でもゲルトは潔くて、私がルッキーニを受け止めるからお前たちは大丈夫みたいなことを言うの。
で、アンカーが下がってゲルトのおっぱいはルッキーニを受け止めようとするんだけど、
なんかまだ距離が2センチ足りなくて、結局空振りすんの。
で、ルッキーニはそのまま通過して、次は隣に並んだシャーリーのところにくるの。
そうしてやってきたルッキーニの指先は、シャーリーのおっぱいをとらえるの。まあいつもどおりの風景。
なんでこうなったかっていうと、それはたぶん胸のサイズのせい。
3人は命からがら救われた、でも依然絶体絶命のピンチ、でもまだ撃墜されたわけじゃない、
ここから反撃開始でどうなる、ってとこで結局目が覚めた。
あ、オチはないです。夢分析的にどうなんでしょう?入院した方がいいですか?

396 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 19:32:04 ID:QWjeBTF9
  三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ  何故ここまで放置したんだ!
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ ←>>395
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll

397 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 19:49:50 ID:ERTeUtk1
>>395
またおまえかwwww

398 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 19:53:43 ID:kRzLvnFd
まんま今週号の展開じゃねーかw

399 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 20:56:00 ID:Yj89oJjk
久しぶりにスレきたら
次ぎスレになってて連載とか忘れたから
最初から読み直したりで結構時間かかったが追いついた

とりあえずみんなGJ
そしてエイラーニャ大勝利に一人舞い上がってる

400 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 22:00:04 ID:IXZ86uOE
21X2w2IbさんGJ!!
久しぶりの投下で嬉しい限り実は毎日あなた様の投下を楽しみにしておりました

でも名無しの一本があなた様の作品ではないかと疑ってますよ…違ったらすみません

401 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 22:14:04 ID:X+QbdsBY
>>395
これはこれで、ひとつの作風と言っていい。
つまり>>395は職人。

402 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/13(木) 23:20:26 ID:3fwEWz26
エイラとサーニャがスオムスに行った後ってサーニャが
同胞と仲良くしてるエイラを見てめちゃくちゃ嫉妬しそうだ


403 名前:zet4j65z:2008/11/13(木) 23:20:32 ID:GFxCak+6
会社からは書き込めないんで読めても返事がかけないのがもどかしい。
みんなGJ!

>>395
まず入院する前に夢分析ドクターの登場を待つんだ。
話はそれからだ。

>>363>>370
返事ありがとうございます。了解っす。書きあがったら直接投下します〜

404 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 00:18:05 ID:Ps5loSA8
呼ばれた気がしたのでのこのこ出てきました。この前例の夢分析を行った人です。
もうどうでもいいかもしれませんがマジレスさせてください。
>>395の中で重要なのは、心象風景の中心にあると思われるルッキーニの行動だと思われます。
振り子のようにぶら下がっていると言うことですが、宙吊りになったり、ブランコに乗ったりする夢は、
文字通り宙吊りになって足が地に付かないこと、すなわち一進一退で少しも進歩のない状態を示しています。
たとえば、病気が少しも回復に向かわないときや、仕事や勉強の成績が思うように向上しないときなどに、
こういった宙ぶらりんな夢を見ると言われています。

これをあなたはあくまで客観的に見る立場にある、そしてぶら下がっているのがルッキーニということは、
あなたがルッキーニに対して、「どう対処すればいいかわからない」、
このスレ的に解釈するなら「どう百合ん百合んにすればいいかわからない」といった印象を抱いていることを示しています。

そしてそのとき関連する記憶として真っ先に出てきたのが下にいた3人であり、
特に夢から覚める(次の夢に移る)きっかけとなったシャーリーがこの思考に強く関係していると考えられます。

ここから結論を導き出すと、あなたはシャッキーニ派の方なのではないでしょうか。
そしてシャッキーニと言えば、このスレの初期から綿々と続いてきた滝川師範による潤沢なシャッキーニ分が、
ついこの前からぱったりと途絶えています。
つまり、自分の妄想力では元々カバーできていなかったシャッキーニを補っていた滝川師範のSSが突如として途絶えたことにより、
シャッキーニでどんな妄想をしていいかわからなくなり、
その結果自分の中でルッキーニがシャーリーとどうイチャイチャさせればいいかわからない、
すなわちルッキーニの立場が"宙ぶらりん"、と言うことなのではないでしょうか。
要はシャッキーニ分が足りない、と。

以上、駆け出し精神物理学者による夢分析でした。SSでもないのに長文すいません。
ついでみたいでなんですが、全部読ませていただいています。GJ!!

405 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 00:27:03 ID:7qic465Z
>>404
驚嘆したときの叫び、すなわち「SUGEEEEEEEE!!!」という言葉を送らせてもらおう!!
長文なのに面白く読めたよw

406 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 00:36:35 ID:+APwHnRp
以前書かれたシャーリー×リーネinハンガーのSSを読んで妄想。

ある日の午後。ハンガーにて皆のストライカーのセッティングをしているシャーリー。傍らではルッキーニがおとなしく見物している。そこへ芳佳が差し入れにおにぎりを持ってくる。
しかしシャーリーの手は油まみれ。そこで芳佳、「はい、あーん」とおにぎりをシャーリーの口元へ。シャーリーもすぐ芳佳の意図を察し、大口を開け芳佳の手からおにぎりをぱくり。
それを見たルッキーニ、「あーんずるい芳佳、あたしもそれやるぅ」と駄々をこねる。
ルッキーニ「はい、シャーリーあーんして」
シャーリー「ハイハイあーん」(ウサギの餌やりかっつーの…)

…いや、この程度の妄想、ここの住人ならナンテコトナイんだろうが、問題は仕事中に、浮かんできて困るってことなんだ。
スレ汚しスマンかった。


407 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 01:19:30 ID:gyXHru6k
最近ここの職人さん達のおかげで
自分の中のゲルト株が急上昇中
ヘタレもいいが、誰かカッコいいゲルトを書いてくれ

408 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 02:01:12 ID:1Y0aDhz7
かっこいいゲルト×ミーナ
かっこいいおねえちゃん×芳佳
かっこいいトゥルーデ×エーリカ
かっこいい副長×もっさん
かっこいい堅物×リベリアン
:
:
:
:
けっこうあるじゃないか



409 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 02:11:49 ID:ftxGiSd3
>>406
さぁそれをSSにする作業に(

410 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 02:35:11 ID:FylYDnZk
普段は真面目で堅物で、部隊の皆からクールでカッコイイ姉さんと思われてるゲルトさん。
でも、ミーナ隊長の前だと甘えん坊で女の子なゲルトさん。

個人的にはこんなイメージ。

411 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 02:55:15 ID:HHiUTueY
もう自分の中ではゲルトは変わり者キャラが定着してしまった...w
それくらい7話と最終話のゲルトは印象強いなwwしかしそこがまた良い

412 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 04:23:55 ID:J0FWa3UU
エイラーニャ絵を描いてたらこんな時間になってしまった俺を罵ってくれ
やべえよ、もう自分で描いた絵見てニヤニヤするようになってしまった
エイラーニャのせいということにしておこう・・・

413 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 07:24:51 ID:N5gJAPSF
はやくアップロードする作業に戻るんだ

414 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 07:34:00 ID:uBiBZPdU
DVD4巻のジャッケトを見ていまだにニヤニヤする俺をどうにかしてくれ

415 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 08:31:00 ID:vTqy2llW
>>404
またおまえもかwwww

416 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 10:18:08 ID:0M6gzcLx
>>395 404
お前らグルだろw
どう考えても今週のマガジンのネタを真面目に分析しちゃうなん・・・
はっ!これって新しいカップリング!?

417 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 12:14:55 ID:exNb+Hfb
ゲルトお姉ちゃんのいろんな事実を知って本スレの妄想とか此処のss読みまくってから2話の顔だけ初登場シーンや3話の『新人…』とか4話の最初のほうの素っ気ない様子とか見るたび笑いが込み上げるようになってしまった。
どうしてくれよう

418 名前:いちばん1/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:26:25 ID:K6SeNmBL
>>331ロリコンビのひとキター!?あれにはニヤニヤニヤ(ry)させていただきました
こうやってもっとシャーゲルが世に認められればいいな!

ほかの方もレスありがとうございます。ゲルト攻めってありなのかなあとちょっとドキドキだったので好感触のようでうれしい
ところでシャーリーの受けは母性あふるるエロチシズムがたまらないと思うんだがどうか

で本題なんですが、>>372のエーリカに禿萌え、気づいたらえらく長い文を書いてました。というわけで>>322の後編できてないのに投下します
図らずもドロップシリーズのその後ような要素が含まれたような気がしなくもないですが単体で読めるはず
シャーリカとかゲルトマンとかシャーゲルとかそんな感じ


 早朝に、ノックの音。それから間をおかずにドアがひらく。トゥルーデだと思った。まだねむいよ。おこしにきたのだろう
訪問者の先手をとるけど、いつも朝からありえないほど声のおおきいトゥルーデが、きょうはなにも言わない。だんまりを
きめこんで、わたしが顔をあげるのをまっているみたい。へんなの、とぼんやり不思議に思って、それでもねるすき間も
ないくらいちらかったベッドのとなりの床でまるまったまま、目はあけない。トゥルーデにたたきおこされないとね、それこそ
朝のあいさつみたいなものだもん。

「話にはきいてたけど、ひどいもんだねえ」

 そうやってのんきにかまえていると、急に声がした。聞き覚えのある声で、ただしいま聞こえるのはありえないはずの。
自分でもびっくりするほどいきおいよくうつぶせていたからだをおこすと、やっぱりそこにいたのは予想外にもほどがある
人物。

「あたしも片付けはきらいだけど、おまえにはかないそうにないな」

 くっくとおかしそうに笑う、シャーリーがそこにいた。ドアのわきの壁によりかかり、腕をくんでわたしをながめている。

「え……なに」
「おこしにきたんだけどね。言われたよりはあっさりした起床だこと」

 ゆっくりと、寝ぼけきった思考が冷静になってゆく。おこしにきたんだって。言われたんだって。なんで、と思う。おかしいよ、
なんでシャーリーがきて、トゥルーデはこないの。唐突にしずかな怒りがわいてきて、わたしはドアのほうからからだを
そむけて、わけがわからなくなっているベッドのうえにのっかってるものの一部を床におとして、かわりに自分のからだをのせる。

「わたしはいまシャーリーがとてもきらいなので、近づくのは危険です」
「おいおい、近づくのも、のまちがいだろ」

 離れてても危ないよ、おまえは。たのしげに聞こえる声をシーツにくるまりながら無視する。でてってくんないかな。ぼそり
とひとり言をつぶやいて、それがあっちに届いていればいいと思った、だけどわたしは、絶対にむこうには聞こえない声量
しかつかわない。

「こら、二度寝は禁止だ」
「しらないよ、そんなの」
「しらないじゃない、ちゃんとおこさないとあたしがあとであいつにどやされちゃうじゃないか」

 やれやれ、といったふうにシャーリーがぼやいて、なにげないそれは見事にわたしの逆鱗にふれた。もうふれまくったね。
気づかぬうちに、手元にあったなにかをつかんで投げていた。方向も速度も良好。ばふ、とまぬけな音がして、そのつぎには
ぱさと床におちる。よけようともしなかったシャーリーは、ぱちぱちとまばたいてから自分の鼻筋に命中した、いまは足元に
よこたわる枕を見おろした。

「……いやはや。枕でよかった。時計とかだったらいまごろ顔面が血まみれに」
「よく言うなあ。もしそうならあっさりよけてたくせに」

 邪気にまみれた返答に、シャーリーがわずかにおもしろくなさそうな顔をする。それからやわらかい枕をひろいあげ、
ひょいとわたしになげてわたす。だけどそれは、受けとる気のないわたしの膝のうえで一度はねてから、また床におちる
だけ。かわいそうなやつ、どれもこれもシャーリーのせいなんだよ、あとでなでたげるから許してね。

419 名前:いちばん2/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:27:26 ID:K6SeNmBL
「……あいつなんて、なれなれしい呼び方するなよ」
「なれなれしくはないだろ、べつにふつうだ」
「きらい、シャーリーなんて」

 枕を見つめたまま会話した。まだ完全にはすっきりしていない頭にまかせて、失礼なことを言う。でも本音。だって、
だってシャーリーは。

「あのさ」

 あっさりした声。同い年なのにずっとおとなびた声。逆にわたしは態度からなにからただのこども。見た目だって年より
おさなくみられてばかりだ。べつにどうでもいいことなのに、シャーリーのせいでそんなくだらない違いがいたいくらいに気
になる。

「べつにここにきたのはあいつ、……バルクホルンにたのまれたからとかじゃないぞ、言っとくけど」

 わざわざ呼び名を言いなおして、シャーリーがわたしに近づいてくる。きょうはあたしがおこしたいって言ったんだ、
すごくへんな顔されちゃった。ばさばさと音をたて、さっきのわたしを真似てシャーリーがベッドのうえにスペースをつくり、
腰かける。わたしのとなり。そのあいだもわたしは枕ばっかりをながめていた。それはもう穴があいちゃうんじゃないかと
思うほど。だけどそんなことはないし、いつかは顔をあげなきゃならない。

「最初は、それは私の仕事だってね、きいてくれなかったけど。そんなにハルトマンをおこすのがすきなのかって言ったら、
そんなわけないだろうってさ。すなおじゃないんだ、そのうえ意地っ張りだから、あたしはまんまとやつの仕事をよこどり
できたわけ」
「なんでそんなことすんの?」
「そりゃあおまえ」

 なんて不要な質問をする、とでも言いたげに、シャーリーが肩をすくめる。おまえに言いたいことがあるからさ、と、さも
迷惑そうな顔が言うのだ。

「こわいんだよおまえ。殺気とばすくらいならかまわないけど、最近は物理的な攻撃までしかけてくるじゃないか。ひとの
背中めがけて紙くずとか……小石とかな。そういうの投げつけるくらいなら、百歩ゆずってよしとするさ、だけどな、鉢植え
はさすがに危険だ、あんなの頭上からおとされてもしあたることがあったら、しぬぞ。あたしだって人間なんだぞ」
「だってシャーリーむかつく」

 どんなにせつせつと語られても、かえすことばはそれだけ。実際それだけなのだ。ほかに言いわけなんて存在しないし、
したって言いたくない。シャーリーは泥棒だから、それっくらいされて当然なのだ。

「むかつくからひとをころしていいのか、いいわけないだろ」
「うえー。説教しにきたわけ? そんなのトゥルーデでたりてるんでけっこうです。そもそもあたらないようにやってるから
だいじょうぶだよ」

 背をむけて、せまいベッドにまたもぐりこみながら言ったら、シャーリーがため息をつく。おまえはなにが不服なんだよ。
わかりきった質問が聞こえる。無視だ無視、もうこたえてなんてやるもんか。おやすみ、とだるそうな声をつくってでていく
ようにうながした。

「あたしばっかりがバルクホルンとセックスしてるのが気にくわないって?」
「…ふっ…結局自慢しにきたわけね」

 それだというのに、やっぱり挑発にはのってしまう。頭までかぶせたシーツから目の位置までをはみださせて、にらんだ
さきではシャーリーがあきれた目で見おろしている。

「自慢なんかになるかね」
「じゃあなんだってのさ」
「おまえはさ、あいつとそういうことしたいわけ?」
「ノーコメント」
「……」

420 名前:いちばん3/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:28:11 ID:K6SeNmBL
 ふむ、とシャーリーがわざとらしい思案顔をつくる。それから急な動きでシーツをはがされて、ぎょっとしているうちに顔
の両側に手をつかれた。部屋の窓からは朝のひかりがさしこんで、それをさえぎるようにシャーリーの髪がゆれている。
仮定の話をしてみようか。にわかな展開にまばたきをするけど、シャーリーはよくわからない解説をはじめるだけ。

「壮大なね、もしもの話だ。絶対にありえないけど、もしそうだったらってこと。……おまえらが、ハルトマンとバルクホルン
が、両想いだったとしたらの話」

 どきとした。にらむようにつめたくながめられて、それをなんとか見返してわたしはつぎのことばをまつことにする。ばさばさ、
と音がした。ベッドのうえからまたなにかがおちたみたい。ああ、またちらかった。片づけがたいへんだ、わたしがじゃないよ、
トゥルーデがさ。

「……もしそうだったとして、いまとなにがちがうんだろうね」

 ひどくもったいぶったことば。まちくたびれて、それなのに全然腑におちない。

「どういう意味?」
「バルクホルンは、そう仮定したって絶対おまえに手をだす気はないってこと」
「な……」
「根拠の有無なんてレベルの話じゃない、あいつを見てればわかる」
 
 言いかえすまえにつづけられる。すこしこわいと思った。なんでシャーリーが怒ってるんだろう。なんで、悪いはずの
シャーリーがこんなにこわくて、かわいそうなはずのわたしがこんなにおびえているんだろう。

「ハルトマン、おまえだってそうだよ。あたしとあいつがどうにかなりそうだってわかってて、おまえはただ指をくわえてた
だけ。あたしのことにらむひまがあったら、無理やりにでもおしたおしとけばよかった話だろ」
「なんだよ……なんだよそれ」
「それってプライド? 自分からいくのはいやだったって? それとも……意外だな、乙女心ってやつかい?」

 にやといやらしい笑いをうかべられて、かっと頭に血がのぼる。咄嗟に手がのびて、その胸倉をつかんでよこに投げる
ようにふった。シャーリーは不意打ちの反撃に対処もできないで、そのままベッドからころげおちた。ばたん、という音と、
いでっ、というまぬけな声がひびく。

「……いたいよ、ハルトマン」
「シャーリーって、じつは性格悪かったんだ」
「おまえに言われるとちょっと否定したくなるな……」
「ねえ、そんなこと、言われなくてもわかってたよ」
 
 もう見おろすやつはいないから、わたしは顔を両腕でおおった。

「トゥルーデは、わたしのこと絶対にそういうふうには見ないんだ」
「大事なんだよ、おまえが」
「……へんなこと言わないで」
「ほんとのことさ。なんだよ、しらなかった?」

 ひょこ、とシャーリーの頭がベッドのしたからとびでてくる。打ったらしい後頭部をなでながら、きまりの悪そうな笑い方を
している。

「ごめんな、やつあたりしちゃった。バルクホルンってば、おまえのことばっかりなんだ。ハルトマンがハルトマンがってね。
そんな話しかしないくらい」
「……うそだよ、そんなの」
「まさか」

 あたしは自分が得する嘘以外つかないよ。床にあぐらをかいて、シャーリーがやってられないと肩をすくめる。

「あんまり大事だからさ。そういうふうに見ようなんて、思いつきもしないんだ」

 さとすように言いきかせるように、シャーリーはまるでルッキーニにするように、きっとわたしをながめている。だけど
わたしは、話をしているひとの顔を見れそうになかった。なんだよ、急に今度はやさしい声をだしちゃって。そんなの、
全然うれしくない、言ってることだって、全然、信じてなんかやらないんだ。シャーリーはわたしからトゥルーデをとった
悪者だから、絶対に。

421 名前:いちばん4/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:28:47 ID:K6SeNmBL
「……うわあん」
「へ、は、ハルトマン」

 なのに、なんでこんなに涙がでてくるんだろう。いままでトゥルーデに相手にされなくて悲しかったことなんて山ほど
あっても、ないたことなんてなかったのに。何回だっておしたおしたよ、それでどうにかしてやろうって思うのに、わたし
がなにをしようとしてるのかもわかってない顔するんだ、わたしと、そういうふうになるなんて、トゥルーデは想像も
できないんだ。それは本当に、わたしのことがどうでもいいからだって思っていた。それでどうして、こんなやつにわたし
のほしかった答えをもらわなくちゃならないんだよ。そうだよ、こんなの、なかずにいられるわけない。

「シャーリーなんてきらい。わたしにトゥルーデかえしてよ」
「ばか、話聞いてなかったのかよ」
「聞いてたよ、そういうふうに見てもらえたシャーリーの勝ちなんでしょ」
「ほらね聞いてない、だからさ、結局あいつのいちばんはおまえだって話をしてんじゃないか」

 かえすもなにも、ずっとおまえんとこにいるよ、おまえの親愛なるトゥルーデはな。シャーリーが、言いにくそうな、
言いたくなさそうな顔で口をへの字にして、そしてぽかんとしてしまった私のみじかい毛先を爪でくすぐって、きっと
ぐちゃぐちゃになっている目じりを親指のはらでなでる。

「かわいい顔しちゃってさ。……みじかい間だけど、ちゃんと見てたよ。バルクホルンは、あたしのことなんかより
おまえのほうが、ずっと大事なんだ。いつかあたしのことをほうりだすことがあったって、おまえのことは絶対必死に、
はなさないよ」
「……なんで、そんなことないよ」
「ふ、なんだよ急に。なぐさめてくれるんだ?」

 なぐさめているのはそっちじゃないか。本気みたいな顔をして、わたしのほしいことばをつくってるんでしょ、そう
じゃないと、困るんだ。だってトゥルーデは、わたしのことなんてどうでもいいはずなんだもの。シャーリーがふと身を
のりだして、寝そべるわたしにかぶさる。

「あいつは、ハルトマンのなまえをよぶときにね、目がすごく、おだやかになるんだ。たまにそれに気づいたら、
……たまらなく妬けるよ」

 台詞とは裏腹に、シャーリーこそ不思議なくらいおだやかにわたしを見おろして、それはやっぱり同い年のもの
とは思えない。すごいと思った。シャーリーは、根っこから全部がやさしくて、一瞬だけ、トゥルーデにはもったいない
んじゃないかと感じてしまうほど。そう思いついてしまった自分が急にくすぐったくて、手をのばして目のまえのほほを
つねった。

「いで、なに」
「ねえ、トゥルーデは、シャーリーのことなんて呼んでるの?」
「は、なんだよ急に」
「だって気になる。わたしのまえでは、文句ばっかり言ってるよ、リベリアンのやつはありえない、信じられないって、
いっつもいらいらした顔してる」
「ああ…、そう。そうなの」

 力のない笑顔をうかべて、ははとかわいた声で笑う。でもたまに、ちょっとたのしそうに、まったくしょうがないやつ
だって顔で愚痴を言うから、それはちょっとおもしろくないんだ。だから、それは秘密にしておこう。わたしはシャーリー
みたいに太っ腹じゃないから、言わなくていいことまで言わないの。

「ふたりのときもリベリアンなわけ、そんなことないよね」
「あー…、べつにどうでもいいじゃん」

 勘弁してくれ、とシャーリーがお手上げのポーズをしてわたしからはなれてあぐらをかきなおす。わたしも身をおこして、
それからベッドのしたのすこしだけ照れた顔をした悪党を見おろす。あんまりおもしろい表情をしているからじっとながめて
いると、観念したらしいシャーリーが視線をおよがせてほほをかいた。

422 名前:いちばん5/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:29:50 ID:K6SeNmBL
「えっと、まあ、しゃ、シャーロット? とか?」

 目をあいかわらずそらしながらへらりとなんでもないような薄ら笑いで言って、だけどほほはピンクに染まっているのが
もうしわけないけどおかしくてしょうがなくて、あははって声あげて笑っちゃった。そしたらシャーリーは苦い顔でだまりこんで、
それでもやっぱり顔の色はおちないままだから笑いもとまらない。

「シャーロットだって。あっははは。想像しちゃった。トゥルーデがシャーロットって」
「おま、ひとが恥をしのんで教えてやったってのに」

 信じられん、と顔を赤くするシャーリーを無視して、腹をかかえて足をばたばたさせて浮かれて、やっとおさまってきたころ
にもうひとつ質問。

「シャーリーはなんて呼んでるの?」
「べつに、ふつうにバルクホルンって」
「えー。トゥルーデってその呼び方あんまりすきじゃないのに」
「え…、そ、そうなの? でもみんなそう呼んでるじゃないか」
「そりゃあただの同僚からとか仕事中とかならそうだろうけど。わたしだってほんとはそう呼べっていつも怒られてるんだ、
無視するけどね」
「なんだよ、あいつそんなこと全然……あれ、もしかしてまえになんかぶつぶつ言ってたのって……」

 なにやら思いあたることがあったのか、シャーリーが必死に記憶をたどろうと口元に手をやって考えこむ。それを見ながら、
わたしはどんどんたのしくなってきた。なんてことだろう、いままで自分勝手にいらいらしてて気づかなかったけど、トゥルーデ
のことをすきなシャーリーって、なんておもしろいのかしら。

「トゥルーデって呼べばいいじゃん。意外と気にいってるみたいよ、この愛称」
「え、いやそれは、ちょっとなあ」
「なんだよー。なにが気にいらないわけ?」
「気にいらないっていうか……」

 一瞬だまりこんで、それからぽそとつぶやく。あたしが呼んでるのに、あたし以外のこと思いだされたらいやじゃないか。
そしてすぐに、失言したって顔で口もとをてのひらでおおう。

「はあ?」
「だ、だからあ。それっておまえや中佐の専売特許だろってこと」

 なに言わせんだよ。シャーリーがうらめしげにわたしを見る。……えっとつまり、その呼び名はわたしやミーナしか
つかわないから、そう呼ばれたらわたしたちのことが思いうかぶんじゃないかって、そう言いたいのか。

「あは、なになに。シャーリーなにかわいいこと言ってんの。おもしれー」
「うっさいなあ。あたしはもとからかわいいの」
「あ、ごめんその冗談は笑えない」

 気づいたら、普段どおりの軽口をたたきあっていた。最近はちょっとぎくしゃくしてたけど、本当は、わたしたちはけっこう
なかよしなのだ。だから、ちょっとずつ調子がもどってきてほっとした。それはきっとシャーリーもいっしょのはずだった。
だって、ちょっとふてくされてる表情のはしっこに、すこしだけ、うれしそうな色が見えるんだもの。

「さて、もういくぞ。朝食の時間もうすぎてる」
「えー、まだねむい」
「おいおい……」

 シャーリーがたちあがり、それから思いついたように床にちらばったあれやこれをひろいあげる。

「あー。べつにいいよ」
「でもこのへんはあたしがベッドからおとしちゃったやつだし」
「いいってば。ここのそうじは、トゥルーデの仕事なの」

 ふふん、と挑戦的に笑ってみせると、シャーリーはおや、という顔をする。それから肩をすくめて手にもったものをぽい
とすてた。だけど枕だけはこちらにひょいと投げかけて、わたしは今度こそそれをキャッチする。

423 名前:いちばん6/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:30:30 ID:K6SeNmBL
「あーっそ」

 それからつんとした表情をつくってひとりでわたしの部屋の出口へむかう。ドアをあけ、一歩ふみだしてから、シャーリー
はああそうだとふりかえった。

「きょうね、夜に、あたしの部屋にくるようにって約束してるんだ」

 だれと、だなんて言わずもがな。なんだよ、いまさらそんなふうに挑発したって、全然きかない。そりゃあ、返事なんて
したくないくらいにはおもしろくなかったけどね。むっと口をとざしていると、シャーリーはなぜかまだつづける。

「……しかし、おまえのこの部屋はやっぱりきたなすぎるよ。今夜にでも、バルクホルンにてつだってもらってそうじしたら?」
「……」

 は、と、シカトをするつもりだったのに声がでてしまった。なんだよ、いまさっき、きょうの夜はトゥルーデと約束してるって
言ったじゃないか。理解できないでいると、ふっとシャーリーがほほえむ。

「じゃ、さきいってるから」

 さらには密かに華麗にウィンクまでされて、わたしは余計に混乱した。ひらりと手をふって、シャーリーがドアをしめる。
のこされて、わたしはやっぱり、首をかしげた。

---------

 ノックの音。そのつぎにはハルトマン、と、本当は朝のいちばんに聞くはずだった声。ぎくりとしていると、ドアは勝手
にひらいてしまう。

「なんだ、おきてるじゃないか」
「……トゥルーデだ」

 シャーリーがでていってからほぼ間をおかずに、今度は本命が登場した。あんまりおそいからむかえにきたんだ、
そしたらすぐそこでリベリアンと会って、自分じゃ手におえないからとまかされたんだが。聞いてもいないのに説明を
して、それからトゥルーでは腕をくむ。

「おきているならはやくこい。もうそろってないのはおまえだけだぞ」
「……」

 なぜか頭がはたらかなくて、いつのまにかそばまできていたトゥルーデをぼんやり見あげ、するとくいと腕をとられる。
だけどわたしはたとうとしないで、かわりにわたしも腕をつかんでいた。

「エーリカ?」

 トゥルーデが、思わずというふうにわたしのなまえを呼ぶ。それから怪訝そうにまばたきをしていて、だけれどやっぱり
わたしはなにも言えそうにない。しばらく見つめあってだまりあって、それがすこし気まずい。

「……フラウ?」

 ふと、ベッドにすわりこむわたしの視線にあわせるようにトゥルーデがかがんで、そしてつかみあった腕をゆする。
どうしたんだって、いつものぶっきらぼうじゃない動きでたずねられて、わたしはそれからやっと涙のあとがのこって
いやしないかと不安になって目もとをぬぐった。うれしなきだったんだぞ、へんな誤解をされたら困るじゃないか。

「……なんでもない」
「そうか」

 あんまりあっさりと、トゥルーデは顔をはなれさせる。まって。思わずつぶやくと、じゃあはやくたてとそっけなく言われる。
そういうことじゃないよばか。ちょっとむかついて、さっさと背中をむけてあるきだしてしまったトゥルーデに体当たりをする。

「っわ」

424 名前:いちばん7/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:31:13 ID:K6SeNmBL
 思いっきりぶつかったのに、トゥルーデはたおれない。それが無性にうれしくてそのままだきついて、すると首を
まわして、肩ごしにやれやれって顔をされた。

「……。トゥルーデー」
「なんだよ」
「わたしの部屋、きたないでしょ」
「…、ああ」

 なにをいまさら。そう言いたげなつぶやきをききながら、わたしはこくとつばをのむ。シャーリーの言うとおりに
してやるんだ。

「……だからね、きょうの夜に、そうじするのてつだって」

 一生懸命いつもどおりの声をつくって、なんでもなく甘えてみせる。そしたらトゥルーデはだまっちゃって、わたしは
すっかり不安になって、……。

「なんだ、どうした。頭でも打ったか」

 だけどつぎにはだきついていたからだをがばりとはなされて、肩をゆすられてぎょっとする。このフラウが自分から
そうじの話をもちだすなんて。この世のおわりでも見てる顔が目前にあって、思わずほほをふくらませる。

「なんだよそれー」
「いやだって……いやいや。なんでもない。そうか、そうじ。やっとその気になったか。わかったてつだおうじゃないか、
だがな、いいか、私はあくまでてつだいだ。メインはおまえだ、わかったか、おまえが、ちゃんとそうじをするんだ」

 うれしそうに言いきかせ、だけどつぎの瞬間にははっとしたようにかたまる。今夜。ぼそりとつぶやいて、わたしも
シャーリーのことばを思いだす。約束。トゥルーデはめったなことじゃ約束はやぶらないんだ。

「……用事あるの?」

 想像できるトゥルーデの答えがまちきれなくてたずねて、それなのにおどろくことに、トゥルーデは首をよこにふった。

「いやなにも。すこぶるひまだ。仮に用事があったとして、どうせくだらないことだ」
「……」

 なに言ってんだろうと思った。くだらないって、なんだよ、トゥルーデにとってはシャーリーはくだらないのか。そしてわたし
のそうじのてつだいは、約束をやぶってしまえるほどにめったなことなんだ。大事なんだよ、おまえが。ふと、シャーリーの
台詞がフラッシュバックする。やさしいシャーリーの気づかいのはずのそのことばが、いま現実になって目のまえにあった。
シャーリーはほうりだしたってわたしのことははなさないって、これもきっと、本当なんだ。

「……えへへ」

 ちょっとだけなきそうになった。そうかわかった、わたしはうれしかったらないちゃうんだ。だからわたしはいますっごくうれしくて、
しあわせなんだ。だから一生懸命笑う。そしたら、トゥルーデだってぽんと頭をなでてくれる。

「ねえ、手つなぎたい」
「はあ?」

 返事のまえに手をとって、指に指をからめてやっと部屋をでた。ドアをしめててのひらに力をこめて、するとトゥルーデがため息
をつく。

「なんだ、きょうは露骨に甘えたがりだな」
「きょうはって、いつもはかくれて甘えたがりみたいな言い方」
「ちがうのか」

 すこし困った顔で、そっとにぎりかえされてどきどきした。トゥルーデはずるいんだ、わたしのことをただ大事に思ってるってだけで、
わたしをこんなふうにできる。かわいそうなシャーリー。ごめんね、トゥルーデのいちばんをゆずってあげられなくて。

425 名前:いちばん8/8 j4ntaz3y:2008/11/14(金) 16:36:52 ID:K6SeNmBL
「……おい」
「なあに?」
「そろそろ、食堂につくんだが」
「だから?」
「だからって、あのなあ……」

 はなせ、と言わんばかりに手をゆすられたけど、わたしは無視して、むしろ逆に腕にからみついた。こら、ハルトマン。トゥルーデが、
しかる調子でささやいた。あのねトゥルーデ。わたしは、フラウって言われるのもエーリカって言われるのも、ハルトマンって呼ばれる
のも。トゥルーデの声ならうれしいんだ。だからそんな怒った顔で言ったって、全然無駄なんだぞ。

「見せつけてやろうぜい」
「なにをだ……」

 ぎゅっと、腕にくっつく力をつよくする。もちろんみんなにさ。だけど主には、トゥルーデに今夜の約束をドタキャンされるかわいそう
なひとに。どんな顔するかな、怒るかな、わたしにいらないことを教えたって後悔するかな。そしたら、ひと言くらいはごめんねって
言ってあげよう。だってわたしがいる限り、シャーリーはトゥルーデのいちばんにはなれないんだもの。


おわり

>>372さんネタ拝借失礼ってもかなり方向性かわってるけど
秘め声のゲルトのフラウ守ってやらないと発言をきいてからゲルトマンは一生清い関係なんだろうなと気持ちわるい妄想をしていた結果でした
しかしゲルトのハルトマン呼称の三段活用はずるいとしか言いようがない
シャーゲルでデキていても、ふたりとものいちばんはエーリカとルッキーニ。とかそういうのが割と理想です。あくまで重すぎない関係みたいな

このあと一皮向けたエーリカは最中のシャーゲルの部屋に特攻とか平気ですると思います。しかもついにはルッキーニにおもしろいもの
見せたげるからついておいでとか言ってその現場に遭遇させて、てめえハルトマンルッキーニになんてもん見せようとしてんだこらああああ
ってなるシャーリーを見て大喜び。ずるいずるいあたしもプロレスごっこする!と予想の斜め上をいくルッキーニの反応をみて大爆笑。
ゲルトさんはいったいどうしてこうなっているんだとひとり頭をかかえて涙します。
っていう話をだれかかいてください^^

426 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 17:56:02 ID:vTqy2llW
フラウ>>>(二人っきりの壁)>エーリカ>(カールスラントの壁)>>ハルトマン

ゲルトマンおいしいです^^

427 名前:412:2008/11/14(金) 18:12:03 ID:kb6Gv8fe
誰も描いてくれないから自分で描いた結果がこれだよ!
http://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d485800.jpg

相変わらずマウスなので線とかが微妙・・・どっちもウェディングにしようかと思ったけどめんどくさいのでこれで。
というか俺は貴重な時間を使って何を描いているんだ・・・
だが俺はは『正しい』と思ったからやったんだ。 後悔はない・・・こんな世界とはいえ、 俺は自分の『信じられる道』を歩いていたい。

428 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 18:39:17 ID:B2q9ruST
>>425
GJ!シャーゲルはどこか軽い関係…ってのがいいんだよな
特攻フラウwちょ、ものすごく読みたいじゃないですか!!ぅほへははは!

429 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 19:02:02 ID:WDJP8evh
>>427
お前ちょっと俺のペンタブ(1.5万程度の)あげるからちょっと本気出してみてくれ

430 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 19:08:24 ID:fAwYl28U
15万に見えて俺にくれよと叫びそうになった

431 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 19:17:45 ID:vTqy2llW
ペリーヌもっさんゲルトあたりはすげえ絵が下手そう
シャーリーエイラあたりは結構器用そうなんで上手そう

432 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 19:47:01 ID:+APwHnRp
もっさんはおそらく画伯と呼ばれるレベル。くさなぎ君的な意味で。
ルッキーニは芸術センス高そうな感じ。

433 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:06:05 ID:MsoY2hu3
>>425
水曜投下が多いようだから後編は来週か〜先は長いな〜…と思ってたらこれだよ!!
>>372のようなエーリカ→トゥルーデはマジ萌える
ってかこのシャーリーかっこよくね?掃除手伝わせるなんて
あと名前の呼び方で照れるところが激しくツボでした

ところで、ゲルトさんはクソ真面目だと思うんだ
だからシャーリーとの約束を守るために掃除を2倍速で片付け
シャーリーのもとに駆けつけエーリカ涙目、シャーリー感涙!
俺の脳内ではこうなってしまったwww


たまには私のことも思い出してねって部屋で一人泣いてるミーナさんも浮かんだw

434 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:18:12 ID:N5gJAPSF
>>427
ああ…これだよ…これをまってたんだ…
かわええ…

435 名前:滝川浜田:2008/11/14(金) 20:24:59 ID:ZKDvz9SU
皆さんお久しぶりです。

しばらく離れるって言ったくせに一週間も経たずに帰って来ました。
早いよ!とか言わないで下さい…。
五日ちょっとほど自粛期間を取りましたが、やる事はこれからも変わらないと思います。
そして、レスをくれた皆さんありがとうございました。
自分は非常に挫けやすい性格なので、これからも度々こんな事があるとは思いますが、呆れず付き合っていただけたら嬉しいです。

では、復活一発目、エーゲル投下します。

436 名前:滝川浜田 『貴女色人形』:2008/11/14(金) 20:27:18 ID:ZKDvz9SU


「トゥルーデ」
「エーリカ」

私は少し背を伸ばして、トゥルーデにキスを催促する。
と言っても、私達は別に恋人同士として付き合っているわけじゃない。

なんとなく、キスが習慣になってるだけ。多分、挨拶みたいもの。

おそらくトゥルーデもこのキスには何の意味も無いと思ってる。

…でもね、トゥルーデ。
トゥルーデが思ってるより私、結構意識しちゃってるんだよ……?


――貴女色人形――


食堂で芋を食べながら他愛も無い話をする。
これもいつもの、日常。

「なあ、堅物」
「なんだ」
「お前って恋人できそうに無いよな」
「何を言うかと思えば…失礼にも程がある」
「そういうシャーリーはどうなのさ」
「あたし?あたしにはルッキーニというハニーがいるから」
「自分より年下の少女に手を出すとは…」
「おい堅物、変な事言うな!あたし達は相思相愛なんだよ。
それに臆してちゃ恋愛なんて出来ないって」

…シャーリーのその言葉はまるで私に言っているようで。


437 名前:滝川浜田 『貴女色人形』:2008/11/14(金) 20:30:07 ID:ZKDvz9SU
「ん、もうこんな時間か」
「何か用があるのか」
「ああ、ルッキーニとデートの時間なんだ。じゃあ行ってくる」
「楽しんで来いよ」
「行ってらっしゃーい」

そう言うと、シャーリーは走ってどこかへと消えて行った。

「ちえ、良いなあ、シャーリー」
「なんだ、お前も恋人が欲しいのか?」
「まあね。私も女だし、人並みの幸せは掴みたいわけよ」
「フッ、お前の事を好きになってくれる奴なんているのか?」
「チッチッチッ、トゥルーデ。私は好きになったら押せ押せタイプなんだよ」
「要するに攻めるというわけか」
「そーいう事。だから…」

私はトゥルーデを押し倒した。
下は固い床だけど、そんなの今の私に関係無い。

「…何の冗談だ。エーリカ」
「冗談でこんな事出来る程、私ユーモアなんて無いよ」
「エーリカ…お前も知っているはずだ。私は…」
「知ってるよ。知ってるからこそだよ。…でもねトゥルーデ。
シャーリーはルッキーニのモノだよ。トゥルーデの恋が叶う事は無い。
…悲しいけどね」
「……からかっているのか」
「そんなつもりは無いよ。私はただ、トゥルーデが好きなだけだから」
「エーリカ」


438 名前:滝川浜田 『貴女色人形』:2008/11/14(金) 20:33:22 ID:ZKDvz9SU
「でもね、別に恋人になってとは言わないよ。トゥルーデが寂しい時は私の身体を好きにして良いって事だよ」
「……慰み者ってヤツか」
「そういう事だね」
「……お前はそれで良いのか?
お前が言う関係には、何の愛も無いし、感情も無い。お前は私が好きなんだろう?」
「…私は…トゥルーデと身体を重ね合えさえすれば、それで幸せだよ。
私はただ、トゥルーデの体温を感じてさえいれば、それだけで」
「エーリカ…お前…」

私は、更にトゥルーデに密着する。

トゥルーデの吐息は私を、壊す。乱す。

「ね、トゥルーデ。私をトゥルーデの好きにして?
トゥルーデが望むなら何でもしてあげる。私、トゥルーデの言う事には逆らわない。だって私、」

――トゥルーデの人形だもん――


キスをする。
深くて、熱いキス。


キスを終えると、黙っていたトゥルーデが口を開く。

「…本気なんだな?」
「うん…私は本気だよ」

トゥルーデは私を押し倒し返す。

「……ならば、この間だけは……物言わぬ人形になってくれ、エーリカ」
「うん…うん…私、トゥルーデの人形だから…」


私達は、身体を重ねた。


――私はトゥルーデの人形。

何をされても物言わない、トゥルーデの劣情を受け止めるだけの、人形。

そうだ、私が望んでいたのは、こういう関係なのかも知れない。

この関係から、恋人同士に進展する事は、多分無い。


でもそれでも構わない。トゥルーデと一緒にいる事が私の幸せ。


私の身体はトゥルーデ、貴女のモノだから。

END




439 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:36:52 ID:exNb+Hfb
エーリカ悲恋2れんぱつ!!

440 名前:滝川浜田:2008/11/14(金) 20:39:19 ID:ZKDvz9SU
以上です。
ちょっと久し振りだったので変なところがあったらごめんなさい。

これからも何かと迷惑をかけると思いますが、今までと変わらないペースでいきたいと思います。

今回の件に関しては、本当に御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

では、いつものペースに戻しますか。

あ、ミーナさん崩壊シリーズは次回投下します。

では、とりあえずここら辺でおいとまさせて貰います。

これからもよろしくお願いいたします。

長文失礼。

441 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:39:38 ID:vTqy2llW
これじゃあTACネームがフラウじゃなくてハートブレイク・ワンになっちゃうな、はっはっは

442 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:49:46 ID:HHiUTueY
じっちゃん復帰おめでとう!!!待ってたよ!!!
ミーナ隊長崩壊シリーズ楽しみにしてる!!!!

443 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:51:13 ID:zZIESOJA
いつからここはかまってちゃんスレになってしまったのだ
良作読めればそれでもいいけどさ

444 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:51:35 ID:PxBv9LUp
じっちゃん、復隊したのか! おめでとう!

445 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 20:57:35 ID:+APwHnRp
ゲームや二期もいいがドラマCDを出してほしい。
公式の基地探訪をそのままCD化とかどうか。
いらん子CD化でもいい。
「でも」って言い方は失礼か。
とにかく最近飢餓感が頂点に達しつつある。

446 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:07:51 ID:9UQ/hJ/x
>>425

ジャーゲルきたあぁぁぁ!!!
相も変わらずGJです
エーリカが黒いかと思えば純粋にトゥルーデが好きすぎて
でも手は出されることはないという素晴らしいイジメwww
このくらい健気で真っ黒なエーリカならトゥルーデとシャーリーにまざって、皆のおねぇちゃんEDも余裕だNE!

ドロップの後編も楽しみにしています


447 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:25:21 ID:+4vUjjwA
せんせー、エーリカが健気悲恋キャラになっててかわいそうなので
そろそろエーリカがしあわせいっぱい胸いっぱいな話が欲しいでーす

448 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:36:54 ID:tBHXT+kt
正直、投下しようと思っても、周りの文章のレベルが高すぎるため
踏ん切りがつきませんです。はい。何か文章上手く書くコツとかあるのかなぁ?

449 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:41:51 ID:MsoY2hu3
>>438
食堂で体を重ねる…だと?
エーリカは自重しない子だなwww

450 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:51:32 ID:+APwHnRp
>>447
私は数多の戦場を渡り歩いたが、バルクホルン大尉とハルトマン中尉ほど息の合ったロッテは見たことが無い。
と、もっさんがミーナに語っているのを偶然立ち聞きし、ちょっとうれしいエーリカじゅうろくさい、とかどうよ。

「息の合ったロッテ」などという言い回しがあるのか、ミリタリー知識ゼロの俺には不安なのですが、その辺のアラについてはご容赦を。


451 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 21:58:18 ID:PobuOH7V
>>425
ゲルトは約束破らないからシャーリーも掃除に呼ぶよきっと

じゃなきゃシャーリーが報われなさすぎる・・・

452 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 22:41:04 ID:mMeixfmw
>>425
IDがBLとな!GLだったらネ申だったのにw

453 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 22:46:48 ID:u6USOJz1
エーゲルが読みたいです…エーゲルが…

454 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:19:58 ID:ZcW2Nbjk
ttp://anime.webnt.jp/guest/regist/
>その6話で注目されたキャラクター、エイラとサーニャにちなんで“いい夫婦の日“である11月22日に24時間限定で特別配信!
Newtypeの物凄い粋なはからいに全俺が泣いた

455 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:34:30 ID:1Y0aDhz7
エーリカ・ハルトマン
いまや501中1番悲恋の似合う女...

>>425
そうなんです。『ハルトマン守らないと』発言によりトゥルーデはエーリカの保護者ポジ確定で
どうにも恋愛(ましてや肉欲の)対象にはならないんだナ..と私もおもいました。
しかし一皮剥けたエーリカ...おもしろそうですね。
でもエーリカはソレデいいのカww??おもしろい>>>>>ムラムラなところがきっとエーリカなんだとおもいます。



456 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:40:14 ID:kb6Gv8fe
何故エーリカが悲恋キャラに・・・

457 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:42:12 ID:7/sgfqW0
>>456

普段から笑顔が絶えないキャラだから、その「ギャップ」というのがいいんだよ。

458 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:48:32 ID:+4vUjjwA
トゥルーデ→エーリカの秘め声を聞いたときは本気でガッツポーズしたものだ・・・

エーリカ→トゥルーデの秘め声も、気になって仕方がない

459 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/14(金) 23:59:53 ID:1Y0aDhz7
>>456
だってあのズボラでこどもで、テンプレな天才キャラのヘラヘラ笑ってる裏に
そういう歳相応などろどろした感情が渦巻いていたとしたらと禿げしく萌えないか?
いつまでも子供扱いされるのはほんとうにイライラするよ?

460 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 00:31:45 ID:eD72TfvO
アオイシロやってたせいか
悲恋エーリカが百子と被ってしょうがない

誰かシアワセにしてあげてー!

461 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 00:35:18 ID:qz6cP76v
そういや、エーリカの中の人はストパニの蕾だったね。
あっちも片思いキャラだったけど。

462 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 00:56:27 ID:Jnlq2RCo
>>460ウルスラさんがアップを始めたようです

463 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 00:59:25 ID:vKwmz8M/
じっちゃん復帰オメ


464 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 01:22:58 ID:r9iA036z
>>462
不意討ちにふいたw

そしてもれなくオヘアが付いてくるんですね

465 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 02:00:46 ID:ll0ZgClQ
>>454
嬉しい試みなんだけど、いい夫婦ってくると隊長ともっさんの方を
思っちゃうなぁ。

466 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 02:02:25 ID:twP/VOlz
エーゲル書いてみたので投下

467 名前:1/3:2008/11/15(土) 02:03:11 ID:twP/VOlz

ネウロイの襲撃があったのは、今からつい一刻ほど前の話だったか。
どうも記憶がおぼろげなのは、管制室から出撃がある前にちょうど訓練に出かけていたゲルトルートと
エーリカが瞬時に撃破してしまったからだ。
やけに嬉しそうな声をしたエーリカ・ハルトマンといつになく不機嫌なゲルトルート・バルクホルンの二名の
報告と、それからやや遅れて入ってきた管制室からの情報で、ミーナはそれを知ったのだった。

優秀な同僚を持つと苦労するわ、とミーナはひとりごちる。それはまあ、脅威は早く始末するのに越した
ことはないのだが、なにぶん報告書の作成が面倒になるのだ。そして、それを作成するのは基本的に
自分なのだから。坂本はこういったことはひどく苦手なようだし、ゲルトルートもおなじく、書類作成よりも
実践のほうを好みとしている。…エーリカは、言わずもがな。
とにかく詳しい話を聞かなければ。別の仕事をようやく片付けたミーナはそう思いながらミーティングルームに
やってきた。風呂で汗を流したら、ミーティングルームで待っていて頂戴──エーリカはともかく、ゲルトルートは
言いつけられたそれを破るような性格ではない。

吹き抜けになって天井の高いミーティングルームは、隊員たちの憩いの場でもある。基地に帰還して一休み
したいときなどはここで思い思いにくつろぐのが常で、気分がよければ据え置かれてあるグランドピアノで
サーニャが小さな演奏会を開いていたりするのだった。その場合はもちろんそのすぐ傍らにエイラがいて、
心地よさそうに目を閉じていたりする。…ただしくつろぐとは言っても、ルッキーニがここをシエスタの場所に
決めることは少ない。それは彼女が野外好きだからなのか、ここにいるとすぐに見つかってやれ訓練をしろ、
寝るな起きろ、などとどやされるからなのかはわからないけれど。

そして、それはゲルトルートたちにとっても例外ではないようで、扉を開いて部屋に入り込んだら、ちょうど
ミーナからは背を向ける形になっているソファーの上に、ゲルトルートの姿を見つける。エーリカの姿は
見えないが、きっと彼女とは逆のひざ掛けを枕にして寝転がっているのだろう…そうひとり納得して、ミーナは
彼女らの元へと足を進めた。

「…あら?」
思わず漏れた言葉に、ゲルトルートが振り向いた。ふふふ、と笑い声をもらすとそれはしかめ面になる。

「ミーナ、」
「珍しいわね」
「…いつもこうだろ、ハルトマンは」

はあ、と彼女が大きくため息をつくと、ゲルトルートの肩が大きく動く。そんな身じろぎも気にせずに、彼女の
膝を枕にしてぐっすり眠る少女がひとり。
風呂上りのせいか、少ししっとりしているように見受けられる金色の髪が、すうすうと彼女の漏らす寝息に
呼応するようにして微かに動く。寝巻きも同然に薄着をした彼女は少し肌寒いのだろうか、体を丸めてゲルト
ルートに身を寄せていた。
いつもは二つに結っている髪を下ろしたゲルトルートがもう一度ため息をつく。その様子にまた笑いが漏れて
しまう。

「珍しいのはフラウじゃないわよ」
「…もしかして、私か?」
「さあ、どうでしょう?」

いたずらっぽく笑んで肩をすくめると、ゲルトルートはばつが悪そうにふんと鼻を鳴らした。けれどそれが
照れているときの彼女の癖だということを、ミーナは良く知っている。


468 名前:2/3:2008/11/15(土) 02:03:50 ID:twP/VOlz

「幸せそうね」
「…どっちが」
「フラウに決まっているじゃない」
「そ、そうか、ならいいんだ」
ひとつ息をつくのは、一安心したからだろうか。ここで「あなたのことよ」と言ったらきっとひどく怒ったのだ
ろうな、と思う。気恥ずかしさに声を荒げて、もしかしたらエーリカを起こしてしまったかもしれない。ゲルト
ルートがうろたえる姿を見たい気持ちもあったが、今は、むしろ彼女の気持ちを尊重してやりたかった。
それはつまり、

「自分だと思った?トゥルーデ」
「そんなわけじゃあ」
「ねえ、どういう風の吹き回し?」
「何のことだ」
「あなたがこんなにあからさまにフラウを甘やかすの、珍しいじゃない」

珍しく目に見えている、ゲルトルートのエーリカに対する優しさだ。
それは、その。言葉を濁して、必死に何かの言い訳を探しているように思えるゲルトルートをよそに、ミーナは
彼女のすぐ後ろからエーリカの横へと移動した。そうして3人、ひとつのソファを共有しあう。もっとも、ゲルト
ルートがひどく端に追いやられている上にエーリカが1.5人分ぐらいを占拠していると言う状態で、お世辞
にもフェアとは言えないけれど。…むしろその方が自分たちらしいような気がしてミーナはひどく楽しい気持ち
になるのだった。なんでだろう、こうしていると別におかしくないことまでひどく面白いことのように思えてしまう。
別にこの場所が、他の隊員が、嫌いというわけではないけれどやはり同郷の気安さや安心感と言うものは、
きっと胸のどこかにあるのだろう。

「ネウロイは、2機。小物だった。全長2mぐらいだったな。」
「はい」
「発見したのは、私だ。…もっとも、直後にハルトマンが全部撃破してしまったが。」
「…やっぱり」
「私は止めたんだぞ、一応。けどあいつ、すぐ突っ込んでいくから」
「…なんとなく分かるわ」

これで、報告のときにエーリカがやけに機嫌の良かった合点が付いた。ゲルトルートの簡潔かつ正確な
報告を手帳に書き込みながら、ミーナは思う。同時に、ゲルトルートが不機嫌だった理由も。部隊一、むしろ
世界でも一、二を争う撃墜スコアを誇る二人はこっそりと互いに互いの撃墜数を競っている節があるのだ。
もっとも、基本的に思慮深いゲルトルートに比べてエーリカの方が直感型であるために手柄を横取りされる
ことが多いのだけれど。

「で、かわいいかわいいフラウちゃんは疲れ果ててご就寝、と」
「…まあ、そんなところだ」

私は抵抗したんだぞ、一応。先ほどと同じような言い訳を述べて、ゲルトルートはもう一度ため息をつく。その
様を見ているとやはりミーナの顔は緩んできてしまうのだった。

「…フラウは小さいよな、私たちよりもよっぽど」
そのまましばし、互いに何も言わずに時間が流れたそのあとで。突然ゲルトルートの口から呟きが漏れる。
そうね、と肯定すると、ゲルトルートはゆっくりと自分の膝の上にあるエーリカの手に自分のそれを重ねた。
少し大きめのゲルトルートの手のひらは、エーリカのそれをいとも容易く包み込んでしまう。



469 名前:3/4:2008/11/15(土) 02:05:02 ID:twP/VOlz

「たぶん、置いてくんだろうな。私は、フラウを」
ごめんな。口を寄せて囁くのはエーリカに対してに違いないのに、皮肉にも彼女は今、穏やかに眠りに
ついている。…いやきっと、だからこそゲルトルートは口に出来るのかもしれなかった。普段の彼女だったら、
口が裂けても言わないだろう。優しい気持ちを言葉にするのが、ひどく苦手だから。
けれどミーナは知っている。ゲルトルートがどれだけエーリカを大切に想っているか、知っている。あんなにも
小さな背中で、まっすぐに敵に突っ込んでいくエーリカを、どんな色をした瞳で眺めているかを、知っている。

「そうかんがえると、不憫でならないんだ。こんなにちっちゃいのに人一倍頑張ってる。すごいと思う。えらいと
思う。…甘やかしたい、けど、甘やかさないほうがフラウのためにはいいんじゃないかな、って思うんだ。
 だって、いつか離れ離れになるんだから。私はフラウを置いていくんだから。」

片方の手で、エーリカの額を撫でるゲルトルート。エーリカが目を冷ましているときにそれをしたなら、きっと
エーリカはひどくびっくりして「明日は雪が降るよ、間違いない」なんて基地中に触れ回るのに違いない。
それぐらい、エーリカにとってゲルトルートの優しさは一大事なのだ。

「…クリスの代わりだって、たぶん、思ってたのに。…いまは、ちがうんだ。ぜんぜんちがうんだ」

自分の過ちで昏睡状態にさせてしまった妹と、小さな体で空を駆る同僚。自分と同じ茶褐色の髪と瞳に
比べて、目の前で眠る少女は金色の髪に蒼い瞳をしている。見間違えるはずなんてない。同じものとして
など認識できない。
…たぶんきっと、そんなこと最初から分かっていたのだろうな。心の中で呟きながら、ゲルトルートは自嘲
気味に笑った。ただ違うと、言い聞かせたかっただけだ。
守ってやらなきゃ、じゃなくて、守ってやりたい。姉だからじゃなくて、ただただ大切に思うから。あんなに
ちっぽけな彼女が悠然と敵に立ち向かっていく姿を心から心配すると同時に、陸では打って変わったように
甘えて懐いて朗らかに笑むことを愛しくも思うから。

「代わりなんかじゃない、けど、だから、どうしたらいいのか分からないよ」

けれどその言葉を聞いても、苦々しい笑みを見ても、やはりミーナにこみ上げてくるのは笑いしかなった。別に
馬鹿にしているわけではない。変だとも思わない。だってそんなこと、ミーナにだって分かっていた。ゲルト
ルートが誰よりもエーリカを大切にしていることくらい。たぶんエーリカがゲルトルートに懐いている以上に
優しい気持ちを、抱いていることくらい。
だって自分たちはもう家族同然なんだから。

「トゥルーデはおばかさんねえ」
「…うるさい。私だって分かってる。でも、どうしたらいいのかわかんないんだ」
「そんなの、離さなければいいだけじゃない」
「なっ!そそそんなことでき」
「やろうとしないからよ。方法なんていくらでもあるのに」

例えばその手をぎゅっと握っていてあげるとか、ね。
先ほどからずっと、エーリカの手に重ねられているゲルトルートの手を見やって言った瞬間、気付いたように
ゲルトルートの顔がさぁっと赤くなる。これは、その。パッと離そうとした瞬間「いいの?」と重ねたらゆっくりと
その手をエーリカの手の上に戻した。
満足げに頷くと、顔をそらされる。相当気恥ずかしいのだろう。恐らくミーナ以外の前ではこんな態度片鱗も
見せないのに違いない。恐らくは、エーリカと二人きりの時でも。

「根性出しなさい。この強烈なシュトゥルムさんについていけるのは世界中であなただけなんだから。言って
おくけど、私には無理よ。」
「…でも、」
「弱音吐く暇があったら食らいつくくらいじゃないと逆に置いていかれると思うわよ」
「…そうかもしれないな」



───
4レスでした、申し訳ない。
もうレス分続きます


470 名前:4/4:2008/11/15(土) 02:09:16 ID:twP/VOlz

さてと。口にしてミーナは立ち上がった。どのぐらいの時間がたったろうか。まだまだ溜まっている書類が
あるというのに、ずいぶんと長話をしてしまった気がする。

「私はもう行かなくちゃ。…トゥルーデも、そんなところにずっといたら風邪を引くわよ」
「…私も行きたいのは山々なんだが」
「だから、部屋で寝なさい」
「フラウが動くと思うか?」
「連れて行ってあげればいいじゃない」
「…今のあいつの部屋に入るのはゴメンだよ」

明日は掃除しなくちゃ、とぼやくゲルトルートのしかめ面が、実はにやけ顔を必死に補正したものだと言う
ことも、ミーナは知っている。なんだかんだで、必要とされているのがとても嬉しいのだということを。
フラウは寂しがりだから、とゲルトルートはよく言う。それは当然として、きっと、ゲルトルートも寂しがりなのだ。
だから二人は、お似合いだ。ミーナはいつも思う。

「こういう報告があるわ。某スオムスの少尉さんの部屋に、よく某オラーシャの中尉さんが迷い込むんですって」
「…それ、伏せる意味がわからないんだが。大体サーニャのそれはわざとだろ。エイラが鈍いだけだ。」
「あら?少尉曰く、『夜間哨戒で寝ぼけて私の部屋に迷い込む』んだそうよ。そんなこと、割にある話なのね。
 でも寝ぼけていたのなら仕方ないわ。夜間哨戒や出撃のあとはとても疲れているでしょうし」
「…疲れていたのなら、しかたない、か」
「ええ、仕方ないわ。…たまには目一杯甘やかしてあげなさい。そうしないとすぐ、拗ねてどこかに飛んでいって
 しまうわよ」

そこまで行って、ミーナは席を立つことにした。このあとどうするかは、ゲルトルートが決めることだ。…でき
れば夕飯時にでも、いつもと違う様子のエーリカを見られたらいいのだけれど。興奮して今日のことを報告
してくるか、それとも逆に恥ずかしがって何も言わないか。どちらにしても楽しいことには間違いない。

ミーナだって重要な書類を作成しているその横で「トゥルーデがひどいんだ」と延々愚痴を聞かされるのは、
もうこりごりなのだから。




―――
以上です。エーゲル求める声を聞いてみたら書きたくなってきた。こんなゲルトが理想です。
たぶん衝動的にこんなん書いちゃうから連載が進まない
おっと、名前書き忘れてた。21X2w2Ibでした。投下して満足したのでもう寝ます

>>400
たぶん予想通りですが今まで名前言い忘れて投下したのなんて1つどころじゃないので自分の中でもう今更感が

471 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 03:13:14 ID:eNIQ2r1Z
>>466
おおお! エーリカもゲルトもかわいいです! GJ!
隊長の粋な計らいも好きです。
「ついていけるのは世界中であなただけ」の言葉にすごく萌えました。

472 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 04:06:12 ID:4NhVmyiw
ミーナ…近藤勇
ゲルト…土方歳三
エーリカ…沖田総司
こんな感じがする。
ミーナ=近藤はネタでもなんでもなく、包容力とか、隊員からの慕われ具合的な意味で。

473 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 07:19:48 ID:lml9ToeA
>>466
あんた…


最高だ!!
エイラーニャ好きだがエーゲルもいいね

474 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 07:45:15 ID:vKwmz8M/
>>466
うおおお!GJ!
エーゲル好きな俺としては大興奮だぜ

475 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 08:29:31 ID:Yz7C6m12
これだけ書き手がいると二次的には不謹慎かもしれないけど文章がおいしいってのがままある
一人称語りにも良さはあるが、なんか前にあった芳サーニャ、あの文章が忘れられません
職人いたらカムバック

476 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 08:32:39 ID:3pPSS7o2
>>466
相変わらずいい文章を書きやがるぜ・・・ぐはっ
このSS読んだらハルトマンも妹って見られたくなくて頑張ってる部分があって俺が萌え死んだという妄想が出来てしまったよ

477 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 09:34:53 ID:afDhFs+z
witi

478 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 09:39:54 ID:vKwmz8M/
次で記念すべき10スレ目だな

479 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 11:48:34 ID:rGl3zPzv
百合板で10スレとか…
俺がいままで住んできた中で最高だよ
しかも勢いは衰えることを知らないwすげえなおい!

480 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 11:53:27 ID:NxhGiPJz
記念作品書きたいね

481 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 11:58:35 ID:TBFR2J7M
現時点でカプ投票とかやったら迷わずシャーゲルに入れてしまう自信がある…
全く予想外だったが

482 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 12:05:32 ID:kX+f0/sD
迷わずエイラーニャだな

483 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 12:11:03 ID:PT7jzvJr
シャッキーニ一択

484 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 12:26:08 ID:vKwmz8M/
エイラーニャかなぁ
次にエーゲルともっさん×ミーナで迷う

485 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 13:01:24 ID:NxhGiPJz
エーゲルさいこう

486 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 13:25:53 ID:QsDcuW/Z
エー芳に入れようとするのは多分自分だけであろう

487 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 13:27:14 ID:3pPSS7o2
生粋のエイラーニャスキーとしては
エーゲル、もっ芳、隊長→少佐をプッシュせざるを得ない

488 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 13:34:55 ID:aVO6+mo7
自分はやっぱりシャッキーニ、エーゲル、もっミーナだな

489 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 13:38:43 ID:NxhGiPJz
もっさんって最年長な上にモテモテで大器なキャラだから、たいてい惚れられる側だし攻め側だよな
そろそろ乙女全開のもっさんが、誰かにベタ惚れするシチュとか考えたいんだが、なかなか思い付かないんだよなあ・・・・・
某滝川さんよろしく、キャラ崩壊させるという手もあ(ry

490 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 14:40:11 ID:TBFR2J7M
宮藤を猫っ可愛がり(文字通り猫の如く)するもっさん
犬のように盛り合うもっミーナ…

491 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:10:04 ID:xgCc2Ee0
やはり個人的には、エイラーニャが鉄板かな
これほど他キャラと絡ませると罪悪感が沸くカップリングも珍しい…

492 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:10:22 ID:rRKN3weA
もっとにゃんにゃんしあうもっぺリが読みたいです。

493 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:13:50 ID:T/VQcLhr
>>466
GJ!
カールスラント組のは結構少ない?のでうれしい。

494 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:26:35 ID:NxhGiPJz
>>492
ペリーヌいい娘だからねぇ

495 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:53:53 ID:6vlfbVGi
みっちゃん×芳佳ちゃんなのはきっと俺だけ。でもそれでいい。
まあSS書く度にどんどん変わるんだけどね。

496 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 15:57:31 ID:FgCHUw+E
エイラニャ人気はさすがだな〜。あの二人はガチでおk!!
しかし8話9話のもっミーナの信頼関係みたいなんが一番好きだわ。
もっぺリの甘々も少ないから見てみたい。
もっさんに愛されて照れるペリーヌとか最強にかわいいはず。

あと例外かわからんけど芳ーニャも好きな自分。

497 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 16:18:22 ID:4NhVmyiw
ハッキネン×エルマの妄想が止まらない俺が来ましたよ?
ハッキネンさんのあの氷の仮面の下では、「はぁぁぁぁぁぁんエルマタンとチュッチュしたいよぉ」と、劣情が渦巻いているに違いないです。

498 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 16:42:34 ID:cVV7zUie
昼寝してたら受信した電波

やっとガリアの復興に一段落ついて、愛しい人の待つ・・・扶桑にやってこれた。
もうすぐ、もうすぐ芳佳ちゃんに会える

「あ、リーネちゃん!ひさしぶりだね!」

診療所の前に立っていた人影は、忘れもしない人

「芳佳ちゃん、久しぶりだね。部隊解散以来だよ、元気だった?」
「うん、元気だよ!ねえ、リーネちゃん、わたし、プレゼントがあるの!」
「プレゼント?嬉しいな、ありがとう」

すると芳佳ちゃんは、家の中からまさにレモンを縦に割ったような布の塊を持ってきてくれた。

「こいつをリーネちゃんの胸にとりつけてみて。ガリアのレモン・ボソムを参考に手作りしたの」
「こんな古い物を・・・芳佳ちゃん、パンツ欠乏症にかかって・・・」
「すごいよ!リーネちゃんのバストサイズは数倍に跳ね上がる・・・」

オチない。

499 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 16:47:43 ID:999ZH9mF
放送中と較べて芳ーネ人気が下がったなぁ・・・。
やっぱ最終回のアレが効いてたのかな。ちょっと悲しい。

それでも、俺は芳ーネ一筋ですよ。

500 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 17:26:53 ID:9/bS5xx6
もういっそのことみっちゃんリーネで
みっちゃんは物珍しい大きなバストにメロメロ
リーネは扶桑人形のごとき小ささと可愛らしさにトキメキ
二人仲良しで芳佳の嫁になればいい

あれ、なんか行けそうな気がしてきた…


501 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 18:59:03 ID:bb5mmEhI
エイラーニャは別にどうでもいい
ペリーヌが出てくるお話をもっと沢山書いてください

502 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 19:58:44 ID:4NhVmyiw
ここでまさかのシャーペリを提案してみる。
お互いに「がさつ、品が無い」だの「お高くとまってる」だのネガティブな印象しかなかった二人が何かのきっかけで少しだけ歩み寄る、そんなSSが読みたいです。


503 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:10:31 ID:uKiM16TH
>>502
そうか
じゃあ書け

504 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:11:12 ID:9pVGUgtl
話の筋さえくれれば書けるんだけどなあ

505 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:11:31 ID:twP/VOlz
じゃあ自分はまさかのシャーリカを提案してみる。
ゲルトと喧嘩して拗ねたエーリカがシャーリーの部屋に潜り込んできて
次の日の朝焦って探しに来たゲルトが「ハルトマンに手を出してないだろうな」と怒る、そんなSSが読みたいです

506 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:14:38 ID:NxhGiPJz
んじゃミーナ×ペリーヌなんていかが
ペリーヌの態度行動への「お仕置き」の名の下に夜な夜な行われる
ミーナのアブノーマルな攻め(ry

507 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/15(土) 20:20:59 ID:AVmuAKzD
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/screenshot01.png
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/screenshot02.png
http://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/screenshot03.png

漸く更新機が完成しました。いやっほう!!
これで通常の更新にかかる時間が10分以下になりました。ほぼナイトリービルドすることも可能なはず。
過去分352本+新作の打ち込みが終わったらいよいよ新装開店なので、もう少しだけお待ちください。
今夜中には何とか……!!

で、流れを切っておいて報告だけではなんなので例によってサーニャさんの続きをば。
もはや言い訳もありません。よろしければお付き合いください。
サーニャ×エイラでシナリオノベル

サーニャさん崩壊シリーズ「ваш все быть принадлежащий мне(全部私のもの)」

508 名前:サーニャさん崩壊シリーズ「全部私のもの」 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/15(土) 20:23:30 ID:AVmuAKzD
「なあ、サーニャ」
「何?」
「最近ずっと私の部屋にいるけど、オマエ自分の部屋はどうしたんだ?」
「? ちゃんと使ってるよ?」
「ならいいけど……きちんと片付けんだぞ。」
「大丈夫。わたしだってそれくらいできるよ。」

「とは言ったものの……あれから部屋に戻ったトコ見たことないんだよな。
 ちょっと様子見てみっか……。」

ガチャッ

「うわ!!なんだこりゃ!!メチャクチャじゃないかー!!」
「エイラ。」
「サササーニャ!!これはその……」
「いいの。これ全部、エイラとの思い出だから……。」
「全部……って、ゴミばっかりじゃ──」
「ゴミじゃないっ!」
「でも──」
「これは初めてわたしがエイラを拭いてあげたタオル、
 これは初めて"あーん"してあげたフォーク、
 こっちはこの前エイラが着てくれた制服だよ。
 それからこれは……」
「いや!もういい!!やめてクレ!!
 そんなモノ集めてどうするんだよー!?」
「どうって、そんなこと……言わせるの?///」
「何考えてんだ、ばかっ。こんなコトしなくたって私はここにいるだろ!?」
「だって……。」
「まったくもー……うわ!!なんだこの瓶の山!!」
「それはエイラが入ったお風呂の水(1944'08/01〜1944'0831)で……」
「そんな前からだったのか!?」
「最初はちゃんと棚に入ったの……ちょっと、エイラ、踏んでる。足。」
「うん?」
「苦労して集めたエイラの髪の毛コレクション……」
「ヤメロー!!」

509 名前:サーニャさん崩壊シリーズ「全部私のもの」 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/15(土) 20:24:40 ID:AVmuAKzD
「とにかく、全部捨ててクレ!!」
「どうして?」
「どうしてって……無意味だし、こんなのいつまでも置いといたら不衛生だろ?
 それにいくらサーニャでもこれはさすがに受け入れ難いというか……」
「でもエイラはわたしのものなんだよ?」
「……しれっとエラいコト言うよなオマエ。」
「本物のエイラは時間が経てば変わるけど、
 わたしは全部の瞬間のエイラが欲しいの。
 だから何か記録が残ってないと困るの。不安なの。」
「心配しなくたって私はサーニャのものだ。
 だからこんなコトやめよう。ナ?」
「でも……」
「そうだ、毎日の記録が欲しいなら、交換日記なんてどうだ?
 それならかさばらないし腐らないだろ?」
「……。」
「サーニャ?」
「……(ブーッ)」
「ワァー!?また鼻血!!」



510 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/15(土) 20:25:32 ID:AVmuAKzD
以上です。病んデレサーニャ最高!!鼻血は乙女のステータス!!
他にも色々集めて最終的にはエーリカの部屋みたいになってたらいいと思います。
そして多分続きます。

最後に、色々と言いたいことはあるけど何よりじっちゃん復隊キター!!
帰ってくるまでには更新しようと思ってましたがまさか間に合わないとはwいや本当面目ない。
そして>>301 >>318 >>322 >>343 >>361>>369 >>378 >>383 >>425 >>440 >>466GJ!!
感想書けなくて申し訳ない。やっぱこのスレのペースすごいわ。そしてハイクオリティ!
楽しんで読ませていただきました。続き物もwktkして待ってます。

さて、それじゃあもうひとふんばりしてくるか……。

511 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:37:19 ID:Yz7C6m12
ところで>>297の続きで幽閉した芳佳を日々教育していくさまを克明につづったリネットの観察日記はどこに行ったら読めるのかな

512 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:40:12 ID:xgCc2Ee0
>>510
サ…サーニャが、ただの編隊に…じゃなかった、変態に…
崩壊しすぎて別キャラじゃんとか、突っ込みどころ満載だが
全部ひっくるめてとりあえず GJ


513 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 20:54:30 ID:vKwmz8M/
管理人さんGJ
サーニャが変態に・・
でもこれはこれで有りと思えるのが不思議

514 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 21:33:35 ID:vKwNn8Gt
ふう。帰ってきたら読んでない分のレスがパンパンだぜ…
>>467が面白かったです。
個人的にはこういう三人称のが好みだったり。
箱庭視点感覚というか。
それでいて読んでいて、こー、こすぐったさも覚える。
そんなお話でした。GJ


515 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 21:53:00 ID:09LiS7H4
サーニャ・・・脳をウォッカにやられて・・・www

516 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 22:04:06 ID:vKwmz8M/
酔いどれサーニャでエイラとにゃんにゃんですね分かります

517 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 22:07:01 ID:6vlfbVGi
サーニャ崩壊シリーズktkr
一見サーニャに目がいきがちだけど、エイラも良い味だしてるんだよねこれ。
それと>>507、プログラミングとかさっぱりな俺には全然わかんないけど、なんかとにかく凄そう!
管理人様果てしなくGJです!

518 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 22:31:20 ID:qi3Hk6jZ
>>510
よく分からないけどすごそうだ、やったぜ管理人さん!

そしてサーニャ崩壊シリーズGJ!
なんかゴミ屋敷の人の気持ちがちょっと分かった…

519 名前:zet4j65z:2008/11/15(土) 22:34:39 ID:ZwXJ+oyd
管理人さん乙!崩壊シリーズは笑えるなぁ。
他のSSもどれも楽しませてもらってます〜GJ

>>511
ううう……催促来ちまった。嬉しいけど書けてなくて申し訳ない。
忙しくてちょっとしか進んでないですが、続きは書いてます。
多分今半分くらいまで着たかな〜って所です。
来週中には投下できるようにします。
前にちらっと予告した通り次は「お尻」です。

520 名前:滝川浜田:2008/11/15(土) 22:43:06 ID:aVO6+mo7
>>510
GJ&乙!まさか崩壊シリーズがここまで波及するとはw

>>519
待ってる!

というワケで崩壊シリーズの後に崩壊シリーズを投下するのはアレですが…。
覚悟決めたいと思います。

521 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ 「歌姫デビュー!」』:2008/11/15(土) 22:45:52 ID:aVO6+mo7

「美緒」
「……ミーナ、なんだその服は」
「可愛いでしょ?どう、萌える?」
「………………………………………………………あぁ、可愛いよ…………………」
「あらやだ、美緒に褒められちゃった☆
ミーナ嬉しい☆」
「……………で、そんな服を着て何をするつもりだ」
「私ね、アイドルになろうと思うの」
「アア、ガンバレヨ」
「もう、あんまり乗り気じゃないのね」
「乗り気も何もお前はストライクウィッチーズの隊長だろうが。
そういう行動は慎んだ方が良いと思うが」
「…美緒」
「なんだ」
「もしかすると美緒心配してるの?」
「何をだ」
「もしかすると、私がファンのみんなのものになっちゃうって心配してくれてるのかしら?
いえ、大丈夫よ美緒!私は貴女のモノよ!永久に、そう永久によ!」
「大丈夫だミーナ、私はそれほど脳は膿んでない。
私が心配しているのは、そんな活動に現を抜かして隊長としての任務を疎かにしないか、という事だ。
……その前にアイドルデビューという話が本当ならだが」
「もう、美緒ったら心配性ね。そんなんじゃ胃潰瘍で倒れちゃうわよ」
「…ああそうだな、胃潰瘍のせいでブレイク限界だよ。
お 前 の せ い で な ! 」
「もうブレイク限界だなんて。
私は貴女のお陰でキラキラ世界よ!」
「……で、曲はもう出来てるのか?」
「ええ、もちろん。聴く?」
「…聴かないと言ってもどうせ強制的に聴かせるんだろ。
いいからちゃっちゃとやろう」



522 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ 「歌姫デビュー!」』:2008/11/15(土) 22:47:43 ID:aVO6+mo7
―――――――――――――――――――
〜♪(イントロ)

『美緒ー!今日は私のライブに来てくれてありがとうー!
私、貴女の為に心込めて歌います!』
「…………」

《Chu☆LoveLove☆MIO》
作詞:ミーナ
作曲:ミーナ
編曲:ミーナ
歌:ミーナ

♪愛してるわ美緒
愛してるわ美緒
貴女と私 Baby I Love you

貴女とならどこまでも
天国《パラダイス》でも
地獄《インフェルノ》でも

貴女と二人の世界で私は貴女の×××を
@@@するわ
そして私達は※※※に☆☆☆で〇〇なの

―――――――――――――――――――

「スト――――――――――ップ!!」
「もう何、これからが良い所なのに。
これから私達は∽∽∽して##するのよ」
「そんな卑猥な歌を歌うアイドルがおるか!」
「あら、美緒。つボイノリオって知らないの?」
「古い!古いしアイドルじゃない!
頼むからアイドルデビューしないでくれお願いします」
「無理よ!もうデビュー決まったもの!」
「本当だったのか!
頼むからやめてくれ!一番恥かくのは多分私だ!だからやめてくれ!」
「もう無理よ!私の貴女への愛はすべてを凌駕するわ!」
「やめろぉぉぉぉぉ!」



523 名前:滝川浜田 『ミーナさん崩壊シリーズ 「歌姫デビュー!」』:2008/11/15(土) 22:51:25 ID:aVO6+mo7


―――――――――――――――――――
数日後

「美緒、報告があるの」
「なんだ」
「私のデビューの話、流れたわ」
「まあそりゃそうだろうな。
あんな卑猥な歌を歌うアイドルなんかいてたまるかって話だからな」
「私の美緒に対する純粋な想いが受け止められなかったのかしら」
「おいおいどこが純粋か!
あんなの欲望の塊だったじゃないか!」
「私、普通の隊長に戻ります」
「………そうか、それは何よりだ」
「というワケで」
「…なんだその手の動きは」
「美緒―――――!
貴女は私の(身体の)アイドルよ――☆」
「(銃を構えて)引退をお勧めする!!」



以上です。もうワケ分からんですw
もうそろそろバカみたいに明るくてラブラブな話も書きたいw


…それでは、爺はここら辺で…




524 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 22:56:30 ID:qi3Hk6jZ
クソワロタww
俺の中のミーナさんが間違った方向に固定されていくww

525 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 22:59:50 ID:vKwmz8M/
だめだミーナが変態にしか見えなくなったw

526 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:12:36 ID:8nmWWFlO
伏せ字はやっぱり勲二とかだったりするんだろうか

527 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:13:57 ID:C4bEBdtU
http://www.uploda.org/uporg1786637.jpg

528 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:25:34 ID:ll0ZgClQ
>>481
いつも密度の濃いスレなので、たまには息抜きっぽい良い企画かもね。
このカップリングが好き。ぐらいの軽い気持ちでやるといいかも。

529 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:26:16 ID:AVmuAKzD
>>523
本場キター!!いやあやっぱりじっちゃんのセンスには敵わねぇwww
キラキラの笑顔で淫語連発するミーナさん想像して笑いが止まらなくなったww

そしてこの絶妙なタイミングで投下された>>527の詳細を誰か……

530 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:28:33 ID:NxhGiPJz
>>523
どんだけ淫語使ってんのミーナさんwww


>>527
おい右下の二人何吐血してんだ表に出ろ

531 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/15(土) 23:34:34 ID:FgCHUw+E
崩壊シリーズキター!!!
ミーナさんの相当な歌唱力で歌ってるとこ想像してふいたwww
じっちゃんGJ!!!

532 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 00:27:55 ID:bF+fMXws
次回が尻と言うことでゼットさんの新作に期待!!

そういやもうそろそろDVD三巻の発売か〜
早くエーリカがゲルトについてどう思っているのか知りたい
意外と「トゥルーデに守ってもらうつもりないもんプンプン」と腹黒だったりするかも、と考えただけでたまらんwww

533 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 00:35:51 ID:Zi+EH+co
じっちゃんお帰り&GJです!

ところでリーネ×もっさんなどという超マイナーカプのSSを書いているんだが
話しに押しが足りないので、みんななにかアイデアをください


534 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 00:40:15 ID:YpDtuwLi
>>533
唐突にリーネの胸を後ろからわしづかみにする坂本さん
「前々から一度触ってみたいと思っていたんだ、はっはっは」

535 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 00:45:14 ID:xPJli9za
>>533
一緒に入湯

「リーネの胸は大きいな・・・これでも私の胸は扶桑でかなりのものだと思っていたが
 まさか年下の娘にあっさり負けるとは、いやあ世界は広いなあ!わっはっは!」
「いえ・・・そんな・・・坂本少佐もお綺麗です・・・ひゃっ!?何を!?」
「いや、柔らかさはどのくらいのものかと気になってな。やはり気持ち良いな、もっと触らせてくれ」
「いや・・・そんな・・」
「大丈夫だ!もう皆寝ている時間だぞ?風呂では誰も見ていない!」


結局最後の台詞が言いたかっただけです本当に(ry

536 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 00:47:19 ID:/GyHmuCQ
もうすぐ10スレ目かエーリカがエリーカだった頃が懐かしい

537 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:02:45 ID:BnW1Jgaz
>>527
その吐血表現...もしや『ぱんつストライク』に描いてた人か!!??

538 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:13:19 ID:gu7I8gU5
t26gFAxTです。
前回までに投下していた作品へのレスありがとうございます。
それでは、本日は、学園ウィッチーズシリーズ投下させていただきます。

539 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第16話 うそつき:2008/11/16(日) 01:14:34 ID:gu7I8gU5
 学園の教官用化粧室にて、ジュゼッピーナ・チュインニは、鏡を前にして、髪を弄ったり、かぶっている帽子の位置を決めたりと身を整える。
「よし」
 と、意気込んで目を輝かせる彼女の背後で個室のドアが開き、縦巻きロールの金髪を揺らしながらアホネンが隣に立って手を洗う。
「随分気合が入ってるのね、チュインニ教官。まだあのリベリオンの生徒にご執心なのかしら」
 アホネンの目が怪しく光る。チュインニは動じず、幼い顔つきには似合わない妖艶な眼差しでふふと笑う。
 アホネンは彼女の心のうちを読み取ったのか、はたまた、にじみ出る何かに気がついたのか、水を止めて髪をかき上げた。
「同業者として忠告いたしますけど、無理強いはいけなくてよ」
「"いもうと"中隊率いていた人には言われたくないですねぇ」
「あら、心外ね。すべて合意の上よ」
 二人はお互いににじり寄り、不敵な笑みを向け合わせる。
 次の瞬間、きぃと背後の個室のドアがきしみ、隙間から、メガネが光る。
 二人は、振り返って、背筋を伸ばした。
 個室から、ハッキネン主任教官が、颯爽と出てきて、彼女たちの間を通って、手を洗い始める。
 チュインニとアホネンは視線と表情をくるくる変えて、言葉を発さずに掛け合う。
 水が止まり、二人は恐る恐る、振り返る。
 ハッキネンが、かつっとかかとを鳴らして、くるりと振り返り、メガネを持ち上げた。
「生徒との……、過度のスキンシップはご法度ですよ」
 メガネの奥の冷たい視線射抜かれて、チュインニとアホネンはなぜか敬礼までしてしまう。
「しょ、承知いたしました!」

 格納庫にて、シャーリーは整備のために外装を外し、むき出し状態になった自身のストライカーを前に、膝をついたまま、手が止まる。
 いつもなら目をつぶってでも整備できるのに。
 シャーリーは、唇を噛み、手にある工具を強く握り締めた。
「シャーリー!」
 と、明るい声がして、振り向くと、ルッキーニがひょいひょいと飛び跳ねながら、近づいてくる。
 シャーリーは、何とか笑顔を向けようと努めてみたが、糊でも貼り付けられたかのように、表情は固いままだった。
 ルッキーニは、シャーリーの隣にしゃがみこむと、八重歯を見せ、笑う。
「お昼休み、眠れた?」
「え?」
「朝、寝不足だって言ってたじゃん」
 シャーリーは、朝に咄嗟についた嘘を思い出し、そしてまた嘘を重ねた。
「あ、ああ。眠れたよ…」
「良かったぁ。ちゃんと眠らなきゃ大きくなれないぞー」と、ルッキーニは冗談ぽく言い、シャーリーの髪をくしゃくしゃと撫でる。
 シャーリーは、些細であるとはいえ、自分の嘘をあっさり受け入れるルッキーニに、申し訳なさを感じ始め、今度は、嘘にならないよう言葉を選び、慎重に伝えた。
「なあ、ルッキーニ。今日は、その……、気合入れて整備したいから、一人にさせてくれないか?」
 ルッキーニの、わずかに釣り上がった目が、じっとシャーリーを見つめ返す。
 シャーリーは、見透かされないよう、顔を背け、工具箱に手を突っ込み、がちゃがちゃと気を紛らわすように、工具を選ぶふりをした。
 ルッキーニは、立ち上がって、何か言いたげに自分の手と手を握り合わせて、ちらとシャーリーを見た。
「ねえ、バルクホルンとミーナ先輩がどうかしたの?」
 シャーリーの固まっていた表情が驚愕の装いを見せて、ルッキーニに向けられた。
 しまった、とシャーリーが思ったときには、ルッキーニは口を開いてた。
「シャーリーは……、あの二人が仲良いのが面白くないの?」
「違う!」
 立ち上がると同時に放たれた突然の大声に空気がびりりと揺れ、ルッキーニは、初めて見るシャーリーの様子に、たじろぐ。
 シャーリーは、大きく息を吐いて、前髪をぎゅっと握る。
 ルッキーニは、つばを飲み込み、恐る恐る、わずかに声を震わせながら、手を伸ばした。
「ねえ、シャーリー、つらいことがあるなら全部話してよ。嘘は……、嫌だよ」
 私だって嫌だよ、とシャーリーは言おうとするが、喉が詰まったかのようになって、言葉を失う。
 ルッキーニの手が、シャーリーの服のすそをぎゅっと握った。

540 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第16話 うそつき:2008/11/16(日) 01:15:13 ID:gu7I8gU5
「シャーリー…」
「……子供に話してもしょうがない」と、シャーリーは自分でも驚くほど低い声で突き放すようにつぶやいた。
「子供じゃないもん」
「子供だろ! わかりっこない……、今の私の気持ちなんて」
 ルッキーニは今にも泣き出しそうな様子のシャーリーに気づき、怒りを鎮めて、握った服の裾を引き寄せるが、シャーリーは、つい、その手を振り払う。
 ルッキーニは、しりもちをついて、シャーリーをおびえた表情で見上げる。
「何をしてるの!」
 シャーリーが顔を上げると、ちょうど格納庫にやって来たチュインニが驚いた表情で、二人を見つめていた。
 シャーリーは、視線を落とし、ルッキーニの表情で我に返ったが、後ずさって、逃げるように格納庫から出て行くと、格納庫のすぐ横に置いていたバイクに飛び乗り、学園の敷地を後にした。

 化学室にて、窓際にもたれたビューリングは無意識に、タバコを咥え、マッチを探す。
 そばでフラスコ内の液体を見つめていたウルスラが、実験器具越しにビューリングに顔を向けた。
「ここ、禁煙」
「……そうだったな」
 ビューリングは咥えていたタバコをポケットに押し込む。
 ウルスラはまたフラスコに視線を戻し、レポートを手早くまとめていく。
 ビューリングは、彼女の一挙手一投足を仔細に眺めながら、どう話を切り出すべきかと悩み始める。

 ――ウルスラが相談なんてありえないから、わかんないねー
 
 陽気な同僚の声が頭をかすめ、ビューリングは思い切って聞いてみた。
「最近、研究に没頭してばかりだが……。なにか嫌なことでもあったか?」
「ない。研究は私のライフワーク。没頭してるわけじゃない」
「それならいいんだが、せめて自分の部屋のベッドでゆっくり眠るべきだ。体に障る」
「自分の事は自分がよく分かってる。問題ない」
 ウルスラの言葉に反応を示したのか、ビューリングは窓から離れ、彼女に近づき、腰を折って、顔を覗きこんだ。
 ウルスラは、しばらく見つめられるままになって、耐え切れなくなったのか、ぷいとそっぽを向く。
 ビューリングは体を引き起こした。
「うっすら、クマができてるぞ」
「たいしたことじゃない」
「本当に頑固だな……、お前は」
「自分こそ」
「これでもだいぶやわらかくなったつもりだ。お前の姉ほどではないが」
 と、ビューリングはわずかに冗談めかして言ってみる。
 ウルスラは、わずかに反応を示したかのように、肩をピクリと動かし、また、実験器具に手を伸ばし、レポートを続きを書き始める。
 やはり姉がらみか、とビューリングは確信して、レポートの上に手を置いた。
「……なぜ、エーリカを避ける?」

 生徒会室にて、エーリカは、山積みになったサイン済み書類を見てにんまりと、誇らしげに腕を組んだ。
「よし、終わった。たまにはミーナやトゥルーデの役にたたなきゃね〜」
 鼻歌交じりに処理を終えた書類をまとめ、時計を見上げると、エーリカはどうしようかなといった顔つきで迷いを見せた末、生徒会室から出て行き、鍵を閉めた。

 バスから降りたミーナは、さっそく目の前にある病院へと入り、ゲルトルートの病室へ向かった。
 ドアをノックし、返事を待つが、なかなか返ってこないので、静かにドアを開け、部屋の様子を見ると、足音を立てないように慎重に部屋に入る。
 ゲルトルートは、直立不動のまま、仰向けでベッドに体を預け、寝入っていた。
 幼い頃から、彼女の寝相のよさを知っているミーナは、いまだに変わっていないその寝姿にこみあげる笑いを抑える。
 ふいに、愛おしさを感じ、髪でも撫でようと手を伸ばしかけるが、まったく崩れそうにない寝顔を壊してしまうのも気が引けて、
代わりに花瓶に挿された花に触れ、しおれていることに気づくと、いったん病室から出て行った。

541 名前:学園ウィッチーズシリーズ 第16話 うそつき:2008/11/16(日) 01:15:58 ID:gu7I8gU5
 ウルスラは、ビューリングがレポートの上に置いた手に自分の手を重ね、どかせようとする。
 ビューリングは手に力をいれ、させまいとし、言葉を浴びせた。
「エーリカが嫌いなのか」
 ウルスラはほんの少し、眉間にしわを寄せただけで、答えない。
「……じゃあ、好きなんだな?」
「違う!」言い聞かせるように、ウルスラはいつもより声を張る。
 自分の声の大きさに驚いて、ウルスラはビューリングをじっと見つめた。
 その頬はわずかに染まっている。
 ウルスラの声に驚いたエーリカが、ドアを開けた瞬間、ウルスラは、いつもの平静な表情を取り戻し、エーリカに一瞬だけ視線を移した後、ビューリングを見上げた。
「私が……、好きなのはあなた」
 こういった告白に慣れていないビューリングは、ほんの少し、頬を熱くするが、ドアを開けて、固まったままのエーリカにすぐに顔を向けた。
「おい、エーリカ、誤解するな、これは…」
「あは、ごめん。お邪魔だったかな」
「茶化すな。誤解するなと今言ったばかりだろう」と、弁解するビューリングの腰の手を回し、ウルスラは少しぎこちなく、体を寄せる。
 エーリカは、口元に何とか笑顔を保ったまま、じゃあねとだけ言い残し、ドアを閉めた。
 ウルスラはビューリングの体に寄せた顔をずらしてその様子を見届け、また彼女の体に顔を埋める。
 ビューリングは、突き飛ばすわけにも行かず、ウルスラの片方の肩に手を置いて、精一杯の抵抗を示した。
「おい、どういうつもりだ」
「私のこと、嫌い?」と、ウルスラは顎を引き上げる。
「嫌いなわけないだろう。かといって……その……」
「好きでもない?」
「いや……、興味深い奴だとは思う。だが、こんなのは…」
 しどろもどろになるビューリングに、ウルスラは珍しく笑い出しそうになるが、表情をなんとか守りきり、さきほどまでエーリカがいたところをちらりと見やると、ビューリングにも聞こえないほどの、小さな声で、つぶやいた。
「……これで、いいの」

 格納庫で、ふさぎこんで顔を上げようとしないルッキーニに、チュインニはため息をついて、頭をかいた。
「ほぉら、ちょっとケンカしたぐらいで落ち込まないの」
「落ち込んでないもん」
 と、ルッキーニは顔を伏せたまま、言い返す。チュインニはつっこみたい気持ちを抑え、同じ国の出身であるだけに、そうたやすく無下にするのも憚られる後輩の頭に手を載せ、慣れない手つきで撫でる。
 ルッキーニは、がばっとチュインニに抱きついた。
「シャーリーの傷、広げちゃった。最低だよね…」
「……傷の詳細はわかんないけど、悪いと思ってるなら、きちんと向き合って、助けるとこは助けなきゃ」
 チュインニはまんざらでもないといった表情で、猫の背を撫でるように、ルッキーニの体をさするが、次の瞬間、彼女の手が、チュインニの胸に重ねられた。
「……物足りない」
 チュインニは、その一言に青筋を立て、ルッキーニの頭にゲンコツを振り下ろす。
 うにゃあ、という悲鳴ともつかないルッキーニの声が格納庫に響いた。

 シャーリーはバイクを駆りながら、ぎっと歯を食いしばる。
 不可抗力であったとはいえ、ルッキーニまで巻き込んでしまった。
 ルッキーニにまで見破られていた、ゲルトルートに芽生えた――芽生えてしまった想い。
 さきほどのおびえたルッキーニの表情が焼きついて、離れない。
 これ以上、嘘はつきたくない。
 行き場を失った思いが、体を、頭を駆け巡り、シャーリーのバイクは、気がつけば、病院へとたどり着いていた。
 シャーリーはヘルメットを取り、髪を整えると、すっかり険しくなっていた表情を緩めるために、自分の手を頬にぱしんと当て、ゲルトルートのいる病室に向かった。


学園ウィッチーズシリーズ 第16話 終


542 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:30:22 ID:BnW1Jgaz
http://www2.ranobe.com/test/src/up29961.jpg
こ、これは...

543 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:35:26 ID:xLhHPhrg
>>541
GJ!!待ってたぜ、そしてまさかのウルスラ×ビューリングとな?
しかも色々と複雑っぽいし……ぬああ!!続きが気になって眠れないジャマイカ

>>542
一瞬数年後のクリス×ウルスラかと思った私は頭がおかしいのかもしれん……。
髪長いエーリカはいいな。お姉ちゃんホイホイ!!

544 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:37:40 ID:x0t+kZND
>>533
宮藤が来る前はリーネと二人きりで訓練もあったはずだし秘め声聞くかぎりもっさんは
リーネの才能買ってるよな、優しい子だ、って言ったのも印象的。
SS楽しみにしてる!!

545 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 01:58:26 ID:OSRUfEIJ
ミーナ←→もっさん←ペリーヌ←→リーネ→芳佳←ゲルト←→エーリカ

シャーリー←→ルッキーニ

エイラ←→サーニャ


546 名前:芳佳の未練:2008/11/16(日) 02:44:57 ID:7VUawQmE
 崖の上、海に面したそこで一人の少女が遠く海原を見据えていた。西、かつて少女の戦場であった方角である。
 遠く水平線の向こうに思いを馳せる彼女の瞳には苦悩が見て取れた。
「宮藤、姿が見えぬと思ったらこんな所でどうした」
 びくり、小動物のように反応する。いつの間にか彼女の背後にその人は迫っていた。
 元ストライクウィッチーズ坂本美緒その人である。
「全く、背をとっても気付かんとは。空の上だったら今頃撃墜されているぞ」
 何やらおかしな様子の芳佳に気を使ったのか軽口を叩くも、それを聞いた芳佳の表情は固いものとなった。
 ふむ、と一人息を吐くと美緒は芳佳に並び西の空を見た。
 今日は良く晴れている、青い空に青い海、漂うは白い雲。それらを眺めたまま美緒は訥々と語り出した。
「なぁ芳佳、私の右目でも人の考えは読めん。悩みがあるなら私にも共有させてくれないか」
 芳佳の瞳が揺れる。
「ネウロイとは人類の敵なんですよね」
「あぁ、我等は奴等と長い間戦って来た」
「私、そう思いたくないんです」
 眼帯の内側の瞳が一瞬険しく細められた。
 しかし、芳佳の表情は揺るがない。真直ぐ前を、かつて戦った場所へ思いを馳せる。
「私に色々教えてくれたネウロイ。あのこはウォーロックにやられました」
 あの黒いウィッチのようなネウロイ。芳佳を悩ませ、考えを見出ださせた。
「あのこみたいに、良いネウロイも居たんじゃないかって思うんです。
 ネウロイだって好きで戦ってた訳じゃ無かったのかも知れません。
 どちらも被害が少なくて済むやり方があったんじゃないかって」
 芳佳とて今更言っても無駄だとは理解している。そもそもこんな事、聞こえる所に聞こえたら大変な事になる。
 それが分かっているから美緒も何も言わない。ただ黙って芳佳の言葉を受け入れる。綺麗な戦は無いのだ。
 ふっ、と芳佳の肩から力が抜けた。前を見ていた視線が自然と足元へ。
「それに……」
 悲しい目をしている。ウィッチではなく一人の少女の顔。
「おっぱい触りそびれたんですよ!」
「宮藤……?」
 ぐん! と急に紅潮した顔が跳ね上がる。
「だってネウロイのおっぱいですよネウロイの。もうちょいだったのにあとほんの数ミリだったのにですよ!
 やっぱり柔らかさもちゃんと真似してるのかなぁって気になって気になって未だに仕方無いですよ!
 しかも変幻自在なら大きさだって意のままであまつさえそんな私に対して協力的なネウロイが他にもいたらハーレム作れます。全く研究してたのにウォーロックなんて下品なもの作ったあの人達が信じられません!」
「……」
「あのこ私に触らせたがってたみたいですし本当に惜しくて」
「宮藤」
「何ですか坂本さん」
「……お前は学校のトラック80周だ!」
 世は天下泰平、ネウロイだってこんな光景を見たらきっと笑ってしまうだろう。
 芳佳の間抜けな悲鳴が青空に響いた。

547 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 08:54:00 ID:CZ28U+Lz
>>546
てっきりシリアスだと思ってたら何というぶち壊しwwwワロタwwwww

おっぱい星人芳佳に幸あれ

548 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 09:11:11 ID:UhfhUs6y
>>546
GJ!!芳佳おっぱい星人すぎるw
途中までシリアス物と思って読んでいたので落差に笑ったw
この後、「そんなにおっぱ…む、胸を触りたいのなら、私のを触れ。」
「いいんですか、坂本さん」
「う…うむ、二人きりの時ならな。」

「どうした宮藤、何か不満か?」
「何か、ごわごわしてます…」
「ん…ああ、さらしを巻いてるからな…わ、わかった、そんな悲しそうな顔するな。さらしを取ればいいんだろう?ほら、これでいいか?」(何をやっているんたろうな、私は…)

「わぁ…坂本さんのおっぱい…やわらかくて、あったかいナリ…」
「んっ…そんなに強く揉むな…あっ…こ、こら、そこは駄目だ…駄目だというのが…ああっ…」 

まで幻視した俺はまちがってないよね?

549 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 09:40:31 ID:Zi+EH+co
533です
流石このスレと言わざるをえないレスありがとうございます

>>534>>535
扶桑の魔女は全員おっぱい狂なわけですね
わかります
もう一本書かせていただきます

>>544
芳佳の来る以前の話しもいいですな
今書いているのは芳佳が来た後なので、前後編に分けてつくってみます

>>546
ワロタwwwwさすが芳佳だwwww

>>548
股間のネウロイが…

550 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 10:24:31 ID:24EZzlb4
>>527が見れない・・・('A`)
誰かあげてくれ

551 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 13:21:31 ID:XGP6oW3E
>>550
ttp://www2.uploda.org/uporg1787954.jpg
ほい。

552 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 13:29:10 ID:duZgLida
ワロタ

553 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 20:17:45 ID:hIzV2zKq
>>551 
ミ…ミーナさんw

554 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 20:21:01 ID:xQG6cMqC
>>551まで既に見れない俺涙目

555 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 20:21:56 ID:53JFveC1
pixivれ

556 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 20:29:34 ID:xQG6cMqC
pixivれと言われても、どの絵か皆目見当が付かないorz

557 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 21:10:30 ID:AAswCQxO
>>556
pixivでストライクウィッチーズと検索して2ページ目
(超独逸シンデレラミーナさん)ってやつだ。

558 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 21:12:25 ID:AAswCQxO
あれ、おかしいなsageたつもりだったんだが…

559 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 21:38:09 ID:/GyHmuCQ
明日は月曜か・・・
このスレで英気を養うしかないな

560 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 21:59:03 ID:xQG6cMqC
>>557
dクス!!

561 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:03:51 ID:XGP6oW3E
ttp://www2.imgup.org/iup731516.jpg
ttp://www.imgup.org/iup731519.jpg

よすぎ!よすぎだろ。
萌えたよ。

562 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:17:48 ID:Iuu0CWFt
和むわぁ

563 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:19:31 ID:xPJli9za
>>561
ちゃっかり少しエッチなポジションを頂いているエーリカと恥ずかしそうだけどまんざらでもなさそうなトゥルーデ
そしてそれを優しく眺めるミーナ隊長、嗚呼素晴らしきかなカールスラント

564 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:23:34 ID:XGP6oW3E
たぶん絵師さんは>>467の状況を絵にしてくれたんだと思うが
>>467はお気に入りのSSだったんでうれしい。

565 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:24:22 ID:JiUeSjCx
>>561
うわぁぁぁなにこれかわいすぎる最高…!
これで明日も頑張れそうです

566 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:29:23 ID:NHQILrDn
絵師=>>467

567 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:39:14 ID:XGP6oW3E
>>566
なん……だと
こんな可愛い絵も描けてあんな話も書けるのか……。
恐るべし……げに恐るべし。

568 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:42:39 ID:/GyHmuCQ
うは、むろさんGJスギ

569 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:43:00 ID:53JFveC1
絵か文章どっちかだけでも才能が欲しかった…
日々募る妄想を具現化するべく頑張ってはいるものの筆をとればもはやサーニャではないなにかが描かれていたり
キーボードを叩けばいつの間にかメインのはずのサーニャもエイラも出てこなかったりと…
はあ…

570 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:43:27 ID:2igDuiyr
>>467のSS実はハルトマンが起きてたんじゃとか部屋に運んだ後の妄想とかが止まらんのですが

571 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 22:49:04 ID:79Kp9Gfr
>>569
その妄想力を俺にも分けてくれよ…
と言うわけで書き出してみて欲しい。会話文だけでもいいから

572 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:05:46 ID:xQG6cMqC
>>569
書いて読んで貰わないことには何も始まらないと思うナ

573 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:10:20 ID:53JFveC1
なんか恥ずかしいんだけど

ズボンスワッピングしたエイラさんがあまりの履き心地の良さにルッキーニ追いかけるのも忘れて舞い上がっちゃって
サーニャをそんな目で思わず見ちゃうといいますか髪の毛をくんくんしたりしちゃって
ああもうサーニャかわいすぎるな、と
どうやったらサーニャとちゅっちゅっできるだろうかと一人盛り上がるわけですよ(結構大きい声 まあこの辺りがエイラが不思議キャラと言われている理由だと仮定)
いやちゅっちゅっはまだ早いダロ…
指をペロッとするぐらいなら…
どうすれば…
手っ取り早いのはサーニャが指を怪我したときに応急処置だって言って嘗めればいいヨナ…
そうだ今度サーニャに料理作らせて…
って何考えてるんだワタシハ!
サーニャに怪我させたりしちゃダメダロ!
と、まあこのあたりでサーニャさんが「エイラ、さっきから一人で何言ってるの…?」
と起きるわけです
さらに悪いことに「あれ、エイラ それ私のズボン…」
という展開になって
エイラさんあわあわ
「いや、あのサーニャこれはダナ…」
サーニャさん攻めモード入ったりして
「エイラ…言い訳はいいから、ちゃんと本当のことを言って」
とか言いながら最終的にはサーニャさんちょっと怒りながらも微笑ましい感じでエイラと仲直り(喧嘩してないけど)

うんなんか何番煎じだか分からないね
文章力ないけど頑張って書いたらそのうち投下するかもしれないからその時はお手柔らかに頼むぜ

574 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:14:37 ID:79Kp9Gfr
スワッピング【swapping】

二組み以上の夫婦または男女のカップルが、お互いに相手を交換して行う性行為。夫婦交換。スワップ。


575 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:16:00 ID:xQG6cMqC
これはよい妄想、期待して待ってる

576 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:16:17 ID:/GyHmuCQ
まぁ細かいことはいいじゃないか

577 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:22:47 ID:hIzV2zKq
このスレは夜になると途端にスピードがあがるよな
昼間の過疎っぷりとの差がw


578 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:22:52 ID:53JFveC1
おおうそんな変な意味があったのか
交換って言いたかっただけです
スマソ

579 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:28:13 ID:xPJli9za
俺も画力が欲しい!と思い立ってじゆうちょうに絵を書き始めたら
数分後にハガー市長を描いていた自分はマイスターになれない

だから俺はせめて!SSだけでも!書けるように!なりたいんです!

神様仏様女神様!私めに文才を下さい!!

580 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:29:38 ID:2igDuiyr
>>579
コーディ描いて

581 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:30:12 ID:Tw9JAXxQ
文才…か
そんなものは神から与えられるものではない!
自分の手で掴みとるものだ!
さあ、レッツ執筆!!

582 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:34:18 ID:iY2ec5CE
>>579
文章力っていうのは、それこそ本当に与えられた文才と、努力して得るものがある
後者の場合は、同人レベルなら普通に教育受けてる人ならば元からそれなりに持っていて、
少し国語力を勉強して、それを活かす方法さえ学べばすぐに光る
……と、小説書く初歩の本に書いてあった。

何が言いたいかというと……とにかく書けば良いと思うよ!

583 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:43:40 ID:kWxGHCPq
絵が描けると自分の妄想形にしてニヤニヤできるぜ

584 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:46:06 ID:NHQILrDn
ところで諸君は本日リニューアルしたばかりの保管庫をもう見ただろうか
今回新設された備考欄を見るばかりではエイラニャガチエロは全作品中6作品ばかしと稀少なものである

なんか意外だなって話で何も純愛志向を非難したいわけじゃない
管理人氏よ、GJだ!!

585 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/16(日) 23:54:20 ID:xLhHPhrg
>>584
フライング禁止ーッ!!w

ふぅ……2日で385本もSS読んだせいでテンション上がりすぎてやばいぜ!!
どうも保管庫の中の人です。リニューアル完了しました。今夜中どころか次の日の夜になってすいません。
めっちゃんこ遅レスになりますが何スレか前の携帯派ユーザーの方々、携帯版ページにキャラ別一覧ができたのでよろしければご活用ください。

さて、徹夜で良作を読み続けたせいで私の頭の中のサーニャが大変なことになってきたので投下させてください。
色々溜まり過ぎて何か吐き出さないと仕事にならねえ!!
サーニャ×エイラでシナリオノベル

サーニャさん崩壊シリーズ「Знайте Меня(私を知って)」

586 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:55:39 ID:UNxUP1HR
エロを否定するわけでないけど、個人的には、純愛というか触れ合いの方が好みだ


587 名前:サーニャさん崩壊シリーズ「私を知って」 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/16(日) 23:56:51 ID:xLhHPhrg
「エイラ、はいこれ。」
「これ……って、何だっけ?」
「交換日記。昨日話した……」
「ああ、ナルホド。ホントにやるのな。」
「ちゃんと書いて、明日またわたしに返してね。」
「わかった。それじゃ、オヤスミ、サーニャ。」

「しっかし……自分で蒔いた種とはいえ、こーいうの苦手なんだよなァ……。
 どれどれ、サーニャはどんなコト書いたのかな?」

 『×月×日
  今日も夜間哨戒のシフトだったので、昼間はエイラの部屋で遊んだ。
  今夜の運勢を占ってもらったら、"月"の逆位置だった。結構いい方みたい。
  ネウロイが出ないといいな。』

「なんだ、ちゃんと普通なコト書いてるじゃないか。
 心配して損したな。」

 『夕方、眠くなったのでエイラのベッドで寝る。
  布団に体温が残っていて気持ち良かった。
  エイラの髪の毛を拾い集めていたらオレンジ色の長い毛を見つけた。
  多分イェーガーさんのだ。どうしてエイラの布団についてるんだろう。
  明日2人に問い詰めなきゃ。』

「あー、シーツ一緒に洗ったからな……
 ていうか髪の毛まだ集めてたのかよ。」

 『場合によっては……ふふっ、それもいいかな。
  エイラの悲鳴って笑い声とは違う意味でドキドキするから好き。』

「怖!でもこういうのは最後まで読むべきだよな。」

 『エイラの髪の匂い嗅ぎたい。
  エイラの柔らかい狐耳をはむはむしたい。
  エイラの爪とか丁寧に切ってあげたい。
  限界まで首を絞めてからぱっと離して「ゲホッ、ゲホッ」ってなるエイラが見たい。
  それから土下座したまま思い切り靴で踏まれたい。
  罵られながら頭を地面にぐりぐり押し付けられたい。
  エイラの服を裏返しに着て「征服!」とか叫びたい。
  エイラの使ったスプーンを一晩中舐め回したい。
  エイラの部屋のあらゆるものをわたしのものに替えたい。
  エイラを檻に入れて鎖でぐるぐる巻きにしてみたい。
  エイラを肩車エイラしてわざとエイラ天井にぶつエイラけて
  「今日だけだかんな」ってエイラ言わせたいエイラ。
  エイラエイラエイラエイラエиエイラエイラエイラ
  エイラЕイラ エイлаエ イラエイラエイラエイ ラ
  エイлаエイラエイラЕイラエиラエイла』

パタン

「……ムリダナ。」




588 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/16(日) 23:57:21 ID:Zvu3JUYx
エロは純愛じゃないって意味に聞こえるな

589 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/16(日) 23:58:28 ID:xLhHPhrg
以上です。更新終わってから音速で書いたので短くてすいません。これでストック切れです。続くかは今後の燃料次第。
ホントはもっと日記の最後に色々付け足したかったけど何だか某キャラスレの様相を呈してきたので自重しました。
他にも書きたいキャラがいるので次は別の話かも。

あとなんだか懐かしい流れになってますが、敢えて突っ込むなら「書いてから考える」が正解だと思います。
「書くぞー!!」と思ってKIAI入れてPCに向かうより、まずは力を抜いて通勤中にでも妄想を形にしてみるといいですよ。
携帯という便利ツールがあるわけだし。
私も最初は「ハズしたら黙って去ればいいや」くらいの気持ちでやったらレス返ってきていやっほう!!というクチだったので……。

まあ、ウン年前に挫折した絵にこれを機に再挑戦して見事玉砕した自分が言うのも何ですがw

590 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 00:02:46 ID:Ar/bs1Gg
なんだ病んでれなサーニャは俺だったのか

591 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 00:09:48 ID:0VW5ASZy
>>589
乙乙!

絵とか期待が膨らむなぁ、再々挑戦すればいいじゃない!

592 名前:ねこぺん:2008/11/17(月) 00:14:38 ID:aaoIdxms
>>589
いつもご苦労様です。楽しく見させてもらってます

文才うらやましす。画才はもっとうらやましす。
どっちもない自分は努力あるのみですねー
というわけで、久々に爆撃。鬱っぽいかもしれないので
明日に差し支えそうな方はNGお願いします。

593 名前:ねこぺん:2008/11/17(月) 00:17:12 ID:aaoIdxms
自分がいなくなっても誰も憶えていてくれないことを寂しいと思うのは私だけだろうか
誰かに憶えていてもらうにはどうすればいいかなんてこと、私は知らないけれど


あなたは、どう?



       『in my eyes. in her eyes.』



ずっと一人だった。物心ついた時には、私はコヴェントリーの小さな孤児院にいて
そこにやっと馴染めそうだった頃には、ウィッチの適性を見込まれて軍へと呼ばれることになっていた。
右も左もわからないまま、軍学校出身のエリートウィッチに囲まれて、
私はそこに居場所を見つける事だって、まるで出来なかった。
ため息ばかりの毎日。
多分、そんな時だった。私があなたと逢ったのは。
ファラウェイランド出身の変り種。人と関わろうとさえしなくて、誰がどう見ても一人浮いていた。
だからかな? 私はちょっと声を掛けてみたい気になったのも。
幾度かの会話を挟んで、私たちは少しだけ気を許しあえるようになった。
口の悪い人は、あの子と一緒にいるなんて変わってるね、とも言ったけど。
それも気にならないくらい、私たちは不思議と気が合った。少なくとも私はそう、思ってたよ?
門限を破って、揃って始末書を書かされたり、営倉に入れられたりするのもしばしばだった。
それもまだ、平和だった毎日のこと。その毎日に、後から考えれば戻ることのない変化が訪れたのは、
ブリタニアにようやく熱い夏の日差しが見え隠れするようになった頃。
私たちの部隊は中欧、オストマルクへの派遣を告げられた。

ほんの半年の持ち回りのはずだった。
そんなこと思いもしなかったから、ネウロイが突如侵攻を始めた時、私たちの誰もが動揺を隠せなかった。
でも、これは機会だ。誰が一番優秀なウィッチであるか、それを証明するための。
どうすれば、それを証明できる? 簡単なことだ。ネウロイを最も多く落とせばいい。
あなたは言った。私が一番優秀だ、と。
私は言い返した。私があなたより多く落としてみせる、と。
私は、他に自分を示す方法なんて知らなかった。


もし、私があなたより多く落としたとしたら、あなたは私を憶えていてくれる?



594 名前:ねこぺん:2008/11/17(月) 00:18:07 ID:aaoIdxms

あなたが2機落とせば、私は3機。私が3機落とせば、あなたは4機。
私たちは必死だった。作戦行動から外れて、隊長に叱責されることもあったけど、
それ以前に作戦自体がほとんど機能してはいなかった。
ネウロイは巣から溢れ出す蜂のように無数に現れて、抗しきれなくなった私たちは敗走に敗走を重ねた。
オストマルク防衛の生命線であるブダペストとプレスブルグのリンクはあっさり断ち切られ
支えを失った私たちはウィーンまで後退せざるをえなかった。
ウィーンを失えば、カールスラント国境に近いリンツまで下がらなければならない。
それはオストマルクがネウロイの手に落ちることを意味している。
でも、ウィーンを守りきる事が出来ないのはもう誰の目にも明らかだった。
オストマルク軍はすでに体をなしてはおらず、私たち国際ネウロイ監視航空団もそれは同じだった。
ブリタニアから一緒に来たウィッチもその数は半分になっていた。
ウィーンでも私たちは必死に抵抗したけど、結局10日の後、上層部はウィーンからの撤退を決めた。
人々がカールスラントへの避難を終えるまでの3日間、ウィーンを死守すること。
それが私たちへのオストマルクでの最後の命令となった。
少女たちはその命令を泣きそうな表情で聞いていた。そんなこと、出来るわけがなかった。

命令が下った昼から、私たちには半日の休暇が与えられた。
それを楽しむ余裕なんてありはしなかったけど、私はそれでも街に出ることにした。
別にいい、と素っ気無く断るあなたの手を無理矢理引っ張って。
街には内陸のオストマルク特有の少し冷たい秋風。避難がすでに始まった街はいつもより静かな風に思えた。
私が向かったのは街の外れの小さなホール。
ウィーンに集う才能豊かな音楽家の卵たちがその才能の一端を覗かせる、そんな場所。
彼らも明日にはウィーンから避難することになるだろう。その紡ぐ音もどこか寂しげに聞こえた。
中でも一際若い、というより幼い少女が目に留まった。あなたと同じ銀の髪。
私はあんな小さい子もいるんだね、と言ったところで、あなたのその瞳が興味を惹かれたように
その少女を追っているのに気づいて、私は少しくやしい気分になった。
私にはそんな瞳、見せてくれたことなんてなかったのに。
弾かれているヨハン・シュトラウスが、
華やかなはずのウィンナワルツが冷たいほど透明で、私たちはもうなにも言えなくなっていた。



595 名前:ねこぺん:2008/11/17(月) 00:19:07 ID:aaoIdxms

夕暮れの街を二人並んで歩いた。自分よりだいぶ高いあなたの横顔を私は見上げるように見つめていた。
綺麗な長い銀髪が風に揺れて、含んだ匂いが私の心を狂わせる。
横を沿って流れるドナウ川はやっぱり青かった。美しく青きドナウ。
この青が少女たちの血でまた染められることを知ったら、ヨハン・シュトラウスはどう思うだろうか。
あなたは何も言わなかった。私は何かを言おうとしたけど、やっぱり上手くいかなかった。
言いたいことは一杯あったはずなのに。
夕暮れの赤が、少しずつ漆黒に飲み込まれていく。私は最後の手段を、とそう決心する。
それは手段とは言えないかもしれない。むしろ、禁じ手だ。
沈む夕日を背に追いやって、私はあなたの正面に回りこんだ。ヘッド・オンでエメラルドの瞳を捉える。
ジャケットに隠されてほんとはずっと華奢なその肩を両手で抑えて。あなたの瞳に私のそれが映り込んだ。
視線が絡んで、ほどけるまでの僅かな間。触れるように口唇に口唇を重ねる。波の音だけがざわめいていた。
それはほんの一瞬だった。
離すと急に恥ずかしくなって、私は照れを隠すように反対を向いた。
私は、あなたのこと―――― そう、言いかけて、最後まで言えなかった。
二人の間を割るように急を告げるサイレンが、街に鳴り響いた。

夜を迎えたウィーンの空に銃声がこだまする。
編隊の連携はネウロイの数に任せた攻勢で、あっという間に引き裂かれた。
どこに味方のウィッチがいるのかさえ確認できなくなり、目の前の1機を振り落とすので精一杯になる。
3機まで片付けたところでやっと開けた視界に映ったものは、思わずそのまま目を背けたくなる惨状だった。
多くのネウロイに絡みつかれ、ぼろ布のように墜ちてゆく少女たち。
ヘッドセットに隊長の焦った声が降ってくる。残ってる人は集まって、このままだとっ。
私はそれに短くはい、とだけ返して、確認しようとあなたに呼びかけたけど、でも返事はまるでなかった。
あわててあたりを見回して、そして少し離れた位置にあなたがもう諦めたように銃口を下ろすのが見えた。
私は弾かれたように飛び出していた。魔力を受け止めきれないハリケーンが悲鳴を上げる。
もしかしたらそれは私自身の悲鳴だったかもしれない。
ぎりぎりで射線に割り込んだ次の瞬間、魔力シールドが打ち込まれる弾丸で木の葉のように削られていく。
集中が維持できなくなって綻んだシールドの隙間から弾が次々と喰い込み、痛みはすぐに灼熱に変わった。
反撃しようとして、構えた銃をにぎる右手の指が弾かれ、私はそれを取り落とした。
もう気力も魔力も残ってはいなかった。シールドがあっという間に吹き飛ばされる。
背後で叫ぶ声が聞こえた気がして、私はぎゅっと目を閉じた。
最後に見るあなたが泣いているかもしれないなんて、そんなこと考えたくなかった。


ねえ、確かめておいて。私、あなたより1機多く落としてるんだよ?


ふらふらと身体と意識が墜ちてゆく。もうあなたの声も聞こえなかった。


――――もしも、もしもあなたに一つだけ願えるのなら。きっと最後まで連れて行ってね。

           私の記憶を、あなたの未来に――――。
                                      fin.


596 名前:ねこぺん:2008/11/17(月) 00:24:18 ID:aaoIdxms
これ、誰の話かぱっと分かった方はいらっしゃるでしょうか?

というライバルさん(仮)、もといビューリングさんのハリケーンの主さんの話
ビューリングさんの話で間違いなくこの子はビューリングさん好きだっただろうと。
もう、それだけ。あまり設定もないので、気が強い以外はストレートに可愛い子を目指しました
楽しんでいただけたら幸いです。でわでわ

597 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 00:36:08 ID:UhNHt6+g
>596
すげえ、まさかそのキャラが来るとは思わなかった。
これはビューリングさんが銃殺くらいかけるまで引きずるわけだわ。

598 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 00:54:38 ID:Sqh7iqI+
>>596
乙!
なるほど、ビューリングのライバルだったあの子か。
演奏会にいた銀の髪の女の子は、黒狐さんの好きなあの子だな。
うん、きっとそうだ。

599 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 01:04:06 ID:2HwIvX0q
>>589
管理人様本当にお疲れ様です
これ以上行ったらアウトですよサーニャさん


>>596
ちょっと好奇心で読んでみたら想像以上に鬱作品で泣きそう死にそう
しかし文句なしに素晴らしい作品だと思います

>横を沿って流れるドナウ川はやっぱり青かった。美しく青きドナウ。
>この青が少女たちの血でまた染められることを知ったら、ヨハン・シュトラウスはどう思うだろうか。

特にここ、ここがかなり、かーなーりグッと来ました

でもよければ次は明るい感じの作品で・・・なんてね

600 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 01:18:20 ID:iVBzAQPb
ビューリングの死んだ戦友って
リーネの姉のウィルマなんじゃないかと勝手に思ってるんだがどうだろう?






そんなわけでリーネにウィルマの影を重ねてしまうビューリングを誰かよろしく

601 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 01:20:39 ID:Sqh7iqI+
>>600
秘め声でリーネがお姉ちゃんは魔女で……と言ってたし
ビューリングのライバルの子が墜死したのはいらん子の前(1939年以前)
なのでそれはないかと。

602 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 02:52:38 ID:GulLVAKU
ウィルマ・ビショップは1941年にドーバー海峡で戦闘してるらしいし
流石にビューリングの戦友じゃないと思うな
元ネタ持ち出してきてもバーリングさんは単独飛行ばっかりでそれらしい人物は周りに居ないし
多分戦友は空想上の名無しウィッチなんじゃなかろうかと思う
一番近いので離婚した奥さんって可能性もあるかも

そんなわけでウィルマと戦友の間で心が揺れるビューリングを誰かよろしく

603 名前:ドロップ裏・後編1/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:16:24 ID:XUaV0Hcn
うおお保管庫すげえ…管理人様はいい仕事をしすぎです、本当にいつもお世話になってますありがとうございます

>>322のつづきです。シャーゲルでちょっとえろいので注意


「あのさ」

 耳元に息がかかった。余韻ののこるあまったるい発音で、シャーロットが自分のほほのうえでかさねられたままの
てのひらにやんわり力をいれてつぶやく。自分で言わせといて、そんなにてれないでよ。

「……だまれ」
「あはは、耳まで真っ赤だ」

 私はといえば、シャーロットにおおいかぶさったまま、やつの顔のとなりのシーツに顔をうずめてごまかすのに必死
だった。それなのにやつの指摘どおりに耳までこんなにあついんだから、全然かくせていないらしい。しかたないから
からだをもちあげて、一生懸命冷静な顔をつくって見おろしてみる。

「かわいい。すき、バルクホルン。あいしてる」
「おまえ、は、はずかしげもなく……」

 なのに、急にひらきなおってしまったシャーロットは、そんなはずかしいことを平気な顔で言ってのけるのだ。結局色
をこくするしかない私の羞恥心はもっとほほあつくして、シャーロットはそれを指先でなでてからうなじに両のてのひら
をはわせる。やわらかいふれ方に緊張して、そうしているうちに案の定ひきよせられる。自分のからだをささえていた
両腕はあっさりとその仕事を放棄して、やつの望んだとおりにひじをおった。てのひらは背中をはい、吐息は耳たぶ
ちかくの髪をゆらした。私は、それらをただ感じることばかりに没頭する。

「しかし、あんたになかされる日がこようとはね」
「しるか、そんなの」
「なんだよ、よかったって言ってるのに。あんなこと言わされて、なんかね、もう、なにこれってくらい」
「……もうだまって、たのむから」

 からかわれている気分になって、それから先程までの行為を思いだして、シャーロットの首筋にうめた顔をあげたく
なくなる。声とか感触とか、そういうことはいやになるくらい鮮明で、なのに自分がどんなことをしていたかはまるで
あいまいなのだ。なんて必死だったんだろうと思う。でもだって、と自分に言いわけをするしかない、シャーロットが
あんまりかわいいのが悪いんだ。声にだして言えばきっとこいつのことだってちょっとは動揺させられるんだろうけど、
もう二度と言えそうにない根性なしに呆れる。

「ねえ、なに考えてるの」
「なんでもない」
「なんだよ、そっけないなさっきから」

 うるさいな、関係ないだろう。そう言いかえそうとして、だけどさきにからだに加わる力にぎょっとした。気づいたら
形勢は逆転、ベッドに背をおしつけられて、器用に私たちの位置はいれかえられていた。

「じゃああたしも、口わらせてあげるよ」

 言うがはやいか、シャーロットは私の胸元に唇をおとす。あたたかいそれが心臓のそばの皮膚におしつけられる。
何度もくっついたりはなれたりをくりかえし、その都度音をならす。シャーロットのキスのしかたはいつもそうだ。はずかしく
なるようなやり方で、まるで的確な位置をつく。おかしい、こいつは絶対におかしい。なんでこんなに手慣れているのか。

「あ、やめ…」
「いいの、やめても」

 上目遣いで表情を観察される。おもしろそうな、それなのにさも真剣な目が私を見ていて、いつものように私はなにも
言えなくなる。普段からすこしだけねむそうなまぶたが、こういうときは不思議なくらいにおとなびて見えた。いちいち
しらない表情で、私を翻弄したくてしょうがないと訴えてくる。そんなのまっぴらごめんで、なのに、私はこれには絶対
にさからえない。

604 名前:ドロップ裏・後編2/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:17:30 ID:XUaV0Hcn
「あ、……」

 やわらかくてあついものがはっていく。丁寧に、舌がすべっていく。なにものがさないようにとゆっくりと、シャーロット
こそ、しつこいんだ。予想のつかない動き方に徐々においつめられる気分にひたっていると、ふと、シャーロットは口
をはなす。それでも今度は手が動いて、わき腹のほうから一気になであげられて息をのむ。

「ねえ、なにしてほしいか言って」
「は、なん、で」

 てのひらの終着点は両方のふくらみだった。それをやわやわと五本の指になでられ、私はいつのまにかシャーロット
の首に手をまわしていた。わずかにおちつきなくまばたきの回数がふえた瞳に見つめられて、ゆっくりと体温があがって
いくのを感じる。

「いや、いやだ」
「ちゃんと言って、そうしないとわかんない」
「うそだ……」

 じらす動きで刺激がやんわりとつよくなっていく。あんたのしてほしいことがしたい。あまえるような響きでシャーロット
に口説かれる。あまやかされているのは私のはずなのに、まるでこっちこそ言うことをきいてやらないといけない
ような気になってしまって焦った。

「しるか、そんなのしらない」

 なんとかそれだけ言うと、シャーロットがすこしだけ唇をとがらせて、そして顔をよせてきて額に額をすりつける。
うそだ。それから先程の、思わずでてしまった私のつぶやきを真似られて、かっとはずかしくなる。今度はほほに
ほほがふれる。ゆるやかな摩擦が心地よくて、もうこれだけで満足できるかと思うほど。だけどシャーロットにそんな
気は絶対にないだろうから、私は覚悟をきめて首にまわした腕に力をこめる。

「……あ」
「うん?」
「……、き、キスして、ほしい」

 消えいるような声とはこういうことかと思うような、なさけない声がでてしまう。はずかしくてしかたがなくて、だけど
シャーロットは左のほほ同士をこすりあわせたまま、私の耳のすぐそばで満足そうな息をつく。それからふいと
はなれていき、至近距離から目を見つめられる。

「残念、それはだめだ」
「な」

 自分で言わせたくせに。まさかの返答に、怒りと羞恥が同時にわいて、顔が赤くなるのがわかった。相乗効果でも
あったのか意味がわからないと言いかえす余裕がないほどに動揺して、私はぱくぱくと唇を開閉するほかない。

「だって、あんたにも言ってもらわなきゃなんないんだ」

 だから、唇にはしてあげない。かわりに、とでも言うように、首筋にキスがおちてくる。雨みたいに絶え間なく、あまい
刺激がふってくる。言ってもらうって、なにをだろうか。先程すでにはずかしすぎることを言わされたのに。

「……ねえ、わすれたような顔しないでよ。あたしばっかりじゃずるいじゃないか」
「だから、なにを」
「いやだな、あんたがさっきあたしに言ってってたのんできたこと」

 たのんだ? なにをだ。とでも、とぼけられればよかった。だけどもおどろくほど嬉しかったあのことばを、わすれた
ふりなんてできるわけない。私はまたきっと顔を赤くして、なんていそがしい顔色なんだろうと思う。だからせめて、
すなおになんて言ってはやらない。

605 名前:ドロップ裏・後編3/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:18:14 ID:XUaV0Hcn
「いやだ、絶対」
「なんでだよ。言ってくれたらキスしてあげる」
「う…うるさい」

 まるで弱みでもにぎったような顔で言われて、なんて生意気なやつだと思っていると、つぎにはぽんと名案を思い
ついた目でにやと笑われる。

「じゃ、勝負しよう。あたしが勝ったら言ってもらう」
「勝負?」
「うん、……あんたは、声だしたら負け」

 簡素すぎるルール説明を終えた途端、シャーロットはじつはずっとおきっぱなしだった両手で胸をにぎりつぶす。
急すぎる刺激に私は息をのみ、だけど幸運にもまぬけな声だけはでなかった。

「急に、そんなこと」
「しゃべったら負けちゃうよ」

 たのしげな声に、思わず口をつぐみ手でおおう。それを満足げにながめながら、シャーロットは指先の動きを複雑に
していく。親指とひとさし指でつまむように、徐々に中心へと刺激の重点を移動させて、私はといえば、思わずやつの
思惑どおりに動いてしまったことを後悔していた。いまさらそんなのはおかしいなんて言いだせない、こうやって我慢
しているっていうことは、その勝負にのったということにちがいないのだ。

「…っ」
「ん…、我慢して。がんばって我慢したら、すごく気持ちいいから」

 そんなの、しっているに決まっている。こんなはしたない声なんてすきこのんでだしたいわけがなくて、いつだって
こらえている。その度に逃げ場のない妙な感覚がからだのなかでうずまいてたまらなくなるのだ。だけど、きょう
ばっかりは覚悟がちがう。絶対に声をあげるわけにはいかない、そうだ、これは勝負なんだ。きゅ、と口元を
ひきしめて目をとじる。そうすると突然、シャーロットの気配がぱっとはなれていき、ぎくりとしているうちにからだを
持ちあげられてベッドのはしにすわらせられる。なんだ、と思っていると、やつは今度はベッドをおりて私の足元に
ひざまずく。

「目とじちゃ、つまんないよ」

 それから私のひざをぽんぽんとたたいて、つまりこれはこれを開けということだ。そんなことをされては逆にひらかない
ようにと緊張してしまって、シャーロットはわかっていたような顔でひざに唇をよせる。すいついたりなめあげたり、歯を
たてたりと、そうしながらもずっと私の目を見ていた。視界をとざすのはいけないようなことを言われたけど、従う必要
なんてべつになくて、それなのに私はその目を見かえしてしまう。シャーロットの手はさらには私の足をとって指の一本
いっぽんまで輪郭をなぞるように指をすべらせている。丁寧にまるで安心させたいような動きで、不本意ながらそれは
本当に私をほっとさせ、思わずこわばっていた足から力がぬけていく。だけどそれだけ。自分からさらすなんてできそう
にない、無理やりにこじ開けられたほうがよっぽどましだ。

「……んっ」

 ぎ、と、すこしつよめに歯がたてられる。血はでないにしてもそれなりの痛みがはしる。眉をよせながら、私はふと
思いだす。やつの肩。あのとき、本気でかみついてしまったところ。見てみれば、もう跡形もなく消えている。最初の
ころ、痛々しいそれをシャーロットはかくそうともしないで、むしろ見せつけるように私の部屋のなかにいた。
 気づいたらその肩にふれていた。きえてしまったそれをなぞるように、するとシャーロットはまばたきをして顔を
あげる。なに、そう言いたげな顔をして、だけどすぐに合点したようにうなずく。

「きえちゃったね。べつにずっとのこっててもよかった」
「……」

606 名前:ドロップ裏・後編4/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:19:12 ID:XUaV0Hcn
 妙なことを言う。他人にずっとのこるきずをつけてしまうなんてごめんだ。そんなことを考えているとどうやら私は
なかなか訝しげな顔をしていたらしくてシャーロットが笑う。まあいっか、さっきこれをつけてくれたから。やつは首筋
をなで、そこにある赤いあとを示す。私がつけたあとだった。ついはずかしくなる。半分くらいいやがらせでつけた
のに、なんでそんなにうれしそうなんだよ。肩から手をはなしてうつむくと、今度こそシャーロットがひざを割る。前触れ
のない行動にあわてて、思わずひざをとじようとするけどもうおそい。やつは顔をすべりこませて、私をみあげている。

「あたしは、ここにつけちゃおうか」

 そして内股をなであげられた。その刺激にぞくりとするが、そんなことよりもききずてならない台詞をきいた。

「ば、ばか。冗談じゃない」
「し、だからしゃべっちゃだめだって」

 唇のまえでひとさし指をたてて、シャーロットはたのしげだ。もちろんさっきのことばも冗談だと思いたい。いちいち
ふざけているシャーロットにあせっていると、やつはそんなことはそっちのけで指も顔もじわじわとすすめてきて、私
はやっと羞恥心をとりもどす。

「ね、ちゃんとあたしの目、見てて」
「……っ」

 そんなところでしゃべらないでほしい。かすかな吐息にすら反応してしまって、私は一生懸命歯をくいしばって声の
出口を手でふさぐ。だけど必死の抵抗もむなしく、シャーロットがそこに唇でふれた途端にそんなものはくずれて
しまうんだ。

「あっ、ん」

 しまった、と思うのに、シャーロットはまるで気にしないで何度もそこにキスをする。さらには舌をだしてなめあげて、
私はもうどうしようもなかった。口元をおさえていたはずのてのひらはいまはもうベッドのうえのシーツをにぎって
なんとか自分のからだをささえようとしている。ひざはすっかりおおきくひらかれて、片方の足はシャーロットの肩に
のせられてもう片方もベッドにおさえつけられていた。

「ん、あっ、…いや、だっ」
「ほんとに? ぬれてるよ、すごく。さっきから、あたしにしてくれてたときも感じてた?」

 感じていたどころか、ふれられてもいないのにいったくらいだ。本当のことなんて言えないで、私は息も絶え絶えに
首をふる。そのあいだも舌は侵入をつづけて、指がそこをひらいていく。それぞれ自由な動きをするものに翻弄された。
つぼをおさえきった順で刺激があたえられて、なによりもこんなところにシャーロットの顔があるなんて、もうそれだけ
で気をやってしまいそうだった。それでも言いつけどおりにやつの目からは視線をそらせずにいる。ばかだと思う。
ひょっとしたら、こうやって他人に従わされるのがすきなんだろうか、私は。

「ん…、ねえ、何回してもなれないね、口でされるの」
「あ、んっ、うるさ、い」
「こうされるのだいすきなのにこんなに緊張して…、はずかしい? それとも気持ちよすぎるのかな」

 挑発するように、シャーロットがふふと笑う。心底おかしそうに、すこしだけばかにされたような気がしてかっと感情が
昂ぶる。それがなんというなまえのものかは判断できなくて、ただ、思わずそこにくっついているシャーロットの頭を
つかんでひきはがしてしまうほどには激しいものだった。

「へ、へんなことばっかり、言うな…っ」

 上擦った、なきだしそうな間抜けな声で、私は一生懸命反論する。なんてかっこうわるいのか。自分のなさけなさに
呆れながら、それでも必死にシャーロットをにらむと、今度はシャーロットが間抜けな声でごめんと言う。

「ご、ごめん。そんなにいやだなんて」

 なくほど、いやだったなんて。あせりきった表情で、かがんでいたシャーロットがベッドのしたでひざをたてて私の顔
に顔をよせる。

607 名前:ドロップ裏・後編5/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:20:11 ID:XUaV0Hcn
「……ないてなんかない」
「うそだよ、ないてるよ……」

 困りきった声で、シャーロットがほほをなでる。なんとなくしめっぽい感触にあれと思う。もしかして本当に私はないて
いるのか。涙の理由がわからなくて、私は自分のてのこうで目尻をぬぐった。するとシャーロットは、もうしわけなさそう
にほほにふれた手をはなしてしまう。

「だって、そういうこと言われるの、とか、いじめられるのとか、すきなのかと思ってたんだ」
「…なんだよそれ」

 まるで言いわけのようなシャーロットの供述に、私は密かにどきとした。自分はひとに従うのがすきなんじゃないか
という先程の自問を思いだし、図星をさされたような気になる。だけど認めてしまうとあともどりできないような気がして
ごまかした。

「だから、あたしだって一生懸命」
「なにがだ、あんなにたのしそうな顔をして」
「いや、それは……」

 あいかわらずの涙声でせめてみても決まるはずもなく、それでもシャーロットは見事に反省したふうに肩をおとして
いる。急にしおらしくなって、なんだか私がいじめてるみたいじゃないか。不本意なシャーロットのようすにすこしだけ
あせって、ぎこちなく明るい色の髪をなでる。するとぎくりとしたようにやつは顔をあげ、それから唇をかむ。

「……あんたのしてほしいことをしたいのはほんとなんだ、うそじゃないよ。それっくらい、あんたのこと、す、すきなんだ」

 先程までの生意気な表情は跡形もなく消えうせ、うぶな少女のようにほほを染めてシャーロットがはずかしげに
まばたきをする。その目はこころなしか潤んでいて、私の心臓がおおきく鳴って、ついさっきの軽口のようなあいしてる
がまるでかすんでいく。じつはすこしだけうれしかったのに、どうしたことか。これには、全然かなわないんだ。

「わ、私だって」

 思わすつぶやいていた。緊張してシャーロットの髪にふれるてのひらに力をこめてしまいそうでぱっとはなして、
それからこくとつばをのむ。

「私だって、おまえが…すき、だから、なにされたって……」

 声がふるえて、我慢できないでうつむく。言いきれそうにない、もういやだ。なんでもないと、顔をそむけてしまおう。
そう思ったのに、それよりもさきにぎゅっと手がにぎられる。

「なんだよ、なんだよそれ、そんな急に、すなおに……」

 それから、いまの私の声よりふるえる声がしてぎょっとして、シャーロットはうれしいのかかなしいのかもわからない
くらいに表情をくしゃくしゃにして、私の胸にとびこんでくる。あんまり急だったから支えようもなく、私たちはベッドに
たおれこんだ。

「どうしよう、しらなかった。ちゃんと言ってもらえるのが、こんなにうれしいなんて」

 きょうは、うれしいことばっかりでしんじゃいそうだ。浮かれた声。私だって、いつもどこかかっこうつけているような
やつのこんな姿を何度も見せつけられて、気が狂うんじゃないかと思うほど、どきどきしていた。しかもこいつをこんな
ふうにしているのは自分自身で、きっとこれは私だけが見られるもので、それは、とてもとても。

「キスしよう、いっぱいいっぱい、キスしよう」

 シャーロットの唇が私にふれる。ただふれるだけ、なぞるだけでたまらなくなる。あますところがないようにと、顔中を
なでて、そしてそれにひたっていた私は、きっとあまりに間抜けな、しあわせそうな顔をしているにちがいない。こんなの
を見せるのだって、私だって、おまえだけなんだ。

608 名前:ドロップ裏・後編7/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:21:03 ID:XUaV0Hcn
----------

「なんでおきないんだよばか!」
「私のせいにするのかいい度胸だ、そもそもきのうあんなにおまえが調子にのるのがわるいんじゃないか」
「あんたがあたしにならなにされたってうれしいっていうからだろ」
「だれがそんなこと言った、勝手に誇張するな!」

 翌朝。あのあともなんだかんだでしつこくシャーロットにからまれたせいで、私たちはすっかりと寝坊をした。なんて
ことだろう、この私が寝坊だって、みんなにはいったいどう言いわけしたらいい。必死に理由を考えながらシャーロット
とばかでかい声で言いあいをしながら廊下をあるく。まったく、きのうのかわいらしさはどこにいった、もうすっかりと
生意気でえらそうな普段どおりのシャーロットだ。
 にらみあってとなりあい、ふと視界のはしになにかがうつる。視線をまえにむけると、だれかの部屋のまえにすわり
こむ人物。確かあそこは。

「……げ」
「エイラ」

 朝食の時間にはいつもいないエイラが、自室のまえでドアによしかかりひざにほおづえをついてわれわれをながめて
いた。

「なにをしている、こんなところで」
「おいバルクホルン、いいじゃないかそんなの、いこうぜ」

 妙に焦った声で、シャーロットが私の服のすそをひく。なんだよと思っていると、エイラがすわりこんだまま口をひらく。

「夢で、きょうはここにいればおもしろいものが見られるって」
「はあ?」
「や、ただのひとり言。しかし、昨夜はおたのしみだったのか?」
「うわあ!」

 急にシャーロットが大声をだす。おい、なんなんだよさっきから。わきを小突くと、シャーロットはへらりと笑って首
をふる。なんでもないと、そんなわけがないような主張をする。

「なんだよ、あんなの見せつけてくれた仲じゃないか。教えてくれたって」
「エイラ、ちょっとだまれ、おねがい」
「おい、なんの話だよ」
「いやいや、なんでもないんだよ」
「だからわたしは、寝坊のうえに同伴出勤っていうのはどうかと」
「おい! エイラ、いまサーニャがおまえ部屋でひとりなんだろ、さっさともどったらどうだ」
「な、なん、さ、サーニャはべつにわたしの部屋になんていないぞ!」

 サーニャの名がでた途端、先程までにやけ顔だったエイラが顔色をかえる。さらにはすわりこんだままだったのが、
急にたちあがってこぶしをにぎって、するとシャーロットのほうも、わたわたしていたようすを一変して、今度はこちらが
にやりと笑った。

「いまさら。みんなしってるよ。なあ、あの日、えらく興奮してたみたいじゃないか、ええ? 部屋にもどってサーニャに
どうにかしてもらったのか?」
「は、な、サーニャはそんなことしない!」
「のわりに顔真っ赤じゃないか。思いだしちゃった?」
「ちがう! そんなことないったらないんだ!」

 シャーロットの言うとおり、エイラの顔は全体が赤くなっていて、私だけがわけのわからない状態におちいっている
うちにエイラがくるりとからだのむきをかえてドアをあける。うししとシャーロットは笑っていて、だけどドアをしめる瞬間、
エイラはわれわれを真っ赤な顔のままにらむのだ。

609 名前:ドロップ裏・後編8/8 j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:21:34 ID:XUaV0Hcn
「つまり、大尉がふたりしていちゃいちゃしてたせいで寝坊なんて、したのわたしらに示しがつかないって言ってんだよ、
色ボケども!」

 言いきると同時に、ばたんとおおきな音をたてて木製のドアがしまる。まさかの捨て台詞に、ぱかと口があいて
しまった。なんだと、エイラはいまなんて言った、いちゃいちゃ、色ボケ? なんで、なんで。

「な、なん」

 なんでエイラがしっているんだ、当然すぎる疑問にとなりを見ると、シャーロットは不自然に姿勢を正しまえをむいて
いる。そういえば先程からあきらかにようすがおかしかった。

「……シャーロット」

 こいつがなにかしっているのは明白だ、ひくい声がでて、するとシャーロットは汗をたらしながらあははとうすらわらい
を浮かべる。

「なんていうか…いちばん最初のときに、あんたを部屋におくる途中でエイラとばったり遭遇しちゃったっていうか? 
そんでちょっと、へんなところを見られちゃった、みたいな?」

 いやはやまいったもんだね。ぽりぽりと頭をかきながら、シャーロットはやはりごまかすように笑っていて、先程から
の意味不明な展開に忘れていた羞恥心が、やっと思いだされてしまった。

「み、見られたってなにをだよ」
「だからそりゃあ、あんたのあられもない姿とか…」
「は、な、なん」
「だ、だいたいさー。あのときあんたが寝ぼけてあんなことしたせいで、あたしえらい恥かいちゃったんだぞ」
「あ、あんなことってなんだ、なんだよ」
「……言いたくない」

 シャーロットがはずかしげに目をふせる。いったい、いったい私はなにをしたんだ。ぐらぐらと頭の中心がゆれるよう
な錯覚に見まわれるほど動揺して、するとつぎは急激な怒りがわいてくる。

「なにが、言いたくない、だ、そもそもなあ、おまえがあんなところであんな気をおこすのがすべての元凶じゃないか、
あれがなければ、いまだってこんな……」
「な、なんだよ、あたしともどうにもなってなかったって? そりゃあんまりなんじゃないの、あんたにとってその程度の
わけ、きのうあんな顔しといて、とんだ性悪だな」
「だれがそんなこと言った! 時と場所をちゃんと考えろと言っているんだ!」
「だって、あんた急にあんなやさしい素振りするんだもん、ちょっといけそうかなって思っちゃうじゃないか。ふうん、
あんたにはさっぱりそんな気はなかったわけだ、性悪のうえに誘い上手なんて油断ならないな!」
「な、なんだと! なんでおまえはいちいちそんなぱっぱとひとを侮辱することばが思いうかぶんだ、おまえこそ最悪
の性格をしているじゃないか」
「な、もっぺん言ってみろ!」
「ああ言ってやるさ! いくらでも!」
「あのー」

 急に、ドアのむこうから声がしてぎょっとする。ふたりそろってがばりとそちらを見ると、エイラの声が扉はとざした
ままにつづけた。

「ひとの部屋のまえでそんな大声で痴話げんかされちゃサーニャがおきちゃうので、やめてください」

 冷静な、いつもどおりの抑揚のない声がとんでもないことを言ってくれる。思わず私たちは息ぴったりにいっしょに
ぴきとかたまり、それから顔を赤くする。

「痴話げんかなもんか!!」

 おまけにしっかりとユニゾンまできめてしまい、一寸の狂いもなくそろいまくったそれは食堂のほうまで見事に響いて
届いていた、などということは私は絶対信じない、断じて、信じてなどやらないのだ。


おわり

610 名前:j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:23:45 ID:XUaV0Hcn
以上です。しかし長くてもうしわけない。序のつづきでリレー風に書かれていたエイラーニャの話を
オチにつかわせてもらいました。こんなんですみません
しかし力尽きたせいでえろが中途半端……

そういえばこの週末相当ひまだったので投下しまくった気がするのでとても申しわけない
気分です、すみませんでした

611 名前:j4ntaz3y:2008/11/17(月) 03:32:04 ID:XUaV0Hcn
うわ6/8が丸々ぬけてますが7レス分で全部です。凡ミスすみません

612 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 03:52:10 ID:ZnqZIPxX
起きてたワタシは勝ち組ダナ
GJ!!

613 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 04:18:41 ID:dAs1aKLz
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1226862801/

614 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 07:48:06 ID:c9p/uK9U
こんな夜遅くにみなさんお疲れー

615 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 10:25:29 ID:MeH9xQz0
※埋めリーネイラ 絡み有り



今日だけだから。その言葉に彼女はあまりにも弱い。
だからら私は直前まで困惑したような表情を浮かべて、どちらかと言うと否定の方向へ気持ちを追いやって
いた彼女を、私はその言葉を以って引き戻したのだった。

普段決して表に出さないような強引さで彼女の手を引いて自室に連れ込んで、ベッドに押し倒してその唇を
奪った。なにすんだ、ともらす彼女などお構いなしにもう一度唇を合わせて、何かを言いよどもうとする彼女の
口内に舌を差し入れて犯す。

「リーネッ!落ち着ケ!!」

口を離した瞬間に下から肩を掴んで、彼女は叫んだ。彼女の生まれた国特有の平坦な口調はその声音に
必死さを帯びさせない。一緒の場所で過ごしたことなんて一日や二日じゃないからそれでも彼女は本気
なのだと知っていたけれど、私はあえて知らない振りをすることにした。
私はにこりと笑って彼女の制服のボタンを丁寧にはずし、今度は彼女の首筋に顔をうずめる。歯を立てて
後をつけると「ヤメロ」とたしなめるように言われてしまった。見えないから大丈夫ですよ、と囁くと「ソンナ
問題じゃない」と返って来る言葉。眼下に広がるのは透き通るように白い肌だ。見ているだけでくらくらする。
気持ちがはやって、私も上着を脱ぎ捨てた。

「私はリーネが話があるっていうから来たんダッ!こんなことされるためじゃナイ!」
「…これで何も思わないんだったら、あなたは相当の天然ですよ」
「何か言ったか?」
「さあ?」

こうして彼女を誘い込んで襲うなんて初めてのことじゃないと言うのに、彼女は私が何でこんなことをする
のかわからない、と言った様子でいるのだった。私が自分に何かをするなんてありえない、と言わんばかりの
態度で「しょうがないなあ」と頭をかいて、黙って手を引く私についてくる。

「じゃあ、お話をしますね」
「…その前に上からどいてくれないカ?」
「イヤです」
「…なんなんだよ、話って」

私はまた笑って、彼女の頬を片手で包み込む。銀色の髪が窓から差し込む月の光にきらきらと光っていて、
はだけた衣服と相まってとても淫らだ。…と思うのは、私が今とても邪な感情でいるからなのだろう。
剣呑な顔をしている彼女などお構いなしに、単刀直入に私は告げる。

「抱いてください」
「イヤだ」

数秒のやり取りだと言うのに、条件反射のごとく彼女は否定の意を示した。口にしたあとで自分の言葉を
理解した、と言った様子で顔をしかめる。

「いやだ」

重ねるように、もう一度。その顔は頑なで、もしかしたら『今日こそは』騙されるものか、などと考えている
のかもしれなかった。いままで何度同じようにしてあなたを連れ込んだかわからないのに、毎度だまされる
あなたの学習能力のなさが悪いのだ、と思うと同時に私に対してそこまでも、どこまでも無防備な彼女が
愛しい。
けれで私はその堅固な扉を開く鍵を、ちゃあんと持っているのだった。心からじゃらりと引っ張り出して、
今度は彼女の胸に顔をうずめて、左胸に届くようにゆっくりと見えないそれを差し込んでいくのだった。一言
一句、すべて彼女に届くように。

「今日だけですから。……寂しいんです」



616 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/11/17(月) 10:26:04 ID:MeH9xQz0

びくりと、彼女の体が身じろいだのを感じて私は勝利を確信する。容易いものだ、と思う。だってどんな無茶な
願いだって、「今日だけだから」、その一言を口にするだけで彼女はこんなにも簡単に陥落してしまうのだ。
普段から言葉遣いといい、態度といい、ぶっきらぼうな節のある彼女が本当はとても心優しいひとだという
ことは私だけじゃなくてこの部隊に所属する皆が知っていることで、その優しさに漬け込むのは少しコツを
掴めば全く難しいことではないのだった。
きょうだけ。うわ言のように口にする彼女をぎゅうと抱きしめる。ちらりと罪悪感が募ったけれど、今は何よりも
この人が欲しかった。

「…今日だけだかんな」
「ええ、今日だけです」

ふらふらと右手を伸ばして、ふっと力を抜いたようにそれを私の後頭部に落ち着かせる。ゆっくりと動かして、
蜜網になっているそれの結い紐を引っ張って、上、下と取り外すとふわりと癖のある私の髪が広がった。


「ふ、あ、あ」
豊かな胸に、彼女のほっそりとした白い手が沈んでいく。普段は嬉々として触れて、揉んでは私を驚かせる
くせに今の彼女のそれと来たらひどく優しげで柔らかくて、何かに恐れているかのようだ。もっと強くしても
いいんですよ。口にしようと思ったけれど十分だと思ったから止めた。
頂をこねくり回して、口を寄せて吸う。それだけで高くなってしまう私の鳴き声に彼女は焦ったように囁き
かけてきた。

「…宮藤に聞こえるダロ」
「でも、そこっ、あ、ああん」
「肩噛んでいいからもうちょっと静かにしろヨ」
そうして自分の方を指して言うので、私は恐る恐るそこに口を寄せることにする。微かに残る、かつての
行為の跡が同じ場所にある。誘うのはいつも私の方で、彼女はいつも仕方なくそれに応じているはずだと
言うのにこの人と来たら行為の最中はひどく紳士的なのだ。溺れてしまいそうなほどに温かいのだ。

もうすでに取り払われて、ご丁寧に机の上に畳み込んである私と彼女の衣服が視界の端に見えた。一見
おとなしくて綺麗な女の子のように見えてその実ひどいいたずらっ子で無邪気で、それなのにこういった
ところはひどく几帳面で繊細で。私は彼女がたまに分からなくなる。不思議な人だ、と思う。私と同い年
なのに、この人はもうすでに立派なスオムスのトップエースで、その特殊能力を差し引いても余りあるくらいに
逸脱した戦闘センスを持っていて。私はひどく羨ましくてかつて、彼女に対してあまり良い感情を抱いて
いなかったのだった。

だけど今はどうだろう。なぜ私は彼女を求めてしまうのだろう。断続的に与えられる快楽に溺れて、鼻に
掛かったあえぎ声を上げながら私は思う。私にはもう好きな人がいる。彼女にも好きな人がいる。それ
なのにどうして私たちはこうしているのだろう。きっと魔法にかけられているのだ、と思う。とろとろと体の
奥から染み出してくる温かいものの存在を感じながら、思う。そうして言い訳することにする。好きとか嫌い
ではなくて、ただただ私はこの人のすべてが欲しかった。一瞬で私の心を掻っ攫っていった隣室の彼女でも
埋められない何かを、この行為は持っているような気がしていた。

「エイラさんっ」

彼女の名前を呟いて、私の胸のところにある彼女の手をとると濡れそぼったそこに導いた。我慢できなくて
押し付けて自分で腰を動かすと、小さく彼女が息をつくのを聞いた。ため息だろうか、それとも別の何か
だろうか、私には分からない。ただただ気持ちよくて、意識が飛んでしまいそうだと思った。
わかったよ、やればいいんだろ。そのぐらいの気だるさで、彼女の指が動き出す。もうすでにぐしょぐしょに
濡れてシーツにはしたなく染みを作っているそれをかき回していく。



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